JP2003028995A - 放射線像変換パネル - Google Patents

放射線像変換パネル

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JP2003028995A
JP2003028995A JP2001209452A JP2001209452A JP2003028995A JP 2003028995 A JP2003028995 A JP 2003028995A JP 2001209452 A JP2001209452 A JP 2001209452A JP 2001209452 A JP2001209452 A JP 2001209452A JP 2003028995 A JP2003028995 A JP 2003028995A
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JP2001209452A
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Yuji Isoda
勇治 礒田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度、高画質の放射線画像を与える放射線
像変換パネルの提供。 【解決手段】 気相堆積法により形成された蛍光体層
が、下記基本組成式: MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu [MIはアルカリ金属;MIIはアルカリ土類金属又は二
価金属;MIIIは希土類元素又は三価金属;X、X’及
びX”はいずれもハロゲン;a、b、zは0≦a<0.
5、0≦b<0.5、0.0001≦z≦1.0の範囲
内の数値]を有するユーロピウム付活臭化セシウム系輝
尽性蛍光体からなる放射線像変換パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輝尽性蛍光体の輝
尽発光を利用する放射線画像記録再生方法に用いられる
放射線像変換パネル、およびそれを用いた放射線画像情
報読取方法に関する。
【0002】
【従来の技術】X線などの放射線が照射されると、その
放射線エネルギーの一部を吸収、蓄積し、そののち可視
光線や赤外線などの電磁波(励起光)の照射を受ける
と、蓄積した放射線エネルギーに応じて輝尽発光を示す
性質を有する輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)を利用し
て、この輝尽性蛍光体を含有するシート状の放射線像変
換パネルに、被検体を透過したあるいは被検体から発せ
られた放射線を照射して被検体の放射線画像情報を一旦
蓄積記録した後、パネルにレーザ光などの励起光を走査
して順次輝尽発光光として放出させ、そしてこの輝尽発
光光を光電的に読み取って画像信号を得ることからな
る、放射線画像記録再生方法が広く実用に共されてい
る。読み取りを終えたパネルは、残存する放射線エネル
ギーの消去が行われた後、次の撮影のために備えられて
繰り返し使用される。
【0003】放射線画像記録再生方法に用いられる放射
線像変換パネル(蓄積性蛍光体シートともいう)は、基
本構造として、支持体とその上に設けられた輝尽性蛍光
体層とからなるものである。ただし、輝尽性蛍光体層が
自己支持性である場合には必ずしも支持体を必要としな
い。また、輝尽性蛍光体層の上面(支持体に面していな
い側の面)には通常、保護層が設けられていて、蛍光体
層を化学的な変質あるいは物理的な衝撃から保護してい
る。
【0004】輝尽性蛍光体層は、通常は輝尽性蛍光体と
これを分散状態で含有支持する結合剤とからなる。ただ
し、蒸着法や焼結法によって形成される結合剤を含まな
いで輝尽性蛍光体の凝集体のみから構成されるものや、
輝尽性蛍光体の凝集体の間隙に高分子物質が含浸されて
いるものも知られている。
【0005】また、上記放射線画像記録再生方法の別法
として、本願出願人は、従来の輝尽性蛍光体における放
射線吸収機能とエネルギー蓄積機能とを分離して、少な
くとも輝尽性蛍光体(エネルギー蓄積用蛍光体)を含有
する放射線像変換パネルと、放射線を吸収して紫外乃至
可視領域に発光を示す蛍光体(放射線吸収用蛍光体)を
含有する蛍光スクリーンとの組合せを用いる放射線画像
形成方法を既に出願している。この方法は、被検体を透
過などした放射線をまず、該スクリーンまたはパネルの
放射線吸収用蛍光体により紫外乃至可視領域の光に変換
した後、その光をパネルのエネルギー蓄積用蛍光体にて
放射線画像情報として蓄積記録する。次いで、このパネ
ルに励起光を走査して輝尽発光光を放出させ、この輝尽
発光光を光電的に読み取って画像信号を得るものであ
る。
【0006】放射線像記録再生方法(および放射線画像
形成方法)は上述したように、数々の優れた利点を有す
る方法であるが、この方法に用いられる放射線像変換パ
ネルにあっても、できる限り高感度であってかつ画質
(鮮鋭度、粒状性など)の良好な画像を与えるものであ
ることが望まれる。
【0007】感度および画質を高めることを目的とし
て、例えば特公平6−77079号公報に記載されてい
るように、放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層を気相
堆積法により形成することが提案されている。気相堆積
法には蒸着法やスパッタ法などがあり、例えば蒸着法
は、輝尽性蛍光体またはその原料からなる蒸発源を抵抗
加熱器や電子線の照射により加熱して蒸発源を蒸発、飛
散させ、金属シートなどの基板表面にその蒸発物を堆積
させることにより、輝尽性蛍光体の柱状結晶からなる蛍
光体層を形成するものである。
【0008】気相堆積法により形成された蛍光体層は、
結合剤を含有しないで輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽
性蛍光体の柱状結晶と柱状結晶の間には空隙(クラッ
ク)が存在する。このため、励起光の進入効率や発光光
の取出し効率を上げることができるので高感度であり、
また励起光の平面方向への散乱を防ぐことができるので
