JP3853183B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の空調装置に関し、特に、空調ユニットに配設される各ダンパの駆動機構及びアクチュエータの配設構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用空調装置として、例えば、特開平9−123748号公報に開示されるように、冷却用及び加熱用の2つの熱交換器を収容した空調ユニットと、該空調ユニットへの送風を行う送風ユニットとを、それぞれインストルメントパネル内において車幅方向略中央部とその助手席側とに配設したものが知られている。
【0003】
前記空調ユニットには、その下端側に送風ユニットからの空気導入口が設けられていて、その空気導入口から導入された空気は、該空気導入口の上方でそれぞれ略水平に向けて上下に並べて配置された冷却用及び加熱用熱交換器を通過し、さらにその上方に接続されたダクトを介して車室に導出されるようになっている。このものでは、2つの熱交換器を上下に並べて配置することで、空調ユニットの小型化を図り、その搭載スペースを低減している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来例の空調装置においては、上下方向に長い空調ユニットの下端部が車体のフロア付近に位置する一方、助手席の足下のスペースを確保するために、送風ユニットをフロアから十分に離して配置しなくてはならず、このことで、送風ユニットの吹出口と空調ユニット下端の空気導入口とが上下に大きくずれることになるため、該送風ユニットからの空気を空調ユニットへスムーズに送るには、両ユニットを車幅方向に所定距離以上、離間させる必要がある。
【0005】
一方で、ヒータとクーラの機能を併せ持つ空調ユニットには、調和空気の温度を調節するための温度調節ダンパや調和空気の吹出方向を切り替える吹出方向切替ダンパが設けられており、それらを独立に作動させるために少なくとも2つのアクチュエータが必要になるから、そのアクチュエータやリンク機構(駆動機構)のレイアウトが難しい。
【0006】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷却用及び加熱用熱交換器を空調ユニット内に上下に並べて配設するとともに、その助手席側に配置した送風ユニットから該空調ユニットの下端側へ空気を送るようにした空調装置において、空調ユニットの各ダンパの駆動機構及びアクチュエータのレイアウトに工夫を凝らし、空調装置のさらなる小型化を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、空調ユニットと送風ユニットとを車幅方向に所定距離以上、離間させる必要があることに着目して、それらの間のデッドスペースに空調ユニットの各ダンパの駆動機構及びアクチュエータを配設するようにした。
【0008】
具体的には、請求項1の発明では、車両のインストルメントパネル内の車幅方向略中央部に配設された空調ユニットと、該空調ユニットの助手席側に配設された送風ユニットと、該送風ユニットからの空気を前記空調ユニットに送る中間ダクトとを備え、該中間ダクトから空調ユニットの下側に導入した空気を、該空調ユニット内に配設された冷却用熱交換器及び該冷却用熱交換器の上側に配設された加熱用熱交換器を通過させて調和空気とするようにした車両用空調装置を前提とする。
【0009】
そして、前記空調ユニットには、導入された空気のうち、前記加熱用熱交換器を通過する空気の比率を変更して調和空気の温度を調節する温度調節ダンパと、調和空気の吹出方向を切り替える吹出方向切替ダンパとを設け、該温度調節ダンパ及び吹出方向切替ダンパをそれぞれ駆動する駆動機構及びアクチュエータを、前記空調ユニットのケーシングにおける送風ユニット側の壁部に配設する。
【0010】
さらに、前記空調ユニットのケーシングの上部における送風ユニット側の壁部及び運転席側の壁部各々に調和空気の吹出口を形成し、前記送風ユニット側の壁部及び運転席側の壁部各々に形成された吹出口には下方へ延びるダクトを接続し、
前記送風ユニット側の壁部の吹出口に接続されたダクトは、調和空気を助手席の足下に向かって吹き出すように、助手席の足下近傍で開口し、
前記運転席側の壁部の吹出口に接続されたダクトは、前記空調ユニットのケーシングにおける運転席側の壁部から後側の壁部に回り込むように、該ケーシングと一体的に設けられたものであり、調和空気を運転席の足下へ導く吹出用開口が形成されている一方、該ケーシングの後壁部に対応する部分に後席へ調和空気を導くダクトが接続されるものとする。
