JP3861012B2 - 多気筒内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多気筒の往復動内燃機関において、その振動に最も影響の大きい各気筒のクランクスローの配置角(着火間隔)を、起振力として働く不平衡偶力が最小となるようにクランクスローの配置角を定めた4サイクル直列7気筒もしくはV型14気筒内燃機関、直列9気筒もしくはV型18気筒内燃機関、及び2サイクル直列8気筒内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
往復動内燃機関で生ずる振動の元となる起振力には不平衡力、外部偶力、内部偶力、トルク変動などがあり、振動には機関本体振動、クランク軸捩り振動など多くの種類が存在する。
【0003】
多気筒の往復動内燃機関において、起振力は、その内燃機関における運動部分の慣性力と気筒内での爆発力が主因となって生ずるが、各気筒のクランクスローの配置角を変えると各気筒の起振力の方向が変わるので、内燃機関全体としての起振力はクランクスローの配置角によって大きな影響を受ける。
【0004】
本発明者らは、先に、多気筒の往復動内燃機関において、クランクスローの配置角を不等間隔にすることによる不平衡力を許容される範囲内に抑えつつ、その気筒数の如何に関わらず、問題となる起振力を必要とされるレベルまで低減する最適なクランクスローの配置角を求めることを可能としたクランクスローの配置角の決定方法を提供した(特開2001−65443号)。
【0005】
すなわち、そのクランクスローの配置角の決定方法は、多気筒往復動内燃機関(気筒数、すなわちクランクスロー数n)における各シリンダのk次の不平衡力
F j =Fk・exp(ikαj)(ここにFkはk次の不平衡力の大きさ、i=(-1)1/2、αj はj番目のクランクスローの配置角でj=1,2,・・・,n)を各シリンダ間の距離Lで重み付けして加算した形で表され起振力として働くk次の不平衡偶力
M(k) = FkL[s1 s2 ・・・ sn][exp(ik・α1) exp(ik・α2) ・・・ exp(ik・αn)]t =FkL・fk
に対し、m次の不平衡力F(m) = Fm[1 1 ・・・ 1][exp(im・α1) exp(im・α2)・・・ exp(im・αn)]t= Fm・gm(ここにmは許容内に収めたい不平衡力の次数(複数可)で例えば1及び2、sj はj番目のクランクスローのクランク軸方向の無次元座標であり、座標は基準クランクスローから正負の値で表現し、sj <0もありうる。j番目が基準クランクスローになるときsj =0、tは転置行列を示す表示)の無次元の係数である
gm={[1 1 ・・・ 1][exp(im・α1) exp(im・α2)・・・ exp(im・αn)]t}を許容値におさめるという制約条件のもとで前記不平衡偶力M(m)の無次元の係数である
fk ={[s1 s2 ・・・ sn][exp(ik・α1) exp(ik・α2)・・・ exp(ik・αn)]t}を最小化するクランク配置角αjを求めるものである(αj は各シリンダ間の相対的配置角度故、うち1個は固定)。
【0006】
一方、これまで、7気筒、9気筒の内燃機関は、不平衡力による振動発生を恐れるため採用が敬遠されて7気筒の替わりに8気筒、9気筒の替わりに10気筒を採用するというような不経済な運用も行なわれていた。
また、8、10気筒等の相対的に振動力が小さい機関であっても、更なる低振動化が要求される場合は、バランサ等の付加装置により振動を低減する必要があった。
【0007】
また、客船など、振動低減のために内燃機関を船体に対して弾性(防振)支持してある場合は、不平衡力により発生する偶力の影響が大きく作用して内燃機関の振動が大きく現れ、その内燃機関に連結される配管などが損傷を受け易くなるので、前記した非線形最適化条件に叶った振動の少ないクランクスローの配置角をもつ内燃機関の提供が望まれていた。
【0008】
しかしながら、上記非線形最適化条件に叶った不等間隔クランク配置を持つ内燃機関を提供することはそう容易なことではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、起振力として働く不平衡偶力を最小化しうるクランクスローの配置角をもつ4サイクル直列7気筒内燃機関と直列9気筒内燃機関、V型に気筒が配置された14、18気筒内燃機関のうち、ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており、各々直列7、9気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる内燃機関、及び2サイクル直列8気筒機関を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するため、多気筒往復動内燃機関(クランクスロー数n)における不平衡力
F(m) = Fm[1 1 ・・・ 1][exp(im・α1) exp(im・α2) ・・・ exp(im・αn)]t= Fm・gm (ここにmは許容内におさめたい不平衡力の次数(複数可)で例えば1及び2、i=(-1)1/2 、αj はj番目のクランクスローの配置角でj=1、2、・・・、n)をFmで除した不平衡力の無次元の係数の絶対値である
|gm|= abs{[1 1 ・・・ 1][exp(im・α1) exp(im・α2)・・・ exp(im・αn)]t}のm=1、m=2の双方を零とする、或いは双方を限りなく0に近づける、若しくは内燃機関が設置される周辺の環境が許容する有限値以下とする拘束条件下において、各クランクスローのk次の不平衡力を各シリンダ間の距離(シリンダ間隔)Lで重み付けした形で表される不平衡偶力M(k)= FkL[s1 s2 ・・・ sn][exp(ik・α1) exp(ik・α2) ・・・ exp(ik・αn)]t=FkL・fk(ここにsj はj番目のクランクスローのクランク軸方向の無次元座標であり座標は基準クランクスローから正負の値で表現しsj <0もありうる。j番目が基準クランクスローになるときsj =0)をFkLで除した不平衡偶力の無次元の係数の絶対値である
