JP3705078B2 - 産業車両の車体制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リーチ型フォークリフトトラック等の産業車両に設けられた懸架機構の作動を制御する産業車両の車体制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リーチ型フォークリフトトラック(以下、単にリーチフォークリフトという)は、左右のレグの間に支持したマスト装置を前後にリーチ動作させる。このため、後輪である駆動操舵輪の輪重が大きく変化する。そこで、駆動操舵輪及びキャスタ輪とで後輪を構成し、サスペンション機構によって駆動操舵輪及びキャスタ輪を互いに逆向きに上下変位可能に支持する。そして、このサスペンション機構によって、駆動操舵輪の輪重を車体後部の重量によって変化し難いように調整する。
【0003】
詳述すると、マスト装置がより前方に配置されるほど駆動操舵輪に配分される輪重の割合を大きくし、輪重の極端な減少を防止する。一方、マスト装置がより後方に配置されるほど駆動操舵輪に配分される輪重を小さくし、輪重の極端な増大を防止する。従って、マスト装置を前方に移動させたときにも駆動操舵輪の駆動力又は制動力が確保され、マスト装置を後方に移動させたときに駆動操舵輪に余分な輪重が加わらない。
【0004】
このようなリーチフォークリフトでは、サスペンション機構が車体の傾動を許容するように作動することから、重い荷を積載しフォークを高く揚高した状態で走行すると、車体の左右安定性が低下する場合がある。そこで、本出願人は、そのような状態での車体の左右安定性の低下を防止することができるリーチフォークリフトを特開平11−321266号公報で提案している。このリーチフォークリフトでは、駆動操舵輪とキャスタ輪とを連結するサスペンション機構のリンク機構と車体との間に、リンク機構の作動を許容又は規制可能なロックシリンダを設けている。そして、荷重が所定の判定値以上で、かつ、揚高が所定の揚高位置以上であるときに、ロックシリンダを作動させてリンク機構の作動を規制する。このことにより、そのような状態でのサスペンション機構の作動による車体の左右安定性の低下を防止する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなサスペンション機構を備えたリーチフォークリフトでは、例えば車両を停止させた状態で荷を積載したマスト装置を前方にリーチ動作させるとき、リーチ動作の動作開始時と動作終了時に車体が前後に大きく揺れる場合があった。これは、マスト装置のリーチ動作の動作開始時及び動作終了時には、積載されている荷の速度変化に伴う反力が車体を前後に傾動させるモーメント荷重として加わってサスペンション機構が作動するためである。その結果、リーチ作業時にオペレータが不安感を持つ虞があった。
【0006】
このように荷役作業時に車体が揺れる現象は、マスト装置をリーチ動作させるときのみならず、荷を積載したフォークをリフト動作又はチルト動作させるときにも起きることがあった。
【0007】
このような荷役作業に伴う車体の無用な揺れは、リーチフォークリフトに限らず、懸架機構によって車輪を懸架していることで車体が揺れる可能性があるその他の産業車両においても発生する。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、荷役機器の作動時にオペレータが不安感を感じる虞がある車体の無用な動きを抑制することができる産業車両の車体制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、請求項1に記載の発明は、産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、前記作動制御手段は、前記荷役機器が作動するときに、その荷役機器の動作開始時点から予め設定された時間が経過するまでの間、及び該荷役機器の動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間の少なくとも一方の間だけ、前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することを特徴とする産業車両の車体制御装置である。尚、懸架機構とは、産業車両の車体に対し車輪を上下変位可能に支持するものであればよく、車輪を路面に付勢するサスペンションスプリング等の付勢手段を備えたサスペンション機構に限らない。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、荷役機器の作動に伴なう懸架機構の作動が速度制限又は規制され、荷役機器の作動による車体の揺れが抑制される。従って、荷役機器の作動時にオペレータが不快感を感じる車体の揺れを抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の産業車両の車体制御装置において、前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であって、前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加えて、リーチフォークリフトの荷役機器であるマスト装置の各動作、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作に伴うサスペンション機構の作動が速度制限又は規制され、各荷役機器の作動による車体の揺れが抑制される。従って、駆動操舵輪及びキャスタ輪によって後輪が構成されたリーチフォークリフトにおいて、荷役機器の作動時にオペレータが違和感を感じる車体の揺れを抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段と、車両が停止状態であることを検出する停止状態検出手段と、荷役機器に荷が積載されていることを検出する荷検出手段とを備え、前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であって、前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、前記作動制御手段は、前記停止状態検出手段が車両が停止状態であることを検出し、かつ、前記荷検出手段が荷が積載されていることを検出するときにのみ前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴とする産業車両の車体制御装置である。