JP2007177783A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化する。
【解決手段】エンジンシステム10において、ECU100は、燃焼制御処理を実行する。燃焼制御処理において、ECU100は、補正係数をC、インジェクタ209の噴射孔の間隔(角度)をθ、メイン噴射が行われる期間(角度)をDmainとした場合に、エンジン200の最適なスワール比SRを「SR=C×θ/Dmain」なる式に従って算出し、SCV207の開度を、係るスワール比の最適値SRに対応する開度に制御する。一方、ECU100は、メイン噴射の噴霧とパイロット噴射の噴霧との位置関係を規定する補正係数をC’とした場合に、係る最適なスワール比SRに対応するメイン噴射とパイロット噴射との時間間隔を規定するインタバルθintを、「θint=C’×θ/SR」なる式に従って算出し、インジェクタ209の噴射動作を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば可変スワール機構を有する内燃機関において燃焼状態を最適化するための内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
この種の装置として、内燃機関のスワール比を予めマップとして設定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された筒内直噴型エンジン(以下、「従来の技術」と称する)によれば、スワール比が予め設定された最適スワール比となるように制御弁の開度が制御される。また、燃焼安定性が悪化した場合、低負荷時には最適スワール比よりもスワール比を大きく、高負荷時には最適スワール比よりもスワール比を小さくすることによって、燃焼安定性の悪化が解消されるとされている。
特開平9−41980号公報
最適スワール比がマップ等の形態として予め与えられている場合、内燃機関の運転条件の過渡的な変化に対し、最適なスワール比を維持するためには、係るマップにおける広大な負荷領域でスワール比の適合を行う必要があり、スワール比を最適に維持することによって内燃機関の燃焼状態を最適に維持するに際し実践上の困難が伴い易い。即ち、従来の技術には、内燃機関における燃焼状態の最適化が困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、内燃機関の燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化し得る内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、気筒における吸気流路が少なくとも二つに分割され、該分割された吸気流路の少なくとも一方に燃焼室内で形成される吸気の旋回流の強度を開度に応じて制御することが可能な制御弁を備えると共に、周状に所定間隔で配置された複数の噴射孔から燃料を副噴射及び主噴射に分割して前記燃焼室内に供給する供給手段を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、前記所定間隔を規定する角度値をθ、相互に異なる複数の前記内燃機関相互間における旋回流の特性の差異を補正する第1補正係数をC、前記主噴射が行われる期間を規定する角度値をDmainとした場合に下記(1)式に従って前記旋回流の強度を規定するスワール比の最適値SRを決定する第1決定手段と、予め設定される前記開度と前記スワール比との対応関係に基づいて前記スワール比が前記最適値SRとなるように前記開度を制御する開度制御手段と、第2補正係数をC’とした場合に下記(2)式に従って前記最適値SRに対応する前記主噴射と前記副噴射との時間間隔を規定する角度値θintを決定する第2決定手段と、前記時間間隔が前記θintに対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する供給制御手段とを具備することを特徴とする。
SR=C×θ/Dmain…(1)
θint=C’×θ/SR…(2)
本発明に係る内燃機関とは、ガソリン、軽油又はLPG等各種燃料の燃焼を動力に変換する機関を包括する概念であり、本発明では特に車両用のエンジンを指す。
