JP3851593B2 - Nb3Sn系超電導線材用ブロンズ材およびこれを用いた超電導線材用複合材、並びに超電導線材 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ブロンズ法によってNb3Sn系超電導線材を製造する際に、Nb線材と複合し伸線加工(断面減少加工)してから拡散熱処理することにより高性能のNb3Sn系超電導線材を与えるブロンズ材と、該ブロンズ材を用いたNb3Sn系超電導線材用の複合材、並びに、該複合材を用いたNb3Sn系超電導線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コイル状に巻回された超電導線材に大電流を流すことによって磁場を発生させる超電導マグネットは、例えば核磁気共鳴(NMR)装置の如き各種物性測定機器の他、磁気浮上列車や核融合装置などへの応用が進められており、こうした用途に用いられる超電導マグネットの代表的な構成素材として、Nb3Sn系超電導線材が知られている。
【0003】
この様なNb3Sn系超電導線材の製法としては、内部拡散法、チューブ法、インサイチュー(in−situ)法、粉末法、ブロンズ法などが知られており、中でも現在もっとも汎用されているのは、ブロンズ法と呼ばれる複合加工法である。
【0004】
図1は、ブロンズ法によってNb3Sn系超電導線材を製造する際に、Nb3Sn系超電導線材を生成させる拡散熱処理前の複合材の断面構造を模式的に示した説明図であり、図中1はNb線、2はブロンズ材(Cu−Sn系マトリックス合金)、3は拡散バリア層、4は安定化銅を夫々示している。
【0005】
そして、ブロンズ法によってNb3Sn系超電導線材を製造するに当たっては、ブロンズ材(Cu−Sn基マトリックス合金)2に、1本または複数本(図示例では19本)のNb線1を埋め込んでから断面減少加工を施し、それらを更に複数本束ねて線材群とする。そして該線材群を筒状の拡散バリア層3内へ挿入した後、更にその外側を安定化銅4で被包する。上記拡散バリア層3は、ブロンズ材(Cu−Sn基マトリックス合金)2に含まれるSnをNb線1方向へ拡散移行させて反応せしめNb3Snを生成させるための拡散熱処理時に、Snが外方へ拡散してCuを汚染し抵抗率を増加させるのを抑える作用を発揮するもので、例えばNbやTa等が使用される。また安定化銅4は、Nb3Sn系超電導線材全体を熱的、電磁気的に安定化させるためのもので、通常は無酸素銅が使用される。なお図示例では安定化銅4を外周部に配置した例を示したが、この他、中心部に配置したり分散して配置する例もある。
【0006】
そして、図1に例示する様に組付けた素材(複合材)を所定サイズまで伸線加工(断面減少加工)してから拡散熱処理を行い、ブロンズ材(Cu−Sn基マトリックス合金)2内に含まれるSnをNb線1方向へ拡散させてNbと反応させることにより、Nb線1の界面近傍(即ち、Cu−Sn基マトリックス合金2とNb線1の境界部)から、更にはその内部にまでにNb3Snを生成させる。
【0007】
なお図1の例では、複数本のNb線1をCu−Sn基マトリックス合金2に直接埋め込んで素材を作製し、これを更に複数本束ねて線材群とした後、全体を筒状の拡散バリア層3内に挿入した例を示したが、この他、例えばCu−Sn基マトリックス合金よりなる管材内に1本のNb線を埋め込み、これに断面減少加工を施して単芯線を得、この単芯線を複数本束ねて前記と同じブロンズ材2内へ挿入し、以下同様にして複合材とすることも可能である。
【0008】
そして、この様にして製造した複合材に伸線加工を施して所定のサイズにまで減面加工してから拡散熱処理を施すと、前述した如くブロンズ材(Cu−Sn基マトリックス合金)中のSnがNb線方向へ拡散移行して界面にNb3Snが生成し、これがNb線の中心方向へ成長してNb3Sn層が形成され、これが超電導特性を示すことになる。
【0009】
