JP3854237B2 - 推進管撤去工法及び推進管牽引装置 - Google Patents

推進管撤去工法及び推進管牽引装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、推進管を撤去埋め戻しする際や、更新する際に適用するに好適な、推進管撤去工法及び推進管牽引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、都市部では、下水道などの老朽化した推進管を撤去し埋め戻したり、新しい推進管を敷設更新したりすることが検討されている。
【0003】
推進管の撤去工法としては、撤去すべき推進管列の最先端に、シールドを設け、該シールドを立坑側から牽引することにより、推進管を引っ張り出す方法が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、縁切り用のリングを、推進管列の外側を覆う形で、撤去すべき推進管列の全長に渡り推進させて、地山と推進管列との縁切りを行った後、推進管列を引き抜き撤去する方法も知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
更に、ワイヤソーを、撤去すべき推進管列外周部の全長に渡り設置し、該ワイヤソーにより、地山と推進管列との縁切りを行った後、推進管列を引き抜き撤去する方法も知られている(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−262998号公報
【特許文献2】
特開2001−262976号公報
【特許文献3】
特開2001−262975号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いまだ、確立した技術が無く、簡単な構成で、効率よく既設推進管を撤去することの出来る工法及び装置の開発が、急がれている。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑み、効率よく既設推進管を撤去することの出来る工法及び装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、地盤(2)中に敷設された複数の推進管(10)が直列に接続された推進管列(9)を撤去する推進管撤去工法であって、
撤去すべき前記推進管列(9)の両側に第1及び第2の立坑(3、11)を構築し、
一の推進管(10)の内側に、円筒状の第1の胴(15)を配置して該推進管(10)に固定し、
該一の推進管(10)と、該一の推進管に対し前記第2の立坑(11)側に隣接される他の推進管(10)との境目部を含む区間に、円筒状の第2の胴(16)を前記第1の胴(15)に連結された状態で配置し、
該第2の胴(16)の本体外周部における、該第2の胴(16)の軸心方向(CT1)と平行な方向の両側に、シール手段(21)をそれぞれ設け、
該シール手段(21)の間には、安定材注入手段(22)を前記本体内外を連通遮断自在に設け、
前記第1の胴(15)を前記第1の立坑(3)の側に牽引することに基づき、前記一の推進管(10)を該側に移動させて縁切りを行い、
該移動に伴い拡がる、前記一の推進管(10)と前記他の推進管(10)との間の隙間を前記第2の胴(16)と前記シール手段(21)で閉塞し、前記安定材注入手段(22)を介して該隙間に安定材を注入する、ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2は、請求項1の発明において、前記第1の胴(15)及び該胴に連結されてなる第2の胴(16)を、前記推進管列(9)に沿って複数組配置し、
前記第1の立坑(3)に近い側の第1の胴(15)から順次牽引して推進管の縁切りを行い、
前記推進管列(9)の全長に亘り縁切りが行われたところで、前記第2の立坑(11)側の推進管を遮蔽する形で隔壁(29)を設け、
該隔壁(29)を介して前記推進管列(9)の全体を前記第1の立坑(3)側に牽引する。
【0010】
また、請求項3は、推進管牽引装置の発明であり、第1の胴(15)及び該第1の胴に接続された第2の胴(16)を有し、
前記第1の胴に前記推進管に対する係合手段(15b,15c、33,35)及び牽引力受け部材(15d)を設け、
