JP3747349B2 - 発泡成形用金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡成形用金型に関し、更に詳細には、内部のキャビティにセットしたコア材と表皮材との間に発泡材料(ウレタン等)を注入し、これらコア材と表皮材との間で該発泡材料を発泡,固化させて所要形状に成形する発泡成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばウレタン等を材質とする各種発泡製品は、発泡成形用金型の内部に形成したキャビティへ所定量の発泡成形用の材料(以下「発泡材料」という)を注入し、このキャビティ内で発泡・固化させることにより所定形状に成形するようになっている。この発泡成形用金型は、発泡材料の注入形態に基いて分類すると、オープン注入タイプとクローズド注入タイプとの大別される。すなわち、オープン注入タイプの発泡成形用金型は、上下に分割される金型を開放して下型のキャビティ内に発泡材料を注入し、次いで上型と下型とを型締めして該キャビティ内で発泡反応を進行させるものである。また、クローズド注入タイプの発泡成形用金型は、上型と下型とを予め型締めした状態において、該金型の所要位置に形成した注入口に注入装置の注出口を当接させて内部のキャビティへ発泡材料を注入し、該キャビティ内で発泡反応を進行させるものである。何れの発泡成形用金型にあっても、キャビティ内に注入された発泡材料は、化学反応により白濁してクリーム状となった後に細かい気泡が発生して発泡を開始し、所定時間(ライジングタイム)後に該キャビティ内全体に充満して固化することで発泡が完了する。
【0003】
例えば図11は、乗用車等の運転席前方に設置されるダッシュボード(図10参照)において、コア材2と表皮材4との間に発泡材料Uを注入して発泡させるクローズド注入タイプの発泡成形用金型を概略で示した縦断側面図である。この発泡成形用金型60は、下型14に形成した凹部に沿って所定形状の表皮材4をセットすると共に、上型12に形成した凸部に別途成形した合成樹脂等のコア材2をセットし、この状態で両型12,14を型締めすることで内部に形成されるキャビティ16内に該表皮材4とコア材2とを位置決めすると共に、両部材4,2の間に適宜厚さの発泡空間6を形成するようになっている。そして前記コア材2には、上型12の所定位置に設けた注入口18に整合する通入口2aを形成してあり、該注入口18に当接した注入装置50から所定量の発泡材料Uを該発泡空間6内へ注入するようになっている。なお注入口18(通入口2a)は、図10に示す如く、発泡空間6全体に発泡材料Uが行き渡るようにコア材2のセンタ(容量センタ)付近に設けてあり、注入した発泡材料Uは前記発泡空間6の末端部へ向かって発泡しながら移動し、最終的には該発泡空間6全体に充満するようになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで前記ダッシュボードでは、それ自体の質感の向上を図る目的でコア材2の表面全体を表皮材4で覆蓋すると共に該コア材2と表皮材4の間に発泡材料Uを介在させるものであるから、前記発泡空間6は該コア材2の外郭形状に沿った薄くかつ複雑な凹凸形状に形成されている。また、前記注入口18から注入された発泡材料Uは、末端部に向かって流れている途中で既に発泡反応が進行するようになるから、該末端部に近づくに従って流動性が低くなっていく。従って発泡反応が進行した発泡材料Uは、発泡空間6の末端部へ到達する前に固化してしまうことがあり、ダッシュボードの両端部近傍に欠肉部分が形成されたり気泡が発生して製品不良の大きな原因となっていた。このため、このようなダッシュボートをはじめとする複雑な形状の製品では、発泡材料Uによる発泡成形そのものが不可能となる場合もあった。
【0005】