【0011】
前記の構成によれば、送風ユニットからの空気は、中間ダクトをスムーズに流れて空調ユニットの下側に導入され、そこから上方に向きを変えて、冷却用熱交換器ないし加熱用熱交換器を通過する。この際、温度調節ダンパが駆動機構を介してアクチュエータにより駆動されて、前記冷却用熱交換器を通過した空気のうち、加熱用熱交換器を通過する空気の比率が変更されることによって、調和空気の温度が調節される。このようにして生成された調和空気は、前記温度調節ダンパとは別のアクチュエータ及び駆動機構によって駆動される吹出方向切替ダンパにより吹出方向が切り替えられて、車室の所望の箇所に供給される。
【0012】
ここで、前記2つのダンパの各駆動機構及びアクチュエータが、共に空調ユニットの送風ユニット側の壁部に配設されていて、中間ダクトの分だけ離間している前記送風ユニットと空調ユニットとの間のデッドスペースにまとめて配置されているので、空調装置をさらに小型化して搭載スペースを縮小できる。また、このように2つのアクチュエータをまとめて配置することで、空調ユニットの組立工数及び該空調ユニットの車体への組み付け工数を削減することができる。
【0013】
また、後席乗員への調和空気は、空調ユニットにおける各駆動機構等の取付部位の反対側からダクトを介して吹き出される。すなわち、前記の如く2つのダンパの各駆動機構等を全て空調ユニットの送風ユニット側にまとめているので、空調ユニットの運転席側に配設するダクトの断面積を大きくしながら、その形状を比較的、自由に設定することができ、これにより、運転席側のペダル等の配置スペースを確保しながら、兼用のダクトを配置することができる。
【0014】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記送風ユニットには、車室外及び車室内からそれぞれ取り入れる空気量を調節する内外気切替ダンパを設け、該内外気切替ダンパを駆動するためのアクチュエータを前記送風ユニットの空調ユニット側の壁部に配設するものとする。
【0015】
このことで、送風ユニットの内外気切替ダンパのアクチュエータが、該送風ユニットの空調ユニット側の壁部に、即ち、空調ユニットの駆動機構やアクチュエータと同様に両ユニット間のデッドスペースに配置されることになり、空調装置をより一層小型化できるとともに、ユニット組立工数及び車体への組み付け工数を削減できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る空調装置1の外観を示すものであり、この空調装置1は、図4に示すように、自動車の車室に配設されているインストルメントパネル2の内方に収容されている。この自動車は、運転席及び助手席がそれぞれ車体右側及び左側に設けられている、いわゆる右ハンドル車であり、さらに前部のエンジンルームと、車室の前側とはダッシュパネルP(図6にのみ示す)によって仕切られている。尚、この明細書では、空調装置1の車体前側及び車体後側を、それぞれ単に前側及び後側とも呼ぶものとする。
【0018】
前記空調装置1は、図3に示すように、送風ユニット3と、該送風ユニット3からの空気を冷却した後、温度調節して車室へ供給する空調ユニット4と、送風ユニット3からの空気を空調ユニット4へ送る中間ダクト5とからなるものである。空調ユニット4は車幅方向の略中央部に配置される一方、送風ユニット3は該空調ユニット4から車体左側へ所定距離離間して助手席の前方に配置されている。また、該送風ユニット3の下端は、空調ユニット4の下端よりも上方に位置付けられていて、助手席乗員の足元スペースを広く確保している。
【0019】
前記送風ユニット3は、その車幅方向の略中央部において左右に2つに分割されたケーシング6を備えており、それらはファスナ等を用いて一体化されている。そのケーシング6の上側には空調装置1へ空気を取り入れるための空気取入部7が設けられる一方、下側には取り入れた空気を前記空調ユニット4へ送風するための送風部8が設けられている。空気取入部7の上部には、図1に示すように、図示しないダクトを介して車室外の空気を取り入れるための外気取入口10と、車室内の空気を取り入れるための内気取入口11とが形成されていて、さらに、これらのうちのいずれか一方を閉状態とするとともに、他方を開状態とするように作動する内外気切換ダンパ12(図2のみに示す)が、該空気取入部7の内方に設けられている。
