JP3537790B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP3537790B2
JP3537790B2 JP2001263123A JP2001263123A JP3537790B2 JP 3537790 B2 JP3537790 B2 JP 3537790B2 JP 2001263123 A JP2001263123 A JP 2001263123A JP 2001263123 A JP2001263123 A JP 2001263123A JP 3537790 B2 JP3537790 B2 JP 3537790B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用空調装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の車両用空調装置とし
て、例えば、特開平9−123748号公報に開示され
るように、冷却用及び加熱用の2つの熱交換器を収容し
た空調ユニットと、該空調ユニットへの送風を行う送風
ユニットとを、それぞれインストルメントパネル内にお
いて車幅方向略中央部とその助手席側とに配設したもの
が知られている。
【0003】前記空調ユニットには、その下端側に送風
ユニットからの空気導入口が設けられていて、その空気
導入口から導入された空気は、該空気導入口の上方でそ
れぞれ略水平に向けて上下に並べて配置された冷却用及
び加熱用熱交換器を通過し、さらにその上方に接続され
たダクトを介して車室に導出されるようになっている。
このものでは、2つの熱交換器を上下に並べて配置する
ことで、空調ユニットの小型化を図り、その搭載スペー
スを低減している。そして、空調ユニット自体はインス
トルメントパネル内において、ダッシュパネルにボルト
とナットとで固定されている。この固定は、ダッシュパ
ネルに取り付けられたボルトを、空調ユニットのケーシ
ングから延出した形状の取付部材の貫通孔に挿通させ
て、車室側からナットを螺合させて行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、螺合を
行う場所は、奥まった狭い場所であるため、ラチェット
等の長い治具の先にナットを取り付けて行う必要があ
り、作業性が悪いので、ナットが螺合されずに落下して
しまうことがある。ナットが落下してしまうと、電装部
のショート等の故障の原因となるため、拾わなければな
らないが、複雑な形状をした空調装置の陰に隠れて見つ
けるのに時間がかかったり、狭い隙間に落ち込んで拾う
のに手間がかかることがある。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的とするところは、空調装置をダッ
シュパネルに固定する際に、ナットが落下してもすぐに
拾うことができるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、取付部材の両側部にそれぞれ補強部材を配設する
ようにした。
【0007】具体的には、請求項1の発明は、自動車の
車室内におけるインストルメントパネル内の車幅方向略
中央部に配設され且つダッシュパネルに固定された空調
ユニットと、該空調ユニットの助手席側に配設された送
風ユニットと、該送風ユニットから送風された空気を前
記空調ユニットに送る中間ダクトとを備え、該中間ダク
トから空調ユニットの下側に導入した空気を、該空調ユ
ニット内で上下に並設された冷却用熱交換器及び加熱用
熱交換器を通過させることにより調和空気を生成して、
該調和空気を車室内に吹き出すようにした車両用空調装
置を前提とする。
【0008】そして、上記ダッシュパネルとの固定のた
めに、上記空調ユニットの車両前方側の上部から上方へ
延び且つダッシュパネルに取り付けられたボルトの挿通
用の貫通孔を有する取付部材を備え、上記取付部材は、
該取付部材の車幅方向両側部の少なくとも下部からそれ
ぞれ車両後方へ延び且つ空調ユニットと連結されている
補強部材を備えており、上記取付部材よりも車両後方側
に上記空調ユニットから上方に延出したリブを備えて又
は当該空調ユニット自体が立ち上がって、該リブ又は空
調ユニットの立ち上がり部分にも上記補強部材が連結さ
れていて、全体として袋状の空間を形成しているものと