そこで、このような欠肉部分の形成や気泡の発生等を防止するため、▲1▼発泡材料Uの注入量を規定より増量する、▲2▼発泡空間6の末端部近傍にガス抜き孔を設けて発泡材料Uの流れを良くする、等の対応策が講じられている。しかるに前記▲1▼の方法では、発泡材料Uの注入量が増えるので材料費が嵩んで製造コストが高くなる欠点があると共に、規定量よりも多くの発泡材料Uを注入するので成形後の製品が硬くなってしまう問題点をも内在している。また前記▲2▼の方法では、発泡空間6内で発生するガスや空気がガス抜き孔から外方へ放出されるので発泡材料Uの流れがよくなる利点があるが、ガス抜き孔を形成する位置の設定が非常に難しく、多くの場合はガス抜きの形成位置を適宜変更しながら試行を繰返して最適位置を見い出す方法が採られ、試行工数が増えてしまう欠点がある。しかも、ガス抜き孔へ発泡材料Uが膨出してそのまま固化してしまうので、この膨出部分を後工程で切除する作業が別途必要となって仕上工数も増えてしまう難点も指摘される。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を解決するべく新規に提案されたものであって、型締め後にキャビティ内にセットしたコア材と表皮材との間の発泡空間内に介在する空気を吸引して適宜の減圧状態を生ぜしめ、この減圧下に発泡材料を注入して該発泡材料を発泡空間の内部に隈無く行き渡らせるよう構成した発泡成形用金型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係る発泡成形用金型は、
キャビティを形成する上型または下型における一方の型内側にコア材または表皮材をセットし、他方の型内側に表皮材またはコア材をセットして型締めし、前記上型または下型に開設した注入口を介して発泡材料を前記コア材と表皮材との間に注入して、該発泡材料の発泡・固化を行なうようにした発泡成形用金型において、
前記上型または下型に形成されて前記キャビティに開口し、該上型または下型における長手方向の両端部近傍に位置する空気吸引口と、
前記空気吸引口に接続し、前記上型および下型の型締め後に所要時間だけ作動させられる空気吸引源と、
前記空気吸引口が形成されていない下型または上型に進退自在に配設されて該空気吸引口に対向し、前記空気吸引源の作動停止後に該空気吸引口を閉塞するべく動作するプラグ部材とからなり、
前記空気吸引口を設けた前記上型または下型に前記表皮材をセットして、該表皮材に設けた開口部を該空気吸引口に臨ませると共に、前記プラグ部材を配設した前記下型または上型に前記コア材をセットして、該コア材に設けた挿通孔を該プラグ部材に整合させた後に型締めを行ない、前記発泡材料の注入に先立ち前記空気吸引源を所要時間だけ作動させることにより、前記コア材と表皮材の間の空気を吸引して適宜の減圧状態を生ぜしめ、この減圧下に前記注入口から所要量の発泡材料を前記コア材と表皮材との間に注入すると共に、所要のタイミングで前記プラグ部材を前進動作させて前記空気吸引口を閉塞することによって、該発泡材料を該コア材と表皮材との内部に隈無く行き渡らせるよう構成したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る発泡成形用金型につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお本実施例では、前述したダッシュボードのコア材と表皮材との間に注入した発泡材料を、所定形状に成形する発泡成形用金型を例として説明する。また、従来技術で説明した部材と同一の部材については、同一符号を付して説明することとする。
【0009】
図1は、本発明の好適な実施例に係る発泡成形用金型10と、発泡材料用の注入装置50とを概略で示す縦断正面図である。本実施例の発泡成形用金型10は、互いに密着的に型締めが可能な横長の上型12と下型14からなる上下分割タイプの分割型であって、下型14に対して上型12を上方へ開放することにより、内部に形成された所定形状のキャビティ16を露出させ得るようになっている。実施例の発泡成形用金型10は、ダッシュボードを構成するコア材2を上型12の凸部に固定させてセットすると共に、表皮材4を下型14の凹部内面に沿って密着的にセットするようになっており、これらコア材2および表皮材4を適切にセットした状態で上型12と下型14とを型締めすると、該コア材2と表皮材4との間に発泡空間6が形成されるようになっている。なお、この発泡成形用金型10はクローズド注入タイプであって、前記上型12の略中央部には、前記注入装置50の注出口52が整合当接する注入口18が形成されている。