【0020】
詳しくは、前記空気取入部7の上部は、その前面部が上側ほど車体後方へ傾斜する矩形状とされる一方、後面部は上側ほど車体前方へ傾斜する矩形状とされ、該前面部及び後面部の上縁同士が連繋していて、車幅方向から見て、略三角形の断面を有するように形成されている。前記前面部及び後面部にそれぞれ前記外気取入口10及び内気取入口11が矩形状に開口していて、さらに内気取入口11にはグリル13が一体成形されている。一方、前記空気取入部7の側面部は、前面部及び後面部の対応する側縁同士を連繋するように設けられている。前記内外気切替ダンパ12は、各取入口10、11よりも大きい矩形状とされていて、その上縁に車幅方向に延びる軸を有し、この両端がそれぞれ前記空気取入部7の一対の側面部の上端側に支持されている。
【0021】
前記内外気切替ダンパ12の下端側には、空気取入部7の側面部に取り付けられたアクチュエータ15の出力軸が連結されるように、該側面部を貫通する連結部(図示せず)が設けられている。また、該側面部には、アクチュエータ15をねじ等により締結するためのボス部が一体成形されている。該アクチュエータ15は、車体に配設されている空調制御部(図示せず)からの信号を受けて作動するように構成されていて、空調制御部からの信号線は、アクチュエータ15のカプラ17に結線されるようになっている。
【0022】
そして、前記アクチュエータ15によって内外気切替ダンパ12がその軸周りに回動されて、外気取入口10を全開とする位置にされると内気取入口11が全閉とされて、外気のみを取り入れる外気取入モードとなる一方、該内外気切替ダンパ12がその状態から逆方向に回動されて、外気取入口10を全閉とする位置にされると内気取入口11が全開とされて、内気循環モードとなる。
【0023】
一方、前記空気取入部7の下部には、図5に示すように、取り入れた空気を濾過するためのフィルタ20が配設されるフィルタ配設部21が設けられており、図示しないが、このフィルタ配設部21の車体後方側には開口が形成されていて、この開口からフィルタ20の交換が行えるようになっている。このフィルタ配設部21の下方は前記送風部8であり、送風ファン23としての遠心式多翼ファンがその回転軸を上下方向に向けて配設され、さらにこの送風ファン23の下方にファン駆動モータ24が配設されている。この図において矢印で示すように、該送風ファン23の回転により、空気取入部7の上部から空気が取り入れられ、フィルタ20を通過し、送風部8に導入される。
【0024】
前記送風部8の右側壁部には開口が形成されていて、前記中間ダクト5の左端部が接続されている。この中間ダクト5は、その左端部から空調ユニット4の下端側へ向かって斜め下方へ延びるように形成されていて、その右端部が、空調ユニット4のケーシング下端側に形成された開口25を介して、該空調ユニット4の内部と連通している。すなわち、送風ユニット3と空調ユニット4とは、中間ダクト5の分だけ離れていて、該送風ユニット3からの空気は、図5の矢印で示すように、この中間ダクト5内を通過してスムーズに空調ユニット4へ送られるようになっている。
【0025】
また、前記中間ダクト5は、図2に示すように、車体前後方向に長い略矩形状の断面を有していて、その上壁には、前記ファン駆動モータ24の回転数を変更させるための制御回路26が配設されている。この制御回路26の上端部には、前記空調制御部からのコネクタを接続するためのカプラ27が設けられている。
【0026】
前記空調ユニット4は、全体として上下方向に長く、かつ前記送風ユニット3のケーシング6よりも大型の矩形箱状に形成されたケーシング30を備えており、該ケーシング30は底壁部31と、この底壁部31よりも上側の本体部32とに分割されていて、さらに、該本体部32は前記送風ユニット3と同様に、その車幅方向の略中央部において2つに分割されている。このケーシング30の内部には、図6に示すように、前記中間ダクト5が接続される開口25よりも上方に冷凍サイクルの一要素であるエバポレータ33が配設され、さらにその上方にはヒータコア34が配設されている。また、この空調ユニット4のケーシング30の上部には、調和空気の吹出口が複数形成されており、前記図5に矢印で示すように、前記送風ユニット3からの空気の流れはこの空調ユニット4内で上方へ向かう流れとなる。
【0027】
