JP3858967B2 - リーチ型フォークリフトの後輪懸架装置 - Google Patents

リーチ型フォークリフトの後輪懸架装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーチ型フォークリフトの後輪懸架装置に関し、特に油圧を用いて四輪式リーチ型フォークリフトの駆動輪の輪圧を調整するリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の四輪式リーチ型フォークリフトは、車体の後部にモータおよびドライブユニットにより駆動される駆動輪とキャスタ輪とを備えている。
【0003】
そして、後輪懸架装置は、駆動輪を車体フレームにスイング自在に取付けたアッパーリンク及びロアリンクによる平行リンク(懸架リンク)により上下方向に移動自在に支持するとともに、キャスタ輪を揺動自在に支持するキャスターリンクを前記ロアリンクに連結して構成されている。
【0004】
後輪荷重は、車体フレームへの取付け軸を介してロアリンクに加わり、ロアリンクのドライブユニットへのアーム長とキャスタ輪へのアーム長との比に応じて夫々の車輪に分担され、同時に、ドライブユニットの自重が駆動輪に付加される。
【0005】
この状態で駆動輪と路面との適切な摩擦力を得るため、前記ドライブユニットおよび駆動輪は、スプリングアジャスタ等を介して車体フレームとドライブユニットもしくは懸架リンクとの間に輪圧調整スプリングが配置され、駆動輪を常時路面へ押付けている。
【0006】
走行に伴って駆動輪が摩耗すると、輪圧調整スプリングが伸び輪圧が低下するので、スプリングアジャスタによりスプリングの取付け高さを調整し、これにより必要な輪圧を確保するように構成されている。
【0007】
しかしながら、この種の従来のリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置においては、駆動輪の輪圧をスプリングにより付与し、駆動輪が摩耗する度にスプリングアジャスタを調整する必要があり、その作業が繁雑である不具合があった。
【0008】
このような不具合を解消すべく、駆動輪が摩耗しても繁雑な作業をすることなく所定の駆動輪の輪圧を確保することができ、また、容易に駆動輪の輪圧調整を行うことができるリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置が、例えば、特開平8−164722号公報に提案されている。
【0009】
この提案によれば、駆動輪を駆動するドライブユニットを上下動自在に支持するリンク機構と、車体フレームとリンク機構の可動部との間に設けられ且つドライブユニットを下方に付勢するための第1油圧シリンダと、第1油圧シリンダに所定圧の油を供給する油圧制御装置とを備えて、リーチ型フォークリフトの後輪懸架装置が構成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案によれば、油圧シリンダに所定圧の油を供給する油圧制御装置は、油圧ポンプからの作動流体を逆止弁を介して油圧シリンダに供給するとともに、逆止弁および油圧シリンダ間の作動液圧をリリーフ弁で設定するものであるため、常に作動流体が供給・排出されるものであり、動力の無駄な消費がなされる不具合を有する。
【0011】
このことは、油圧ポンプの故障で停止すると、逆止弁・油圧シリンダ間には作動液の供給がなされないことから、駆動輪が路面凹凸等で上下する場合には作動流体がリリーフされていき、シリンダが徐々に縮められる結果、走行に支障を来す不具合と関連する。
【0012】
また、車体フレームがロールして車体フレームと懸架リンクとの相対変位により、油圧シリンダを圧縮もしくは伸長させたとしても、作動流体圧は常に一定に保持され、上記ロールに対する反力が増加もしくは減少することがないため、車体ロールを抑制することができない不具合を有する。