【0010】
本実施例の発泡成形用金型10では、図1および図2に示す如く、空気導通管20を介して空気吸引源22に接続した2個の空気吸引口24,24が、下型14における長手方向の両端部近傍に形成した凸部26,26に開口されている。この凸部26,26は、空調用の吹出口やサイドデフロスタの吹出口が設置される設置部位8,8を形成したコア材2(図3参照)を、前記上型12にセットしてこの状態で該上型12と下型14とを型締めした際に、これら設置部位8,8に対向した部位に形成してある。すなわち、発泡成形用金型10の上型12と下型14とを型締めして密着させた状態において前記空気吸引源22を運転すれば、発泡空間6(キャビティ16)内に閉じ込められた空気が各空気吸引口24,24から吸引されて前記空気導通管20を介して該空気吸引源22へ導かれるので、該キャビティ16内を適宜の減圧状態とすることができる。なお前記設置部位8,8は、図8および図9に示す如く、ダッシュボードDにおいて前記吹出口を設置するために、後工程で切除して所要形状の開口部(開口部分)46を形成するようになっている。
【0011】
一方前記上型12には、図1に示す如く、例えば流体圧シリンダやモータ等の適宜作動手段31によりキャビティ16内に向けて前進・後退が可能なプラグ部材30,30が、前記各空気吸引口24,24に対向した位置に対応的に配設されている。これらプラグ部材30,30は、図2に示す如く、棒状円柱体に形成されて前記各空気吸引口24の前面に対向した位置に穿設された通口28に嵌挿した状態に配設され、その後端面に前記作動手段31に連繋した作動棒32が接続されると共に、例えばゴム等を材質とする円盤34が該プラグ部材30の後部側に外嵌されている。更にこの円盤34は、上型12の外側に突設した円筒状のシリンダ36の内面に触接した状態に配設されており、プラグ部材30の移動下に該シリンダ36の内面に沿って摺動して該プラグ部材30の姿勢を規制すると共に、キャビティ16内の気密を保持するようになっている。
【0012】
そして、前記作動手段31の非作動状態、すなわち作動棒32が後退した状態においては、図2に実線で示す如く、プラグ部材30はキャビティ16内から後退しており、その先端面30aと前記空気吸引口24との間に適宜隙間38が形成されるように設定されている。また、前記作動手段31を作動して作動棒32を前進させると、図2に2点鎖線で示す如く、プラグ部材30は通口28内を移動してキャビティ16内へ前進し、その先端面30aが前記空気吸引口24の周縁部に略当接する位置まで近接するように設定されている。なお前記作動手段31は、図示しないコンピュータやタイマ等の制御下に作動し、その作動タイミング等が適宜制御されるようになっている。
【0013】
また、実施例の発泡成形用金型10での成形品であるダッシュボードDでは、前述した如く、コア材2と表皮材4との間に形成される発泡空間6内に発泡材料Uを注入すると共に、この発泡空間6内の空気を前記空気吸引口24で吸引するため、前記表皮材4およびコア材2では、該発泡成形用金型10の構成に対応して前工程において所定の加工を施しておく。すなわち表皮材4では、図2に示す如く、前記下型14にセットした際に前記各空気吸引口24,24が整合する位置(前記設置部位8に対応する位置)に、空気流通用の開口部を形成する必要がある。そこで、塩化ビニール(PVC)等を材質とする表皮材4は、前工程の真空成形またはパウダースラッシュ成形時に、図4および図5に示す如く、前記設置部位8に対応する部分に縦断面逆V状の円形溝42を同時に成形し、成形後の適時に該溝42に沿って切断して円形状の開口部40を形成するようになっている。なお開口部40は、円形状の不要部分を切除することにより、輪郭縁が適宜突出した形状を呈していると共に、図2に示す如く、前記プラグ部材30の直径よりも適宜小径に設定される。また具体的に図示しないが、この開口部40は放射状のスリットとしてもよい。
【0014】
