JP5077264B2 - 多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用エンジン等に代表される多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置に係る。特に、本発明は、各気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態を均一化させるために行われる気筒間補正制御の改良に関する。
従来より、例えば下記の特許文献1〜特許文献3に開示されているように、自動車用ディーゼルエンジン等の多気筒エンジンにあっては、各気筒の燃焼形態が不均一になって、それぞれの膨張行程(燃焼行程)での回転変動にバラツキが生じる状況になると、これら燃焼形態の均一化を図るための燃料噴射制御が行われるようになっている。
例えば、回転変動のピーク値(膨張行程におけるクランクシャフトの回転速度の最大値)が相対的に高い気筒に対しては、次回の膨張行程において回転変動のピーク値が下降するような噴射量学習値を求め、その気筒の次回の膨張行程では、その噴射量学習値を反映させた燃料噴射量で燃料噴射を実行する。逆に、回転変動のピーク値が相対的に低い気筒に対しては、次回の膨張行程において回転変動のピーク値が上昇するような噴射量学習値を求め、その気筒の次回の膨張行程では、その噴射量学習値を反映させた燃料噴射量で燃料噴射を実行するようにしている。以下、このように各気筒間の回転変動バラツキを解消するようにした燃料噴射制御を気筒間補正制御と呼ぶ。
この気筒間補正制御により、各気筒の回転変動のピーク値が略均一になった場合には、エンジン振動を抑えることができる。また、燃料噴射量の適正化が図れることになって排気エミッションの改善にも繋がる。特に、この気筒間補正制御は、エンジンのアイドリング運転時に実行され、アイドリング回転数の安定化を図ることができる。
特開2008−101625号公報 特開2008−14152号公報 特開平5−321742号公報
ところが、従来の気筒間補正制御にあっては、以下に述べるような課題があった。
(1)ショット間バラツキの影響
エンジンに搭載されているインジェクタでは、一般に、その噴射毎に僅かな噴射量バラツキ(例えば目標燃料噴射量に対して±0.5mm3程度のバラツキ)が生じることがある。例えば、目標燃料噴射量が5mm3であった場合に、噴射量バラツキによって今回の実燃料噴射量が5.5mm3となった際には、上記気筒間補正制御での噴射量学習値は−0.5mm3とされ、次回の燃料噴射では0.5mm3だけ減量補正されることになる。この場合、次回の燃料噴射に際し、減量補正が行われなかったと仮定した場合の実燃料噴射量が4.5mm3となるような状況であると、これに対して上記噴射量学習値だけ減量補正されるため、実際に気筒内に噴射される燃料噴射量は4.0mm3となってしまう。これでは、目標燃料噴射量に対して実燃料噴射量が大幅に足りなくなる。つまり、気筒間補正制御を行ったことで、逆に実燃料噴射量が上記目標燃料噴射量からずれてしまってエンジン振動を助長してしまうことになる。このような状況が、従来の気筒間補正制御にあっては頻繁に発生してしまう可能性があった。
(2)フライホイールダンパの影響
一般に、クランクシャフトには、その回転変動を吸収するためのフライホイールダンパが接続されている。自動車の走行中であれば、このフライホイールダンパを介してトランスミッション側へトルク伝達されるので、その動力伝達系において上記回転変動を吸収するなどして、エンジンの回転変動に伴う振動を抑制することができる。
ところが、エンジンのアイドリング運転時(動力伝達系へのトルク伝達が遮断されている状態)にあっては、上述した回転変動吸収効果を得ることができず、エンジンの一部の気筒の膨張行程においてフライホイールダンパで吸収していた回転トルクの反動(フライホイールダンパで吸収していた回転トルクと逆回転のトルク)をエンジン自体で吸収せねばならないことになる。つまり、フライホイールダンパからの上記逆回転のトルクがクランクシャフトに戻され、その影響によってエンジンに回転変動が生じることになる。即ち、燃料噴射量に関わりのない回転変動要因が存在することになってしまう。気筒間補正制御では、このフライホイールダンパの影響による回転変動も反映した噴射量学習値を求めてしまうため、必要以上に燃料噴射量を増量または減量させてしまい、燃料噴射量が適正値から大きくずれてしまってエンジン振動が大きくなる可能性があった。
以上のように、従来の気筒間補正制御では、常に、上述したショット間バラツキの影響による振動や、フライホイールダンパの影響による振動が発生する可能性があり、一旦、実燃料噴射量が目標燃料噴射に収束した直後であっても、上記不具合の影響により、燃料噴射量の収束状態が短時間のうちに解除されてエンジン振動が大きくなってしまう可能性があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記気筒間補正制御の実行によって実燃料噴射量が略収束した後には、継続的に燃料噴射量が適正に保たれるようにする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、多気筒内燃機関の各気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態を均一化させるための気筒間補正制御(第1気筒間補正制御)によって燃焼形態が一旦均一化した後には、噴射量学習値の反映度合いを低下させる気筒間補正制御(第2気筒間補正制御)に切り換えることで、上記均一化した後の燃料噴射量が短期間のうちに大きく変化してしまうといった状況を招き難くし、燃料噴射量の安定化を図るようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関のアイドリング運転時に、複数気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態を均一化させるための噴射量学習値を気筒毎に求め、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を行う気筒間補正制御が実行可能な多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置を前提とする。この燃料噴射制御装置に対し、燃焼形態判定手段、第1気筒間補正制御実行手段、第2気筒間補正制御実行手段を備えさせる。上記燃焼形態判定手段は、上記複数気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態が略均一化したことを判定する。