JP5077491B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンに代表される圧縮自着火式内燃機関の制御装置に係る。特に、本発明は、筒内で発生するスワール流の利用範囲の拡大を図るための対策に関する。
従来から周知のように、自動車用エンジン等として使用されるディーゼルエンジンでは、エンジン回転数、アクセル操作量、冷却水温度、吸気温度等に応じて、燃料噴射弁(以下、インジェクタと呼ぶ場合もある)からの燃料噴射量や燃料噴射タイミング等といった各種制御パラメータを制御することが行われている。これら制御パラメータは、排気エミッションの改善、高いエンジントルクの確保、燃焼音の低減等といった観点からその制御値が求められる。
そして、上記制御パラメータの一つとして、気筒内で発生するスワール流(水平方向の旋回流)が挙げられる。つまり、このスワール流(スワール流速)を調整することにより燃焼室内での燃焼状態を制御することが提案されている。より具体的には吸気系に備えられたスワールコントロールバルブの開度を調整することによりスワール流速(以下、スワール速度と呼ぶ場合もある)を制御し、これによって燃焼室内における噴霧の状態を制御するようにしている。
例えば、下記の特許文献1には、最適スワール比(クランクシャフトが1回転する期間中における吸気の筒内周方向の回転回数)を、「定数×インジェクタの噴孔間の角度/メイン噴射期間」として求め、各噴孔から噴射された噴霧同士の間の空間が最大限に利用可能となるように上記定数を実験的に決定することが開示されている。
また、下記の特許文献2には、エンジンの運転状態に基づいて決定されたパイロット噴射時期がPM排出量の許容上限値を超える状況にある場合には、スワール流を変更することにより、パイロット噴射時期を変更することなくPM排出量が上記許容上限値を超えないようにすることが開示されている。
特開2007−177783号公報 特開2004−360572号公報
ところで、近年、自動車の排気エミッション規制の強化(Euro6等)に伴い、環境変化や運転過渡等に起因して、筒内の圧力、温度、ガス(空気)量、酸素濃度等といった燃焼状態に影響を与えるパラメータ(燃焼状態量とも呼ばれる)が変化する状況になっても、混合気の燃焼状態を適正化して(例えば燃焼場での当量比を適正化して)スモークやHC等の発生量を規制の範囲内に抑えることが要求されている。
より具体的には、上記インジェクタの各噴孔から噴射される燃料の噴霧角は上記燃焼状態量によって変化する。例えば、筒内圧力が高いほど、また、筒内温度が高いほど噴霧角は大きくなる。また、筒内のガス量や酸素濃度が高いほど上記筒内温度が高くなるので、この場合にも噴霧角は大きくなる。このように噴霧角が大きくなるような環境変化や運転過渡等が生じた場合に、スワール速度の適正化が図れていないと、噴霧同士の重なり度合いが大きくなり過ぎてスモークの発生量が規制範囲を超えてしまう可能性がある。逆に、噴霧角が小さくなるような環境変化や運転過渡等が生じた場合に、スワール速度の適正化が図れていないと、噴霧同士の重なり度合いが小さくなり過ぎてHCの発生量が規制範囲を超えてしまう可能性がある。
しかしながら、上述した各特許文献に開示されているスワール流の制御にあっては、これら環境変化や運転過渡等に起因して燃焼状態量が変化することを考慮したスワール流の制御については何ら考慮されておらず、スワール流の利用範囲が限定的であった。
本発明の発明者は、この点に鑑み、上記スワール流の利用範囲を拡大することに着目し本発明に至った。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、筒内で発生するスワール流の利用範囲を拡大し、排気エミッションの改善に役立てることが可能な内燃機関の制御装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、気筒内で発生しているスワール流の流速を算出または推定すべきタイミング及びその位置(筒内の位置)、言い換えると、筒内に噴射された燃料の噴霧中において上記スワール流によって周方向に流される速度を算出または推定すべきタイミング及びその位置(噴霧の長手方向で特定すべき位置)を内燃機関の運転状態に応じて特定し、その特定されたスワール速度に基づいて内燃機関の制御パラメータ(スワール速度や燃料噴射インターバル等)の制御を行うようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、スワール流の発生している筒内に向けて燃料噴射弁から燃料噴射を行い、その燃料の自着火による燃焼を行う圧縮自着火式内燃機関の制御装置を前提とする。この内燃機関の制御装置に対し、内燃機関運転状態に応じて、スワール速度の算出を行うべきタイミングを特定する代表タイミング特定手段と、内燃機関運転状態に応じて、スワール速度の算出を行うべき筒内位置を特定する代表位置特定手段と、上記特定された代表タイミング及び代表位置でのスワール速度を算出するスワール速度算出手段と、このスワール速度算出手段によって算出されたスワール速度に基づいて内燃機関制御パラメータの調整を行う制御パラメータ調整手段とを備えさせている。
この特定事項により、内燃機関の運転状態に応じ、排気エミッション等を考慮すべき燃料噴射期間中のタイミング(代表タイミング)及び筒内位置(噴霧内の位置:代表位置)でのスワール速度の適正化を図ることができる。例えば、スモーク発生量を考慮すべき運転状態では、このスモーク発生原因となっているタイミング及び領域(筒内位置)でのスワール速度の適正化を図り、HC発生量を考慮すべき運転状態では、このHC発生原因となっているタイミング及び領域(筒内位置)でのスワール速度の適正化を図るようにする。これにより、内燃機関の運転状態の急速な変化や環境の変化が生じた場合であっても排気エミッションの悪化を防止することができ、良好な排気エミッションを維持することが可能となる。
上記内燃機関制御パラメータとしてはスワール速度及び噴射インターバルが挙げられる。スワール速度を調整する場合の構成として以下のものが挙げられる。先ず、スワール速度を可変とするスワール速度可変機構を備えさせる。そして、上記スワール速度算出手段によって算出されたスワール速度が、予め設定された目標スワール速度に一致するように、上記制御パラメータ調整手段が上記スワール速度可変機構を制御する構成としている。
この場合、上記スワール速度可変機構としては、吸気系に設けられたスワールコントロールバルブまたは吸気バルブのバルブタイミング可変機構が挙げられる。
このようにして上記特定した代表タイミング及び代表位置でのスワール速度の適正化を図ることにより、運転状態に応じた噴霧流れ状態を得ることができ、内燃機関の運転状態の急速な変化や環境の変化が生じた場合であっても排気エミッションの改善を図ることができる。
噴射インターバルを調整する場合の構成として以下のものが挙げられる。インターバルを存して多段噴射される燃料噴射弁からの燃料の噴霧同士の重なり領域における当量比が、予め設定された目標当量比に一致するように、上記制御パラメータ調整手段が上記多段噴射される燃料の噴射インターバルを制御する構成としている。
このようにして上記特定した代表タイミング及び代表位置でのスワール速度に基づいて噴射インターバルの適正化を図ることによっても、運転状態に応じた噴霧流れ状態を得ることができ、内燃機関の運転状態の急速な変化や環境の変化が生じた場合であっても排気エミッションの改善を図ることができる。
上記代表タイミング特定手段の構成として具体的には、内燃機関の負荷が高いほど、燃料噴射弁からの燃料噴射期間における遅角側をスワール速度の算出を行うべきタイミングとして特定するようにしている。
このように代表タイミングを特定する理由を以下に述べる。内燃機関の高負荷運転時には、燃焼場での当量比がリッチとなって燃焼期間の後期(遅角側)でスモークの発生量が増大する可能性がある。このため、このスモーク発生量を大きく左右する燃料噴射期間における遅角側をスワール速度の算出を行うべきタイミングとして特定し、この燃料噴射期間における遅角側でのスワール速度の適正化を図ってスモーク発生量を規制の範囲内に抑えるようにする。一方、内燃機関の低負荷運転時には、燃焼場での当量比がリーンとなって混合気の着火性が悪化したり燃焼期間の初期(進角側)でHCの発生量が増大したりする可能性がある。このため、この着火性やHC発生量を大きく左右する燃料噴射期間における進角側をスワール速度の算出を行うべきタイミングとして特定し、この燃料噴射期間における進角側でのスワール速度の適正化を図って混合気の着火性を良好にし且つHCの発生量を規制の範囲内に抑えるようにする。
上記代表位置特定手段の構成として具体的には、内燃機関の負荷が高いほど、噴霧長さ方向の先端から離れた噴霧長手方向中央位置側をスワール速度の算出を行うべき筒内位置として特定するようにしている。
このように代表位置を特定する理由を以下に述べる。内燃機関の高負荷運転時には、当量比が比較的リッチになりやすくスモーク発生量の増大の原因となる噴霧長手方向中央位置を、スワール速度の算出を行うべき筒内位置として特定し、この噴霧長手方向中央位置でのスワール速度の適正化を図ってスモーク発生量を規制の範囲内に抑えるようにする。一方、内燃機関の低負荷運転時には、燃料の壁面付着に起因するHCの発生量が増大する可能性があるため、このHC発生量を大きく左右する噴霧先端位置を、スワール速度の算出を行うべき筒内位置として特定し、この噴霧先端位置でのスワール速度の適正化を図ってHCの発生量を規制の範囲内に抑えるようにする。
上記スワール速度算出手段の構成としてより具体的には、上記特定された代表タイミング及び代表位置での代表スワール速度に対して、筒内状態量に応じた補正動作を行うことによりスワール速度を算出する構成としている。
