JP2003201555A - 蛍光体シート製造装置 - Google Patents

蛍光体シート製造装置

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JP2003201555A
JP2003201555A JP2002004291A JP2002004291A JP2003201555A JP 2003201555 A JP2003201555 A JP 2003201555A JP 2002004291 A JP2002004291 A JP 2002004291A JP 2002004291 A JP2002004291 A JP 2002004291A JP 2003201555 A JP2003201555 A JP 2003201555A
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phosphor
vacuum
manufacturing apparatus
sheet
vacuum chamber
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JP2002004291A
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Makoto Kashiwatani
誠 柏谷
Junji Nakada
純司 中田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空蒸着によって(蓄積性)蛍光体層を形成す
る蛍光体シートの製造において、緻密な蛍光体層を形成
することが可能な、高品質な蛍光体シートの製造装置を
提供すること。 【解決手段】シート状の基板上に蓄積性蛍光体層を真空
蒸着により形成する蛍光体シートの製造装置であって、
真空チャンバと、この真空チャンバ内を排気する真空排
気手段と、前記蛍光体層を形成する蛍光体材料を蒸発さ
せる蛍光体材料蒸発手段と、前記蛍光体層中に添加され
る付活剤材料蒸発手段とを有し、この付活剤材料蒸発手
段として、カソーディックアーク発生手段を用いる前記
蛍光体層ことを特徴とする装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光体シート製造
の技術分野に属し、詳しくは、真空蒸着によって蓄積性
蛍光体層を形成する蛍光体シートの製造において、緻密
な蓄積性蛍光体層を有する高品質な蛍光体シートを製造
可能な蛍光体シート製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線(X線、α線、β線、γ線、電子
線、紫外線等)の照射を受けると、この放射線エネルギ
ーの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光の照射を
受けると、蓄積されたエネルギーに応じた輝尽発光を示
す蛍光体が知られている。この蛍光体は、蓄積性蛍光体
(輝尽性蛍光体)と呼ばれ、医療用途などの各種の用途
に利用されている。
【0003】一例として、この蓄積性蛍光体を含有する
層(以下、蛍光体層とする)を有するシート(以下、蛍
光体シートとする(放射線像変換シートとも呼ばれてい
る)を利用する、放射線画像情報記録再生システムが知
られており、例えば、FCR(Fuji Computed Radiogra
phy:富士写真フィルム(株)製)等として実用化され
ている。このシステムでは、蛍光体シート(蛍光体層)
に人体などの被写体の放射線画像情報を記録し、記録後
に、蛍光体シートをレーザ光等の励起光で2次元的に走
査して輝尽発光光を生ぜしめ、この輝尽発光光を光電的
に読み取って画像信号を得、この画像信号に基づいて再
生した画像を、写真感光材料等の記録材料、CRT等の
表示装置に被写体の放射線画像を可視像として出力す
る。
【0004】このような蛍光体シートは、通常、蓄積性
蛍光体の粉末をバインダ等を含む溶媒に分散してなる塗
料を調製して、この塗料をガラスや樹脂製のシート状の
支持体に塗布し、乾燥して、蛍光体層を形成することに
よって、作製される。これに対し、真空蒸着やスパッタ
