JP3860350B2 - 表皮材の部分加飾一体成形品用金型および表皮材の部分加飾成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、意匠面が樹脂成形面の他に表皮材で部分的に加飾されるようにした表皮材の部分加飾一体成形品用金型および表皮材の部分加飾成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の内装部品などでは、意匠面の一部領域に表皮材で風合いや高級感を付与した部分加飾の一体成形品がある。
斯る一体成形品は、従来、図21のような製法等で造ってきた。まず、外周がトリミングされた所定大きさの表皮材91をキャビティ型94へセットし、真空引きにより該表皮材91を固定する。次いで、型閉じを進行させ、その進行途中で溶融樹脂93を射出する。そうして、型閉じを完了しプレスして一体成形品Yを造るのである(図22)。符号92はコア型、符号95は成形樹脂を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上述の製法では、表皮材91のトリミングカットで寸法誤差が生まれ易く、これが即品質に影響を与えた。また、表皮材91のセット時にも狂いが発生し、一体成形品Yにおける表皮材の端末ライン91aが一定にならない問題があった(実線や鎖線)。さらに、真空引きする機器を必要とし、成形型の設備が大掛りとなった。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するもので、真空引きする機器を要せずして、表皮材端末ラインをきれいに整え品質安定維持できる表皮材の部分加飾一体成形品および表皮材の部分加飾成形方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、請求項1に記載の本発明の要旨は、コア型とキャビティ型とを備え、該コア型には表皮材で覆われる一領域の外周囲にコア型のキャビティ壁の一部を上面に担って進退動可能なクランプ体を設けると共に該コア型上に該クランプ体をおさめる凹所が確保され、該クランプ体とコア型との間に表皮材を介在させてクランプ体が退動し、表皮材の周縁部をキャビティ壁の外へ引き出し表皮材がクランプ体とコア型との挟持によりセットされるようにし、該セット時に表皮材に接するクランプ体の接合部がクランプ体の内周縁を所定幅で取巻き且つクランプ体の他のキャビティ壁より一段下がる一方、キャビティ型はクランプ体の表皮材を挟持する前記接合部に対向する部位が下方に突出して突起部を形成し、出来上った一体成形品の意匠面で表皮材と樹脂面との境に溝部をつくるようにすると共に型閉じで該突起部の側壁に沿って前記表皮材はキャビティを横切り横断部を形成しながらその周縁部がクランプ体とコア型に挟持されるようにし、さらに該突起部の先端に尖った刃部を設けるか又は前記クランプ体の内周縁上端に突出する刃部を設け、また前記コア型に表皮材で覆われる内側領域と表皮材の外側領域のキャビティ壁の双方に溶融樹脂を射出するゲートが形成されることを特徴とする表皮材の部分加飾一体成形品用金型にある。
請求項2の発明たる表皮材の部分加飾一体成形品用金型は、請求項1で、表皮材で覆われるコア型の前記一領域をコア型凸部とし、前記クランプ体は表皮材が配されるコア型凸部の部分が開口した環状ブロックとすることを特徴とする。
