JP3861384B2 - 電磁接触器の電磁石装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モータなどへ供給される電流を開閉する電磁接触器に組み込まれる電磁石装置に関し、とくに、定格容量の異なる電磁接触器に共通して用いられる電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の電磁接触器の構成を示す断面図である。二本の脚部8の下端に接合されたヨーク2よりなる固定鉄心25が、絶縁製のケース1に収納されている。この固定鉄心25の上端面に対向して非磁性板7を介して鉄などからなる可動鉄心13が配され、この可動鉄心13は、可動ホルダ12に連結されている。ケース1の上部は、絶縁製の上部ケース19で覆われている。ケース1に一対の固定接点14Aが固定接触子14と端子板17とを介して固定されている。一方、固定接点14Aの上面に対向して可動接点15Aが配され、この可動接点15Aは、可動接触子15に接合されている。可動接触子15は接触ばね16を介して可動ホルダ12に連結されている。固定接点14Aと可動接点15Aとは、絶縁製の消弧カバー4で覆われている。端子板17は、それぞれ上部ケース19の外部に引き出されている。
【0003】
また、図4において、コイル6が、巻枠6Aを介して脚部8に巻回され、このコイル6と固定鉄心25と可動鉄心13とで電磁石装置9が形成されている。ケース1の下部には、絶縁製の下部ケース3が配され、この下部ケース3内には、図示されていない電子装置が収納され電磁接触器の制御回路が構成されている。可動鉄心13の下部には、図示されていない復帰ばねが取り付けられてあり、可動鉄心13が常時上方に付勢されている。一方、接触ばね16は可動接触子15を常時下方に付勢している。
【0004】
さらに、図4において、非磁性板7が可動鉄心13の下面にろう付けされている。また、非磁性板7の下面には、連結ピン5が配されている。連結ピン5は、可動ホルダ12に固定され、また、可動鉄心13の上面と可動ホルダ12との間には、圧縮性のクッションばね18が介装され、可動鉄心13が連結ピン5と可動ホルダ12とで挟持されている。
【0005】
図5は、図4のX−X断面図である。可動ホルダ12は、3つの可動接触子15に接触ばね16を介して連結され、三相の主回路を1台で同時に開閉駆動する電磁石装置9が構成されている。ヨーク2は、その端部が下部ケース3に固定されている。また、連結ピン5は、その両端が可動ホルダ12に嵌合されて支持されている。
【0006】
図4に戻り、この電磁接触器の開閉機構を次に述べる。二つの端子板17が、図示されていない主回路の電源および負荷にそれぞれ接続される。図5の構成は接点が開成した状態であり、その状態では、一対の固定接触子14の間は導通していない。この状態でコイル6を励磁すると、可動鉄心13が図示されていない復帰ばねに打ち勝って固定鉄心25に吸引され、可動ホルダ12が下方へ移動する。そのために、接触ばね16を介して可動接触子15が下方へ移動し、可動接点15Aが固定接点14Aと接触する。それによって、固定接触子14同士が可動接触子15を介して短絡され、主回路が閉成される。電磁接触器の閉成状態では、接触ばね16が可動接触子15を下方へ付勢させているので、接点間の押圧力が維持されたままになり、接触状態が常時良好に保たれる。
【0007】
次に、閉成状態にある電磁接触器のコイル6の励磁を遮断すると、図示されていない復帰ばねによって、可動鉄心13が上方へ移動する。これと同時にホルダ12を介して可動接触子15が上方へ移動し、可動接点15Aが固定接点14Aから開離し接点が開成される。