本発明に係る内燃機関では、気筒における吸気流路が少なくとも二つに分割される。ここで、「吸気流路」とは、エアクリーナ及びスロットルバルブ等を介して吸入される吸気の流路であり、好適には吸気管、特に内燃機関に備わる各気筒へ分岐する吸気マニホールド等を指す。従って、「気筒における吸気流路」とは、係る吸気流路のうち各気筒に対応する部分であり、好適には吸気マニホールドにおける各気筒に対応する枝管部分を指す。
気筒における吸気流路のうち少なくとも一方には制御弁が設置される。係る制御弁は、燃焼室内において発生する吸気の旋回流(以降、適宜「スワール」と称する)の強度を開度に応じて制御することが可能な弁であり、例えば、バタフライバルブ等を指す。尚、燃焼室内に吸気の旋回流を形成することが可能であって、且つ制御弁の開度に応じて係る旋回流の強度を制御可能である限りにおいて、気筒における吸気流路の材質、形状、空間的な配置態様及び分割される各々の相互関係等は何ら限定されない。例えば、分割された一方にのみ制御弁が設けられていてもよい。この場合、制御弁が閉じれば必然的に制御弁を有さない吸気流路における吸気の流速が上昇し、旋回流の強度は大きくなる。また、制御弁が開けば、制御弁が閉じられた場合と比較して幾らかなりとも吸気の干渉が生じるため、旋回流の強度は小さくなる。
一方、内燃機関には、供給手段が備わり、燃焼室内に燃料が噴射される。即ち、本判明に係る内燃機関は、筒内燃料直噴型の内燃機関である。供給手段は、周状に所定間隔で配置された複数の噴射孔から、例えば機関回転数及びアクセル開度等内燃機関の各種状態に応じて定まる噴射量の燃料を、副噴射及び主噴射に分割して供給する。
ここで、「副噴射」とは、主として燃焼騒音を低減するために実行されるものであり、所謂「パイロット噴射」と等価な概念である。内燃機関、とりわけディーゼルエンジン等の圧縮自着火式内燃機関では、圧縮比が高い上、燃焼室内の温度が燃料の着火に大きな影響を与える。従って、供給すべき燃料が一度に噴射された場合には、着火遅れに起因して急激な温度上昇が発生し、燃焼騒音が増大する。そこで、噴射すべき燃料のうち一部を副噴射として主噴射以前に燃焼室内に供給し、主噴射以前に燃焼温度を高めることによって燃焼室内部の急激な温度上昇が防止される。
ここで特に、燃焼室内には既に述べた旋回流が生じており、副噴射において噴射された燃料は、係る旋回流に乗って燃焼室内を旋回し、燃料と吸気との混合が促進され、効率的な燃焼が促される。一方で、この副噴射による噴霧(即ち、燃料)が、主噴射が行われる時点で噴射孔に対面している場合には、副噴射による噴霧と主噴射による噴霧とが衝突するため燃料の燃焼が効率的に行われず、スモーク等エミッションの発生量が増加し易い。従って、旋回流の強度(即ち、旋回流の速度)及び副噴射及び主噴射間の噴射間隔は、内燃機関の燃焼状態に大きな影響を与える。
ところが、このような旋回流の強度を規定するスワール比が、回転数及び負荷等の機関運転条件に応じて最適化された形で予めマップ等の形態で記憶されている場合、内燃機関の運転条件の過渡的な変化に対する真に最適なスワール比を実現しようとすれば、膨大な適合工数が必要となる。従って、内燃機関の燃焼状態は、少なくとも最適なスワール比が実現されるまでの期間において悪化し、環境性能の低下を招きかねない。
そこで、本発明に係る内燃機関の制御装置は、以下の如くにして、スワール比を速やかに制御し、内燃機関の燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化することが可能となっている。即ち、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、先ず第1決定手段により、上記(1)式に従って旋回流の強度を規定するスワール比の最適値SRが決定される。
ここで、「スワール比」とは、機関一回転当りの旋回流の旋回回数を表す数値であり、大きい程旋回流の強度が高く(即ち、旋回速度が速く)、小さい程旋回流の強度が低い(即ち、旋回速度が遅い)ことを表す数値である。尚、気筒における吸気流路が分割されることに鑑みれば、典型的には、制御弁の開度を大きくしてスワール比を低下させれば吸気量自体は増加し、制御弁の開度を小さくしてスワール比を上昇させれば吸気量は減少する。尚、開度の基準を全開状態におくか全閉状態におくかによって係る挙動は正反対となり、例えば全開状態の開度をゼロとすれば開度が大きい程スワール比は大きくなる。