また、上記第1気筒間補正制御実行手段は、上記燃焼形態が未だ均一化していないと判定されている場合に、上記内燃機関の1サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していく第1気筒間補正制御を行う。更に、第2気筒間補正制御実行手段は、第1気筒間補正制御によって燃焼形態が略均一化し、この燃焼形態の略均一化状態が所定期間継続した場合に、上記内燃機関の複数サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していく第2気筒間補正制御を行う。更に、この第2気筒間補正制御実行手段は、上記内燃機関の各気筒毎における複数回サイクルそれぞれの回転変動の平均値(例えば各気筒それぞれにおける回転変動のピーク値の平均値)より噴射量学習値を求め、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していくようにしている。
この特定事項により、気筒間補正制御が開始され、複数気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態が未だ均一化していない場合には、第1気筒間補正制御が実行される。つまり、内燃機関の1サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で次回の膨張行程時における燃料噴射を実施していく。そして、この第1気筒間補正制御によって燃焼形態が略均一化し、この燃焼形態の略均一化状態が所定期間継続した場合には、第2気筒間補正制御が実行される。つまり、内燃機関の複数サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していく。このようにして気筒間補正制御が第2気筒間補正制御に切り換えられた後には、内燃機関の複数サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値が求められる。つまり、1サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求める場合に比べて、噴射量学習値による燃料噴射量の補正頻度(補正量や補正インターバル)を低くすることで、燃料噴射量が短期間の間に大きく変化してしまうことを防止できる。これにより、第2気筒間補正制御に切り換えられた後には、継続的に燃料噴射量が適正に保たれることになり、燃料噴射量の収束状態が短時間のうちに解除されて内燃機関の振動が大きくなってしまうといったことが回避される。
また、上記第2気筒間補正制御の実行中には、上述したショット間バラツキやフライホイールダンパの影響による回転変動の変位量は、ある程度相殺されることになる。このため、本来の燃料噴射量のずれに起因する回転変動のみによる噴射量学習値を求めることが可能となる。つまり、燃料噴射量のずれ量のみを補正可能な噴射量学習値が求められ、それに従った燃料噴射量を得ることができる。このため、第2気筒間補正制御に切り換えられた後に、継続的に燃料噴射量が適正に保たれて内燃機関の振動を軽減することができる。
上記燃焼形態判定手段の判定手法として具体的には、各気筒の膨張行程において回転速度が最も高くなっているピーク値同士の差が所定量以下になった場合に、各気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態が略均一化したと判定するようにしている。
つまり、例えばクランクシャフトの回転速度を検出するセンサ等の出力信号に基づいて回転変動のピーク値を求め、各気筒の膨張行程におけるピーク値同士の差から燃焼形態が略均一化したか否かを判定することができる。
更に、上記第2気筒間補正制御実行手段により実行される第2気筒間補正制御の動作としては以下の動作も挙げられる。つまり、回転変動の平均値を求めるための内燃機関のサイクル数を、第2気筒間補正制御の継続時間が長くなるに従って多くしていくようにするものである。
これによれば、第2気筒間補正制御の開始初期時にあっては、比較的短いインターバルで噴射量学習値が求められ、燃料噴射量が補正される。そして、継続して燃焼形態が略均一化している場合には、次第に、長いインターバルで噴射量学習値が求められ、燃料噴射量が補正されていく。このため、燃焼形態が略均一化している期間が長いほど、噴射量学習値の影響度合いを小さくして、更に安定した燃料噴射量を確保することができる。
また、上記第2気筒間補正制御実行手段により実行される第2気筒間補正制御の動作としてより、具体的には、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御に切り換わった時点での噴射量学習値が大きいほど、第2気筒間補正制御の開始初期時における回転変動の平均値を求めるための内燃機関のサイクル数を少なく設定するようにしている。
これによれば、仮に、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御に切り換えられた際の噴射量学習値が比較的大きな値であったとしても、その第2気筒間補正制御の初期時には噴射量学習値の算出頻度が高くなるので、燃料噴射量の収束性を高く得ることができる。
本発明では、内燃機関の1サイクル毎に各気筒に対する噴射量学習値を求める第1気筒間補正制御によって燃焼形態が一旦均一化した後には、複数サイクル毎に各気筒に対する噴射量学習値を求める第2気筒間補正制御に切り換えることで、上記均一化した後の燃料噴射量が短期間のうちに大きく変化してしまうといった状況を招き難くし、燃料噴射量の安定化を図るようにしている。このため、気筒間補正制御によって内燃機関の振動抑制効果を継続的に発揮することが可能となる。
実施形態に係るエンジン及びその制御系統の概略構成図である。 ディーゼルエンジンの燃焼室及びその周辺部を示す断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 気筒間補正制御の手順を示すフローチャート図である。 学習値収束カウンタのカウントアップを開始する際におけるクランクシャフトの回転変動を示す波形図である。 気筒間補正制御の実行時における、燃料噴射量のずれ量、燃料噴射量、学習値収束カウンタのカウント値、気筒間補正安定化フラグ、エンジンの振動レベルそれぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成−
