JP4018283B2 - コンバインの姿勢制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右支持高さと傾斜角を制御可能なコンバインにおいて、作業終了制御後の作業再開前に車高を適正化し、次作業への移行を円滑かつ迅速に行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の機体の左右傾斜角を制御するようにしたコンバインは、圃場での作業中に機体が左右いずれか一方に傾斜した際に、前記走行装置の左右一方を昇降させ、機体を所望の左右傾斜姿勢に維持することとしている。特に、機体を水平に維持するよう設定した場合は、刈取作業時に、左右の刈り高さが同一となって穀稈長のバラツキが小さくなり、刈取性能を良好とするとともに、脱穀装置の揺動選別部における被選別物の偏在を少なくして、選別性能の向上を図ることができる。
【0003】
また、刈取作業を行わず走行移動する際、すなわち脱穀作業等を終了して路上走行や畔越え等を行う時(以下「作業終了時」とする)は、機体の左右両側の支持高さが最下限となるようにし、機体の重心高さを低くして走行安定性の確保及び転倒の防止を図ることとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなコンバインにおいては、作業中にグレンタンクがいっぱいになったり、回行したり、詰まりが生じたりして作業を中断すると、作業終了制御となって、機体を下降させる。その後作業を再開するときには、再び作業高さを設定しなければならなかった。また、新たに作業を開始するにあたって、前の作業中に記憶させた姿勢まで機体を自動的に上昇復帰させるようにした場合、他の圃場に移動した場合や条合わせのために、一旦脱穀クラッチを切って手動操作をして、作業を再開したときに前の制御姿勢になってしまうと、刈取高さがズレることが生じたり、制御遅れとなったりしていた。特に、車高が低すぎる場合に湿田で作業を再開すると、走行装置が地面に沈み込みやすく、十分な車高を確保できずに機体下部が地面に接触する、という問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
請求項1においては、機体(2)の左右支持高さを変更する左右一対の昇降駆動手段(15L・15R)と、機体(2)の左右支持高さを検出する車高センサ(17L・17R)と、機体の左右傾斜角を検出する水平センサ(16)とコントローラ(18)を具備し、機体(2)を左右設定傾斜角になるように姿勢制御を行うコンバイン(1)において、脱穀装置(35)の脱穀入切スイッチ(28)と自動姿勢制御スイッチ(26)の両スイッチが「入」にされると、自動姿勢制御に移行し、該自動姿勢制御を行っている途中に、前記左右支持高さと左右傾斜角の制御を手動で行う手動操作レバー(34)が「入」になると、コントローラ(18)が該操作を検出して自動姿勢制御を一旦停止し、前記手動操作レバー(34)を「切」にすると、即座に自動姿勢制御に復帰させるように構成するとともに、作業終了制御では前記昇降駆動手段(15L・15R)により車高を下げ、作業を中断するときには、脱穀入切スイッチ(28)を「切」の状態、または、自動姿勢制御スイッチ(26)が「切」の状態で、手動操作レバー(34)が操作されず、オーガ(41)が非作業位置であれば、中断したときの高さや傾斜の検出データを記憶手段に読み込み、作業終了制御に移行して作業を中断するように構成し、作業を再開する場合には、前記手動操作レバー(34)を操作する場合を除き、前記作業終了前の姿勢まで復帰させる作業再開制御を行うように構成するとともに、前記手動操作レバー(34)を操作すると、作業終了制御前の姿勢に復帰する前記作業再開制御を行わず、前記手動姿勢制御を行うように構成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施例を説明する。図1は本発明に係るコンバインの全体構成を示す側面図、図2はクローラ式走行装置の側面一部断面図、図3は同じく部分側面一部断面図、図4は同じく部分平面図、図5は車高センサとストロークセンサと昇降シリンダとの連動構成を示す側面図、図6は同じく平面図、図7はオーガの駆動構成を示す側面図、図8は同じく平面図、図9は制御ブロック図、図10は姿勢制御手段を示す制御ブロック図、図11はオーガ旋回制御手段を示す制御ブロック図、図12は操作盤の構成例を示す平面図、図13は姿勢制御全体のシステム構成図、図14は姿勢制御のフローチャート図、図15は手動姿勢制御のフローチャート図、図16は全体車高制御のフローチャート図、図17は傾斜角制御のフローチャート図、図18は自動姿勢制御のフローチャート図、図19は作業終了制御のフローチャート図、図20は作業再開制御のフローチャート図である。