この様な方法でNb3Sn系超電導線材を製造する際に使用されるブロンズ材としては、通常は10〜15質量%程度のSnを含み、残部が実質的にCuからなる合金が使用される。そして、例えば特公昭61−17325号公報には、この様なNb3Sn系超電導線材製造用のブロンズ材として、CuとSnに加えてTi,Zr,Hfの1種以上を少量含有させると、複合材(スタック材)を極細多芯線状に減面する際の加工性が向上し、且つ、Nb3Sn系超電導線材の強磁界特性も一段と優れたものになることが報告されている。
【0010】
また本発明者らも、かねてよりこの種のNb3Sn系超電導線材の製造技術について改良研究を進めており、その成果の一環として、先に特開2001−357734号公報に開示の技術を提供している。この公開発明は、ブロンズ法によってNb3Sn系超電導線材を製造する際に、Nb3SnおよびNbの合計断面積に対するCu−Sn基合金の断面積の比を1.8〜3.0にする他、Nb3SnとNbの合計断面積に対するNbの平均面積率を5〜20%の範囲に設定することにより、安定して高い臨界電流密度とn値を得る点に特徴を有している。
【0011】
上記n値とは、下記式(1)中のnの値を示しており、この値が高いものほど超電導特性に優れたものと判断できる。
【0012】
V=V0(I/Ic)n……(1)
(式中、Vは発生電圧、V0は定数、Iは通電電流、Icは臨界電流を示す)
更にこの公開発明では、好ましい他の要件として、使用するブロンズ材(Cu-Sn合金)中にTa,Zr,Ti,Hfよりなる群から選択される1種以上の金属を含有させると、強磁場中での臨界電流密度が更に高められることを明らかにしている。但し、上記選択元素の含有率が多過ぎると、非超電導性の金属間化合物が生成して超電導特性が損なわれる他、線材化のための加工性が低下することも確認されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らはその後も、ブロンズ法を利用したNb3Sn系超電導線材の製造技術について改良研究を進めている。そして今回は、特に、前掲の特開2001−357734号で開示した「ブロンズ材中に、Ta,Zr,Ti,Hfよりなる群から選択される1種以上の金属を含有させると、強磁場中での臨界電流密度が更に高められる反面、上記選択元素の含有率が多過ぎると、非超電導性の金属間化合物が生成するばかりでなく、線材化のための加工性も低下する」という現象が生じる原因を究明し、その改善策を確立することによって超電導特性の一層の向上を図るべく、特に添加元素として最も汎用性の高いTiに絞って研究を進めてきた。
【0014】
その結果、Cu−Sn合金中にTiを微量添加しただけでも、当該Cu-Sn合金内に粗大なCu-Sn-Ti化合物が生成することを確認した。そしてこの化合物は、Nb線と複合した後にも残存し、伸線加工性(断面減少加工性)に悪影響を及ぼす恐れがある。しかもブロンズ材内に生成した粗大なCu-Sn-Ti化合物は、後で詳述する如くNb3Snを生成させるための拡散熱処理工程でNb3Snの生成そのものに悪影響を及ぼし、超電導特性にも少なからぬ悪影響を及ぼす。
【0015】
従って、Ti添加による前記公開発明に開示の利点を実用規模で有効に活かすには、ブロンズ材内にTiを配合したときに生じる上記粗大なCu-Sn-Ti化合物の生成を可及的に抑え、伸線加工性や超電導特性への悪影響を阻止する技術を確立する必要がある。
【0016】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、ブロンズ法を採用してNb3Sn系超電導線材を製造する際に、Cu-Sn基合金中に少量のTiを含有させたときに当該合金の断面に現れる粗大なCu-Sn-Ti化合物の生成を防止し、伸線加工性や超電導特性に優れたNb3Sn系超電導線材を確実に製造し得るようなブロンズ材および複合材を提供し、更に、これらを用いた高性能のNb3Sn系超電導線材を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明にかかるNb3Sn系超電導線材用のブロンズ材とは、Cu,Sn,TiおよびZrを含み、倍率100倍の光学顕微鏡で断面観察することにより観察される長径1μm以上のCu−Sn−Ti化合物が、平均で100個/mm2以下であるところに特徴を有している。