|fk|= abs{[s1 s2 ・・・ sn][exp(ik・α1) exp(ik・α2) ・・・ exp(ik・αn)]tの偶数乗を最小化するクランクスローの配置角αjを直交座標系表現で求めた。
【0011】
本発明による多気筒往復動内燃機関を得るに当たって採用したクランクスロー配置角の決定方法においては、先に提案した起振力として働く不平衡力の無次元の係数fkについては、実用上はf1のみを対象とすることができる。なぜならば、f2も同時に最小化することは拘束がきつ過ぎて解の自由度がなくなる方向だからであり、また、f2 については、後述する実施の形態に見るとおり、等着火間隔の場合よりも減るか、増えても僅かであって影響は殆どないことが判っているので、等間隔着火に比べて大きく増大していなければ可とするチェック項目に留めてよい。なお、内部偶力についても同様である。
【0012】
また、不平衡力と不平衡偶力を考える上で、一般に3次以上は非常に小さく無視可能である。
【0013】
また、上記目的関数f1 は、このままでは解を探索する上で適切ではないので、これを|f1|2 に置き換える。
以上により、SQP法やNewton−Raphson法などの非線形計画法の逐次求解ルーチンにより、上記の決定方法で解を得ることができる。
【0014】
一方、exp(ik・αj)の複素ベクトルによる極座標系では|f1|2 を最小化するαjを得るための連立方程式の定式化が非常に困難で、かつ、求解繰り返し計算の収束がままならぬことが多く、解が捉え切れない場合がある。そこで、
β|f1|2p+γ|f2|2q
(ここにβは上式を最小最適化するに当たり|f1|2p にかかる重み係数(>0)、γは上式を最小最適化するに当たり|f2|2qにかかる重み係数(>0)p、qは整数)を最小最適化するクランクスロー配置角を求めるという直交座標系に翻訳して定式化することにより、最小化するαj を求めることができる。なお、|f1|2 は|f1|4 や|f1|6 などの偶数乗でもよい。また、上式において3次以上の係数を考慮する場合は、式を
(“^”はべき乗を表す。βkは|fk|^(2pk)にかかる重み係数。pkは整数。
はk次までの和を表す)とすれば良い。
【0015】
なお、本手法は外部偶力を最小化する場合だけではなく、同様の表記が可能な起振力(内部偶力、H・X型振動起振力等)を最小化する場合にも適用できる。
【0016】
本発明によれば、起振力として働く不平衡偶力が最小化された4サイクル7気筒もしくはV型14気筒内燃機関及び2サイクル直列8気筒内燃機関として、次のクランク配置角をもつものが提供される。なお、以下の数値は
β|f1|2p+γ|f2 |2q
におけるβ=1、p=1、γ=0という最もオーソドックスな例を与えている。また、s1、s2 、・・・sn についてはs1=1とし、sn まで等差数列とした。これは1次、2次の不平衡力を殆ど0とすることから設定して良いが、もし1次若しくは2次の不平衡力を内燃機関が設置される周辺の環境が許容する有限値とした条件で上式を最小化する場合はこの限りではない。
【0017】
4サイクル直列7気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−3−5−7−6−4で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角が基準クランクスローから順番に +100.26°±0.5°、-166.09°±0.5°、-112.16°±0.5°、-72.98°±0.5°、+132.89°±0.5°、+23.96°±0.5°である4サイクル7気筒内燃機関。
【0018】
同様に、4サイクル直列7気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−3−6−7−5−4で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角が基準クランクスローから順番に+99.52°±0.5°、-154.44°±0.5°、-96.46°±0.5°、+166.30°±0.5°、-44.28°±0.5°、+64.18°±0.5°である4サイクル7気筒内燃機関。
【0019】
なお、これらのクランクの配置角は、V型に気筒が配置された14気筒内燃機関のうち、ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられているものについても同一の起振力低減効果を提供する。
【0020】
また、本発明によれば、起振力として働く不平衡偶力が最小化された4サイクル直列9気筒内燃機関として、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−5−9−4−7−8−2−3−6で、次のクランクの配置角をもつものが提供される。基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+119.71°±0.5°、-158.45°±0.5°、-118.35°±0.5°、+83.19°±0.5°、-78.36°±0.5°、-36.42°±0.5°、+42.67°±0.5°、+163.67°±0.5°に配置した4サイクル9気筒内燃機関。
【0021】
同様に、4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−4−6−8−9−7−5−3で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+80.87°±2°、-80.73°±2°、+154.77°±2°、-155.08°±2°、-123.36°±2°、+121.73°±2°、-39.13°±2°、+37.62°±2°に配置した4サイクル9気筒内燃機関。
【0022】
更に、4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−3−4−2−7−9−5−8−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-117.69°±3°、+82.24°±3°、+163.15°±3°、+126.45°±3°、-74.85°±3°、-31.61°±3°、-152.00°±3°、+49.40°±3°に配置した4サイクル9気筒内燃機関。