【0008】
まず、コンバインの全体構成について、図1乃至図8により説明する。図1、図7、図8に示すように、コンバイン1の機体2前部には、引起し装置や、該引起し装置で引き起こされた穀稈を刈り取る刈取装置や、脱穀装置35に穀稈を搬送する搬送装置等からなる刈取部3が配置され、該刈取部3は刈取フレーム4によって支持され、昇降回動可能としている。前記機体2には刈取部支持軸5が回動可能に左右水平方向に横架されており、上記刈取フレーム4は該刈取部支持軸5に固設されていて、刈取部3が該刈取部支持軸5を中心に上下揺動可能な構成としている。そして、刈取フレーム4には刈り高さ調節用昇降シリンダ6が連結され、該シリンダ6の伸縮作動により刈取部3が上下に昇降駆動される構成としている。
【0009】
そして、図2乃至図4に示すように、前記機体2下部の左右一対のクローラ式走行装置7L・7Rは、機体前下部の走行ミッション装置81を介して機体フレーム8前側方に配置した駆動スプロケット10、前記機体フレーム8に後述の揺動リンク機構82を介して連結したトラックフレーム9、該トラックフレーム9に取り付けた複数個の遊転輪12・12・・・及びテンションスプロケット11と、これらの駆動スプロケット10及び遊転輪12・12・・・及びテンションスプロケット11との外周面にゴム製のクローラベルト83を巻回して成り、前記走行ミッション装置81からの動力により駆動スプロケット10を駆動してクローラベルト83を回転駆動するようにしている。
【0010】
図3、図4により、前記揺動リンク機構82について説明する。機体フレーム8の前後下部に固設した連結横フレーム84・85の内側に軸受86・87を設け、該軸受86・87に支軸88・89が横架されている。前後の両支軸88・89には揺動リンクとなる前後ベルクランクリンク13a・13bの中央部が枢支され、該ベルクランクリンク13a・13bは側面視略L型に形成されている。該ベルクランクリンク13a・13bの後下部にトラックフレーム9より突出した前後横枢支軸90・91が枢支され、ベルクランクリンク13a・13bの上部間には連結部材92が介装され、該連結部材92に昇降駆動手段となるアクチュエーターとして姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを連結して駆動力を伝達し、両ベルクランクリンク13a・13bを支軸88・89を中心に回動させ、トラックフレーム9を機体フレーム8に対して昇降するのである。この時、左右のクローラ式走行装置7R・7Lのトラックフレーム9を同方向に昇降させることで機体の車高が調整され、左右のトラックフレーム9を別々に昇降させることで水平制御が行われるのである。
【0011】
ここで、図3乃至図6により、前記ベルクランクリンク13a・13bの回動及びその初期位置について説明する。前記連結部材92は、図3、図4に示すように、前後ベルクランクリンク13a・13b上端部の一方(本実施例において前方)に伸縮自在なロッドを構成する前連結ロッド14aの一端に固設したブラケット93が枢結ピン94を介して枢支され、該前連結ロッド14aの他端にネジ溝が穿設されて筒状のターンバックル14b一端内に螺入され、ターンバックル14b他端内に後連結ロッド14cのネジ溝を穿設した前部が螺入され、該後連結ロッド14c他端(後端)が連結プレート95を介して、ベルクランクリンク13b(若しくは13a)に連結されている。この連結部材92の全長は、ターンバックル14b内への前連結ロッド14a及び後連結ロッド14c端部の螺合位置を調整することで連結部材92の全長を伸縮調節可能としている。
【0012】
該連結部材92を構成する連結プレート95に昇降用のアクチュエーターとしての姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの作動側(伸縮ロッド)が連結され、該姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを駆動することでベルクランクリンク13a・13bに昇降回動されるのである。すなわち、前記連結プレート95は、図5、図6に示すように、板体を側面視で略Z型に形成して平行状に二枚一組としており、後連結ロッド14cの途中部より後下方向きに屈曲された後連結ロッド14c後部に沿って連結プレート95前下部が固設され、この後連結ロッド14c後部の傾斜に沿って姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rが後下がり傾斜状に配置されるようにしている。この姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rは基部側が機体フレーム8に固設したブラケット96に支点ピン97を介して枢結され、該姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮ロッド先端が連結プレート95の後部間に枢支ピン98を介して枢支されている。さらに、前記連結プレート95の後部に前記ベルクランクリンク13bの上端部が連結ピン51を介して枢結されている。そして、このベルクランクリンク13bと姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮ロッド先端が連結プレート95に枢支される枢支ピン98および連結ピン99位置は、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの略延長線上に位置するように配設している。
【0013】
従って、従来は、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸長初期は支軸89に枢支されるベルクランクリンク13bと姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮方向とは直角の位置となっており、伸長するに従って両者の間の角度は鋭角となり、無駄に力を必要していたが、本発明の実施例においては、最も頻繁に車高制御を行う少し高く上げた位置で、両者が直角となるようにしており、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rからの力が効率良く確実にベルクランクリンク13bに伝わるようになっている。また、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの推力作用線と連結プレート95とベルクランクリンク13bの枢支位置(連結ピン99)の軌跡(力のかかる作用点の軌跡)を略一致させており、連結プレート95にかかる曲げ応力を小さくして耐久性も高めているのである。
【0014】
なお、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rには、図5、図6に示すように、シリンダの伸縮動作を検出するストロークセンサ17L・17Rを設けている。すなわち、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮ロッド端部は連結プレート95上端より上方に突出され、この突出された上部に係合部材としての略U字型に形成した係合リング100が固設されている。該係合リング100には、機体フレーム8側に固設したポテンショメータ等よりなるストロークセンサ17L・17Rのセンシングアーム17aがリンク機構を介することなく直接に挿入係合されている。このストロークセンサ17L・17Rで姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの伸縮量が検出され、この検出値が後述する制御手段となるコントローラ18に入力されて演算され、ベルクランクリンク13a・13bの回動量、即ち、車高が求められるのである。
【0015】
ここで、前記センシングアーム17aを係合するU型の係合リング100は、姿勢制御用昇降シリンダ15Rの伸縮ロッド先端部側面にループ状に固設されているため、剛性が高められて変形が防止され、センシングアーム17aを介し車高センサ17で正確に車高を求めることができる。さらに、該係合リング100はセンシングアーム17aを直接係合されているため、従来のように複数のリンク機構をなくして部品を少なくすることができ、コストを削減すると同時にその分スペース的に有利な構成とすることができる。また、図1に示すように、機体2の適宜位置には水平センサ16を配置しており、該水平センサ16により機体2の左右傾斜角を検出することとしている。
【0016】
また、図7、図8に示すように、前記脱穀装置35においては、搬送装置によって搬送された穀稈の株元をフィードチェーン36によって挟持して後方へ搬送しながら、扱胴37によって脱粒が行われる。脱殻装置35の下部には選別装置が配置され、該選別装置によって選別された後の二番物は再度前記扱胴37又は処理胴へ還元され、籾は一番コンベアや揚穀コンベア38を介して操作部19の後部に配置したグレンタンク39に搬送される。該グレンタンク39内の下部に下部コンベア40が前後方向に設けられ、該下部コンベア40はスクリューコンベアより構成され、該下部コンベア40の後端が穀粒を排出する排出用のオーガ41に連通され、該オーガ41は縦送りする縦オーガ筒42と、その上部に水平方向に連通される横オーガ筒43より構成されている。