【0018】
本発明にかかる上記ブロンズ材の好ましい組成は、Sn含量が10〜25質量%、Ti含量が0.05〜5質量%、Zr含量が0.05〜5質量%で、残部が実質的にCuからなるものである。本発明の上記ブロンズ材では、適量のZrを添加することの更なる効果としてCu−Sn化合物の生成も抑えるので、結果的にSnの有効利用も増進できる。即ちブロンズ法を採用してNb3Sn系超電導線材を製造する際に用いるブロンズ材の一般的なSn含量は13〜14質量%で、多いものでも15質量%程度が限界とされているが、本発明によればSn含量を18質量%程度に高めた場合でもCu−Sn化合物の析出が可及的に抑えられ、結果的にSn含量を22〜25質量%程度にまで高めることが可能となる。その結果、臨界電流密度などの超電導特性を著しく高めることが可能となる。
【0019】
そして、Zrの添加によりCu−Sn−Ti化合物やCu-Sn化合物の析出量が抑えられた上記ブロンズ材やこれを用いた複合材から製造されるNb3Sn系超電導線材は、従来材に較べて一段と高レベルの臨界電流密度とn値を示す点で、従来材の品質を凌駕する新規なものであり、このNb3Sn系超電導線材も本発明の技術的範囲に包含される。
【0020】
【発明の実施の形態】
上記の様に本発明にかかるNb3Sn系超電導線材用のブロンズ材は、CuとSnを含む通常のCu−Sn合金に少量のTiとZrを複合添加することによって、当該合金の断面を倍率100倍の光学顕微鏡で断面観察することにより観察される長径1μm以上のCu−Sn−Ti化合物が、平均で100個/mm2以下であるところに特徴を有している。
【0021】
即ち前掲の従来技術でも明らかにした通り、CuとSnを含むNb3Sn系超電導線材製造用のブロンズ材に、Ti,Ta,Zr,Hfなどの元素を1種以上含有させることで、最終的に得られるNb3Sn系超電導線材の超電導特性が改善されることは公知となっている。
【0022】
即ち前記特公昭61−17325号公報に記載された実施例によると、Cu-Sn合金中に少量のTi,ZrまたはHfを単独添加し、或いはTiとHfを複合添加すると、最終的に得られるNb3Sn系超電導線材の臨界電流(Ic)が上昇すると共に、熱処理前後の引張強さも向上することが明らかにされている。
【0023】
ところが、本発明者らが添加剤をTiに絞ってブロンズ材の改良研究を進めるうち、次の様なことが次第に明らかになってきた。
【0024】
即ち、まずCu−Sn合金に少量のTiを添加すると、前記公開公報の記載からも予測される通り、インゴットの断面にCu−Sn−Ti化合物からなる粗大な析出物が表われる。そして、この様に粗大なCu−Sn−Ti化合物が析出したブロンズ材を用いて前述した様な方法でNb3Sn系超電導線材を製造しようとすると、Nb線材と複合化した後の伸線加工性が悪くなる他、拡散熱処理後におけるNb3Snの生成状態にも顕著な悪影響を及ぼすことが明らかになってきた。
【0025】
即ち、ブロンズ材の内部に埋め込まれたNb線に近接した位置に粗大なCu−Sn−Ti化合物が存在すると、加工時にNbの正常変形が阻害され、例えば図2(横断面拡大説明図)に示す如く、本来は断面が略円形に加工されるべきNbが歪(いびつ)で断面積の小さなものとなり、また図3(縦断面拡大説明図)に示す如く、本来は略同一幅の均一な縦断面形状に加工されるべきNb線が局部的に変形した狭幅のものになることが確認された。当然ながらこの様な複合材料に拡散熱処理を施すと、生成されるNb3Snも非常に不均一なものとなる。なおこれらの図において、1はNb線(熱処理後はNb3Sn線)、2はマトリックスとなるブロンズ材、5はCu−Sn−Ti化合物を表わしている。
【0026】
ちなみに図4,5は、後記実験例として示したNo.2のブロンズ材(Sn:14%、Ti:0.3%、Cu:残部)を使用し、これをNb線材と複合してから伸線加工した拡散熱処理前の複合材の横断面拡大写真を示したもので、図2に示した様な現象が明確に表われている。