先ず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略構成について説明する。図1は本実施形態に係るエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。また、図2は、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、排気系7等を主要部とするディーゼルエンジンシステムとして構成されている。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、インジェクタ(燃料噴射弁)23、遮断弁24、燃料添加弁26、機関燃料通路27、添加燃料通路28等を備えて構成されている。
上記サプライポンプ21は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした後、機関燃料通路27を介してコモンレール22に供給する。コモンレール22は、サプライポンプ21から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各インジェクタ23に分配する。インジェクタ23は、その内部に圧電素子(ピエゾ素子)を備え、適宜開弁して燃焼室3内に燃料を噴射供給するピエゾインジェクタにより構成されている。このインジェクタ23からの燃料噴射制御の詳細については後述する。
また、上記サプライポンプ21は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を、添加燃料通路28を介して燃料添加弁26に供給する。添加燃料通路28には、緊急時において添加燃料通路28を遮断して燃料添加を停止するための上記遮断弁24が備えられている。
また、上記燃料添加弁26は、後述するECU100による添加制御動作によって排気系7への燃料添加量が目標添加量(排気A/Fが目標A/Fとなるような添加量)となるように、また、燃料添加タイミングが所定タイミングとなるように開弁時期が制御される電子制御式の開閉弁により構成されている。つまり、この燃料添加弁26から所望の燃料が適宜のタイミングで排気系7(排気ポート71から排気マニホールド72)に噴射供給される構成となっている。
吸気系6は、シリンダヘッド15(図2参照)に形成された吸気ポート15aに接続される吸気マニホールド63を備え、この吸気マニホールド63に、吸気通路を構成する吸気管64が接続されている。また、この吸気通路には、上流側から順にエアクリーナ65、エアフローメータ43、スロットルバルブ62が配設されている。上記エアフローメータ43は、エアクリーナ65を介して吸気通路に流入される空気量に応じた電気信号を出力するようになっている。
排気系7は、シリンダヘッド15に形成された排気ポート71に接続される排気マニホールド72を備え、この排気マニホールド72に対して、排気通路を構成する排気管73,74が接続されている。また、この排気通路には、後述するNOx吸蔵触媒(NSR触媒:NOx Storage Reduction触媒)75及びDPNR触媒(Diesel Paticulate−NOx Reduction触媒)76を備えたマニバータ(排気浄化装置)77が配設されている。以下、これらNSR触媒75及びDPNR触媒76について説明する。
NSR触媒75は、吸蔵還元型NOx触媒であって、例えばアルミナ(Al23)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持された構成となっている。
このNSR触媒75は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低く、かつ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2若しくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。すなわち、NSR触媒75に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整することにより、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができるようになっている。本実施形態のものでは、この排気中の酸素濃度やHC成分の調整を上記燃料添加弁26からの燃料添加動作によって行うことが可能となっている。
一方、DPNR触媒76は、例えば多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元型触媒を担持させたものであり、排気ガス中のPMは多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気ガスの空燃比がリーンの場合、排気ガス中のNOxはNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると、吸蔵したNOxは還元・放出される。さらに、DPNR触媒76には、捕集したPMを酸化・燃焼する触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
ここで、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部の構成について、図2を用いて説明する。この図2に示すように、エンジン本体の一部を構成するシリンダブロック11には、各気筒(4気筒)毎に円筒状のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12の内部にはピストン13が上下方向に摺動可能に収容されている。
ピストン13の頂面13aの上側には上記燃焼室3が形成されている。つまり、この燃焼室3は、シリンダブロック11の上部にガスケット14を介して取り付けられたシリンダヘッド15の下面と、シリンダボア12の内壁面と、ピストン13の頂面13aとにより区画形成されている。そして、ピストン13の頂面13aの略中央部には、キャビティ13bが凹設されており、このキャビティ13bも燃焼室3の一部を構成している。
このピストン13は、コネクティングロッド18の小端部18aがピストンピン13cにより連結されており、このコネクティングロッド18の大端部はエンジン出力軸であるクランクシャフトに連結されている。これにより、シリンダボア12内でのピストン13の往復移動がコネクティングロッド18を介してクランクシャフトに伝達され、このクランクシャフトが回転することでエンジン出力が得られるようになっている。また、燃焼室3に向けてグロープラグ19が配設されている。このグロープラグ19は、エンジン1の始動直前に電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置として機能する。