請求項3に記載の本発明の要旨は、コア型とキャビティ型とを備え、該コア型には表皮材で覆われる一領域の外周囲にコア型のキャビティ壁の一部を上面に担って進退動可能なクランプ体を設けると共に該コア型上に該クランプ体をおさめる凹所が確保され、該クランプ体とコア型との間に表皮材を介在させてクランプ体が退動し、表皮材の周縁部をキャビティ壁の外へ引き出し表皮材がクランプ体とコア型との挟持によりセットされるようにし、該セット時に表皮材に接するクランプ体の接合部がクランプ体の内周縁を所定幅で取巻き且つクランプ体の他のキャビティ壁より一段下がる一方、キャビティ型はクランプ体の表皮材を挟持する前記接合部に対向する部位が下方に突出して突起部を形成し、出来上った一体成形品の意匠面で表皮材と樹脂面との境に溝部をつくるようにすると共に型閉じで該突起部の側壁に沿って前記表皮材はキャビティを横切り横断部を形成しながらその周縁部がクランプ体とコア型に挟持されるようにし、さらに該突起部の先端に尖った刃部を設けるか又は前記クランプ体の内周縁上端に突出する刃部を設け、また前記コア型に表皮材で覆われる内側領域と表皮材の外側領域のキャビティ壁の双方に溶融樹脂を射出するゲートが形成される表皮材の部分加飾一体成形品用金型を用い、コア型の一領域を表皮材で覆うようにしてその表皮材の周縁部をキャビティ壁の外へ引き出してクランプ体とコア型とで挟持し、その後、該表皮材で覆われた内側領域にあるゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出し該溶融樹脂を余分に供給し、溶融樹脂の充満に伴い、表皮材を該溶融樹脂の圧力で押しつけまた該溶融樹脂の熱も加わって刃部が該表皮材を切断するようにして表皮材の外側領域に溶融樹脂を流出させ、しかる後、表皮材の外側領域に配されたゲートを開き、通路を経てゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出し、表皮材と一体成形することを特徴とする表皮材の部分加飾成形方法にある。
【0006】
【実施形態】
以下、本発明に係る表皮材の部分加飾一体成形品用金型および表皮材の部分加飾成形方法について詳述する。
(1)実施形態1
図1〜図12は本発明の表皮材の部分加飾一体成形品用金型および表皮材の部分加飾成形方法の一形態で、図1〜図7は成形過程を示す断面説明図で、図1は型開き状態にある表皮材の部分加飾成形用金型(以下、単に「金型」という)の断面説明図、図2は図1の状態から工程が進んで表皮材を係止セットした断面説明図、図3は型閉じ後、表皮材で覆われた内側領域にあるゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出した断面説明図、図4は図3のA部拡大図、図5および図6は図4の状態から工程が進んだ拡大断面図、図7は表皮材の外側領域に配されたゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出した断面説明図、図8は脱型の断面説明図、図9は図1のコア型及びクランプ体の平面図、図10は表皮材の部分加飾一体成形品の斜視図、図11は図10のIV−IV線断面図、図12は図11のB部拡大図である。
【0007】
▲1▼表皮材の部分加飾一体成形品用金型
表皮材の部分加飾一体成形品を造る金型について説明する。
図1に示した金型は、表皮材の部分加飾一体成形品に用いる金型の一例で、コア型3とクランプ体4とキャビティ型5とを具備する。
【0008】
コア型3はここではその略中央にコア型凸部3aがある固定型(下型)になっている。コア型3にはキャビティ壁31が形成されるが、表皮材1が配される領域より外のキャビティ壁の一部はクランプ体4に担わせている(図2)。そのため、コア型上にクランプ体4をおさめる凹所36が確保される。コア型3には、表皮材1で覆われる内側領域(内包領域)と表皮材1の外側領域のキャビティ壁の双方に溶融樹脂G2a,G2bを射出するゲート32,33が形成される(図3,図4)。
【0009】