する。
【0009】前記の構成によれば、取付部材の貫通孔の
ところから螺合に失敗してナットが落下しても、取付部
材と両側部から延びた補強部材と空調ユニット自体とで
囲まれた空間にナットが捕捉され、そのナットをすぐに
取り出すことができる。さらに取付部材よりも車両後方
側に空調ユニットから上方に延出したリブ又は空調ユニ
ット自体が立ち上がって、該リブ又は空調ユニットの立
ち上がり部分にも補強部材が連結されていて、全体とし
て袋状の空間を形成していると、ナットの捕捉がより確
実になるので好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0011】図1〜図3は、本発明の実施形態に係る空
調装置1の外観を示すものであり、図7は、図1〜3に
示す空調装置1を裏側(前面)から示したものである。
この空調装置1は、図4に示すように、自動車の車室に
配設されているインストルメントパネル2の内方に収容
されている。この自動車は、運転席及び助手席がそれぞ
れ車体右側及び左側に設けられている、いわゆる右ハン
ドル車であり、さらに前部のエンジンルームと、車室の
前側とはダッシュパネルP(図6にのみ示す)によって
仕切られている。尚、この明細書では、空調装置1の車
体前側及び車体後側を、それぞれ単に前側及び後側とも
呼ぶものとする。
【0012】前記空調装置1は、図3に示すように、送
風ユニット3と、該送風ユニット3からの空気を冷却し
た後、温度調節して車室へ供給する空調ユニット4と、
送風ユニット3からの空気を空調ユニット4へ送る中間
ダクト5とからなるものである。空調ユニット4は車幅
方向の略中央部に配置される一方、送風ユニット3は該
空調ユニット4から車体左側へ所定距離離間して助手席
の前方に配置されている。また、該送風ユニット3の下
端は、空調ユニット4の下端よりも上方に位置付けられ
ていて、助手席乗員の足元スペースを広く確保してい
る。
【0013】前記送風ユニット3は、その車幅方向の略
中央部において左右に2つに分割されたケーシング6を
備えており、それらはファスナ等を用いて一体化されて
いる。そのケーシング6の上側には空調装置1へ空気を
取り入れるための空気取入部7が設けられる一方、下側
には取り入れた空気を前記空調ユニット4へ送風するた
めの送風部8が設けられている。空気取入部7の上部に
は、図1に示すように、図示しないダクトを介して車室
外の空気を取り入れるための外気取入口10と、車室内
の空気を取り入れるための内気取入口11とが形成され
ていて、さらに、これらのうちのいずれか一方を閉状態
とするとともに、他方を開状態とするように作動する内
外気切換ダンパ12(図2のみに示す)が、該空気取入
部7の内方に設けられている。
【0014】詳しくは、前記空気取入部7の上部は、そ
の前面部が上側ほど車体後方へ傾斜する矩形状とされる
一方、後面部は上側ほど車体前方へ傾斜する矩形状とさ
れ、該前面部及び後面部の上縁同士が連繋していて、車
幅方向から見て、略三角形の断面を有するように形成さ
れている。前記前面部及び後面部にそれぞれ前記外気取
入口10及び内気取入口11が矩形状に開口していて、
さらに各取入口10、11にはグリル13が一体成形さ
れている。一方、前記空気取入部7の側面部は、前面部
及び後面部の対応する側縁同士を連繋するように設けら
れている。前記内外気切替ダンパ12は、各取入口1
0、11よりも大きい矩形状とされていて、その上縁に
車幅方向に延びる軸を有し、この両端がそれぞれ前記空
気取入部7の一対の側面部の上端側に支持されている。
【0015】前記内外気切替ダンパ12の下端側には、
空気取入部7の側面部に取り付けられたアクチュエータ
15の出力軸が連結されるように、該側面部を貫通する
連結部(図示せず)が設けられている。また、該側面部
には、アクチュエータ15をねじ等により締結するため
のボス部が一体成形されている。該アクチュエータ15
は、車体に配設されている空調制御部(図示せず)から
の信号を受けて作動するように構成されていて、空調制
御部からの信号線は、アクチュエータ15のカプラ17
に結線されるようになっている。
【0016】そして、前記アクチュエータ15によって
内外気切替ダンパ12がその軸周りに回動されて、外気
取入口10を全開とする位置にされると内気取入口11