尚、停止状態とは、車両が完全に停止している状態と、各荷役機器の作動によって懸架機構の作動による車体の揺れが発生する微速域とを含む。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、リーチフォークリフトの荷役機器であるマスト装置の各動作、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作に伴うサスペンション機構の作動が速度制限又は規制され、各荷役機器の作動による車体の揺れが抑制される。従って、駆動操舵輪及びキャスタ輪によって後輪が構成されたリーチフォークリフトにおいて、荷役機器の作動時にオペレータが違和感を感じる車体の揺れを抑制することができる。また、車両が停止状態であって、かつ、荷役機器に荷が積載されているときには、各荷役機器の作動に伴って車体が大きく揺れやすく、又、運転者が車体の揺れを感じやすい。一方、車両が走行中であるか、又は、荷役機器に荷が積載されていないときには、各荷役機器の作動に伴って車体が揺れ難く、又、運転者が車体の揺れを感じ難い。従って、オペレータが車体の揺れを感じ易い状態では揺れが抑制され、オペレータが車体の揺れを感じ難い状態ではサスペンション機構の作動が許容される。その結果、車両が停止状態での荷役作業時にオペレータが不快感を感じる車体の揺れを抑制するとともに、走行時の乗り心地を確保することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であり、前記荷役機器は、マスト装置をリーチシリンダがリーチ動作させるリーチ装置であ前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、前記作動制御手段は、前記リーチ装置がマスト装置をリーチ動作させるときに、そのリーチ動作の動作開始時点から予め設定された時間が経過するまでの間と、同じく動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とだけ、前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴する産業車両の車体制御装置である
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、マスト装置の前進動作又は後進動作の動作開始時又は動作終了時に加わるモーメント荷重によるサスペンション機構の作動が速度制限又は規制され、マスト装置のリーチ動作による車体の前後での揺れが抑制される。一方、マスト装置のリーチ動作中にはリーチ位置の変化に応じたサスペンション機構の作動が許容され、サスペンション機構の作動による駆動操舵輪の調整が確保される。その結果、マスト装置をリーチ動作させて荷役作業を行うときに、オペレータが不安を感じる車体の前後での無用な揺れを抑制することができる。又、リーチ動作の終了時に車体が急激に揺れないようにすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であり、前記荷役機器は、マスト装置に設けられたフォークをリフトシリンダがリフト動作させるリフト装置であ前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、前記作動制御手段は、前記リフト装置がフォークを上昇させるようにリフト動作させるときに、少なくともその上昇動作の動作開始時点から予め設定された時間が経過するまでの間と、同じく動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とは、前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴する産業車両の車体制御装置である
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、フォークの上昇動作の動作開始及び動作終了に伴なうサスペンション機構の作動が速度制限又は規制され、フォークの上昇動作による車体の上下での揺れが抑制される。その結果、フォークを上昇動作させて荷役作業を行うときに、オペレータが不安を感じる車体の無用な揺れを抑制することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であり、前記荷役機器は、マスト装置に設けられたフォークをチルトシリンダがチルト動作させるチルト装置であ前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、前記作動制御手段は、前記チルト装置がフォークをチルト動作させるときに、少なくともそのチルト動作の動作開始時点から予め設定させた時間が経過するまでの間と、同じく動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とは、前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴する産業車両の車体制御装置である