【0013】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、車体ロールに対向する反力が得られ且つキャスタ輪の反転が容易なリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、車体の後部に駆動輪と従動輪とを備えたリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置において、前記駆動輪を備えたドライブユニットを車体フレームに対し上下動自在に支持するリンク機構と、前記車体フレームと前記リンク機構の可動部との間に設けられドライブユニットを駆動輪の接地方向に付勢する輪圧調整スプリングと、前記輪圧調整スプリングの付勢力をその動作位置に応じて増減するアクチュエータと、車両の走行速度を検出する速度センサと、前記速度センサにより車両の前後進の方向変更を判別した際には、所定の間、駆動輪の輪圧を高めるようにアクチュエータの動作位置を制御する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記アクチュエータは、各種シリンダ装置、電気式モータによる回転で移動する駆動装置等、その動作位置を変更できるものが含まれる。
【0016】
輪圧調整スプリングの付勢力を調整するアクチュエータは、輪圧調整スプリングの車体フレーム側端部の位置を移動させるように作動するのが望ましいが、輪圧調整スプリングの一部のリード間の間隔を増減させるものも含まれる。
【0021】
【発明の効果】
したがって、第1の発明では、ドライブユニットを駆動輪の接地方向に付勢する輪圧調整スプリングの付勢力をアクチュエータの動作位置に応じて調整するようにしているため、車体フレームがロールすると輪圧調整スプリングが伸縮しその付勢力が増減し、車体フレームを復元させる反発力を発生してロールを抑えるよう働き、車両姿勢の安定性を向上できる
しかも、車両の前後進の方向変更を判別した際には所定の間、駆動輪の輪圧を高めるよう制御するため、キャスタ輪の反転が容易となり、前進および後退を繰り返すフォークリフトにあっては、キャスタ輪の転向がその輪圧を低減されることでスムーズに行われ、反転時の車両揺れ、キャスタ輪の磨耗を減少させる。
【0022】
また、アクチュエータは輪圧調整スプリングに対しその動作位置を調整するものであるため、その位置を変更する場合のみ動力を必要とするが停止中は何ら動力を必要とせずエネルギ消費が少なく経済的である。特に油圧を用いるアクチュエータの場合には、輪圧調整スプリングの反力により後退するため、後退させる場合は動力を必要としない。
【0023】
このことは、動力源が故障等で停止している場合でも、アクチュエータの作動位置の移動がないので、通常と同じ走行性能を確保できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
図1に参考例1に係るリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置を示す。車体の後部に駆動輪1と従動輪のキャスタ輪2とが設けられている。駆動輪1は減速ギヤユニット3を介して駆動モータ4に連結されており、これらによりドライブユニット5が構成されている。
【0032】
前記ドライブユニット5はドライブユニットメンバ6に回転自在に支持され、ドライブユニットメンバ6は、車体フレーム21に軸支されたアッパーリンク7及びロアリンク8と共に平行リンク機構を構成して上下方向に移動自在に設けられている。
【0033】
前記ロアリンク8は、その中間部が車体フレーム21にシャフト9を介して軸支され、シャフト9を中心に揺動自在の揺動リンクとなっている。
前記ロアリンク8はドライブユニットメンバ6にシャフト10を介して回動自在に連結し、他端部はキャスターリンク11を介してキャスタ輪2が取付けられている。
【0034】
前記アッパーリンク7と車体フレーム21に上下動可能に設けたスライドメンバ22との間には、輪圧調整用のスプリング12が、また、車体フレーム21と前記スライドメンバ22との間には、油圧シリンダ14が夫々配置されており、前記油圧シリンダ14の押圧力をスライドメンバ22を介してスプリング12に伝え、駆動輪1の輪圧を調整するようにしている。
【0035】