上記シリンダヘッド15には、燃焼室3へ空気を導入する吸気ポート15aと、燃焼室3から排気ガスを排出する上記排気ポート71とがそれぞれ形成されていると共に、吸気ポート15aを開閉する吸気バルブ16及び排気ポート71を開閉する排気バルブ17が配設されている。これら吸気バルブ16及び排気バルブ17はシリンダ中心線Pを挟んで対向配置されている。つまり、本エンジン1はクロスフロータイプとして構成されている。また、シリンダヘッド15には、燃焼室3の内部へ直接的に燃料を噴射する上記インジェクタ23が取り付けられている。このインジェクタ23は、シリンダ中心線Pに沿う起立姿勢で燃焼室3の略中央上部に配設されており、上記コモンレール22から導入される燃料を燃焼室3に向けて所定のタイミングで噴射するようになっている。
更に、図1に示す如く、このエンジン1には、過給機(ターボチャージャ)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト51を介して連結されたタービンホイール52及びコンプレッサホイール53を備えている。コンプレッサホイール53は吸気管64内部に臨んで配置され、タービンホイール52は排気管73内部に臨んで配置されている。このためターボチャージャ5は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといった所謂過給動作を行うようになっている。本実施形態におけるターボチャージャ5は、可変ノズル式ターボチャージャであって、タービンホイール52側に可変ノズルベーン機構(図示省略)が設けられており、この可変ノズルベーン機構の開度を調整することにより、エンジン1の過給圧を調整することができる。
吸気系6の吸気管64には、ターボチャージャ5での過給によって昇温した吸入空気を強制冷却するためのインタークーラ61が設けられている。このインタークーラ61よりも更に下流側に設けられた上記スロットルバルブ62は、その開度を無段階に調整することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、この吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有している。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続する排気還流通路(EGR通路)8が設けられている。このEGR通路8は、排気の一部を適宜吸気系6に還流させて燃焼室3へ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx発生量を低減させるものである。また、このEGR通路8には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGRバルブ81と、EGR通路8を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ82とが設けられている。
−センサ類−
エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、それぞれの部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
例えば、上記エアフローメータ43は、吸気系6内のスロットルバルブ62上流において吸入空気の流量(吸入空気量)に応じた検出信号を出力する。吸気温センサ49は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気の温度に応じた検出信号を出力する。吸気圧センサ48は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気圧力に応じた検出信号を出力する。A/F(空燃比)センサ44は、排気系7のマニバータ77の下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ45は、同じく排気系7のマニバータ77の下流において排気ガスの温度(排気温度)に応じた検出信号を出力する。レール圧センサ41はコモンレール22内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。スロットル開度センサ42はスロットルバルブ62の開度を検出する。
−ECU−
ECU100は、図3に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。ROM102は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAM103は、CPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104は、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104は、バス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105及び出力インターフェース106と接続されている。
入力インターフェース105には、上記レール圧センサ41、スロットル開度センサ42、エアフローメータ43、A/Fセンサ44、排気温センサ45、吸気圧センサ48、吸気温センサ49が接続されている。さらに、この入力インターフェース105には、エンジン1の冷却水温に応じた検出信号を出力する水温センサ46、アクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号を出力するアクセル開度センサ47、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力するクランクポジションセンサ40、及び、駆動輪に繋がるドライブシャフトに設けられて車両の走行速度を検知する車速センサ4Aなどが接続されている。一方、出力インターフェース106には、上記インジェクタ23、燃料添加弁26、スロットルバルブ62、及び、EGRバルブ81などが接続されている。
そして、ECU100は、上記した各種センサの出力に基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。また、ECU100は、インジェクタ23の燃料噴射制御として、パイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフタ噴射、ポスト噴射を実行する。更に、ECU100は、上記した各種センサ、特にクランクポジションセンサ40やスロットル開度センサ42や車速センサ4Aの出力に基づいて、後述する気筒間補正制御を実行する。