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、フォークの前傾動作又は後傾動作の動作開始及び動作終了に伴うサスペンション機構の作動が速度制限又は規制され、フォークのチルト動作による車体の前後での揺れが速度制限又は規制される。その結果、フォークをチルト動作させて荷役作業を行うときに、オペレータが不安を感じる車体の前後での無用な揺れを抑制することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、前記荷役作動検出手段は、前記荷役機器を操作するための操作手段の操作を検出する荷役操作検出手段であることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、荷役機器を操作するための操作手段の操作に基づいて、荷役機器の作動が検出される。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、前記作動制限手段は、通電時に前記サスペンション機構の作動を許容し、非通電時に作動を速度制限又は規制するものであって、車両のキースイッチがオン状態のままで、前記荷役機器が作動せず、かつ、車両が走行しない状態が予め設定された時間を超えて継続したときには、前記作動制限手段への通電を停止することを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、キースイッチがオン状態のときに断線等によって作動制限手段への通電が停止すると、サスペンション機構の作動が速度制限又は規制される。又、キースイッチがオン状態のままで荷役機器が使用されず、又、車両が走行しないと、所定時間が経過した時点で作動制限手段への通電が停止されサスペンション機構の作動が速度制限又は規制される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をリーチ型フォークリフトトラックの車体制御装置に具体化した一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0026】
図2,3に示すように、産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック10(以下、リーチフォークリフトという)は、左右一対の従動輪である前輪11L,11Rと、車輪としての駆動操舵輪(以下、単に駆動輪という)12及びキャスタ輪13からなる後輪とを車体14に備えている。
【0027】
車体14の前部には、左右一対のリーチレグ15が設けられている。各リーチレグ15は、その先端に前記前輪11L,11Rをそれぞれ支持している。両リーチレグ15の間には、マスト装置16が前後にリーチ動作可能に支持されている。マスト装置16は、車体14の後部下側に設けられたリーチシリンダ17によってリーチ動作する。
【0028】
マスト装置16は、左右のリーチレグ15に支持されたアウタマスト18と、アウタマスト18に昇降可能に支持されたインナマスト19とを備えている。インナマスト19には、リフトサポート20が昇降可能に支持され、リフトサポート20の前面にはフォーク21が支持されている。アウタマスト18の後側にはインナマスト19を昇降させるリフトシリンダ22が固定されている。リフトサポート20には、フォーク21をチルト動作させるチルトシリンダ23が固定されている。本実施形態では、マスト装置16及びリーチシリンダ17がリーチ装置を構成し、マスト装置16がリフト装置及びチルト装置を構成する。又、リーチ装置、リフト装置及びチルト装置がそれぞれ荷役機器である。
【0029】
車体14の後部左側には、前記駆動輪12を駆動するためのドライブユニット24が設けられている。ドライブユニット24は走行用モータ25を備え、その下部に支持した前記駆動輪12を駆動する。尚、走行用モータ25は交流誘導モータである。又、車体14の後部右側には運転席26が設けられ、運転席26の下側には前記キャスタ輪13が支持されている。ドライブユニット24とキャスタ輪13とは、図1に示す懸架機構としてのサスペンション機構27によって上下に互いに逆向きに変位可能に支持されている。サスペンション機構27は、駆動輪12及びキャスタ輪13を、車両後部の重量が変化しても駆動輪12の輪重が変化し難いように支持する。
【0030】
サスペンション機構27は、図4,5,6に示すように、駆動輪12を上下変位可能に支持するドライブユニットサポート28と、キャスタ輪13を上下変位可能に支持するキャスタアーム29とを備えている。ドライブユニットサポート28は、駆動輪12が操舵可能な状態で前記ドライブユニット24を車体14に支持する。キャスタアーム29は、前記キャスタ輪13を水平面内で回動可能な状態で車体14に支持する。
【0031】
ドライブユニットサポート28は、車体14に対し回動可能に支持された第1回動軸30によって車幅方向に直交する平面内で揺動可能に支持されている。第1回動軸30は、両リーチレグ15間で車幅方向に延びるように設けられている。キャスタアーム29は、車体14に対し回動可能に支持された第2回動軸31によって車幅方向に直交する平面内で揺動可能に支持されている。第2回動軸31は、第1回動軸30に対し平行な状態でその後方に支持されている。第1回動軸30と第2回動軸31とは、第1回動軸30に固定されたレバー32と、キャスタアーム29に一体的に設けられた係合部33とによって互いに逆向きに回動するように作動連結されている。レバー32と係合部33との間には、緩衝用圧縮コイルばね34(図6に図示)が介在されている。従って、第1回動軸30及び第2回動軸31は緩衝用圧縮コイルばね34を介して作動連結されている。
【0032】
ドライブユニットサポート28は、車体14に対し回動可能に支持された第1回動軸30によって車幅方向に直交する平面内で揺動可能に支持されている。第1回動軸30は、両リーチレグ15間で車幅方向に延びるように設けられている。キャスタアーム29は、車体14に対し回動可能に支持された第2回動軸31によって車幅方向に直交する平面内で揺動可能に支持されている。第2回動軸31は、第1回動軸30に対し平行な状態でその後方に支持されている。第1回動軸30と第2回動軸31とは、第1回動軸30に固定されたレバー32と、キャスタアーム29に一体的に設けられた係合部33とにより、緩衝用圧縮コイルばね34(図6に図示)を介して互いに逆回転するように作動連結されている。
【0033】
ドライブユニットサポート28と車体14との間には、駆動輪12に予輪重を与えるためのサスペンションばね35が設けられている。又、ドライブユニットサポート28と車体14との間には、図5,6に示すように、サスペンション機構27の作動を許容又は規制可能なロックシリンダ36が設けられている。ロックシリンダ36は、そのシリンダボディ37に一体に設けられたロック用電磁弁38(図6に図示)の作動によってその作動が許容又は規制される。尚、本実施形態では、ロックシリンダ36及びロック用電磁弁38が作動制限手段を構成する。