【0027】
こうした現象が生じる理由は未だ明らかにされていないが、我々が予測するところでは、ブロンズ中に存在したCu−Sn−Ti化合物が、減面加工によってもその硬さゆえに加工されずにほぼ初期の大きさのまま残り、Nb線がほぼ同等な大きさまで加工されると、この様に著しい変形を生じさせるためと思われる。
【0028】
こうした局所的な変形が生じると、加工時に応力集中を引き起こし、最悪の場合は断線に至る懸念もある。又この様な複合材に拡散熱処理を施すと、単に断面形状の不均一なNb3Snが形成されるだけでなく、SnリッチなCu-Sn-Ti化合物が近接することで、生成するNb3Sn層内のSn濃度が高くなり不均一になってしまう。
【0029】
ところが、先に説明した如く前掲の従来技術では、Cu−Sn合金に対してTiと同じ添加効果を有する同効元素と考えられていたZrを、Tiと共にCu−Sn合金に適量含有させると、Ti単独添加で生成していた粗大なCu−Sn−Ti化合物の析出が全く見られなくなる、という全く新たな事実が確認された。
【0030】
また、Nb3Sn系超電導線材製造用として一般的に用いられるCu−Sn基合金の場合、該合金中へのSnの固溶限は均質加熱処理後の状態で15.8質量%とされており、該固溶限を超えて過剰量のSnを含量させると、過剰分はCu−Sn化合物として析出すると考えられている。ところが、Cu−Sn合金にTiと共に適量のZrを含有させると、上記固溶限を超えてSnを過剰量配合した場合でも、Cu−Sn化合物の析出が抑えられる、という付加的効果も得られることが確認された。
【0031】
こうした特異な現象が生じる理由も未解明であるが、1つの理由として、ZrがCuマトリックス内におけるTiやSnの拡散や微分散を促進し、析出するCu−Sn−Ti化合物やCu−Sn化合物を微細化する作用を発揮するのではないかと考えている。
【0032】
ちなみに、TiやZrはCu−Sn系のα相内に固溶し難く、Cu−Sn−Ti化合物やCu−Sn化合物の析出自体がZr添加によって阻止されるとは考えられないからである。従って、Zr添加によってCu−Sn−Ti化合物やCu−Sn化合物が生成し難くなるのではなく、これらの化合物がZr添加によって極微細な析出物としてα相内に微分散し、長径1μmを超える粗大な析出物の量が減少するためと考えている。
【0033】
尚、本発明においてCu−Sn−Ti化合物からなる粗大な析出物のサイズを長径1μm超と定めたのは、長径が1μm以下の微細な析出物では、前述した様な伸線加工性やNb3Snフィラメントの局部的狭小化などに与える影響がそれほど顕著に表われないからである。
【0034】
いずれにしても、Tiと共にZrを少量含有させることで粗大なCu−Sn−Ti化合物やCu−Sn化合物が大幅に減少したCu−Sn系合金をマトリックス合金として使用し、Nb線材と組合せてNb3Sn系超電導線材製造用の複合材を作製すると、断面内および線材長手方向で均一な加工が可能となる。その結果、同図で説明したようなNb3Sn線材の横断面や縦断面の狭小化が起らなくなり、安定して優れた超電導特性を有するNb3Sn系超電導線材を得ることが可能となる。
【0035】
上記の様に本発明では、Snと共に少量のTiを配合したCu−Sn系ブロンズ合金中に適量のZrを含有させることによって、粗大なCu−Sn−Ti化合物が析出するのを阻止し、併せて、Cu−Sn化合物の析出も抑制したところに特徴を有するもので、ブロンズ材の組成そのものは特に制限されないが、Nb3Sn系超電導線材製造用としての適性を考慮すると、Sn含量が10質量%以上、25質量%以下、Ti含量が0.05質量%以上、5質量%以下、Zr含量が0.05質量%以上、5質量%以下で、残部が実質的にCuからなるものである。Snのより好ましい含有量は13質量%以上、更に好ましくは14質量%以上で、22質量%以下、Tiのより好ましい含有量は0.1質量%以上、1質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以上、0.5質量%以下、Zrのより好ましい含有量は0.1質量%以上、1質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以上、0.5質量%以下である。