また合成樹脂製のコア材2では、射出成形による所定形状への成形工程において、図2に示す如く、前記上型12にセットした際に各プラグ部材30,30が整合する位置(前記設置部位8に対応する位置)に、円形状の挿通孔44,44を形成しておく。そして、コア材2を上型12にセットする際に、各挿通孔44,44に前記各プラグ部材30,30を整合させると共に嵌挿させ、この状態で該コア材2を上型12の凸部にセットするようになっている。なお、コア材2のセンタ近傍には、上型12に形成した前記注入口18と整合する通入口2aが形成される。
【0015】
【実施例の作用】
次に、前述のように構成された本実施例の発泡成形用金型の作用につき説明する。なお、実施例の発泡成形用金型10では、非成形時(成形前)にあっては、上型12に配設した各プラグ部材30,30を、図6に示す如く前記作動手段31により後退させた状態に保持し、また空気吸引源22も運転停止した状態に制御されている。
【0016】
そして、上型12と下型14とを開放した状態において、前もって成形した前記コア材2を上型12の凸部に固定セットすると共に、前記表皮材4を下型14の凹部内面に沿って密着的にセットする。すなわちコア材2は、上型12にセットするに際して、設置部位8に形成した各挿通孔44,44にプラグ部材30,30を挿通させると共に、該上型12の注入口18と通入口2aとを整合させた状態で固定セットする。また表皮材4は、下型14にセットするに際して、前もって形成しておいた各開口部40,40を空気吸引口24,24に整合させ、この状態で該下型14に固定セットする。そして、コア材2および表皮材4を上型12および下型14に対して適切に固定セットした状態において、該下型14に対して上型12を覆蓋する。
【0017】
上型12と下型14との型締めが完了したら、発泡材料用の注入装置50を移動させてその注出口52の先端を上型12の注入口18の上面に整合当接させ、発泡材料Uの注入可能な状態とする。また、これと適宜タイミングを合わせて前記空気吸引源22を始動させることにより、発泡空間6内の空気が表皮材4の各開口部40,40を介して各空気吸引口24,24から吸引され、該発泡空間6内が適宜の減圧状態となる。なお、この時点では、前記各プラグ部材30,30は未だ後退した状態に制御されている。
【0018】
そして、前記空気吸引源22による発泡空間6内の減圧下において、前記注入装置50による発泡材料Uの注入を開始する。注入装置50の注出口52から注出された発泡材料Uは、上型12の注入口18およびコア材2の通入口2aを介して発泡空間6内へ流入する。前記空気吸引源22の運転下に減圧した発泡空間6内に注入された発泡材料Uは、空気による抵抗が小さくなっているため、該発泡空間6の末端部に向かってスムーズに移動していく。
【0019】
そして図6に示す如く、発泡を開始しながら発泡空間6の末端部に向かって流れる発泡材料Uが前記各プラグ部材30および空気吸引口24に接近したら、適宜タイミングで前記作動手段31を作動して作動棒32を付勢させ、各プラグ部材30,30を発泡空間6内へ前進させる。そしてプラグ部材30が設定した所定位置まで前進すると、図7に示す如く、先端面30aが表皮材4の開口部40の突出した輪郭部に当接し、該開口部40はプラグ部材30の先端面30aと空気吸引口24の周縁部(キャビティ16の内面)とにより挟圧され、各空気吸引口24が閉塞された状態となる。なお、プラグ部材30を前進させて空気吸引口24を閉塞すると略同時に前記空気吸引源22の運転を停止し、発泡空間6内の空気の吸引を中止する。そして、発泡材料Uが発泡空間6内全体に隈無く行き渡って充満し、更にライジングタイムを過ぎて固化が完了するまで、各プラグ部材30,30を前進した状態に保持しておく。この際に、前記開口部40,40はシールされた状態に保持されているので、発泡材料Uが該開口部40から空気吸引口24側へ流入することはない。
【0020】
発泡材料Uの固化が完了したら、前記作動手段31を前とは逆に作動制御して各プラグ部材30,30を発泡空間6から後退させ、上型12と下型14とを開放して製品としてのダッシュボートDを取出す。このとき、前記プラグ部材30が発泡空間6内に前進した状態で発泡材料Uの発泡,固化が進行したので、ダッシュボードDにおける設置部位8,8には、図8および図9(a)に示す如く、円形状の開口が形成されている。