また、上記目標スワール速度の算出手法としては、内燃機関運転状態に応じて求められた基準目標スワール速度に対し、筒内状態量に応じた補正動作を行うようにしている。
上記筒内状態量として、具体的には、筒内温度、筒内圧力、筒内ガス量、筒内酸素濃度のうちの少なくとも一つが挙げられる。
このようにして筒内状態量に応じた補正を行うことでスワール速度や目標スワール速度を算出するようにしているため、内燃機関の運転状態の急速な変化や環境の変化が生じた場合であっても適正なスワール速度及び目標スワール速度を算出することができ、排気エミッションの悪化を防止できる。
また、上記目標当量比は、内燃機関運転状態に応じて求められる。
本発明では、気筒内で発生しているスワール速度を算出すべきタイミング及びその位置を内燃機関の運転状態に応じて特定し、その特定されたスワール速度に基づいて内燃機関の制御パラメータ(スワール速度や燃料噴射インターバル等)の制御を行うようにしている。このため、内燃機関の運転状態の急速な変化や環境の変化が生じた場合であっても適正なスワール速度及び目標スワール速度を算出することができ、排気エミッションの悪化を防止できる。
図1は、実施形態に係るエンジン及びその制御系統の概略構成を示す図である。 図2は、ディーゼルエンジンの燃焼室及びその周辺部を示す断面図である。 図3は、ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 図4は、燃焼室内での燃焼形態の概略を説明するための吸排気系及び燃焼室の模式図である。 図5は、燃料噴射時における燃焼室及びその周辺部を示す断面図である。 図6は、燃料噴射時における燃焼室の平面図である。 図7は、スワール速度制御の手順を示すフローチャート図である。 図8は、エンジン回転数及び燃料噴射量により噴射時期代表クランク角度を特定するための噴射時期代表クランク角度特定マップを示す図である。 図9は、エンジン回転数及び燃料噴射量により噴霧代表位置を特定するための噴霧代表位置特定マップを示す図である。 図10は、噴射時期代表クランク角度に応じたスワール比を求めるためのスワール比マップを示す図である。 図11は、代表スワール速度を温度補正するための筒内温度補正マップを示す図である。 図12は、エンジン回転数及び燃料噴射量により基準目標スワール比を求めるための基準目標スワール比マップを示す図である。 図13は、目標スワール量とスワールコントロールバルブ操作量との関係を示すスワールコントロールバルブ操作量マップを示す図である。 図14は、噴射インターバル制御の手順を示すフローチャート図である。 図15は、パイロット噴射での噴霧とメイン噴射での噴霧との重なり領域を説明するための各噴霧の模式図であって、図15(a)はパイロット噴射終了時点での噴霧を、図15(b)はメイン噴射終了時点での各噴霧を模式的に示す図である。 図16は、エンジン回転数及び燃料噴射量により目標当量比を求めるための目標当量比マップを示す図である。 図17は、エンジンの高負荷運転時における噴射インターバルとスモーク発生量との関係を示す図である。 図18は、エンジンの低負荷運転時における噴射インターバルとHC発生量との関係を示す図である。 図19は、燃料噴射インターバル制御の変形例における制御手順を示すフローチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成−
先ず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略構成について説明する。図1は本実施形態に係るエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。また、図2は、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、排気系7等を主要部とするディーゼルエンジンシステムとして構成されている。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、インジェクタ(燃料噴射弁)23、遮断弁24、燃料添加弁26、機関燃料通路27、添加燃料通路28等を備えて構成されている。
上記サプライポンプ21は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした後、機関燃料通路27を介してコモンレール22に供給する。コモンレール22は、サプライポンプ21から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各インジェクタ23に分配する。インジェクタ23は、その内部に圧電素子(ピエゾ素子)を備え、適宜開弁して燃焼室3内に燃料を噴射供給するピエゾインジェクタにより構成されている。このインジェクタ23からの燃料噴射制御の詳細については後述する。
また、上記サプライポンプ21は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を、添加燃料通路28を介して燃料添加弁26に供給する。添加燃料通路28には、緊急時において添加燃料通路28を遮断して燃料添加を停止するための上記遮断弁24が備えられている。
また、上記燃料添加弁26は、ECU100による添加制御動作によって排気系7への燃料添加量が目標添加量(排気A/Fが目標A/Fとなるような添加量)となるように、また、燃料添加タイミングが所定タイミングとなるように開弁時期が制御される電子制御式の開閉弁により構成されている。つまり、この燃料添加弁26から所望の燃料が適宜のタイミングで排気系7(排気ポート71から排気マニホールド72)に噴射供給される構成となっている。
吸気系6は、シリンダヘッド15(図2参照)に形成された吸気ポート15aに接続される吸気マニホールド63を備え、この吸気マニホールド63に、吸気通路を構成する吸気管64が接続されている。また、この吸気通路には、上流側から順にエアクリーナ65、エアフローメータ43、スロットルバルブ(吸気絞り弁)62が配設されている。上記エアフローメータ43は、エアクリーナ65を介して吸気通路に流入される空気量に応じた電気信号を出力するようになっている。
また、この吸気系6には、燃焼室3内でのスワール流(水平方向の旋回流)を可変とするためのスワールコントロールバルブ(スワール速度可変機構)66が備えられている(図2参照)。具体的に、上記吸気ポート15aとしては、ノーマルポート及びスワールポートの2系統が各気筒毎に備えられており、そのうち図2に示されているノーマルポート15aに、開度調整可能なバタフライバルブで成るスワールコントロールバルブ66が配置されている。このスワールコントロールバルブ66には図示しないアクチュエータが連繋されており、このアクチュエータの駆動によって調整されるスワールコントロールバルブ66の開度に応じてノーマルポート15aを通過する空気の流量が変更できるようになっている。そして、スワールコントロールバルブ66の開度が大きいほど、ノーマルポート15aから気筒内に吸入される空気量が増加する。このため、スワールポート(図2では図示省略)により発生したスワールは相対的に弱まり、気筒内は低スワール(スワール速度が低い状態)となる。逆に、スワールコントロールバルブ66の開度が小さいほど、ノーマルポート15aから気筒内に吸入される空気量が減少する。このため、スワールポートにより発生したスワールは相対的に強められ、気筒内は高スワール(スワール速度が高い状態)となる。
排気系7は、シリンダヘッド15に形成された上記排気ポート71に接続される排気マニホールド72を備え、この排気マニホールド72に対して、排気通路を構成する排気管73,74が接続されている。また、この排気通路には、NOx吸蔵触媒(NSR触媒:NOx Storage Reduction触媒)75及びDPNR触媒(Diesel Paticulate−NOx Reduction触媒)76を備えたマニバータ(排気浄化装置)77が配設されている。以下、これらNSR触媒75及びDPNR触媒76について説明する。
NSR触媒75は、吸蔵還元型NOx触媒であって、例えばアルミナ(Al23)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持された構成となっている。
このNSR触媒75は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低く、かつ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2若しくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。即ち、NSR触媒75に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整することにより、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができるようになっている。本実施形態のものでは、この排気中の酸素濃度やHC成分の調整を上記燃料添加弁26からの燃料添加動作によって行うことが可能となっている。
一方、DPNR触媒76は、例えば多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元型触媒を担持させたものであり、排気ガス中のPMは多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気ガスの空燃比がリーンの場合、排気ガス中のNOxはNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると、吸蔵したNOxは還元・放出される。さらに、DPNR触媒76には、捕集したPMを酸化・燃焼する触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