高鮮鋭度の画像を得ることができる。
【0009】なお、上記特公平6−77079号公報に
は、使用できる輝尽性蛍光体として一般式(II): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:cA ‥‥(II) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsから選
ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;MIIはB
e、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Cu及びN
iから選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;M
IIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S
m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、Al、Ga及びInから選ばれる少なくとも
一種の三価金属であり;X、X’及びX”はF、Cl、
Br及びIから選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り;AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、
Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、N
a、Ag、Cu及びMgから選ばれる少なくとも一種の
金属であり;そしてaは0≦a<0.5の範囲の数値で
あり、bは0≦b<0.5の範囲の数値であり、cは0
<c≦0.2の範囲の数値である]を有するアルカリハ
ライド蛍光体が開示されている。しかしながら、具体的
にはその実施例にRbBr:Tl系蛍光体が記載されて
いるだけで、CsBr:Eu系蛍光体およびその付活剤
Euの濃度範囲についてそれ以上は記載されていない。
【0010】また特公平7−84588号公報には、ア
ルカリハライド輝尽性蛍光体を含有する放射線像変換パ
ネルが開示され、その実施例にはCsBr:0.001Eu
輝尽性蛍光体を含有するパネルが記載されている。しか
しながら、CsBr:Eu系蛍光体における付活剤Eu
の濃度範囲についてはそれ以上の記載は無い。さらに、
上記パネルの蛍光体層は、気相堆積法により形成された
ものではなく、蛍光体原料を焼成、粉砕して得られた粒
子状の蛍光体と結合剤とからなり、塗布法により形成さ
れたものである。同じ輝尽性蛍光体であっても粉体焼成
物と気相堆積法により形成される柱状結晶物とでは、蛍
光体のEuによる付活状態、蛍光体の表面積や表面状
態、そして放射線や励起光に対する光学的な効果が相当
に異なる。よって、パネルとして高い感度および画質を
得るためのEu濃度の最適値も、粉体焼成物と気相堆積
法による柱状結晶物とでは当然、異なると考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、放射線像
変換パネルの蛍光体層をCsBr:Eu系輝尽性蛍光体
を用いて気相堆積法により形成することについて研究を
重ねた結果、付活剤であるEuの濃度が従来の0〜0.
2の範囲内であってもある一定値より低いと、輝尽発光
強度が低過ぎてパネルとして感度が十分ではなくなるこ
と、および反対にEu濃度が高いと、蒸着膜など気相堆
積法により形成された層の柱状結晶の状態や表面性など
が悪化して、画質の低下した放射線画像が得られること
を新たに見い出した。
【0012】従って、本発明は、高感度の放射線画像を
与える放射線像変換パネルおよび放射線画像情報読取方
法を提供するものである。また、本発明は、高感度であ
って高画質の放射線画像を与える放射線像変換パネルお
よび放射線画像情報読取方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、気相堆積法に
より形成された蛍光体層を有する放射線像変換パネルに
おいて、該蛍光体層が、基本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu ‥‥(I) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表
し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、C
u、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一
種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはS
c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、A
l、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一
種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”
はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてa、b及
びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、
0.0001≦z≦1.0の範囲内の数値を表す]を有
するユーロピウム付活臭化セシウム系輝尽性蛍光体から
なることを特徴とする放射線像変換パネルにある。
【0014】また本発明は、放射線画像情報が蓄積記録
された上記の放射線像変換パネルを平面方向に移動させ
ながら、該パネルの表面に励起光を該移動方向と異なる
方向に線状に照射し、該パネルの励起光照射部分および
/またはその裏面から放出される輝尽発光光を、多数の
固体光電変換素子を線状に配置してなるラインセンサを
用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そして該ラ
