JP3852347B2 - 車両用情報記録方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されたエアバック機構を駆動したときの各種情報を記録する車両用情報記録方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエアバッグシステムとしては、エアバッグの作動時に、加速度センサ出力値、走行速度、ブレーキ操作の有無、アクセル操作状態などの車両情報を記録するものが知られている。このエアバッグシステムでは、エアバッグ作動時に記録した車両情報を再現することで、車両事故の解析調査などに活用可能としている。
【0003】
このようなエアバッグシステムとしては、具体的に、例えば特開平1−164649号公報に開示されたものが知られている。このエアバッグシステムの記録装置は、ABS(Anti-lock Brake System)やエンジン制御ECU(Electric Control Unit)等から走行速度や加速度、ブレーキ動作情報、アクセル操作情報などを通信ラインを介して入力し、エアバッグECUに内蔵したRAM(Random Access Memory)に最新のデータを一時記録する。そして、エアバッグ作動時には、RAMに一時記録したデータをEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等に記録して保存する構成となっている。
【0004】
また、従来のエアバッグシステムは、例えば特開平10−53095号公報に開示されているように、エアバッグECUに電源バックアップ機能を備え、車両衝突によりバッテリラインの断線等が生じても、各種情報の記録制御やエアバッグ作動制御を実行可能な構成になっている。
【0005】
通常、電源バックアップ機能を実現するためには、アルミ電解コンデンサをバックアップ用電源(補助電源)として使用し、車両衝突が発生してからエアバッグを作動させるのに必要な時間(バックアップ作動所要時間)を保持できるだけの電力が充填されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のエアバッグシステムでは、バックアップ用電源としてアルミ電解コンデンサを用いる構成になっていたので、バックアップ可能な時間がアルミ電解コンデンサの温度特性や経時劣化に強く依存する。例えば、低温になるほど、また年月を経れば経るほどアルミ電解コンデンサの容量が低下するので、バックアップ時間が短くなる。
【0007】
したがって、アルミ電解コンデンサのバックアップ作動所要時間がバックアップ可能な時間を下回ると、EEPROMへの記録最中に電源が途絶えて記録中断してしまうので、記録内容が不安定になることがあり記録情報の信頼性が失われるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、補助電源の容量に制限がある場合であっても安定して情報を記録して記録した情報の信頼性を高めることができる車両用情報記録方法及び装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、請求項1に係る車両用情報記録方法では、車両走行に関する車両走行情報を更新しながら一時記憶メモリに記憶している最中に車両衝突を検知したとき、主電源からの電源供給が停止して補助電源に蓄積した電力により、エアバッグ機構を動作させると共に車両衝突発生時の車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、上記補助電源の電力量に基づいて車両走行情報の不揮発性メモリへの記録可能時間を算出すると共に、車両走行情報の記録所要時間を算出し、算出した上記記録可能時間と上記記録所要時間とを比較して、上記記録所要時間が上記記録可能時間よりも長い場合には、上記不揮発性メモリへの記録を終了する。
【0010】
請求項2に係る車両用情報記録方法では、請求項1に係る車両用情報記録方法であって、上記不揮発性メモリへの記録を終了するに際して、上記不揮発性メモリに記録終了を示す記録終了情報を記録した後に、記録を終了することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る車両用情報記録方法では、請求項1又は請求項2に係る車両用情報記録方法であって、上記一時記憶メモリに記憶された車両走行情報を上記不揮発性メモリに記憶するに際して、上記一時記憶メモリに記憶した車両走行情報うち、上記不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る車両用情報記録方法では、請求項3に係る車両用情報記録方法であって、上記一時記憶メモリに記憶した車両走行情報のうち、上記不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択して記録した後に、車両走行情報を選択したことを示す選択情報を上記不揮発性メモリに記録することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る車両用情報記録方法では、請求項4に係る車両用情報記録方法であって、上記選択情報として、少なくとも選択条件を含めることを特徴とする。
【0014】
上述の課題を解決するために、請求項6に係る車両用情報記録装置では、車両の衝突を検知する衝突検知手段と、車両走行に関する車両走行情報を一時記憶する一時記憶手段と、上記衝突検知手段によって衝突が検知された場合に、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報を記録して保存する不揮発性記憶手段と、車両の主電源からの電力を蓄電する補助電源と、上記補助電源に蓄電された電力量を検出する電力検出手段と、上記電力検出手段によって検出された電力量に基づいて、上記不揮発性記憶手段に車両走行情報を記録可能な記録可能時間を算出する記録可能時間算出手段と、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報の上記不揮発性記憶手段への記録に要する記録所要時間を算出する記録所要時間算出手段と、上記記録可能時間算出手段によって算出された記録可能時間と上記記録所要時間算出手段によって算出された記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、上記不揮発性記憶手段への記録を終了する記録制御手段とを備える。
【0015】
請求項7に係る車両用情報記録装置では、請求項6に係る車両用情報記録装置であって、上記記録制御手段は、上記不揮発性記憶手段への記録を終了する場合には、上記不揮発性記憶手段に記録終了を示す記録終了情報を記録した後に記録を終了することを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る車両用情報記録装置では、請求項6又は請求項7に係る車両用情報記録装置であって、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報を選択する選択手段を更に備え、上記記録制御手段は、上記選択手段により選択された車両走行情報を上記不揮発性記憶手段に記録することを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る車両用情報記録装置では、請求項8に係る車両用情報記録装置であって、上記記録制御手段は、上記選択手段によって選択された車両走行情報を記録した場合に、上記選択手段により選択したことを示す選択情報を上記不揮発性記憶手段に記録することを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る車両用情報記録装置では、請求項9に係る車両用情報記録装置であって、上記記録制御手段は、上記選択情報として、少なくとも選択手段による選択条件を含めることを特徴とする。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る車両用情報記録方法によれば、一時記憶メモリの車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、補助電源の電力量に基づいて車両走行情報の不揮発性メモリへの記録可能時間を算出すると共に、車両走行情報の記録所要時間を算出し、算出した記録可能時間と記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、不揮発性メモリへの記録を終了するので、不揮発性メモリに記録している最中に補助電源の電力が不足して不揮発性メモリに不安定なデータを記録することを防止することができる。したがって、この車両用情報記録方法によれば、補助電源の容量に制限がある場合であっても安定して車両走行情報を記録して、記録した車両走行情報の信頼性を高めることができる。