−気筒間補正制御−
次に、本実施形態の特徴とする制御である気筒間補正制御について説明する。本実施形態に係る気筒間補正制御の特徴は、第1気筒間補正制御と第2気筒間補正制御とが所定のタイミングで切り換えられることにある。
具体的には、各気筒の膨張行程における燃焼形態が均一化していない状況では、第1気筒間補正制御が行われる。この第1気筒間補正制御では、エンジン1の1サイクル毎(4気筒分の膨張行程が終了する毎)に各気筒に対する噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値を反映させた燃料噴射量での燃料噴射を、1サイクル毎に繰り返して実施していく。
これに対し、上記第1気筒間補正制御によって燃焼形態が略均一化した後には、第2気筒間補正制御に切り換えられる。この第2気筒間補正制御では、エンジン1の複数サイクル毎(例えば4気筒分の膨張行程がそれぞれ10回(合計40回の膨張行程が)終了する毎)に各気筒に対する噴射量学習値(各気筒それぞれの回転変動の平均値(膨張行程10回それぞれの回転変動(回転変動のピーク値)の平均値)に基づいて算出された噴射量学習値)を求めて、この噴射量学習値を反映させた燃料噴射量での燃料噴射を、次回の噴射量学習値の算出が実行されるまで実施していく。つまり、第2気筒間補正制御における燃料噴射量の補正は、エンジン1の複数サイクル毎に行われることになる。
また、この第2気筒間補正制御は、エンジン1の電気負荷の増大等によって目標燃料噴射が変更される状況になると解除され、その後、気筒間補正制御としては、上記第1気筒間補正制御に戻される。
以下、気筒間補正制御の手順について具体的に説明する。また、以下の説明では、上記各気筒の膨張行程における燃焼形態が均一化しているか否かの判断を、それぞれの回転変動のバラツキに基づいて行う場合を例に挙げて説明する。
図4は、本実施形態における気筒間補正制御の手順を示すフローチャートである。この図4に示すルーチンは、所定時間毎、または、クランクシャフトの所定角度回転毎に実行される。
先ず、ステップST1において、気筒間補正制御の実行中であるか否かを判定する。この気筒間補正制御は、車両が停車状態で且つエンジン1のアイドリング運転中に実行される。このため、上記車速センサ4Aからの検出信号によって車両が停車であると判定され、クランクポジションセンサ40からの検出信号によってエンジン回転数がアイドリング回転数であると判定され、且つアクセル開度センサ47からの検出信号によってアクセルペダルの踏み込み量が「0」であると判定された場合に、気筒間補正制御の実行中であると判断して、ステップST1でYES判定されることになる。
気筒間補正制御の実行中ではなく、ステップST1でNO判定された場合には、本ルーチンを一旦終了する。
気筒間補正制御の実行中であり、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、上記RAM103に予め設けられている気筒間補正安定化フラグがON状態であるか否かを判定する。この気筒間補正安定化フラグは、第1気筒間補正制御における噴射量学習値が所定値よりも小さくなって燃料噴射量が収束した状態が所定期間(所定の第1気筒間補正制御回数)だけ連続した場合にONされるものである。この気筒間補正安定化フラグのON/OFF切り換えの動作については後述する。
第1気筒間補正制御の開始初期時には、未だ噴射量学習値が比較的大きく燃料噴射量が収束した状態にはなっておらず、気筒間補正安定化フラグがOFF状態であるので、ステップST2でNO判定され、ステップST3に移る。
ステップST3では、エンジン1の1サイクル毎の噴射量学習値を算出する(第1気筒間補正制御における噴射量学習値の算出)。つまり、今回の第1番気筒から第4番気筒までの全ての膨張行程(実際には、第1番気筒→第3番気筒→第4番気筒→第2番気筒の順で膨張行程を行う)が1回ずつ終了し、各気筒の回転変動のバラツキから各気筒毎の噴射量学習値を算出する。より具体的には、回転変動のピーク値(膨張行程におけるクランクシャフトの回転速度の最大値)が相対的に高い気筒に対しては、次回の膨張行程において回転変動のピーク値が下降するような噴射量学習値(燃料噴射量を減量補正する噴射量学習値)が求められる。逆に、回転変動のピーク値が相対的に低い気筒に対しては、次回の膨張行程において回転変動のピーク値が上昇するような噴射量学習値(燃料噴射量を増量補正する噴射量学習値)が求められる(第1気筒間補正制御実行手段による噴射量学習値の算出動作)。
このようにして各気筒に対する噴射量学習値を求めた後、ステップST4に移り、この求められた噴射量学習値の絶対値が所定値α(例えば0.2mm3)以下であるか否かを判定する(燃焼形態判定手段による燃焼形態の均一化判定動作)。つまり、噴射量学習値が小さく、燃料噴射量の補正量が所定範囲内に収束した状態にあるか否かを判定する。例えば、第1気筒間補正制御の開始初期時であれば、噴射量学習値の絶対値は所定値αよりも大きくなっている場合が多く、本ルーチンが繰り返されて第1気筒間補正制御が複数回実行されることで、噴射量学習値は次第に小さくなっていき、この噴射量学習値の絶対値は所定値α以下にまで低下していくことになる。尚、上記αの値は上述したものに限定されず、適宜設定される。
噴射量学習値の絶対値が所定値αを超えており、ステップST4でNO判定された場合には、ステップST5に移って、上記RAM103に予め設けられていた学習値収束カウンタをリセットする(カウント値を「0」にする)。その後、ステップST6に移り、次回の各気筒の膨張行程において気筒内に噴射される各燃料噴射量を、上記算出した噴射量学習値を反映させた燃料噴射量に設定する。これにより、前回の膨張行程での回転変動のピーク値が相対的に高かった気筒にあっては回転変動のピーク値が下降し、逆に、前回の膨張行程での回転変動のピーク値が相対的に低かった気筒にあっては回転変動のピーク値が上昇することになる。つまり、各気筒の回転変動の差が小さくなるように(燃焼形態が均一化するように)燃料噴射量が補正されていく(第1気筒間補正制御実行手段による第1気筒間補正制御)。
一方、上記噴射量学習値の絶対値が所定値α以下であり、ステップST4でYES判定された場合には、ステップST7に移って、上記学習値収束カウンタを「1」だけカウントアップする。