前記エバポレータ33は、送風ユニット3からの空気を冷却する冷却用の熱交換器であり、例えばアルミニウム等の金属薄板から形成されたチューブを互いに同方向に延びるように多数積層して、隣り合うチューブの間に、同じく金属薄板から形成された波形のフィンを介在させたものである。このエバポレータ33のチューブ内には、冷凍サイクルにより生成される低温の冷媒が循環して、該エバポレータ33を通過する空気を冷却するようになっている。すなわち、このエバポレータ33には、図示しないが、チューブの両端側にそれぞれ該チューブと連通するタンクが設けられていて、一方のタンクはチューブの積層方向の中央部分に配設された仕切板によって流入タンク部と流出タンク部とに区画されている。そして、流入タンク部に流入した冷媒は、この流入タンク部に接続された上流側チューブを介して他方のタンクに流れ、その後、この他方のタンクから下流側チューブを介して前記一方のタンクの流出タンク部に至る。
【0028】
前記エバポレータ33は、チューブの延びる方向を車体前後方向に向け、かつ該エバポレータ33の車体後側ほど上方に位置するように傾斜させて配設されていて、送風ユニット3からの空気は全てエバポレータ33を通過するようになっている。前記エバポレータ33の流入タンク部と流出タンク部とには、それぞれクーラパイプ(図示せず)が接続されていて、各クーラパイプは空調ユニット4のケーシング30における左側壁部30a(図5のみに示す)からケーシング30外方へ延出した後、車体前方へ延びるように成形されている。
【0029】
前記エバポレータ33による空気の冷却時に、該エバポレータ33に発生した凝縮水は、前記ケーシング30の底壁部31に設けられたドレン部35を介して車外へ排出される。このドレン部35は、底壁部31の車体前端側における左側の部分に、該底壁部31と一体に形成されたドレン通路(図示せず)を備えていて、このドレン通路の上流端はケーシング30内に臨んで開口し、そこからケーシング30の左側壁部30aよりも車体左側へ突出するように延びて、さらに下流側の部分は前記クーラパイプと同様に車体前方へ延びており、その下流端が開口している。
【0030】
また、前記ヒータコア34は、前記エバポレータ33を通過した空気を加熱する加熱用の熱交換器であり、該エバポレータ33と同様に積層されたチューブ及びフィンとからなるものとされ、該チューブ内にはエンジンからの高温の冷却水が循環して、該ヒータコア34を通過する空気を加熱するようになっている。このヒータコア34にも、前記エバポレータ33の各クーラパイプと同様に、エンジン冷却水を流入及び流出させる各ヒータパイプ(図示せず)が設けられていて、それぞれが、ケーシング30の左側壁部30aから外方へ延出した後、車体前方へ延びるように成形されている。従って、各ヒータパイプは、前記中間ダクト5の上方に位置することになるので、助手席乗員が接触することはなく、該ヒータパイプへの断熱部材の取り付けを省略できる。
【0031】
前記エバポレータ33とヒータコア34との間には、調和空気の温度を調節するための2つのエアミックスダンパ36、37(温度調節ダンパ)が設けられている。このエアミックスダンパ36、37による温度調節は、エバポレータ33を通過した空気のうち、ヒータコア34を通過する空気量と該ヒータコア34をバイパスさせるバイパス通路38を通過する空気量との比率を変更することによって行われる。
【0032】
詳しくは、図6に示すように、空調ユニット4のケーシング30内部は、該ケーシング30の内側に一体成形された隔壁部40によってエバポレータ33の配設空間41と、ヒータコア34の配設空間42とに区画されている。この隔壁部40は、図6に示すように、車幅方向から見ると、車体前側で略水平に延びる前側隔壁40aと、車体後側で逆V字状をなす後側隔壁40bとからなり、その前側隔壁40aと後側隔壁40bとには、それぞれ、エバポレータ配設空間41とヒータコア配設空間42とを連通させる2つの開口部43、44が形成されていて、前記エアミックスダンパ36、37により開閉されるようになっている。さらに、前記隔壁部40の後側隔壁部40bには、ヒータコア配設空間42の後側で前記バイパス通路38とエバポレータ配設空間41とを連通させる開口部48が形成されている。
【0033】
前記2つのエアミックスダンパ36、37は、内外気切替ダンパ12と同様に、各々が車幅方向に延びる軸を有しており、その両端がケーシング30に支持されていて、それぞれの車体左側の軸端に対して、前記ケーシング30の左側壁部30aに配設されたアクチュエータ45の出力軸がリンク機構46を介して連結されている。該アクチュエータ45は、内外気切替ダンパ12のアクチュエータ15と同様に、ケーシング左側壁部30aに突設されたボス部に固定されている。