【0017】
該縦オーガ筒42と横オーガ筒43とは筒内にスクリューコンベアを収納し、横オーガ筒43の先端には排出口44を設け、前記下部コンベア40の他端にエンジン45から動力伝達機構等を介して動力が伝達され、オーガ41内のコンベアを駆動する構成としている。この駆動によりグレンタンク39内の穀粒が下部コンベア40及びオーガ41を介して排出口44より排出されるのである。そして、前記縦オーガ筒42の上部に横オーガ筒43の基部が上下回動自在に連通して取り付けられ、該縦オーガ筒42と横オーガ筒43の間には昇降シリンダ46とオーガ昇降センサ76が介装され、該昇降シリンダ46を伸縮駆動することにより横オーガ筒43を上下回動させ、排出口44の高さを調節することができ、その高さはオーガ昇降センサ76で検知される。
【0018】
また、前記縦オーガ筒42は下部パイプ42aと上部パイプ42bに分割され、下部パイプ42a上に上部パイプ42bが回転自在に支持され、両者の間にオーガ回動センサ75が配置されて、下部パイプ42aの他端がグレンタンク39の後面に固設され、上部パイプ42bの中途部外周に大径ギア47が一体的に固設され、該大径ギア47には図11の旋回モータ48の出力軸に固設した小径ギアを噛合させ、該旋回モータ48の駆動によって小径ギアが回動されて、大径ギア47を介して縦オーガ筒42が回転され、横オーガ筒43が水平方向に旋回されるのである。そしてこの回動はオーガ回動センサ75で検知される。また、前記脱穀装置35上側で機体の対角線方向位置にはオーガレスト49が配置され、横オーガ筒43の中途部を支持できるようにしており、この位置を収納位置としている。
【0019】
次に、以上のような全体構成からなるコンバインにおける姿勢制御手段とオーガ旋回制御手段について、その制御構成を図1、図9乃至図12により説明する。図9に示すように、姿勢制御手段32とオーガ旋回制御手段33は共にコントローラ18と接続され、いずれもスイッチ・センサー部32a・33aと駆動部32b・33bとから構成されている。
【0020】
このうち姿勢制御手段32について、図1、図10、図12により説明する。上記ストロークセンサ17L・17Rと水平センサ16はコントローラ18に接続されており、前述の如く、該コントローラ18はストロークセンサ17L・17Rの検出値から機体2の車高を算出するようにしている。そして後述する傾斜角制御においては、コントローラ18は、水平センサ16の検出値から得られる機体2の絶対的な左右傾斜角が所定の設定値となるようにし、全体車高制御においては、算出した機体の地面に対する高さが所定の設定値となるように、両姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを伸縮制御するものとする。
【0021】
前記コンバインの操作部19には、操作盤20が設けられており、該操作盤20にはボリューム式の左右傾斜角設定器22が配置され、該左右傾斜角設定器22はツマミを回すことによって姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを伸縮させ、機体2の左右傾斜姿勢の程度を調節できるようにしている。該操作盤20の構成例を図12に示す。該左右傾斜角設定器22は上記のコントローラ18に接続され、コントローラ18はその設定値を読み取って、該設定値を基に上記の如く姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを伸縮制御するのである。
【0022】
また、前記の刈取部支持軸5の適宜位置には角度センサ等からなる刈取部昇降センサ23を設けて刈取部3の機体2に対する相対的な高さを検出することとしている。また、機体2の正面視中央位置かつ刈取装置下面には超音波センサ等からなる刈り高さセンサ24を設けており、刈取装置の地面に対する絶対高さ(即ち、穀稈の刈取高さ)を検出することとしている。これら二つのセンサ23・24及び前記の刈り高さ調節用昇降シリンダ6は前記コントローラ18に接続されており、刈り高さセンサ24の検出値が所定の設定値となるように刈り高さ調節用昇降シリンダ6を伸縮制御することとしている。前記操作部19には刈り高さ設定器25が設けられていて、このツマミを回すことによって穀稈の刈取高さを調節できるようにしている。この刈り高さ設定器25は前記コントローラ18に接続され、コントローラ18は該刈り高さ設定器25の設定値に基づいて上記の如く刈り高さ調節用昇降シリンダ6を伸縮制御する。