図5は、学習値収束カウンタのカウントアップが開始される場合のクランクシャフトの回転変動を示す波形図である。尚、この図5における、♯1は第1番気筒の膨張行程期間を、♯3は第3番気筒の膨張行程期間を、♯4は第4番気筒の膨張行程期間を、♯2は第2番気筒の膨張行程期間をそれぞれ示している。
この図5における前半の4気筒の膨張行程における回転変動波形にあっては、第1番気筒の回転変動のピーク値が、予め設定されたピーク上限閾値を超えていることで噴射量学習値の絶対値が所定値αを超えており、また、第4番気筒の回転変動のピーク値が、予め設定されたピーク下限閾値を下回っていることで噴射量学習値の絶対値が所定値αを超えている状態となっている。
そして、第1気筒間補正制御が実行されたことで、図5における後半の4気筒の膨張行程における回転変動波形にあっては、全ての気筒の回転変動のピーク値が、ピーク上限閾値以下となっており且つピーク下限閾値以上となっていることで噴射量学習値の絶対値が所定値α以下となる。このタイミングでステップST4ではYES判定され、ステップST7における学習値収束カウンタのカウントアップが開始されることになる。
ステップST7で学習値収束カウンタのカウントアップが行われた後、ステップST8に移り、この学習値収束カウンタのカウント値が所定値β(例えば50)以上に達したか否かを判定する。つまり、上記第1気筒間補正制御が複数回実行され(本ルーチンにおけるステップST1〜ステップST4、ステップST7、ステップST8、ステップST6の動作が順に複数回実行され)、上記ステップST4で連続してYES判定された回数が上記βに達したか否か、言い換えると、噴射量学習値に基づく燃料噴射量の補正量が所定範囲内に収束した状態が第1気筒間補正制御のβ回に亘って連続した状態にあるか否かを判定する。
上記学習値収束カウンタのカウント値が未だ所定値β未満である場合には、ステップST8でNO判定されステップST6に移る。つまり、次回の各気筒の膨張行程において気筒内に噴射される各燃料噴射量を、上記第1気筒間補正制御において算出した噴射量学習値を反映させた燃料噴射量に設定する。つまり、上述したように、各気筒の回転変動の差が小さくなるように(燃焼形態が均一化するように)燃料噴射量が補正される。
一方、学習値収束カウンタのカウント値が所定値β以上である場合には、ステップST8でYES判定されステップST9に移る。このステップST9では、上記RAM103に予め設けられていた上記気筒間補正安定化フラグをONする。そして、ステップST10に移って気筒間補正制御を第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御に切り換える。
この第2気筒間補正制御では、N回(例えば10回)サイクル終了毎に噴射量学習値の算出を行う。具体的には、エンジン1の1サイクル毎に各気筒毎の回転変動(回転変動のピーク値)をモニタしておき、それをN回サイクルだけ繰り返して、その平均値を各気筒毎に求める。それに基づいて各気筒毎の噴射量学習値を求める。つまり、1サイクル毎に噴射量学習値を求めるのではなく、N回サイクルが終了するのを待ち、且つこのN回サイクルの回転変動の平均値に基づいて噴射量学習値を算出する(第2気筒間補正制御実行手段による噴射量学習値の算出動作)。尚、上記Nの値は上述したものに限定されず、適宜設定される。
このような噴射量学習値の算出動作によれば、上述したショット間バラツキの影響やフライホイールダンパの影響が緩和され、噴射量学習値が大きく変化してしまうことがなくなる。つまり、燃料噴射量が大幅に変化してしまうことがなく、上記収束した燃料噴射量が比較的長い期間に亘って維持されることになる。
このようにして、N回サイクル終了後に算出された噴射量学習値を使用し、ステップST11では、次回の各気筒の膨張行程において気筒内に噴射される各燃料噴射量を、上記算出した噴射量学習値を反映させた燃料噴射量に設定する(第2気筒間補正制御実行手段による第2気筒間補正制御)。
その後、ステップST12に移り、車両の電気負荷の増大(例えばエアコンディショナのON)等に伴って目標燃料噴射が変更されたか否かを判定する。目標燃料噴射が変更されていない場合には、そのまま本ルーチンを終了する。この場合、気筒間補正安定化フラグはONのまま維持されるので、次回のルーチンでは、上記ステップST2でYES判定されることになり、上記第2気筒間補正制御が継続されることになる。
一方、目標燃料噴射が変更され、ステップST12でYES判定された場合には、ステップST13に移り、上記気筒間補正安定化フラグをOFFに戻して本ルーチンを終了する。この場合、次回のルーチンでは、上記ステップST2でNO判定されることになり、上述したステップST3以降の上記第1気筒間補正制御に戻されることになる。
図6は、本実施形態に係る気筒間補正制御の実行時における、燃料噴射量のずれ量、噴射量学習値による補正後の燃料噴射量、学習値収束カウンタのカウント値、気筒間補正安定化フラグ、エンジン1の振動レベル、それぞれの変化の一例を示すタイミングチャート図である。
図6におけるタイミングT1で、エンジンがアイドリング運転時となり気筒間補正制御(第1気筒間補正制御)が開始される。
この第1気筒間補正制御の開始初期時には、燃料噴射量のずれ量(目標燃料噴射に対するずれ量)も大きいため、噴射量学習値も急速に大きな値に変化していく、つまり、この第1気筒間補正制御では、1サイクル毎に噴射量学習値を求めているため、燃料噴射量も大きく変化し、燃料噴射量のずれ量が急速に小さくなっていく。即ち、燃料噴射量を適正値に移行させるための収束性が高く設定される期間となっている。それに伴い、エンジンの振動レベルも急速に小さくなっていく。
そして、タイミングT2において、噴射量学習値が所定値以下にまで小さくなり、燃料噴射量の変化幅が所定範囲内に収束すると、学習値収束カウンタのカウントが開始され、噴射量学習値が所定範囲に収束している間、この学習値収束カウンタのカウントは噴射量学習の実行の度にカウントアップされていく。この間、エンジン振動レベルの小さい状態が維持される。
そして、噴射量学習値が所定範囲に収束している状態が継続されて、学習値収束カウンタのカウント値が所定値に達すると(タイミングT3)、気筒間補正安定化フラグがONされると共に、気筒間補正制御が第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御に切り換えられる。