インセンサからの出力を該パネルの移動に応じて順次読
み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得る
ことからなる放射線画像情報読取方法にもある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の放射線像変換パネルにお
いて、基本組成式(I)におけるzは0.0001≦z
≦0.01の範囲内の数値であることが好ましい。より
好ましくは0.0005≦z≦0.007の範囲内の数
値であり、更に好ましくは0.001≦z≦0.007
の範囲内の数値であり、そして特に好ましくは、0.0
03≦z≦0.005の範囲内の数値である。
【0016】また、本発明の放射線像変換パネルは、支
持体、蛍光体層および保護層をこの順に有し、かつ保護
層が25℃における換算透湿度が300g/m2・24hr
・μm以下の透明シートからなることが好ましい。
【0017】さらに、本発明の放射線像変換パネルの蛍
光体層は、蒸着法により形成されたものであることが好
ましく、特には、蒸着膜中のEu濃度の制御のしやす
さ、蒸着膜中のEuの分布、膜表面性および基板との接
着性の点から、上記輝尽性蛍光体の母体成分および付活
剤成分を別々に含む少なくとも二個の蒸発源を用いて、
該両成分を反応させながら共蒸着させることにより形成
されたものであることが好ましい。
【0018】以下に、本発明の放射線像変換パネルにつ
いて、蛍光体層を気相堆積法の一種である電子線蒸着法
により形成する場合を例にとって詳細に述べる。電子線
蒸着法は、抵抗加熱法などと比較して、蒸着源を局所的
に加熱して瞬時に蒸発させるので、蒸発速度を制御しや
すく、また蒸発源として仕込んだ蛍光体もしくはその原
料の組成と形成された蛍光体層中の蛍光体の組成との不
一致を小さくできる利点がある。
【0019】本発明の放射線像変換パネルに用いられる
輝尽性蛍光体は、前記の基本組成式(I)で示される。
【0020】基本組成式(I)には、必要に応じて、酸
化アルミニウム、二酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの
金属酸化物を添加物として、CsBr1モルに対して
0.5モル以下の量で加えてもよい。
【0021】基本組成式(I)で表されるCsBr:E
u系蛍光体において、実施例にて後述するように、付活
剤Euの濃度(z)が0.0001未満では輝尽発光強
度が低過ぎて、この蛍光体を含有する放射線像変換パネ
ルは十分な感度を有することができない。反対に、付活
剤Euの濃度zが1.0より高いと、濃度消光が生じて
輝尽発光強度が低下したり、また形成した蒸着膜中の柱
状結晶の状態や形状、膜の表面性、および基板との接着
性などが悪くなり、結果として得られる放射線画像の画
質を低下させる。付活剤Euの濃度zは、好ましくは
0.0001≦z≦0.01の範囲にある。より好まし
くは0.0005≦z≦0.007の範囲であり、更に
好ましくは0.001≦z≦0.007の範囲であり、
そして特に好ましくは、0.003≦z≦0.005の
範囲である。
【0022】多元蒸着(共蒸着)により蛍光体層を形成
する場合には、まず蒸発源として、上記輝尽性蛍光体の
母体成分を含むものと付活剤成分を含むものからなる少
なくとも二個の蒸発源を用意する。各蒸発源は、所望と
する輝尽性蛍光体の組成に応じて、蛍光体の母体成分お
よび付活剤成分それぞれのみから構成されていてもよい
し、添加物成分などとの混合物であってもよい。また、
蒸発源は二個に限定されるものではなく、例えば別に添
加物成分などからなる蒸発源を加えて三個以上としても
よい。
【0023】蛍光体の母体成分は、母体を構成する化合
物それ自体であってもよいし、あるいは反応して母体化
合物となりうる二以上の原料の混合物であってもよい。
また、付活剤成分は、一般には付活剤元素を含む化合物
であり、例えば付活剤元素のハロゲン化物や酸化物が用
いられる。
【0024】付活剤成分のEu化合物において、Eu2+
化合物のモル比が70%以上であることが好ましい。一
般に、Eu化合物にはEu2+とEu3+が混合して含まれ
ているが、所望とする輝尽発光(あるいは瞬時発光であ
っても)はEu2+を付活剤とする蛍光体から発せられ
る。また、蒸発源を蒸発させる際にEu2+のみが選択的
に蒸発するように制御することは困難であり、そして例
えばEu化合物がEuBrxである場合にEuBr2を基
準として余剰なBrは蒸発時に突沸などの原因となり、
ひいては蒸着膜と基板との接着性や柱状結晶の形状や状
態の悪化をもたらす。よって、Eu化合物におけるEu
2+の比率ができる限り高いことが望ましい。Eu化合物
はEuBrxであることが好ましく、その場合に、xは
2.0≦x≦2.3の範囲内の数値であることが好まし
い。
【0025】Eu2+の比率を高めるためにEu化合物に
好適な前処理を施してもよい。前処理は、例えばEu化
合物を窒素ガス中、大気中または減圧下で、100℃〜
800℃の範囲の温度で熱処理することにより実施する
ことができる。この前処理により突沸などの原因となる
余剰なBrなどが減少するので、蒸着装置内の汚れを抑
制することができ、このことによっても蒸着効率を高め
て、蒸着膜の均質性を向上させることができる。
【0026】各蒸発源は、加圧圧縮によりタブレット
(錠剤)の形状に加工しておくことが好ましい。加圧圧
縮は、一般に800〜1000kg/cm2の範囲の圧
力を掛けて行う。圧縮の際に、50〜200℃の範囲の
温度に加温してもよい。加圧圧縮後、得られたタブレッ
トに脱ガス処理を施すことが好ましい。タブレットの相
対密度は、80%以上98%以下であることが好まし
い。
【0027】蒸着膜形成のための基板は、通常は放射線
像変換パネルの支持体を兼ねるものであり、従来の放射
線像変換パネルの支持体として公知の材料から任意に選
ぶことができるが、特に好ましい基板は、石英ガラスシ
ート;アルミニウム、鉄、スズ、クロムなどからなる金
属シート;アラミドなどからなる樹脂シートである。公
知の放射線像変換パネルにおいて、放射線像変換パネル
としての感度もしくは画質(鮮鋭度、粒状性)を向上さ