【0020】
請求項2に係る車両用情報記録方法によれば、不揮発性メモリへの記録を終了するに際して、不揮発性メモリに記録終了を示す記録終了情報を記録した後に、記録を終了するので、記録可能時間が記録所要時間よりも短く、全車両走行情報が記録できない場合であっても、車両衝突によって記録が終了したのか、記録所要時間が記録可能時間よりも長いために記録が終了したのかを明確にすることができる。
【0021】
請求項3に係る車両用情報記録方法によれば、一時記憶メモリに記憶された車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、一時記憶メモリに記憶した車両走行情報うち、不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択するので、必要な車両走行情報を確実に記録することができる。
【0022】
請求項4に係る車両用情報記録方法によれば、一時記憶メモリに記憶した車両走行情報のうち、不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択して記録した後に、車両走行情報を選択したことを示す選択情報を不揮発性メモリに記録することができる。
【0023】
請求項5に係る車両用情報記録方法によれば、選択情報として、少なくとも選択条件を含めるので、不揮発性メモリにどのような車両走行情報が選択されたのかを記録することができる。
【0024】
請求項6に係る車両用情報記録装置によれば、記録可能時間と記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、不揮発性記憶手段への記録を終了するので、不揮発性記憶手段に記録している最中に補助電源の電力が不足して不揮発性記憶手段に不安定なデータを記録することを防止することができる。したがって、この車両用情報記録装置によれば、補助電源の容量に制限がある場合であっても安定して車両走行情報を記録して、記録した車両走行情報の信頼性を高めることができる。
【0025】
請求項7に係る車両用情報記録装置によれば、不揮発性記憶手段への記録を終了する場合には、不揮発性記憶手段に記録終了を示す記録終了情報を記録した後に記録を終了するので、記録可能時間が記録所要時間よりも短く、全車両走行情報が記録できない場合であっても、車両衝突によって記録が終了したのか、記録所要時間が記録可能時間よりも長いために記録が終了したのかを明確にすることができる。
【0026】
請求項8に係る車両用情報記録装置によれば、選択手段により選択された車両走行情報を不揮発性記憶手段に記録するので、必要な車両走行情報を確実に記録することができる。
【0027】
請求項9に係る車両用情報記録装置によれば、選択手段によって選択された車両走行情報を記録した場合に、選択手段により選択したことを示す選択情報を不揮発性記憶手段に記録することができる。
【0028】
請求項10に係る車両用情報記録装置によれば、選択情報として、少なくとも選択手段による選択条件を含めるので、不揮発性記憶手段にどのような車両走行情報が選択されたのかを記録することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
本発明は、例えば図1に示すように構成されたエアバッグシステムに適用される。
【0031】
[エアバッグシステムの構成]
このエアバッグシステムは、エアバッグECU1に、IGN電源2、センサ群3、ABS(Anti-lock Brake System)ECU(Electric Control Unit)4、エンジンECU5、スクイブ6が接続されて構成されている。このエアバッグECU1は、車両内の通信ライン7を介してセンサ群3、ABSECU4及びエンジンECU5と接続され、電源ハーネス8を介してIGN電源2及びスクイブ6と接続されている。
【0032】
IGN電源2は、エアバッグシステムの各部と電源ハーネス8を介して接続される。IGN電源2は、車両のイグニッションスイッチ(IGN)がオンとされることにより起動し、エアバッグシステムの各部が駆動するための電源を供給する。
【0033】
センサ群3は、車両の各部と接続され、車両各部の状態を検出してセンサ信号としてエアバッグECU1に供給する。このセンサ群3は、本例において、ブレーキ機構と接続されてブレーキ動作状態を検出するブレーキスイッチ11、車両速度を検出する車速センサ12、スロットル状態を検出するスロットル開度センサ13からなる。
【0034】
ABSECU4は、車両に設けられたABSを制御する。このABSECU4は、車両走行時において、ABSを制御すると共にABSの制御状態を示すABS状態情報を作成してエアバッグECU1に出力する。
【0035】
エンジンECU5は、車両に設けられたエンジンを制御する。このエンジンECU5は、車両走行時においてエンジンを制御すると共にエンジンの制御状態を示すエンジン状態情報を作成してエアバッグECU1に出力する。
【0036】
スクイブ6は、電気式エアバッグを作動させる点火装置からなり、エアバッグECU1から駆動電源が供給される。このスクイブ6は、駆動電源が供給されると、例えばガス発生剤を瞬時に燃焼することで窒素を発生させエアバッグを膨らます作動をする。
【0037】
「エアバッグECU1の構成」
エアバッグECU1は、IGN電源2と電源ハーネス8を介して接続された昇圧回路21及び5Vレギュレータ22と、センサ群3、ABSECU4及びエンジンECU5と通信ライン7を介して接続された通信回路23、スクイブ6と電源ハーネス8を介して接続された駆動回路24とを備える。また、このエアバッグECU1は、バックアップコンデンサ25、コンデンサ電圧測定回路26、衝突検知センサ27、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)28、各部を制御するMPU(Microprocessing Unit)29を備えて構成されている。
【0038】
5Vレギュレータ22は、IGN電源2からIGN電源電圧が供給され、エアバッグECU1内の動作に必要な電源電圧に変換する。この5Vレギュレータ22は、変換した電源電圧を通信回路23、衝突検知センサ27、EEPROM28及びMPU29に供給する。
【0039】
昇圧回路21は、IGN電源2からのIGN電源電圧を昇圧する。これは、エアバッグシステムの主電源はIGN電源2であるが、IGN電源電圧が低いとスクイブ6の作動に影響を及ぼすためである。したがって、昇圧回路21は、スクイブ6が動作してエアバッグが安定して動作する必要な電圧までIGN電源電圧を昇圧して、バックアップコンデンサ25に供給する。
【0040】
バックアップコンデンサ25は、例えばアルミ電解コンデンサからなり、エアバッグシステムの補助電源として機能する。このバックアップコンデンサ25は、エアバッグシステムの電源投入時から常時昇圧回路21からの電力を蓄積している。
【0041】
このバックアップコンデンサ25は、昇圧回路21により電圧が印加されることで車両衝突時に使用する電力を蓄積する。例えば、車両衝突により車両内バッテリやエアバッグECU1とIGN電源2とを接続する電源ハーネス8が破損し、IGN電源2による電源供給が停止された場合、バックアップコンデンサ25は、5Vレギュレータ22及び駆動回路24に電源供給をする。すなわち、バックアップコンデンサ25は、スクイブ6が動作するための駆動電力を蓄積することで、IGN電源2の供給が遮断されてもエアバッグシステムの動作に影響を与えない容量の電力を蓄積している。
【0042】
コンデンサ電圧測定回路26は、バックアップコンデンサ25の端子電圧を測定する。このコンデンサ電圧測定回路26は、その測定値がMPU29により定期的に読み込まれる。
【0043】
駆動回路24は、MPU29からの制御信号に従って、バックアップコンデンサ25に蓄積された電力を用いてエアバッグを展開させるのに必要な電力(電流量×通電時間)をスクイブ6に供給する。
【0044】