【0021】
なお、発泡成形工程が完了したダッシュボードDは、前記設置部位8に吹出口を設置するために、図8および図9(a)に2点鎖線で示したカットラインCに沿ってウォータジェット機等で切断することにより、図9(b)に示す如く、略矩形状の開口部46を形成するようになっている。すなわち各設置部位8,8は、発泡成形が完了した後に切除されるので、前記プラグ部材30による開口等が全て取り除かれてしまい、成形工程における円形状の開口がダッシュボードDにそのまま残ることはない。
【0022】
また前記作動手段31は、コンピュータまたはタイマ等で制御されるので、発泡材料Uの発泡進行や移動スピート等を前提として適切なタイミングで各プラグ部材30,30を前進させることが可能である。
【0023】
このように実施例の発泡成形用金型10では、発泡空間6内の空気を空気吸引源22で吸引して適宜減圧させてから発泡材料Uを注入するよう構成したので、該発泡材料Uが該発泡空間6の末端部まで極めてスムーズに流れて隅無く行き渡る。従って、発泡空間6の内容積を前提とした規定量の発泡材料Uを注入すれば該発泡空間6全体に該発泡材料Uが充満するようになり、規定量(適切量)以上の発泡材料Uを注入する必要がなくなり、材料費が嵩むことによる製造コストのアップを防止すると共に成形後の製品が硬くなる不都合を回避し得る。また、空気吸引口24から発泡空間6内の空気を吸引するのでガス抜き孔を別途形成する必要がなく、該ガス抜き孔の形成作業および最適位置を見つけるための試行工数が全く不要となると共に、開口部40から発泡材料Uが膨出しないから仕上工数を少なくしてコストを低減することができる。更には、今までの金型では成形不可能とされていた複雑な形状の製品であっても発泡成形し得る。
【0024】
前記実施例では、キャビティ16内の空気を吸引する空気吸引口24およびプラグ部材30とを、夫々2対ずつ形成または配設した発泡成形用金型を例示したが、これらの配設数はこれに限定されるものではなく、対象とする製品の形状等を前提として例えば1対としたり3対以上としてもよい。また実施例では、上型12にプラグ部材30を配設すると共に下型14に空気吸引口24を開口した構成を例示したが、プラグ部材30を下型14に配設すると共に空気吸引口24を上型12に開口してもよい。更に、空気吸引口24およびプラグ部材30の形成または配設位置については、完成した成形品における非露出位置、すなわち成形品の外的美観や機能等を損なわない位置であれば、自由に設定し得るものである。なお実施例では、乗用車用のダッシュボードDにおけるコア材2と表皮材4の間での発泡成形を例として示したが、対象とする成形品はこれに限定されないことは勿論である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る発泡成形用金型によれば、キャビティ内にセットしたコア材と表皮材との間の空気を吸引して適宜減圧させてから発泡材料を注入するよう構成したので、該発泡材料が発泡空間を極めてスムーズに流れて末端部まで隅無く行き渡らせることが可能となり、欠肉部分が形成されたり気泡が発生することが好適に防止させる有益な効果を奏する。これにより、発泡空間の容積を前提とした規定量の発泡材料を注入すれば、該発泡材料が発泡空間内に好適に充満するようになり、規定量(適切量)以上の発泡材料を注入する必要がなくなるから、材料費が嵩むことによる製造コストのアップを防止すると共に成形後の製品が硬くなる不都合を回避し得る。そして、空気吸引口から発泡空間内の空気を吸引するようにしたのでガス抜き孔を別途形成する必要がなく、該ガス抜き孔の形成作業および最適位置を見つけるための試行工数が全く不要となる。しかも、空気吸引口をプラグ部材で閉塞するようにしたので発泡材料が該空気吸引口側へ膨出することがなく、膨出した部分を切除する作業を省略して仕上工数を少なくし得る利点もある。更には、今までの金型では成形不可能とされていた複雑な形状の製品であっても発泡成形し得る等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る発泡成形用金型を概略で示す縦断正面図である。