クランプ体4は、表皮材1で覆われる前記コア型凸部3a(一領域)の外周縁に沿って設けられる。クランプ体4は、表皮材1が配されるコア型凸部3aの部分が開口Oした環状ブロックで(図9)、コア型側に設置され、クランプ体上面に前述のごとくコア型キャビティ壁41をつくる。クランプ体4は、その下面が可動軸71に支えられ(図8参照)、該可動軸を作動させる油圧シリンダ(図示せず)によってコア型3から浮上したりコア型3に密着したり進退動可能に設けられる。クランプ体4がコア型3に引き下がった状況下、クランプ体4の内周縁49とコア型凸部外周縁39とは全周にわたって近接状態にある(図9)。従って、クランプ体4を浮上させた後、コア型3とクランプ体4の間に表皮材1を介在させてクランプ体4を下降させれば、コア型3とクランプ体4とで表皮材1を挟み、コア型凸部3a上に表皮材1を配して係止セットできる。コア型3とクランプ体4とで表皮材1を係止セットしたとき、表皮材1に接するクランプ体4の部分が接合部42であり、該接合部42はクランプ体の内周縁49を所定幅で取巻く。接合部42は、製品Pの溝部7の形成に対応して(図12参照)、クランプ体4の他のキャビティ壁41より一段下がった格好とする。
【0010】
キャビティ型5は下面にキャビティ壁51が形成された可動型(上型)である。キャビティ型5は、表皮材1で覆われる一領域の外周囲でクランプ体4の内周縁49に対向する部位に突起部52を形成する(図4)。より具体的には、クランプ体4の表皮材1を挟持する前記接合部42に対向する部位が下方に突出して突起部52を形成する。該突起部52は環状形成されており、出来上った一体成形品Pの意匠面で表皮材1と樹脂面との境に溝部7をつくる。
突起部52の先端には尖った刃部52aを設ける。突出部52の両側壁はキャビティ壁51からなだらかな弧を描きその幅を狭め、突出部下端に刃部52aが形成される(図2)。成形過程において、第一の溶融樹脂G2aの圧力が高まったとき、刃部52aでこれに接する表皮材1の部分を積極的にカットし出来上り製品の見栄えを良くする。本実施形態においては、該刃部52aは表皮材1に接する側を高くした刃先を形成するが、別態様として図13や図14のような刃先をもつ刃部52aとすることもできる。
クランプ体4とコア型3との間に表皮材1を介在させてクランプ体4をコア型3に引き込み表皮材1を挟持した後、キャビティ型5を下降させ、型閉めすると、表皮材1による部分加飾一体成形品用のキャビティCが形成される。このとき、表皮材1は突起部52の側壁に沿ってキャビティCを横切り横断部1bを形成しながらその周縁部1aがクランプ体4とコア型3に挟持されるが、刃部52aが表皮材1の横断部1bの上縁に接する構成である。
【0011】
▲2▼表皮材の部分加飾成形方法
上記金型を用いて、表皮材の部分加飾成形方法は以下のごとく実施される。
まず、成形操作に先立ち、所定大きさに裁断カットした平板状の表皮材1を準備する。該表皮材1は一体成形品Pが出来上った後にその周縁部1aがカットされるので、図21の従来技術のようにシビアな寸法カットする必要はない。製品となる所定寸法の表皮材より若干大きめの表皮材1が用意される。表皮材1はファブリック表皮材や真空成形トリムされた樹脂製のレザー表皮材(ときに裏打ちされたもの)等を用いる。
そして、金型を型開状態とし、さらにクランプ体4を上動させ、クランプ体4がコア型3から浮上した状態とする。
【0012】
次いで、コア型3とクランプ体4の間に表皮材1を配設する(図1)。
続いて、図示しない油圧シリンダを作動させ、クランプ体4をコア型側に引き込むことにより前記表皮材1をコア型上に係止する(図2)。表皮材1の部分加飾一体成形品PをつくるキャビティC内で表皮材1をセットするにあたり、コア型3の凸部3a(一領域)を表皮材1で覆うようにしてその表皮材1の周縁部1aをキャビティ壁31の外へ引き出しクランプ体4とコア型3とで挟持しセットする。表皮材1はコア型凸部3aを覆って、その表皮材周縁部1aがキャビティ壁の外(具体的にはコア型凸部3aとクランプ体4の間隙)へ引き出され、係止セットされる。クランプ体4が下降しコア型3に密着すると、コア型凸部3aの外周縁39とクランプ体4の内周縁49とで表皮材周縁部1aを挟持する(図4参照)。表皮材1の周縁全域に亘ってコア型3とクランプ体4とで挟持する。かくして、表皮材1がコア型凸部3aを覆うようにしてセットされる。若干大きめに裁断カットされた表皮材周縁部1aはクランプ体下側にできる空間に収納される。