ここで、(1)式における第1補正係数Cとは、相互に異なる複数の内燃機関相互間における旋回流の特性の差異を補正する係数である。燃焼室内で形成される旋回流は、燃焼室を含む気筒の形状等によってその特性が夫々異なる。第1補正係数は、このような内燃機関毎の差異を補正するために、例えば、基準となる内燃機関の状態に対する相対的な値として決定されている。
一方、所定間隔を規定する角度値θとは、供給手段における噴射孔の間隔を規定する角度値である。このような角度値を規定するためには、供給手段における噴射孔は等間隔に配列するのが望ましいが、必ずしも噴射孔は等間隔に配列しておらずともよい。例えば、係る角度値θは、便宜的に全周360度を噴射孔の総数で除算した値であってもよい。
一方、角度値Dmainとは、主噴射が行われる期間を規定する角度値である。噴射期間は無論時間概念であるが、係る時間概念と角度概念とを相関付ける要素、好適には内燃機関のクランク角によって、噴射期間を角度として表すことが可能となる。例えば、噴射期間とは噴射開始時刻と噴射終了時刻の差分であるから、噴射開始クランク角と噴射終了クランク角との差分(即ち、角度)は噴射期間を規定する角度値となる。
一方、噴射期間が角度として表される場合、機関回転数によって噴射期間が表す噴射時間は異なるから、同一の燃料を噴射するための噴射期間は、機関回転数に応じて変化することになる。従って、本発明に係る角度値Dmainとは、噴射量(負荷に対応)及び機関回転数に応じて変化する関数となる。
尚、上記(1)式における第1補正係数Cを除く部分、即ち角度値θを角度値Dmainで除算した値は、内燃機関におけるスワール比と相関することが予め実験的に確認されている。即ち、上記(1)式に従って設定されるスワール比の最適値SRとは、燃焼室における、噴霧と噴霧との空間(即ち、角度値θが表す概念)が主噴射の期間中に最も有効に利用され得るスワール比を表す概念である。
開度制御手段は、スワール比が、このようにして決定された最適値SRとなるように、制御弁の開度を制御する。この際、開度制御手段は、予め設定される開度とスワール比との対応関係に基づいて係る開度を制御する。尚、ここで述べられる対応関係とは、好適には予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて求められた制御弁の開度とスワール比の直接的な関係であるが、スワール比から最終的に制御弁の開度を取得可能である限りにおいて如何なる関係であってもよい。尚、制御弁の開度とスワール比とが直接的に対応付けられる場合等には、係る対応関係は、然るべき記憶手段、例えばROM(Read Only Memory)などにマップとして格納されていてもよい。この段階で、内燃機関のスワール比は、内燃機関の運転条件(例えば、機関回転数や噴射量(負荷)等)に対してリアルタイムに適合する値に制御される。
一方、上述した最適なスワール比の概念に鑑みれば、主噴射と副噴射との時間間隔は内燃機関の燃焼状態を左右する一因となり得る。そこで、本発明に係る内燃機関の制御装置では、第2決定手段により、上記(2)式に従って、既に決定されたスワール比の最適値SRに対応する主噴射と副噴射との時間間隔を規定する角度値θintが決定される。
ここで、(2)式の構成に鑑みれば、第2補正係数C’とは即ち、副噴射による噴霧と主噴射による噴霧との相対位置を規定する値である。より具体的には、第2補正係数C’が「1」である場合とは、即ち、ある噴射孔における副噴射による噴霧が、スワールの方向に隣接する噴射孔における主噴射による噴霧と真正面から衝突することを意味する。従って、第2補正係数C’とは好適には、1より大きい或いは1未満の数値として設定される。1より大きい場合とは、概念的には副噴射による噴霧が通り過ぎた後に主噴射が行われることを意味し、1より小さい場合とは、概念的には副噴射による噴霧が到達する以前に主噴射が行われることを意味する。このような第2補正係数C’の値は、予め実験的に、経験的に又はシミュレーション等によって内燃機関の燃焼状態が最適化され得るように決定されている。