ここで、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部の構成について、図2を用いて説明する。この図2に示すように、エンジン本体の一部を構成するシリンダブロック11には、各気筒(4気筒)毎に円筒状のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12の内部にはピストン13が上下方向に摺動可能に収容されている。
ピストン13の頂面13aの上側には上記燃焼室3が形成されている。つまり、この燃焼室3は、シリンダブロック11の上部にガスケット14を介して取り付けられたシリンダヘッド15の下面と、シリンダボア12の内壁面と、ピストン13の頂面13aとにより区画形成されている。そして、ピストン13の頂面13aの略中央部には、キャビティ(凹陥部)13bが凹設されており、このキャビティ13bも燃焼室3の一部を構成している。
尚、このキャビティ13bの形状としては、その中央部分(シリンダ中心線P上)では凹陥寸法が小さく、外周側に向かうに従って凹陥寸法が大きくなっている。つまり、図2に示すようにピストン13が圧縮上死点付近にある際、このキャビティ13bによって形成される燃焼室3としては、中央部分では比較的容積の小さい狭小空間とされ、外周側に向かって次第に空間が拡大される(拡大空間とされる)構成となっている。
上記ピストン13は、コネクティングロッド18の小端部18aがピストンピン13cにより連結されており、このコネクティングロッド18の大端部はエンジン出力軸であるクランクシャフトに連結されている。これにより、シリンダボア12内でのピストン13の往復移動がコネクティングロッド18を介してクランクシャフトに伝達され、このクランクシャフトが回転することでエンジン出力が得られるようになっている。また、燃焼室3に向けてグロープラグ19が配設されている。このグロープラグ19は、エンジン1の始動直前に電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置として機能する。
上記シリンダヘッド15には、燃焼室3へ空気を導入する上記吸気ポート15aと、燃焼室3から排気ガスを排出する上記排気ポート71とがそれぞれ形成されていると共に、吸気ポート15aを開閉する吸気バルブ16及び排気ポート71を開閉する排気バルブ17が配設されている。これら吸気バルブ16及び排気バルブ17はシリンダ中心線Pを挟んで対向配置されている。つまり、本エンジン1はクロスフロータイプとして構成されている。また、シリンダヘッド15には、燃焼室3の内部へ直接的に燃料を噴射する上記インジェクタ23が取り付けられている。このインジェクタ23は、シリンダ中心線Pに沿う起立姿勢で燃焼室3の略中央上部に配設されており、上記コモンレール22から導入される燃料を燃焼室3に向けて所定のタイミングで噴射するようになっている。
更に、図1に示す如く、このエンジン1には、過給機(ターボチャージャ)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト51を介して連結されたタービンホイール52及びコンプレッサホイール53を備えている。コンプレッサホイール53は吸気管64内部に臨んで配置され、タービンホイール52は排気管73内部に臨んで配置されている。このためターボチャージャ5は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといった所謂過給動作を行うようになっている。本実施形態におけるターボチャージャ5は、可変ノズル式ターボチャージャであって、タービンホイール52側に可変ノズルベーン機構(図示省略)が設けられており、この可変ノズルベーン機構の開度を調整することにより、エンジン1の過給圧を調整することができる。
吸気系6の吸気管64には、ターボチャージャ5での過給によって昇温した吸入空気を強制冷却するためのインタークーラ61が設けられている。
このインタークーラ61よりも更に下流側に設けられた上記スロットルバルブ62は、その開度を無段階に調整することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、この吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有している。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続する排気還流通路(EGR通路)8が設けられている。このEGR通路8は、排気の一部を適宜吸気系6に還流させて燃焼室3へ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx発生量を低減させるものである。また、このEGR通路8には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGRバルブ81と、EGR通路8を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ82とが設けられている。これらEGR通路8、EGRバルブ81、EGRクーラ82等によってEGR装置(排気還流装置)が構成されている。
−センサ類−
エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、それぞれの部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
例えば、上記エアフローメータ43は、吸気系6内のスロットルバルブ62上流において吸入空気の流量(吸入空気量)に応じた検出信号を出力する。吸気温センサ49は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気の温度に応じた検出信号を出力する。吸気圧センサ48は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気圧力に応じた検出信号を出力する。A/F(空燃比)センサ44は、排気系7のマニバータ77の下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ45は、同じく排気系7のマニバータ77の下流において排気ガスの温度(排気温度)に応じた検出信号を出力する。レール圧センサ41はコモンレール22内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。スロットル開度センサ42はスロットルバルブ62の開度を検出する。
−ECU−
ECU100は、図3に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。ROM102は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。RAM103は、CPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。バックアップRAM104は、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104は、バス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105及び出力インターフェース106と接続されている。
入力インターフェース105には、上記レール圧センサ41、スロットル開度センサ42、エアフローメータ43、A/Fセンサ44、排気温センサ45、吸気圧センサ48、吸気温センサ49が接続されている。さらに、この入力インターフェース105には、エンジン1の冷却水温に応じた検出信号を出力する水温センサ46、アクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号を出力するアクセル開度センサ47、及び、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力するクランクポジションセンサ40などが接続されている。
一方、出力インターフェース106には、上記サプライポンプ21、インジェクタ23、燃料添加弁26、スロットルバルブ62、スワールコントロールバルブ66、及び、EGRバルブ81などが接続されている。また、出力インターフェース106には、その他に、上記ターボチャージャ5の可変ノズルベーン機構に備えられたアクチュエータ(図示省略)も接続されている。
そして、ECU100は、上記した各種センサからの出力、その出力値を利用する演算式により求められた演算値、または、上記ROM102に記憶された各種マップに基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。
例えば、ECU100は、インジェクタ23の燃料噴射制御として、パイロット噴射(副噴射)とメイン噴射(主噴射)とを実行する。
上記パイロット噴射は、インジェクタ23からのメイン噴射に先立ち、予め少量の燃料を噴射する動作である。また、このパイロット噴射は、メイン噴射による燃料の着火遅れを抑制し、安定した拡散燃焼に導くための噴射動作であって、副噴射とも呼ばれる。また、本実施形態におけるパイロット噴射は、上述したメイン噴射による初期燃焼速度を抑制する機能ばかりでなく、気筒内温度を高める予熱機能をも有するものとなっている。つまり、このパイロット噴射の実行後、燃料噴射を一旦中断し、メイン噴射が開始されるまでの間に圧縮ガス温度(気筒内温度)を十分に高めて燃料の自着火温度(例えば1000K)に到達させるようにし、これによってメイン噴射で噴射される燃料の着火性を良好に確保するようにしている。