【0034】
サスペンション機構27は、車体後部の重量がより大きくなるときには駆動輪12の輪重が過大にならないようにし、車体後部の重量がより小さくなるときには駆動輪12の輪重が不足しないようにする。
【0035】
又、図2,3に示すように、前記運転席26の前側には操作盤39が設けられ、運転席26の左側にはハンドル40が設けられている。ハンドル40は、前記駆動輪12を操舵する。操作盤39にはアクセルレバー41、リーチレバー42、リフトレバー43及びチルトレバー44が設けられている。本実施形態では、リーチレバー42、リフトレバー43及びチルトレバー44がそれぞれ操作手段である。
【0036】
次に、前記各シリンダ17,22,23を作動させるための油圧回路について説明する。
図1に示すように、油圧回路は、オイルタンク50、荷役用モータ51、オイルポンプ52、リーチ用バルブ53、リフト用バルブ54、チルト用バルブ55、及び各シリンダ17,22,23等で構成されている。
【0037】
荷役用モータ51はオイルポンプ52を駆動してオイルタンク50の作動油を所定の油圧で各バルブ53,54,55に供給する。
リーチ用バルブ53はリーチレバー42によって操作され、オイルポンプ52から供給される作動油をリーチシリンダ17に対して給排する。又、リフト用バルブ54はリフトレバー43によって操作され、オイルポンプ52から供給される作動油をリフトシリンダ22に対して給排する。又、チルト用バルブ55はチルトレバー44によって操作され、オイルポンプ52から供給される作動油をチルトシリンダ23に対して給排する。
【0038】
リーチシリンダ17は、リーチ用バルブ53によって給排される作動油によって伸縮動作し、伸張時にマスト装置16を前進動作させ、収縮時にマスト装置16を後進動作させる。又、リフトシリンダ22はリフト用バルブ54によって給排される作動油によって伸縮動作し、伸張時にインナマスト19を介してフォーク21を上昇動作させ、収縮時にフォーク21を下降動作させる。又、チルトシリンダ23はチルト用バルブ55によって給排される作動油によって伸縮動作し、伸張時にフォーク21を前傾動作させ、収縮時にフォーク21を後傾動作させる。
【0039】
次に、走行用モータ25及び荷役用モータ51を制御するための電気回路について説明する。
図1に示すように、電気回路は、アクセル開度センサ60、進行方向検出スイッチ61a,61b、リーチスイッチ62、リフトスイッチ63、チルトスイッチ64、圧力センサ65、駆動輪回転数センサ66a,66b、コントローラ67、キースイッチ68、走行用モータ25、ロック用電磁弁38及び荷役用モータ51等で構成されている。本実施形態では、リーチスイッチ62、リフトスイッチ63及びチルトスイッチ64がそれぞれ荷役作動検出手段及び荷役操作検出手段である。又、圧力センサ65が荷検出手段、コントローラ67が作動制御手段である。又、駆動輪回転数センサ66a,66b及びコントローラ67が停止状態検出手段を構成する。
【0040】
アクセル開度センサ60は操作盤39の下方に配置され、アクセルレバー41のアクセル開度、即ち、中立位置での操作量を「0」として前進側及び後進側のアクセル開度ACCを検出して出力する。
【0041】
進行方向検出スイッチ61a,61bは、アクセルレバー41が中立位置にあるときに共にオフとなる。そして、スイッチ61aはアクセルレバー41が中立位置から前進側に操作されたときにのみオフからオンとなって前進信号SF を出力し、スイッチ61bは、アクセルレバー41が中立位置から後進側に操作されたときにのみオフからオンとなって後進信号SR を出力する。
【0042】
リーチスイッチ62は、リーチレバー42が中立位置から前進側又は後退側に操作されたときにオフからオンとなってリーチ信号SRHを出力する。又、リフトスイッチ63は、リフトレバー43が中立位置から上昇側に操作されたときにのみオフからオンとなってリフト信号SLFを出力する。又、チルトスイッチ64は、チルトレバー44が中立位置から前傾側又は後傾側に操作されたときにオフからオンとなってチルト信号STLを出力する。
【0043】
圧力センサ65は、フォーク21に積載された荷の重量Wに応じたリフトシリンダ22の油圧を検出し、その検出信号をコントローラ67に出力する。
駆動輪回転数センサ66a,66bは、走行用モータ25の出力軸に固定された図示しないギヤを被検出体としてその回転数を検出する。各回転数センサ66a,66bは、後輪回転数ND 及びモータ回転数NM に対応するパルス信号を生成してコントローラ67に出力する。又、各回転数センサ66a,66bは、走行用モータ25の回転方向に応じて位相が逆に90°ずれたパルス信号を出力する。
【0044】
コントローラ67は図示しないマイクロコンピュータ、三相インバータ回路等からなっている。コントローラ67は、予め記憶されている制御プログラムを前記マイクロコンピュータが実行することによって前記各制御を行う。
【0045】
ロック用電磁弁38は、非通電時には外力に基づくロックシリンダ36の作動を規制し、通電時には外力に基づくロックシリンダ36の作動を許容する。
コントローラ67は、アクセル開度ACC、前進及び後進信号SF ,SR 、後輪回転数ND 及びモータ回転数NM に基づいて走行用モータ25の回転方向、駆動トルク及び制動トルクを制御する。尚、駆動トルクは走行用モータ25が駆動輪12を回転駆動して車両を前進又は後進させるときに発生するトルクであり、制動トルクは前進状態又は後進状態で回生制動を行うときに発生するトルクである。
【0046】
又、コントローラ67は、リーチ信号SRH、リフト信号SLT及びチルト信号STLが入力されるときに荷役用モータ51を運転し、各信号SRH,SLT,STLが入力されなくなったときに運転を停止する。
【0047】
