JP2004269236A - フォークリフト - Google Patents
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Abstract
【課題】荷役の開始及び終了時に車体が前後や縦軸心周りに動揺することを確実に防止できるフォークリフトを提供する。
【解決手段】リーチ検出手段25、リフト検出手段26、載荷検出手段27、揚高検出手段28、走行操作検出手段29、走行検出手段30から与えられる信号に基づいて前輪ブレーキ制御手段31が、積荷を所定の揚高以上に持上げているフォークリフトを停止させてから所定の安全時間満了以後の荷役中は前輪ブレーキ24を掛け、車体1を左右の前輪11L,11Rの2箇所で路面に制止する。これにより、車体1の前後方向及び縦軸心周りの動揺が防止され、車体1及び積荷の安定性が高まり、安全性も高まる。又、前記動揺による運転者の不安感が無くなる。
【選択図】 図1
【解決手段】リーチ検出手段25、リフト検出手段26、載荷検出手段27、揚高検出手段28、走行操作検出手段29、走行検出手段30から与えられる信号に基づいて前輪ブレーキ制御手段31が、積荷を所定の揚高以上に持上げているフォークリフトを停止させてから所定の安全時間満了以後の荷役中は前輪ブレーキ24を掛け、車体1を左右の前輪11L,11Rの2箇所で路面に制止する。これにより、車体1の前後方向及び縦軸心周りの動揺が防止され、車体1及び積荷の安定性が高まり、安全性も高まる。又、前記動揺による運転者の不安感が無くなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォークリフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3はリーチ型フォークリフトの斜視図であり、図4はその平面図であり、これら図3にと図4とに示すように、リーチ型フォークリフトでは、車体1の前方に左右のストラドルアーム2を張出させ、これら左右のストラドルアーム2の先端部に回転自在に支持させたロードホイールと呼ばれる左右の前輪11L、11Rと、車体1の例えば左側部に支持させたドライブホイールと呼ばれる駆動輪兼操舵輪12と、車体1の右側部に支持させたキャスタ輪とにより走行させる。
【0003】
図3に示すように、車体1の例えば右側部には運転台14が設けられ、この運転台14の前側に設けたアクセル15を操作することにより車体1の前進、後進の方向制御と走行速度の制御が行われ、運転台14の左側に設けたステアリングハンドル16を操作することにより駆動輪兼操舵輪12の蛇角が制御される。
【0004】
図4に示すように、前記駆動輪兼操舵輪12は、ギヤトレイン17を介して車体1の左後部内に配置された走行モータ18に連動させてあり、この走行用モータ18に直結された電磁ブレーキ19またはこれと走行モータのプラギング、回生などの電気制動の併用により制動される。
【0005】
運転台14の床にはデッドマン式のブレーキペダル20が設けられ、運転者がこのブレーキペダル20を踏みつけると前記電磁ブレーキ19(及び電気制動)の作動が解除され、走行可能になる。又、走行中に運転者がこのブレーキペダル20から足を離すと電磁ブレーキ20(及び電気制動)が作動し、駆動輪兼操舵輪12の回転が制止されて車体1が停止し、この後、ブレーキペダル20が踏み込まれるまで、いわゆるサービスブレーキとして前記電磁ブレーキ19が効いている状態が保持される。
【0006】
図3と図4とに示すように、前記左右のストラドルアーム2にはリーチキャリッジ3が前後に進退可能に支持され、このリーチキャリッジ3の前端部に立ち上げた伸縮マスト4にリフトブラケット5を昇降可能に支持させ、このリフトブラケット5にティルトバー6と左右のフォーク7をティルト可能に支持させている。
【0007】
車体1とリーチキャリッジ3とにわたって例えば油圧シリンダからなるリーチシリンダ8が架着され、リーチキャリッジ3に支持させた例えば油圧シリンダからなる左右のリフトシリンダ9が架着され、リフトブラケット5に例えば油圧シリンダからなる左右のティルトシリンダ10を支持させている。
【0008】
前記運転台14の前方にはリーチシリンダ8の伸縮を制御するリーチ操作用ジョイスティック(リーチレバーとも呼ばれている。)21と、ティルトシリンダ10の伸縮を制御するティルト操作用レバー(ティルトレバーとも呼ばれている。)22と、リフトシリンダ9の伸縮を制御するリフト操作用ジョイスティック(リフトレバー共呼ばれている。)23とが例えば左から右に並べて設けられ、これらのジョイスティック21、22、23を適宜操作することにより荷役が行われる。
【0009】
なお、図面においては省略しているが、前記駆動輪兼操舵輪12とキャスタ輪13とは、車体にサスペンション機構を介して懸架され、例えばリーチ操作中に車体の動揺を防ぐためにこのサスペンション機構を油圧ロックする手段が設けられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フォークリフトの操作は走行操作と、フォーク7を前に押し出すリーチ操作、フォーク7を上下するリフト操作及びフォークをティルトさせるティルト操作などの荷役操作とに大別される。この走行操作と荷役操作が同時に行われることは少なく、すなわち、荷役作業の安全性を確保すると共に、走行中の車体及び積荷の安定性を確保するために、荷役操作は車輌を停止して行うように指導されている。
【0011】
しかし、車体1を停止させてサービスブレーキが効いている状態であっても、荷役操作を行った時に、駆動輪兼操舵輪12と走行モータとを連動させるのギヤトレインのバックラッシュや、走行モータ及び駆動輪兼操舵輪12を車体に支持させるリンクやキャスタ輪13を車体1に支持させているリンクの遊びなどが原因となって、車体1が前後に小さく動くことがある。又、駆動輪兼操舵輪12の蛇角が0でない場合には車体1が縦軸心周りに小さく回転することがある。
【0012】
そして、このような小さな前後動や縦軸心周りの小さな回転が運転者の不安感を引き起こすことになる。揚高が高い場合や荷重が大きい場合には、この小さな前後動や縦軸心周りの小さな回転が増幅され、運転者の不安感も増幅される。
【0013】
【特許文献1】
特開平2001−328799号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述の問題を解決するためには、駆動輪のギヤのバックラッシュや上記リンクの遊びをなくすことができればよいのであるが、それではギヤやリンクが円滑に動かなくなり、ギヤやリンクの本来の役割を果たすことができなくなるので、そのようなことはできない。
【0015】
また上記特開2001−328799号公報の技術によれば、車体及び積荷のローリング(前後軸心周りの回転)やピッチング(左右軸心周りの回転)を抑制ないし防止することは可能であるが、車体の前後動やヨーイング(縦軸心周りの回転)を抑制ないし防止することはできない。
【0016】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、荷役操作を行う時にフォークリフトの前後動及び縦軸心周りの回転を確実に防止できるようにしたフォークリフトを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では次のような手段を採用している。
【0018】
まず、フォークリフトの左右の前輪を制止する前輪ブレーキが設けられる。この前輪ブレーキとしては、電磁ブレーキ、電動油圧ブレーキ、電動機械式ブレーキなど電気的にその作動と作動解除ができるものを用いる。
【0019】
次ぎに、当該フォークリフトの荷役操作を検出する少なくとも1つの荷役操作検出手段と、車体の走行を検出する走行検出手段との一方又は両方を設ける。
【0020】
検出される荷役操作としては、その荷役操作の開始時及び停止時に車体に比較的大きな反動が作用するリーチ操作やリフト操作が挙げられるが、荷取時や荷受時のティルト操作やアタッチメント操作などであってもよい。
【0021】
荷役操作検出手段は、特に限定されないが、荷役操作を制御する制御機械系の動きを検出するものと、制御機械系の操作により作動する制御電気系の制御信号又はこれにより制御されたアクチュエータの駆動電流を検出するものと、制御機械系の操作により作動するアクチュエータ又はこれに駆動される部材の動き、即ち、荷役装置の動作量を検出して電気信号を生成するものとに大別される。
【0022】