衝突検知センサ27は、5Vレギュレータ22からの電力により駆動し、MPU29に格納された車両速度情報から車両の減速度を検出して、車両の衝突が発生したことを検知する。この衝突検知センサ27は、車両の衝突が発生したことを検知すると、その旨のセンサ信号をMPU29に供給する。なお、本実施例における衝突検知センサ27は、車両速度情報から車両の減速度を算出するようにしたが、これが例えばシリコンカンチレバ式等の機械式のセンサであっても良い。
【0045】
通信回路23は、通信ライン7を介してセンサ信号、ABS状態情報及びエンジン状態情報を受信して、MPU29に出力する。
【0046】
EEPROM28は、不揮発性のメモリからなり、MPU29により各種情報が記録されると共に、MPU29によりその内容が読み込まれる。
【0047】
MPU29は、5Vレギュレータ22からの電力により駆動し、駆動回路24及びEEPROM28を制御する。このMPU29は、エアバッグ展開判断アルゴリズムを実行するためのプログラムを内部に格納しており、エアバッグシステムの起動時において格納しておいたプログラムを起動することで以下に説明する処理を実行する。
【0048】
MPU29は、車両走行時においては、通信回路23を介して、ABS状態情報、エンジン状態情報及びセンサ信号の車両走行に関する車両走行情報を常時入力する。このMPU29は、所定期間ごとに、入力した車両走行情報を内部のRAM領域31にバッファリングして、定期的にその内容を更新する。
【0049】
本例において、一時的に情報を記憶するメモリであるRAM領域31に記憶する車両走行情報は、エンジン回転数情報、ブレーキ動作状態情報、走行速度情報、スロットル位置情報である。また、MPU29は、車両走行情報として、衝突検知センサ27のセンサ信号やエアバッグ展開判断アルゴリズムにて生成された数値情報もバッファリングしても良い。
【0050】
このようなエアバッグシステムにおいて、車両の衝突によってIGN電源2からエアバッグECU1への電源線の断線によって電源供給が停止した時、MPU29は、衝突検知センサ27から車両の減速度を検出したセンサ信号が入力されると、センサ信号をA/D変換処理をしてセンサ信号を取り込み、エアバッグの展開作動を決定して駆動回路24を制御する。このとき、MPU29は、エアバッグ展開許可を示す制御信号を駆動回路24に供給すると共に、エアバッグ展開タイミングを判断する。また、MPU29は、駆動回路24を動作させると同時にRAM領域31にバッファリングした車両走行情報を更新する処理を停止して凍結し、凍結した車両走行情報をEEPROM28に記録開始する。
【0051】
また、このエアバッグシステムにおいて、車両の衝突によりエアバッグECU1のIGN電源2からの電源供給が断たれると、その後のエアバッグECU1内の各部への電源供給をバックアップコンデンサ25により行う。これにより、バックアップコンデンサ25に蓄積された電力が消費され、バックアップコンデンサ25の端子電圧が徐々に低下する。
【0052】
このとき、コンデンサ電圧測定回路26では、バックアップコンデンサ25の端子電圧を検出してMPU29に出力する。MPU29は、コンデンサ電圧測定回路26により検出されている端子間電圧を定期的にモニタリングし、端子電圧の減少率を算出し、所定電圧となる到達予測時間を算出し、更にEEPROM28への記録可能時間及び記録所要時間を算出して、RAM領域31に記憶した車両走行情報をEEPROM28に記録する。
【0053】
[車両衝突発生時のMPU29による演算処理]
つぎに、上述したエアバッグシステムにおいて、車両衝突発生時のMPU29による車両情報記録に関する演算処理について図2を参照して説明する。
【0054】
図2の時刻t1以前のIGN電源2からエアバッグECU1に電力が供給されているときには、バックアップコンデンサ25が昇圧電圧V0にフル充電されているが、時刻t1において車両衝突が発生して、エアバッグECU1に対するIGN電源2の電源供給が遮断されると、バックアップコンデンサ25の電力を5Vレギュレータ22に供給して消費し、バックアップコンデンサ25の端子電圧が低下する。
【0055】
このとき、バックアップコンデンサ25の端子電圧Vtは、下記式1で示すように、
Vt=V0−α・t(但し、α=I5V/C) (式1)
で表現され、次第に低下する。ここで、バックアップコンデンサ25の端子電圧VtはIGN電源2が遮断された後にバックアップコンデンサ25による電源供給を開始した後、時間tが経過した時の電圧値であり、V0はIGN電源2が遮断される直前のバックアップコンデンサ25の端子電圧である昇圧電圧であり、I5Vは5V系(通信回路23、衝突検知センサ27、EEPROM28、MPU29)の消費電流であり、Cはバックアップコンデンサ25の静電容量である。
【0056】
また、EEPROM28の動作を保証する最低電圧値を供給するのに必要とされるバックアップコンデンサ25の下限電圧値Vminは、下記式2で示すように、
Vmin=Vrom+Vdrop (式2)
で表現される。ここで、VromはEEPROM28の動作を保証するバックアップコンデンサ25の最低電圧値であり、例えば4.5Vとして予め設計時又は実験等により設定された電圧値とされる。また、Vdropは5Vレギュレータ22による電圧降下分であり、例えば0.3Vとして予め設計時又は実験等により設定された電圧値とされる。
【0057】
上記式1の端子電圧Vtと上記式2のVminより、MPU29は、IGN電源2の電源遮断後の時刻tにおけるEEPROM28への記録可能時間Ttを、下記式3で示すように、
Tt=(Vt−Vmin)/α (式3)
なる演算式を用いて算出する。
【0058】
ここで、式1において、消費電流I5Vは温度に強く依存し、バックアップコンデンサ25の静電容量Cは温度やバックアップコンデンサ25の使用年数に強く依存する。そこで、MPU29は、αを予め設定した定数として使用する場合のみならず、バックアップコンデンサ25の端子電圧Vtの算出精度の向上を図り、以下に説明するように算出することが望ましい。
【0059】
IGN電源2の電源供給が遮断した後において、ΔTの周期にて、バックアップコンデンサ25の端子電圧Vnをサンプリングすると、n回目のサンプリング時刻tnでのバックアップコンデンサ25の端子電圧Vnは、下記式4に示すように、
Vn=V0−α・tn (式4)
で表現され、(n+1)回目のサンプリング時刻tn+1でのバックアップコンデンサ25の端子電圧Vn+1は、下記式5に示すように、
Vn+1=V0−α・tn+1 (式5)
で表現される。
【0060】
ここで、ΔTをmsec単位とすると、昇圧電圧V0に対するαの変化率が無視できるほど小さく、αは下記式6に示すように、
α=(Vn−Vn+1)/(tn+1−tn) (式6)
で表現され、上記式3においてVt=Vn+1とすると、バックアップコンデンサ25の端子電圧をサンプリングをするごとに、前にサンプリングしたバックアップコンデンサ25の端子電圧を用いて式6に従ってαを算出して式3により記録可能時間Ttを算出する。
【0061】
また、MPU29は、EEPROM28に車両走行情報を記録する記録所要時間を算出するときには、RAM領域31に記録されてEEPROM28に記録する必要がある車両走行情報のデータ量と、1バイトの記録に要する単位記録時間Twに基づいて記録所要時間を算出する。すなわち、例えばRAM領域31に記録されたNバイトの車両走行情報をEEPROM28に記録するには、N・Tw の時間が必要となる。
【0062】
ここで、MPU29は、単位記録時間Twを、予め設定した定数として使用しても良く、変化させても良い。すなわち、データの記録が完了した際に記録完了を表す信号(完了信号)を出力するEEPROM28を使用した場合、MPU29は、複数の車両走行情報を連続して記録を行っているときに、一つの車両走行情報を記録する度に完了信号を入力したことに応じて、完了信号入力の周期を測定して単位記録時間Twを変化させても良い。これにより、EEPROM28に記録をした実測値に基づく単位記録時間Twを使用することができ、記録所要時間N・Twの算出精度を高めることができる。
【0063】
このようにMPU29は、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとを演算し、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとを比較する。MPU29は、記録可能時間Ttが記録所要時間N・Tw以上である場合(Tt≧N・Tw)には、RAM領域31に記録された全車両走行情報を記録し、記録可能時間Ttが記録所要時間N・Twより短い場合(Tt<N・Tw)には、全車両走行情報の記録ができないと判断する。