このようにして第2気筒間補正制御に切り換えられた後には、目標燃料噴射が変更されるまで、上記気筒間補正安定化フラグのON状態が維持され、第2気筒間補正制御が継続される。つまり、N回(例えば10回)サイクル終了毎に噴射量学習値の算出を行い、その噴射量学習値を反映した燃料噴射を実行していく。尚、この図6では、タイミングT4において、車両の電気負荷が増大するなどして目標燃料噴射が変更され、それに伴って、学習値収束カウンタのカウント値がリセットされると共に、気筒間補正安定化フラグがOFFされて、上記第1気筒間補正制御に切り換えられている。また、タイミングT5では、再び、燃料噴射量の変化幅が所定範囲内に収束し、タイミングT6では、学習値収束カウンタのカウント値が所定値に達したことで、気筒間補正安定化フラグがONされている。つまり、第2気筒間補正制御に切り換えられている。
以上説明したように、本実施形態では、各気筒それぞれの膨張行程における回転変動のバラツキが大きい場合(燃焼形態が未だ均一化していない場合)には、第1気筒間補正制御を実行し、噴射量学習値の算出インターバルを短くして早期に燃料噴射量を適正値に収束させるようにする。そして、この第1気筒間補正制御によって、各気筒それぞれの膨張行程における回転変動のバラツキが小さくなると(燃焼形態が略均一化すると)、第2気筒間補正制御に切り換え、噴射量学習値の算出インターバルを長くして燃料噴射量の急変を防止している。つまり、1サイクル毎に各気筒に対する燃料噴射量の補正を行っていく第1気筒間補正制御に比べて、噴射量学習値による燃料噴射量の補正頻度(補正量や補正インターバル)を低くすることで、燃料噴射量が短期間の間に大きく変化してしまうことを防止できる。これにより、第2気筒間補正制御に切り換えられた後には、継続的に燃料噴射量が適正に保たれることになり、燃料噴射量の収束状態が短時間のうちに解除されてエンジン1の振動が大きくなってしまうといったことが回避される。
(変形例1)
次に、本発明の変形例1について説明する。本変形例は、上記第2気筒間補正制御の変形例である。エンジン1の構成及びその動作や第1気筒間補正制御は上述した実施形態のものと同様である。従って、ここでは、第2気筒間補正制御についてのみ説明する。
上述した実施形態における第2気筒間補正制御は、N回(例えば10回)サイクル終了毎に噴射量学習値の算出を行っていた。つまり、噴射量学習値を算出するための回転変動の平均値を求めるサイクル数は固定値としていた。本変形例は、この平均値を求めるサイクル数を可変としたものである。
具体的には、上記第2気筒間補正制御が開始された場合に、開始初期時に回転変動の平均値を求めるサイクル数に対して、第2気筒間補正制御が継続されていった場合の回転変動の平均値を求めるサイクル数を次第に多くしていくものである。
例えば、第2気筒間補正制御が開始された場合の初回の第2気筒間補正制御にあっては、2回のサイクル(クランクシャフトの4回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行う。そして、第2回目の第2気筒間補正制御にあっては、5回のサイクル(クランクシャフトの10回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行う。更に、第3回目の第2気筒間補正制御にあっては、10回のサイクル(クランクシャフトの20回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行う。そして、それ以降の第2気筒間補正制御にあっては、10回のサイクル終了毎に回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行っていく。このようにして、第2気筒間補正制御の継続時間が長くなるに従って回転変動の平均値を求めるためのサイクル数を多くしていくようにしている。
これによれば、燃焼形態が略均一化している第2気筒間補正制御の期間が長いほど、噴射量学習値の影響度合いを小さくして、更に安定した燃料噴射量を確保することが可能になる。
(変形例2)
次に、本発明の変形例2について説明する。本変形例も、上記第2気筒間補正制御の変形例である。エンジン1の構成及びその動作や第1気筒間補正制御は上述した実施形態のものと同様である。従って、ここでは、第2気筒間補正制御についてのみ説明する。
本変形例は、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御へ切り換えられた際の噴射量学習値の大きさに応じて、第2気筒間補正制御において噴射量学習値を算出するための回転変動の平均値を求めるサイクル数(上記実施形態では10回)を可変とするものである。
具体的には、上記第2気筒間補正制御が開始された場合の噴射量学習値が大きいほど、その第2気筒間補正制御の開始初期時に回転変動の平均値を求めるサイクル数を小さく設定し(噴射量学習値の算出頻度を高く設定し)、その後、第2気筒間補正制御が継続されていった場合の回転変動の平均値を求めるサイクル数を次第に多くしていくものである。
例えば、上記所定値α(図4に示すフローチャートにおいて噴射量学習値が所定範囲内になったか否かを判定するための閾値)を大きめに設定しておく。例えば、0.5mm3に設定しておく。そして、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御へ切り換えられた際の噴射量学習値が0.5mm3であった場合には、第2気筒間補正制御が開始された場合の初回の第2気筒間補正制御にあっては、2回のサイクル(クランクシャフトの4回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正する。そして、第2回目の第2気筒間補正制御にあっては、5回のサイクル(クランクシャフトの10回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正する。更に、第3回目の第2気筒間補正制御にあっては、10回のサイクル(クランクシャフトの20回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正する。そして、それ以降の第2気筒間補正制御にあっては、10回のサイクル終了毎に回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正していく。