又、コントローラ67は、キースイッチ68がオフからオンされると、ロック用電磁弁38に通電してロックシリンダ36の作動を許容する。又、コントローラ67は、キースイッチ68がオンされている状態で、前記各スイッチ61a,61b,62,63,64から各信号を入力せず、かつ、後輪速度VD が「0」である状態が予め設定されている時間を超えて継続したときには、ロック用電磁弁38への通電を停止する。
【0048】
(リーチ安定制御)
コントローラ67は、重量W、後輪回転数ND 及びリーチ信号SRHに基づいてロック用電磁弁38を制御するリーチ安定制御を行う。
【0049】
リーチ安定制御として、コントローラ67は、重量Wが「0」でなく、かつ、後輪回転数ND が予め設定された停止回転数未満であるときに、リーチ信号SRHが入力された時点から予め設定された時間(例えば、0.5秒間)が経過するまでの間と、リーチ信号SRHが入力されなくなった時点から予め設定された規制時間(例えば、0.5秒間)が経過するまでの間とだけは、ロック用電磁弁38への通電を停止する。尚、停止回転数は、車両がほぼ停止状態であるとみなせるときの車速に対応する後輪回転数ND である。又、規制時間は、マスト装置16のリーチ動作が終了したことに伴なう反力が車体14に加わらなくなるまでに要する時間である。このことにより、コントローラ67は、車両がほぼ停止された状態でリーチシリンダ17が作動されフォーク21に荷を積載したマスト装置16がリーチ動作(前進動作及び後進動作)されるときに、サスペンション機構27の作動を一時的に規制する。詳述すると、マスト装置16がリーチ動作されるときに、その動作開始時点動作から予め設定された時間が経過するまでの間と、動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とだけロックシリンダ36の作動を規制してサスペンション機構27の作動を規制する。
【0050】
(リフト安定制御)
又、コントローラ67は、重量W、後輪回転数ND 及びリフト信号SLFに基づいてロック用電磁弁38を制御するリフト安定制御を行う。
【0051】
リフト安定制御として、コントローラ67は、重量Wが「0」でなく、かつ、後輪回転数ND が前記停止回転数未満であるときには、リフト信号SLFが入力された時点から、このリフト信号SLFが入力されなくなった時点から予め設定された規制時間(例えば、0.5秒間)が経過した時点までの間はロック用電磁弁38への通電を停止する。尚、規制時間は、フォーク21の上昇動作が終了したことに伴なう反力が車体14に加わらなくなるまでに要する時間である。このことにより、コントローラ67は、車両がほぼ停止された状態でリフトシリンダ22が作動され荷を積載したフォーク21が上昇動作されるときに、その動作開始時点から、その動作終了時点から所定の規制時間が経過するまでの間はロックシリンダ36の作動を規制してサスペンション機構27の作動を規制する。
【0052】
(チルト安定制御)
又、コントローラ67は、重量W、後輪回転数ND 及びチルト信号STLに基づいてロック用電磁弁38を制御するチルト安定制御を行う。
【0053】
チルト安定制御として、コントローラ67は、重量Wが「0」でなく、かつ、後輪回転数ND が前記停止回転数未満であるときに、チルト信号STLが入力された時点から、このチルト信号STLが入力されなくなった時点から予め設定された規制時間(例えば、0.5秒間)が経過した時点までの間はロック用電磁弁38への通電を停止する。尚、規制時間は、フォーク21のチルト動作が終了したことに伴なう反力が車体14に加わらなくなるまでに要する時間である。このことにより、コントローラ67は、車両がほぼ停止された状態でチルトシリンダ23が作動され荷を積載したフォーク21が前傾又は後傾動作されるときに、その動作開始時点から、その動作終了時点から規制時間が経過した時点までの間はロックシリンダ36の作動を規制してサスペンション機構27の作動を規制する。
【0054】
次に、以上のように構成されたリーチフォークリフトの作用について説明する。
フォーク21に荷を積載して車両を走行させているとき、コントローラ67がロック用電磁弁38に通電してサスペンション機構27の作動を許容する。従って、車両が走行中であって、各レバー42,43,44を操作してリーチ作業、リフト作業又はチルト作業を行なっても、サスペンション機構27の作動によって車両の乗り心地が確保される。
【0055】
(リーチ動作時)
フォーク21に荷を積載して車両を停止させた状態で、リーチレバー42を前進側又は後進側に操作すると、コントローラ67はロック用電磁弁38への通電を所定時間だけ停止する。又、リーチ用バルブ53が操作され、オイルポンプ52から供給される作動油によってリーチシリンダ17が伸縮作する。このため、マスト装置16がリーチ動作を開始した時点から規制時間が経過するまではサスペンション機構27の作動が規制される。そして、規制時間が経過した時点からはサスペンション機構27の作動が許容された状態でマスト装置16がリーチ動作する。従って、マスト装置16がリーチ動作を開始するときにはサスペンション機構27の作動が規制され、マスト装置16がリーチ動作を開始することでモーメント荷重が加わっても、車体14の前後での揺れが小さく抑えられる。又、所定時間経過した時点からはサスペンション機構27の作動が許容され、マスト装置16のリーチ動作に伴なう駆動輪12の輪重の調整が許容される。
【0056】
次に、リーチレバー42を前進側又は後進側に操作した状態から中立状態に操作すると、コントローラ67はロック用電磁弁38への通電を規制時間だけ停止する。又、リーチ用バルブ53が操作され、オイルポンプ52から作動油が供給されなくなってリーチシリンダ17の伸縮動作が停止する。このため、マスト装置16がリーチ動作を終了した時点から規制時間が経過するまではサスペンション機構27の作動が規制される。従って、マスト装置16がリーチ動作を終了するときにはサスペンション機構27の作動が規制され、マスト装置16のリーチ動作が停止することで加わるモーメント荷重による車体14の揺れが規制される。又、規制時間が経過した時点からはサスペンション機構27の作動が許容される。
【0057】
(リフト動作時)