【0013】
しかる後、型閉じを進行させる。キャビティ型5を閉めていくと、キャビティ内で表皮材1がその領域を部分的に占有して、コア型3とクランプ体4とに表皮材1が係止セットされた格好となる。
【0014】
次に、表皮材1で覆われた内側領域にあるゲート32を開き、通路34を通ってゲート32からキャビティCへ溶融樹脂G2aを射出し(図3)、部分加飾用の表皮材1との一体成形を行う。キャビティCへ溶融樹脂G2aを過不足なく充満させるのは至難であり、そのため、ここでは溶融樹脂G2aを少し余分に供給する。表皮材1で覆われた内側領域のキャビティCへの溶融樹脂G2aの射出進行に伴い、該溶融樹脂G2aが前記内側領域キャビティCに充満し(図4)、表皮材1を溶融樹脂G2aで押しつけることになる。この押しつけで表皮材1はキャビティ壁51に密着しその形状に付形される一方、横断部1bにおいては溶融樹脂G2aの押しつけ、さらなる溶融樹脂G2aの射出進行により表皮材1は外側領域に向って膨んでいく(図5)。そして、溶融樹脂G2aの熱も加わり、突出部52の刃部52aのところで表皮材1がきれいにカットされる。横断部1bの上縁で切断され、溶融樹脂G2aは表皮材1の外側領域に流れ出る(図6)。
【0015】
ここで、前記刃部52aを設けていない図18のようなケースでは、横断部1bが無理に伸ばされて破れるためその破られ方が不規則となる。例えば図19のごとく、溝部7を乗り越えて意匠面側に表皮材端末1fが現われたり表皮材1の毛や一部をもぎ取ったちぎれクズが溶融樹脂中に混ざったりする。その結果、出来上った製品は表皮材端末ラインLが乱れ、また表皮材のちぎれクズが意匠面に出没し、見栄えを悪くする。
本発明では刃部52aを設けることによって、刃部52aの地点で表皮材1がスパッとカットされるため、表皮材端末ラインLに乱れは起らない。表皮材1のちぎれクズも出ない。なお、刃部52aの部分で表皮材1の全てがカットされる必要はないし、また刃部52aは突出部52の全域に設ける必要もない。突出部52の一部分の刃部52aのところで、溶融樹脂G2aの充満に伴い表皮材1を切断できれば足りるからである。
溶融樹脂Gの材料には、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性プラスチックが使用される。溶融樹脂G(G2a,G2b)の材料は部分加飾用の表皮材1と相溶性のものが好ましい。
【0016】
その後、表皮材1の外側領域に配されたゲート33を開き、通路35を経てゲート33からキャビティCへ溶融樹脂G2bを射出する(図7)。
表皮材1の外側領域のキャビティCへ充填された該溶融樹脂G2bは、キャビティCを埋め、表皮材1に接合しこれとの一体化を図る。前述の横断部1bを破って溶融樹脂G2aが表皮材1の外側領域へ流れ出たところでは、溶融樹脂G2a或いはこれが硬化した第一の樹脂層2aに溶融樹脂G2b(最終的には第二の樹脂層2b)が接合し一体化を図る(図12参照)。
こうして、溶融樹脂G2bで表皮材外側にある残りのキャビティCを埋め尽くして表皮材1で部分加飾された一体成形品Pが得られる。
【0017】
かくのごとく成形された表皮材1の部分加飾一体成形品Pは、冷却固化された後、脱型工程に移る。クランプ体4と図示しないエジェクタピンとで一体成形品Pを突き上げて脱型する(図8)。
金型から一体成形品Pを取出した後、最後に、成形品裏面から伸びる表皮材周縁部1aを作業者が手やハサミ等で取り除くと、図10,図11ごとくの所望の表皮材の部分加飾一体成形品Pを得る。一体成形品Pの裏面側のゲートランド部分23も適宜カットされる。
【0018】