リーチ操作を検出するリーチ操作検出手段を例にとって説明すれば、制御機械系の動きを検出する例としては、リーチ操作を制御するリーチ操作用ジョイステック(リーチレバー)の操作によりオン・オフ切替えられるスィッチ、センサや、このジョイスティックの操作量の大きさに対応して増大する信号値を有する電気信号を生成するポテンショメータ、エンコーダなどが挙げられ、制御電気系の制御信号を検出する例としては前記リーチ操作用ジョイスティックの操作により作動させる電磁比例弁を制御する制御信号を生成する比例弁制御回路を兼用したり、この制御信号を検出する電流センサを用いたりする。リーチ操作におけるリーチ量を検出する例としては、リーチキャリッジの移動によりオン・オフされるスィッチ、センサの他にポテンショメータ、エンコーダなどが用いられる。
【0023】
前記車体の走行を検出する走行検出手段としては、走行速度を制御するアクセルなどの制御機械系の動きを検出するものと、アクセル操作に基づき走行モータに与えられる電流値又はこの電流値を制御する制御信号など制御電気系の電気量を検出するものと、走行モータ又はこれに連動するギヤ、シャフト、駆動輪などの機械的走行駆動系の動きを検出するもの、走行に伴い回転する前輪の動きを検出するものとがある。
【0024】
ここで、例えば走行モータの回転数を検出するベアリングセンサなど通常設備されている走行検出手段を用いることはコストアップ幅を小さくできるので好ましい。
【0025】
更に、本発明においては、上記走行検出手段を用いて所定時間、例えば1秒以上停車状態が連続したことを検出した時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作開始を検出した時に前記前輪ブレーキの作動を開始させ、この前輪ブレーキの作動中に、前記走行検出手段により該フォークリフトの走行開始が検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作の終了が検出された時にこの前輪ブレーキの作動を停止させる前輪ブレーキ制御手段が設けられる。
【0026】
これにより、走行検出手段を用いてフォークリフトが所定時間連続して停車していることが検出された時からその後に走行検出手段を用いて走行開始が検出されるまでの間、又は走行検出手段を用いてフォークリフトが所定時間連続して停車していることが検出された時から荷役操作検出手段を用いて荷役操作の終了が検出されるまでの間、若しくは荷役操作手段を用いて荷役操作の開始が検出された時から走行検出手段を用いてフォークリフトの走行開始が検出されるまでの間、或いは荷役操作検出手段を用いて荷役操作の開始が検出された時からその終了が検出されるまでの間、前輪ブレーキが作動して、フォークリフトが左右の前輪の2箇所で路面に固定されるという作用を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
本発明は、例えば図4と図5とに示すようなリーチ型フォークリフトに適用され、上述したように、このフォークリフトは車体1の前部に左右一対のストラドルアーム2を備え、これらスドルアーム2の前端部に設けた前輪11L、11Rと、車体1に設けた駆動輪12及び図5に示すキャスタ輪13により走行できるようになっている。
【0029】
そして、図5に示すように、前記左右の各前輪11L、11Rにはこれらを個別に制止させるための例えば電磁ブレーキからなる前輪ブレーキ24が組み付けられている。
【0030】
図1は、本発明の構成を示す機能ブロック図であり、この図1に示すように、このフォークリフトには、リーチ操作を検出するリーチ操作検出手段25と、リフト操作を検出するリフト検出手段26と、負荷、即ち積荷を検出する載荷検出手段27と、搬器、即ち、フォークの揚高を検出する揚高検出手段28と、アクセルの操作を検出する走行操検出手段20と、当該フォークリフトの走行を検出する走行検出手段30と、これら、リーチ検出手段25、リフト操作検出手段26、載荷検出手段27、揚高検出手段28及び走行検出手段30から与えられる信号ないし信号値に従って、前記前輪ブレーキ24の作動をオン・オフ制御する前輪ブレーキ制御手段31と、この前輪ブレーキ制御手段31から与えられるオン・オフ指令に従って前輪ブレーキ24の電源ラインを開閉するドライバ32と、荷役制御手段33とが設けられる。
【0031】
前記リーチ操作検出手段25は、リーチ操作用ジョイスティック21に連動させたポテンショメータからなり、例えばこのジョイスティック21を前方に倒すリーチイン操作時には正値の、後方に倒すリーチアウト操作時には負値のそれぞれ操作量に比例した信号値を有する検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、運転者が手放した時に自動復帰する中立位置にこのジョイスティック21が位置する時には0の信号値を有する非検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成される。
【0032】
又、前記リフト操作検出部26は、リフト操作用ジョイスティック23に連動させたポテンショメータからなり、例えばこのジョイスティック23を前方に倒すリフトアップ操作時には正値の、後方に倒すリフトダウン操作時には負値のそれぞれの操作量に比例する信号値を有する検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、運転者が手放した時に自動復帰する中立位置に位置する時には0の信号値を有する非検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成されている。
【0033】
なお、これらのリーチ操作検出手段26とリフト操作検出手段27は、運転台14の前方で、車体1の上面を覆うコントロールパネルの下方の車体1内に配置されている。
【0034】
前記載荷検出手段27は、例えばリフトシリンダ9の内圧に感応して、この内圧が所定値以上である時にオン信号からなる負荷検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、所定値未満である時にオフ信号からなる無負荷検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与える圧力スィッチで構成される。
【0035】
前記揚高検出手段28は、例えばリーチキャリッジ3に支持させた自動巻取リールの巻取ドラムに連動させたエンコーダからなり、例えばこの自動巻取リールから繰出されたワイヤの先端が固定されるリフトブラケット5が上昇する時にはその上昇量に比例する正値のパルス数信を下降するときには負値のパルス数信号号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成されている。
【0036】
前記走行操作検出手段29は、アクセル15に連動させたポテンショメータからなり、例えばこのアクセル15を前方に倒す前進走行操作時には正値の、後方に倒す後退走行操作時には負値のそれぞれ操作量に比例した信号値を有する検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、運転者が手放した時に自動復帰する中立位置にこのアクセル15が位置する時には0の信号値を有する非検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成される。
【0037】
前記走行検出手段30は、通常、駆動輪12を駆動する走行モータ18にその回転数を検出するために備えつけられているベアリングセンサからなり、走行モータ18が正転、即ち、フォークリフトを前進させる方向に回転するときには正値の、逆転、即ちフォークリフトを後退させる方向に回転するときには負値の回転数の大きさに対応して増加する信号値を有する速度検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与え、走行モータ18が停止している時には0の信号値を有する非検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成されている。
【0038】
前輪ブレーキ制御手段31は、前記リーチ操作検出手段25及びリフト操作検出手段26のいずれか一方検出信号が与えられるか、両方から非検出信号が与えられるかにより荷役操作中であるか否かを判定する荷役操作判定部31aと、前記載荷検出手段27のオン信号が与えられるかオフ信号が与えられるかにより負荷(載荷)の有無を判定する載荷判定部31bとを備える。
【0039】
又、この前輪ブレーキ制御手段31は、前記揚高検出手段28の正値又は負値のパルスによりカウント数が加減されるアップダウンカウンタ(図1においてはU/Dカウンタと表記する。)31cと、このアップダウンカウンタ31cのカウント数に基づいてフォークの揚高が所定値以上か否かを判定する揚高判定部31dとを備える。