が全閉とされて、外気のみを取り入れる外気取入モード
となる一方、該内外気切替ダンパ12がその状態から逆
方向に回動されて、外気取入口10を全閉とする位置に
されると内気取入口11が全開とされて、内気循環モー
ドとなる。
【0017】一方、前記空気取入部7の下部には、図5
に示すように、取り入れた空気を濾過するためのフィル
タ20が配設されるフィルタ配設部21が設けられてお
り、図示しないが、このフィルタ配設部21の車体後方
側には開口が形成されていて、この開口からフィルタ2
0の交換が行えるようになっている。このフィルタ配設
部21の下方は前記送風部8であり、送風ファン23と
しての遠心式多翼ファンがその回転軸を上下方向に向け
て配設され、さらにこの送風ファン23の下方にファン
駆動モータ24が配設されている。この図において矢印
で示すように、該送風ファン23の回転により、空気取
入部7の上部から空気が取り入れられ、フィルタ20を
通過し、送風部8に導入される。
【0018】前記送風部8の右側壁部には開口が形成さ
れていて、前記中間ダクト5の左端部が接続されてい
る。この中間ダクト5は、その左端部から空調ユニット
4の下端側へ向かって斜め下方へ延びるように形成され
ていて、その右端部が、空調ユニット4のケーシング下
端側に形成された開口25を介して、該空調ユニット4
の内部と連通している。すなわち、送風ユニット3と空
調ユニット4とは、中間ダクト5の分だけ離れていて、
該送風ユニット3からの空気は、図5の矢印で示すよう
に、この中間ダクト5内を通過してスムーズに空調ユニ
ット4へ送られるようになっている。
【0019】また、前記中間ダクト5は、図2に示すよ
うに、車体前後方向に長い略矩形状の断面を有してい
て、その上壁には、前記ファン駆動モータ24の回転数
を変更させるための制御回路26が配設されている。こ
の制御回路26の上端部には、前記空調制御部からのコ
ネクタを接続するためのカプラ27が設けられている。
【0020】前記空調ユニット4は、全体として上下方
向に長く、かつ前記送風ユニット3のケーシング6より
も大型の矩形箱状に形成されたケーシング30を備えて
おり、該ケーシング30は底壁部31と、この底壁部3
1よりも上側の本体部32とに分割されていて、さら
に、該本体部32は前記送風ユニット3と同様に、その
車幅方向の略中央部において2つに分割されている。こ
のケーシング30の内部には、図6に示すように、前記
中間ダクト5が接続される開口25よりも上方に冷凍サ
イクルの一要素であるエバポレータ33が配設され、さ
らにその上方にはヒータコア34が配設されている。ま
た、この空調ユニット4のケーシング30の上部には、
調和空気の吹出口が複数形成されており、前記図5に矢
印で示すように、前記送風ユニット3からの空気の流れ
はこの空調ユニット4内で上方へ向かう流れとなる。
【0021】前記エバポレータ33は、送風ユニット3
からの空気を冷却する冷却用の熱交換器であり、例えば
アルミニウム等の金属薄板から形成されたチューブを互
いに同方向に延びるように多数積層して、隣り合うチュ
ーブの間に、同じく金属薄板から形成された波形のフィ
ンを介在させたものである。このエバポレータ33のチ
ューブ内には、冷凍サイクルにより生成される低温の冷
媒が循環して、該エバポレータ33を通過する空気を冷
却するようになっている。すなわち、このエバポレータ
33には、図示しないが、チューブの両端側にそれぞれ
該チューブと連通するタンクが設けられていて、一方の
タンクはチューブの積層方向の中央部分に配設された仕
切板によって流入タンク部と流出タンク部とに区画され
ている。そして、流入タンク部に流入した冷媒は、この
流入タンク部に接続された上流側チューブを介して他方
のタンクに流れ、その後、この他方のタンクから下流側
チューブを介して前記一方のタンクの流出タンク部に至
る。
【0022】前記エバポレータ33は、チューブの延び
る方向を車体前後方向に向け、かつ該エバポレータ33
の車体後側ほど上方に位置するように傾斜させて配設さ
れていて、送風ユニット3からの空気は全てエバポレー
タ33を通過するようになっている。前記エバポレータ
33の流入タンク部と流出タンク部とには、それぞれク
ーラパイプ(図示せず)が接続されていて、各クーラパ