上記メイン噴射は、エンジン1のトルク発生のための噴射動作(トルク発生用燃料の供給動作)である。このメイン噴射での噴射量は、基本的には、エンジン回転数、アクセル操作量、冷却水温度、吸気温度等の運転状態に応じ、要求トルクが得られるように決定される。例えば、エンジン回転数(クランクポジションセンサ40の検出値に基づいて算出されるエンジン回転数)が高いほど、また、アクセル操作量(アクセル開度センサ47により検出されるアクセルペダルの踏み込み量)が大きいほど(アクセル開度が大きいほど)エンジン1のトルク要求値としては高く得られ、それに応じてメイン噴射での燃料噴射量としても多く設定されることになる。
尚、上述したパイロット噴射及びメイン噴射の他に、アフタ噴射やポスト噴射が必要に応じて行われる。アフタ噴射は、排気ガス温度を上昇させるための噴射動作である。具体的には、供給された燃料の燃焼エネルギがエンジン1のトルクに変換されることなく、その大部分が排気の熱エネルギとして得られるタイミングでアフタ噴射は実行される。また、ポスト噴射は、排気系7に燃料を直接的に導入して上記マニバータ77の昇温を図るための噴射動作である。例えば、DPNR触媒76に捕集されているPMの堆積量が所定量を超えた場合(例えばマニバータ77の前後の差圧を検出することにより検知)、ポスト噴射が実行されるようになっている。
また、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じてEGRバルブ81の開度を制御し、吸気マニホールド63に向けての排気還流量(EGR量)を調整する。このEGR量は、上記ROM102に予め記憶されたEGRマップに従って設定される。具体的に、このEGRマップは、エンジン回転数及びエンジン負荷をパラメータとしてEGR量(EGR率)を決定するためのマップである。尚、このEGRマップは、予め実験やシミュレーション等によって作成されたものとなっている。つまり、上記クランクポジションセンサ40の検出値に基づいて算出されたエンジン回転数及びスロットル開度センサ42によって検出されたスロットルバルブ62の開度(エンジン負荷に相当)とをEGRマップに当て嵌めることでEGR量(EGRバルブ81の開度)が得られるようになっている。
更に、ECU100は、上記スワールコントロールバルブ66の開度制御を実行する。このスワールコントロールバルブ66の開度制御としては、燃焼室3内に噴射された燃料の噴霧の単位時間当たり(または単位クランク回転角度当たり)における気筒内の周方向の移動量を変更するように行われる。このスワールコントロールバルブ66の開度制御の詳細については後述する。
−燃料噴射圧−
燃料噴射を実行する際の燃料噴射圧は、コモンレール22の内圧により決定される。このコモンレール内圧として、一般に、コモンレール22からインジェクタ23へ供給される燃料圧力の目標値、即ち目標レール圧は、エンジン負荷(機関負荷)が高くなるほど、及び、エンジン回転数(機関回転数)が高くなるほど高いものとされる。即ち、エンジン負荷が高い場合には燃焼室3内に吸入される空気量が多いため、インジェクタ23から燃焼室3内に向けて多量の燃料を噴射しなければならず、よってインジェクタ23からの噴射圧力を高いものとする必要がある。また、エンジン回転数が高い場合には噴射可能な期間が短いため、単位時間当たりに噴射される燃料量を多くしなければならず、よってインジェクタ23からの噴射圧力を高いものとする必要がある。このように、目標レール圧は一般にエンジン負荷及びエンジン回転数に基づいて設定される。尚、この目標レール圧は例えば上記ROM102に記憶された燃圧設定マップに従って設定される。つまり、この燃圧設定マップに従って燃料圧力を決定することで、インジェクタ23の開弁期間(噴射率波形)が制御され、その開弁期間中における燃料噴射量を規定することが可能になる。
尚、本実施形態では、エンジン負荷等に応じて燃料圧力が30MPa〜200MPaの間で調整されるようになっている。
上記パイロット噴射やメイン噴射などの燃料噴射パラメータについて、その最適値はエンジン1や吸入空気等の温度条件によって異なるものとなる。
例えば、上記ECU100は、コモンレール圧がエンジン運転状態に基づいて設定される目標レール圧と等しくなるように、即ち燃料噴射圧が目標噴射圧と一致するように、サプライポンプ21の燃料吐出量を調量する。また、ECU100はエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量及び燃料噴射形態を決定する。具体的には、ECU100は、クランクポジションセンサ40の検出値に基づいてエンジン回転速度を算出するとともに、アクセル開度センサ47の検出値に基づいてアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を求め、このエンジン回転速度及びアクセル開度に基づいて総燃料噴射量(パイロット噴射での噴射量とメイン噴射での噴射量との和)を決定する。
−燃焼形態の概略説明−
次に、本実施形態に係るエンジン1における燃焼室3内での燃焼形態の概略について説明する。
図4は、エンジン1の一つの気筒に対して吸気マニホールド63及び吸気ポート15aを経てガス(空気)が吸入され、燃焼室3内へインジェクタ23からの燃料噴射によって燃焼が行われると共に、その燃焼後のガスが排気ポート71を経て排気マニホールド72へ排出される様子を模式的に示した図である。
この図4に示すように、気筒内に吸入されるガスには、吸気管64からスロットルバルブ62を介して吸入された新気と、上記EGRバルブ81が開弁された場合にEGR通路8から吸入されるEGRガスとが含まれる。吸入される新気量(質量)と吸入されるEGRガス量(質量)との和に対するEGRガス量の割合(即ち、EGR率)は、運転状態に応じて上記ECU100により適宜制御されるEGRバルブ81の開度に応じて変化する。
このようにして気筒内に吸入された新気及びEGRガスは、吸気行程において開弁している吸気バルブ16を介し、ピストン13(図4では図示省略)の下降に伴って気筒内に吸入されて筒内ガスとなる。この筒内ガスは、エンジン1の運転状態に応じて決定されるバルブ閉弁時にて吸気バルブ16が閉弁することにより筒内に密閉され(筒内ガスの閉じ込め状態)、その後の圧縮行程においてピストン13の上昇に伴って圧縮される。そして、ピストン13が上死点近傍に達すると、上述したECU100による噴射量制御によって所定時間だけインジェクタ23が開弁されることで燃料を燃焼室3内に直接噴射する。具体的には、ピストン13が上死点に達する前に上記パイロット噴射が実行され、燃料噴射が一旦停止された後、所定のインターバルを経て、ピストン13が上死点近傍に達した時点で上記メイン噴射が実行されることになる。
図5は、この燃料噴射時における燃焼室3及びその周辺部を示す断面図であり、図6は、この燃料噴射時における燃焼室3の平面図(ピストン13の上面を示す図)である。図6に示すように、本実施形態に係るエンジン1のインジェクタ23には、周方向に亘って等間隔に8個の噴孔が設けられており、これら噴孔からそれぞれ均等に燃料が噴射されるようになっている。尚、この噴孔数としては8個に限るものではない。
そして、この各噴孔から噴射された燃料の噴霧A,A,…は略円錐状に拡散していく。また、各噴孔からの燃料噴射(上記パイロット噴射やメイン噴射)は、ピストン13が圧縮上死点近傍に達した時点で行われるため、図5に示すように、各燃料の噴霧A,A,…は上記キャビティ13b内で拡散していくことになる。
このように、インジェクタ23に形成されている各噴孔から噴射された燃料の噴霧A,A,…は、時間の経過に伴って筒内ガスと混ざり合いながら混合気となって筒内においてそれぞれ円錐状に拡散していき、自己着火によって燃焼する。つまり、この各燃料の噴霧A,A,…は、それぞれ筒内ガスと共に略円錐状の燃焼場を形成し、その燃焼場(本実施形態では8箇所の燃焼場)でそれぞれ燃焼が開始されることになる。
そして、この燃焼により発生したエネルギは、ピストン13を下死点に向かって押し下げるための運動エネルギ(エンジン出力となるエネルギ)、燃焼室3内を温度上昇させる熱エネルギ、シリンダブロック11やシリンダヘッド15を経て外部(例えば冷却水)に放熱される熱エネルギとなる。
そして、燃焼後の筒内ガスは、排気行程において開弁する排気バルブ17を介し、ピストン13の上昇に伴って排気ポート71及び排気マニホールド72へ排出されて排ガスとなる。
−スワール流の利用範囲拡大動作−
本発明の特徴は、上記スワールコントロールバルブ66の開度調整によって速度制御されるスワール流の利用範囲を拡大することにある。具体的には、エンジン1の運転状態に応じて、所定タイミング(クランク角度位置で特定される所定タイミング:以下、「噴射時期代表クランク角度」と呼ぶ)における噴霧内の特定位置(噴霧長さ方向の特定位置:筒内半径方向の位置であって、以下、「噴霧代表位置」と呼ぶ)でのスワール速度(以下、「代表スワール速度」と呼ぶ)を認識した上で、エンジン1の制御パラメータ(スワール速度や燃料噴射インターバル)の制御を行うようにしている。