【0040】
更に、この前輪ブレーキ制御手段31は、走行操作検出手段29から検出信号が与えられるか非検出信号が与えられるかにより走行操作中か否かを判定する走行操作判定部31eと、走行検出手段30から検出信号が与えられるか非検出信号が与えられるかにより走行中か否かを判定する走行判定部31fと、走行操作判定部29により走行操作有りと判定された時又は走行判定部30により走行中と判定された時にカウントクリアされ、走行判定部30により走行中ではないと判定されるごとにカウントアップされるカウンタ31gと、このカウンタ31gのカウント数が所定値以上か否かにより、前輪ブレーキ実行の可否を判定する安全時間判定部31hとを備える。
【0041】
又更に、この前輪ブレーキ制御手段31は、前輪ブレーキ指令部31iを備え、この前輪ブレーキ指令部31iは、前記荷役判定部31aが荷役中ではないと判定した時、又は前記載荷判定部31bが無載荷と判定した時、若しくは前記揚高判定部31cが所定の揚高未満と判定した時に、前輪ブレーキ24の作動が解除されていることを確認し、前輪ブレーキ24が作動中であればその作動を解除する解除指令を生成するように構成される。
【0042】
また、この前輪ブレーキ指令部31iは、走行操作判定部31eが走行操作中と判定した時、又は走行判定部31fが走行中と判定した時には、実行中の荷役、即ち、フォークのリーチ及び/又はリフトを停止させ、更に、これと同時に、又はこれと前後して、前輪ブレーキ24の作動が解除されていることを確認し、前輪ブレーキ24が作動中であればその作動を解除する解除指令を生成するように構成される。
【0043】
更に、この前輪ブレーキ指令部31iは、前記安全時間判定部31hが前輪ブレーキの実行が可であると判定した時にブレーキ指令を生成するように構成される。
【0044】
ところで、前記前輪ブレーキ制御手段31は、荷役停止指令部31kを備え、この荷役停止指令部31kは、荷役と走行操作とが競合する場合、即ち、前記荷役検出手段31aから検出信号が与えられている場合に、走行操作検出手段31eの検出信号が与えられた時、又は荷役と走行とが競合する場合、即ち、前記荷役検出手段31aから検出信号が与えられている場合に前記安全時間判定部31hが前輪ブレーキの実行を不可と判定した時に、荷役制御手段33に荷役停止指令を与えるように構成される。
【0045】
なお、この前輪ブレーキ制御手段31は、荷役制御手段33と共に、又は、これとは別に、1つのマイクロコンピュータ内に設けたり、マイクロコンピュータを含むIC回路内に設けたりする。
【0046】
前記ドライバ32は、例えばリレースィッチ回路で構成され、前輪ブレーキ制御手段31のブレーキ指令部31iからブレーキ指令が与えられると前輪ブレーキ24の電源回路を閉成し、解除指令を与えられると開くように構成される。
【0047】
前記荷役制御手段33は、前記リーチ操作検出手段25の検出信号と非検出信号とに基づいてリーチシリンダ8への圧油の給排を制御するリーチ用電磁比例制御弁34を制御すると共に、リフト操作検出手段26の検出信号と非検出信号とに基づいてリフトシリンダ9への圧油の給排を制御するリフト用電磁比例制御弁35を制御するように構成されている。
【0048】
又、この荷役制御手段33は、前記荷役停止指令部31kから荷役停止信号を与えられると、リーチ用電磁制御弁34及び/又はリフト用電磁制御弁35を閉弁させて、リーチシリンダ8及び/又はリフトシリンダ9を油圧ロックさせるように構成されている。
【0049】
ところで、図2は前記前輪ブレーキ制御手段31の制御プログラムのフロー図であり、この図2に示す制御プログラムはフォークリフトのメイン電源がオンされている間中、所定の周期で頻繁に繰り返して実行される。
【0050】
この図2に示すように、この制御プログラムが開始すると、前記荷役操作判定部31aにおいて、前記リーチ操作検出手段25の検出信号とリフト操作検出手段26の検出信号との少なくとも一方が与えられているか否かを判定することにより、荷役操作中か否かを判定する(ステップ1)。
【0051】
ここで、荷役操作中でない(NO)と判定されると、前輪ブレーキ24を掛ける必要がないので、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中であるか否かを判定し(ステップ14)、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、解除中でない(ステップ14でNO)と判定された場合には前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了させる。
【0052】
又、ステップ1において、荷役操作中である(YES)と判定されると、載荷判定部31bにおいて、前記載荷検出手段27の検出信号が与えられているか非検出信号が与えられているかにより、負荷の有無を判定する(ステップ2)。
【0053】
このステップ2において、無負荷(NO)と判定された場合には、停車中のフォークリフトが荷役操作の反動で前後に移動したり、縦軸心周りに回転したりするおそれがなく、前輪ブレーキ24を掛ける必要がないので、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定し(S14)、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、又、解除中でない(ステップ14でNO)と判定された場合はドライバ32にオフ指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了させる。
【0054】
前記ステップ2において、負荷有り(YES)と判定された場合には、前記アップダウンカウンタ31cのカウント数に基づいて揚高判定部31dにおいて揚高が一定値以上か否かを判定する(ステップ3)。
【0055】
このステップ3において揚高が一定値未満である(NO)と判定された場合には、停車中の荷役操作の反動が運転者の不安を招かない程度に軽微であり、前輪ブレーキ24を掛ける必要がないので、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定する(ステップ14)。
【0056】
ここで、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、又、解除中ではない(ステップ14でNO)と判定された場合はそのままで、又、そうでない(ステップ14でNO)と判定された場合は前輪ブレーキ制御部31iからドライバ32に解除指令を与え、前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了させる。
【0057】
又、前記ステップ3で揚高が一定値以上である(YES)と判定された場合には、走行操作判定部31eにおいて、前記走行操作検出手段29から検出信号が与えられているか非検出信号が与えられているかによりアクセル操作中か否かが判定される(ステップ4)。
【0058】
このステップ4において、アクセル操作中(YES)と判定された場合には、荷役操作と走行操作とが競合している場合であり、車体や積荷の安定性が損なわれ易い好ましくない状態であるので、前記カウンタ31gのカウントをクリアして(ステップ16)、荷役停止指令部31kにおいて、既に荷役停止指令部31kから荷役制御手段33に荷役停止指令が与えてられている荷役中止中であるか否かを判定する(ステップ12)。
【0059】
ここで、荷役停止中(ステップ12でYES)と判定された場合はそのままで、そうでない(ステップ12でNO)と判定された場合には荷役停止指令を与えて荷役を停止させてから(ステップ13)、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24が作動中か否かを判定する(ステップ14)。
【0060】
ここで、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、又、解除中でない(ステップ14でNO)と判定された場合には、前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与え、前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了する。
【0061】
なお、前記ステップ11及びステップ12と、ステップ13及びステップ14は平行して実行してもよく、逆順で実行してもよい。