前記第2の胴の本体外周部における、該第2の胴の軸心方向(CT1)と平行な方向の両側に、シール手段(21)をそれぞれ設け、
前記シール手段の間には、安定材注入手段(22)を前記本体内外を連通遮断自在に設けて構成される。
【0011】
また、請求項4は、請求項3記載の推進管牽引装置において、前記係合手段は、前記第1の胴と推進管の間に設置される固定ピン手段(15b、15c)であることを特徴として構成される。
【0012】
また、請求項5は、請求校4記載の推進管牽引装置において、前記係合手段は、複数の係合部材(35、40)が前記第1の胴の軸心(CT1)を中心に放射方向に開閉自在に設けられたものであることを特徴として構成される。
【0013】
また、請求項6は、請求校4記載の推進管牽引装置において、前記安定材注入手段(22)を複数設け、複数の推進管牽引装置の第2の胴間で、安定材の転用を可能としたことを特徴として構成される。
【0014】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、推進管列(9)を、複数の部分推進管列に分けて周囲地盤との間の縁切りを行うことができるので、大きな推進力が無くとも推進管列全体の縁切りを行うことができる。また、推進管を移動させる推進力は、部分推進管列を縁切り移動させるだけのもので足りるので、撤去に使用する装置の駆動源も小規模かつ簡単なもので済む。
【0015】
請求項2の発明によれば、一旦地盤との縁切りがなされると、地盤との摩擦力が大幅に少なくなるので、複数の部分推進管列をまとめて押圧移動させ、効率的に推進管を撤去することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、第1の胴で、推進管牽引装置と推進管を接続し、第2の胴で、分離された推進管列間の隙間(2a)をシールして、安定材注入手段から注入される安定材注入により地盤を保持することが出来るので、部分推進管列に分割した形の、推進管と周囲地盤との間の縁切り動作を円滑に行うことが出来る。
【0017】
請求項4の発明によれば、固定ピン手段などの簡易な構成で、第1の胴を推進管に対して固定することが出来る。
【0018】
請求項5の発明によれば、係合部材により、第1の胴を確実に推進管に対して固定することが出来る。
【0019】
請求項6の発明によれば、複数の安定材注入手段により、複数の推進管牽引装置の第2の胴間で、安定材の転用を可能としたので、安定材の無駄をなくし、効率的で経済的な施工が可能となる。
【0020】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明が適用される、推進管の撤去現場の一例を示す断面図、図2は、推進管牽引装置の一例を示す図、図3は、本発明により推進管を撤去した後、埋め戻してゆく施工現場の一例を示す図、図4は、推進管牽引装置の別の構成例を示す図、図5は、図4の推進管牽引装置の動作を示す図、図6は、推進管牽引装置の更に別の構成例を示す図である。
【0022】
推進管撤去現場1は、図1に示すように、地盤2に地表から垂直方向に穿設された立坑3を有しているが、本明細書で「推進管撤去現場」と称する現場は、既設の推進管を撤去して埋め戻す現場、既設の推進管を撤去して、その後に新たな推進管を敷設する現場を始め、撤去後の施工内容に係わらず推進管を撤去するための現場の全てを称するものである。
【0023】
立坑3には、牽引ジャッキ5が、支持部材6を介して設置されており、更に立坑3にはグラウドポンプ7が設置されている。立坑3の壁面には、トンネル12を構成する、水平方向に敷設された既設の推進管列9が、その一端を開口させた形で配置されており、推進管列9は、所定長さL1(例えば、2.5m程度)に形成された推進管10が複数個、矢印A、B方向に直列に接続された形で形成されている。推進管列9の図中右方には、図3に示すように、立坑3と同様に構築された立坑11が設けられている。
【0024】
こうした構成により推進管列9には、該推進管列9内部に、立坑3、11間を連通するトンネル12が形成されており、該トンネル12内には、推進管牽引装置13が複数台、推進管列9の形成方向である矢印A、B方向に配置されている。
【0025】