前記スライドメンバ22の一例を図2に示す。車体フレーム21にスライドガイド23が固定され、スライドガイド23内を上下に摺動するスライダ24が設けられ、このスライダ24の上端に油圧シリンダ14のピストンロッド14a先端が係合し、スライダ24の下端に前記スプリング12の上端が着座するよう構成される。
【0036】
前記スライダ24はスライドガイド23の両端に設けたストッパ23b、23cによりそれ以上の移動を阻止されており、このストッパ23b、23cの位置は油圧シリンダ14が最大に伸長した場合に得られる駆動輪1の輪圧と油圧シリンダ14が最小に短縮した場合に得られる駆動輪1の輪圧の範囲を制限する。
【0037】
図3は前記油圧シリンダ14に作動流体を給排する油圧制御回路を示す。
【0038】
油圧シリンダ14は、逆止弁31を介して油圧ポンプ30からの作動流体の供給路32とリザーバ33へのドレイン通路34とが接続された3位置方向切換弁35により供給される流体圧が調整される。
【0039】
前記3位置切換弁35は、3ポート3位置切換弁であり、センタリングスプリング35a、35bによる中立位置において、シリンダ14へのポートが遮断され、供給路32へのポートとドレイン通路34へのポートとが連通するアンロードタイプである。
【0040】
そして、前記3位置切換弁35は、供給位置では、供給路32へのポートとシリンダ14へのポートとが連通してドレイン通路34へのポートが遮断され、排出位置では、シリンダ14へのポート、供給路32へのポート、ドレイン通路34へのポートの3ポートが連通するよう構成される。
【0041】
前記シリンダ14へのポートとシリンダ14内とを連通する通路36には圧力センサ37が接続され、前記3位置切換弁35には位置切換用駆動手段35cが設けられ、油圧ポンプ30には駆動モータ38が設けられ、これらの機器は夫々コントローラ40に接続されている。
【0042】
また、コントローラ40には運転席に配置された操作盤41が接続され、この操作盤41には、図示しないが、前記油圧シリンダ14に加えられている圧力値から換算される輪圧値を表示する表示手段、輪圧値を上昇・減少させる操作手段、フォークリフトの種々の状態における適正輪圧値を示すチャート、および、輪圧調整開始ボタン等が配置されている。
【0043】
次に、動作について説明する。リーチ型フォークリフトの後輪荷重はシャフト9を介してロアリンク8に加わった後、ロアリンク8のシャフト9及び10間のリンク長L1と、シャフト9とキャスタ輪2の取付け位置との間のリンク長L2との比に応じて駆動輪1とキャスタ輪2とに分割される。
【0044】
さらに、駆動輪1には、ドライブユニット5の自重及び輪圧調整スプリング12からの付勢力も負荷され、路面との摩擦力により走行可能となる。
【0045】
前記輪圧調整スプリング12は、その後端より油圧シリンダ14内の流体圧による押圧力がピストンロッド14aを介して加えられ、そのスプリング反力が設定される。
【0046】
前記油圧シリンダ14の内圧は圧力センサ37により検出され、コントローラ40内で操作盤41での設定輪圧に対応する設定圧力値と比較され、設定圧力値より高い場合には、3位置方向切換弁35を排出位置に切換えて圧力センサ37で検出される圧力値が設定圧力値と一致するまで作動流体を排出する。
【0047】
また、設定圧力値より低い場合には、モータ38およびポンプ30を駆動すると共に3位置切換弁35を供給位置に切換え、圧力センサ37で検出される圧力値が設定圧力値と一致するまでポンプ30から吐出された作動流体を油圧シリンダ14に供給する。
【0048】
走行に伴い駆動輪1が摩耗すると、その摩耗分だけ油圧シリンダ14の内圧が低下する。この内圧低下は圧力センサ37により検出され、操作盤41の輪圧調整開始ボタンを押すことで、コントローラ40により、モータ38およびポンプ30を駆動すると共に3位置切換弁35を供給位置に切換え、前記と同様に設定圧力値、設定輪圧値に調整される。
【0049】
このため、駆動輪1が摩耗しても、作業者による調整を何等必要としないで一定の輪圧が確保される。その結果、スリップ等を生じることなく、安定した走行を行うことができる。
【0050】