イプは空調ユニット4のケーシング30における左側壁
部30a(図5のみに示す)からケーシング30外方へ
延出した後、車体前方へ延びるように成形されている。
【0023】前記エバポレータ33による空気の冷却時
に、該エバポレータ33に発生した凝縮水は、前記ケー
シング30の底壁部31に設けられたドレン部35を介
して車外へ排出される。このドレン部35は、底壁部3
1の車体前端側における左側の部分に、該底壁部31と
一体に形成されたドレン通路(図示せず)を備えてい
て、このドレン通路の上流端はケーシング30内に臨ん
で開口し、そこからケーシング30の左側壁部30aよ
りも車体左側へ突出するように延びて、さらに下流側の
部分は前記クーラパイプと同様に車体前方へ延びてお
り、その下流端が開口している。
【0024】また、前記ヒータコア34は、前記エバポ
レータ33を通過した空気を加熱する加熱用の熱交換器
であり、該エバポレータ33と同様に積層されたチュー
ブ及びフィンとからなるものとされ、該チューブ内には
エンジンからの高温の冷却水が循環して、該ヒータコア
34を通過する空気を加熱するようになっている。この
ヒータコア34にも、前記エバポレータ33の各クーラ
パイプと同様に、エンジン冷却水を流入及び流出させる
各ヒータパイプ(図示せず)が設けられていて、それぞ
れが、ケーシング30の左側壁部30aから外方へ延出
した後、車体前方へ延びるように成形されている。従っ
て、各ヒータパイプは、前記中間ダクト5の上方に位置
することになるので、助手席乗員が接触することはな
く、該ヒータパイプへの断熱部材の取り付けを省略でき
る。
【0025】前記エバポレータ33とヒータコア34と
の間には、調和空気の温度を調節するための2つのエア
ミックスダンパ36、37(温度調節ダンパ)が設けら
れている。このエアミックスダンパ36、37による温
度調節は、エバポレータ33を通過した空気のうち、ヒ
ータコア34を通過する空気量と該ヒータコア34をバ
イパスさせるバイパス通路38を通過する空気量との比
率を変更することによって行われる。
【0026】詳しくは、図6に示すように、空調ユニッ
ト4のケーシング30内部は、該ケーシング30の内側
に一体成形された隔壁部40によってエバポレータ33
の配設空間41と、ヒータコア34の配設空間42とに
区画されている。この隔壁部40は、図6に示すよう
に、車幅方向から見ると、車体前側で略水平に延びる前
側隔壁40aと、車体後側で逆V字状をなす後側隔壁4
0bとからなり、その前側隔壁40aと後側隔壁40b
とには、それぞれ、エバポレータ配設空間41とヒータ
コア配設空間42とを連通させる2つの開口部43、4
4が形成されていて、前記エアミックスダンパ36、3
7により開閉されるようになっている。さらに、前記隔
壁部40の後側隔壁部40bには、ヒータコア配設空間
42の後側で前記バイパス通路38とエバポレータ配設
空間41とを連通させる開口部48が形成されている。
【0027】前記2つのエアミックスダンパ36、37
は、内外気切替ダンパ12と同様に、各々が車幅方向に
延びる軸を有しており、その両端がケーシング30に支
持されていて、それぞれの車体左側の軸端に対して、前
記ケーシング30の左側壁部30aに配設されたアクチ
ュエータ45の出力軸がリンク機構46を介して連結さ
れている。該アクチュエータ45は、内外気切替ダンパ
12のアクチュエータ15と同様に、ケーシング左側壁
部30aに突設されたボス部に固定されている。
【0028】前記2つのエアミックスダンパ36、37
は、前記したリンク機構46により連動しており、アク
チュエータ45により前側及び後側開口部43、44の
それぞれを全開とする位置から、全閉とする位置まで回
動するようになっている。この際、後側のエアミックス
ダンパ37は、前記後側開口部44を全開とする位置ま
で回動すると、前記バイパス通路38の上流端開口部4
8を全閉とするようになっていて、略全ての空気がヒー
タコア34を通過するようになる。尚、このエアミック
スダンパ36、37のアクチュエータ45も前記内外気
切替ダンパ12のアクチュエータ15と同様に、空調制
御部の信号線が結線されるカプラ49(図3及び図5に
のみ示す)を有している。
【0029】尚、図示しないが、前記エバポレータ33
には、その表面の温度を検出する温度センサが配設され