【0062】
ところで、前記ステップ4において、アクセル操作中ではない(NO)と判定された場合には、走行判定部31fにおいて、前記走行検出手段30から検出信号が与えられているか非検出信号が与えられているかにより、走行中か否かを判定する(ステップ5)。
【0063】
このステップ5において、走行中である(YES)と判定される場合としては、走行操作が終了した後、フォークリフトが惰行している間に荷役操作に着手した場合と、走行操作中に荷役操作に着手してから走行操作を終了させた場合と、走行操作の終了と同時に荷役操作が開始された場合とがある。
【0064】
これらの場合には、走行と荷役とが競合し、車体や積荷の安定性が損なわれ易い好ましくない状態になっているので、前記カウンタ31gのカウントをクリアしてから(ステップ16)、荷役停止指令部31kにおいて、既に荷役停止指令部31kから荷役制御手段33に荷役停止指令が与えてられている荷役中止中であるか否かを判定する(ステップ12)。
【0065】
ここで、荷役停止中(ステップ12でYES)と判定された場合はそのままで、そうでない(ステップ12でNO)と判定された場合には荷役停止指令を与えて荷役を停止させてから(ステップ13)、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24が作動中か否かを判定する(ステップ14)。
【0066】
これの後(これと同時、又はこれの前でもよい。)、前記前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定し(ステップ14)、解除中ではない(NO)と判定された場合には前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了する。
【0067】
前記ステップ5において停車中である(NO)と判定された場合には、前記安全時間判定部31hにおいて、前記カウンタ31gのカウント数に基づいて走行検出手段30の非検出信号が所定時間、例えば1秒以上連続しているか否かを判定することにより、安全時間が経過したか否かを判定する(ステップ6)。
【0068】
この安全時間は、走行終了時に慣性により生じる車体や積荷の動揺が収まるのを待つために設定された時間であり、これにより停車後に行われる荷役の安全性及び安定性が高められているのである。
【0069】
前記ステップ6において、安全時間経過(YES)と判定される場合には、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ作動中か否かを判定し(ステップ7)、作動中(YES)と判定した場合はそのままで、作動中でない(ステップ7でNO)と判定した場合には、前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32にブレーキ指令を与えて、前輪ブレーキ24を作動させてから(ステップ8)、前記荷役停止指令部31kにおいて、既に荷役停止指令が発令されている荷役停止中か否かを判定する(ステップ9)。
【0070】
ここで、荷役停止中でない(NO)と判定した場合にはそのままで、又、荷役停止中(YES)と判定した場合は荷役停止指令部31kから荷役制御手段33に荷役停止指令与えてを荷役停止を解除して(ステップ10)、荷役制御手段33による荷役制御を可能な状態で制御プログラムを終了する。
【0071】
もっとも、前記ステップ7及びステップ8とステップ9及びステップ10とは同時に並行して実行してもよく、また、逆順で実行してもよい。
【0072】
前記ステップ6において安全時間が満了していない(NO)と判定された場合には、前記カウンタ31gのカウント値を例えば1カウントだけカウントアップさせ(ステップ11)、この後、荷役制御指令部31kにおいて荷役停止中であるか否かを判定し(ステップ12)、荷役停止中ではない(NO)と判定された場合には荷役停止指令部31kから荷役制御部33に荷役停止指令を与えて荷役を停止させる(ステップ13)。
【0073】
これの後に(これと同時に、又はこれの前にでもよい。)、前記前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定し(ステップ14)、解除中ではない(NO)と判定された場合には前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了する。
【0074】
以上の制御プログラムによれば、このフォークリフトが積荷を所定の揚高以上に高く持上げている場合には、例えば、走行操作、即ち、アクセル15の操作の終了前にリーチ用ジョイスティック21やリフト用ジョイスティック23を操作すると、現実にフォークリフトの走行が停止した後、所定の安全時間が経過するまでは荷役操作は無効になり、走行停止後この安全時間が経過した時に前輪ブレーキ24が作動すると共に、ジョイスティック21、23の操作が有効になり、リーチ、リフトといった荷役が開始される。
【0075】
走行操作終了後、現実の停車前に、或いは、フォークリフトの現実の停車後、安全時間の満了前にリーチ用ジョイスティック21やリフト用ジョイスティック23を操作した場合も同様である。
【0076】
フォークリフトが現実に停車した後、安全時間満了以後にリーチ用ジョイスティック21やリフト用ジョイスティック23を操作した場合には、その操作の開始と同時に前輪ブレーキ24が作動する。
【0077】
そして、この前輪ブレーキ24の作動は、リーチ用ジョイスティック21とリフト用ジョイスティック23との操作が両方とも終了した時、又は、これらの操作の終了前でも、アクセル15の操作が開始された時に解除される。
【0078】
この前輪ブレーキ24により制動は、ギヤとレイン17のバックラッシュや駆動輪兼操舵輪12やキャスタ輪13を車体1に支持するリンクのガタツキ(遊動)とは関係なく作用するので、
即ち、このフォークリフトによれば、所定の揚高以上に荷物を持上げている場合には、走行操作を開始してから走行操作が終了され、更に車体1が停止した後、所定の安全時間が経過するまでの間はリーチ、リフトなどの荷役ができなくなるのである。
【0079】
又、このフォークリフトによれば、荷役が実行されている間は前輪ブレーキ24が作動し、車体1がこの前輪ブレーキ24により左右の前輪11L、11Rの2点で路面に制止されるので、荷役の開始時や終了時のショックにより車体1が前後に移動することや、縦軸心周りに回転することが確実に防止される。これにより、車体1及び積荷の安定性が高められると共に、荷崩れが起こり難くなるので荷役作業の安全性が高められる上、荷役開始時や荷役終了時に運転者が前後方向や縦軸心周りの動揺により不安を感じるおそれを解消できるのである。
【0080】
【発明の効果】
本発明は以上に説明した構成され、作用するので、本発明によれば、荷役中は車体が前輪の2箇所で路面に制動されるという作用を得ることができ、この作用により、荷役の開始時や終了に際して、車体が前後や縦軸心周りに動揺することを確実に防ぐことができ、車体及び積荷の安定性と荷役作業の安全性とを高められる上、この動揺により運転者が不安を抱くおそれを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能ブロック図である。
【図2】本発明のフロー図である。
【図3】本発明の斜視図である。
【図4】本発明の平面図である。
【符号の説明】
11L、11R 前輪
24 前輪ブレーキ
25 リーチ操作検出手段
26 リフト操作検出手段
27 載荷検出手段
28 揚高検出手段
29 走行操作検出手段
30 走行検出手段
31 前輪ブレーキ制御手段
33 荷役操作制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明はフォークリフトに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3はリーチ型フォークリフトの斜視図であり、図4はその平面図であり、これら図3にと図4とに示すように、リーチ型フォークリフトでは、車体1の前方に左右のストラドルアーム2を張出させ、これら左右のストラドルアーム2の先端部に回転自在に支持させたロードホイールと呼ばれる左右の前輪11L、11Rと、車体1の例えば左側部に支持させたドライブホイールと呼ばれる駆動輪兼操舵輪12と、車体1の右側部に支持させたキャスタ輪とにより走行させる。
【0003】
図3に示すように、車体1の例えば右側部には運転台14が設けられ、この運転台14の前側に設けたアクセル15を操作することにより車体1の前進、後進の方向制御と走行速度の制御が行われ、運転台14の左側に設けたステアリングハンドル16を操作することにより駆動輪兼操舵輪12の蛇角が制御される。