なお、前記溶融樹脂G2aを射出する工程にあっては、表皮材1の一体成形状態を良くするため、金型を少し開き加減とした低圧成形法を採用することも可能である。
斯る場合、溶融樹脂G2aがコア型凸部3a上に団子状に盛られる。溶融樹脂G2aの射出を終えたら、少し開き加減にあったキャビティ型5を完全に閉じ、型閉じを完了させることになるが、この過程で、団子状に盛られた溶融樹脂G2aがプレスされる。充満する溶融樹脂G2aで、表皮材1はキャビティ型5のキャビティ壁に押し付けられ、意匠面Eを形成する表皮材部分がきれいに形成される。と同時に、溶融樹脂G2aが表皮材1で覆われた領域に充満し、行き場を求めて横断部1bを無理矢理破ろうとするが、刃部52aが横断部1bの上縁をカットしスムーズに溶融樹脂G2aの行き場をつくることになる。
【0019】
▲3▼表皮材の部分加飾一体成形品
前述の一体成形法で得られた表皮材1の部分加飾一体成形品は、図10〜図12ごとくの形状になっている。表皮材1との一体成形品Pで、意匠面Eは樹脂層2bがつくる意匠面の他に、表皮材1が島状に存在し、部分加飾が施されている(図9)。意匠面Eで、表皮材1の端末ラインLは溝部7内にきれいにおさめられる。成形を終えた段階の一体成形品Pの裏面側には表皮材周縁部1aが現われるが、図12ではその部分をトリミングカットしカット部1cとする。
表皮材1は、前記成形法を採ることによって、意匠面Eの一部を形成すると共にその周縁部1aが意匠面側から樹脂層2を横切って裏面側へ貫通する(図11)。そして、表皮材1が樹脂層2を横切るところの横断部1bの一部は、刃部52aにカットされ第一の樹脂層2aが該横断部1bを越えて表皮材1の外側領域へ流れ出る。該横断部1bは、刃部52aのところで表皮材1がきれいに切断された格好になっている(図12)。
【0020】
なお、本実施形態は表皮材外周全域に亘ってコア型3とクランプ体4とで挟持することによって図10のような島状の部分加飾一体成形品Pとしたが、他形態として例えば図20のような部分加飾一体成形品Pとすることもできる。
【0021】
▲4▼効果
このように構成した表皮材の部分加飾一体成形品および表皮材の部分加飾成形方法によれば、表皮材周縁部1aがキャビティ壁の外へ引き出され、且つコア型3とクランプ体4により常に決まった位置に係止セットされるので、意匠面サイドに現われる表皮材端末ラインLが一定できれいに仕上がる。
また、表皮材1に覆われた箇所に溶融樹脂G2aを供給して表皮材1との一体成形を行う工程で、溶融樹脂G2aが表皮材1を刃部52aで切断することになるが、刃部52aが溶融樹脂G2aの圧力またその熱を利用して表皮材1をカットするので、表皮材端末はきれいになる。表皮材1がカットされる部分は刃部52aのところで横断部1bの上縁であり、表皮材端縁1gは溝部7内におさめられるため、表皮材端縁1gが意匠面に出て悪さをすることはない。表皮材端末ラインLがきれいで見栄えが良い。カットされた相手側の表皮材端縁1eが図6のように外観に現われても、製品裏面側であるため何ら問題とならない。さらに、表皮材1を無理して破る場合には、表皮材1の毛や一部等をもぎとって意匠外観に悪影響を及ぼすが、斯る不具合もない。また、表皮材1は一体成形品Pが出来ると、表皮材周縁部1aが成形品裏面側に現われるが、この部分は不要部分であってカットされるので、成形時における表皮材1は所定寸法より若干大きめのものを用いれば足り、裁断にシビアにならずに済む。
加えて、コア型3とクランプ体4とで表皮材1をコア型上に係止セットできるので、従来必要とした真空引きの機器はいらなくなる。表皮材1との一体成形で、型を少し開き加減にしてキャビティCへ溶融樹脂Gを射出し、さらにプレスする低圧成形法を用いた場合は、表皮材1のダメージが少なくなるメリットがある。
【0022】
(2)実施形態2