以下に述べる第1及び第2の実施形態は、このスワール流の利用範囲拡大動作の具体例を示すものであって、第1実施形態は、上記特定した「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を認識した上で、スワール速度の制御(具体的にはスワールコントロールバルブ66の制御)を行うものである。また、第2実施形態は、上記特定した「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を認識した上で、燃料噴射インターバル(具体的には、上記パイロット噴射の終了時点からメイン噴射の開始時点までの燃料噴射停止期間)の制御(インジェクタ23の制御)を行うものである。以下、各実施形態について具体的に説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、上述した如く、特定した「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を認識した上で、スワール速度の制御を行うものである。
このスワール速度制御の概略としては、先ず、エンジン1の運転状態(エンジン負荷及びエンジン回転数)に応じて、上記「代表スワール速度」を求めるべきタイミングである上記「噴射時期代表クランク角度」を特定すると共に、上記「代表スワール速度」を求めるべき噴霧内(メイン噴射で噴射された燃料の噴霧内)の特定位置である上記「噴霧代表位置」を特定する。そして、これら特定された「噴射時期代表クランク角度」における「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」、及び、この「代表スワール速度」を温度補正することにより得られる実際のスワール速度(以下、「実代表スワール速度」と呼ぶ)を算出する。
そして、現在のエンジン1の運転状態から目標とされる「目標代表スワール速度(過渡運転時等にあってはそれに応じた補正量を含むスワール速度)」を算出し、上記「実代表スワール速度」が上記「目標代表スワール速度」に一致するように上記スワールコントロールバルブ66の開度を調整するようにしている。
以下、本実施形態におけるスワール速度制御について具体的に説明する。図7は、このスワール速度制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1の始動後、所定時間(例えば数msec)毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1で、上記「噴射時期代表クランク角度」を特定する。この「噴射時期代表クランク角度」は、上述した如く、「代表スワール速度」を求めるべきタイミング(クランク角度位置)であり、エンジン回転数及び燃料噴射量(エンジン負荷に相当)に応じて特定される(代表タイミング特定手段による、スワール速度の算出を行うべきタイミングの特定動作)。
図8は、この「噴射時期代表クランク角度」を特定するためのマップ(噴射時期代表クランク角度特定マップ)であって、予め、実験やシミュレーションにより作成されて上記ROM102に記憶されている。この噴射時期代表クランク角度特定マップに、現在のエンジン回転数及び現在の燃料噴射量(燃焼行程を迎えている気筒に対するメイン噴射での燃料噴射量)を当て嵌めることにより「噴射時期代表クランク角度」が特定される。この「噴射時期代表クランク角度」は、エンジン回転数が低いほど、また、燃料噴射量が少ないほど燃料噴射期間の初期側(燃料噴射期間のうちの進角側)を「噴射時期代表クランク角度」として特定し、エンジン回転数が高いほど、また、燃料噴射量が多いほど燃料噴射期間の後期側(燃料噴射期間のうちの遅角側)を「噴射時期代表クランク角度」として特定するようになっている。
具体的に、この図8における「ainjm」は燃料噴射開始時点でのクランク角度位置を示し、「τ」は燃料噴射期間(クランク角度に換算した値)を示している。このようにして、エンジン回転数が低く且つ燃料噴射量が少ない場合には、燃料噴射開始初期時に対応するクランク角度位置を「噴射時期代表クランク角度」として特定することになり、エンジン回転数が高く且つ燃料噴射量が多い場合には、燃料噴射期間の後期に対応するクランク角度位置を「噴射時期代表クランク角度」として特定することになる。例えば図8における点Bでは燃料噴射開始時点(ainjm)を「噴射時期代表クランク角度」として求め、点Cでは燃料噴射終了時点(ainjm+τ)を「噴射時期代表クランク角度」として求める。
これは、エンジン回転数が低く且つ燃料噴射量が少ない場合(低負荷運転時)には、燃焼場での当量比(または酸素過剰率)がリーンとなって混合気の着火性が悪化したり燃焼期間の初期にHCの発生量が増大したりする可能性があるため、この着火性やHC発生量を大きく左右する燃料噴射開始初期時を「噴射時期代表クランク角度」として特定し、この燃料噴射開始初期時でのスワール速度の適正化(後述するスワール速度制御によるスワール速度の適正化)を図って混合気の着火性を良好にし且つHCの発生量を規制の範囲内に抑えるようにするためである。一方、エンジン回転数が高く且つ燃料噴射量が多い場合(高負荷運転時)には、燃焼場での当量比がリッチとなって燃焼期間の後期にスモークの発生量が増大する可能性があるため、このスモーク発生量を大きく左右する燃料噴射期間の後期を「噴射時期代表クランク角度」として特定し、この燃料噴射期間の後期でのスワール速度の適正化(後述するスワール速度制御によるスワール速度の適正化)を図ってスモーク発生量を規制の範囲内に抑えるようにするためである。
このようにして「噴射時期代表クランク角度」を求めた後、ステップST2に移り、「噴霧代表位置」を特定する。この「噴霧代表位置」は、上述した如く、「代表スワール速度」を求めるべき噴霧長さ方向の所定位置(筒内半径方向の位置)であり、エンジン回転数及び燃料噴射量(エンジン負荷に相当)に応じて特定される(代表位置特定手段による、スワール速度の算出を行うべき筒内位置の特定動作)。
図9は、この「噴霧代表位置」を特定するためのマップ(噴霧代表位置特定マップ)であって、予め、実験やシミュレーションにより作成されて上記ROM102に記憶されている。この噴霧代表位置特定マップに、現在のエンジン回転数及び現在の燃料噴射量(燃焼行程を迎えている気筒に対するメイン噴射での燃料噴射量)を当て嵌めることにより「噴霧代表位置」が特定される。この「噴霧代表位置」は、エンジン回転数が低いほど、また、燃料噴射量が少ないほど噴霧長さ方向の先端側の位置(噴霧長手方向の外周側の位置)を「噴霧代表位置」として特定し、エンジン回転数が高いほど、また、燃料噴射量が多いほど噴霧長さ方向の先端側から離れた位置(噴霧長手方向の中央側の位置)を「噴霧代表位置」として特定するようになっている。
具体的に、例えば図9における点Dでは噴霧先端位置(外周側端の位置)を「噴霧代表位置」として求め、点Eでは噴霧長さ方向の中央位置を「噴霧代表位置」として求める。
これは、エンジン回転数が低く且つ燃料噴射量が少ない場合(低負荷運転時)には、燃料の壁面付着(シリンダボア12の内壁面への燃料付着)に起因するHCの発生量が増大する可能性があるため、このHC発生量を大きく左右する噴霧先端位置を「噴霧代表位置」として特定し、この噴霧先端位置でのスワール速度の適正化(後述するスワール速度制御によるスワール速度の適正化)を図ってHCの発生量を規制の範囲内に抑えるようにするためである。一方、エンジン回転数が高く且つ燃料噴射量が多い場合(高負荷運転時)には、当量比が比較的リッチになりやすくスモーク発生量の増大の原因となる噴霧長さ方向の中央位置を「噴霧代表位置」として特定し、この噴霧長さ方向の中央位置でのスワール速度の適正化(後述するスワール速度制御によるスワール速度の適正化)を図ってスモーク発生量を規制の範囲内に抑えるようにするためである。
尚、この噴霧長さ方向の中央位置よりも更に噴霧長さ方向の内側の領域(インジェクタ23に近い領域)では、噴霧の粒径が比較的大きくなっており、適正な混合気が生成されていない可能性があり、また、この領域での噴霧はスワール速度と同速度で気筒内を周方向に流れていることが保証できないため、本実施形態では、「噴霧代表位置」としての特定範囲を噴霧先端位置から噴霧長さ方向の中央位置までの範囲に定めている。
上記「噴霧代表位置」を特定するにあたっての噴霧長さLspの算出手法として具体的には、例えば以下の式(1)及び式(2)(広安の式)が使用可能である。尚、式(1)は燃料噴射開始からの経過時間tが液滴分裂時間tbに達するまでの噴霧長さLspの算出式であって、式(2)は燃料噴射開始からの経過時間tが液滴分裂時間tbを経過した後における噴霧長さLspの算出式である。
Figure 0005077491
これら式(1)及び式(2)によって噴霧長さLspを算出し、インジェクタ23の噴孔からの距離によって上記「噴霧代表位置」を特定することになる。つまり、噴霧先端位置を「噴霧代表位置」として特定する場合には、その「噴霧代表位置」はインジェクタ23の噴孔からの距離が「Lsp」となる位置であり、噴霧長さ方向の中央位置を「噴霧代表位置」として特定する場合には、その「噴霧代表位置」はインジェクタ23の噴孔からの距離が「Lsp/2」となる位置である。
次に、ステップST3に移り、上記特定した「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を算出する。この「代表スワール速度」は、上述した如く、上記「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」におけるスワール速度である。
この「代表スワール速度」の算出動作としては、先ず、上記「噴射時期代表クランク角度」における瞬間のスワール比(瞬間のスワール速度をスワール比として現した値)をマップより求め、この求められたスワール比から上記「噴霧代表位置」を考慮して、その「噴霧代表位置」でのスワール速度つまり「代表スワール速度」を算出することになる。