【0004】
図4に示すように、前記駆動輪兼操舵輪12は、ギヤトレイン17を介して車体1の左後部内に配置された走行モータ18に連動させてあり、この走行用モータ18に直結された電磁ブレーキ19またはこれと走行モータのプラギング、回生などの電気制動の併用により制動される。
【0005】
運転台14の床にはデッドマン式のブレーキペダル20が設けられ、運転者がこのブレーキペダル20を踏みつけると前記電磁ブレーキ19(及び電気制動)の作動が解除され、走行可能になる。又、走行中に運転者がこのブレーキペダル20から足を離すと電磁ブレーキ20(及び電気制動)が作動し、駆動輪兼操舵輪12の回転が制止されて車体1が停止し、この後、ブレーキペダル20が踏み込まれるまで、いわゆるサービスブレーキとして前記電磁ブレーキ19が効いている状態が保持される。
【0006】
図3と図4とに示すように、前記左右のストラドルアーム2にはリーチキャリッジ3が前後に進退可能に支持され、このリーチキャリッジ3の前端部に立ち上げた伸縮マスト4にリフトブラケット5を昇降可能に支持させ、このリフトブラケット5にティルトバー6と左右のフォーク7をティルト可能に支持させている。
【0007】
車体1とリーチキャリッジ3とにわたって例えば油圧シリンダからなるリーチシリンダ8が架着され、リーチキャリッジ3に支持させた例えば油圧シリンダからなる左右のリフトシリンダ9が架着され、リフトブラケット5に例えば油圧シリンダからなる左右のティルトシリンダ10を支持させている。
【0008】
前記運転台14の前方にはリーチシリンダ8の伸縮を制御するリーチ操作用ジョイスティック(リーチレバーとも呼ばれている。)21と、ティルトシリンダ10の伸縮を制御するティルト操作用レバー(ティルトレバーとも呼ばれている。)22と、リフトシリンダ9の伸縮を制御するリフト操作用ジョイスティック(リフトレバー共呼ばれている。)23とが例えば左から右に並べて設けられ、これらのジョイスティック21、22、23を適宜操作することにより荷役が行われる。
【0009】
なお、図面においては省略しているが、前記駆動輪兼操舵輪12とキャスタ輪13とは、車体にサスペンション機構を介して懸架され、例えばリーチ操作中に車体の動揺を防ぐためにこのサスペンション機構を油圧ロックする手段が設けられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フォークリフトの操作は走行操作と、フォーク7を前に押し出すリーチ操作、フォーク7を上下するリフト操作及びフォークをティルトさせるティルト操作などの荷役操作とに大別される。この走行操作と荷役操作が同時に行われることは少なく、すなわち、荷役作業の安全性を確保すると共に、走行中の車体及び積荷の安定性を確保するために、荷役操作は車輌を停止して行うように指導されている。
【0011】
しかし、車体1を停止させてサービスブレーキが効いている状態であっても、荷役操作を行った時に、駆動輪兼操舵輪12と走行モータとを連動させるのギヤトレインのバックラッシュや、走行モータ及び駆動輪兼操舵輪12を車体に支持させるリンクやキャスタ輪13を車体1に支持させているリンクの遊びなどが原因となって、車体1が前後に小さく動くことがある。又、駆動輪兼操舵輪12の蛇角が0でない場合には車体1が縦軸心周りに小さく回転することがある。
【0012】
そして、このような小さな前後動や縦軸心周りの小さな回転が運転者の不安感を引き起こすことになる。揚高が高い場合や荷重が大きい場合には、この小さな前後動や縦軸心周りの小さな回転が増幅され、運転者の不安感も増幅される。
【0013】
【特許文献1】
特開平2001−328799号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述の問題を解決するためには、駆動輪のギヤのバックラッシュや上記リンクの遊びをなくすことができればよいのであるが、それではギヤやリンクが円滑に動かなくなり、ギヤやリンクの本来の役割を果たすことができなくなるので、そのようなことはできない。
【0015】
また上記特開2001−328799号公報の技術によれば、車体及び積荷のローリング(前後軸心周りの回転)やピッチング(左右軸心周りの回転)を抑制ないし防止することは可能であるが、車体の前後動やヨーイング(縦軸心周りの回転)を抑制ないし防止することはできない。
【0016】
本発明は以上のような問題に鑑みてなされたものであり、荷役操作を行う時にフォークリフトの前後動及び縦軸心周りの回転を確実に防止できるようにしたフォークリフトを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では次のような手段を採用している。
【0018】
まず、フォークリフトの左右の前輪を制止する前輪ブレーキが設けられる。この前輪ブレーキとしては、電磁ブレーキ、電動油圧ブレーキ、電動機械式ブレーキなど電気的にその作動と作動解除ができるものを用いる。
【0019】
次ぎに、当該フォークリフトの荷役操作を検出する少なくとも1つの荷役操作検出手段と、車体の走行を検出する走行検出手段との一方又は両方を設ける。
【0020】
検出される荷役操作としては、その荷役操作の開始時及び停止時に車体に比較的大きな反動が作用するリーチ操作やリフト操作が挙げられるが、荷取時や荷受時のティルト操作やアタッチメント操作などであってもよい。
【0021】
荷役操作検出手段は、特に限定されないが、荷役操作を制御する制御機械系の動きを検出するものと、制御機械系の操作により作動する制御電気系の制御信号又はこれにより制御されたアクチュエータの駆動電流を検出するものと、制御機械系の操作により作動するアクチュエータ又はこれに駆動される部材の動き、即ち、荷役装置の動作量を検出して電気信号を生成するものとに大別される。
【0022】
リーチ操作を検出するリーチ操作検出手段を例にとって説明すれば、制御機械系の動きを検出する例としては、リーチ操作を制御するリーチ操作用ジョイステック(リーチレバー)の操作によりオン・オフ切替えられるスィッチ、センサや、このジョイスティックの操作量の大きさに対応して増大する信号値を有する電気信号を生成するポテンショメータ、エンコーダなどが挙げられ、制御電気系の制御信号を検出する例としては前記リーチ操作用ジョイスティックの操作により作動させる電磁比例弁を制御する制御信号を生成する比例弁制御回路を兼用したり、この制御信号を検出する電流センサを用いたりする。リーチ操作におけるリーチ量を検出する例としては、リーチキャリッジの移動によりオン・オフされるスィッチ、センサの他にポテンショメータ、エンコーダなどが用いられる。
【0023】
前記車体の走行を検出する走行検出手段としては、走行速度を制御するアクセルなどの制御機械系の動きを検出するものと、アクセル操作に基づき走行モータに与えられる電流値又はこの電流値を制御する制御信号など制御電気系の電気量を検出するものと、走行モータ又はこれに連動するギヤ、シャフト、駆動輪などの機械的走行駆動系の動きを検出するもの、走行に伴い回転する前輪の動きを検出するものとがある。
【0024】
ここで、例えば走行モータの回転数を検出するベアリングセンサなど通常設備されている走行検出手段を用いることはコストアップ幅を小さくできるので好ましい。
【0025】
更に、本発明においては、上記走行検出手段を用いて所定時間、例えば1秒以上停車状態が連続したことを検出した時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作開始を検出した時に前記前輪ブレーキの作動を開始させ、この前輪ブレーキの作動中に、前記走行検出手段により該フォークリフトの走行開始が検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作の終了が検出された時にこの前輪ブレーキの作動を停止させる前輪ブレーキ制御手段が設けられる。
【0026】
これにより、走行検出手段を用いてフォークリフトが所定時間連続して停車していることが検出された時からその後に走行検出手段を用いて走行開始が検出されるまでの間、又は走行検出手段を用いてフォークリフトが所定時間連続して停車していることが検出された時から荷役操作検出手段を用いて荷役操作の終了が検出されるまでの間、若しくは荷役操作手段を用いて荷役操作の開始が検出された時から走行検出手段を用いてフォークリフトの走行開始が検出されるまでの間、或いは荷役操作検出手段を用いて荷役操作の開始が検出された時からその終了が検出されるまでの間、前輪ブレーキが作動して、フォークリフトが左右の前輪の2箇所で路面に固定されるという作用を得ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0028】