図4において、非磁性板7はステンレスなどの非磁性材よりなり、鉄心の残留磁気を防止するためのものである。すなわち、非磁性板7が無いと、コイル6の励磁を断っても固定鉄心25内の残留磁気によって吸引力が残り、図示されていない復帰ばねの力だけでは可動鉄心13が上方へ移動しない場合がある。予め非磁性板7によって可動鉄心13と固定鉄心25との間に非磁性部を介在させておくことにより、残留磁気の問題を解決することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の電磁石装置は、電磁接触器の定格容量に応じて可動鉄心と固定鉄心の大きさを変えねばないらないという問題があった。すなわち、電磁接触器の定格容量が大きくなれば、接点部の通電電流や遮断電流が増し、金属導体も大きくなるので電磁石装置にかかる負荷が大きくなる。そのために、電磁接触器の定格容量が大きくなるにつれて、電磁石装置の吸引力も増強する必要が生ずる。従来は、電磁石装置の吸引力を大きくするために、可動鉄心と固定鉄心の大きさを共に増やしていたので、電磁接触器の定格容量が大きくなるに従って電磁石装置が大きくなり、それにつれて電磁接触器全体の寸法も大きくなっていた。電磁接触器の定格容量が異なっても同じ大きさの固定鉄心を用いることができれば、電磁接触器全体の寸法を従来より大幅に縮小することができる。
【0009】
この発明の目的は、定格容量の異なる電磁接触器に固定鉄心を共通して用いることのできる電磁石装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明によれば、互いに平行な二本の脚部の下端がヨークを介して接合された固定鉄心と、この固定鉄心に対向して配され電磁接触器の接点を開閉駆動させる可動鉄心と、前記固定鉄心の脚部をそれぞれ巻回するコイルとにより構成されてなる電磁接触器の電磁石装置において、定格容量に応じて可動方向の厚さが設定される可動鉄心と、各厚さの可動鉄心に共用される固定鉄心が組み込まれるようにするとよい。可動鉄心を薄くすると吸着力が減るので、この可動鉄心の可動方向の厚さの調整によって、定格容量の異なる電磁接触器に同じ大きさの固定鉄心を共通して用いることができる。
【0011】
かかる構成において、可動鉄心は鉄心部材が可動方向に複数枚積層されてなるようにしてもよい。同じ厚さの可動鉄心を予め複数枚用意しておき、電磁接触器の定格容量に応じて可動鉄心の積層枚数を変えれば、可動鉄心の部品点数が少なくなり、経済的である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を実施例に基づいて説明する。図1は、この発明の実施例にかかる電磁石装置の可動鉄心を示す斜視図である。厚さtの異なる可動鉄心11を予め複数種類用意する。電磁接触器の定格容量に応じて可動鉄心11の厚さtを決めれば、定格容量の異なる電磁接触器に同じ大きさの固定鉄心を共通して組み込むことができる。
【0013】
図2はこの発明の異なる実施例にかかる電磁石装置の可動鉄心を示す斜視図である。複数枚の鉄心部材11Aが積層されて可動鉄心が構成されている。同じ厚さの鉄心部材11Aを予め複数枚用意しておき、電磁接触器の定格容量に応じて鉄心部材11Aの積層枚数を変え、全体の可動鉄心の厚さtにすれば、可動鉄心の部品点数が少なくなり、経済的になる。
【0014】
表1は、上記実施例の構成によって製作された電磁接触器の幅Wおよび高さHを従来例と比較して示した結果である。幅Wおよび高さHの定義は、図4に示されている。電磁接触器の定格容量は、18.5kWないし37kWまでの4種類とし、いずれも交流200V用のものである。
【0015】
【表1】
【0016】
表1において、従来例の場合は、3種類の定格容量(22kW用は30kW用のものを適用)の電磁石装置における可動鉄心と固定鉄心の大きさがそれぞれ異なり、定格容量が大きくなるに従って電磁接触器の大きさが増加している。実施例の場合では、定格容量が18.5kW用と22kW用の電磁接触器は、同じ大きさの固定鉄心が用いられ、可動鉄心の厚さtまたはコイルの巻回数の調整によって構成されたものである。また、30kW用と37kW用の電磁接触器においても同じ大きさの固定鉄心が用いられ、この場合も可動鉄心の厚さtまたはコイルの巻回数の調整によって構成されている。従来例と比較すると、実施例の場合は、定格容量は大きくなっても電磁接触器の大きさがそれほど極端には増加していないことが分かる。最大容量の37kW用の電磁接触器を従来例と比較すると、実施例の場合はかなり外形が縮小されていることが分かる。
【0017】