【0036】
Ti含量が0.05質量%未満では、Tiに期待される高磁場領域での臨界電流特性改善効果が不十分となり、逆に5質量%を超えて添加すると、Zr添加にも拘わらず粗大なCu−Sn−Ti化合物の生成が避けられなくなる。また、上記Ti含量にもよるが、Zr含量が0.05質量%未満では、Cu−Sn−Ti化合物に対する微分散効果が不十分となるためか、特にTi含量を多めにしたときに粗大なCu−Sn−Ti化合物の生成を阻止し難くなる。逆にZr含量が5質量%を超えると、母合金全体の加工性が劣化するといった問題を生じる原因になる恐れが出てくる。
【0037】
なお本発明によれば、前述した如く固溶限を超えるSnを含むブロンズ材に適用した場合でも、α相以外への粗大なCu−Sn化合物の析出が抑えられるので、ブロンズ材中のSn含量を従来材よりも増量することができる。
【0038】
即ちブロンズ法を採用してNb3Sn系超電導線材を製造する際に用いるブロンズ材の一般的なSn含量は7〜14質量%で、多いものでもSnの固溶限である15.8質量%が限界と考えられているが、上記の様に本発明によれば、Sn含量を16質量%以上、更に18質量%程度以上にまで高めることが可能となる。従って、ブロンズ材としてのSn含量を増大することでNb3Sn生成源としてのブロンズ材全体の使用量を相対的に少なく抑えることが可能となる。但しブロンズ材中のSn含量を過度に多くすると、Cu−Sn化合物による加工性劣化の問題が生じてくるので、Sn量を増量するにしても、ブロンズ材中に占める比率で25質量%以下、より好ましくは22質量%程度以下に抑えるべきである。
【0039】
そして、Zr添加により粗大なCu−Sn−Ti化合物やCu-Sn化合物の析出量が抑えられた上記ブロンズ材を用いて製造されるNb3Sn系超電導線材は、前述の如くブロンズ材中の粗大なCu−Sn−Ti化合物やCu−Sn化合物が著しく減少していることから、Nb3Sn系超電導線材製造用の複合材として安定した断面減少加工性(伸線加工性)を有すると共に、超電導線材化のための拡散熱処理によって生成するNb3Sn線の横断面方向および縦断面方向の局部的な狭小化現象も防止され、安定して高レベルの超電導特性を示すNb3Sn系超電導線材を得ることが可能となる。
【0040】
なお、本発明のブロンズ材を用いてNb3Sn系超電導線材を製造する方法自体には、格別特殊な条件が要求されるわけではなく、前掲の公開公報に開示されているような公知の方法を基本的にそのまま、もしくは必要により適当な変更を加えて実施すればよいが、標準的な条件や形状特性などを示すと下記の通りである。
【0041】
即ち、ブロンズ母合金中にNbまたはNb合金棒を挿入して押出しビレットを製造し、これを押出し・伸線加工によって例えば断面6角線材を製造する。この6角材を複数本スタックし、安定化銅やバリア材と複合して再び押出しビレットを作製し、これを更に押出し・伸線加工することにより、所望の線径の線材とする。こうした加工の途中で、ブロンズの加工硬化から回復させるため適宜の中間焼鈍熱処理を施すことが多い。この線材をマグネット等に巻回した後、最終の合金化熱処理を行うと、Nb3Sn系超電導線材を得ることができる。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例はもとより本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、超電導線材としての断面形状は、前記図1に示した様な円形のものに限らず、正方形や矩形、5角以上の多角形などであってもよいことは勿論である。
【0043】
実験例1
内径約70mmの黒鉛坩堝を使用し、誘導加熱法によって下記表1に示す成分組成のブロンズ材を溶製した。
【0044】
【表1】
【0045】