前記駆動輪1の輪圧(油圧シリンダ14の内圧)は、車両の積載荷重や積載位置(リーチ位置)によっても、車両の旋回走行時には旋回方向によっても、また、車両が走行する路面に応じて懸架リンク7、8が揺動することによっても、様々に変化する。従って、フォークリフトの運転中は、常時上記輪圧変化の都度、油圧シリンダ14の内圧を調整するのが好ましいが、モータ30による電力消費を節約する必要がある場合は、駆動輪1の摩耗が予想される定期的間隔において実行するか、若しくは、オペレータが操作盤41の表示される輪圧値と設定輪圧値との差異を確認し輪圧調整が必要と判断した際に、輪圧調整開始ボタンを押すことで実行するようにする。
【0051】
そして、車両の積載荷重や積載位置(リーチ位置)によって駆動輪1の輪圧が変化した場合に、走行を開始する際にオペレータにより輪圧調整開始ボタンを操作するようにすれば、車両を積載荷重や積載位置(リーチ位置)に関わりなく安定に走行させることができる。
【0052】
なお、この参考例1では、輪圧調整開始ボタンの操作により輪圧調整を開始する場合を示したが、輪圧調整開始ボタンを設けずに、フォークリフト運転中は常時輪圧調整するようにしてもよい。
【0053】
また、輪圧調整スプリング12と油圧シリンダ14との連結構造は、図4または図5に示すように構成することもできる。
【0054】
図4においては、上下に延びるガイドロッド25に摺動案内されるスライダ26を設け、このスライダ26の一端に輪圧調整スプリング12の端部を着座させ、このスライダ26を油圧シリンダ14で押圧するようにしている。
【0055】
図5においては、車体フレーム21に揺動自在のスイング板27を設け、このスイング板27の一面に輪圧調整スプリング12を着座させ、このスイング板27を油圧シリンダ14で押圧するようにしたものである。
【0056】
尚、図4中のガイドロッド25はその上下端でスライダ26のストッパとなっており、図5中においても、符号28で示すスイング板27のストッパが構成される。
【0057】
参考例1のリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置にあっては、ドライブユニット5を下方に付勢する輪圧調整スプリング12の付勢力をアクチュエータとしての油圧シリンダ14の動作位置に応じて調整するようにしているため、車体がロールすると輪圧調整スプリング12が伸縮してその付勢力を増減し、車体姿勢を復元させる反発力を発生してロールを抑えるよう働き、車両姿勢の安定性を向上できる。
【0058】
また、アクチュエータとしての油圧シリンダ14はその動作位置を調整するものであるため、その位置を変更する場合のみ動力を必要とするが停止中には何ら動力を必要としないので、エネルギ消費が少なく経済的である。特に油圧を用いる油圧シリンダ14の場合には、後退させる場合にも動力を必要としない。
【0059】
このことは、動力源が故障等で停止している場合でも、アクチュエータ即ち油圧シリンダ14の作動位置の移動がないので、正常時と同じ走行性能を確保できる。
【0060】
図6〜図8は、参考例2を示すもので、図6はその油圧制御装置、図7、8は使用されるリーチ位置センサを夫々示す。
【0061】
図6に示す後輪懸架の油圧制御装置は、図3に示す油圧制御装置において、さらに、コントローラ40に荷重センサ42からの荷重信号入力、リーチ位置センサ43からのリーチ位置信号入力、および、コントローラ40の制御仕様を付加して構成している。
【0062】
前記荷重センサ42は、図示しないリーチ型リフトのフォークに搭載された荷物の荷重を検出するセンサであリ、図示しないフォークの取付け部にロードセルを配置することや、図示しないリフトシリンダの油圧値を油圧センサで測定することで荷重を測定する。積載荷重は、その増加に応じて車両総重量を大きくする。
【0063】
また、前記リーチ位置センサ43は、リーチフォークリフトのマストのリーチ位置を測定するもので、例えば、図7に示すように、車両前後方向に延びる図示しないリーチレールに沿って前後移動されるリーチマスト50の所定位置に磁石(マグネット)51を配置し、この磁石51の移動軌跡上に複数の記憶型リードスイッチSW1〜SW4を適宜配置して構成される。
【0064】