る一方、ヒータコア34にはその内部のエンジン冷却水
の温度を検出する水温センサが配設されている。これら
各センサの信号線は、空調ユニット4の左側壁部30a
を貫通して延びていて、前記空調制御部に接続されるよ
うになっている。
【0030】さらに、前記空調ユニット4のケーシング
30の上部には、車体後側の傾斜した部分にベント吹出
口50,50,…が形成され、その前側の略水平な部分
にデフロスト吹出口51,51が形成されている。さら
に、該ケーシング30の上部における左側壁部30a及
び右側壁部30b(図5のみに示す)には、それぞれフ
ット吹出口52(図6に右側のもののみ示す)が形成さ
れている。前記ベント吹出口50,50,…は、ベント
ダクト(図示せず)を介して図4に示すインストルメン
トパネル2に設けられたベントグリル53,53,…に
接続されており、各ベント吹出口50からの調和空気は
主に乗員の上半身へ吹き出すようになっている。一方、
前記デフロスト吹出口51,51は、デフロストダクト
(図示せず)を介してインストルメントパネル2の前端
側に設けられたデフロストグリル54,54に接続され
ており、各デフロスト吹出口51からの調和空気はフロ
ントウインドの内面に向かって吹き出すようになってい
る。また、前記左右のフット吹出口52,52には、そ
れぞれ下方へ延びるダクト56、57が接続されてい
て、両ダクト56、57は、インストルメントパネル2
の下側における運転席乗員及び助手席乗員の足元近傍で
開口しており、フット吹出口52,52からの調和空気
を乗員の足元に向かって吹き出すようになっている。
【0031】前記フット吹出口52,52に接続された
ダクト56、57のうち、運転席側のダクト56は、ケ
ーシング30の右側壁部30bから後側の壁部に回り込
むように、該ケーシング30と一体的に設けられたもの
で、比較的、大きい断面積を有しており、後席乗員への
調和空気も一緒に通過する後席用との兼用のダクトとさ
れている。この兼用ダクト56のケーシング右側壁部3
0bに対応する部分の前側には、前記したように運転席
乗員への調和空気の吹出用開口55,55が形成される
一方、ケーシング30の後壁部に対応する部分の下端側
には後席乗員へ調和空気を導くためのフロアダクト(図
示せず)の上端部が接続される接続部58,58が形成
されている。
【0032】また、前記空調ユニット4のケーシング3
0内部には、前記吹出口50、51、52を開閉して調
和空気の吹出方向を変更する2つの吹出方向切替ダンパ
60、61が、前記エアミックスダンパ36、37と同
様に設けられていて、これらは空調ユニット4のケーシ
ング30における左側壁部30aに配設されたリンク機
構62及び該左側壁部30aのボス部に固定されたアク
チュエータ63により作動するようになっている。
【0033】前記吹出方向切替ダンパ60、61のうち
の前側のものは前記デフロスト吹出口51,51を開閉
するデフロストダンパ60とされ、後側のものはベント
吹出口50,50,…を開閉するベントダンパ61とさ
れている。それぞれのダンパ60、61は前記リンク機
構62により連動するようになっており、前記アクチュ
エータ63によって駆動されることで、それぞれが各吹
出モードに対応した開度とされる。すなわち、この空調
ユニット4は、2つのダンパ60、61の開閉状態によ
ってベントモード、デフロストモード、フットモード、
ベント及びフットの各吹出口50、52から吹き出すバ
イレベルモード等の各吹出モードに切り替え可能とされ
ている。尚、この吹出方向切替ダンパ60、61のアク
チュエータ63も前記内外気切替ダンパ12のアクチュ
エータ15と同様に、空調制御部の信号線が結線される
カプラ65(図3及び図5にのみ示す)を有している。
【0034】前記したように、空調ユニット4の各ダン
パ36、37、60、61のリンク機構46、62及び
アクチュエータ45、63を、該空調ユニット4の左側
壁部30aにまとめて配設しているので、該空調ユニッ
ト4の組立時にはそれらを一方向から一度に取り付ける
ことができる。
【0035】次に、前記空調装置1の車体への取り付け
について、まず、送風ユニット3及び空調ユニット4の
それぞれの取付部について説明する。送風ユニット3の
送風部8の左右両側には、それぞれ一対のケース一体型