本実施形態の金型は、実施形態1のキャビティ型5に刃部52aを設ける代りに、図15のごとく、クランプ体4に刃部42cを形成するものである。クランプ体4の内周縁49の上端にコア型3の外周縁39に向けて突出する刃部42cを設ける。ここでは、クランプ体4とコア型3との間に表皮材1を挟んでクランプ体4が図15の白抜き矢印方向に退動して表皮材1がコア型3にセットされる。クランプ体4は図9のような環状ブロック体である。ただし、本実施形態のクランプ体4は一枚ものではなく複数に分割されたものとなる。他の構成は実施形態1と同様である。実施形態1と同一符号は同一または相当部分を示す。
この金型を使った表皮材1の部分加飾成形方法は、コア型3の一領域を表皮材1で覆うようにしてその表皮材1の周縁部1aをキャビティ壁の外へ引き出してクランプ体4とコア型3とで挟持し、その後、該表皮材1で覆われた内側領域にあるゲート32からキャビティCへ溶融樹脂G2aを射出し、溶融樹脂G2aの充満に伴い、表皮材1を該溶融樹脂の圧力で押しつけることにより刃部が表皮材1を切断するが、その切断は刃部42cによって行われる(図16)。クランプ体4に刃部42cを形成する別態様として、図17のようにクランプ体4の内周縁49の上端でキャビティ型5に向けて突出する刃部42dとすることもできる。
このように構成した表皮材の部分加飾成形用金型および表皮材の部分加飾成形方法も実施形態1と同様の作用,効果が得られる。
【0023】
尚、本発明においては前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。表皮材1,樹脂層2,コア型3,クランプ体4,キャビティ型5等の形状,大きさ,材質,個数等は用途に合わせて適宜選択できる。
【0024】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明の表皮材の部分加飾一体成形品および表皮材の部分加飾成形方法は、表皮材のセットに真空引きしなくてもよく、意匠面に現われる表皮材端末ラインを綺麗に整えることができ、品質安定に優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1の型開き状態にある表皮材の部分加飾成形用金型の断面説明図である。
【図2】 図1の状態から工程が進んで表皮材を係止セットした断面説明図である。
【図3】 型閉じ後、表皮材で覆われた内側領域にあるゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出した断面説明図である。
【図4】 図3のA部拡大図である。
【図5】 図4の状態から工程が進んだ拡大断面図である。
【図6】 図4の状態から工程が進んだ拡大断面図である。
【図7】 表皮材の外側領域に配されたゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出した断面説明図である。
【図8】 脱型の断面説明図である。
【図9】 図1のコア型及びクランプ体の平面図である。
【図10】 表皮材の部分加飾一体成形品の斜視図である。
【図11】 図10のIV−IV線断面図である。
【図12】 図11のB部拡大図である。
【図13】 別態様の刃部をもつ表皮材の部分加飾一体成形品用金型の拡大図である。
【図14】 別態様の刃部をもつ表皮材の部分加飾一体成形品用金型の拡大図である。
【図15】 実施形態2の表皮材の部分加飾一体成形品用金型の刃部周り拡大図である。
【図16】 図15の横断部が刃部により切断された状態の説明断面図である。
【図17】 図15とは別態様の表皮材の部分加飾一体成形品用金型の刃部周り拡大図である。
【図18】 図4に対応する他形態図である。
【図19】 図6に対応する他形態図である。
【図20】 表皮材の部分加飾一体成形品の斜視図である。
【図21】 従来技術の説明図である。
【図22】 従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 表皮材