せるために、二酸化チタンなどの光反射性物質からなる
光反射層、もしくはカーボンブラックなどの光吸収性物
質からなる光吸収層などを設けることが知られている。
本発明で用いられる基板についても、これらの各種の層
を設けることができ、それらの構成は所望の放射線像変
換パネルの目的、用途などに応じて任意に選択すること
ができる。さらに特開昭58−200200号公報に記
載されているように、得られる画像の鮮鋭度を向上させ
る目的で、基板の蛍光体層側の表面(基板の蛍光体層側
の表面に下塗層(接着性付与層)、光反射層あるいは光
吸収層などの補助層が設けられている場合には、それら
の補助層の表面であってもよい)には微小な凹凸が形成
されていてもよい。
【0028】次いで、複数の蒸発源と被蒸着物である基
板を蒸着装置内に設置し、装置内を排気して1×10-5
〜1×10-2Pa程度の真空度とする。このとき、真空
度をこの程度に保持しながら、Arガス、Neガスなど
の不活性ガスを導入してもよい。次に、複数の電子銃か
ら電子線を発生させて、蒸発源それぞれに照射する。電
子線の加速電圧は1.5kV以上で5.0kV以下に設
定することが望ましい。
【0029】電子線の照射により、蒸発源である輝尽性
蛍光体の母体成分や付活剤成分等は加熱されて蒸発、飛
散し、そして反応を生じて蛍光体を形成するとともに基
板表面に堆積する。この際に、各電子線の加速電圧など
を調整することにより、各蒸発源の蒸発速度を制御して
もよい。蛍光体の堆積する速度、すなわち蒸着速度は、
一般には0.1〜1000μm/分の範囲にあり、好ま
しくは1〜100μm/分の範囲にある。なお、電子線
の照射を複数回に分けて行って二層以上の蛍光体層を形
成することもできる。さらに、蒸着の際に必要に応じて
被蒸着物(基板)を冷却または加熱してもよいし、ある
いは蒸着終了後に蛍光体層を加熱処理(アニール処理)
してもよい。
【0030】一元蒸着の場合には、付活剤Euが蛍光体
母体に比べて蒸気圧が低く、蒸発し難いので、蒸発源と
して、付活剤成分の濃度が目的とする蛍光体の付活剤濃
度よりも高い蒸発源を用いることが好ましい。具体的に
は、蒸発源中の付活剤成分の濃度が目的とする蛍光体の
付活剤濃度の30倍以下、より好ましくは1.5倍以上
10倍以下であるようにする。
【0031】あるいは、蒸発源として、輝尽性蛍光体お
よび必要によりその組成成分を含み、かつ蛍光体の付活
剤の濃度分布を蒸発流方向(基板方向)に有する蒸発源
を用意することが好ましい。付活剤Euが蛍光体母体に
比べて蒸気圧が低いので、蒸発源における付活剤の濃度
が基板側で高く、その反対側で低くなるようにする。こ
のような蒸発源および蒸着法については、本出願人によ
る特願2000−号明細書を参照することができる。
【0032】このようにして、輝尽性蛍光体の柱状結晶
がほぼ厚み方向に成長した蛍光体層が得られる。蛍光体
層は、輝尽性蛍光体のみからなり、輝尽性蛍光体の柱状
結晶と柱状結晶の間には空隙(クラック)が存在する。
また、蛍光体層の厚み方向に付活剤濃度が均一な蛍光体
層を得ることができる。蛍光体層の層厚は、通常は10
0μm〜1mmの範囲にあり、好ましくは200μm〜
700mmの範囲にある。
【0033】本発明において、上述した多元蒸着および
一元蒸着いずれの場合であっても、蒸着法は電子線蒸着
法に限られるものではなく、例えば電子銃の代わりに抵
抗加熱器を用いて蒸発源を加熱蒸発させることからなる
抵抗加熱法など、他の蒸着法も利用することができる。
【0034】また、スパッタ法も利用することができ、
その場合には、まず基板をスパッタ装置内に設置し、装
置内を一旦排気して1×10-5Pa程度の真空度にした
後、スパッタ用の気体としてArガス、Neガスなどの
不活性ガスを導入して1×10-2Pa程度のガス圧とす
る。次いで、前記の複数または単一のタブレットをター
ゲットとして放電し、イオン化した気体の衝撃により蛍
光体および/またはその組成成分を飛散させて基板表面
に輝尽性蛍光体を所望の厚みで堆積させる。スパッタリ
ングは、複数回に分けて行ってもよいし、あるいは必要
に応じて、装置内にO2ガス、H2ガスを導入して反応性
スパッタリングを行ってもよい。さらに、スパッタリン
グの際に必要に応じて基板を冷却または加熱してもよい
し、あるいはスパッタリング終了後に蛍光体層を加熱処
理(アニール処理)してもよい。
【0035】さらに、化学蒸着(CVD)法など公知の
他の気相堆積法を利用することも可能である。これら他
の蒸着法および気相堆積法の詳細は、公報を含む公知の
各種の文献に記載されており、それらを参照することが
できる。
【0036】上記方法において、基板は必ずしも放射線
像変換パネルの支持体を兼ねる必要はなく、蒸着膜形成
後、蒸着膜を基板から引き剥がし、別に用意した支持体
上に接着剤を用いるなどして接合して、蛍光体層を設け
る方法を利用してもよい。あるいは、蛍光体層に支持体
(基板)が付設されていなくてもよい。
【0037】蛍光体層の表面には、放射線像変換パネル
の搬送および取扱い上の便宜や特性変化の回避のため
に、保護層を設けることが望ましい。保護層は、励起光
の入射や輝尽発光光の出射に殆ど影響を与えないよう
に、透明であることが望ましく、また外部から与えられ
る物理的衝撃や化学的影響から放射線像変換パネルを十
分に保護することができるように、化学的に安定で防湿
性が高く、かつ高い物理的強度を持つことが望ましい。
保護層としては、セルロース誘導体、ポリメチルメタク
リレート、有機溶媒可溶性フッ素系樹脂などのような透
明な有機高分子物質を適当な溶媒に溶解して調製した溶
液を蛍光体層の上に塗布することで形成されたもの、あ
るいはポリエチレンテレフタレートなどの有機高分子フ
ィルムや透明なガラス板などの保護層形成用シートを別
に形成して蛍光体層の表面に適当な接着剤を用いて設け
たもの、あるいは無機化合物を蒸着などによって蛍光体
層上に成膜したものなどが用いられる。また、保護層中
には酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、アル