【0064】
全車両走行情報がEEPROM28に記録できない場合、MPU29は、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとから、記録可能時間Tt内に記録可能な車両走行情報を記録した後に、予め定義した記録終了コードをEEPROM28に記録する。
【0065】
MPU29は、例えば2バイトの車両走行情報を記録する必要がある場合に、記録可能時間Ttが2バイトでの記録所要時間2・Twよりも短い場合には、1バイトの車両走行情報しか記録できず、図3に示すように、EEPROM28に記録終了コード(END)を記録する。このとき、MPU29は、EEPROM28の記録アドレス「00」〜「FA」の記録領域(データ領域)に車両走行情報を記録し、記録アドレス「FB」〜「FD」の記録領域(未定義領域)に未定義コードを記録し、更に記録アドレス「FE」に記録終了コードを記録する。
【0066】
ここで、EEPROM28は、1バイトごとの内部領域を、00(H)〜FA(H)を書き込みデータ記録領域、FB(H)を未定義コードA記録領域、FC(H)を未定義コードB記録領域、FD(H)を未定義コードC記録領域、FE(H)を記録終了コード記録領域、FF(H)をEEPROM記録データの初期値記録領域として割り当てている。このような各領域は予め各記録アドレスごとに格納される情報の種類が設定されており、各記録アドレスのビットを「0」又は「1」とする記録をすることで、車両走行情報の再現が可能となり、車両事故の解析調査などに活用可能としている。
【0067】
このようにEEPROM28に記録終了コードの記録をした後、MPU29は、EEPROM28のアクセス中に電源が遮断されることにより、EEPROM28に記録したデータが破壊される恐れがあるので、アクセスを禁止する。
【0068】
また、MPU29は、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長い場合、例えば2・Tw≦Tt<N・Twである場合は、RAM領域31に記録されている全車両走行情報を記録することはできないが、RAM領域31に記録された車両走行情報のうち、車両走行情報の種類に応じた優先度を設定し、優先度の高い車両走行情報を選択して記録しても良い。このとき、例えば車両速度等を優先度の高い車両走行情報として設定しておく。また、MPU29は、優先度に従って車両走行情報を記録した場合には、全車両走行情報を記録した場合と記録した車両走行情報の記録順序が異なるので、例えば未定義コードA記録領域にその旨の情報を記録する。
【0069】
更に、MPU29は、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長い場合、例えば2・Tw≦Tt<N・Twである場合は、記録対象の車両走行情報の分解能を下げて記録しても良い。すなわち、MPU29は、例えば、1sec分の走行速度情報が10msec毎にサンプリングされて記録されている場合には、RAM領域31に同種類の100個の車両走行情報がバッファリングされているが、10個毎に間引いた車両走行情報をEEPROM28に記録する。これにより、MPU29は、結果的に100msec毎の車両走行情報を記録することができる。また、MPU29は、車両走行情報を間引いて記録した場合には、例えば未定義コードB記録領域にその旨の情報を記録する。
【0070】
[実施の形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用したエアバッグシステムによれば、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとを比較して、記録所要時間Ttが記録可能時間N・Twよりも長い場合には、EEPROM28に車両走行情報を記録する処理を終了するので、EEPROM28に記録している最中にバックアップコンデンサ25の電力が不足してEEPROM28に不安定なデータを記録することを防止することができる。したがって、このエアバッグシステムによれば、バックアップコンデンサ25の容量に制限がある場合であっても安定して車両走行情報を記録して、記録した車両走行情報の信頼性を高めることができる。
【0071】
また、このエアバッグシステムによれば、EEPROM28への記録を終了するときにEEPROM28への記録終了を表す記録終了コードを記録した後に車両走行情報の記録を終了するので、記録可能時間Ttが記録所要時間N・Twよりも短く、全車両走行情報が記録できない場合であっても、断線等の不具合によって記録が終了したのか、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長いために記録が終了したのかを明確にすることができる。
【0072】
また、このエアバッグシステムによれば、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長い場合に、RAM領域31に記憶した車両走行情報を選択してEEPROM28に記録するので、必要な車両走行情報を確実に記録することができる。
【0073】
更に、このエアバッグシステムによれば、RAM領域31に記憶された車両走行情報を選択してEEPROM28に記録する場合には、RAM領域31に記憶された車両走行情報を選択したことを表す情報をEEPROM28に記録することができる。
【0074】
更にまた、このエアバッグシステムによれば、例えば記録する車両走行情報を選択したことを記録するに際して未定義コード領域の記録をすることで、選択した条件(優先度、間引き)を記録することができ、データ記録領域にどのような車両走行情報が選択されたのかを記録することができる。
【0075】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したエアバッグシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】衝突発生時におけるバックアップコンデンサの端子電圧の時間的変化を説明するための図であり、(a)はIGN電源の供給が遮断されたタイミングを示し、(b)はバックアップコンデンサの端子電圧の変化を示す。
【図3】EEPROMの記録領域を示す図である。
【符号の説明】
1 エアバッグECU
2 IGN電源
3 センサ群
4 ABSECU
5 エンジンECU
6 スクイブ
7 通信ライン
8 電源ハーネス
11 ブレーキスイッチ
12 車速センサ
13 スロットル開度センサ
21 昇圧回路
22 5Vレギュレータ
23 通信回路
24 駆動回路
25 バックアップコンデンサ
26 コンデンサ電圧測定回路
27 衝突検知センサ
28 EEPROM
29 MPU
31 RAM領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されたエアバック機構を駆動したときの各種情報を記録する車両用情報記録方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエアバッグシステムとしては、エアバッグの作動時に、加速度センサ出力値、走行速度、ブレーキ操作の有無、アクセル操作状態などの車両情報を記録するものが知られている。このエアバッグシステムでは、エアバッグ作動時に記録した車両情報を再現することで、車両事故の解析調査などに活用可能としている。
【0003】
このようなエアバッグシステムとしては、具体的に、例えば特開平1−164649号公報に開示されたものが知られている。このエアバッグシステムの記録装置は、ABS(Anti-lock Brake System)やエンジン制御ECU(Electric Control Unit)等から走行速度や加速度、ブレーキ動作情報、アクセル操作情報などを通信ラインを介して入力し、エアバッグECUに内蔵したRAM(Random Access Memory)に最新のデータを一時記録する。そして、エアバッグ作動時には、RAMに一時記録したデータをEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等に記録して保存する構成となっている。
【0004】
また、従来のエアバッグシステムは、例えば特開平10−53095号公報に開示されているように、エアバッグECUに電源バックアップ機能を備え、車両衝突によりバッテリラインの断線等が生じても、各種情報の記録制御やエアバッグ作動制御を実行可能な構成になっている。
【0005】