推進管牽引装置13は、図2に示すように、前胴15及び中間胴16を有しており、前胴15は、円筒状に形成された本体15aを有している。本体15aは、その外形D1が推進管10、即ちトンネル12の内径D2よりもやや小さな径に形成されており、本体15aの軸心CT1方向(矢印A、B方向)中央部には孔15bが本体15aの図中上下に2カ所穿設されている。
【0026】
各孔15bには、固定ピン15cが着脱自在に設けられており、固定ピン15cは、先端が推進管10の壁面10aに穿設された孔10bに嵌入係合している。本体15aには、パイプ状の接続部材15dが本体15aの対向する内壁15e、15e間を接続する形で図中紙面と直交する方向に設けられており、接続部材15dには、接続ロッド15f、15fが図中両側に、本体15aの軸心方向に突出する形で植設されている。図中左方の接続ロッド15fには、接続金具17を介して、PC鋼線などの牽引部材19の一端が接続されており、牽引部材19の他端は、図1に示すように、立坑3に設けられた牽引ジャッキ5に保持されている。
【0027】
また、前胴15には、複数の接続ロッド20を介して前述の中間胴16が接続されており、中間胴16は筒状に形成された本体16aを有している。本体16aの外径D3は、前胴15の外径D1よりも小径に形成されており、本体16aの軸心方向、即ち矢印A、B方向の長さL2は、推進管10の長さL1よりも大きく(例えば、2.8m程度)形成されている。
【0028】
本体16aの外周面における、図2の左右両端には止水シール21、21が本体16aの外周部を被覆する形で環状に設けられており、止水シール21は、本体16aの外方、従って、推進管10の壁面10aに向かって膨張収縮自在に設けられている。
【0029】
本体16aの図2中左右両端部で、止水シール21、21の間には、複数の安定材注入バルブ22、22(2個とは限らない)が本体16a内外を連通遮断自在な形で設けられており、図中左方の安定材注入バルブ22には、安定材注入管23の一端が接続されている。安定材注入管23の他端は、図1に示すように、立坑3に設けられたグラウドポンプ7に接続されている。
【0030】
推進管牽引装置13は、以上のような構成を有するので、既設の推進管列9からなるトンネル12を、撤去するには、まず、撤去すべき推進管列9の両端部に、図1及び図3に示すように、立坑3、11を構築し、推進管列9のトンネル12内に、所定の間隔、例えば、推進管10の十数管毎に推進管牽引装置13を配置する。この際、各推進管牽引装置13の中間胴16の立坑3側、即ち前方部分に、推進管列9を構成する互いに隣接する形で接続された推進管10、10の接続部10c、10cが位置するように各中間胴16を配置する。なお、中間胴16には図示しないキャスターが設けられているので、中間胴16の推進管列9内での移動はキャスターを介して容易に行うことができる。
【0031】
次に、トンネル12内に配置された各推進管牽引装置13の前胴15の孔15bから、前胴15の外側に位置する推進管10の壁面10aに対して孔10b、10bをそれぞれ穿設する。次に、穿設された孔10b、10bに本体15aの孔15b、15bを介して固定ピン15c、15cをそれぞれ植設し、固定ピン15bc、15cを介して前胴15を推進管10に固定する。なお、この固定ピン15cによる推進管牽引装置13の推進管10への固定は、取りあえず最前方の推進管牽引装置13Aについてのみ行い、後続する推進管牽引装置13B、13C……については、当該推進管牽引装置13での牽引動作を行う時にするようにしてもよい。
【0032】
この状態で、トンネル12の図1中最も左方に配置された推進管牽引装置13Aの前胴15と牽引部材19を、接続金具17及び接続ロッド15fを介して接続し、その状態で立坑3内の牽引ジャッキ5を駆動して、牽引部材19を図1矢印A方向に牽引する。すると、立坑3から推進管牽引装置13Aの前胴15の間に配置された複数の推進管10、即ち、部分推進管列25Aが矢印A方向、即ち立坑3方向に牽引され、その牽引力により部分推進管列25Aを構成する推進管10と周囲の地盤2との間が縁切りされ、部分推進管列25Aは、所定ストロークSTだけ立坑3方向に移動する。
【0033】
この、ストロークSTは、推進管10の長さ程度、例えば2.5m程度とすると、1回の牽引ジャッキ5による牽引動作で、1本分の推進管10が立坑3部分に引き出されるので、作業を効率よく進めることが出来る。立坑3内に引き出された部分推進管列25Aの先端部の推進管10は、部分推進管列25Aから取り外して、立坑3から地上に搬出する。