ミナ等の光散乱性微粒子、パーフルオロオレフィン樹脂
粉末、シリコーン樹脂粉末等の滑り剤、およびポリイソ
シアネート等の架橋剤など各種の添加剤が分散含有され
ていてもよい。保護層の層厚は一般に、高分子物質から
なる場合には約0.1〜20μmの範囲にあり、ガラス
等の無機化合物からなる場合には100〜1000μm
の範囲にある。
【0038】防湿性を高めるためには、保護層材料とし
て25℃における換算透湿度が300g/m2・24hr・
μm以下の透明な膜形成性樹脂を用いることが好まし
い。ここで、25℃における換算透湿度とは、JIS−
Z0208で示される透湿度を厚み1μm当たりに換算
し直した値である。上記換算透湿度を有する透明な膜形
成性樹脂として好ましいのは、有機溶媒可溶性のフッ素
系樹脂である。フッ素系樹脂は、フッ素を含むオレフィ
ン(フロオロオレフィン)の重合体もしくはフロオロオ
レフィンを共重合体成分として含む共重合体であり、そ
の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロ
ルトリフロオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ
化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体およびフロオロオレフィン−ビニ
ルエーテル共重合体を挙げることができる。
【0039】防湿性に加えて防汚性および防傷性を高め
るためには、保護層は上記膜形成性樹脂と反応性シリコ
ーンおよび架橋剤とからなることが望ましい。反応性シ
リコーンと架橋剤とが反応することにより、膜形成性樹
脂のの強度が増して保護層の防汚性や防傷性など耐久性
を向上させることができる。
【0040】保護層の表面にはさらに、保護層の耐汚染
性を高めるためにフッ素樹脂塗布層を設けてもよい。フ
ッ素樹脂塗布層は、フッ素樹脂を有機溶媒に溶解(また
は分散)させて調製したフッ素樹脂溶液を保護層の表面
に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
フッ素樹脂は単独で使用してもよいが、通常はフッ素樹
脂と膜形成性の高い樹脂との混合物として使用する。ま
た、ポリシロキサン骨格を持つオリゴマーあるいはパー
フルオロアルキル基を持つオリゴマーを併用することも
できる。フッ素樹脂塗布層には、干渉むらを低減させて
更に放射線画像の画質を向上させるために、微粒子フィ
ラーを充填することもできる。フッ素樹脂塗布層の層厚
は通常は0.5μm乃至20μmの範囲にある。フッ素
樹脂塗布層の形成に際しては、架橋剤、硬膜剤、黄変防
止剤などのような添加成分を用いることができる。特に
架橋剤の添加は、フッ素樹脂塗布層の耐久性の向上に有
利である。
【0041】上述のようにして本発明の方法に従う放射
線像変換パネルが得られるが、本発明に係るパネルの構
成は、公知の各種のバリエーションを含むものであって
もよい。たとえば、得られる画像の鮮鋭度を向上させる
ことを目的として、上記の少なくともいずれかの層を、
励起光を吸収し輝尽発光光は吸収しないような着色剤に
よって着色してもよい(特公昭59−23400号公報
参照)。
【0042】次に、上記の放射線像変換パネルを用いる
本発明の放射線画像情報読取方法について図面を参照し
ながら説明する。図1は、本発明の方法に用いる放射線
画像情報読取装置の例を示す構成図であり、図2は、図
1のI−I線に沿った断面図である。
【0043】図1および図2において、放射線像変換パ
ネル10は、順に支持体、前記基本組成式(I)を有す
る輝尽性蛍光体の柱状結晶からなる蛍光体層、および保
護層から構成され、そして被検体を透過したX線等の放
射線が照射されるなどして被検体の放射線画像情報が蓄
積記録されている。走査ベルト40上に保護層側を上に
して載置された放射線像変換パネル10は、走査ベルト
40が矢印Y方向に移動することにより矢印Y方向に搬
送される。パネル10の搬送速度はベルト40の移動速
度に等しく、ベルト40の移動速度は画像読取手段30
に入力される。
【0044】一方、ブロードエリアレーザ(以下、BL
Dという)11から、パネル10の表面に対して略平行
に発せられた線状の励起光Lは、その光路上に設けられ
たコリメータレンズとトーリックレンズとからなる光学
系12により平行ビームとされ、パネル10に対して4
5度の角度で傾けて配された、励起光を反射し輝尽発光
光を透過するように設定されてなるダイクロイックミラ
ー14により、反射されてパネル10表面に対して垂直
に入射する方向に進行し、屈折率分布形レンズアレイ
(多数の屈折率分布形レンズが配列されてなるレンズで
あり、以下、第一のセルフォックレンズアレイという)
15により、パネル10上に矢印X方向に沿って延びる
線状に集光される。
【0045】パネル10に垂直に入射した線状の励起光
Lの励起により、パネル10の集光域およびその近傍か
ら、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた強度の
輝尽発光光Mが発せられる。この輝尽発光光Mは、第一
のセルフォックレンズアレイ15により平行光束とさ
れ、ダイクロイックミラー14を透過し、第二のセルフ
ォックレンズアレイ16により、励起光Lの集光域の真
上に配置されたラインセンサ20を構成する各光電変換
素子21の受光面に集光される。ラインセンサ20は、
少なくとも上記線状の励起光照射部分の長さに整列配置
された多数の光電変換素子21を有するものであり、各
素子が一画素に対応している。
【0046】なおこの際、第二のセルフォックレンズア
レイ16を透過した輝尽発光光Mに僅かに混在する、パ
ネル10表面で反射した励起光Lは、励起光をカットし
輝尽発光光を透過する励起光カットフィルタ17により
カットされる。
【0047】各光電変換素子21により受光された輝尽
発光光Mは光電変換され、そして光電変換して得られた
各信号Sは、画像情報読取手段30に入力される。画像
情報読取手段30にて各信号Sは、走査ベルト40の移
動速度に基づいてパネル10の部位に対応して演算処理