リング等の物理蒸着法(気相成膜法)によって、支持体
に蛍光体層を形成してなる蛍光体シートも知られている
(特許第2789194号、特開平5−249299号
等の各公報参照)。蒸着によって作製される蛍光体層
は、真空中で形成されるので不純物が少なく、また、バ
インダなどの蓄積性蛍光体以外の成分が殆ど含まれない
ので、性能のバラツキが少なく、しかも発光効率が非常
に良好であるという、優れた特性を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者ら
の研究によれば、真空蒸着によって蛍光体層を形成する
場合に、蒸着させる蛍光体材料をエネルギーの高い状態
で蒸着させることが、安定して高品質な画像を撮像でき
る蛍光体シートを得るために極めて有効な方法であるこ
とが見出された。すなわち、蒸着させる蛍光体材料をエ
ネルギーの高い状態にして蒸着させることによって、蛍
光体シート上に緻密かつ均質な微細構造を有する高品質
な蛍光体層を形成することが可能になり、これにより、
蛍光体層の放射線(X線)特性が向上して、高品質な放
射線(X線)画像が得られるようになる。
【0006】本発明の目的は、上記知見を基に、真空蒸
着によって(蓄積性)蛍光体層を形成する蛍光体シート
の製造において、緻密な蛍光体層を形成することが可能
な、高品質な蛍光体シートの製造装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る蛍光体シート製造装置は、シート状の
基板上に蓄積性蛍光体層を真空蒸着により形成する蛍光
体シートの製造装置であって、真空チャンバと、この真
空チャンバ内を排気する真空排気手段と、前記蛍光体層
を形成する蛍光体材料を蒸発させる蛍光体材料蒸発手段
と、前記蛍光体層中に添加される付活剤材料蒸発手段と
を有し、この付活剤材料蒸発手段として、カソーディッ
クアーク発生手段を用いることを特徴とするものであ
る。
【0008】ここで、前記カソーディックアーク発生手
段は、磁場を用いるフィルタリング・カソーディックア
ーク装置であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明す
る。
【0010】図1に、本発明の一実施形態に係る蛍光体
シート製造装置の概念図を示す。図示例の蓄積性蛍光体
シート製造装置10(以下、製造装置10とする)は、
シート状の基板Sの表面に、蓄積性蛍光体を含有する層
((蓄積性)蛍光体層)を二元の真空蒸着によって形成
して、(蓄積性)蛍光体シートを作製するもので、基本
的に、真空チャンバ12と、基板回転機構14と、加熱
蒸発部16とを有して構成される、いわゆる基板回転型
の真空蒸着装置を利用するものである。また、真空チャ
ンバ12には、系内を排気して所定の真空度にするため
の、図示しない真空ポンプ(真空排気手段)が接続され
る。
【0011】図示例の製造装置10は、一例として、臭
化セシウム(CsBr)およびユーロピウム(Eu)を
成膜材料とした二元の真空蒸着を行って、基板上にCs
Br:Euを蓄積性蛍光体とする蛍光体層を成膜して、
蛍光体シートを作製する。この蛍光体層の成膜において
は、蛍光体成膜材料が臭化セシウムであり、付活剤(賦
活剤(activator))がユーロピウムである。
【0012】なお、本発明に係る製造装置で作製する蛍
光体シートにおいて、基板Sには特に限定はなく、ガラ
ス、セラミックス、カーボン、アルミニウム、PET、
PEN、ポリイミド等、蛍光体シートにおいて利用され
ている各種のシート状の基板が全て利用可能である。
【0013】また、蓄積性蛍光体も、上記CsBr:E
uに限定はされず、各種のものが利用可能である。好ま
しくは、波長が400nm〜900nmの範囲の励起光
の照射により、300nm〜500nmの波長範囲に輝
尽発光を示す輝尽性蛍光体が利用される。このような輝
尽性蛍光体は、特公平7−84588号、特開平2−1
93100号、同4−310900号の各公報に詳述さ
れている。
【0014】中でも、下記の基本組成式 MI X・aMIIX’2 ・bMIII X''3 :zA で代表されるアルカリ金属ハロゲン化物質系輝尽性蛍光
体は、特に、好ましい。なお、上記式において、M