図3は、電磁石装置の負荷特性および吸着力特性を示す特性線図である。横軸に可動鉄心が固定鉄心から離れて行く距離、すなわちストロークが目盛られ、縦軸に荷重または吸着力が目盛られている。曲線L1とL2は、可動鉄心が動くときに受ける負荷特性を示し、それぞれ曲線L1は37kW用の場合、曲線L2は18.5kW用の場合である。当然のことながら、定格容量の小さい方がその負荷は小さい。曲線M1とM2は、実施例における電磁石装置の吸着力特性を示し、それぞれ曲線M1は37kW用の場合、曲線M2は18.5kW用の場合である。一方、曲線N1は、従来例における37kW用の電磁石装置の吸着力特性である。
【0018】
図3において、曲線N1の特性を有する従来の電磁石装置をそのまま18.5kW用に使用しようとすれば、曲線L2の負荷特性と比べてあまりにも異なるので吸着力が強すぎる。一方、曲線M1やM2の特性を有する実施例における電磁石装置は、可動鉄心の厚さtの調整またはコイルの巻回数によって、その吸着力を簡単に微調整することができ、曲線M1、M2の吸着力特性をそれぞれ曲線L1、L2の負荷特性より僅かに大きく設定することが可能になり、最適設計できるようになった。
【0019】
【発明の効果】
この発明は前述のように、可動鉄心の可動方向の厚さを変えるだけで定格容量の異なる電磁接触器に共通する固定鉄心が組み込まれる。それによって、定格容量の異なる電磁接触器に同じ大きさの固定鉄心を共通して用いることができ、電磁接触器の外形が大幅に縮小された。
【0020】
かかる構成において、複数枚の可動鉄心が可動方向に積層されてなる。それによって、可動鉄心の部品点数が少なくなり、経済的になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例にかかる電磁石装置の可動鉄心を示す斜視図
【図2】この発明の異なる実施例にかかる電磁石装置の可動鉄心を示す斜視図
【図3】電磁石装置の負荷特性および吸着特性を示す特性線図
【図4】従来の電磁接触器の構成を示す断面図
【図5】図4のX−X断面図
【符号の説明】
11,13:可動鉄心、11A:鉄心部材、25:固定鉄心、6:コイル
Claims (2)
- 互いに平行な二本の脚部の下端がヨークを介して接合された固定鉄心と、この固定鉄心に対向して配され電磁接触器の接点を開閉駆動させる可動鉄心と、前記固定鉄心の脚部をそれぞれ巻回するコイルとにより構成されてなる電磁接触器の電磁石装置において、定格容量に応じて可動方向の厚さが設定される可動鉄心と、各厚さの可動鉄心に共用される固定鉄心が組み込まれてなることを特徴とする電磁接触器の電磁石装置。
- 請求項1に記載の電磁接触器の電磁石装置において、可動鉄心は鉄心部材が可動方向に複数枚積層されてなることを特徴とする電磁接触器の電磁石装置。
Priority Applications (1)
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JP16566097A JP3861384B2 (ja) | 1997-06-23 | 1997-06-23 | 電磁接触器の電磁石装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP16566097A JP3861384B2 (ja) | 1997-06-23 | 1997-06-23 | 電磁接触器の電磁石装置 |
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JPH1116470A JPH1116470A (ja) | 1999-01-22 |
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ID=15816600
Family Applications (1)
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-
1997
- 1997-06-23 JP JP16566097A patent/JP3861384B2/ja not_active Expired - Fee Related
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