本発明は、例えば図4と図5とに示すようなリーチ型フォークリフトに適用され、上述したように、このフォークリフトは車体1の前部に左右一対のストラドルアーム2を備え、これらスドルアーム2の前端部に設けた前輪11L、11Rと、車体1に設けた駆動輪12及び図5に示すキャスタ輪13により走行できるようになっている。
【0029】
そして、図5に示すように、前記左右の各前輪11L、11Rにはこれらを個別に制止させるための例えば電磁ブレーキからなる前輪ブレーキ24が組み付けられている。
【0030】
図1は、本発明の構成を示す機能ブロック図であり、この図1に示すように、このフォークリフトには、リーチ操作を検出するリーチ操作検出手段25と、リフト操作を検出するリフト検出手段26と、負荷、即ち積荷を検出する載荷検出手段27と、搬器、即ち、フォークの揚高を検出する揚高検出手段28と、アクセルの操作を検出する走行操検出手段20と、当該フォークリフトの走行を検出する走行検出手段30と、これら、リーチ検出手段25、リフト操作検出手段26、載荷検出手段27、揚高検出手段28及び走行検出手段30から与えられる信号ないし信号値に従って、前記前輪ブレーキ24の作動をオン・オフ制御する前輪ブレーキ制御手段31と、この前輪ブレーキ制御手段31から与えられるオン・オフ指令に従って前輪ブレーキ24の電源ラインを開閉するドライバ32と、荷役制御手段33とが設けられる。
【0031】
前記リーチ操作検出手段25は、リーチ操作用ジョイスティック21に連動させたポテンショメータからなり、例えばこのジョイスティック21を前方に倒すリーチイン操作時には正値の、後方に倒すリーチアウト操作時には負値のそれぞれ操作量に比例した信号値を有する検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、運転者が手放した時に自動復帰する中立位置にこのジョイスティック21が位置する時には0の信号値を有する非検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成される。
【0032】
又、前記リフト操作検出部26は、リフト操作用ジョイスティック23に連動させたポテンショメータからなり、例えばこのジョイスティック23を前方に倒すリフトアップ操作時には正値の、後方に倒すリフトダウン操作時には負値のそれぞれの操作量に比例する信号値を有する検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、運転者が手放した時に自動復帰する中立位置に位置する時には0の信号値を有する非検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成されている。
【0033】
なお、これらのリーチ操作検出手段26とリフト操作検出手段27は、運転台14の前方で、車体1の上面を覆うコントロールパネルの下方の車体1内に配置されている。
【0034】
前記載荷検出手段27は、例えばリフトシリンダ9の内圧に感応して、この内圧が所定値以上である時にオン信号からなる負荷検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、所定値未満である時にオフ信号からなる無負荷検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与える圧力スィッチで構成される。
【0035】
前記揚高検出手段28は、例えばリーチキャリッジ3に支持させた自動巻取リールの巻取ドラムに連動させたエンコーダからなり、例えばこの自動巻取リールから繰出されたワイヤの先端が固定されるリフトブラケット5が上昇する時にはその上昇量に比例する正値のパルス数信を下降するときには負値のパルス数信号号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成されている。
【0036】
前記走行操作検出手段29は、アクセル15に連動させたポテンショメータからなり、例えばこのアクセル15を前方に倒す前進走行操作時には正値の、後方に倒す後退走行操作時には負値のそれぞれ操作量に比例した信号値を有する検出信号を前記前輪ブレーキ制御手段31に与え、運転者が手放した時に自動復帰する中立位置にこのアクセル15が位置する時には0の信号値を有する非検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成される。
【0037】
前記走行検出手段30は、通常、駆動輪12を駆動する走行モータ18にその回転数を検出するために備えつけられているベアリングセンサからなり、走行モータ18が正転、即ち、フォークリフトを前進させる方向に回転するときには正値の、逆転、即ちフォークリフトを後退させる方向に回転するときには負値の回転数の大きさに対応して増加する信号値を有する速度検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与え、走行モータ18が停止している時には0の信号値を有する非検出信号を前輪ブレーキ制御手段31に与えるように構成されている。
【0038】
前輪ブレーキ制御手段31は、前記リーチ操作検出手段25及びリフト操作検出手段26のいずれか一方検出信号が与えられるか、両方から非検出信号が与えられるかにより荷役操作中であるか否かを判定する荷役操作判定部31aと、前記載荷検出手段27のオン信号が与えられるかオフ信号が与えられるかにより負荷(載荷)の有無を判定する載荷判定部31bとを備える。
【0039】
又、この前輪ブレーキ制御手段31は、前記揚高検出手段28の正値又は負値のパルスによりカウント数が加減されるアップダウンカウンタ(図1においてはU/Dカウンタと表記する。)31cと、このアップダウンカウンタ31cのカウント数に基づいてフォークの揚高が所定値以上か否かを判定する揚高判定部31dとを備える。
【0040】
更に、この前輪ブレーキ制御手段31は、走行操作検出手段29から検出信号が与えられるか非検出信号が与えられるかにより走行操作中か否かを判定する走行操作判定部31eと、走行検出手段30から検出信号が与えられるか非検出信号が与えられるかにより走行中か否かを判定する走行判定部31fと、走行操作判定部29により走行操作有りと判定された時又は走行判定部30により走行中と判定された時にカウントクリアされ、走行判定部30により走行中ではないと判定されるごとにカウントアップされるカウンタ31gと、このカウンタ31gのカウント数が所定値以上か否かにより、前輪ブレーキ実行の可否を判定する安全時間判定部31hとを備える。
【0041】
又更に、この前輪ブレーキ制御手段31は、前輪ブレーキ指令部31iを備え、この前輪ブレーキ指令部31iは、前記荷役判定部31aが荷役中ではないと判定した時、又は前記載荷判定部31bが無載荷と判定した時、若しくは前記揚高判定部31cが所定の揚高未満と判定した時に、前輪ブレーキ24の作動が解除されていることを確認し、前輪ブレーキ24が作動中であればその作動を解除する解除指令を生成するように構成される。
【0042】
また、この前輪ブレーキ指令部31iは、走行操作判定部31eが走行操作中と判定した時、又は走行判定部31fが走行中と判定した時には、実行中の荷役、即ち、フォークのリーチ及び/又はリフトを停止させ、更に、これと同時に、又はこれと前後して、前輪ブレーキ24の作動が解除されていることを確認し、前輪ブレーキ24が作動中であればその作動を解除する解除指令を生成するように構成される。
【0043】
更に、この前輪ブレーキ指令部31iは、前記安全時間判定部31hが前輪ブレーキの実行が可であると判定した時にブレーキ指令を生成するように構成される。
【0044】
ところで、前記前輪ブレーキ制御手段31は、荷役停止指令部31kを備え、この荷役停止指令部31kは、荷役と走行操作とが競合する場合、即ち、前記荷役検出手段31aから検出信号が与えられている場合に、走行操作検出手段31eの検出信号が与えられた時、又は荷役と走行とが競合する場合、即ち、前記荷役検出手段31aから検出信号が与えられている場合に前記安全時間判定部31hが前輪ブレーキの実行を不可と判定した時に、荷役制御手段33に荷役停止指令を与えるように構成される。
【0045】
なお、この前輪ブレーキ制御手段31は、荷役制御手段33と共に、又は、これとは別に、1つのマイクロコンピュータ内に設けたり、マイクロコンピュータを含むIC回路内に設けたりする。