そして、図8に示すように、リーチマスト50の移動位置に応じて前記磁石51により各リードスイッチSW1〜SW4がON−OFFされ、リーチマスト50が前端に位置するリーチアウト状態では全てのリードスイッチSW1〜SW4がONする。
【0065】
そして、リーチマスト50が後退してゆくにつれてリードスイッチSW1がOFFするA区域、次いでSW2がOFFするB区域、さらにSW3がOFFするC区域、さらにSW4がOFFするD区域、そして、最後尾にリーチマスト50が移動したリーチイン状態では全てのリードスイッチSW1〜SW4がOFFするE区域に分割して検出するようにしている。
【0066】
また、マスト50がE区域にあるリーチイン状態での後輪荷重を基準にして、D区域>C区域>B区域>A区域とリーチアウト状態にマスト50が移動するに従い後輪荷重は減少してゆく。この減少傾向は積載荷重が大きい程大きくなる。
【0067】
前記コントローラ40には、前記荷重センサ42よりの荷重信号とリーチ位置センサ43によるリーチアウト量(リーチイン状態を基準としてマスト50が基準位置からどの程度離れたリーチアウト位置にあるかの程度)とが入力される。
【0068】
そして、前記荷重信号に応じて前記油圧シリンダ14の設定圧力を上昇させると共に、リーチアウト量に応じて前記油圧シリンダ14の設定圧力を低下させるよう制御する。
【0069】
後者のリーチアウト量に応じた油圧シリンダ14の設定圧力の低下代は荷重信号に応じて増加される。
【0070】
即ち、コントローラ40は、荷重センサ42による荷重信号とリーチ位置センサ43によるリーチ位置信号とにより、設定圧力の制御目標値Pを、
P=Po+ΔP(lord)−ΔP(reach)×K(load)
となるように設定する。
【0071】
上記式において、
Pは、荷重およびリーチ位置の補正により決定した油圧の目標値。
Poは、空荷でリーチイン状態の基準圧力目標値。
ΔP(lord)は、荷重センサ42の出力に応じて増加する圧力補正値(荷重が大きいとΔP(lord)も大きくなる)。
ΔP(reach)は、リーチ位置センサ43の出力に応じてリーチイン状態を基準としリーチアウトの程度に比例して増加するリーチ位置補正圧力値(リーチインを基準とし、リーチアウトするとΔP(reach)は大きくなる)。
K(load)は、荷重センサ42の出力に応じて増加するリーチ位置補正に対する荷重補正係数(荷重が大きいほど、リーチ動作による重心移動が大きいため、リーチ位置補正量も大きくなる)。
【0072】
図9は所定の積載荷重においてリーチイン状態からリーチアウト状態までの設定圧力の変化の一例を示すもので、点線はPo+ΔP(lord)を示し、階段状にリーチアウトに向かって下がる実線は上記制御目標値Pである。
【0073】
上記構成においては、積載荷重が増加するとその増加に応じて車両総重量が大きくなリ、車両の駆動抵抗も増加する。
【0074】
前記コントローラ40は、積載荷重の大きさに応じて油圧シリンダ14の設定圧力を上昇させ、油圧調整装置を介して油圧シリンダ14の内圧を上昇させ、駆動輪1の輪圧を増加させる。この輪圧の上昇により駆動輪1と路面との摩擦力が上昇し、駆動輪1はスリップを生ずることなく車両を駆動することができる。
【0075】
一方、荷取や荷積みのため、フオーク50をリーチアウトした場合には、そのリーチアウト量がリーチ位置センサ43によりコントローラ40に入力され、コントローラ40はリーチアウト量に応じて油圧シリンダ14の設定圧力を下げる。
【0076】
前記下げた設定圧力により油圧調整装置を介して油圧シリンダ14の内圧が低下させ、駆動輪1の輪圧は減少させ、車両左右反対方向にあるキャスタ輪2の輪圧を増加させる。
【0077】
従って、リーチアウトによる後輪荷重の減少により生ずるキャスタ輪2の浮き上がりが防止される。前記後輪荷重の減少代はリーチアウト量および積載荷重に比例するが、コントローラ40により油圧シリンダ14の設定圧力をリーチアウト量および積載荷重に比例して減少させているため、キャスタ輪2の浮き上がりは確実に防止される。
【0078】