【図2】発泡成形用金型における空気吸引口およびプラグ部材を示す要部断面図である。
【図3】ダッシュボードにおけるコア材を示す斜視図である。
【図4】表皮材における設置部位に対応する部分を一部破断して裏側からみた斜視図である。
【図5】表皮材における設置部位に対応する部分に開口部を形成する前と形成した後で示す縦断側面図である。
【図6】発泡空間内の空気を空気吸引口から吸引している状態において、該空間内を発泡材料が移動していく状態を示す説明図である。
【図7】プラグ部材を前進させた状態で発泡材料が固化する状態を示す説明図である。
【図8】発泡成形後のダッシュボードにおける空気吹出口を設けるための設置部位を示す斜視図である。
【図9】発泡成形後のダッシュボードの設置部位を切除前と切除後で示す縦断面図である。
【図10】従来の発泡成形用金型による発泡材料の注入状態を該金型を省略して示す斜視図である。
【図11】従来の発泡成形用金型の縦断側面図である。
【符号の説明】
2 コア材
4 表皮材
12 上型
14 下型
16 キャビティ
18 注入口
22 空気吸引源
24 空気吸引口
30 プラグ部材
40 開口部
42 円形溝(溝)
44 挿通孔
46 開口部(開口部分)
U 発泡材料
Claims (3)
- キャビティ (16) を形成する上型 (12) または下型 (14) における一方の型内側にコア材(2)または表皮材(4)をセットし、他方の型内側に表皮材(4)またはコア材(2)をセットして型締めし、前記上型(12)または下型(14)に開設した注入口(18)を介して発泡材料(U)を前記コア材(2)と表皮材(4)との間に注入して、該発泡材料(U)の発泡・固化を行なうようにした発泡成形用金型において、
前記上型(12)または下型(14)に形成されて前記キャビティ(16)に開口し、該上型 (12) または下型 (14) における長手方向の両端部近傍に位置する空気吸引口(24,24)と、
前記空気吸引口(24,24)に接続し、前記上型(12)および下型(14)の型締め後に所要時間だけ作動させられる空気吸引源(22)と、
前記空気吸引口 (24,24) が形成されていない下型 (14) または上型 (12)に進退自在に配設されて該空気吸引口(24,24)に対向し、前記空気吸引源(22)の作動停止後に該空気吸引口(24,24)を閉塞するべく動作するプラグ部材(30,30)とからなり、
前記空気吸引口 (24,24) を設けた前記上型 (12) または下型 (14) に前記表皮材 (4) をセットして、該表皮材(4)に設けた開口部(40,40)を該空気吸引口(24,24)に臨ませると共に、前記プラグ部材 (30,30) を配設した前記下型 (14) または上型 (12) に前記コア材 (2) をセットして、該コア材(2)に設けた挿通孔(44,44)を該プラグ部材(30,30)に整合させた後に型締めを行ない、前記発泡材料(U)の注入に先立ち前記空気吸引源(22)を所要時間だけ作動させることにより、前記コア材(2)と表皮材(4)の間の空気を吸引して適宜の減圧状態を生ぜしめ、この減圧下に前記注入口(18)から所要量の発泡材料(U)を前記コア材(2)と表皮材(4)との間に注入すると共に、所要のタイミングで前記プラグ部材(30,30)を前進動作させて前記空気吸引口(24,24)を閉塞することによって、該発泡材料(U)を該コア材(2)と表皮材(4)との内部に隈無く行き渡らせるよう構成した
ことを特徴とする発泡成形用金型。 - 前記空気吸引口(24)およびプラグ部材(30)は、成形品における露出しない部分や最終的に切除される開口部分(46)等に対応した位置に形成または配設される請求項1記載の発泡成形用金型。
- 前記開口部(40)は、該開口部(40)の輪郭形状に合わせた溝(42)を表皮材(4)のパウダースラッシュ成形時に成形しておき、前記空気吸引口 (24,24) を設けた上型 (12) または下型(14)にセットするに先立ち、該溝(42)に沿って切断することにより設けられる請求項1記載の発泡成形用金型。
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