I は、Li,Na,K,RbおよびCsからなる群より
選択される少なくとも一種のアルカリ金属を表し、MII
は、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ni,Cu,Zn
およびCdからなる群より選択される少なくとも一種の
アルカリ土類金属もしくは二価の金属を表し、M
III は、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,S
m,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Lu,Al,GaおよびInからなる群より選択さ
れる少なくとも一種の希土類元素もしくは三価の金属を
表し、Aは、Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,G
d,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,N
a,Mg,Cu,Ag,TlおよびBiからなる群より
選択される少なくとも一種の希土類元素もしくは金属を
示し、さらに、X、X’およびX''は、F,Cl,Br
およびIからなる群より選択される少なくとも一種のハ
ロゲンを示す。また、aは、0≦a<0.5の範囲内の
数値を、bは、0≦b<0.5の範囲内の数値を、さら
に、zは、0≦z<1.0の範囲内の数値を、それぞれ
示す。
【0015】上記基本組成式において、MI は、少なく
ともCsを含んでいるのが好ましく、また、Xは、少な
くともBrを含んでいるのが好ましく、さらに、Aは、
EuまたはBiであるのが好ましい。また、上記基本組
成式で示される金属ハロゲン化物系輝尽性蛍光体には、
必要に応じて、酸化アルミニウム、二酸化珪素、および
酸化ジルコニウム等の金属酸化物を、MI 1molに対
して0.5mol以下の量で、添加物として加えてもよ
い。
【0016】さらに、成膜材料にも特に限定はなく、蓄
積性蛍光体に応じて、蛍光体を含有する材料および付活
剤を含有する材料を、適宜、選択すればよい。
【0017】真空チャンバ12は、鉄、ステンレス、ア
ルミニウム等で形成される、真空蒸着装置で利用される
公知の真空チャンバ(ベルジャー、真空槽)である。図
示例において、真空チャンバ12内には、上方に基板回
転機構14が、また、その下方に加熱蒸発部16が配設
される。これらの詳細については、以下に、順次説明す
る。
【0018】前述のように、真空チャンバ12には、図
示しない真空ポンプが接続される。真空ポンプにも、特
に限定はなく、必要な到達真空度を達成できるものであ
れば、真空蒸着装置で利用されている各種のものが利用
可能である。一例として、油拡散ポンプ、クライオポン
プ、ターボモレキュラポンプ等を利用すればよく、ま
た、補助として、クライオコイル等を併用してもよい。
なお、前述の蛍光体層を成膜する製造装置10において
は、真空チャンバ12内の到達真空度は、6.7×10
-3Pa以下、特に4.0×10-4Pa以下であるのが好
ましい。
【0019】基板回転機構14は基板Sを保持して回転
するもので、回転駆動源(モータ)20aに係合する回
転軸20と、ターンテーブル30とから構成される。タ
ーンテーブル30は、上側の本体32と下側(加熱蒸発
部16側)のシースヒータ34とからなる円板で、その
中心に、上述の回転軸20が固定される。ターンテーブ
ル30は、後に詳述する加熱蒸発部16(成膜材料の蒸
発位置)に対応する所定位置において、下面(シースヒ
ータ34の下面)に基板Sを保持して、回転軸20によ
って所定速度で回転される。また、シースヒータ34
は、成膜される基板Sを裏面(成膜面と逆面)から加熱
する。なお、基板Sは、マスクを兼ねるホルダや治具等
を用いた公知の方法で、成膜面を下方に向けてターンテ
ーブル30に保持すればよい。
【0020】真空チャンバ12内の基板回転機構14下
方には、加熱蒸発部16が配置される。前述のように、
図示例の製造装置10は、成膜材料として臭化セシウム
とユーロピウムを用い、これらを個々に加熱蒸発する二
元の真空蒸着を行うものであり、加熱蒸発部16は、付