【0023】
前記操作盤20には、さらに姿勢制御の自動・手動を切り替える自動姿勢制御スイッチ26が設けられ、該自動姿勢制御スイッチ26は前記コントローラ18に接続されている。コントローラ18は、該自動姿勢制御スイッチ26の「入切」を検出して、その検出結果を基に自動による姿勢制御を行うか、又は手動による姿勢制御を行うかを選択する。
【0024】
また、該自動姿勢制御スイッチ26とは別に、種々の作業姿勢に臨機応変に対応すべく、自動姿勢制御中であっても強制的に自動から手動への制御方式の切替えが可能な本発明に係わる前記姿勢操作手段である手動操作レバー34を設け、コントローラ18に接続している。該手動操作レバー34は、後述する作業終了制御により低下した車高を作業再開前に手動調節する場合にも用いられ、前後左右に傾動可能であり、前方に傾倒することにより、両姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを同時に縮めて車高を下降させ、後方に傾倒することにより、両姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを同時に伸ばして車高を上昇させるものである。加えて、左方に傾倒させると、姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rの両方又は一方を伸縮制御して左傾斜させ、右方に傾倒させると同様にして右傾斜させることができ、一本の操作レバーにより、車高と傾斜角の手動操作が可能な構成となっている。なお、30・30・・・は機体の車高レベルを示す車高表示ランプを示す。
【0025】
一方、オーガ旋回制御手段33について、図1、図11により説明する。前記操作部19に上昇スイッチ50と下降スイッチ51、左旋回スイッチ52と右旋回スイッチ53、及びオーガクラッチ入切スイッチ54が設けられ、また、旋回モータ48にはオーガ回動センサ75、さらに前記昇降シリンダ46にはオーガ昇降センサ76とオーガ上限スイッチ111が設けられており、いずれも前記コントローラ18と接続されている。前記オーガ回動センサ75、オーガ昇降センサ76はポテンショメータやロータリーエンコーダ等で構成されている。該コントローラ18には駆動ユニット55を介して旋回モータ48が接続され、該旋回モータ48は前記旋回スイッチ52・53を操作することにより正逆転駆動されて横オーガ筒43が旋回される構成となっている。また、コントローラ18には前記昇降シリンダ46への圧油の送油を切替えるための電磁バルブ56が接続され、該電磁バルブ56は前記昇降スイッチ50・51を操作することにより切替えられ、前記横オーガ筒43を昇降できるようにしている。
【0026】
また、旋回時にオーガが慣性で回転しないように、旋回モータ48停止時に制動をかけるオーガクラッチを入切するためのモータまたはソレノイド又はシリンダ等より構成されるアクチュエータ57と接続されており、前記オーガクラッチ入切スイッチ54を操作することによって、該アクチュエータ57が作動され、オーガクラッチを「入」として下部コンベア40を駆動してグレンタンク39内の穀粒を排出したり、「切」として駆動を停止することができる。なお、オーガ旋回制御のための操作部は、このような機体2上に限定されるものではなく、図7のように、オーガ41を使った作業の際に操作しやすい位置、たとえば排出口44側面等に設けることもできる。
【0027】
さらに、このような昇降と旋回を行うオーガ41の水平回動位置及び昇降高さは、前記オーガ回動センサ75及びオーガ昇降センサ76により検出され、コントローラ18においてオーガ41が非作業範囲にあるか否かが判断される。なお、ここで非作業範囲とは、オーガ41を使用して排出作業が不可能な範囲で、たとえ機体2を下降制御しても、該機体2上に設置されたオーガ41が前記トラック58や作業者77に接触するといったトラブルが発生しないオーガ41の水平回動位置及び昇降高さを意味する。
【0028】