通常、電源バックアップ機能を実現するためには、アルミ電解コンデンサをバックアップ用電源(補助電源)として使用し、車両衝突が発生してからエアバッグを作動させるのに必要な時間(バックアップ作動所要時間)を保持できるだけの電力が充填されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のエアバッグシステムでは、バックアップ用電源としてアルミ電解コンデンサを用いる構成になっていたので、バックアップ可能な時間がアルミ電解コンデンサの温度特性や経時劣化に強く依存する。例えば、低温になるほど、また年月を経れば経るほどアルミ電解コンデンサの容量が低下するので、バックアップ時間が短くなる。
【0007】
したがって、アルミ電解コンデンサのバックアップ作動所要時間がバックアップ可能な時間を下回ると、EEPROMへの記録最中に電源が途絶えて記録中断してしまうので、記録内容が不安定になることがあり記録情報の信頼性が失われるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、補助電源の容量に制限がある場合であっても安定して情報を記録して記録した情報の信頼性を高めることができる車両用情報記録方法及び装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、請求項1に係る車両用情報記録方法では、車両走行に関する車両走行情報を更新しながら一時記憶メモリに記憶している最中に車両衝突を検知したとき、主電源からの電源供給が停止して補助電源に蓄積した電力により、エアバッグ機構を動作させると共に車両衝突発生時の車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、上記補助電源の電力量に基づいて車両走行情報の不揮発性メモリへの記録可能時間を算出すると共に、車両走行情報の記録所要時間を算出し、算出した上記記録可能時間と上記記録所要時間とを比較して、上記記録所要時間が上記記録可能時間よりも長い場合には、上記不揮発性メモリへの記録を終了する。
【0010】
請求項2に係る車両用情報記録方法では、請求項1に係る車両用情報記録方法であって、上記不揮発性メモリへの記録を終了するに際して、上記不揮発性メモリに記録終了を示す記録終了情報を記録した後に、記録を終了することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る車両用情報記録方法では、請求項1又は請求項2に係る車両用情報記録方法であって、上記一時記憶メモリに記憶された車両走行情報を上記不揮発性メモリに記憶するに際して、上記一時記憶メモリに記憶した車両走行情報うち、上記不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る車両用情報記録方法では、請求項3に係る車両用情報記録方法であって、上記一時記憶メモリに記憶した車両走行情報のうち、上記不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択して記録した後に、車両走行情報を選択したことを示す選択情報を上記不揮発性メモリに記録することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る車両用情報記録方法では、請求項4に係る車両用情報記録方法であって、上記選択情報として、少なくとも選択条件を含めることを特徴とする。
【0014】
上述の課題を解決するために、請求項6に係る車両用情報記録装置では、車両の衝突を検知する衝突検知手段と、車両走行に関する車両走行情報を一時記憶する一時記憶手段と、上記衝突検知手段によって衝突が検知された場合に、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報を記録して保存する不揮発性記憶手段と、車両の主電源からの電力を蓄電する補助電源と、上記補助電源に蓄電された電力量を検出する電力検出手段と、上記電力検出手段によって検出された電力量に基づいて、上記不揮発性記憶手段に車両走行情報を記録可能な記録可能時間を算出する記録可能時間算出手段と、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報の上記不揮発性記憶手段への記録に要する記録所要時間を算出する記録所要時間算出手段と、上記記録可能時間算出手段によって算出された記録可能時間と上記記録所要時間算出手段によって算出された記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、上記不揮発性記憶手段への記録を終了する記録制御手段とを備える。
【0015】
請求項7に係る車両用情報記録装置では、請求項6に係る車両用情報記録装置であって、上記記録制御手段は、上記不揮発性記憶手段への記録を終了する場合には、上記不揮発性記憶手段に記録終了を示す記録終了情報を記録した後に記録を終了することを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る車両用情報記録装置では、請求項6又は請求項7に係る車両用情報記録装置であって、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報を選択する選択手段を更に備え、上記記録制御手段は、上記選択手段により選択された車両走行情報を上記不揮発性記憶手段に記録することを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る車両用情報記録装置では、請求項8に係る車両用情報記録装置であって、上記記録制御手段は、上記選択手段によって選択された車両走行情報を記録した場合に、上記選択手段により選択したことを示す選択情報を上記不揮発性記憶手段に記録することを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る車両用情報記録装置では、請求項9に係る車両用情報記録装置であって、上記記録制御手段は、上記選択情報として、少なくとも選択手段による選択条件を含めることを特徴とする。
【0019】
【発明の効果】
請求項1に係る車両用情報記録方法によれば、一時記憶メモリの車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、補助電源の電力量に基づいて車両走行情報の不揮発性メモリへの記録可能時間を算出すると共に、車両走行情報の記録所要時間を算出し、算出した記録可能時間と記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、不揮発性メモリへの記録を終了するので、不揮発性メモリに記録している最中に補助電源の電力が不足して不揮発性メモリに不安定なデータを記録することを防止することができる。したがって、この車両用情報記録方法によれば、補助電源の容量に制限がある場合であっても安定して車両走行情報を記録して、記録した車両走行情報の信頼性を高めることができる。
【0020】
請求項2に係る車両用情報記録方法によれば、不揮発性メモリへの記録を終了するに際して、不揮発性メモリに記録終了を示す記録終了情報を記録した後に、記録を終了するので、記録可能時間が記録所要時間よりも短く、全車両走行情報が記録できない場合であっても、車両衝突によって記録が終了したのか、記録所要時間が記録可能時間よりも長いために記録が終了したのかを明確にすることができる。
【0021】
請求項3に係る車両用情報記録方法によれば、一時記憶メモリに記憶された車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、一時記憶メモリに記憶した車両走行情報うち、不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択するので、必要な車両走行情報を確実に記録することができる。
【0022】
請求項4に係る車両用情報記録方法によれば、一時記憶メモリに記憶した車両走行情報のうち、不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択して記録した後に、車両走行情報を選択したことを示す選択情報を不揮発性メモリに記録することができる。
【0023】
請求項5に係る車両用情報記録方法によれば、選択情報として、少なくとも選択条件を含めるので、不揮発性メモリにどのような車両走行情報が選択されたのかを記録することができる。
【0024】