【0023】
更にまた、4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−3−4−2−7−9−5−8−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-117.16°±0.5°、+83.11°±0.5°、+165.20°±0.5°、+120.44°±0.5°、-77.68°±0.5°、-35.46°±0.5°、-158.64°±0.5°、+44.46°±0.5°に配置した4サイクル9気筒内燃機関。
【0024】
なお、これらのクランク角配置は、V型に気筒が配置された18気筒内燃機関のうち、ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられているものについても同一の起振力低減効果を提供する。
【0025】
また、本発明によれば、起振力として働く不平衡偶力が最小化された2サイクル8気筒内燃機関として、次のクランクの配置角をもつものが提供される。クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−8−3−4−7−2−5−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-144.71°±0.5°、+92.74°±0.5°、+129.03°±0.5°、-84.22°±0.5°、-47.94°±0.5°、-170.49°±0.5°、+44.81°±0.5°に配置した2サイクル8気筒内燃機関。
【0026】
同様に、2サイクル直列8気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−8−2−6−4−5−3−7で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+87.67°±0.5°、-95.70°±0.5°、+172.35°±0.5°、-132.50°±0.5°、+135.55°±0.5°、-47.82°±0.5°、+39.85°±0.5°に配置した2サイクル8気筒内燃機関。
【0027】
更に、2サイクル直列8気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−8−2−5−6−3−4−7で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+92.80°±0.5°、-140.66°±0.5°、-83.55°±0.5°、+133.09°±0.5°、-169.79°±0.5°、-43.25°±0.5°、+49.54°±0.5°に配置した2サイクル8気筒内燃機関。
但し、上記の各配置において、各クランクスローの目標角度に対するずれの総和は0とする。
【0028】
本発明による多気筒内燃機関は、弾性支持された場合に、その不平衡力により発生する偶力の影響を低減する上で優れた効果を発揮することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明によるクランクスロー配置角の決定方法の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
着火順序を1−2−3−5−7−6−4とした4サイクル7気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表1に示してある。
表1に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0030】
【表1】
【0031】
(実施例2)
着火順序を1−2−3−6−7−5−4とした4サイクル7気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表2に示してある。
表2に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0032】
【表2】
【0033】
(実施例3)
次に、着火順序を1−5−9−4−7−8−2−3−6とした4サイクル9気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表3に示してある。
表3に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0034】
【表3】
【0035】
(実施例4)
着火順序を1−2−4−6−8−9−7−5−3とした4サイクル9気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表4に示してある。
表4に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0036】
【表4】
【0037】
(実施例5)
着火順序を1−3−4−2−7−9−5−8−6とした4サイクル9気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表5に示してある。
表5に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0038】
【表5】
【0039】
(実施例6)
着火順序を1−3−4−2−7−9−5−8−6とした4サイクル9気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表6に示してある。
表6に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0040】
【表6】
【0041】
(実施例7)
着火順序を1−8−3−4−7−2−5−6とした2サイクル8気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表7に示してある。
表7に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0042】
【表7】
【0043】
(実施例8)
着火順序を1−8−2−6−4−5−3−7とした2サイクル8気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表8に示してある。