ここで、以上のような構成からなる機体の姿勢制御について、その全体概要を図13、図14より説明する。なお、図中のYは菱形の判断記号中の条件と一致する場合(YES)であり、Nは一致しない場合(NO)を意味する。姿勢制御全体は、大きくは自動姿勢制御59、手動姿勢制御60、自動待機制御61、作業終了制御62の4種類から構成され、各制御間の切替えは、手動操作レバーと各スイッチの入切、及びオーガ41の作業範囲にあるかないかの関係に応じて自動的に行われるようにする。すなわち、脱穀クラッチレバーの近傍に設けた前記脱穀スイッチ28と前記自動姿勢制御スイッチ26との両スイッチが「入」にされると(S1、S2)、接続されたコントローラ18がそれを検出して自動姿勢制御59に移行する(64)。
【0029】
そして、該自動姿勢制御59を行っている途中において、前記手動操作レバー34が前後左右のいずれかに傾倒にされ「ON」になると(S4)、該手動操作レバー34に接続された前記コントローラ18がそれを検出して自動姿勢制御59を一旦停止させ、その結果、自動待機制御61に移行する(65)。さらに、該自動待機制御61中においても、手動操作レバー34を中央の中立位置に戻し「OFF」にすると(S3)、即座に自動姿勢制御59に復帰させることができる(66)。
【0030】
また、脱穀スイッチ28、自動姿勢制御スイッチ26のいずれかが「切」の状態では(S1、S2)、手動操作レバー34を「ON」にすることで(S5)手動姿勢制御60を行う(63)。該手動姿勢制御60を行っている時に、オーガが前記非作業範囲内の非作業位置にある場合には(S6)、作業終了制御62に移行できる。該作業終了制御62では走行安定性確保などのために車高を下げるため、その後に作業を再開する場合には、前記手動操作レバー34を操作する場合を除き(S5)、前記作業終了前の姿勢まで復帰させる作業再開制御79を行う。該作業再開制御79により、再び、手動姿勢制御60に移行させる(69)ことができるのである。
【0031】
次に、これら各制御の内容について、図15乃至図20により説明する。なお、以下に述べる制御は全て、機体の左右一方の側の支持高さを基準とした基準側支持高さをもとに行うが、本実施例においては、分かりやすいように、右側の支持高さ(=右支持高さ)を基準とした制御について示す。従って、左側の支持高さ(=左支持高さ)を基準とする場合については左右を逆に考えて適用すればよい。
【0032】
手動姿勢制御60は、図15に示すように、全体車高制御70、傾斜角制御71の順に行う。このうち全体車高制御70については、図16に示すように、前記手動操作レバー34を前後方向に傾倒して手動操作スイッチを「ON」とした後、更に、該手動操作レバー34を傾倒させると、接続された前記コントローラ18が傾倒方向と傾倒角度を検出し、該検出の結果に応じて、前記姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rを制御バルブを介して同時に伸長(縮小)作動させて、車高を所望の高さまで昇降する(S27)。
【0033】
ただし、前記オーガ41が上下回動されている間、または、刈取部3が上下に昇降駆動されている間は、この全体車高制御70は行わず、次の傾斜角制御71に移行するものとする(S26)。これは、車高が変動すると、オーガ41も上下動してトラック58や作業者77に当たる可能性があるばかりでなく、左右の刈り高さが不均一となって穀稈長のバラツキが大きくなり刈取・脱穀性能を悪化させるからである。なお、全体車高制御70が完了した時点における基準側支持高さは「基準高さ」としてメモリーに記憶され、後述するように傾斜角制御71での判断データとする(S28)。
【0034】
また、図17に示すように、傾斜角制御71については、機体に取り付けた水平センサ16により機体の左右傾斜角を検出して、操作盤20の傾斜角設定器22により設定した傾斜角と比較する(S25)。該傾斜角と異なる場合において、基準側と反対側の車高である左支持高さが上限にあり(S10)、しかも右支持高さが前記基準高さにあって、左(下がり)傾斜させる場合は(S13)、左支持高さ昇降制御となり、左支持高さが下降され、右支持高さは停止(固定)される。そして、右(下がり)傾斜させる場合は、左側を上げることができないので、右支持高さ昇降制御となり、左支持高さを停止し、右支持高さを下降させる(S14乃至S16)。
【0035】
また、左支持高さが下限にあり(S11)、右支持高さが前記基準高さにあって、右(下がり)傾斜させる場合には(S12)、左支持高さ昇降制御となり、左支持高さが上昇され、右支持高さは停止される。そして、左(下がり)傾斜させる場合は、左側を下げることができないので、右支持高さ昇降制御となり、左支持高さを停止し、右支持高さを上昇させる(S14乃至S16)。そして、左支持高さが上限でも下限でもない場合(S11)で、右支持高さが基準高さの場合は、左支持高さ昇降制御となり、また、右支持高さが基準高さでない場合には右支持高さ昇降制御となり、前記同様に制御され設定傾斜角とするのである。