各溶製物を冷却凝固した後、得られたインゴットの上部から約10mm×10mm×10mmの試料を切り出し、研磨用樹脂に埋め込んで#500〜#2000の耐水研磨紙を用いて研磨した後、粒径1μmのダイアモンドペーストを用いてバフ研磨することにより表面を仕上げた。これら各試料の表面を光学顕微鏡により倍率100倍でミクロ組織観察した。
【0046】
その結果の一例を図6,7に示す。尚これらの写真は、100倍の光学顕微鏡で撮影したもので、視野のスケールは0.95mm×0.75mmである。図6は、上記表1に示した試料No.5,図7は試料No.8の断面写真であり、図6で小さく黒く点状に見えるのがCu−Sn−Ti化合物である。これらの例からも明らかな様に、Zrを添加していないNo.5(図6)では、粗大なCu−Sn−Ti化合物が多数観察されるのに対し、適量のZrを添加したNo.8(図7)では、粗大なCu−Sn−Ti化合物が殆ど認められない。
【0047】
Zr未添加のもので析出したCu−Sn−Ti化合物のEXDによる成分分析結果を、比較のための母相であるα相の分析結果と共に図8,9に示す。これらの図からも明らかな様に、Cu−Sn−Ti化合物相ではSn−Tiのピークが異常に高く、Sn−Tiリッチの化合物相になっていることが分る。
【0048】
この様な写真を各試料の断面から数箇所撮影し、夫々から長径1μm以上のCu−Sn−Ti化合物の析出個数を調べたところ、図10に示す結果が得られた。
【0049】
図10からも明らかな様に、適量のZrを添加した試料No.2,4,8,10では、1μm以上の粗大なCu−Sn−Ti析出物の個数が何れも平均で100個/mm2以下であるのに対し、Zrを添加していない他の例では全て1μm以上の粗大なCu−Sn−Ti化合物の析出個数が100個/mm2を大幅に超えている。
【0050】
実験例2
上記実験例1で得た各インゴットに、680℃×100時間+600℃×100時間+580℃×50時間の均質化熱処理を加えたところ、Cu−Sn化合物層[図6,7において、黄色のマトリックス層(α層)中に薄い灰色状に表われている層]は明らかに減少したが、Cu−Sn−Ti析出物は熱処理によっても減少することはなかった。
【0051】
上記熱処理を施した各ブロンズ材中に直径15mmの孔を7個穿孔し、これに直径15mmのNb棒を挿入して押出しビレットを作製した。このビレットを静水圧押出し処理した後、ダイス伸線により1辺が2mmの6角材に仕上げた。この6角材649本とバリアのためのNb材、および安定化のためのCu被覆処理を施して再度押出しビレットを作製し、更に押出しおよびダイス伸線を行って直径1.0mmまで伸線加工することにより、伸線加工性を調べた。尚、該伸線加工の途中で加工硬化を緩和するための軟化熱処理を適宜施した。
【0052】
最終線径にまで伸線加工することができたものについては、前記と同様にして各伸線材の断面を光学顕微鏡観察(但し、倍率は1000倍)し、埋め込まれたNbフィラメントの形状の変化状態を確認した。また、各伸線材に700℃×96時間の熱処理を施してNb3Sn超電導体を生成させた後、液体ヘリウム中、17Tの磁場中で4端子法によって非銅部あたりの臨界電流密度とn値を評価した。結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
表2からも明らかな様に、Snを16質量%、18質量%および22質量%含有させたブロンズ材の場合、Zr未添加では伸線加工の途中で断線を起こしているが、Zrを添加したものでは断線が見られず伸線加工性が改善されていることを確認できる。こうした加工性改善効果を活かせば、超電導材以外にもリードフレームやばね材などへの用途展開が期待される。
【0055】
またSn添加量が多くなるにつれて臨界電流密度は増加するが、同じSn含量のもので比較すると、Zrを添加したものの方が若干高い臨界電流密度を示している。これは、粗大なCu−Sn−Ti化合物の析出が抑制されてNbフィラメントの形状変化が起こり難くなり、フィラメント間での電流の分流が抑えられて、超電導電流がより有効に流れ易くなったためと思われる。こうした傾向は、フィラメント形状の均一性を示すパラメータでもあるn値にも反映されている。