表8に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0044】
【表8】
【0045】
(実施例9)
着火順序を1−8−2−5−6−3−4−7とした2サイクル8気筒内燃機関について、不平衡力を微少に抑えつつ1次の不平衡偶力を最小とするクランクスローの配置角を求めた。その結果の例を等間隔配置の場合との比較のもとに表9に示してある。
表9に見られるように、内部偶力の係数を等間隔配置の場合と同程度に抑えながらも、1次及び2次の不平衡偶力を著しく低減した不等間隔配置が得られている。
【0046】
【表9】
【0047】
以上、本発明の実施例について具体的に示したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、実施例1〜3及び6〜9で得られた角度については±0.5°の範囲であればほぼ満足できる程度に起振力として働く不平衡偶力を低減した多気筒内燃機関となっている。
【0048】
また、実施例4で得られた角度については±2°の範囲であればほぼ満足できる程度に起振力として働く不平衡偶力を低減した多気筒内燃機関となっており、実施例5で得られた角度については±3°の範囲であればほぼ満足できる程度に起振力として働く不平衡偶力を低減した多気筒内燃機関となっている。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、起振力として働く不平衡偶力が最小化されたクランク配置角をもつ多気筒内燃機関が提供される。
Claims (20)
- 4サイクル直列7気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−3−5−7−6−4で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+100.26°±0.5°、-166.09°±0.5°、-112.16°±0.5°、-72.98°±0.5°、+132.89°±0.5°、+23.96°±0.5 °としたことを特徴とする4サイクル直列7気筒内燃機関。
- ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており直列7気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる4サイクルV型14気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−3−5−7−6−4で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+100.26°±0.5°、-166.09°±0.5°、-112.16°±0.5°、-72.98°±0.5°、+132.89°±0.5°、+23.96°±0.5 °としたことを特徴とする4サイクルV型14気筒内燃機関。
- 4サイクル直列7気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−3−6−7−5−4で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+99.52°±0.5°、-154.44°±0.5°、-96.46°±0.5°、+166.30°±0.5°、-44.28°±0.5°、+64.18°±0.5 °としたことを特徴とする4サイクル直列7気筒内燃機関。
- ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており直列7気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる4サイクルV型14気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−3−6−7−5−4で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+99.52°±0.5°、-154.44°±0.5°、-96.46°±0.5°、+166.30°±0.5°、-44.28°±0.5°、+64.18°±0.5 °としたことを特徴とする4サイクルV型14気筒内燃機関。
- 4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−5−9−4−7−8−2−3−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+119.71°±0.5°、-158.45°±0.5°、-118.35°±0.5°、+83.19°±0.5°、-78.36°±0.5°、-36.42°±0.5°、+42.67°±0.5°、+163.67°±0.5 °としたことを特徴とする4サイクル直列9気筒内燃機関。
- ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており直列9気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる4サイクルV型18気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−5−9−4−7−8−2−3−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+119.71°±0.5°、-158.45°±0.5°、-118.35°±0.5°、+83.19°±0.5°、-78.36°±0.5°、-36.42°±0.5°、+42.67°±0.5°、+163.67°±0.5 °としたことを特徴とする4サイクルV型18気筒内燃機関。
- 4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−4−6−8−9−7−5−3で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+80.87°±2°、-80.73°±2°、+154.77°±2°、-155.08°±2°、-123.36°±2°、+121.73°±2°、-39.13°±2°、+37.62°±2 °としたことを特徴とする4サイクル直列9気筒内燃機関。
- ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており直列9気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる4サイクルV型18気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−2−4−6−8−9−7−5−3で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+80.87°±2°、-80.73°±2°、+154.77°±2°、-155.08°±2°、-123.36°±2°、+121.73°±2°、-39.13°±2°、+37.62°±2 °としたことを特徴とする4サイクルV型18気筒内燃機関。
- 4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−3−4−2−7−9−5−8−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-117.69°±3°、+82.24°±3°、+163.15°±3°、+126.45°±3°、-74.85°±3°、-31.61°±3°、-152.00°±3°、+49.40°±3 °としたことを特徴とする4サイクル直列9気筒内燃機関。
- ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており直列9気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる4サイクルV型18気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−3−4−2−7−9−5−8−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-117.69°±3°、+82.24°±3°、+163.15°±3°、+126.45°±3°、-74.85°±3°、-31.61°±3°、-152.00°±3°、+49.40°±3 °としたことを特徴とする4サイクルV型18気筒内燃機関。
- 4サイクル直列9気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−3−4−2−7−9−5−8−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-117.16°±0.5°、+83.11°±0.5°、+165.20°±0.5°、+120.44°±0.5°、-77.68°±0.5°、-35.46°±0.5°、-158.64°±0.5°、+44.46°±0.5 としたことを特徴とする4サイクル直列9気筒内燃機関。
- ひとつのクランクスローに向かい合うVバンクの気筒の両側のピストン/連接棒が取り付けられており直列9気筒内燃機関と同一の起振力表記ができる4サイクルV型18気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−3−4−2−7−9−5−8−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-117.16°±0.5°、+83.11°±0.5°、+165.20°±0.5°、+120.44°±0.5°、-77.68°±0.5°、-35.46°±0.5°、-158.64°±0.5°、+44.46°±0.5 としたことを特徴とする4サイクルV型18気筒内燃機関。
- 2サイクル直列8気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−8−3−4−7−2−5−6で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に-144.71°±0.5°、+92.74°±0.5°、+129.03°±0.5°、-84.22°±0.5°、-47.94°±0.5°、-170.49°±0.5°、+44.81°±0.5 °としたことを特徴とする2サイクル直列8気筒内燃機関。
- 2サイクル直列8気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−8−2−6−4−5−3−7で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+87.67°±0.5°、-95.70°±0.5°、+172.35±0.5°、-132.50°±0.5°、+135.55°±0.5°、-47.82°±0.5°、+39.85°±0.5 °としたことを特徴とする2サイクル直列8気筒内燃機関。
- 2サイクル直列8気筒内燃機関において、クランク軸の前端側もしくは後端側のクランクスローを基準として、基準から順番にクランクスロー番号を付番したときに着火順序が1−8−2−5−6−3−4−7で、基準クランクスローに対する他のクランクスローの配置角を基準クランクスローから順番に+92.80°±0.5°、-140.66°±0.5°、-83.55°±0.5°、+133.09°±0.5°、-169.79°±0.5°、-43.25°±0.5°、+49.54°±0.5 °としたことを特徴とする2サイクル直列8気筒内燃機関。
- 支持構造に対して弾性支持してなることを特徴とする請求項1又は3に記載の4サイクル直列7気筒内燃機関。
- 支持構造に対して弾性支持してなることを特徴とする請求項2又は4に記載の4サイクルV型14気筒内燃機関。
- 支持構造に対して弾性支持してなることを特徴とする請求項5、7、9、11のいずれかに記載の4サイクル直列9気筒内燃機関。
- 支持構造に対して弾性支持してなることを特徴とする請求項6、8、10、12のいずれかに記載の4サイクルV型18気筒内燃機関。
- 支持構造に対して弾性支持してなることを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の2サイクル直列8気筒内燃機関。
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