前記リーチ位置センサ43としては、前記したものに限定されるものでなく、例えば、図10に示すように、リーチマスト50にメジャワイヤ53の端部を固定し、車体後部にこのメジュワイヤ53を巻取ることにより回転し、回転位置を検出するポテンショメータ54の出力値によってリーチマスト50のリーチ位置を検出するようにしてもよい。
【0079】
この場合にはリーチアウト量を連続的に検出できるため、それだけ木目細かく制御でき、図9の一点鎖線Paの如く設定圧力を制御することができる。
【0080】
参考例2のリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置にあっては、図1〜5に示す参考例1の効果に加えて、駆動輪1の輪圧を積載荷重に応じて変化させるため、積載荷重により車両総重量が変化し駆動抵抗が増減しても、駆動輪1は路面との間に必要な摩擦力を得られ、駆動輪のスリップを防止できる。
【0081】
しかも、リーチ位置に応じて駆動輪1に加わる輪圧を調整するため、輪圧が先に低下するキャスタ輪2の浮き上がりを防止できる。
【0082】
図11は、本発明の参考例3を示し、駆動輪1がスリップ状態になっている場合に油圧シリンダ14から輪圧調整スプリング12に加える押圧力を増加させて、駆動輪1のスリップを防止するようにしたものである。
【0083】
図11において、44は駆動輪の回転速度(車速)を検出する車速センサであり、車速センサよりの車速信号を所定時間毎に監視する。
【0084】
そして、車速信号の変化率が所定以上となるとき、スリップ開始と判定する。
【0085】
または、図示しないが、駆動モータ4に駆動電流(駆動トルク)検出手段を設け、駆動電流の変化率が所定値を超えて減少する時、スリップ開始と判定する。
【0086】
前記駆動輪1のスリップ状態においては、車速信号が一次的に上昇すると共に駆動トルクが一時的に減少するため、上記車速信号と駆動トルクの両者の変化を監視することで、精度の高いスリップ状態の検出が可能であるが、いずれか一方の監視のみでも可能である。
【0087】
前記コントローラ40は、上記駆動輪1のスリップ状態を検出すると、油圧シリンダ14に供給する目標圧力値Poをスリップ補正量ΔPslipだけ上昇させ、圧力センサ37で測定した圧力値が制御目標圧力値と一致するまでモータ38および3方切換弁35を駆動する。
【0088】
上記制御に基づいて、駆動トルクが回復すると、これは車速信号においてはピークを超えて低下傾向となり、車速信号の変化率がプラス状態に転じること、駆動電流においては低下がピークを超えて増加傾向となり、その増加率が飽和することでスリップ終了を判定でき、この判定に基づき目標圧力値Poをスリップ補正量ΔPslipだけ減少させた元の目標圧力値Poに設定する。
【0089】
上記制御目標値の変更は、圧力センサ37で測定した圧力値が制御目標圧力値と一致するまで3方切換弁35を駆動して作動流体を油圧シリンダ14からリザーバ33へリリーフすることで達成される。
【0090】
前記スリップ補正量ΔPslipは、作業現場の状況に応じてその値を段階的に選択できるようにすると様々な路面に対応可能である。
【0091】
従って、路面が滑りやすい作業現場、例えば、冷凍庫内での走行時においても、駆動輪1の輪圧を増加させることで、車両の発進等に支障をきたすことを防止できる。
【0092】
参考例3のリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置にあっては、図1〜5に示す参考例1の効果に加えて、駆動輪1のスリップ状態に応じて駆動輪1の輪圧を制御するため、路面が滑りやすい作業現場、例えば、冷凍庫内での走行時においても、駆動輪1の輪圧を増加させることで、車両の発進等に支障をきたすことを防止できる。
【0093】
図12は、本発明の実施の態様を示し、車両の走行方向の変更を行うときのキャスタ輪2の旋回を容易にするものである。
【0094】
図12において、45は駆動輪1の回転速度(車速)を検出する車速センサであり、車速センサ45よりの車速信号を所定時間毎に監視する。
【0095】
そして、車速信号が零となる停車状態から再び走行を開始して車速信号が正から負へ、または、負から正へ変化したとき走行方向の変更と判定する。
【0096】