ブラケット部68が設けられ、また、前記フィルタ配設
部21の右側から車体右側に向かって斜めに突出するケ
ース一体型ブラケット部69が設けられている。一方、
空調ユニット4の取付部は、前記ドレン部35に一体成
形されたフランジ70と、ケーシング30上部の左右両
側にそれぞれ設けられた一対の取付部材71,71とか
らなる。この各取付部材71は、ケーシング30の車両
前方側の上部から上方に延びていて、貫通孔72を上部
に有している。この各取付部材71の車幅方向両側部か
らは、補強部材73,73がそれぞれ車両後方へ延びて
いる。そして、ケーシング30は、各取付部材71より
も車両後方側で、各取付部材71の約半分の高さに立ち
上がっていて、各補強部材73が、取付部材71側部と
ケーシング30の該立ち上がり部分とを連結している。
また、各補強部材73は、取付部材71からケーシング
30立ち上がり部分までの間のケーシング30とも連結
している。このようにして取付部材71、補強部材73
及びケーシング30とで袋状の空間74が形成されてい
る。
【0036】また、前記送風ユニット3及び空調ユニッ
ト4の取付部68〜70には貫通孔72がそれぞれ形成
されている一方、前記ダッシュパネルPには、図示しな
いが、各貫通孔72の位置に対応するように、スタッド
ボルトが取り付けられている。また、該ダッシュパネル
Pには、前記クーラパイプ及びヒータパイプと、ドレン
通路との配設位置に対応して貫通孔が形成されている。
そして、各ユニット3、4の取付部68〜71における
各貫通孔72に上記スタッドボルトを挿通させるように
空調装置1を車体に位置決めすると、前記クーラパイプ
及びヒータパイプはダッシュパネルPの貫通孔からエン
ジンルームに臨むようになる。この状態で、スタッドボ
ルトにナットを螺合させることによって空調装置1を車
体に対して強固に固定することができ、また、各パイプ
にはエンジンルーム内の配管を接続して、ドレン通路に
は排水パイプを接続する。
【0037】ここで、取付部材71,71とダッシュパ
ネルPとの結合においては、ダッシュパネルPに取り付
けられたスタッドボルト84を取付部材71,71の貫
通孔72,72にそれぞれ挿通させて、ラチェットを用
いて車室側からナット83を螺合させる。このときラチ
ェットを挿入する空間は、インストルメントパネル上面
と空調ユニット4のケーシング30上面との間の狭い空
間であるため、ラチェット先端にナット83を嵌め込ん
で車室側からスタッドボルト84のところまで挿入して
いった際に、ナット83がスタッドボルト84先端にう
まく螺合しなくて、ナット83がラチェットから落下し
てしまう事態が生じやすい。このような場合、ナット8
3は、各取付部材71と各補強部材73とケーシング3
0とで囲まれ、上面のみが開放された袋状の空間74に
入るため、容易に取り出すことができる。このような袋
状の空間74がないと、落下したナット83がどこにあ
るのかがわからないので、探すのに時間がかかり取付作
業時間が長くなってしまうが、本実施形態では、取付作
業時間は短くて済む。
【0038】また、前記補強部材73の下部には、図7
に示すように、孔81が開いている。この孔81は、二
分割されている空調ユニット4のケーシング30を連結
する際に用いられる。即ち、二分割のケーシング30を
ネジ82で連結するときには、ネジ締め自動機を用いて
行うが、補強部材73との位置関係上このネジ締め自動
機の軸が長くなり、軸がぶれるためネジ締め作業がやり
にくいので、前記孔81に軸を挿入して、孔81をガイ
ド孔として用いる。このようにすることで、ネジ締め作
業を容易にし、作業ミスを少なくすることができる。
【0039】また、前記ダッシュパネルPは、上下に二
分割されていて、本実施形態の空調装置1は、下側のダ
ッシュパネルPに全ての取付部68〜70、及び取付部
材71,71が結合されるので、取付の際のばらつきが
少ない。さらに、このような取付位置であるために振動
耐久性が向上する。
【0040】従って、本実施形態に係る車両用空調装置
によると、取付部材71,71の両側部に各補強部材7
3が備えられていて袋状の空間74が存するので、空調
ユニット4のダッシュパネルPへの取付の際に、ナット
83が落下しても容易に拾うことができ、取付時間が短
く済む。また、落下したナット83を確実に回収でき