され、画像データとして画像処理装置(図示なし)に出
力される。
【0048】なお、本発明に用いる放射線画像情報読取
装置は、図1および図2に示した態様に限定されるもの
ではなく、光源、光源とパネルとの間の集光光学系、パ
ネルとラインセンサとの間の光学系、およびラインセン
サはそれぞれ、公知の種々の構成を採用することができ
る。
【0049】例えば、光源は、光源自体がライン状であ
ってもよく、また蛍光灯、冷陰極蛍光灯、LED(発光
ダイオード)アレイ、LDアレイなども用いるができ
る。光源から発せられる励起光は、連続的に出射するも
のであってもよいし、あるいは出射と停止を繰り返すパ
ルス光であってもよい。
【0050】ラインセンサとしては、アモルファスシリ
コンセンサ、CCDセンサ、バックイルミネータ付きの
CCD、MOSイメージセンサなどを用いることができ
る。また、ラインセンサは光電変換素子が一列で配置さ
れたもののみならず、二、三列で配置されたものであっ
てもよい。
【0051】放射線像変換パネルを移動させる方向は、
ライン光源およびラインセンサの長さ方向に略直交する
方向であることが望ましいが、例えばパネルの略全面に
わたって均一に励起光を照射することができる範囲内
で、長さ方向から外れた斜め方向やジグザグ状に方向を
変化させて移動させてもよい。
【0052】上記態様においては、説明を簡単化するた
めに、パネルとラインセンサとの間の光学系を1:1結
像系に設定しているが、拡大縮小光学系を利用してもよ
い。ただし、集光効率を高めるためには等倍または拡大
光学系を用いることが好ましい。
【0053】また、上記態様では励起光Lの光路と輝尽
発光光Mの光路とが一部分重複するような構成として、
装置のコンパクト化を図ったが、励起光Lの光路と輝尽
発光光Mの光路が全く異なる構成を採用してもよい。例
えば、励起光Lを放射線像変換パネルの表面から照射し
て、輝尽発光光Mをパネルの裏面、もしくは表裏両面か
ら集光するような構成であってもよい。
【0054】さらに、上記態様では放射線像変換パネル
を移動させて読み取りを行う構成であったが、パネルを
静置してラインセンサをパネル表面および/または裏面
に沿って移動させる構成を採用してもよい。
【0055】あるいはまた、画像情報読取手段から出力
された画像データ信号に対して種々の信号処理を施す画
像処理装置を更に備えた構成や、読み取り終了後のパネ
ルになお残存する放射線エネルギーを適切に放出させる
ための消去手段を更に備えた構成を採用することもでき
る。
【0056】
【実施例】[実施例1−13] 二元蒸着 (1)蒸発源の作製 臭化セシウム100g(CsBr、0.47モル)、お
よび下記表1に示す量の臭化ユーロピウム(EuB
X、x=2.1、約4.7×10-5モル)をそれぞれ
5個分ずつ、温度200℃で2時間排気して脱水、脱ガ
ス処理を行った。ついで、各々を圧力800kg/cm
2にて加圧圧縮して計10個のタブレットを作製した。
各タブレットに更に、温度150℃で2時間排気して脱
ガス処理を施した。
【0057】(2)蛍光体層の形成 支持体として石英基板を蒸着装置内に設置した。石英基
板は順にアルカリ洗浄、純水洗浄、およびIPA洗浄を
施したものである。装置内の所定位置にCsBr蒸発源
およびEuBr2.1蒸発源5個(Eu濃度を低くくする
場合には1個)を配置した後、装置内を排気して1×1
-3Paの真空度とした。次いで、蒸発源それぞれに電
子銃で加速電圧4.0kVの電子線を照射して、200
℃に加温した石英基板上にCsBr:Eu輝尽性蛍光体
を15μm/分の速度で堆積させた。CsBr蒸発源
は、1個のタブレットが終了した時点でリボルバーを回
転させて次のタブレットを供給した。タブレット交換時
は、別の蒸発源からの蒸発を止めた。各電子銃の電流値
は、蒸着中一定速度となるように制御し、また蒸発源が
蒸着中に丁度蒸発し切るように設定した。蒸着終了後、
装置内を大気圧に戻し、装置から石英基板を取り出し
た。石英基板上には、幅が約8μm、長さが約450μ
mの蛍光体の柱状結晶がほぼ垂直方向に密に林立した構
造の蛍光体層(層厚:約450μm)が形成されてい
た。このようにして、共蒸着により支持体と蛍光体層と
からなる本発明の放射線像変換パネルを製造した。
【0058】
【表1】 表1 ────────────────────────── 実施例 EuBr2.1 量(g) モル ────────────────────────── 実施例1 0.0150 4.70×10-5 実施例2 0.0451 1.41×10-4 実施例3 0.1052 3.29×10-4 実施例4 0.1503 4.70×10-4 実施例5 0.3005 9.40×10-4 実施例6 0.4508 1.41×10-3 実施例7 0.7513 2.35×10-3 実施例8 1.0518 3.29×10-3 実施例9 1.5026 4.70×10-3 実施例10 4.5078 1.41×10-2 実施例11 15.0259 4.70×10-2 実施例12 45.0777 1.41×10-1 実施例13 150.2589 4.70×10-1 ────────────────────────── 比較例1 0.0105 3.29×10-5 比較例2 300.5177 9.40×10-1 ──────────────────────────
【0059】[比較例1、2] 二元蒸着 実施例1において、EuBr2.1の量を上記表1に示し
た量に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較
のための放射線像変換パネルを製造した。
【0060】[実施例14−16] 一元蒸着 (1)蒸発源の作製 CsBr100g(0.47モル)と下記表2に示した
量のEuBr2.1とを撹拌振動器で15分間撹拌混合し
た後、混合物を温度525℃にて2時間焼成した。得ら
れた粉体を200℃で2時間排気して、脱水、脱ガス処
理を行った。ついで、これを圧力800kg/cm2
て加圧圧縮して5個のタブレットを作製した。各タブレ
ットに更に、温度150℃で2時間排気して脱ガス処理
を施した。