【0046】
前記ドライバ32は、例えばリレースィッチ回路で構成され、前輪ブレーキ制御手段31のブレーキ指令部31iからブレーキ指令が与えられると前輪ブレーキ24の電源回路を閉成し、解除指令を与えられると開くように構成される。
【0047】
前記荷役制御手段33は、前記リーチ操作検出手段25の検出信号と非検出信号とに基づいてリーチシリンダ8への圧油の給排を制御するリーチ用電磁比例制御弁34を制御すると共に、リフト操作検出手段26の検出信号と非検出信号とに基づいてリフトシリンダ9への圧油の給排を制御するリフト用電磁比例制御弁35を制御するように構成されている。
【0048】
又、この荷役制御手段33は、前記荷役停止指令部31kから荷役停止信号を与えられると、リーチ用電磁制御弁34及び/又はリフト用電磁制御弁35を閉弁させて、リーチシリンダ8及び/又はリフトシリンダ9を油圧ロックさせるように構成されている。
【0049】
ところで、図2は前記前輪ブレーキ制御手段31の制御プログラムのフロー図であり、この図2に示す制御プログラムはフォークリフトのメイン電源がオンされている間中、所定の周期で頻繁に繰り返して実行される。
【0050】
この図2に示すように、この制御プログラムが開始すると、前記荷役操作判定部31aにおいて、前記リーチ操作検出手段25の検出信号とリフト操作検出手段26の検出信号との少なくとも一方が与えられているか否かを判定することにより、荷役操作中か否かを判定する(ステップ1)。
【0051】
ここで、荷役操作中でない(NO)と判定されると、前輪ブレーキ24を掛ける必要がないので、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中であるか否かを判定し(ステップ14)、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、解除中でない(ステップ14でNO)と判定された場合には前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了させる。
【0052】
又、ステップ1において、荷役操作中である(YES)と判定されると、載荷判定部31bにおいて、前記載荷検出手段27の検出信号が与えられているか非検出信号が与えられているかにより、負荷の有無を判定する(ステップ2)。
【0053】
このステップ2において、無負荷(NO)と判定された場合には、停車中のフォークリフトが荷役操作の反動で前後に移動したり、縦軸心周りに回転したりするおそれがなく、前輪ブレーキ24を掛ける必要がないので、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定し(S14)、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、又、解除中でない(ステップ14でNO)と判定された場合はドライバ32にオフ指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了させる。
【0054】
前記ステップ2において、負荷有り(YES)と判定された場合には、前記アップダウンカウンタ31cのカウント数に基づいて揚高判定部31dにおいて揚高が一定値以上か否かを判定する(ステップ3)。
【0055】
このステップ3において揚高が一定値未満である(NO)と判定された場合には、停車中の荷役操作の反動が運転者の不安を招かない程度に軽微であり、前輪ブレーキ24を掛ける必要がないので、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定する(ステップ14)。
【0056】
ここで、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、又、解除中ではない(ステップ14でNO)と判定された場合はそのままで、又、そうでない(ステップ14でNO)と判定された場合は前輪ブレーキ制御部31iからドライバ32に解除指令を与え、前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了させる。
【0057】
又、前記ステップ3で揚高が一定値以上である(YES)と判定された場合には、走行操作判定部31eにおいて、前記走行操作検出手段29から検出信号が与えられているか非検出信号が与えられているかによりアクセル操作中か否かが判定される(ステップ4)。
【0058】
このステップ4において、アクセル操作中(YES)と判定された場合には、荷役操作と走行操作とが競合している場合であり、車体や積荷の安定性が損なわれ易い好ましくない状態であるので、前記カウンタ31gのカウントをクリアして(ステップ16)、荷役停止指令部31kにおいて、既に荷役停止指令部31kから荷役制御手段33に荷役停止指令が与えてられている荷役中止中であるか否かを判定する(ステップ12)。
【0059】
ここで、荷役停止中(ステップ12でYES)と判定された場合はそのままで、そうでない(ステップ12でNO)と判定された場合には荷役停止指令を与えて荷役を停止させてから(ステップ13)、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24が作動中か否かを判定する(ステップ14)。
【0060】
ここで、解除中(ステップ14でYES)と判定された場合はそのままで、又、解除中でない(ステップ14でNO)と判定された場合には、前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与え、前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了する。
【0061】
なお、前記ステップ11及びステップ12と、ステップ13及びステップ14は平行して実行してもよく、逆順で実行してもよい。
【0062】
ところで、前記ステップ4において、アクセル操作中ではない(NO)と判定された場合には、走行判定部31fにおいて、前記走行検出手段30から検出信号が与えられているか非検出信号が与えられているかにより、走行中か否かを判定する(ステップ5)。
【0063】
このステップ5において、走行中である(YES)と判定される場合としては、走行操作が終了した後、フォークリフトが惰行している間に荷役操作に着手した場合と、走行操作中に荷役操作に着手してから走行操作を終了させた場合と、走行操作の終了と同時に荷役操作が開始された場合とがある。
【0064】
これらの場合には、走行と荷役とが競合し、車体や積荷の安定性が損なわれ易い好ましくない状態になっているので、前記カウンタ31gのカウントをクリアしてから(ステップ16)、荷役停止指令部31kにおいて、既に荷役停止指令部31kから荷役制御手段33に荷役停止指令が与えてられている荷役中止中であるか否かを判定する(ステップ12)。
【0065】
ここで、荷役停止中(ステップ12でYES)と判定された場合はそのままで、そうでない(ステップ12でNO)と判定された場合には荷役停止指令を与えて荷役を停止させてから(ステップ13)、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24が作動中か否かを判定する(ステップ14)。
【0066】
これの後(これと同時、又はこれの前でもよい。)、前記前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定し(ステップ14)、解除中ではない(NO)と判定された場合には前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了する。
【0067】
前記ステップ5において停車中である(NO)と判定された場合には、前記安全時間判定部31hにおいて、前記カウンタ31gのカウント数に基づいて走行検出手段30の非検出信号が所定時間、例えば1秒以上連続しているか否かを判定することにより、安全時間が経過したか否かを判定する(ステップ6)。
【0068】
この安全時間は、走行終了時に慣性により生じる車体や積荷の動揺が収まるのを待つために設定された時間であり、これにより停車後に行われる荷役の安全性及び安定性が高められているのである。
【0069】