る。そして、各補強部材73が取付部材71,71を補
強するので、取付強度が向上し、取り付けられた空調装
置1のがたつきを抑制することができる。
【0041】(他の実施形態)なお、本発明は前記実施
形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形
態を包含するものである。即ち、前記実施形態は、右ハ
ンドル車の場合について説明しているが、本発明は左ハ
ンドル車にも適用できる。つまり、送風ユニット3を車
体右側に配置して、前記実施形態と同様に、空調ユニッ
ト4のリンク機構46,62及びアクチュエータ45,
63を該空調ユニット4の送風ユニット3側に取り付
け、送風ユニット3のアクチュエータ15を該送風ユニ
ット3の空調ユニット4側に取り付けるようにすればよ
い。
【0042】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に述べる効果を奏する。
【0043】空調ユニットが、ダッシュパネルに取付部
材により固定され、取付部材の両側部から補強部材がそ
れぞれ車両後方に延び且つ空調ユニットと連結されてい
るので、取付時にナットが落下してしまっても容易に拾
うことができ、従って取り付け工事の時間が短くて済
む。また、取付部材が両側部の補強部材により強固に補
強されるので、空調ユニットのダッシュパネルへの固定
が確実且つ強固になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空調装置の外観を示す
左側後方からの斜視図である。
【図2】空調装置の外観を示す右側後方からの斜視図で
ある。
【図3】空調装置の外観を示す後面図である。
【図4】空調装置の配設状態を示す説明図である。
【図5】空調装置の構造を示す図3相当図である。
【図6】空調ユニットの内部構造を示す断面図である。
【図7】空調装置の外観を示す前方からの斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 空調装置 3 送風ユニット 4 空調ユニット 5 中間ダクト 33 エバポレータ(冷却用熱交換器) 34 ヒータコア(加熱用熱交換器) 71 取付部材 72 貫通孔 73 補強部材 84 スタッドボルト P ダッシュパネル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開2001−180251(JP,A) 特開 平10−230735(JP,A) 実開 昭63−130310(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/00 - 3/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自動車の車室内におけるインストルメン
    トパネル内の車幅方向略中央部に配設され且つダッシュ
    パネルに固定された空調ユニットと、該空調ユニットの
    助手席側に配設された送風ユニットと、該送風ユニット
    から送風された空気を前記空調ユニットに送る中間ダク
    トとを備え、該中間ダクトから空調ユニットの下側に導
    入した空気を、該空調ユニット内で上下に並設された冷
    却用熱交換器及び加熱用熱交換器を通過させることによ
    り調和空気を生成して、該調和空気を車室内に吹き出す
    ようにした車両用空調装置において、 上記ダッシュパネルとの固定のために、上記空調ユニッ
    トの車両前方側の上部から上方へ延び且つダッシュパネ
    ルに取り付けられたボルトの挿通用の貫通孔を有する取
    付部材を備え、 上記取付部材は、該取付部材の車幅方向両側部の少なく
    とも下部からそれぞれ車両後方へ延び且つ空調ユニット
    と連結されている補強部材を備えており、 上記取付部材よりも車両後方側に上記空調ユニットから
    上方に延出したリブを備えて又は当該空調ユニット自体
    が立ち上がって、該リブ又は空調ユニットの立ち上がり
    部分にも上記補強部材が連結されていて、全体として袋
    状の空間を形成している ことを特徴とする車両用空調装
    置。
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