前記コントローラ40は、前記判定に基づき、油圧シリンダ14に供給する目標圧力値Poを反転補正量ΔPcasterだけ上昇させ、圧力センサ37で測定した圧力値が制御目標圧力値と一致するまでモータ38および3方切換弁35を駆動する。
【0097】
上記駆動輪1の輪圧の上昇は、懸架リンクのロアリンク8を介してキャスタ輪2の輪圧を低下させ、キャスタ輪2の車両走行方向への転向を容易にする。
【0098】
前記キャスタ輪2の走行方向への完全な転向終了は所定距離の走行を必要とするため、車速信号の走行開始からの積分等により所定距離だけ走行したことを判定すると目標圧力値Poをスリップ補正量ΔPcasterだけ減少させた元の目標圧力値Poに設定する。
【0099】
上記制御目標値の変更は、圧力センサ37で測定した圧力値が制御目標圧力値と一致するまで3方切換弁35を駆動して作動流体を油圧シリンダ14からリザーバ33へリリーフすることで達成される。
【0100】
フォークリフトにあっては、前進位置で荷取りを行い、後退および前進で搬送し、前進で荷置きをするのが通例であり、前進および後退を繰り返すが、その走行方向の転換時にキャスタ輪2の方向変換が頻繁に行われるが、このような走行においてキャスタ輪2の転向がその輪圧を低減されることでスムーズに行われ、反転時の車両揺れ、キャスタ輪2の磨耗を減少させる。
【0101】
本態様のリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置にあっては、図1〜5に示す参考例1の効果に加えて、車両の前後進の方向変更を判別した際には所定の間、駆動輪1の輪圧を高めるよう制御するため、キャスタ輪2の輪圧が減少してその反転が容易となり、前進および後退を繰り返すフォークリフトにあっては、キャスタ輪2の転向がその輪圧を低減されることでスムーズに行われ、反転時の車両揺れ、キャスタ輪の磨耗を減少させる。
【0102】
図13は、本発明の参考例4を示し、車両旋回時の旋回安定性を向上させるものである。
【0103】
図13において、46は車両の横加速度センサであり、横加速度センサ46で検出した横加速度はその方向と値がコントローラ40に入力される。
【0104】
前記コントローラ40は、横加速度の方向に応じて右旋回中であるか左旋回中であるかを判定すると共に、横加速度の値に応じて旋回補正量ΔPturnを算出する。
【0105】
そして、車両後方から見て駆動輪1が左側に配置されている場合について説明すると、右旋回(左旋回)の場合には、油圧シリンダ14に供給する目標圧力値Poを旋回補正量ΔPturnだけ上昇(減少)させ、圧力センサ37で測定した圧力値が制御目標圧力値と一致するまでモータ38を駆動(モータ38は駆動しない)するとともに3方切換弁35を増圧位置(3方切換弁35を減圧位置)に駆動する。
【0106】
上記油圧シリンダ14の圧力変化により、右旋回(左旋回)の場合には、旋回外側(旋回内側)の駆動輪1の輪圧が増加(低下)すると共に、旋回内側(旋回外側)のキャスタ輪2の輪圧は低下(増加)する。
【0107】
従って、常に旋回外側に位置する駆動輪1もしくはキャスタ輪2の輪圧が増加することとなり、車両に生ずる旋回遠心力に対向して旋回外輪の輪圧を増加させることにより旋回時の安定性を向上できる。
【0108】
また、横加速度センサ46は車両旋回時における横加速度を検出するものであるが、左右に傾斜した傾斜路面においては、車両自体が路面傾斜に従って左右に傾斜するため、この傾斜による水平方向分力を検出することとなり、上記の旋回外側の車輪の輪圧を上昇させる場合と同様に、この路面傾斜の度合いに対応して斜面下方に位置する車輪の輪圧を増加させ、車体が傾斜路下側へ傾斜するのを抑制し、車両姿勢を安定させる。
【0109】
前記旋回補正量ΔPturnは、横加速度の値に対応して連続的に設定することも、多段階に設定することも可能であり、これら設定補正量はコントローラ40のメモリに記憶され、また、操作盤41により変更可能である。
【0110】
前記横加速度センサ46は、図示しないが、車速センサによる車両速度信号と操舵角センサによる舵角信号とを組合わせることで代替できることは知られている。この組合わせによる横加速度センサ46では左右傾斜路での車両姿勢の安定は図れないが、旋回時の安定性は向上できる。