1a 周縁部
1b 横断部
3 コア型
32 ゲート
33 ゲート
36 凹所
4 クランプ体
41 キャビティ壁
42 接合部
42c 刃部
49 内周縁
5 キャビティ型
52 突起部
52a 刃部
7 溝部
C キャビティ
E 意匠面
G2a,G2b,G 溶融樹脂
P 成形品(一体成形品)
Claims (3)
- コア型とキャビティ型とを備え、該コア型には表皮材で覆われる一領域の外周囲にコア型のキャビティ壁の一部を上面に担って進退動可能なクランプ体を設けると共に該コア型上に該クランプ体をおさめる凹所が確保され、該クランプ体とコア型との間に表皮材を介在させてクランプ体が退動し、表皮材の周縁部をキャビティ壁の外へ引き出し表皮材がクランプ体とコア型との挟持によりセットされるようにし、該セット時に表皮材に接するクランプ体の接合部がクランプ体の内周縁を所定幅で取巻き且つクランプ体の他のキャビティ壁より一段下がる一方、キャビティ型はクランプ体の表皮材を挟持する前記接合部に対向する部位が下方に突出して突起部を形成し、出来上った一体成形品の意匠面で表皮材と樹脂面との境に溝部をつくるようにすると共に型閉じで該突起部の側壁に沿って前記表皮材はキャビティを横切り横断部を形成しながらその周縁部がクランプ体とコア型に挟持されるようにし、さらに該突起部の先端に尖った刃部を設けるか又は前記クランプ体の内周縁上端に突出する刃部を設け、また前記コア型に表皮材で覆われる内側領域と表皮材の外側領域のキャビティ壁の双方に溶融樹脂を射出するゲートが形成されることを特徴とする表皮材の部分加飾一体成形品用金型。
- 前記表皮材で覆われるコア型の前記一領域をコア型凸部とし、前記クランプ体は表皮材が配されるコア型凸部の部分が開口した環状ブロックとする請求項1記載の表皮材の部分加飾一体成形品用金型。
- コア型とキャビティ型とを備え、該コア型には表皮材で覆われる一領域の外周囲にコア型のキャビティ壁の一部を上面に担って進退動可能なクランプ体を設けると共に該コア型上に該クランプ体をおさめる凹所が確保され、該クランプ体とコア型との間に表皮材を介在させてクランプ体が退動し、表皮材の周縁部をキャビティ壁の外へ引き出し表皮材がクランプ体とコア型との挟持によりセットされるようにし、該セット時に表皮材に接するクランプ体の接合部がクランプ体の内周縁を所定幅で取巻き且つクランプ体の他のキャビティ壁より一段下がる一方、キャビティ型はクランプ体の表皮材を挟持する前記接合部に対向する部位が下方に突出して突起部を形成し、出来上った一体成形品の意匠面で表皮材と樹脂面との境に溝部をつくるようにすると共に型閉じで該突起部の側壁に沿って前記表皮材はキャビティを横切り横断部を形成しながらその周縁部がクランプ体とコア型に挟持されるようにし、さらに該突起部の先端に尖った刃部を設けるか又は前記クランプ体の内周縁上端に突出する刃部を設け、また前記コア型に表皮材で覆われる内側領域と表皮材の外側領域のキャビティ壁の双方に溶融樹脂を射出するゲートが形成される表皮材の部分加飾一体成形品用金型を用い、
コア型の一領域を表皮材で覆うようにしてその表皮材の周縁部をキャビティ壁の外へ引き出してクランプ体とコア型とで挟持し、その後、該表皮材で覆われた内側領域にあるゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出し該溶融樹脂を余分に供給し、溶融樹脂の充満に伴い、表皮材を該溶融樹脂の圧力で押しつけまた該溶融樹脂の熱も加わって刃部が該表皮材を切断するようにして表皮材の外側領域に溶融樹脂を流出させ、しかる後、表皮材の外側領域に配されたゲートを開き、通路を経てゲートからキャビティへ溶融樹脂を射出し、表皮材と一体成形することを特徴とする表皮材の部分加飾成形方法。
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