フォーク21に荷を積載して車両を停止させた状態で、リフトレバー43を上昇側に操作すると、コントローラ67はロック用電磁弁38への通電を停止する。又、リフト用バルブ54が操作され、オイルポンプ52から供給される作動油によってリフトシリンダ22が延出動作する。このため、フォーク21が上昇動作している間はサスペンション機構27の作動が規制される。従って、フォーク21が上昇動作を開始することによる反力が車体14に加わっても、車体14の上下での揺れが小さく抑えられる。
【0058】
リフトレバー43を上昇側から中立位置に操作すると、コントローラ67は規制時間が経過するまではロック用電磁弁38への通電を停止し続ける。又、リフト用バルブ54が操作され、リフトシリンダ22の延出動作が停止する。このため、フォーク21の上昇動作が終了することによる反力が車体14に加わっても、車体14の上下での揺れが小さく抑えられる。
【0059】
尚、フォーク21を下降動作させるときには、サスペンション機構27の作動が許容されたままとなる。フォーク21を下降動作させるとき、サスペンション機構27の作動を規制すると、却って車体14に衝撃が発生することが分かっている。このため、フォーク21を下降動作させるときには、サスペンション機構27の作動を規制しないようにしている。
【0060】
(チルト動作時)
又、フォーク21に荷を積載して車両を停止させた状態で、チルトレバー44を前傾側又は後傾側に操作すると、コントローラ67はロック用電磁弁38への通電を停止する。又、チルト用バルブ55が操作され、チルトシリンダ23が伸縮動作する。従って、フォーク21がチルト動作しているときにはサスペンション機構27の作動が規制される。このため、フォーク21がチルト動作を開始するときの加速度による反力が車体14に加わっても、車体14の前後での揺れが小さく抑えられる。
【0061】
チルトレバー44を前傾側又は後傾側から中立位置に操作すると、コントローラ67は規制時間が経過するまでの間はロック用電磁弁38への通電を停止し続ける。又、チルト用バルブ55が操作され、チルトシリンダ23の伸縮動作が停止する。従って、フォーク21が伸縮動作を終了したことによる反力が車体14に加わっても、車体14の前後での揺れが小さく抑制される。
【0062】
以上詳述した本実施の形態のリーチフォークリフトには、以下に記載する各効果がある。
(1) 荷を積載して車両を停止させた状態でマスト装置16を前進動作又は後進動作させるとき、その動作開始時点及び動作終了時点からそれぞれ規制時間が経過するまでの間はサスペンション機構27の作動が規制される。従って、マスト装置16の前進動作又は後進動作の動作開始又は動作終了に伴うサスペンション機構27の作動が規制され、サスペンション機構27の作動による車体14の前後での揺れが防止される。その結果、車両を停止した状態でマスト装置16をリーチ動作させて荷役作業を行うときに、オペレータが不安を感じる車体14の前後での無用な揺れを抑制することができる。
【0063】
(2) マスト装置16のリーチ動作時に、動作開始時点から規制時間が経過した時点から動作終了時点まではサスペンション機構27の作動が許容される。従って、マスト装置16のリーチ位置の変化に応じたサスペンション機構27の作動が許容され、サスペンション機構27の作動による駆動輪12の輪重調整が確保される。仮にリーチ動作中にサスペンション機構27の作動を継続して規制していた場合には、マスト装置16のリーチ位置の変化に応じたサスペンション機構27の作動が規制され駆動輪12の輪重調整が行われない。このため、リーチ動作の終了時にサスペンション機構27の作動を許容したとき、サスペンション機構27が一気に作動して車体14が急激に揺れることになる。この場合には、リーチ動作の動作開始時点から所定時間経過した時点から動作終了時点までの間ではサスペンション機構27の作動を許容することから、リーチ動作の終了時点に車体14が急激に揺れることはない。
【0064】
(3) 荷を積載して車両をほぼ停止させた状態でフォーク21を上昇動作させるときに、その動作開始時点から、その動作終了時点から規制時間が経過した時点までの間はサスペンション機構27の作動が規制される。従って、フォーク21の上昇動作に伴って加わる荷重によるサスペンション機構27の作動が規制され、車体14の上下での揺れが防止される。その結果、車両を停止した状態でフォーク21を上昇動作させて荷役作業を行うときに、オペレータが不安感を感じる車体14の上下での無用な揺れを抑制することができる。
【0065】
(4) 荷を積載して車両を停止させた状態でフォーク21を前傾動作又は後傾動作させているときに、その動作開始時点から、その動作終了時点から規制時間が経過した時点までの間はサスペンション機構27の作動が規制される。従って、フォーク21の前傾動作又は後傾動作に伴って加わる荷重によるサスペンション機構27の作動が規制され、車体14の前後での揺れが防止される。その結果、車両を停止させた状態での荷役作業でフォーク21をチルト動作させたとき、オペレータが不安感を感じる車体14の前後での無用な揺れを抑制することができる。
【0066】
(5) キースイッチがオンのままで各レバー41,42,43,44が操作されない状態で所定時間を超えて継続したときには、コントローラ67がロック用電磁弁38への通電を停止しサスペンション機構27の作動が規制される。従って、サスペンション機構27の作動が不要な状態では無駄な電力消費を防ぐことができる。
【0067】
以下、上記実施形態以外の発明の実施形態を列挙する。
○ 上記実施形態で、後輪回転数ND が停止回転数未満であるときにサスペンション機構27の作動を規制するようにしたが、後輪回転数ND が「0」、即ち車両が停止しているときにサスペンション機構27の作動を規制してもよい。
【0068】
○ 上記実施形態で、各荷役機器の動作開始時又は動作終了時のいずれか一方のみでサスペンション機構27の作動を規制してもよい。
