JP3849395B2 - エンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エンジンが始動した直後のエンジン温度が充分上昇していない冷間運転時における燃料噴射量を制御するエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジン等のエンジンが始動運転状態にあるときに行われる燃料噴射制御においては、冷却水温やエンジン回転速度に基づいて、そのエンジンについて最大となる燃料噴射量として求められた始動時燃料噴射量によって行われており、エンジンが始動した後は、エンジンの回転速度とアクセルペダル踏込み量とに基づいて、予め求められているマップから目標燃料噴射量が決定される。例えば、エンジン始動直後にアクセルペダル踏込み量が殆どないアイドル運転状態に移行した場合には、エンジンの回転速度の低いレンジにおいて、エンジン回転速度が低くなるほど目標燃料噴射量が増加するように前記マップが定められているので、燃料噴射量制御はエンジン回転速度が一定となるようにフィードバック制御で行われる。
【0003】
また、ディーゼルエンジンにおいて、燃料噴射量の最大値を外気圧に応じて可変とする燃料噴射制御装置が、例えば、特開昭58−204941号公報に開示されている。この公報に開示されている燃料噴射制御装置によれば、高地を走行するときに大気が希薄になり燃料噴射量が吸入空気量に対して相対的に過剰になることに対応するため、外気圧を検出し、検出した外気圧信号を燃料噴射ポンプの最大負荷を制御する制御回路に入力し、吸入空気量中の減少した酸素量に応じて燃料噴射量を自動的に制御して、燃焼の悪化を防止することを図っている。
【0004】
また、吸入空気量が急変したり、吸入空気量の検出値が正規の値よりも低下しても、車両走行性の確保やエンジン始動性の確保を図った燃料噴射制御装置として、特開平11−6459号公報に開示されているものがある。この燃料噴射制御装置によれば、通常時には吸入空気量等から演算される最大噴射量を用い、最大過給付近では許容最大噴射量を用いることにより、吸入空気量が急変しても燃料噴射を安定させると共に、最小の最大噴射量を設けることで吸入空気量の検知手段が異常になっても最小限のエンジンの運転を可能にすることを図っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、通常のディーゼルエンジンにおいては、冷間時においてエンジンを始動させた直後ではエンジンは充分に暖まっていないため、エンジンの回転は、速度変動が大きく不安定な状態にある。しかしながら、従来の燃料噴射制御装置は、始動時には始動時燃料噴射量を演算し、その始動時燃料噴射量に基づいて速やかな始動を行うが、始動後は、通常モードへ移行するので、始動直後の燃料噴射量を充分に増量できず、エンジンが停止してしまったり、安定状態に落ち着くまで時間がかかるという構成のものである。
【0006】
そこで、エンジンの運転状態がエンジンが充分に暖まっていない冷間時であると判断されるときには、エンジンの回転速度を早期に安定化させる点で解決すべき課題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、エンジンが充分に暖まっていないときには、エンジンの通常運転状態とは別の演算によって制限燃料噴射量を少し多めに決定して、エンジンの回転速度を上昇させることで早期に安定化することができるエンジンの燃料噴射制御装置を提供することである。
【0008】
この発明は、上記の目的を達成するため、次のように構成されている。即ち、この発明は、エンジンの運転状態に応じて基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段、前記エンジンの運転状態に応じて制限燃料噴射量を算出する制限燃料噴射量算出手段、及び前記基本燃料噴射量と前記制限燃料噴射量とを比較して小さい方を目標燃料噴射量に決定する目標燃料噴射量決定手段を具備し、前記制限燃料噴射量算出手段は、前記エンジンの運転状態に応じて、前記エンジンが通常運転状態にあるとして通常時制限燃料噴射量を算出する通常時制限燃料噴射量算出部、前記エンジンが冷間運転状態にあるとして冷間時制限燃料噴射量を算出する冷間時制限燃料噴射量算出部、及び前記エンジンの水温が所定温度より低く且つ前記エンジンが始動運転状態から通常運転状態へ切り替えた後の経過時間が所定時間より短いことに応答して前記通常時制限燃料噴射量算出部と前記冷間時制限燃料噴射量算出部とでそれぞれ算出された前記通常時制限燃料噴射量と前記冷間時制限燃料噴射量との大きい方を前記制限燃料噴射量として選択する制限燃料噴射量選択部から構成されていることから成るエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