活剤の成膜材料(以下、付活剤材料とする)であるユー
ロピウムを加熱蒸発するEu蒸発部38と、蛍光体の成
膜材料(以下、蛍光体材料とする)である臭化セシウム
を加熱蒸発するCs蒸発部40とを有する。
【0021】Eu蒸発部38は、フィルタリング・カソ
ーディックアーク発生装置18により、蒸発位置に配設
したユーロピウムを加熱して蒸発させる部位である。通
常のカソーディックアーク発生装置は、タングステン、
モリブデンのような超高融点金属やグラファイト等の材
料により形成される陰極(カソード)を使用して、高真
空(1×10-4Pa程度)でアーク点火すると、陰極表
面から熱電子が放射されるとともに、陰極を構成する材
料の蒸気が放出され電離されて、純度の高いプラズマを
発生させるものであるが、ここでは、陰極22自体を付
活剤であるユーロピウムで構成しており、この陰極表面
からユーロピウム蒸気が放射されるとともに、この蒸気
が電離されて、純度の高いプラズマが発生するものであ
る。
【0022】さらに、ここでは、発生したカソーディッ
クアークに磁場をかけた、いわゆるフィルタリング・カ
ソーディックアーク発生装置としており、アークプラズ
マ源用のリング状の陽極24は、陰極22に対して90
°の方向に配置されている。また、この両極間には、こ
れらの間でアークが円弧を描いて形成されるように、磁
場を発生させる湾曲したコイルであるマクロパーティク
ル・フィルタ26が配置されている。なお、フィルタリ
ング・カソーディックアーク発生装置の構成は、これに
限定されるものではなく、用いる付活剤材料に応じて、
これを加熱蒸発させることができるものであれば、真空
蒸着装置に利用されている各種のものが利用可能であ
る。
【0023】ところで、蛍光体シートの蛍光体層におい
ては、層中の付活剤と蛍光体の濃度は、例えば、モル濃
度比で0.0005/1〜0.01/1程度と、蛍光体
層の大部分が蛍光体である。従って、図示例において
は、Eu蒸発部38(付活剤材料の蒸発部)は、材料供
給手段を有していないが、本発明はこれに限定はされ
ず、必要に応じて、Cs蒸発部40と同様に材料供給手
段を有してもよい。
【0024】一方、Cs蒸発部40は、電子銃50から
出射した電子線(エレクトロンビーム:EB)蒸発位置
(ルツボ48)に照射することにより、蛍光体材料であ
る臭化セシウムを加熱蒸発させる、電子線加熱装置であ
る。本実施形態に係る製造装置10において、Cs蒸発
部40は電子線による加熱を行うものであれば、基本的
に、公知の各種の蒸発手段が利用可能である。従って、
電子銃にも、特に、限定はなく、電子線を180°偏向
して蒸発位置に入射する180°偏向銃、同270°偏
向銃、90°偏向直進銃等、真空蒸着において利用され
ている各種の電子銃が利用可能である。図示例における
電子銃50は、一例として、270°偏向銃を利用して
いる。
【0025】電子銃44のエミッション電流やEBの加
速電圧にも限定はなく、成膜材料や成膜する膜厚に応じ
た十分なものであればよい。図示例においては、一例と
して、EBの加速電圧は−1kV〜−30kV、エミッ
ション電流は、50mA〜2Aとするのが好ましい。
【0026】図示例の製造装置10において、ルツボ4
8は、真空チャンバ12に気密状態で固定される円筒状
のもので、所定の蒸発位置において蛍光体材料を収容す
るルツボ(ハース)としての機能に加え、材料供給手段
の一部を構成する。ルツボ48の形成材料には、特に限
定は無く、十分な耐熱性を有し、かつ、加熱された成膜
材料と反応しないものであれば、各種の材料が利用可能
であり、図示例においては、一例として、モリブデン、
タングステン、タンタル、プラチナ、アルミナ等が例示
される。また、形状も円筒に限定はされない。
【0027】昇降手段42およびピストン44は、ルツ
ボ48と共に蛍光体材料の材料供給手段46を構成する
ものである。前述のように、蛍光体シートに成膜される
蛍光体層は非常に厚く、薄くても200μm、通常50
0μm程度、厚い場合には、1000μmを超える場合
もある。また、前述のように、蛍光体層は、大部分が蛍
光体である。従って、真空チャンバ12を開放すること
なく成膜を行うためには、特に、蛍光体材料の材料供給
手段が必要になる。