【0034】
前記2つのエアミックスダンパ36、37は、前記したリンク機構46により連動しており、アクチュエータ45により前側及び後側開口部43、44のそれぞれを全開とする位置から、全閉とする位置まで回動するようになっている。この際、後側のエアミックスダンパ37は、前記後側開口部44を全開とする位置まで回動すると、前記バイパス通路38の上流端開口部48を全閉とするようになっていて、略全ての空気がヒータコア34を通過するようになる。尚、このエアミックスダンパ36、37のアクチュエータ45も前記内外気切替ダンパ12のアクチュエータ15と同様に、空調制御部の信号線が結線されるカプラ49(図3及び図5にのみ示す)を有している。
【0035】
尚、図示しないが、前記エバポレータ33には、その表面の温度を検出する温度センサが配設される一方、ヒータコア34にはその内部のエンジン冷却水の温度を検出する水温センサが配設されている。これら各センサの信号線は、空調ユニット4の左側壁部30aを貫通して延びていて、前記空調制御部に接続されるようになっている。
【0036】
さらに、前記空調ユニット4のケーシング30の上部には、車体後側の傾斜した部分にベント吹出口50,50,…が形成され、その前側の略水平な部分にデフロスト吹出口51,51が形成されている。さらに、該ケーシング30の上部における左側壁部30a及び右側壁部30b(図5のみに示す)には、それぞれフット吹出口52(図6に右側のもののみ示す)が形成されている。前記ベント吹出口50,50,…は、ベントダクト(図示せず)を介して図4に示すインストルメントパネル2に設けられたベントグリル53,53,…に接続されており、各ベント吹出口50からの調和空気は主に乗員の上半身へ吹き出すようになっている。一方、前記デフロスト吹出口51,51は、デフロストダクト(図示せず)を介してインストルメントパネル2の前端側に設けられたデフロストグリル54,54に接続されており、各デフロスト吹出口51からの調和空気はフロントウインドの内面に向かって吹き出すようになっている。また、前記左右のフット吹出口52,52には、それぞれ下方へ延びるダクト56、57が接続されていて、両ダクト56、57は、インストルメントパネル2の下側における運転席乗員及び助手席乗員の足元近傍で開口しており、フット吹出口52,52からの調和空気を乗員の足元に向かって吹き出すようになっている。
【0037】
前記フット吹出口52,52に接続されたダクト56、57のうち、運転席側のダクト56は、ケーシング30の右側壁部30bから後側の壁部に回り込むように、該ケーシング30と一体的に設けられたもので、比較的、大きい断面積を有しており、後席乗員への調和空気も一緒に通過する後席用との兼用のダクトとされている。この兼用ダクト56のケーシング右側壁部30bに対応する部分の前側には、前記したように運転席乗員への調和空気の吹出用開口55,55が形成される一方、ケーシング30の後壁部に対応する部分の下端側には後席乗員へ調和空気を導くためのフロアダクト(図示せず)の上端部が接続される接続部58,58が形成されている。
【0038】
また、前記空調ユニット4のケーシング30内部には、前記吹出口50、51、52を開閉して調和空気の吹出方向を変更する2つの吹出方向切替ダンパ60、61が、前記エアミックスダンパ36、37と同様に設けられていて、これらは空調ユニット4のケーシング30における左側壁部30aに配設されたリンク機構62及び該左側壁部30aのボス部に固定されたアクチュエータ63により作動するようになっている。
【0039】
前記吹出方向切替ダンパ60、61のうちの前側のものは前記デフロスト吹出口51,51を開閉するデフロストダンパ60とされ、後側のものはベント吹出口50,50,…を開閉するベントダンパ61とされている。それぞれのダンパ60、61は前記リンク機構62により連動するようになっており、前記アクチュエータ63によって駆動されることで、それぞれが各吹出モードに対応した開度とされる。すなわち、この空調ユニット4は、2つのダンパ60、61の開閉状態によってベントモード、デフロストモード、フットモード、ベント及びフットの各吹出口50、52から吹き出すバイレベルモード等の各吹出モードに切り替え可能とされている。尚、この吹出方向切替ダンパ60、61のアクチュエータ63も前記内外気切替ダンパ12のアクチュエータ15と同様に、空調制御部の信号線が結線されるカプラ65(図3及び図5にのみ示す)を有している。