【0061】
【表2】 表2 ────────────────────────── 実施例 EuBr2.1 量(g) モル ────────────────────────── 実施例14 0.3361 1.05×10-5 実施例15 37.0671 1.16×10-4 実施例16 79.4295 2.48×10-4 ──────────────────────────
【0062】(2)蛍光体層の形成 上記の蒸発源を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て、石英基板上に輝尽性蛍光体の柱状結晶からなる蛍光
体層(層厚:約450μm)を形成した。
【0063】[放射線像変換パネルの性能評価]実施例
1〜16および比較例1、2の各放射線像変換パネル
を、蛍光体の柱状結晶の個々の形状、全体の状態、蛍光
体層の表面性、支持体との接着性、および感度について
評価した。また、各パネルの蛍光体層中の輝尽性蛍光体
のEu濃度を蛍光X線測定により求めた。
【0064】(1)柱状結晶の個々の形状:結晶の節の
有無、および柱状結晶同士の癒着の程度を、電子顕微鏡
写真により判断した。 (2)柱状結晶全体の状態:結晶が支持体の鉛直方向に
ある一定角度を持ってどの程度同一方向に成長している
か、すなわち結晶の揃い具合を電子顕微鏡写真により判
断した。 (3)蛍光体層(蒸着膜)の表面性:蒸着膜の表面粗さ
を目視により判断した。表面性は、結晶の平面方向の成
長速度差以外に、結晶の欠損、異方性の悪さ、蒸発源か
らの飛散物(突沸物)に依存する。 (4)支持体との接着性:蛍光体層の支持体からの剥離
し易さにより判断した。いずれについても以下の基準に
て評価した。 AA:極めて良好、 A:良好、 B:若干不良、C:
やや不良
【0065】(5)感度:放射線像変換パネルに管電圧
40kVp、管電流30mAのX線を照射した後、He
−Neレーザ光で走査してフォトマルチプライヤで輝尽
発光光を検出し、その発光強度により感度を評価した。
比較例1を基準とした相対値で表した。得られた結果を
まとめて表3および図3に示す。
【0066】
【表3】
【0067】図3は、表3に示したEu濃度と輝尽発光
強度(相対値)との関係を示すグラフである。
【0068】表3および図3の結果から明らかなよう
に、CsBr:Eu蛍光体のEu濃度が0.0001〜
1.0の範囲にある本発明の放射線像変換パネル(実施
例1〜16)はいずれも、Eu濃度が0.0001未満
の比較のための放射線像変換パネル(比較例1)および
1.0より高い比較のための放射線像変換パネル(比較
例2)よりも輝尽発光強度が高く、高い感度を示した。
【0069】特に、Eu濃度が0.0005〜0.00
7の範囲にある本発明の放射線像変換パネル(実施例3
〜8)はいずれも、高感度であって、かつ柱状結晶の形
状や配列状態、蛍光体層の表面性や支持体との接着性も
概ね良好であった。また、Eu濃度が高くなるにつれ
て、これら結晶状態や表面性などが低下する傾向にある
ことが分かった。
【0070】[実施例17] (1)蛍光体層の形成 実施例1と同様にして、石英基板(支持体)上にCsB
r:Eu(Eu濃度:3.0×10-3モル)で表わされ
る輝尽性蛍光体からなる蛍光体層を形成した。
【0071】 (2)保護層の形成 膜形成性樹脂:フッ素系共重合体樹脂(ルミフロンLF504X [30%キシレン溶液]、旭硝子(株)製) 40g 有機白色微粉末:メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粉末 (エポスターS6、(株)日本触媒製) 28.4g 分散剤:アルミカップリング剤(プレンアクトAL-M、 味の素(株)製) 0.5g メチルエチルケトン 200g
【0072】上記材料を3mm径のジルコニアボールを
使用したボールミルで20時間分散混合した後、 膜形成性樹脂:ルミフロンLF504X[30%キシレン溶液] 360g を追加して、更に4時間分散混合した。その後、 反応性シリコーン:シリコーンマクロモノマー (サイラプレンFM-DA26、チッソ(株)製) 5.6g 架橋剤:ポリイソシアネート(スミジュールN3300[固形分100%]、 住友バイエルウレタン(株)製) 22.2g 触媒:ジブチルチンジラウレート(KS1260、共同薬品(株)製) 1.4mg メチルエチルケトン 800g を追加して更に混合し、塗布液を調製した。
【0073】この塗布液を蛍光体層の表面にスリットコ
ータを用いて塗布した後、120℃で20分間熱処理し
て乾燥するとともに熱硬化させて、蛍光体層上に保護層
(厚み:6μm)を形成した。
【0074】 (3)縁貼りの形成 フッ素系共重合体樹脂(ルミフロンLF504X[30%キシレン溶液]、 旭硝子(株)製) 40g 架橋剤:ポリイソシアネート(コロネートHX、 日本ポリウレタン(株)製) 22.2g 触媒:ジブチルチンジラウレート(KS1260、共同薬品(株)製) 1.4mg 黄変防止剤:エポキシ樹脂 (エピコート#1001[固形]、油化シェルエポキシ(株)製) 0.6g 滑り剤:反応性シリコーン(サイラプレンFM-DA26、チッソ(株)製) 0.2g メチルエチルケトン 15g
【0075】上記材料を溶解混合して、塗布液を調製し
た。この塗布液を、支持体、蛍光体層および保護層から
なるシートの各側面に塗布し、室温で充分に乾燥して、
厚み約25μmの縁貼りを形成した。以上のようにし
て、支持体、蛍光体層、保護層および縁貼りから構成さ
れた本発明の放射線像変換パネルを製造した。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、蒸着法などの気相堆積
法により、ユーロピウム付活臭化セシウム系輝尽性蛍光
体からなる蛍光体層をその付活剤濃度が特定の範囲とな
るように形成することにより、高感度の放射線像変換パ
ネルを得ることができる。さらに、本発明の放射線像変
換パネルは、蛍光体層における蛍光体の柱状結晶の形状
や配列状態、表面性、支持体との接着性も良好であり、
鮮鋭度など画質の優れた放射線画像を与えることができ