【0028】ピストン44は、ルツボ48の軸線方向に
延在するロッド44aと、このロッド44aの先端(基
板S側端)に固定される円盤状のヘッド44bとから構
成され、ロッド44bは、ルツボ48(真空チャンバ1
2)内部の気密を保った状態で、軸線方向に移動可能に
ルツボ48に軸支される。また、昇降手段42は、公知
の方法で,ロッド44aすなわちヘッド44bを昇降
(ルツボ48の軸線方向に移動)させるものである。
【0029】図示例において、蛍光体材料である臭化セ
シウムは、ルツボ48の内径よりも若干小さい直径を有
する円柱状に成形されたものが用いられる。なお、成形
は、成膜材料に応じた公知の方法で行えばよい。蛍光体
材料は、ヘッド44bに載置されるようにして、ルツボ
48に収容される。真空蒸着によって蛍光体材料が消費
されると、昇降手段42が駆動されてピストン44を蛍
光体材料を上昇(基板S側に移動)させ、その上面を所
定の蒸発位置に供給する。
【0030】なお、本発明においては、材料供給手段は
図示例に限定はされず、真空蒸着装置等で用いられてい
る材料供給手段が、各種、利用可能である。具体的な一
例として、本出現人による特願2001−296364
号の明細書に記載される各種の材料供給手段が好適に利
用される。なお、本発明に係る製造装置10は、材料供
給手段を有するものに限定はされないが、厚い蛍光体層
を、真空チャンバ12を開放することなく形成するため
には、少なくとも蛍光体材料に関しては、材料供給手段
を有するのが好ましい。また、利用される成膜材料は、
図示例のように成形されたものに限定はされず、粉末状
でも顆粒状でもよく、用いる加熱蒸発手段や材料供給手
段に応じて、各種の形態が利用可能である。
【0031】図示例の製造装置10においては、前述の
ように、Eu蒸発部38では、フィルタリング・カソー
ディックアーク発生装置18により、蒸発位置に配設し
たユーロピウムを加熱して蒸発させる。また、Cs蒸発
部40では、イオンビーム照射手段(電子銃)50から
出射されたイオンビームにより、偏向コイルによって2
70°偏向されて、ルツボ48に入射し、ルツボ48に
収容された蛍光体材料を加熱蒸発させる。
【0032】このため、本実施形態に係る製造装置10
においては、図示例のように蛍光体材料と付活剤材料と
を別に加熱蒸発する多元の真空蒸着において、付活剤材
料の加熱蒸発を、カソーディックアークプラズマで行う
ようにしたことにより、良好な効率で、しかも、緻密な
蛍光体層を形成可能としている。すなわち、真空蒸着に
おいて、蒸気がエネルギー状態で成膜に供されると、結
合力の強い微細粒子によって、非常に緻密な膜を成膜で
きる。また、蛍光体に必要な格子欠陥(図示例であれ
ば、臭素の格子欠陥)等も好適に形成される。その結
果、非常に緻密で、X線特性の良好な蛍光体層を形成す
ることができる。
【0033】すなわち、本発明の製造装置10は、真空
蒸着による蛍光体シートの製造において、付活剤材料で
あるユーロピウムの蒸発にカソーディックアークプラズ
マを利用することにより、特にイオンソースや励起手段
を設けることなく、付活剤材料の加熱蒸発と、その励起
やイオン化とを、同時に行って、良好な効率で、緻密で
X線特性が良好な蛍光体層を有する、高感度な蛍光体シ
ートを製造することを可能にしている。これにより、例
えば、放射線医療システムであれば、被検者のX線被曝
量を減らし、より安全なシステムを実現することができ
る。
【0034】本発明において、図示例のような蛍光体材
料と付活剤材料とを別々に加熱蒸発する多元の真空蒸着
を行う際に、両成膜材料の蒸発位置の距離には、特に限
定は無いが、両者を近接して配置した方が、両蒸気の混
合を好適にして蛍光体層における付活剤の分散状態を良
好にでき、かつ、付活剤蒸気のプラズマ空間通過も、よ
り高い効率で行うことができる。
【0035】本実施形態に係る製造装置10において
は、成膜速度にも特に限定はなく、蛍光体層の組成や用
いる成膜材料に応じて、適宜、決定すればよい。図示例
であれば、臭化セシウムの蒸着速度を10nm/sec
〜1000nm/secとして、ユーロピウムは、蛍光
体層中のユーロピウム濃度がモル比0.0005〜0.