【0111】
本参考例4のリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置にあっては、図1〜5に示す参考例1の効果に加えて、車両の旋回時、旋回方向に応じて駆動輪1に所定の輪圧が加わるようにしたため、旋回外側に位置する駆動輪1もしくはキャスタ輪2の輪圧が増加でき、車両に生ずる旋回遠心力に対向して旋回外輪の輪圧を増加させることにより旋回時の安定性を向上できる。
【0112】
また、旋回検出手段として横加速度センサ46を用いる場合には、左右に傾斜した傾斜路面においては、車両自体が路面傾斜に従って左右に傾斜するため、この傾斜による水平方向分力を検出することとなり、上記の旋回外側の車輪の輪圧を上昇させる場合と同様に、この路面傾斜の度合いに対応して斜面下方に位置する車輪の輪圧を増加させ、車体が傾斜路下側へ傾斜するのを抑制し、車両姿勢を安定させる。
【0113】
上記した参考例2〜4および本発明の実施態様は、個々に実施することは当然であるが、夫々の制御は共存でき、同時に実施することもできる。その場合において、例えば、旋回走行しながらリーチインもしくはリーチアウトする場合とか、また、方向転換しながらリーチインもしくはリーチアウトする場合等、車両における現象が重複する場合があるが、この場合には、いずれか一方の制御を優先し、他方の制御を停止させるとか、一方の制御の割合(制御常数を減少させ)と他方の制御の割合(制御常数を減少させ)を優先度に応じて変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例1を示すリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置の側面図。
【図2】同じく輪圧調整スプリングの取付け状態を示す側面図。
【図3】同じく油圧制御回路を含めたブロック図。
【図4】同じく輪圧調整スプリングの取付け状態の変形例を示す側面図。
【図5】同じく輪圧調整スプリングの取付け状態の更に変形例を示す側面図。
【図6】本発明の参考例2を示す油圧制御回路を含めたブロック図。
【図7】図6に示すリーチ位置センサの概念図。
【図8】図7のリーチ位置センサの作動状態図。
【図9】図6の目標設定圧の変化を示す状態図。
【図10】リーチ位置センサの変形例を示す概念図。
【図11】本発明の参考例3を示す油圧制御回路を含めたブロック図。
【図12】本発明の実施形態を示す油圧制御回路を含めたブロック図。
【図13】本発明の参考例4を示す油圧制御回路を含めたブロック図。
【符号の説明】
1 駆動輪
2 キャスタ輪
3 減速ギヤユニット
4 駆動モータ
5 ドライブユニット
6 ドライブユニットメンバ
7 アッパーリンク
8 ロアリンク
11 キャスターリンク
12 輪圧調整用のスプリング
14 油圧シリンダ(アクチュエータ)
22 スライドメンバ
30 ポンプ
33 リザーバ
35 3位置切換弁
37 圧力センサ
38 モータ
40 コントローラ
41 操作盤
42 荷重センサ
43 リーチ位置センサ
44、45 車速センサ
46 横加速度センサ
50 リーチマスト

Claims (1)

  1. 車体の後部に駆動輪と従動輪とを備えたリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置において、
    前記駆動輪を備えたドライブユニットを車体フレームに対し上下動自在に支持するリンク機構と、
    前記車体フレームと前記リンク機構の可動部との間に設けられドライブユニットを駆動輪の接地方向に付勢する輪圧調整スプリングと、
    前記輪圧調整スプリングの付勢力をその動作位置に応じて増減するアクチュエータと、
    車両の走行速度を検出する速度センサと、
    前記速度センサにより車両の前後進の方向変更を判別した際には、所定の間、駆動輪の輪圧を高めるようにアクチュエータの動作位置を制御する制御装置を備えたことを特徴とするリーチ型フォークリフトの後輪懸架装置。
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