【0009】
このエンジンの燃料噴射制御装置によれば、通常時制限燃料噴射量算出部はエンジンの運転状態が通常運転状態にあるとして通常時制限燃料噴射量を算出し、冷間時制限燃料噴射量算出部はエンジンの運転状態が冷間運転状態にあるとして冷間時制限燃料噴射量を算出する。制限燃料噴射量選択部は、エンジンの水温が所定温度より低く且つエンジンが始動運転状態から通常運転状態へ切り替えた後の経過時間が所定時間より短いことに応答して、通常時制限燃料噴射量と冷間時制限燃料噴射量との大きい方を制限燃料噴射量として選択する。即ち、エンジンの水温が所定温度より低く且つエンジンが始動運転状態から通常運転状態へ切り替えた後の経過時間が所定時間より短いときには、エンジンは充分暖まっていないと判断されるので、通常時制限燃料噴射量と冷間時制限燃料噴射量との大きい方が制限燃料噴射量として選択される。目標燃料噴射量決定手段は、エンジンの運転状態に応じて算出される基本燃料噴射量と、上記のように選択された制限燃料噴射量とを比較して、小さい方を目標燃料噴射量に決定する。即ち、制限燃料噴射量は、基本燃料噴射量によって制限されている。
【0010】
前記通常時制限燃料噴射量算出部は前記エンジンの回転速度と大気圧とに応じて前記通常時制限燃料噴射量を算出し、前記冷間時制限燃料噴射量算出部は前記エンジンの回転速度のみに応じて前記冷間時制限燃料噴射量を算出する。エンジンの回転速度のみならず、エンジンを搭載した車両が高地で始動するときに、低下している大気圧をも考慮すると、吸入空気量中に少なくなっている酸素量に対応して通常時制限燃料噴射量算出部が算出する通常時制限燃料噴射量は、エンジンの回転速度のみに応じて冷間時制限燃料噴射量算出部が算出する冷間時制限燃料噴射量よりも少なくなる。従って、制限燃料噴射量選択部は、通常時制限燃料噴射量よりも値が大きい冷間時制限燃料噴射量を制限燃料噴射量として算出し、高地におけるエンジンの始動後の回転安定性を改善する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、この発明によるエンジンの燃料噴射制御装置の実施例を説明する。図1はこの発明によるエンジンの燃料噴射制御装置の一実施例を示すブロック図、図2は図1に示すエンジンの燃料噴射制御装置において目標燃料噴射量を決定するフローチャート、図3はこの発明による燃料噴射制御装置が適用されるエンジンの一例を示す概略図である。
【0012】
図3に示す過給機を備えたエンジン1はV型6気筒エンジンであり、この発明による燃料噴射制御装置が適用されている。エンジン1は、シリンダボアが形成されているシリンダブロック2と、シリンダブロック2に取り付けられたシリンダヘッド3とを備えており、シリンダボアに装着されたシリンダライナ内を摺動自在なピストン4の往復運動は、コンロッド5を介してクランク軸6の回転運動に変換される。
【0013】
エンジン1の電子制御燃料噴射システム10において、燃料供給系統に設けられる高圧サプライポンプ9から圧送された作動流体としての燃料又はエンジンオイルは、コモンレール19に貯留され、コモンレール19から各インジェクタ11に供給される。各インジェクタ11は、燃料噴射を行うインジェクタ本体と、噴孔からの燃料噴射及びその停止を制御するための電磁アクチュエータとがユニット化されたインジェクタであり、シリンダヘッド3に気筒数に応じた複数本(図示の例では6本)が配設されている。インジェクタ11は、コモンレール19からの作動流体で作動し、燃料をエンジンの運転状態に応じた値にまで高められた燃料噴射圧力で燃焼室7内に直接に噴射する。電子制御燃料噴射システム10は、電子制御ユニット(ECU)であるコントローラ20を備えている。コントローラ20にはエンジン1の運転状態を検出する各センサからの検出信号が入力され、コントローラ20は、これらの検出信号に基づいてインジェクタ11に備わる電磁アクチュエータ、及び高圧サプライポンプ9に備わる流量制御弁9aを制御することで、コモンレール19内の圧力(レール圧力)を制御している。グロープラグ8は、低温始動時に燃焼室内の予熱を行う。