【0036】
自動姿勢制御59については、図18に示すように、手動姿勢制御60の傾斜角制御71と制御方式は基本的に同じであるが、所望の傾斜角になるように手動操作レバー34を傾倒するのではなく、前記傾斜角設定器22により所望の傾斜角を設定しておくと、該傾斜角に一致もしくは近い値となるまで、コントローラ18から系統信号が出力されるようになっている。また、手動姿勢制御60時には、車高出力を逐次的に連続駆動で行うのに対し、自動姿勢制御59時には、現在の傾斜が目標値に対してかけ離れている場合には連続駆動で傾斜速度を速くし、傾斜が目標値に近づくとパルス駆動(所謂PWM制御)に切り替えて傾斜速度を遅くし、設定精度を高めるようにしている。なお、前記自動待機制御61については、原則として前記手動姿勢制御60と同じ構成であり、自動姿勢制御59を一時的に中断したい場合などに適用する。
【0037】
作業終了制御62においては、図19に示すように、作業終了直前の基準側支持高さに特定の係数を乗じて「直前車高基準終了高さ」を算出し(S21)、該「直前車高基準終了高さ」と機構的に下降できる限界の車高である下限高さとを比較し(S22)、「直前車高基準終了高さ」が下限高さよりも高い場合には、左右の支持高さを該「直前車高基準終了高さ」まで昇降する(S24)。逆に、「直前車高基準終了高さ」が下限高さよりも低い場合には左右の支持高さとも前記基準高さまで上昇させ(S23)、前記全体車高制御70直後の安全な初期状態に復帰させる。
【0038】
このように、作業終了時に車高を低下させるにあたり作業終了直前の基準側支持高さに基づいて車高制御を行うため、「直前車高基準終了高さ」は、作業の開始と終了を繰り返すごとにゆっくりと前記下限高さに近づくこととなり、また、事前に目標車高を予測して下限高さと比較することができるため、急激な車高の低下により機体下部が路面に衝突する等の問題を回避することができる。なお、前記基準側支持高さの係数については80%程度が好ましいが、特に固定する必要はなく、通常の一日あたりの作業回数などの作業条件に応じて変更することができる。また、以上のような作業終了制御62における姿勢制御用昇降シリンダ15L・15Rへの車高出力の方法についても、前記自動姿勢制御59時と同様に、車高が目標値に対してかけ離れている場合には連続駆動とし、車高が目標値に近づくとパルス駆動に切り替えて遅くなるようにして、設定精度の向上を図っている。
【0039】
さて、本発明に係わる作業再開制御79とは、中断後の作業の前に行う姿勢制御であり、原則として、記憶させていた作業終了前の姿勢に自動的に復帰させるものである。すなわち、図14において、作業を中断するときには、脱穀スイッチ28を切の状態(S1)、または、自動姿勢制御スイッチが切の状態(S2)で、手動操作レバー34が操作されず、オーガが非作業位置であれば(S5)、中断したときの高さや傾斜の検出データを記憶手段に読み込み、作業終了制御62に移行して、つまり等を除去する。また、回行等を行って、手動操作レバー34が操作されて入になると(S5)、作業終了前の姿勢への自動復帰は行われずに手動操作レバー34の操作が優先されて、手動姿勢制御60が行われる。
【0040】
そして、中断後に脱穀スイッチ28を入の状態(S1)、自動姿勢制御スイッチを入の状態(S2)とすると、図20に示すように、前記作業終了制御62を実施済みでは、作業終了前に記憶されたデータを読み込み(S55)、この記憶させていた作業終了前の姿勢に復帰させ(S56)作業を中断前と同じ条件で再開できるのである。また、路上走行や畔越えや条合わせ等で手動姿勢制御60を行い、作業終了制御62を行わない場合には、新たに作業を始める場合と同様にステップ3(S3)に移行するのである。
【0041】
【発明の効果】
本発明は以上如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