○ 上記実施形態で、荷役作動検出手段を、マスト装置16のリーチ動作、フォーク21のリフト動作を検出するストロークセンサとしてもよい。ストロークセンサとしては、例えばポテンショメータ等の回転変位センサからなるものがある。詳述すると、ポテンショメータの入力軸を一方に回転するようにスプリング等で付勢するとともに、この入力軸に巻回したワイヤの端部をマスト装置16やインナマスト19に結びつけた構成からなるセンサである。このストロークセンサにより、マスト装置16のリーチ動作やフォーク21のリフト動作を回転変位量の変化として検出する。
【0069】
同様に、フォーク21のチルト動作を、その回動軸の回転変位量として検出する荷役動作検出手段としての回転変位センサで検出してもよい。
○ 上記実施形態で、ロックシリンダ36に代えて緩衝用シリンダを設け、荷役機器の作動に基づいて緩衝用シリンダを作動させることでサスペンション機構27の動作速度を速度制限してもよい。この場合には、荷役機器の動作に伴なうサスペンション機構27の作動が速度制限され、車体14の無用な揺れが抑制される。
【0070】
○ 上記実施形態で、荷役機器は、リーチ装置、リフト装置、チルト装置に限らず、その他、サイドシフト装置等であってもよい。
○ 上記実施形態で、サスペンション機構は、車両の前後方向に直交する平面上で作動する平行リンク機構からなるものであってもよい。
【0071】
○ 上記実施形態で、駆動操舵輪とキャスタ輪とを互いに連動するように支持するサスペンション機構27に限らず、駆動操舵輪とキャスタ輪とを独立して変位可能に支持する独立懸架方式のサスペンション機構に実施する。この場合には、荷役機器が作動するときに、駆動操舵輪及びキャスタ輪の各サスペンション機構の作動を規制する。
【0072】
○ 駆動操舵輪とキャスタ輪とを互いに連動する状態で支持するサスペンション機構27に限らず、キャスタ輪を持たないリーチフォークリフトにおいて駆動操舵輪のみを支持するサスペンション機構に実施する。
【0073】
○ サスペンション装置は、後輪を支持するものに限らず、前輪を支持するものであってもよい。
以下、前述した各実施形態から把握される技術的思想をその効果とともに記載する。
【0074】
(1) 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、前記作動制限手段は、前記懸架機構の作動を許容又は規制することを特徴とする産業車両の車体制御装置。
【0075】
(2) 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限することを特徴とする産業車両の車体制御装置。
【0076】
(3) 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、前記荷役作動検出手段は、前記荷役機器の動作を検出するもの(ポテンショメータ)であることを特徴とする産業車両の車体制御装置。
【0077】
(4) 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置によって、後輪を構成する駆動操舵輪及びキャスタ輪を互いに逆向きに上下変位可能に支持するサスペンション機構の作動を制御するリーチ型フォークリフトトラック。
【0078】
【発明の効果】
請求項1〜請求項8に記載の発明によれば、荷役機器の作動に伴なうサスペンション機構の作動が速度制限又は規制され、荷役機器の作動による車体の揺れが抑制されるので、荷役機器の作動時にオペレータが違和感を感じる車体の無用な揺れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 リーチフォークリフトの走行制御装置を示すブロック図。
【図2】 リーチフォークリフトの概略側面図。
【図3】 同じく概略平面図。
【図4】 サスペンション機構を示す概略平面図。
【図5】 同じく概略背面図。
【図6】 同じく概略側面図。
【符号の説明】
10…産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラック、12…車輪としての駆動操舵輪、13…同じくキャスタ輪、14…車体、16…荷役機器、リーチ装置、リフト装置及びチルト装置を構成するマスト装置、17…荷役機器及びリーチ装置を構成するリーチシリンダ、21…フォーク、22…リフトシリンダ、23…チルトシリンダ、27…懸架機構としてのサスペンション機構、36…作動制限手段を構成するロックシリンダ、38…同じくロック用電磁弁、42…操作手段としてのリーチレバー、43…同じくリフトレバー、44…同じくチルトレバー、62…荷役作動検出手段及び荷役操作検出手段としてのリーチスイッチ、63…同じくリフトスイッチ、64…同じくチルトスイッチ、65…荷検出手段としての圧力センサ、66a,66b…停止状態検出手段を構成する駆動輪回転数センサ、67…停止状態検出手段を構成する作動制御手段としてのコントローラ、68…キースイッチ。

Claims (8)

  1. 産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、
    荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、
    前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え
    前記作動制御手段は、前記荷役機器が作動するときに、その荷役機器の動作開始時点から予め設定された時間が経過するまでの間、及び該荷役機器の動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間の少なくとも一方の間だけ、前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することを特徴とする産業車両の車体制御装置。
  2. 請求項1に記載の産業車両の車体制御装置において、
    前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であって、
    前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であることを特徴とする産業車両の車体制御装置。