【0014】
エンジン1の回転速度Neを検出するためのクランク角度センサ21は、クランク軸6に固定されてクランク軸と共に回転する欠歯が形成された歯車を検出する電磁ピックアップで構成されているが、センサとしては光学式の他、適宜のものを用いることができる。クランク角度センサ21からの検出信号に加え、アクセル操作量(アクセルペダル踏込み量)Acを検出するアクセル操作量センサ22、シリンダブロック2内を循環する冷却水の水温Twを検出する水温センサ23(或いは、潤滑油温を検出するオイル温度センサ)、シリンダヘッド3に設けられていて急排気弁を作動させるカムの軸回転角度を検出するカムセンサ24、大気圧センサ25、コモンレール19に配設された圧力センサ26等の各センサからの検出信号が、コントローラ20に入力される。
【0015】
コントローラ20から電磁アクチュエータへの制御電流の通電時期及び通電期間を制御することにより、インジェクタ11から噴射される燃料の噴射時期及び噴射量とが制御される。コントローラ20は、エンジンの運転状態から求められた目標値である目標燃料噴射量に基づいて、電磁アクチュエータへの通電期間(パルス幅)を決定し、そのパルス幅で電磁アクチュエータを駆動することにより燃料噴射量を制御する。クランク角度センサ21が検出したクランク角度は、基準気筒又は各気筒においてピストンの圧縮上死点或いは圧縮上死点前の所定角度位置に到達したことを検出する各センサの検出信号と共に、電磁アクチュエータを駆動する駆動電流の通電開始時期及び通電期間の制御に用いられる。
【0016】
エンジン1への吸気系統12において、エアクリーナ13aを通じて外気から空気を取り入れる吸気管13が吸気マニホルド14を介してエンジン1に接続されており、吸気マニホルド14は吸気弁(図示せず)を通じて燃焼室7に連通している。吸気管13には充填効率を向上するために吸入空気を冷却するインタークーラ15が設けられている。エンジン1からの排気ガスを外部に排気するための排気系統16は、排気弁(図示せず)を通じて燃焼室7に連通する排気マニホルド18と、排気マニホルド18介してエンジン1に接続された排気管17とを備えている。排気管17には、図示しないが、排気ガス浄化装置、排気ガス中に含まれるエネルギを回収するためのエネルギ回収装置が配置されている。
【0017】
吸気系統12と排気系統16との間には、可変ノズルタービンを備えた過給機30が配設されている。過給機30は、排気系統16側に配置されて高温の排気ガスによってタービンブレードが駆動されるタービン31、吸気系統12側に配置されて且つタービン31によって駆動されて吸入空気を圧縮するコンプレッサ32、及びタービン31とコンプレッサ32とを連結するシャフト33から構成されている。
【0018】
吸気管13には、通過する空気量を検出する吸入空気量検出手段としてのマスエアフローセンサ34が、過給機30の上流側に配設されている。マスエアフローセンサ34は、空気重量検出型でも空気堆積検出型(この場合には吸入空気温度を検出する吸気温度センサを設けて、空気体積と吸気温度とから空気重量を算出可能とする)であってもよい。吸気管13には、過給機30の下流側に吸気圧力を検出するためのブースト圧力センサ35が設けられている。マスエアフローセンサ34が検出した吸入空気量についての信号及びブースト圧力センサ35が検出した吸気圧力についての信号は、それぞれコントローラ20に入力される。
【0019】