図10は、上記「噴射時期代表クランク角度」に応じた、瞬間(各クランク角度毎)のスワール比を求めるスワール比マップである。この瞬間のスワール比とは、上記「噴射時期代表クランク角度」におけるスワールの角速度に相関のある値として求められ、何れの「噴霧代表位置」においても一律なスワール比として各クランク角度毎に求められる。言い換えると、筒内でのスワール速度は、ピストン13の位置に応じて変化していく。具体的には、ピストン13が圧縮上死点に近い位置にあるほどスワール速度は高くなる。また、スワール比が同一であっても、筒内の中央部ではスワール速度は低く、筒内の外周側ほどスワール速度は高くなっている。このため、各クランク角度毎のスワール速度は、「噴霧代表位置」が特定されなければマップとして現すことができない。このため、先ず、スワール比マップによって各クランク角度毎のスワール比を求めるようにし、そのスワール比となっている状態での「噴霧代表位置」におけるスワール速度を算出することにより、上記「代表スワール速度」を算出するようにしている。
尚、上記スワール比マップは、エンジン1のシリンダボア12の内径、ピストン13のストローク、コネクティングロッド18の長さ、燃焼室3の形状等のエンジン諸元によって決定されるものであり、予め、実験やシミュレーションによりエンジンの種類に応じて作成されている。また、角運動量保存の法則からクランク角度毎のスワール比は計算可能であるため、これによっても上記スワール比マップは作成可能である。
上記ステップST1で特定した「噴射時期代表クランク角度」を上記スワール比マップに当て嵌めることで、その「噴射時期代表クランク角度」でのスワール比を取得する。そして、下記の式(3)に、この取得したスワール比を代入することで、「代表スワール速度」を算出する。
Figure 0005077491
これにより、上記「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」が算出される。例えば、同一スワール比であっても、「噴霧代表位置」が噴霧の先端側であるほど、高い「代表スワール速度」として算出されることになる。
以上のようにして算出された「代表スワール速度」は、未だ「実代表スワール速度」から乖離している可能性がある。つまり、筒内温度が低い場合、噴霧の蒸発が不十分であることから噴霧の液滴の粒径が大きくなっており、その結果、スワール流に対する噴霧の抵抗(スワールの流れに対する抵抗)が大きい分だけ実際のスワール速度(「実代表スワール速度」)は上記「代表スワール速度」に対して低くなっている。また、筒内温度が高い場合(例えば1000K以上である場合)、スワール流に乱れが発生する可能性があり、この乱れによって実際のスワール速度(「実代表スワール速度」)は上記「代表スワール速度」に対して低くなる可能性がある。
このため、これらのことを考慮し、上記算出された「代表スワール速度」に対して温度補正(筒内状態量による補正)を行って「実代表スワール速度」を算出する(ステップST4)。具体的には、下記の式(4)によって「実代表スワール速度(補正後の代表スワール速度)」を算出する(スワール速度算出手段によるスワール速度の算出動作)。
Figure 0005077491
図11は、筒内温度補正マップであって、この筒内温度補正マップから筒内温度補正係数を求める。この筒内温度補正マップは、予め、実験やシミュレーションにより作成されて上記ROM102に記憶されている。図11におけるA1は筒内基準温度でのマップ値であり、A2は実際の筒内温度におけるマップ値である。この場合、筒内温度補正係数は「A2/A1」となる。尚、上記基準温度A1は適宜設定される。また、筒内温度A2は、上記吸気温センサ49のセンシング値から推定する。また、エンジン1の運転状態から推定するようにしてもよい。
次に、ステップST5に移り、上記「実代表スワール速度」と「目標代表スワール速度」との比較を行う。
この「目標代表スワール速度」は、エンジンの種類に応じて作成された基準目標スワール比マップ(図12)により求められた「基準目標スワール比」から「基準代表スワール速度(本発明でいう基準目標スワール速度に対応)」を算出し、この「基準代表スワール速度」に対して温度補正を行うことにより得られる。
図12は、上記基準目標スワール比マップであって、この基準目標スワール比マップに現在のエンジン回転数及び現在の燃料噴射量(燃焼行程を迎えている気筒に対するメイン噴射での燃料噴射量)を当て嵌めることにより「基準目標スワール比」が求められる。尚、この基準目標スワール比マップは、予め、実験やシミュレーションにより、排気エミッション、エンジン性能、燃焼音等の各種制約や要求が規定の範囲内となるような運転状態を得るためのスワール比を取得するためのマップとして作成され、予め上記ROM102に記憶されている。また、図12に示す基準目標スワール比マップ上の点αは「スワール比3.0」、βは「スワール比2.5」、γは「スワール比2.0」となっている。これら値はこれに限定されるものではない。
そして、この基準目標スワール比マップから取得された「基準目標スワール比」から「基準代表スワール速度」を算出する。具体的には、上記「基準目標スワール比」となっている状態での上記「噴霧代表位置」におけるスワール速度を上記式(3)を利用して算出することにより、上記「基準代表スワール速度」が求められることになる。
このようにして求められた「基準代表スワール速度」に対し、上記式(4)と同様の温度補正を行うことによって「目標代表スワール速度」を算出する。
例えば、アクセル開度の急速な踏み込み解除動作によって、上記基準目標スワール比マップ上で図12における運転状態X(基準目標スワール比2.2)から運転状態Y(基準目標スワール比2.8)に移行した場合、この基準目標スワール比マップから求められる「基準目標スワール比」は運転状態Yでの値となるが、このような過渡時にあっては筒内温度は上記運転状態Xで運転していた状態での温度付近にあるため、この温度補正によって「目標代表スワール速度」を算出する。例えば、図12における点Z(基準目標スワール比2.6)に相当する「目標代表スワール速度」が算出されることになる。つまり、このようなエンジン1の運転過渡時に、基準目標スワール比マップにより得られた「基準目標スワール比」に応じて目標スワール速度を設定してしまうと(温度補正することなく目標スワール速度を設定してしまうと)、筒内温度が高くなっている分の誤差を生じることになり、適切な目標スワール速度が得られなくなる可能性がある。このため、上記温度補正を行って過渡運転を考慮した目標スワール速度(目標代表スワール速度)を算出するようにしている。
上記ステップST5において「実代表スワール速度」が「目標代表スワール速度」に一致しておらずNO判定された場合には、ステップST6に移り、その偏差(「実代表スワール速度」と「目標代表スワール速度」との偏差)に応じてスワール速度制御操作量を決定し、ステップST7において、そのスワール速度制御操作量でスワールコントロールバルブ66の開度を調整してスワール速度を制御する。つまり、上記偏差が大きいほどスワール流速の変化量を大きく設定することになる(制御パラメータ調整手段による内燃機関制御パラメータの調整動作)。
具体的には、「実代表スワール速度」が「目標代表スワール速度」に対して低い場合には、その偏差が大きいほどスワール流速の増加量を大きくするようにスワールコントロールバルブ66の開度を小さくする。逆に、「実代表スワール速度」が「目標代表スワール速度」に対して高い場合には、その偏差が大きいほどスワール流速の減少量を大きくするようにスワールコントロールバルブ66の開度を大きくする。
図13は、スワールコントロールバルブ操作量マップである。このスワールコントロールバルブ操作量マップは、必要なスワール量(スワール速度)と、そのスワール量を得るためのスワールコントロールバルブ66の操作量との関係を規定するものであり、「実代表スワール速度」を「目標代表スワール速度」に一致させるために必要なスワール量を求め、それをスワールコントロールバルブ操作量マップに当て嵌めることでスワールコントロールバルブ66の操作量を求めることができる。
以上のようなスワール速度制御が、エンジン1の運転中、継続して行われる。
以上説明したように、本実施形態では、上記「噴射時期代表クランク角度」及び上記「噴霧代表位置」を特定して上記「実代表スワール速度」を求め、この「実代表スワール速度」を「目標代表スワール速度」に一致させるようにしている。そして、上記「実代表スワール速度」及び「目標代表スワール速度」を、環境変化や運転過渡等に起因する燃焼状態量の変化に対応した値として求めるようにしている。その結果、エンジン1の運転状態の急速な変化や環境の変化が生じた場合であっても排気エミッションの悪化を防止することができ、良好な排気エミッションを維持することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、上述した如く、特定した「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を認識した上で、燃料噴射インターバル(パイロット噴射の終了時点からメイン噴射の開始時点までの燃料噴射停止期間)の制御を行うものである。
この燃料噴射インターバル制御の概略としては、先ず、エンジン1の運転状態(エンジン負荷及びエンジン回転数)に応じて、上記「代表スワール速度」を求めるべきタイミングである上記「噴射時期代表クランク角度」を特定すると共に、上記「代表スワール速度」を求めるべき噴霧内の特定位置である上記「噴霧代表位置」を特定する。そして、これら特定された「噴射時期代表クランク角度」における「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を算出する。