  3. 産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、
    荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、
    前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段と、
    車両が停止状態であることを検出する停止状態検出手段と、
    荷役機器に荷が積載されていることを検出する荷検出手段とを備え、
    前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であって、
    前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、
    前記作動制御手段は、前記停止状態検出手段が車両が停止状態であることを検出し、かつ、前記荷検出手段が荷が積載されていることを検出するときにのみ前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴とする産業車両の車体制御装置。
  4. 産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、
    荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、
    前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、
    前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であり、
    前記荷役機器は、マスト装置をリーチシリンダがリーチ動作させるリーチ装置であ
    前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、
    前記作動制御手段は、前記リーチ装置がマスト装置をリーチ動作させるときに、そのリーチ動作の動作開始時点から予め設定された時間が経過するまでの間と、同じく動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とだけ、前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴する産業車両の車体制御装置。
  5. 産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は 速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、
    荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、
    前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、
    前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であり、
    前記荷役機器は、マスト装置に設けられたフォークをリフトシリンダがリフト動作させるリフト装置であ
    前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、
    前記作動制御手段は、前記リフト装置がフォークを上昇させるようにリフト動作させるときに、少なくともその上昇動作の動作開始時点から予め設定された時間が経過するまでの間と、同じく動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とは、前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴するリーチフォークリフトの車体制御装置。
  6. 産業車両の車輪を上下変位可能に支持する懸架機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能な作動制限手段と、
    荷役機器の作動を検出する荷役作動検出手段と、
    前記荷役作動検出手段が前記荷役機器の作動を検出したことに基づき、前記作動制限手段を制御して前記懸架機構の作動を速度制限又は規制することにより前記荷役機器の作動に起因する車体の揺れを抑制する作動制御手段とを備え、
    前記懸架機構は、リーチフォークリフトの後輪を構成する駆動操舵輪とキャスタ輪とを上下に互いに逆向きに変位可能に連結するとともに、車体後部の重量変化に伴なう該駆動操舵輪の輪重変化を抑制するサスペンション機構であり、
    前記荷役機器は、マスト装置に設けられたフォークをチルトシリンダがチルト動作させるチルト装置であ
    前記作動制限手段は、前記サスペンション機構の作動を許容又は速度制限若しくは規制可能であり、
    前記作動制御手段は、前記チルト装置がフォークをチルト動作させるときに、少なくともそのチルト動作の動作開始時点から予め設定させた時間が経過するまでの間と、同じく動作終了時点から予め設定された時間が経過するまでの間とは、前記サスペンション機構の作動を速度制限又は規制することを特徴する産業車両の車体制御装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、
    前記荷役作動検出手段は、前記荷役機器を操作するための操作手段の操作を検出する荷役操作検出手段であることを特徴とする産業車両の車体制御装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の産業車両の車体制御装置において、
    前記作動制限手段は、通電時に前記サスペンション機構の作動を許容し、非通電時に作動を速度制限又は規制するものであって、車両のキースイッチがオン状態のままで、前記荷役機器が作動せず、かつ、車両が走行しない状態が予め設定された時間を超えて継続したときには、前記作動制限手段への通電を停止することを特徴とする産業車両の車体制御装置。
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