【0034】
こうして、部分推進管列25Aが、図1矢印A方向に移動すると、推進管牽引装置13Aにおける中間胴16の立坑3側の前方部に位置していた、部分推進管列25A最後部の推進管10の接続部10cと、いまだ牽引ジャッキ5による牽引力の作用していない、部分推進管列25Aの図中右方に位置する推進管10の接続部10cとの間に、図2に示すように、前述のストロークSTに対応する長さの隙間2aが矢印A、B方向に形成される。
【0035】
なお、通常、推進管列9を構成する隣接する推進管10同士は、パッキンなどを介してトンネル構築方向である矢印A、B方向に当接する形で設けられているだけなので、部分推進管列25Aと該部分推進管列25A周囲の地盤2との間の摩擦力よりも大きな牽引力を牽引ジャッキ5により作用させることにより、部分推進管列25Aは容易に、図1右方の、他の推進管10部分と切り離すことが出来る。
【0036】
こうして、牽引ジャッキ5により推進管牽引装置13Aの前胴15を部分推進管列25Aと共に矢印A方向牽引すると、前胴15に接続ロッド20を介して接続された中間胴16も同様に矢印A方向にストロークSTだけ移動する。その結果、中間胴16の周囲に、前述の隙間2aが位置することとなる。
【0037】
この状態で、グラウドポンプ7から安定材注入管23を介して高粘度の泥水から成る安定材26を、安定材注入バルブ22を介して、部分推進管列25Aの移動により形成された、部分推進管列25Aと後続する既設の推進管列9、中間胴16及び地盤2との間との間に形成された筒状の隙間2aに注入する。中間胴16の外周部側における、中間胴軸心CT1方向と平行な方向の両側には、止水シール21、21が、推進管10の壁面10aと当接自在に環状に形成されているので、隙間2aに注入された安定材26は、トンネル12内に洩れ出すことなく、隙間2a内に確実に注入され、部分推進管列25Aが移動した後に形成される隙間2a部分の地山の崩壊を防止する。
【0038】
なお、安定材26の周囲地山の間隙2aに対する注入に際しては、グラウドポンプ7によることなく、立坑3の上部の地上に安定材26が貯留された図示しないタンクを設け、該タンクからの水頭差を利用して、無動力で安定材26を間隙2a部分に充填するようにしてもよい。
【0039】
こうして、最も立坑3側の推進管牽引装置13Aによる、ストロークSTの部分推進管列25Aの牽引工程が完了したところで、牽引部材19と推進管牽引装置13Aとの接続を解除し、牽引部材9を、推進管牽引装置13Aの図1右方に配置された推進管牽引装置13Bの前胴15に、接続金具17を介して接続する。次に、推進管牽引装置13Aの中間胴16の後方(図1右方)の安定材注入バルブ22と、推進管牽引装置13Bの後方(図1右方)の安定材注入バルブ22を安定材注入管27を介して接続すると共に、それまで推進管牽引装置13Aに接続されていた安定材注入管23を、推進管牽引装置13Bの前方の安定材注入バルブ22に接続する。
【0040】
この状態で、立坑3内の牽引ジャッキ5を駆動して、牽引部材19を図1矢印A方向に牽引する。すると、推進管牽引装置13A、13B間に配置されている複数の推進管10から構成される部分推進管列25Bが矢印A方向、即ち立坑3方向に牽引され、その牽引力により部分推進管列25Bを構成する推進管10と周囲の地盤2との間が縁切りされ、部分推進管列25Bは、所定ストロークSTだけ立坑3方向に移動する。
【0041】
すると、既に移動した部分推進管列25Aと今回移動駆動された部分推進管列25Bとの間の隙間2aAは、部分推進管列25BのA方向の移動により縮小される。また、部分推進管列25Bが、図1矢印A方向に移動すると、推進管牽引装置13Bにおける中間胴16の立坑3側の前方部に位置していた、部分推進管列25B最後部の推進管10の接続部10cと、いまだ牽引ジャッキ5による牽引力の作用していない、部分推進管列25Bの図中右方に位置する推進管10の接続部10cとの間に、図2に示すように、前述のストロークSTに対応する長さの隙間2aBが矢印A、B方向に形成される。
【0042】