01程度となる蒸発速度とすればよい。なお、蒸発量の
コントロールは、各蒸発部における加熱蒸発手段のエネ
ルギの制御等、公知の手段で行えばよい。
【0036】前述のように、本実施形態に係る製造装置
10は、回転型の真空蒸着装置を利用するもので、蛍光
体シートを製造する際には、ターンテーブル22下面の
所定位置に成膜面を下方に向けて基板Sを装着し、か
つ、加熱蒸発部16において、フィルタリング・カソー
ディックアーク発生装置18の陰極に(金属)ユーロピ
ウムを、Cs蒸発部40のルツボ48に臭化セシウム
を、それぞれ収容する。その後、真空チャンバ12を閉
塞して減圧すると共に、シースヒータ34を駆動して、
基板Sを裏面から加熱する。
【0037】真空チャンバ12の内部が所定の真空度に
なったら、モータ20aによってターンテーブル30を
所定速度で回転しつつ、加熱蒸発部16において、Eu
蒸発部38のフィルタリング・カソーディックアーク発
生装置18を駆動してユーロピウムを加熱蒸発させ、か
つ、Cs蒸発部40の電子銃50を駆動することによ
り、イオンビームを出射させて、270°偏向コイルの
作用の下、ルツボ48に入射させ、臭化セシウムを加熱
蒸発させ、基板SへのCsBr:Euの蒸着すなわち蛍
光体層の成膜が行われる。また、蒸着の進行による臭化
セシウムの消費に応じて、昇降手段42がピストン44
を上昇させ、臭化セシウムを供給する。
【0038】成膜を終了したら、ターンテーブル30の
回転を停止し、真空チャンバ12を開放して、蛍光体層
の成膜を終了した基板Sを取り出し、再度、成膜を行う
際には、同様にして、基板Sおよび成膜材料を装填し、
成膜を行えばよい。
【0039】図示例の製造装置10は、蛍光体と付活剤
との混合蒸気による成膜によって、より高品質な蛍光体
シートが製造できる好ましい態様として、臭化セシウム
(蛍光体材料)とユーロピウム(付活剤材料)とを別々
に蒸発させる、多元の真空蒸着による蛍光体シートの製
造装置であるが、本発明は、これに限定はされず、各種
の構成が利用可能である。例えば、本発明の蛍光体シー
ト製造装置は、蛍光体材料の蒸発部と、付活剤材料の蒸
発部との組み合わせを2組以上有する構成や、付活剤材
料の蒸発部は1つとし、蛍光体材料の蒸発部のみを2以
上有する構成等の、各種の構成の多元の真空蒸着を行う
装置であってもよい。
【0040】また、本発明の蛍光体シート製造装置は、
図示例のような回転型の真空蒸着装置を利用するものに
も限定されず、例えば、真空チャンバに連結するロード
室とアンロード室とを有し、基板をロード室に装填し、
ロード室→真空チャンバ→アンロード室と基板を搬送し
つつ成膜を行い、アンロード室から取り出す、いわゆる
ロードロックタイプの真空蒸着装置を利用するものであ
ってもよく、あるいは、基板を所定位置に固定して蒸着
を行うタイプの真空蒸着装置を利用するものであっても
よい。
【0041】以上、本発明の蛍光体シート製造装置につ
いての詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定
はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各
種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【0042】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る蛍光体シート製造装置によれば、真空蒸着によって
蛍光体層を成膜する蛍光体シートの製造において、フィ
ルタリング・カソーディックアークによるプラズマを利
用することにより、緻密な蛍光体層を効率よく形成で
き、X線特性が良好な、高感度な蛍光体シートを製造で
きるようになるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛍光体シート製造装置の一例の概念
図である。
【符号の説明】
10 (蛍光体シート)製造装置 12 真空チャンバ 14 基板回転機構 16 加熱蒸発部 18 フィルタリング・カソーディックアーク発生装置 20 回転軸 20a モータ 22 陰極 24 陽極 26 マクロパーティクル・フィルタ 30 ターンテーブル 34 シースヒータ 38 Eu蒸発部 40 Cs蒸発部 42 昇降手段 48 ルツボ 50 電子銃
フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB01 CC02 CC10 EE02 EE03 4K029 AA02 AA04 AA09 AA11 AA24 BA02 BA41 BC07 BD00 CA01 DB03 DB05 DB07 DB17 DB21 JA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シート状の基板上に蓄積性蛍光体層を真空
    蒸着により形成する蛍光体シートの製造装置であって、 真空チャンバと、この真空チャンバ内を排気する真空排
    気手段と、前記蛍光体層を形成する蛍光体材料を蒸発さ
    せる蛍光体材料蒸発手段と、前記蛍光体層中に添加され
    る付活剤材料蒸発手段とを有し、 この付活剤材料蒸発手段として、カソーディックアーク
    発生手段を用いることを特徴とする蛍光体シート製造装
    置。
  2. 【請求項2】前記カソーディックアーク発生手段は、磁
    場を用いるフィルタリング・カソーディックアーク装置
    であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体シート
    製造装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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US8250794B2 (en) 2004-03-12 2012-08-28 Avery Dennison Corporation Emergency information sign

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