請求項6に係る車両用情報記録装置によれば、記録可能時間と記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、不揮発性記憶手段への記録を終了するので、不揮発性記憶手段に記録している最中に補助電源の電力が不足して不揮発性記憶手段に不安定なデータを記録することを防止することができる。したがって、この車両用情報記録装置によれば、補助電源の容量に制限がある場合であっても安定して車両走行情報を記録して、記録した車両走行情報の信頼性を高めることができる。
【0025】
請求項7に係る車両用情報記録装置によれば、不揮発性記憶手段への記録を終了する場合には、不揮発性記憶手段に記録終了を示す記録終了情報を記録した後に記録を終了するので、記録可能時間が記録所要時間よりも短く、全車両走行情報が記録できない場合であっても、車両衝突によって記録が終了したのか、記録所要時間が記録可能時間よりも長いために記録が終了したのかを明確にすることができる。
【0026】
請求項8に係る車両用情報記録装置によれば、選択手段により選択された車両走行情報を不揮発性記憶手段に記録するので、必要な車両走行情報を確実に記録することができる。
【0027】
請求項9に係る車両用情報記録装置によれば、選択手段によって選択された車両走行情報を記録した場合に、選択手段により選択したことを示す選択情報を不揮発性記憶手段に記録することができる。
【0028】
請求項10に係る車両用情報記録装置によれば、選択情報として、少なくとも選択手段による選択条件を含めるので、不揮発性記憶手段にどのような車両走行情報が選択されたのかを記録することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
本発明は、例えば図1に示すように構成されたエアバッグシステムに適用される。
【0031】
[エアバッグシステムの構成]
このエアバッグシステムは、エアバッグECU1に、IGN電源2、センサ群3、ABS(Anti-lock Brake System)ECU(Electric Control Unit)4、エンジンECU5、スクイブ6が接続されて構成されている。このエアバッグECU1は、車両内の通信ライン7を介してセンサ群3、ABSECU4及びエンジンECU5と接続され、電源ハーネス8を介してIGN電源2及びスクイブ6と接続されている。
【0032】
IGN電源2は、エアバッグシステムの各部と電源ハーネス8を介して接続される。IGN電源2は、車両のイグニッションスイッチ(IGN)がオンとされることにより起動し、エアバッグシステムの各部が駆動するための電源を供給する。
【0033】
センサ群3は、車両の各部と接続され、車両各部の状態を検出してセンサ信号としてエアバッグECU1に供給する。このセンサ群3は、本例において、ブレーキ機構と接続されてブレーキ動作状態を検出するブレーキスイッチ11、車両速度を検出する車速センサ12、スロットル状態を検出するスロットル開度センサ13からなる。
【0034】
ABSECU4は、車両に設けられたABSを制御する。このABSECU4は、車両走行時において、ABSを制御すると共にABSの制御状態を示すABS状態情報を作成してエアバッグECU1に出力する。
【0035】
エンジンECU5は、車両に設けられたエンジンを制御する。このエンジンECU5は、車両走行時においてエンジンを制御すると共にエンジンの制御状態を示すエンジン状態情報を作成してエアバッグECU1に出力する。
【0036】
スクイブ6は、電気式エアバッグを作動させる点火装置からなり、エアバッグECU1から駆動電源が供給される。このスクイブ6は、駆動電源が供給されると、例えばガス発生剤を瞬時に燃焼することで窒素を発生させエアバッグを膨らます作動をする。
【0037】
「エアバッグECU1の構成」
エアバッグECU1は、IGN電源2と電源ハーネス8を介して接続された昇圧回路21及び5Vレギュレータ22と、センサ群3、ABSECU4及びエンジンECU5と通信ライン7を介して接続された通信回路23、スクイブ6と電源ハーネス8を介して接続された駆動回路24とを備える。また、このエアバッグECU1は、バックアップコンデンサ25、コンデンサ電圧測定回路26、衝突検知センサ27、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)28、各部を制御するMPU(Microprocessing Unit)29を備えて構成されている。
【0038】
5Vレギュレータ22は、IGN電源2からIGN電源電圧が供給され、エアバッグECU1内の動作に必要な電源電圧に変換する。この5Vレギュレータ22は、変換した電源電圧を通信回路23、衝突検知センサ27、EEPROM28及びMPU29に供給する。
【0039】
昇圧回路21は、IGN電源2からのIGN電源電圧を昇圧する。これは、エアバッグシステムの主電源はIGN電源2であるが、IGN電源電圧が低いとスクイブ6の作動に影響を及ぼすためである。したがって、昇圧回路21は、スクイブ6が動作してエアバッグが安定して動作する必要な電圧までIGN電源電圧を昇圧して、バックアップコンデンサ25に供給する。
【0040】
バックアップコンデンサ25は、例えばアルミ電解コンデンサからなり、エアバッグシステムの補助電源として機能する。このバックアップコンデンサ25は、エアバッグシステムの電源投入時から常時昇圧回路21からの電力を蓄積している。
【0041】
このバックアップコンデンサ25は、昇圧回路21により電圧が印加されることで車両衝突時に使用する電力を蓄積する。例えば、車両衝突により車両内バッテリやエアバッグECU1とIGN電源2とを接続する電源ハーネス8が破損し、IGN電源2による電源供給が停止された場合、バックアップコンデンサ25は、5Vレギュレータ22及び駆動回路24に電源供給をする。すなわち、バックアップコンデンサ25は、スクイブ6が動作するための駆動電力を蓄積することで、IGN電源2の供給が遮断されてもエアバッグシステムの動作に影響を与えない容量の電力を蓄積している。
【0042】
コンデンサ電圧測定回路26は、バックアップコンデンサ25の端子電圧を測定する。このコンデンサ電圧測定回路26は、その測定値がMPU29により定期的に読み込まれる。
【0043】
駆動回路24は、MPU29からの制御信号に従って、バックアップコンデンサ25に蓄積された電力を用いてエアバッグを展開させるのに必要な電力(電流量×通電時間)をスクイブ6に供給する。
【0044】
衝突検知センサ27は、5Vレギュレータ22からの電力により駆動し、MPU29に格納された車両速度情報から車両の減速度を検出して、車両の衝突が発生したことを検知する。この衝突検知センサ27は、車両の衝突が発生したことを検知すると、その旨のセンサ信号をMPU29に供給する。なお、本実施例における衝突検知センサ27は、車両速度情報から車両の減速度を算出するようにしたが、これが例えばシリコンカンチレバ式等の機械式のセンサであっても良い。
【0045】
通信回路23は、通信ライン7を介してセンサ信号、ABS状態情報及びエンジン状態情報を受信して、MPU29に出力する。
【0046】
EEPROM28は、不揮発性のメモリからなり、MPU29により各種情報が記録されると共に、MPU29によりその内容が読み込まれる。
【0047】
MPU29は、5Vレギュレータ22からの電力により駆動し、駆動回路24及びEEPROM28を制御する。このMPU29は、エアバッグ展開判断アルゴリズムを実行するためのプログラムを内部に格納しており、エアバッグシステムの起動時において格納しておいたプログラムを起動することで以下に説明する処理を実行する。
【0048】
MPU29は、車両走行時においては、通信回路23を介して、ABS状態情報、エンジン状態情報及びセンサ信号の車両走行に関する車両走行情報を常時入力する。このMPU29は、所定期間ごとに、入力した車両走行情報を内部のRAM領域31にバッファリングして、定期的にその内容を更新する。
【0049】
本例において、一時的に情報を記憶するメモリであるRAM領域31に記憶する車両走行情報は、エンジン回転数情報、ブレーキ動作状態情報、走行速度情報、スロットル位置情報である。また、MPU29は、車両走行情報として、衝突検知センサ27のセンサ信号やエアバッグ展開判断アルゴリズムにて生成された数値情報もバッファリングしても良い。
【0050】