すると、隙間2aA内に注入されていた安定材26は、安定材注入管27および安定材注入バルブ22を介して、推進管牽引装置13Bの中間胴16と残留している推進管10との間から隙間2aBに流れ込み、推進管列25Bが移動した後に形成される隙間2aB部分の地山の崩壊を防止する。なお、この際、グラウドポンプ7から安定材注入管23を介して推進管牽引装置13Bの中間道胴16前方の安定材注入バルブ22からも安定材26が隙間2aBに注入されるので、推進管列25Bと残留する図2右方の推進管10との間の隙間2aBは、安定的に支持される。
【0043】
こうして、矢印A方向に牽引された部分推進管列25Bは、既に牽引済みの部分推進管列25Aの後端に当接する形で引き寄せられ、その状態で牽引ジャッキ5による推進管牽引装置13Bの牽引動作は終了する。以後、同様に、順次隣接する推進管牽引装置13C、13D……に対する牽引作業を行い、それら推進管牽引装置13、13間に配置された部分推進管列25と周囲の地盤2との間の縁切りを行うと共に、その際に形成された部分推進管列25と残留する推進管10との間の隙間2aに、安定材26を注入して地山の崩落を防止する。
【0044】
なお、部分推進管列25と地盤2との間の摩擦が大きすぎて牽引ジャッキ5の牽引力では、部分推進管列25と地盤2との間の縁切りを行うことが出来ない場合には、牽引される部分推進管列25の長さを短くする形で、推進管牽引装置13を所定推進管本数分だけ、矢印A方向に移動させて固定し、その状態で再度、牽引ジャッキ5により牽引する。これにより、牽引される部分推進管列25に作用する地盤2との間の摩擦力を、牽引ジャッキ5により牽引できる程度に調整することが出来、施工を容易にすることが出来る。
【0045】
こうして、所定本数の推進管10からなる部分推進管列25毎に順次、推進管牽引装置13を用いて地盤2との間の縁切りを行うことにより、立坑3、11間の推進管列9の全長に渡り、地盤2との間の縁切りを行うことが出来る。
【0046】
立坑3、11間の推進管列9の全長に渡り、地盤2との間の縁切りが行われたところで、図3に示すように、最も立坑11側の推進管10の後部に、隔壁29を、推進管10内部と外部を遮蔽する形で設け、当該隔壁29に、牽引部材19を接続し、その状態で牽引ジャッキ5により縁切りされた推進管列9全体を矢印A方向に牽引する。すると、推進管列9を構成する全ての推進管10は既に地盤2との間の縁切りがなされているので、牽引ジャッキ5により全体が矢印A方向に押し出される形で移動する。
【0047】
なお、最後の最も立坑11側の部分推進管列25Xを矢印A方向に移動させる際に、その直前の部分推進管列25Yとの間の間隙2aに充填されていた安定材26は、中間胴26の後端の安定材注入バルブ22に接続された安定材排出管37により、立坑3側に排出する。
【0048】
こうして、牽引ジャッキ5により、全ての推進管10を矢印A方向に、推進管の1本分の長さL1に相当する分だけ牽引して、立坑3内に1本分の推進管10を引き出し、その状態で、立坑3内に引き出された推進管10をトンネル12内に残留した推進管列9に対して取り外し、坑外に搬出する。
【0049】
この作業を、推進管10の1本ごとに行うことにより、推進管10は、1本ずつトンネル12内の推進管列9から取り外され、また、トンネル12内に残留した推進管列9は、隔壁29により、立坑3側に押し出されてゆく。
【0050】
こうして、トンネル12内の推進管列9が、徐々にA方向に移動されてゆくと、隔壁29の図3後方に、推進管10が撤去されたトンネル12が残留することとなるが、トンネル12埋め戻す場合には、図3に示すように、隔壁29に埋め戻し材注入管30を接続して、その状態で立坑3側から埋め戻し材31をグラウドポンプ7及び埋め戻し材注入管30を介して隔壁29の図中右方の推進管10が撤去された空間12aに注入充填して、トンネル12を埋め戻しする。なお、この際、立坑11側のトンネル12の端部には、仕切り壁39を装着して、埋め戻し材31がトンネル12に適切に充填されるようにする。
【0051】
また、推進管10が撤去された後の空間を埋め戻しせずに、新たな推進管10を敷設する場合には、隔壁29の後方から、直ちに敷設すべき推進管10を立坑11側から押し込んで、トンネル12をそれまでの古い推進管10から、新しい推進管10に置換する。
【0052】