機体(2)の左右支持高さを変更する左右一対の昇降駆動手段(15L・15R)と、機体(2)の左右支持高さを検出する車高センサ(17L・17R)と、機体の左右傾斜角を検出する水平センサ(16)とコントローラ(18)を具備し、機体(2)を左右設定傾斜角になるように姿勢制御を行うコンバイン(1)において、脱穀装置(35)の脱穀入切スイッチ(28)と自動姿勢制御スイッチ(26)の両スイッチが「入」にされると、自動姿勢制御に移行し、該自動姿勢制御を行っている途中に、前記左右支持高さと左右傾斜角の制御を手動で行う手動操作レバー(34)が「入」になると、コントローラ(18)が該操作を検出して自動姿勢制御を一旦停止し、前記手動操作レバー(34)を「切」にすると、即座に自動姿勢制御に復帰させるように構成するとともに、作業終了制御では前記昇降駆動手段(15L・15R)により車高を下げ、作業を中断するときには、脱穀入切スイッチ(28)を「切」の状態、または、自動姿勢制御スイッチ(26)が「切」の状態で、手動操作レバー(34)が操作されず、オーガ(41)が非作業位置であれば、中断したときの高さや傾斜の検出データを記憶手段に読み込み、作業終了制御に移行して作業を中断するように構成し、作業を再開する場合には、前記手動操作レバー(34)を操作する場合を除き、前記作業終了前の姿勢まで復帰させる作業再開制御を行うように構成するとともに、前記手動操作レバー(34)を操作すると、作業終了制御前の姿勢に復帰する前記作業再開制御を行わず、前記手動姿勢制御を行うように構成したので、作業途中で詰まりが生じたり、籾を排出したりした後に作業を再開した時、作業終了前の姿勢に自動的に復帰されるため、再設定が不要となり、即座に作業を再開でき、作業効率の向上を図ることができる。
また、回行して刈り高さや傾斜を変更したり、次の圃場で刈り高さや傾斜を変更したりしたときに、前の姿勢に戻ることがなく、圃場状況に適した状態に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコンバインの全体構成を示す側面図である。
【図2】 クローラ式走行装置の側面一部断面図である。
【図3】 同じく部分側面一部断面図である。
【図4】 同じく部分平面図である。
【図5】 車高センサとストロークセンサと昇降シリンダとの連動構成を示す側面図である。
【図6】 同じく平面図である。
【図7】 オーガの駆動構成を示す側面図である。
【図8】 同じく平面図である。
【図9】 制御ブロック図である。
【図10】 姿勢制御手段を示す制御ブロック図である。
【図11】 オーガ旋回制御手段を示す制御ブロック図である。
【図12】 操作盤の構成例を示す平面図である。
【図13】 姿勢制御全体のシステム構成図である。
【図14】 姿勢制御のフローチャート図である。
【図15】 手動姿勢制御のフローチャート図である。
【図16】 全体車高制御のフローチャート図である。
【図17】 傾斜角制御のフローチャート図である。
【図18】 自動姿勢制御のフローチャート図である。
【図19】 作業終了制御のフローチャート図である。
【図20】 作業再開制御のフローチャート図である。
【符号の説明】
1 コンバイン
2 機体
15L、15R 昇降駆動手段
16 水平センサ
17L、17R 車高センサ(ストロークセンサ)
18 制御手段
28 入切手段
34 手動操作手段
35 脱穀装置
62 作業終了制御
Claims (1)
- 機体(2)の左右支持高さを変更する左右一対の昇降駆動手段(15L・15R)と、機体(2)の左右支持高さを検出する車高センサ(17L・17R)と、機体の左右傾斜角を検出する水平センサ(16)とコントローラ(18)を具備し、機体(2)を左右設定傾斜角になるように姿勢制御を行うコンバイン(1)において、脱穀装置(35)の脱穀入切スイッチ(28)と自動姿勢制御スイッチ(26)の両スイッチが「入」にされると、自動姿勢制御に移行し、該自動姿勢制御を行っている途中に、前記左右支持高さと左右傾斜角の制御を手動で行う手動操作レバー(34)が「入」になると、コントローラ(18)が該操作を検出して自動姿勢制御を一旦停止し、前記手動操作レバー(34)を「切」にすると、即座に自動姿勢制御に復帰させるように構成するとともに、作業終了制御では前記昇降駆動手段(15L・15R)により車高を下げ、作業を中断するときには、脱穀入切スイッチ(28)を「切」の状態、または、自動姿勢制御スイッチ(26)が「切」の状態で、手動操作レバー(34)が操作されず、オーガ(41)が非作業位置であれば、中断したときの高さや傾斜の検出データを記憶手段に読み込み、作業終了制御に移行して作業を中断するように構成し、作業を再開する場合には、前記手動操作レバー(34)を操作する場合を除き、前記作業終了前の姿勢まで復帰させる作業再開制御を行うように構成するとともに、前記手動操作レバー(34)を操作すると、作業終了制御前の姿勢に復帰する前記作業再開制御を行わず、前記手動姿勢制御を行うように構成したことを特徴とするコンバインの姿勢制御装置。
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