図1に示すブロック図に基づいて、この発明によるエンジンの燃料噴射制御装置の一実施例を説明する。通常時基本燃料噴射量算出手段40は、アクセルペダル踏込み量のようなアクセル操作量Acとエンジン回転速度Neとに基づいて、エンジン運転状態が通常運転状態であるとしたときの基本的な燃料噴射量である基本燃料噴射量Qbを算出する。一方、通常時制限燃料噴射量算出部42は、エンジン回転速度Neや大気圧センサ25が検出した大気圧Pbaro等のエンジンの運転状態に基づいて、通常時の燃料噴射量の上限としての通常時制限燃料噴射量Qlimoを算出する。更に、冷間時制限燃料噴射量算出部43は、エンジンが冷間運転状態にあるとしてそのときのエンジン回転速度Neに基づいて噴射可能な噴射量の上限として、冷間時制限燃料噴射量Qlimcを算出する。通常時制限燃料噴射量算出部42が算出した通常時制限燃料噴射量Qlimoと、冷間時制限燃料噴射量算出部43が算出した冷間時制限燃料噴射量Qlimcとは、比較器44において比較されて大きいほうの値が選択されて出力される。
【0020】
制限燃料噴射量選択部45は、通常時制限燃料噴射量算出部42が算出した通常時制限燃料噴射量Qlimoと比較器44の出力とを受けて、水温Tw及びエンジンの運転状態が始動状態から通常運転状態に切り替わった後の経過時間Trunとに応じて、通常時制限燃料噴射量Qlimoと冷間時制限燃料噴射量Qlimcとのいずれかを制限燃料噴射量Qlimとして選択する。即ち、水温Twが所定温度Twdを超えないで、且つエンジンが始動状態から通常の運転状態に切り替わった後の経過時間Trunが所定時間Trundを超えない場合には、制限燃料噴射量選択部45は、通常時制限燃料噴射量Qlimoと冷間時制限燃料噴射量Qlimcの大きい方を制限燃料噴射量Qlimとして決定する。通常時制限燃料噴射量算出部42、冷間時制限燃料噴射量算出部43、比較器44及び制限燃料噴射量選択部45は、この発明における制限燃料噴射量決定手段41を構成している。目標燃料噴射量決定手段46は、通常時基本燃料噴射量算出手段40が算出した基本燃料噴射量Qbと、制限燃料噴射量決定手段41が決定した制限燃料噴射量Qlimとを比較して小さい方の値を、目標燃料噴射量Qtとして決定する。
【0021】
次に、図2に記載のフローチャートに基づいて、この発明によるエンジンの燃料噴射制御装置の動作について説明する。通常時基本燃料噴射量算出手段40(図1)は、エンジンの運転状態であるエンジン回転速度Neとアクセル踏込み量のようなアクセル操作量Acとに基づいて、基本燃料噴射量Qbを算出する(ステップ1)。通常時制限燃料噴射量算出部42(図1)は、エンジン回転速度Neと大気圧センサ25が検出した大気圧Pbaroとに基づいて通常時制限燃料噴射量Qlimoを算出する(ステップ2)。冷間時制限燃料噴射量算出部43は、エンジン回転速度Neに基づいて冷間時制限燃料噴射量Qlimcを算出する(ステップ3)。燃料噴射制御装置においては、エンジンの冷却用の水温Twが所定温度Twdより低いか否かが判定される(ステップ4)。水温Twが所定温度Twd以上である場合は、フローはステップ7に分岐される。更に、燃料噴射制御装置においては、水温Twが所定温度Twdより低い場合には、エンジンが始動状態から通常の運転状態に切り替わった後の経過時間Trunが所定時間Trund未満であるか否かが判定される(ステップ5)。経過時間Trunが所定時間Trundを超えている場合には、フローはステップ7に分岐される。
【0022】
水温Twが所定温度Twdより低い場合、更にエンジンが始動状態から通常の運転状態に切り替わってからの経過時間Trunが所定時間Trund未満であるときには、エンジンが始動直後にあってエンジンが充分暖まっていないと判断されるので、冷間時制限燃料噴射量算出部43が算出した冷間時制限燃料噴射量Qlimcと通常時制限燃料噴射量Qlimoとの大きい方の値が、制限燃料噴射量Qlimとして選択される(ステップ6)。ここで、冷間時制限燃料噴射量Qlimcを常に通常時制限燃料噴射量Qlimoより大きく設定する場合には、一義的に冷間時制限燃料噴射量Qlimcが選択されるようにしてもよい。即ち、エンジン1(図3)を搭載した車両が高地で始動するときに、通常時制限燃料噴射量算出部42が算出する通常時制限燃料噴射量Qlimoは、エンジンの回転速度Neのみならず低下している大気圧をも考慮して、吸入空気量中に減少している酸素量に対応して算出されているため、冷間時制限燃料噴射量算出部43がエンジンの回転速度Neのみに応じて算出する冷間時制限燃料噴射量Qlimcよりも常に少なく設定することができる。このとき、通常時制限燃料噴射量Qlimoよりも値が大きい冷間時制限燃料噴射量Qlimcが制限燃料噴射量選択部44によって制限燃料噴射量Qlimとして選択され、目標燃料噴射量決定手段45に入力される。