そして、メイン噴射が実行された際における、そのメイン噴射での噴霧と、先行して行われているパイロット噴射での噴霧との重なり度合い(重なり角度)を算出して、その重なり部分を含むメイン噴射での噴霧内の当量比(以下、「噴霧内当量比」と呼ぶ)を算出する。そして、この「噴霧内当量比」と、予め設定された「目標当量比」とを比較し、「噴霧内当量比」が「目標当量比」に一致するように上記噴射インターバルを制御する。つまり、噴射インターバルを制御することで、上記パイロット噴射での噴霧とメイン噴射での噴霧との重なり角度を変更して「噴霧内当量比」を調整するようにしている。
以下、本実施形態における噴射インターバル制御について具体的に説明する。図14は、この噴射インターバル制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1の始動後、所定時間(例えば数msec)毎に繰り返して実行される。
この図14に示すフローチャートのステップST1〜ステップST3の動作は上述した第1実施形態におけるフローチャート(図7)におけるステップST1〜ステップST3の動作と同様にして行われるため、ここでの説明は省略する。
尚、本実施形態においても、ステップST1での「噴射時期代表クランク角度」の特定、ステップST2での「噴霧代表位置」の特定、ステップST3での「代表スワール速度」の算出を行っていることにより、後述するパイロット噴射とメイン噴射との重なり角度の算出式(式(6))において採用するスワール速度をエンジン負荷等に応じた適切なものとして得ることができる。つまり、エンジン回転数が低く且つ燃料噴射量が少ない場合(低負荷運転時)における混合気の着火性の確保及びHCの発生量の削減や、エンジン回転数が高く且つ燃料噴射量が多い場合(高負荷運転時)におけるスモーク発生量の削減を図ることが可能となる。
ステップST3で「代表スワール速度」を算出した後、ステップST10では、上記メイン噴射での噴霧とパイロット噴射での噴霧との重なり角度を算出する。
図15は、上記パイロット噴射及びメイン噴射が行われる際の気筒内における一部の噴霧(2つの噴孔から噴射された噴霧)の状態を模式的に示す平面図である。図15(a)はパイロット噴射終了時点での噴霧の状態を、図15(b)はメイン噴射終了時点での各噴霧の状態を模式的に示している。また、この図15(b)では、メイン噴射で噴射された燃料の噴霧を実線で示し、このメイン噴射の直前に実行されたパイロット噴射で噴射された燃料の噴霧(スワール流により移動したパイロット噴霧)を破線で示している。
この図15(b)に示すように、パイロット噴射で噴射された燃料の噴霧はスワール流によって周方向に流され、その後に噴射されるメイン噴射での噴霧(スワール流の下流側に位置する噴孔から噴射されたメイン噴射での噴霧)に一部が重なることになる。そして、これら各噴霧(パイロット噴射での噴霧とメイン噴射での噴霧)の重なり角度(図15(b)におけるθoverlap)は、パイロット噴射の終了時点からメイン噴射の開始時点までの燃料噴射停止期間である上記噴射インターバルに応じて変化する。つまり、図15(b)に示す重なり角度θoverlapとなる噴射インターバルから、噴射インターバルを長くしていけば重なり角度θoverlapは次第に大きくなり、逆に、噴射インターバルを短くしていけば重なり角度θoverlapは次第に小さくなる。
以下、この噴霧の重なり角度θoverlapの算出手法について説明する。パイロット噴射が実行されてからメイン噴射が実行されるまでの期間中における噴霧の移動角度は以下の式(5)により算出され、また、パイロット噴射とメイン噴射との重なり角度θoverlapは以下の式(6)により算出される。この式(6)におけるθは噴霧角である。
Figure 0005077491
このようにして噴霧の重なり角度θoverlapを算出した後、ステップST11に移り、「噴霧内当量比φtotal」を算出する。
この「噴霧内当量比φtotal」は、以下の式(7)によって算出される。この式(7)におけるφspはメイン噴射で噴射された燃料による当量比であり、Vspはメイン噴射で噴射された燃料により生成された混合気の体積である。また、φoverlapは噴霧の重なり領域の当量比であり、体積Voverlapは噴霧の重なり領域の体積である。つまり、この式(7)における分母はメイン噴射での噴霧体積(一部にパイロット噴射での噴霧との重なり領域を含んでいる)であり、分子はその噴霧体積中に存在する燃料量(一部にパイロット噴射で噴射された燃料を含んでいる)となっている。尚、式(8)は上記噴霧の重なり領域の当量比φoverlapを算出する式であり、式(9)は上記噴霧の重なり領域の体積Voverlapを算出する式である。
Figure 0005077491
このようにして「噴霧内当量比φtotal」を算出した後、ステップST12に移り、この「噴霧内当量比」と予め設定された「目標当量比」との比較を行う。この「目標当量比」は、燃焼室3内での燃焼時にスモーク発生量及びHC発生量が共に規制の範囲内となるように設定される。
図16は、この「目標当量比」を設定するためのマップ(目標当量比マップ)であって、予め、実験やシミュレーションにより作成されて上記ROM102に記憶されている。この目標当量比マップに、現在のエンジン回転数及び現在の燃料噴射量(燃焼行程を迎えている気筒に対するメイン噴射での燃料噴射量)を当て嵌めることにより「目標当量比」が取得される。この「目標当量比」は、エンジン回転数が低いほど、また、燃料噴射量が少ないほど低く設定され、エンジン回転数が高いほど、また、燃料噴射量が多いほど高く設定されるようになっている。
上記ステップST12において「噴霧内当量比」が「目標当量比」に一致しておらずNO判定された場合には、ステップST13に移り、その偏差(噴霧内当量比と目標当量比との偏差)に応じて噴射インターバルを補正し、その補正後の噴射インターバルでパイロット噴射及びメイン噴射を実行する。つまり、図15(b)に示す状態において、上記偏差が大きいほど噴射インターバルの補正量を大きく設定することになる。具体的には、「噴霧内当量比」が「目標当量比」に対して低い場合には、その偏差が大きいほど噴射インターバルを長くして噴霧重なり角度を大きくする。これによりHC発生量を抑制する。逆に、「噴霧内当量比」が「目標当量比」に対して高い場合には、その偏差が大きいほど噴射インターバルを短くして噴霧重なり角度を小さくする。これによりスモーク発生量を抑制する。
図17は、エンジン1の高負荷運転時における噴射インターバルとスモーク発生量との関係を示す図である。例えば、噴射インターバルが図中のIaにあって、「噴霧内当量比」が「目標当量比」に対して高いためにスモーク発生量が比較的多い場合には、例えば噴射インターバルを図中のIbに変更する(噴射インターバルを短くする)。これにより、噴霧重なり角度を小さくして「噴霧内当量比」を「目標当量比」に一致させ、スモーク発生量を低減させる。また、噴射インターバルを図中のIcに変更した場合(噴射インターバルを長くした場合)にもスモーク発生量を低減させることが可能である。この場合、スワール流により移動したパイロット噴霧が、スワール流の下流側に位置する噴孔の前を通過した後にメイン噴射が実行されることになり、このパイロット噴射での噴霧のスワール流れ方向の上流側領域がメイン噴射での噴霧と重なり合う状態となる。
また、図18は、エンジン1の低負荷運転時における噴射インターバルとHC発生量との関係を示す図である。例えば、噴射インターバルが図中のIdにあって、「噴霧内当量比」が「目標当量比」に対して低いためにHC発生量が比較的多い場合には、例えば噴射インターバルを図中のIeに変更する(噴射インターバルを長くする)ことにより、噴霧重なり角度を大きくして「噴霧内当量比」を「目標当量比」に一致させ、HC発生量を低減させる。また、噴射インターバルを図中のIfに変更した場合(噴射インターバルを更に長くした場合)にもHC発生量を低減させることが可能である。この場合、スワール流により移動したパイロット噴霧が、スワール流の下流側に位置する噴孔(下流側で隣り合う噴孔)の前を通過し、更にスワール流の下流側に位置する噴孔から噴射されたメイン噴射での噴霧と重なり合う状態となる。
尚、これら図17及び図18においてスモーク発生量やHC発生量が周期的に変化する理由は、上記噴射インターバルを変化させることで、メイン噴射での噴霧に対して、スワール流れ方向の上流側に位置する噴孔のうち上流側の1つ目の噴孔から噴射されたパイロット噴射での噴霧が重なり合う状態となったり、上流側の2つ目の噴孔から噴射されたパイロット噴射での噴霧が重なり合う状態となったりするためである。
以上のような噴射インターバル制御により、上記「噴霧内当量比」を「目標当量比」に一致させることができ、環境変化や運転過渡等に起因して燃焼状態量が変化した場合であっても適切な「噴霧内当量比」を得ることが可能となり、エンジン1の運転状態の急速な変化が生じた場合であっても排気エミッションの悪化を防止することができ、良好な排気エミッションを維持することが可能となる。
また、本実施形態では、適正な当量比を得るための制御の応答性を高くすることができ、且つ高い精度で当量比を調整することができる。特に、従来例では、PMセンサ等の出力に基づいて当量比をフィードバック制御していた。この場合、低温時には失火を回避するためにパイロット噴射量やメイン噴射量を増量することになるが、噴霧同士の重なり角度が適切に得られていない状態で増量しているため、燃料消費率の悪化や排気エミッションの悪化が懸念される状況となっていた。本実施形態では噴霧同士の重なり角度が適切に得られるため、必要最小限の増量で済み、燃料消費率の改善及び排気エミッションの改善を図ることができる。