なお、上述の実施例は、推進管牽引装置13の前胴15を、推進管列9に対して固定するために、固定ピン15cを用いた場合についての述べたが、前胴15の固定手段としては、固定ピン15cを用いるほかに、各種の方法を使用することが出来る。以下に、異なる構成を有する前胴を持った、推進管牽引装置について説明するが、前胴以外の部分は、すでに説明した推進管牽引装置と同様なので、同一の部分には同一の符号を付して、当該部分の説明及び施工態様についての重複した説明は、省略する。
【0053】
例えば、図4に示すように、前胴32を、円筒状の大径部32aと、それよりも小径な円筒状の小径部32bから構成し、小径部32b部分には、グリッパ33が前胴15の軸心CT1を中心にしてジャッキ32dにより、放射方向に移動駆動自在に設けられている。グリッパ3は、例えば、図4(b)に示すように(図4(b)は、後述するブラケットのC矢視図であるが、分割の状態は同様である)小径部32bの円周方向に沿って4分割されており、更に大径部32aには、4個のブラケット35が、ピン32cを中心に矢印D、E方向に回動自在に支持されている。ブラケット35の先端には係合部35aが形成されており、係合部35aは、図4(b)に示すように、円弧状に形成されている。係合部35aは、4個のブラケット35が矢印D方向に拡径した状態で、4個の係合部35aの外周部35bが全体として円形をなすように形成されており、更に4個のブラケット35の軸心CT1側には、円筒状に形成されたロックリング36が、軸心CT1に沿って矢印A、B方向に移動自在に設けられている。
【0054】
前胴32を有する推進管牽引装置13により、部分推進管列25を立坑3側に移動させるには、前胴32が配置された推進管10Aの前端部、即ち図4(a)左方の、該推進管10Aと隣接する推進管10Bの接続部10cと対向する部分をはつり除去して、推進管10Bの接続部10cを露出させる。次に、グリッパ33を放射方向に矢印D方向に拡径駆動し、グリッパ33の先端のブラケット35の係合部35aを、図5に示すように、推進管10Bの接続部10cと対向させる。この状態で、ロックリング36を、矢印A方向に移動させて、矢印D方向に解放状態にある4個のブラケット35の先端部内側に形成されたリング保持部35cにセットし、ブラケット35が矢印E方向に収斂しないように解放状態で固定する。
【0055】
この状態で、立坑3の牽引ジャッキ5を駆動して、牽引部材19を介して推進管牽引装置13を、僅かに矢印A方向に移動させ、係合部35aと推進管10Bの接続部10cを当接させる。この状態で、グリッパ33を放射方向に駆動して、グリッパ33を推進管10の壁面10aに当接させて、前胴32を推進管10Aに対して固定する。
【0056】
前胴32が推進管10Aに対して固定されたところで、立坑3の牽引ジャッキ5を駆動して、牽引部材19を介して前胴32及び中間胴16を更に矢印A方向に牽引すると、ブラケット35より図5前方、即ち推進管10Bより左方の推進管列9は、ブラケット35を介して矢印A方向に押圧され、また、推進管10Aは、グリッパ33を介して同様に矢印A方向に押圧され、結果的に推進管10Aより左方の推進管列9は、一体となって立坑3方向に押圧され、周囲の地盤2に対して縁切りされる。
【0057】
また、図6に示すように、牽引部材19をパイプから形成すると共に、該牽引部材19をガイドするガイド穴32fが矢印A、B方向に形成されたガイド管32eを、図中右端部を中間胴16の先端部に接続させて前胴32として用い、前胴32に、図4のブラケット35と同様に、円周方向に複数に分割された(例えば、3分割)係合部材であるグリッパ40をンネル軸心CT1を中心に放射方向に移動駆動自在に設け、該グリッパ40を推進管壁面10aに向けて拡張保持させることにより、前胴32を中間胴16と共に推進管10に対して固定させるよう構成することも出来る。この場合、グリッパ40は、図2の前胴15における固定ピン15c、図5におけるブラケット35及びグリッパ33と同様な、推進管に対する係合手段としての役割を果たす。
【0058】
図6の場合、ガイド管32eの先端には、チャック32gが牽引部材19を把持解放自在に設けられており、推進管牽引装置13の牽引は、チャック32gにより牽引部材19を把持することにより行う。なお、図6の場合には、隔壁29部分にも、前胴32が装着されており、隔壁29の不用意な脱落を防止している。