【0040】
前記したように、空調ユニット4の各ダンパ36、37、60、61のリンク機構46、62及びアクチュエータ45、63を、該空調ユニット4の左側壁部30aにまとめて配設しているので、該空調ユニット4の組立時にはそれらを一方向から一度に取り付けることができる。
【0041】
次に、前記空調装置1の車体への取り付けについて、まず、送風ユニット3及び空調ユニット4のそれぞれの取付部について説明する。送風ユニット3の送風部8の左右両側には、それぞれ一対の取付脚68,68が設けられ、また、前記フィルタ配設部21の右側から車体右側に向かって斜めに突出する取付脚69が設けられている。一方、空調ユニット4の取付部は、前記ドレン部35に一体成形された取付脚70と、ケーシング30上部の左右両側にそれぞれ設けられた一対の取付脚71,71とからなる。
【0042】
また、前記送風ユニット3及び空調ユニット4の取付部68〜71には貫通孔が形成される一方、前記ダッシュパネルPには、図示しないが、各貫通孔の位置に対応するように、スタッドボルトが取り付けられている。また、該ダッシュパネルPには、前記クーラパイプ及びヒータパイプと、ドレン通路との配設位置に対応して貫通孔が形成されている。そして、各ユニット3、4の取付部68〜71における貫通孔にスタッドボルトを挿通させるように空調装置1を車体に位置決めすると、前記クーラパイプ及びヒータパイプはダッシュパネルPの貫通孔からエンジンルームに臨むようになる。この状態で、スタッドボルトにナットを螺合させることによって空調装置1を車体に対して強固に固定することができ、また、各パイプにはエンジンルーム内の配管を接続して、ドレン通路には排水パイプを接続する。
【0043】
したがって、この実施形態に係る自動車の空調装置によると、送風ユニット3からの空気を中間ダクト5を介して空調ユニット4へ送るようにし、該空調ユニット4のエアミックスダンパ36、37及び吹出方向切替ダンパ60、61の各リンク機構46、62及びアクチュエータ45、63を空調ユニットケーシング30の送風ユニット3側に取り付け、かつ、送風ユニット3の内外気切替ダンパ12のアクチュエータ15を送風ユニットケーシング6の空調ユニット4側に取り付けるようにしたので、中間ダクト5上方のデッドスペースに各アクチュエータ等15、45、46、62、63を収めることができ、空調装置1を小型化して搭載スペースを低減できる。また、空調ユニットケーシング30への各リンク機構46、62及びアクチュエータ45、63の組み付けを一方向から行えるので、該空調ユニット4の組立工数を削減できる。
【0044】
また、各ダンパ12、36、37、60、61のアクチュエータ15、45、63、エバポレータ33の温度センサ、ヒータコア34の水温センサ及び送風ファン23の制御回路26のそれぞれの前記空調制御部への接続部17、27、49、65を、送風ユニット3と空調ユニット4との間に集中させているので、空調装置1の車体への組み付け作業の工数を削減することができる。
【0045】
また、この空調ユニット4の右側壁部30b、即ち運転席側には、リンク機構46、62やアクチュエータ45、63が配設されていないので、兼用のダクト56の断面積を大きくすることができるとともに、その形状を自由に設定することができる。このことで、運転席乗員及び後席乗員への吹出空気量を該ダクト56のみで十分に確保することができる。また、運転席の足元近傍のスペースを広くできる。
【0046】
(他の実施形態)
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態は、右ハンドル車の場合について説明しているが、本発明は左ハンドル車にも適用できる。すなわち、送風ユニット3を車体右側に配置して、前記実施形態と同様に、空調ユニット4のリンク機構46、62及びアクチュエータ45、63を該空調ユニット4の送風ユニット3側に取り付け、送風ユニット3のアクチュエータ15を該送風ユニット3の空調ユニット4側に取り付けるようにすればよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る車両用空調装置によると、送風ユニットからの空気を中間ダクトを介して空調ユニットへ送るようにして、空調ユニットの温度調節ダンパ及び吹出方向切替ダンパの各駆動機構及びアクチュエータを、前記空調ユニットの送風ユニット側に取り付けるようにしたので、各々を送風ユニットと空調ユニットとの間にまとめて配置することができ、空調装置を小型化して搭載スペースを低減できる。また、このように2つのアクチュエータを空調ユニットの一側にまとめることで、該空調ユニットの組立工数及び車体への組み付け工数を削減することができる。