これに対し、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御へ切り換えられた際の噴射量学習値が0.3mm3であった場合には、第2気筒間補正制御が開始された場合の初回の第2気筒間補正制御にあっては、5回のサイクル(クランクシャフトの10回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正する。そして、第2回目の第2気筒間補正制御にあっては、10回のサイクル(クランクシャフトの20回転分)が終了した時点で回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正する。そして、それ以降の第2気筒間補正制御にあっては、10回のサイクル終了毎に回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行って燃料噴射量を補正していく。
また、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御へ切り換えられた際の噴射量学習値が0.2mm3であった場合には、上述した実施形態の場合と同様に、10回のサイクル(クランクシャフトの20回転分)が終了する毎に回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行い、燃料噴射量の補正を行う。それ以降も、10回のサイクルが終了する毎に回転変動の平均値を求め、それに基づいて噴射量学習値の算出を行い、燃料噴射量の補正を行う。
これによれば、比較的早期に第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御に切り換えることが可能になり、また、仮に、第2気筒間補正制御に切り換えられた際の噴射量学習値が比較的大きな値であったとしても、その第2気筒間補正制御の初期時には噴射量学習値の算出頻度が高くなっているので、燃料噴射量の収束性を高く得ることができる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態及び変形例では、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明はこれに限らず、ガソリンエンジンにも適用可能である。また、自動車用以外の用途に利用されるエンジンに対しても本発明は適用が可能である。また、直列型エンジンに限らず、V型エンジン、水平対向型エンジン等に対しても本発明は適用可能である。更に、気筒数、燃料噴射方式、その他、エンジンの仕様は特に限定されるものではない。
また、上述した実施形態及び変形例では、各気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態が略均一になったか否かの判定は、それぞれの膨張行程での回転変動にバラツキに基づいて行っていた。本発明はこれに限らず、各気筒それぞれの膨張行程における仕事量を求め、これら仕事量のバラツキに基づいて、燃焼形態が略均一になったか否かを判定するようにしてもよい。
本発明は、コモンレール式筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジンにおける各気筒の回転変動のバラツキを解消するための気筒間補正制御に適用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
3 燃焼室
12 シリンダボア

Claims (4)

  1. 内燃機関のアイドリング運転時に、複数気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態を均一化させるための噴射量学習値を気筒毎に求め、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を行う気筒間補正制御が実行可能な多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    上記複数気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態が略均一化したことを判定する燃焼形態判定手段と、
    上記燃焼形態が未だ均一化していないと判定されている場合に、上記内燃機関の1サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していく第1気筒間補正制御を行う第1気筒間補正制御実行手段と、
    上記第1気筒間補正制御によって燃焼形態が略均一化し、この燃焼形態の略均一化状態が所定期間継続した場合に、上記内燃機関の複数サイクル毎に各気筒に対する上記噴射量学習値を求めて、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していく第2気筒間補正制御を行う第2気筒間補正制御実行手段とを備えており、
    上記第2気筒間補正制御実行手段は、上記内燃機関の各気筒毎における複数回サイクルそれぞれの回転変動の平均値より噴射量学習値を求め、この噴射量学習値により補正された燃料噴射量で燃料噴射を実施していくよう構成されていることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 上記請求項1記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    上記燃焼形態判定手段は、各気筒の膨張行程において回転速度が最も高くなっているピーク値同士の差が所定量以下になった場合に、各気筒それぞれの膨張行程における燃焼形態が略均一化したと判定するよう構成されていることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 上記請求項1または2記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    上記第2気筒間補正制御実行手段は、回転変動の平均値を求めるための内燃機関のサイクル数を、第2気筒間補正制御の継続時間が長くなるに従って多くしていくよう構成されていることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 上記請求項1、2または3記載の多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    上記第2気筒間補正制御実行手段は、第1気筒間補正制御から第2気筒間補正制御に切り換わった時点での噴射量学習値が大きいほど、第2気筒間補正制御の開始初期時における回転変動の平均値を求めるための内燃機関のサイクル数を少なく設定するよう構成されていることを特徴とする多気筒内燃機関の燃料噴射制御装置。
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