【0059】
上述の実施例は、推進管牽引装置13により全ての部分推進管列25を、立坑3側に押圧することにより、周囲の地盤2との間の縁切りを行ったが、部分推進管列25の押圧移動方向は、必ずしも、一方の立坑3側ばかりでなく、立坑11にも牽引ジャッキ5を配置し、立坑3及び立坑11の両側から推進管10を撤去するようにしてもよい。なお、この場合には、新しい推進管10を敷設するための立坑がなくなるので、トンネル12を埋め戻す場合にのみ適用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明が適用される、推進管の撤去現場の一例を示す断面図。
【図2】 図2は、推進管牽引装置の一例を示す図。
【図3】 図3は、本発明により推進管を撤去した後、埋め戻してゆく施工現場の一例を示す図。
【図4】 図4は、推進管牽引装置の別の構成例を示す図。
【図5】 図5は、図4の推進管牽引装置の動作を示す図である。
【図6】 図6は、推進管牽引装置の更に別の構成例を示す図である。
【符号の説明】
2……地盤
3、11……立坑
9……推進管列
10……推進管
15、32……第1の胴(前胴)
15b……固定手段、固定ピン手段(孔)
15c……固定手段、固定ピン手段(固定ピン)
15d……牽引力受け部材(接続部材)
16……第2の胴(中間胴)
21……シール手段(止水シール)
22……安定材注入手段(安定材注入バルブ)
25A、25B……部分推進管列
33、40……係合手段、係合部材(グリッパ)
35……係合手段、係合部材(ブラケット)
CT1……軸心

Claims (6)

  1. 地盤中に敷設された複数の推進管が直列に接続された推進管列を撤去する推進管撤去工法であって、
    撤去すべき前記推進管列の両側に第1及び第2の立坑を構築し、
    一の推進管の内側に、円筒状の第1の胴を配置して該推進管に固定し、
    該一の推進管と、該一の推進管に対し前記第2の立坑側に隣接される他の推進管との境目部を含む区間に、円筒状の第2の胴を前記第1の胴に連結された状態で配置し、
    該第2の胴の本体外周部における、該第2の胴の軸心方向と平行な方向の両側に、シール手段をそれぞれ設け、
    該シール手段の間には、安定材注入手段を前記本体内外を連通遮断自在に設け、
    前記第1の胴を前記第1の立坑の側に牽引することに基づき、前記一の推進管を該側に移動させて縁切りを行い、
    該移動に伴い拡がる、前記一の推進管と前記他の推進管との間の隙間を前記第2の胴と前記シール手段で閉塞し、前記安定材注入手段を介して該隙間に安定材を注入する、
    ことを特徴とする推進管撤去工法。
  2. 前記第1の胴及び該胴に連結されてなる第2の胴を、前記推進管列に沿って複数組配置し、
    前記第1の立坑に近い側の第1の胴から順次牽引して推進管の縁切りを行い、
    前記推進管列の全長に亘り縁切りが行われたところで、前記第2の立坑側の推進管を遮蔽する形で隔壁を設け、
    該隔壁を介して前記推進管列の全体を前記第1の立坑側に牽引する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の推進管撤去工法。
  3. 第1の胴及び該第1の胴に接続された第2の胴を有し、
    前記第1の胴に前記推進管に対する係合手段及び牽引力受け部材を設け、
    前記第2の胴の本体外周部における、該第2の胴の軸心方向と平行な方向の両側に、シール手段をそれぞれ設け、
    前記シール手段の間には、安定材注入手段を前記本体内外を連通遮断自在に設け、
    て構成した推進管牽引装置。
  4. 前記係合手段は、前記第1の胴と推進管の間に設置される固定ピン手段であることを特徴とする、請求項3記載の推進管牽引装置。
  5. 前記係合手段は、複数の係合部材が前記第1の胴の軸心を中心に放射方向に開閉自在に設けられたものであることを特徴とする、請求項3記載の推進管牽引装置。
  6. 前記安定材注入手段を複数設け、複数の推進管牽引装置の第2の胴間で、安定材の転用を可能としたことを特徴とする、請求項3記載の推進管牽引装置。
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