このようなエアバッグシステムにおいて、車両の衝突によってIGN電源2からエアバッグECU1への電源線の断線によって電源供給が停止した時、MPU29は、衝突検知センサ27から車両の減速度を検出したセンサ信号が入力されると、センサ信号をA/D変換処理をしてセンサ信号を取り込み、エアバッグの展開作動を決定して駆動回路24を制御する。このとき、MPU29は、エアバッグ展開許可を示す制御信号を駆動回路24に供給すると共に、エアバッグ展開タイミングを判断する。また、MPU29は、駆動回路24を動作させると同時にRAM領域31にバッファリングした車両走行情報を更新する処理を停止して凍結し、凍結した車両走行情報をEEPROM28に記録開始する。
【0051】
また、このエアバッグシステムにおいて、車両の衝突によりエアバッグECU1のIGN電源2からの電源供給が断たれると、その後のエアバッグECU1内の各部への電源供給をバックアップコンデンサ25により行う。これにより、バックアップコンデンサ25に蓄積された電力が消費され、バックアップコンデンサ25の端子電圧が徐々に低下する。
【0052】
このとき、コンデンサ電圧測定回路26では、バックアップコンデンサ25の端子電圧を検出してMPU29に出力する。MPU29は、コンデンサ電圧測定回路26により検出されている端子間電圧を定期的にモニタリングし、端子電圧の減少率を算出し、所定電圧となる到達予測時間を算出し、更にEEPROM28への記録可能時間及び記録所要時間を算出して、RAM領域31に記憶した車両走行情報をEEPROM28に記録する。
【0053】
[車両衝突発生時のMPU29による演算処理]
つぎに、上述したエアバッグシステムにおいて、車両衝突発生時のMPU29による車両情報記録に関する演算処理について図2を参照して説明する。
【0054】
図2の時刻t1以前のIGN電源2からエアバッグECU1に電力が供給されているときには、バックアップコンデンサ25が昇圧電圧V0にフル充電されているが、時刻t1において車両衝突が発生して、エアバッグECU1に対するIGN電源2の電源供給が遮断されると、バックアップコンデンサ25の電力を5Vレギュレータ22に供給して消費し、バックアップコンデンサ25の端子電圧が低下する。
【0055】
このとき、バックアップコンデンサ25の端子電圧Vtは、下記式1で示すように、
Vt=V0−α・t(但し、α=I5V/C) (式1)
で表現され、次第に低下する。ここで、バックアップコンデンサ25の端子電圧VtはIGN電源2が遮断された後にバックアップコンデンサ25による電源供給を開始した後、時間tが経過した時の電圧値であり、V0はIGN電源2が遮断される直前のバックアップコンデンサ25の端子電圧である昇圧電圧であり、I5Vは5V系(通信回路23、衝突検知センサ27、EEPROM28、MPU29)の消費電流であり、Cはバックアップコンデンサ25の静電容量である。
【0056】
また、EEPROM28の動作を保証する最低電圧値を供給するのに必要とされるバックアップコンデンサ25の下限電圧値Vminは、下記式2で示すように、
Vmin=Vrom+Vdrop (式2)
で表現される。ここで、VromはEEPROM28の動作を保証するバックアップコンデンサ25の最低電圧値であり、例えば4.5Vとして予め設計時又は実験等により設定された電圧値とされる。また、Vdropは5Vレギュレータ22による電圧降下分であり、例えば0.3Vとして予め設計時又は実験等により設定された電圧値とされる。
【0057】
上記式1の端子電圧Vtと上記式2のVminより、MPU29は、IGN電源2の電源遮断後の時刻tにおけるEEPROM28への記録可能時間Ttを、下記式3で示すように、
Tt=(Vt−Vmin)/α (式3)
なる演算式を用いて算出する。
【0058】
ここで、式1において、消費電流I5Vは温度に強く依存し、バックアップコンデンサ25の静電容量Cは温度やバックアップコンデンサ25の使用年数に強く依存する。そこで、MPU29は、αを予め設定した定数として使用する場合のみならず、バックアップコンデンサ25の端子電圧Vtの算出精度の向上を図り、以下に説明するように算出することが望ましい。
【0059】
IGN電源2の電源供給が遮断した後において、ΔTの周期にて、バックアップコンデンサ25の端子電圧Vnをサンプリングすると、n回目のサンプリング時刻tnでのバックアップコンデンサ25の端子電圧Vnは、下記式4に示すように、
Vn=V0−α・tn (式4)
で表現され、(n+1)回目のサンプリング時刻tn+1でのバックアップコンデンサ25の端子電圧Vn+1は、下記式5に示すように、
Vn+1=V0−α・tn+1 (式5)
で表現される。
【0060】
ここで、ΔTをmsec単位とすると、昇圧電圧V0に対するαの変化率が無視できるほど小さく、αは下記式6に示すように、
α=(Vn−Vn+1)/(tn+1−tn) (式6)
で表現され、上記式3においてVt=Vn+1とすると、バックアップコンデンサ25の端子電圧をサンプリングをするごとに、前にサンプリングしたバックアップコンデンサ25の端子電圧を用いて式6に従ってαを算出して式3により記録可能時間Ttを算出する。
【0061】
また、MPU29は、EEPROM28に車両走行情報を記録する記録所要時間を算出するときには、RAM領域31に記録されてEEPROM28に記録する必要がある車両走行情報のデータ量と、1バイトの記録に要する単位記録時間Twに基づいて記録所要時間を算出する。すなわち、例えばRAM領域31に記録されたNバイトの車両走行情報をEEPROM28に記録するには、N・Tw の時間が必要となる。
【0062】
ここで、MPU29は、単位記録時間Twを、予め設定した定数として使用しても良く、変化させても良い。すなわち、データの記録が完了した際に記録完了を表す信号(完了信号)を出力するEEPROM28を使用した場合、MPU29は、複数の車両走行情報を連続して記録を行っているときに、一つの車両走行情報を記録する度に完了信号を入力したことに応じて、完了信号入力の周期を測定して単位記録時間Twを変化させても良い。これにより、EEPROM28に記録をした実測値に基づく単位記録時間Twを使用することができ、記録所要時間N・Twの算出精度を高めることができる。
【0063】
このようにMPU29は、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとを演算し、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとを比較する。MPU29は、記録可能時間Ttが記録所要時間N・Tw以上である場合(Tt≧N・Tw)には、RAM領域31に記録された全車両走行情報を記録し、記録可能時間Ttが記録所要時間N・Twより短い場合(Tt<N・Tw)には、全車両走行情報の記録ができないと判断する。
【0064】
全車両走行情報がEEPROM28に記録できない場合、MPU29は、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとから、記録可能時間Tt内に記録可能な車両走行情報を記録した後に、予め定義した記録終了コードをEEPROM28に記録する。
【0065】
MPU29は、例えば2バイトの車両走行情報を記録する必要がある場合に、記録可能時間Ttが2バイトでの記録所要時間2・Twよりも短い場合には、1バイトの車両走行情報しか記録できず、図3に示すように、EEPROM28に記録終了コード(END)を記録する。このとき、MPU29は、EEPROM28の記録アドレス「00」〜「FA」の記録領域(データ領域)に車両走行情報を記録し、記録アドレス「FB」〜「FD」の記録領域(未定義領域)に未定義コードを記録し、更に記録アドレス「FE」に記録終了コードを記録する。
【0066】
ここで、EEPROM28は、1バイトごとの内部領域を、00(H)〜FA(H)を書き込みデータ記録領域、FB(H)を未定義コードA記録領域、FC(H)を未定義コードB記録領域、FD(H)を未定義コードC記録領域、FE(H)を記録終了コード記録領域、FF(H)をEEPROM記録データの初期値記録領域として割り当てている。このような各領域は予め各記録アドレスごとに格納される情報の種類が設定されており、各記録アドレスのビットを「0」又は「1」とする記録をすることで、車両走行情報の再現が可能となり、車両事故の解析調査などに活用可能としている。
【0067】
このようにEEPROM28に記録終了コードの記録をした後、MPU29は、EEPROM28のアクセス中に電源が遮断されることにより、EEPROM28に記録したデータが破壊される恐れがあるので、アクセスを禁止する。
【0068】