【0056】
ちなみに図4は、上記表2のNo.9に示した伸線材の断面を示す電子顕微鏡写真(倍率:1000倍)、図5はこれを更に10,000倍に拡大して示した電子顕微鏡写真であり、図中に白く島状に分散しているのはNb3Snフィラメント、地肌部分はブロンズ材、図中に矢印で示したのはCu−Sn−Ti化合物である。この写真からも明らかな様に、Nb3Snフィラメントに近接してCu−Sn−Ti析出物が存在している部分では、当該Nb3Snフィラメントの形状が明らかに変形しており、これが伸線性や超電導特性に悪影響を及ぼしているものと思われる。
【0057】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、Nb3Sn系超電導線材を製造する際に用いるブロンズ材として、CuとSnに加えてTiとZrを含有させることによって、該ブロンズ材中に生じる粗大なCu−Sn−Ti化合物の析出を可及的に抑えることができ、それに伴って、特に粗大なCu−Sn−Ti化合物の析出に由来して拡散熱処理後に生成するNb3Snフィラメントの横断面や縦断面の変形乃至狭小化を阻止することができ、優れた加工性の下で、卓越した超伝導特性を有するNb3Sn系超電導線材を提供し得ることになった。
【0058】
しかも本発明によれば、粗大なCu−Sn−Ti化合物のみならず、やや過剰量のSnを含むCu−Sn基合金を使用した場合でも、Cu−Sn化合物の析出も可及的に抑えることができ、従来法に較べてブロンズ材中のSn含量を増大することができるので、結果的にNb3Sn系超電導線材の臨界電流密度などの超電導特性も大幅に改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブロンズ法によって製造されるNb3Sn系超電導線材の熱処理前の断面構造を模式的に示した説明図である。
【図2】断面内に粗大なCu−Sn−Ti化合物が観察されるブロンズ材をNb線と複合して得た複合材(スタック材)を使用した場合の、拡散熱処理後におけるNb3Snの生成状況を示す横断面説明図である。
【図3】断面内に粗大なCu−Sn−Ti化合物が観察されるブロンズ材をNb線と複合して得たスタック材を使用した場合の、拡散熱処理後におけるNb3Snの生成状況を示す縦断面説明図である。
【図4】上記図2に対応する実際のNb3Sn系超電導線材の横断面顕微鏡写真である。
【図5】上記図4を更に拡大した横断面顕微鏡写真である。
【図6】表1のNo.5で得た複合材の断面ミクロ写真である。
【図7】表1のNo.8で得た複合材の断面ミクロ写真である。
【図8】母相であるα相のEXD分析チャートである。
【図9】Cu−Sn−Ti化合物相のEXD分析チャートである。
【図10】実験で得た各試料の断面に現れる粗大なCu−Sn−Ti化合物の析出個数を対比して示すグラフである。
【符号の説明】
1 Nb線
2 Cu−Sn合金(ブロンズ材)
3 拡散バリア層
4 安定化銅
5 Cu−Sn−Ti化合物
Claims (4)
- Nb3Sn系超電導線材を製造する際に使用されるブロンズ材であって、
Sn:10〜25質量%、
Ti:0.05〜5質量%、および
Zr:0.05〜5質量%を含み、
残部がCuおよび不可避不純物であり、
倍率100倍の光学顕微鏡で断面観察することにより観察される長径1μm以上のCu−Sn−Ti化合物が、平均で100個/mm2以下であることを特徴とするNb3Sn系超電導線材用ブロンズ材。 - Sn含量が16〜22質量%である請求項1に記載のNb3Sn系超電導線材用ブロンズ材。
- 前記請求項1または2に記載のブロンズ材をマトリックスとし、その長手方向に多数のNb線材が埋め込まれていることを特徴とするNb3Sn系超電導線材用複合材。
- 前記請求項3に記載の複合材を断面減少加工した後、拡散熱処理したものであることを特徴とするNb3Sn系超電導線材。
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