る。従って、この放射線像変換パネルを用いた本発明の
放射線画像情報読取方法は、高感度であって高画質の放
射線画像を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる放射線画像情報読取装置
の例を示す構成図である。
【図2】図1に示した放射線画像情報読取装置のI−I
線に沿った断面図である。
【図3】CsBr:Eu蛍光体についてEu濃度と輝尽
発光強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 放射線像変換パネル 40 走査ベルト 11 ブロードエリアレーザ(BLD) 12 コリメータレンズとトーリックレンズからなる光
学系 14 ダイクロイックミラー 15、16 セルフォックレンズアレイ 17 励起光カットフィルタ 20 ラインセンサ 21 光電変換素子 30 画像情報読取手段 L 励起光 M 輝尽発光光 S 信号
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 11/64 C09K 11/64 11/85 11/85 G01T 1/00 G01T 1/00 B G03B 42/02 G03B 42/02 B Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 BB04 CC01 CC03 CC10 DD02 DD11 DD12 DD17 EE02 EE03 2H013 AC03 4H001 CA04 CA08 XA04 XA09 XA12 XA13 XA17 XA20 XA21 XA28 XA29 XA30 XA31 XA35 XA38 XA39 XA48 XA49 XA53 XA56 XA57 XA58 XA59 XA60 XA61 XA62 XA63 XA64 XA65 XA66 XA67 XA68 XA69 XA70 XA71 YA63

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気相堆積法により形成された蛍光体層を
    有する放射線像変換パネルにおいて、該蛍光体層が、基
    本組成式(I): MIX・aMIIX’2・bMIIIX”3:zEu ‥‥(I) [ただし、MIはLi、Na、K、Rb及びCsからな
    る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表
    し;MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、C
    u、Zn及びCdからなる群より選ばれる少なくとも一
    種のアルカリ土類金属又は二価金属を表し;MIIIはS
    c、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、A
    l、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも一
    種の希土類元素又は三価金属を表し;X、X’及びX”
    はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選ば
    れる少なくとも一種のハロゲンを表し;そしてa、b及
    びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、
    0.0001≦z≦1.0の範囲内の数値を表す]を有
    するユーロピウム付活臭化セシウム系輝尽性蛍光体から
    なることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 【請求項2】 基本組成式(I)においてzが0.00
    01≦z≦0.01の範囲内の数値を表す請求項1に記
    載の放射線像変換パネル。
  3. 【請求項3】 基本組成式(I)においてzが0.00
    05≦z≦0.007の範囲内の数値を表す請求項1に
    記載の放射線像変換パネル。
  4. 【請求項4】 基本組成式(I)においてzが0.00
    1≦z≦0.007の範囲内の数値を表す請求項1に記
    載の放射線像変換パネル。
  5. 【請求項5】 基本組成式(I)においてzが0.00
    3≦z≦0.005の範囲内の数値を表す請求項1に記
    載の放射線像変換パネル。
  6. 【請求項6】 放射線像変換パネルが、支持体、蛍光体
    層および保護層をこの順に有し、かつ該保護層が25℃
    における換算透湿度が300g/m2・24hr・μm以下
    の透明シートからなる請求項1乃至5のうちのいずれか
    の項に記載の放射線像変換パネル。
  7. 【請求項7】 蛍光体層が、蒸着法により形成されたも
    のである請求項1乃至6のうちのいずれかの項に記載の
    放射線像変換パネル。
  8. 【請求項8】 蛍光体層が、輝尽性蛍光体の母体成分お
    よび付活剤成分を別々に含む少なくとも二個の蒸発源を
    用いて、該両成分を反応させながら共蒸着させることに
    より形成されたものである請求項7に記載の放射線像変
    換パネル。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のうちのいずれかの項に
    記載の放射線像変換パネルであって、放射線画像情報が
    蓄積記録された放射線像変換パネルを平面方向に移動さ
    せながら、該パネルの表面に励起光を該移動方向と異な
    る方向に線状に照射し、該パネルの励起光照射部分およ
    び/またはその裏面から放出される輝尽発光光を、多数
    の固体光電変換素子を線状に配置してなるラインセンサ
    を用いて一次元的に受光して光電変換を行い、そして該
    ラインセンサからの出力を該パネルの移動に応じて順次
    読み取って、放射線画像情報を電気的画像信号として得
    ることからなる放射線画像情報読取方法。
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