前記ステップ6において、安全時間経過(YES)と判定される場合には、前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ作動中か否かを判定し(ステップ7)、作動中(YES)と判定した場合はそのままで、作動中でない(ステップ7でNO)と判定した場合には、前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32にブレーキ指令を与えて、前輪ブレーキ24を作動させてから(ステップ8)、前記荷役停止指令部31kにおいて、既に荷役停止指令が発令されている荷役停止中か否かを判定する(ステップ9)。
【0070】
ここで、荷役停止中でない(NO)と判定した場合にはそのままで、又、荷役停止中(YES)と判定した場合は荷役停止指令部31kから荷役制御手段33に荷役停止指令与えてを荷役停止を解除して(ステップ10)、荷役制御手段33による荷役制御を可能な状態で制御プログラムを終了する。
【0071】
もっとも、前記ステップ7及びステップ8とステップ9及びステップ10とは同時に並行して実行してもよく、また、逆順で実行してもよい。
【0072】
前記ステップ6において安全時間が満了していない(NO)と判定された場合には、前記カウンタ31gのカウント値を例えば1カウントだけカウントアップさせ(ステップ11)、この後、荷役制御指令部31kにおいて荷役停止中であるか否かを判定し(ステップ12)、荷役停止中ではない(NO)と判定された場合には荷役停止指令部31kから荷役制御部33に荷役停止指令を与えて荷役を停止させる(ステップ13)。
【0073】
これの後に(これと同時に、又はこれの前にでもよい。)、前記前輪ブレーキ指令部31iにおいて、前輪ブレーキ24の作動が解除中か否かを判定し(ステップ14)、解除中ではない(NO)と判定された場合には前輪ブレーキ指令部31iからドライバ32に解除指令を与えて前輪ブレーキ24の作動を解除させてから(ステップ15)、制御プログラムを終了する。
【0074】
以上の制御プログラムによれば、このフォークリフトが積荷を所定の揚高以上に高く持上げている場合には、例えば、走行操作、即ち、アクセル15の操作の終了前にリーチ用ジョイスティック21やリフト用ジョイスティック23を操作すると、現実にフォークリフトの走行が停止した後、所定の安全時間が経過するまでは荷役操作は無効になり、走行停止後この安全時間が経過した時に前輪ブレーキ24が作動すると共に、ジョイスティック21、23の操作が有効になり、リーチ、リフトといった荷役が開始される。
【0075】
走行操作終了後、現実の停車前に、或いは、フォークリフトの現実の停車後、安全時間の満了前にリーチ用ジョイスティック21やリフト用ジョイスティック23を操作した場合も同様である。
【0076】
フォークリフトが現実に停車した後、安全時間満了以後にリーチ用ジョイスティック21やリフト用ジョイスティック23を操作した場合には、その操作の開始と同時に前輪ブレーキ24が作動する。
【0077】
そして、この前輪ブレーキ24の作動は、リーチ用ジョイスティック21とリフト用ジョイスティック23との操作が両方とも終了した時、又は、これらの操作の終了前でも、アクセル15の操作が開始された時に解除される。
【0078】
この前輪ブレーキ24により制動は、ギヤとレイン17のバックラッシュや駆動輪兼操舵輪12やキャスタ輪13を車体1に支持するリンクのガタツキ(遊動)とは関係なく作用するので、
即ち、このフォークリフトによれば、所定の揚高以上に荷物を持上げている場合には、走行操作を開始してから走行操作が終了され、更に車体1が停止した後、所定の安全時間が経過するまでの間はリーチ、リフトなどの荷役ができなくなるのである。
【0079】
又、このフォークリフトによれば、荷役が実行されている間は前輪ブレーキ24が作動し、車体1がこの前輪ブレーキ24により左右の前輪11L、11Rの2点で路面に制止されるので、荷役の開始時や終了時のショックにより車体1が前後に移動することや、縦軸心周りに回転することが確実に防止される。これにより、車体1及び積荷の安定性が高められると共に、荷崩れが起こり難くなるので荷役作業の安全性が高められる上、荷役開始時や荷役終了時に運転者が前後方向や縦軸心周りの動揺により不安を感じるおそれを解消できるのである。
【0080】
【発明の効果】
本発明は以上に説明した構成され、作用するので、本発明によれば、荷役中は車体が前輪の2箇所で路面に制動されるという作用を得ることができ、この作用により、荷役の開始時や終了に際して、車体が前後や縦軸心周りに動揺することを確実に防ぐことができ、車体及び積荷の安定性と荷役作業の安全性とを高められる上、この動揺により運転者が不安を抱くおそれを解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機能ブロック図である。
【図2】本発明のフロー図である。
【図3】本発明の斜視図である。
【図4】本発明の平面図である。
【符号の説明】
11L、11R 前輪
24 前輪ブレーキ
25 リーチ操作検出手段
26 リフト操作検出手段
27 載荷検出手段
28 揚高検出手段
29 走行操作検出手段
30 走行検出手段
31 前輪ブレーキ制御手段
33 荷役操作制御手段
Claims (6)
- フォークリフトの前輪を制止する前輪ブレーキと、
該フォークリフトの走行を検出する走行検出手段及び/又は該フォークリフトの荷役操作の有無を検出する少なくとも1つの荷役操作検出手段と、
前記走行検出手段を用いて該フォークリフトの停車が所定時間以上連続したことを検出した時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作開始を検出した時に前記前輪ブレーキの作動を開始させ、この前輪ブレーキの作動中に前記走行検出手段を用いて該フォークリフトの走行開始が検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作終了が検出された時に前記前輪ブレーキの作動を解除させる前輪ブレーキ制御手段と
を備えることを特徴とするフォークリフト。 - 前記走行検出手段がフォークリフトの走行速度を監視する走行速度検出手段又は該フォークリフトを走行させる走行操作具の操作を監視する走行操作検出手段からなることを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
- 前記荷役操作検出手段がリーチ操作を検出するリーチ操作検出手段及び/又はリフト操作を検出するリフト操作検出手段からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフォークリフト。
- フォークの揚高を検出する揚高検出手段と、
この揚高検出手段を用いて検出された揚高が所定値以上である場合に、前記走行検出手段を用いて該フォークリフトの停車が所定時間以上連続したことが検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作開始が検出された時に前記前輪ブレーキの作動を開始させ、この前輪ブレーキの作動中に前記走行検出手段を用いて該フォークリフトの走行開始が検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作終了が検出された時に前記前輪ブレーキの作動を解除させる前輪ブレーキ制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のフォークリフト。 - 当該フォークリフトの積載荷重を検出する荷重検出手段と、この荷重検出手段により積荷があることが検出されている場合に、前記走行検出手段を用いて該フォークリフトの停車が所定時間以上連続したことが検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作開始が検出された時に前記前輪ブレーキを作動させ、この前輪ブレーキの作動中に前記走行検出手段を用いて該フォークリフトの走行開始が検出された時、又は前記荷役操作検出手段を用いて荷役操作終了が検出された時に前記前輪ブレーキの作動を解除させる前輪ブレーキ制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のフォークリフト。 - 走行操作を検出する走行操作検出手段が設けられ、前記前輪ブレーキ制御手段が、これにより前輪ブレーキを作動させながら荷役操作が行われている間に、この走行操作検出手段を用いて該フォークリフトの走行操作が検出された時に前輪ブレーキの作動を解除させると共に、該前輪ブレーキ制御手段が荷役装置の作動を停止させるものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフォークリフト。
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