【0023】
ステップ4又はステップ5の判断でフローが分岐されるときには、エンジン回転速度Neと大気圧センサ25が検出した大気圧Pbaroとに基づいて通常時制限燃料噴射量算出部42(図1)によって算出された通常時制限燃料噴射量Qlimoが、制限燃料噴射量Qlimとされる(ステップ7)。ステップ1で求められた基本燃料噴射量Qbと、ステップ4又は5で選択された制限燃料噴射量Qlimとの小さい方が目標燃料噴射量Qtに決定される(ステップ8)。即ち、制限燃料噴射量Qlimは、エンジン温度が低い冷間時には大きい値の冷間時制限燃料噴射量に選択され、基本燃料噴射量Qbの上限を制限している。
【0024】
【発明の効果】
この発明によって以上のように構成されたエンジンの燃料噴射制御装置は、制限燃料噴射量決定手段において、通常の場合と始動直後のような冷間時の場合とで演算内容が変更された二つの燃料噴射量のうち大きい値の方が選択されるので、冷間時においてエンジンが十分暖機されていないエンジン始動直後であっても、制限燃料噴射量には通常運転状態において制限される値よりも大きな値により上限が設定され、燃料噴射量を少し多めに決定することが可能になる。従って、エンジンの回転速度を速やかに上昇させて回転変動を小さくし、エンジンの運転状態を素早く安定な運転状態に移行させることができる。また、冷間時における制限燃料噴射量の算出を、複数の情報を入力して演算するのではなく、エンジン回転速度のみで決定するようにしているので、制限燃料噴射量の算出を短時間で行うことができ、エンジンは素早く安定状態に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるエンジンの燃料噴射制御装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すエンジンの燃料噴射制御装置において目標燃料噴射量を決定するフローチャートである。
【図3】この発明による燃料噴射制御装置が適用されるエンジンの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 エンジン
40 通常時基本燃料噴射量算出手段
41 制限燃料噴射量決定手段
42 通常時制限燃料噴射量算出部
43 冷間時制限燃料噴射量算出部
44 比較器
45 制限燃料噴射量選択部
46 目標燃料噴射量決定手段
Qb 基本燃料噴射量
Qlim 制限燃料噴射量
Qt 目標燃料噴射量
Qlimo 通常時制限燃料噴射量
Qlimc 冷間時制限燃料噴射量
Tw 水温
Twd 所定温度
Trun 経過時間
Trund 所定時間
Ne 回転速度
Pbaro 大気圧

Claims (1)

  1. エンジンの運転状態に応じて基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段、前記エンジンの運転状態に応じて制限燃料噴射量を算出する制限燃料噴射量算出手段、及び前記基本燃料噴射量と前記制限燃料噴射量とを比較して小さい方を目標燃料噴射量に決定する目標燃料噴射量決定手段を具備し、前記制限燃料噴射量算出手段は、前記エンジンの運転状態に応じて、前記エンジンが通常運転状態にあるとして通常時制限燃料噴射量を算出する通常時制限燃料噴射量算出部、前記エンジンが冷間運転状態にあるとして冷間時制限燃料噴射量を算出する冷間時制限燃料噴射量算出部、及び前記エンジンの水温が所定温度より低く且つ前記エンジンが始動運転状態から通常運転状態へ切り替えた後の経過時間が所定時間より短いことに応答して前記通常時制限燃料噴射量算出部と前記冷間時制限燃料噴射量算出部とでそれぞれ算出された前記通常時制限燃料噴射量と前記冷間時制限燃料噴射量との大きい方を前記制限燃料噴射量として選択する制限燃料噴射量選択部から構成されていることから成るエンジンの燃料噴射制御装置。
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