また、MPU29は、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長い場合、例えば2・Tw≦Tt<N・Twである場合は、RAM領域31に記録されている全車両走行情報を記録することはできないが、RAM領域31に記録された車両走行情報のうち、車両走行情報の種類に応じた優先度を設定し、優先度の高い車両走行情報を選択して記録しても良い。このとき、例えば車両速度等を優先度の高い車両走行情報として設定しておく。また、MPU29は、優先度に従って車両走行情報を記録した場合には、全車両走行情報を記録した場合と記録した車両走行情報の記録順序が異なるので、例えば未定義コードA記録領域にその旨の情報を記録する。
【0069】
更に、MPU29は、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長い場合、例えば2・Tw≦Tt<N・Twである場合は、記録対象の車両走行情報の分解能を下げて記録しても良い。すなわち、MPU29は、例えば、1sec分の走行速度情報が10msec毎にサンプリングされて記録されている場合には、RAM領域31に同種類の100個の車両走行情報がバッファリングされているが、10個毎に間引いた車両走行情報をEEPROM28に記録する。これにより、MPU29は、結果的に100msec毎の車両走行情報を記録することができる。また、MPU29は、車両走行情報を間引いて記録した場合には、例えば未定義コードB記録領域にその旨の情報を記録する。
【0070】
[実施の形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用したエアバッグシステムによれば、記録可能時間Ttと記録所要時間N・Twとを比較して、記録所要時間Ttが記録可能時間N・Twよりも長い場合には、EEPROM28に車両走行情報を記録する処理を終了するので、EEPROM28に記録している最中にバックアップコンデンサ25の電力が不足してEEPROM28に不安定なデータを記録することを防止することができる。したがって、このエアバッグシステムによれば、バックアップコンデンサ25の容量に制限がある場合であっても安定して車両走行情報を記録して、記録した車両走行情報の信頼性を高めることができる。
【0071】
また、このエアバッグシステムによれば、EEPROM28への記録を終了するときにEEPROM28への記録終了を表す記録終了コードを記録した後に車両走行情報の記録を終了するので、記録可能時間Ttが記録所要時間N・Twよりも短く、全車両走行情報が記録できない場合であっても、断線等の不具合によって記録が終了したのか、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長いために記録が終了したのかを明確にすることができる。
【0072】
また、このエアバッグシステムによれば、記録所要時間N・Twが記録可能時間Ttよりも長い場合に、RAM領域31に記憶した車両走行情報を選択してEEPROM28に記録するので、必要な車両走行情報を確実に記録することができる。
【0073】
更に、このエアバッグシステムによれば、RAM領域31に記憶された車両走行情報を選択してEEPROM28に記録する場合には、RAM領域31に記憶された車両走行情報を選択したことを表す情報をEEPROM28に記録することができる。
【0074】
更にまた、このエアバッグシステムによれば、例えば記録する車両走行情報を選択したことを記録するに際して未定義コード領域の記録をすることで、選択した条件(優先度、間引き)を記録することができ、データ記録領域にどのような車両走行情報が選択されたのかを記録することができる。
【0075】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したエアバッグシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】衝突発生時におけるバックアップコンデンサの端子電圧の時間的変化を説明するための図であり、(a)はIGN電源の供給が遮断されたタイミングを示し、(b)はバックアップコンデンサの端子電圧の変化を示す。
【図3】EEPROMの記録領域を示す図である。
【符号の説明】
1 エアバッグECU
2 IGN電源
3 センサ群
4 ABSECU
5 エンジンECU
6 スクイブ
7 通信ライン
8 電源ハーネス
11 ブレーキスイッチ
12 車速センサ
13 スロットル開度センサ
21 昇圧回路
22 5Vレギュレータ
23 通信回路
24 駆動回路
25 バックアップコンデンサ
26 コンデンサ電圧測定回路
27 衝突検知センサ
28 EEPROM
29 MPU
31 RAM領域
Claims (10)
- 車両走行に関する車両走行情報を更新しながら一時記憶メモリに記憶している最中に車両衝突を検知したとき、主電源からの電源供給が停止して補助電源に蓄積した電力により、エアバッグ機構を動作させると共に車両衝突発生時の車両走行情報を不揮発性メモリに記憶するに際して、
上記補助電源の電力量に基づいて車両走行情報の不揮発性メモリへの記録可能時間を算出すると共に、車両走行情報の記録所要時間を算出し、
算出した上記記録可能時間と上記記録所要時間とを比較して、上記記録所要時間が上記記録可能時間よりも長い場合には、上記不揮発性メモリへの記録を終了すること
を特徴とする車両用情報記録方法。 - 上記不揮発性メモリへの記録を終了するに際して、上記不揮発性メモリに記録終了を示す記録終了情報を記録した後に、記録を終了することを特徴とする請求項1に記載の車両用情報記録方法。
- 上記一時記憶メモリに記憶された車両走行情報を上記不揮発性メモリに記憶するに際して、
上記一時記憶メモリに記憶した車両走行情報うち、上記不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用情報記録方法。 - 上記一時記憶メモリに記憶した車両走行情報のうち、上記不揮発性メモリに記録する車両走行情報を選択して記録した後に、
車両走行情報を選択したことを示す選択情報を上記不揮発性メモリに記録することを特徴とする請求項3に記載の車両用情報記録方法。 - 上記選択情報として、少なくとも選択条件を含めることを特徴とする請求項4に記載の車両用情報記録方法。
- 車両の衝突を検知する衝突検知手段と、
車両走行に関する車両走行情報を一時記憶する一時記憶手段と、
上記衝突検知手段によって衝突が検知された場合に、上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報を記録して保存する不揮発性記憶手段と、
車両の主電源からの電力を蓄電する補助電源と、
上記補助電源に蓄電された電力量を検出する電力検出手段と、
上記電力検出手段によって検出された電力量に基づいて、上記不揮発性記憶手段に車両走行情報を記録可能な記録可能時間を算出する記録可能時間算出手段と、
上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報の上記不揮発性記憶手段への記録に要する記録所要時間を算出する記録所要時間算出手段と、
上記記録可能時間算出手段によって算出された記録可能時間と上記記録所要時間算出手段によって算出された記録所要時間とを比較して、記録所要時間が記録可能時間よりも長い場合には、上記不揮発性記憶手段への記録を終了する記録制御手段と
を備えることを特徴とする車両用情報記録装置。 - 上記記録制御手段は、上記不揮発性記憶手段への記録を終了する場合には、上記不揮発性記憶手段に記録終了を示す記録終了情報を記録した後に記録を終了することを特徴とする請求項6に記載の車両用情報記録装置。
- 上記一時記憶手段に記憶された車両走行情報を選択する選択手段を更に備え、
上記記録制御手段は、上記選択手段により選択された車両走行情報を上記不揮発性記憶手段に記録することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両用情報記録装置。 - 上記記録制御手段は、上記選択手段によって選択された車両走行情報を記録した場合に、上記選択手段により選択したことを示す選択情報を上記不揮発性記憶手段に記録することを特徴とする請求項8に記載の車両用情報記録装置。
- 上記記録制御手段は、上記選択情報として、少なくとも選択手段による選択条件を含めることを特徴とする請求項9に記載の車両用情報記録装置。
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