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について説明する。本例も、特定した「噴射時期代表クランク角度」及び「噴霧代表位置」での「代表スワール速度」を認識した上で、燃料噴射インターバル(パイロット噴射の終了時点からメイン噴射の開始時点までの燃料噴射停止期間)の制御を行うものである。
図19は、本例における噴射インターバル制御の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、エンジン1の始動後、所定時間(例えば数msec)毎に繰り返して実行される。
この図19に示すフローチャートのステップST1〜ステップST3及びステップST10〜ステップST13の動作は上述した第2実施形態におけるフローチャート(図14)におけるステップST1〜ステップST3及びステップST10〜ステップST13の動作と同様にして行われるため、ここでの説明は省略する。
上記ステップST11において「噴霧内当量比」を算出した後、ステップST20に移り、上記ステップST10で算出された噴霧重なり角度と予め設定された噴霧重なり角度上限との比較を行う。この噴霧重なり角度上限は、燃焼室3内での燃焼時にスモーク発生量を規制の範囲内とするための許容限界値である。また、エンジン1の運転状態に応じて噴霧重なり角度上限を変更する場合には、エンジン回転数及び燃料噴射量に応じて噴霧重なり角度上限を取得する噴霧重なり角度上限マップ(図示省略)を予め上記ROM102に記憶しておき、この噴霧重なり角度上限マップから噴霧重なり角度上限を取得するようにする。
上記噴霧重なり角度が噴霧重なり角度上限未満であり、ステップST20でYES判定された場合には、ステップST12に移り、上述した「噴霧内当量比」と「目標当量比」との比較動作に移行する一方、噴霧重なり角度が噴霧重なり角度上限以上であり、ステップST20でNO判定された場合にはステップST21に移り、噴射インターバルを所定量だけ増大してステップST10に戻る。つまり、噴射インターバルを大きくすることで噴霧重なり角度を小さくするようにしてステップST10に戻る。尚、噴射インターバルを小さくすることで噴霧重なり角度を小さくするようにしてもよい。
このような動作を繰り返すことにより、噴霧重なり角度を噴霧重なり角度上限未満にしてスモーク発生量を規制範囲内に抑えながら、上記「噴霧内当量比」を「目標当量比」に一致させて、環境変化や運転過渡等に起因して燃焼状態量が変化した場合であっても適切な「噴霧内当量比」を得ることを可能にしている。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態では、自動車に搭載される直列4気筒ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明は、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型エンジン、V型エンジン、水平対向型エンジン等の別)についても特に限定されるものではない。
また、第1実施形態に係るスワール速度制御において、上述したスワールコントロールバルブ66の開度調整に代えて、または、それに加えてVVT(Variable Valve Timing)機構(スワール速度可変機構)による吸気バルブ16の開弁時期の調整を行うようにしてもよい。つまり、「実代表スワール速度」が「目標代表スワール速度」に比べて低い場合には、その偏差が大きいほど吸気バルブ16の開弁時期を遅角させて吸気流速を高く設定するものである。
また、上記第2実施形態及びその変形例においても、上記第1実施形態の場合と同様に、「代表スワール速度」を温度補正することで「実代表スワール速度」を算出し、この「実代表スワール速度」に基づいて(上記式(6)により)からパイロット噴射とメイン噴射との重なり角度θoverlapを算出するようにしてもよい。
また、上記「代表スワール速度」を補正して「実代表スワール速度」を算出する際の補正パラメータとしては温度に限らず、他の補正パラメータとしてもよい。例えば、筒内の圧力、ガス(空気)量、酸素濃度等に応じた補正により「実代表スワール速度」を算出するものである。これらの筒内状態量は、上述した各種センサのセンシング値から推定する。また、エンジン1の運転状態から推定するようにしてもよい。
更に、上記第2実施形態及びその変形例では、パイロット噴射とメイン噴射との噴霧重なり角度を噴射インターバルの制御によって調整するものとした。本発明は、これに限らず、複数回に亘ってメイン噴射(分割メイン噴射)を実行する場合に、これらメイン噴射同士の噴霧重なり角度を噴射インターバルの制御によって調整するものや、メイン噴射とアフタ噴射との噴霧重なり角度を噴射インターバルの制御によって調整するものに対しても適用が可能である。
また、上述した実施形態では、通電期間においてのみ全開の開弁状態となることにより燃料噴射率を変更するピエゾインジェクタ23を適用したエンジンについて説明したが、本発明は、可変噴射率インジェクタを適用したエンジンへの適用も可能である。
加えて、上記実施形態では、マニバータ77として、NSR触媒75及びDPNR触媒76を備えたものとしたが、NSR触媒75及びDPF(Diesel Paticulate Filter)を備えたものとしてもよい。
本発明は、自動車に搭載されるコモンレール式筒内直噴型多気筒ディーゼルエンジンにおいてスワール流の利用範囲の拡大を図るための制御に適用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
15a 吸気ポート
3 燃焼室
23 インジェクタ(燃料噴射弁)
66 スワールコントロールバルブ(スワール速度可変機構)

Claims (10)

  1. スワール流の発生している筒内に向けて燃料噴射弁から燃料噴射を行い、その燃料の自着火による燃焼を行う圧縮自着火式内燃機関の制御装置において、
    内燃機関運転状態に応じて、スワール速度の算出を行うべきタイミングを特定する代表タイミング特定手段と、
    内燃機関運転状態に応じて、スワール速度の算出を行うべき筒内位置を特定する代表位置特定手段と、
    上記特定された代表タイミング及び代表位置でのスワール速度を算出するスワール速度算出手段と、
    上記スワール速度算出手段によって算出されたスワール速度に基づいて内燃機関制御パラメータの調整を行う制御パラメータ調整手段とを備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    上記スワール速度を可変とするスワール速度可変機構が備えられ、
    上記制御パラメータ調整手段は、上記スワール速度算出手段によって算出されたスワール速度が、予め設定された目標スワール速度に一致するように上記スワール速度可変機構を制御するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項2記載の内燃機関の制御装置において、
    上記スワール速度可変機構は吸気系に設けられたスワールコントロールバルブまたは吸気バルブのバルブタイミング可変機構であることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    上記制御パラメータ調整手段は、インターバルを存して多段噴射される燃料噴射弁からの燃料の噴霧同士の重なり領域における当量比が、予め設定された目標当量比に一致するように上記多段噴射される燃料の噴射インターバルを制御するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  5. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    上記代表タイミング特定手段は、内燃機関の負荷が高いほど、燃料噴射弁からの燃料噴射期間における遅角側をスワール速度の算出を行うべきタイミングとして特定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  6. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    上記代表位置特定手段は、内燃機関の負荷が高いほど、噴霧長さ方向の先端から離れた噴霧長手方向中央位置側をスワール速度の算出を行うべき筒内位置として特定するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    上記スワール速度算出手段は、上記特定された代表タイミング及び代表位置での代表スワール速度に対して、筒内状態量に応じた補正動作を行うことによりスワール速度を算出するよう構成されていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  8. 請求項2記載の内燃機関の制御装置において、
    上記目標スワール速度は、内燃機関運転状態に応じて求められた基準目標スワール速度に対し、筒内状態量に応じた補正動作が行われることで求められることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  9. 請求項7または8記載の内燃機関の制御装置において、
    上記筒内状態量は、筒内温度、筒内圧力、筒内ガス量、筒内酸素濃度のうちの少なくとも一つであることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  10. 請求項4記載の内燃機関の制御装置において、
    上記目標当量比は、内燃機関運転状態に応じて求められることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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