【0048】
また、2つのダンパの各駆動機構等が配設されていない空調ユニットの運転席側に調和空気を運転席の足下及び後席乗員へ導く兼用ダクトを接続したので、運転席側のペダル等の配置スペースを確保しながら、断面積の大きな兼用ダクトを配置することができる。
【0049】
請求項2記載の発明によると、前記送風ユニットの内外気切替ダンパを駆動するアクチュエータを、該送風ユニットの空調ユニット側に取り付けるようにしたので、前記温度調節ダンパ及び吹出方向切替ダンパの各駆動機構等とまとめて送風ユニット及び空調ユニットの間に配置でき、空調装置をより小型化できるとともに、両ユニットの組立工数及び車体への組み付け工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る空調装置の外観を示す左側後方からの斜視図である。
【図2】 空調装置の外観を示す右側後方からの斜視図である。
【図3】 空調装置の外観を示す後面図である。
【図4】 空調装置の配設状態を示す説明図である。
【図5】 空調装置の構造を示す図3相当図である。
【図6】 空調ユニットの内部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 空調装置
2 インストルメントパネル
3 送風ユニット
4 空調ユニット
5 中間ダクト
12 内外気切替ダンパ
15 アクチュエータ
30 空調ユニットケーシング
33 エバポレータ(冷却用熱交換器)
34 ヒータコア(加熱用熱交換器)
36、37 エアミックスダンパ(温度調節ダンパ)
45 アクチュエータ
46 リンク機構(駆動機構)
56 兼用のダクト
60、61 吹出方向切替ダンパ
62 リンク機構(駆動機構)
63 アクチュエータ

Claims (2)

  1. 車両のインストルメントパネル内の車幅方向略中央部に配設された空調ユニットと、該空調ユニットの助手席側に配設された送風ユニットと、該送風ユニットからの空気を前記空調ユニットに送る中間ダクトとを備え、該中間ダクトから空調ユニットの下側に導入した空気を、該空調ユニット内に配設された冷却用熱交換器及び該冷却用熱交換器の上側に配設された加熱用熱交換器を通過させて調和空気とするようにした車両用空調装置において、
    前記空調ユニットには、導入された空気のうち、前記加熱用熱交換器を通過する空気の比率を変更して調和空気の温度を調節する温度調節ダンパと、
    調和空気の吹出方向を切り替える吹出方向切替ダンパとが設けられ、
    前記温度調節ダンパ及び吹出方向切替ダンパをそれぞれ駆動する駆動機構及びアクチュエータが、前記空調ユニットのケーシングにおける送風ユニット側の壁部に配設され、
    前記空調ユニットのケーシングの上部における送風ユニット側の壁部及び運転席側の壁部各々に調和空気の吹出口が形成され、
    前記送風ユニット側の壁部及び運転席側の壁部各々に形成された吹出口には下方へ延びるダクトが接続されていて、
    前記送風ユニット側の壁部の吹出口に接続されたダクトは、調和空気を助手席の足下に向かって吹き出すように、助手席の足下近傍で開口し、
    前記運転席側の壁部の吹出口に接続されたダクトは、前記空調ユニットのケーシングにおける運転席側の壁部から後側の壁部に回り込むように、該ケーシングと一体的に設けられたものであり、調和空気を運転席の足下へ導く吹出用開口が形成されている一方、該ケーシングの後壁部に対応する部分に後席へ調和空気を導くダクトが接続されることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 請求項1において、
    前記送風ユニットには、車室外及び車室内からそれぞれ取り入れる空気量を調節する内外気切替ダンパが設けられ、
    前記内外気切替ダンパを駆動するためのアクチュエータが前記送風ユニットの空調ユニット側の壁部に配設されていることを特徴とする車両用空調装置。
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