一方、供給制御手段は、副噴射と主噴射との時間間隔が係るθintに対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する。このような制御とは、好適には前述した如くクランク角に対応付けた制御であり、この場合、副噴射が実行されてからθintに対応するクランク角変位が生じた場合に主噴射が実行されることになる。尚、θintは、角度値Dmainに対応して変化する値であるから、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、結局係る時間間隔を規定する指標値θintも内燃機関の運転条件をリアルタイムに反映した値となる。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、内燃機関の運転条件に対しスワール比の最適値SRを数値演算の結果として取得することができるため、速やかに最適なスワール制御を行うことが可能となる。更には、係るスワール比の最適値SRに応じた最適な噴射間隔で副噴射と主噴射を実行することが可能となる。即ち、マップ等に基づいた膨大な適合工程を経ることなくスワール比を速やかに最適化し、効率的且つ効果的に内燃機関の燃焼状態を最適化することが可能となるのである。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記第1決定手段は、(i)前記最適値SRが予め設定される上限値SRmaxより大きい場合には前記上限値SRmaxを前記最適値SRとして決定し、(ii)前記最適値SRが予め設定される下限値SRmin未満である場合には前記下限値SRminを前記最適値SRとして決定する。
内燃機関には、吸気系(主として吸気ポート)の形状及び空間的な配置並びに気筒(燃焼室やピストン等)の形状によって、実現され得るスワール比の範囲が決定される。従って、第1決定手段によって決定されるスワール比の最適値SRが、実現され得ない値となる場合がある。この態様によれば、内燃機関が採り得るスワール比の上限値SRmax及び下限値SRminによって規定される範囲内で最適値SRが決定されるため、スワール比を現実的に見て最適な値に制御することが可能となる。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記第2決定手段は、前記θintが予め設定される下限値未満である場合には、前記第2補正係数に自然数を加算してなる前記(2)式に従って前記θintを更新する。
供給手段には、その物理的、機械的、機構的又は電気的な或いは仕様的な制約によって、実現し得る最小の噴射間隔(即ち、下限値)が存在し得る。従って、第2決定手段によって決定されるθintは、係る下限値以上である必要がある。
この態様によれば、第2決定手段が、前述した(2)式に従って決定されたθintが予め設定される下限値未満である場合には、第2補正係数C’を自然数、例えば「1」インクリメントし、第2補正係数C’を補正する。第2補正係数C’は、副噴射と主噴射との相対的な位置関係を規定する値であるから、その値が、例えば「1」インクリメントされた場合には、係る位置関係は保存されたまま、副噴射による噴霧が衝突(混合)の対象となる噴霧を噴射する噴射孔が、一個先送りされることになる。従って、スワール比の最適値SRに対する最適な噴射間隔を保持することが可能となり好適である。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関の吸気絞り損失を表す損失指標値を特定する損失特定手段を更に具備し、前記開度制御手段は、前記スワール比が前記最適値SRに制御された場合の前記損失指標値が所定の基準値より大きい場合に、前記損失指標値が前記基準値以下となるように前記開度を制御し、前記第1決定手段は、前記損失指標値が基準値以下となるように制御された開度に対応する前記スワール比を前記対応関係に基づいて特定すると共に、該特定されたスワール比を新たに前記最適値SRとして決定する。
この態様によれば、損失特定手段によって、吸気絞り損失を表す損失指標値が特定される。ここで、吸気絞り損失とは、制御弁を閉じることによって生じるピストンの負の仕事量を指し、内燃機関の効率を規定する指標である。このような吸気絞り損失を表す損失指標値とは、直接的又は間接的に係る吸気絞り損失を表すことが可能である限りにおいて如何なる値であってもよい。このような損失指標値は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、係る吸気絞り損失を好適に規定し得る値として設定されていてもよい。尚、本発明において「特定する」とは、物理的、機械的、機構的又は電気的な検出手段によって直接検出する他に、このような検出された値を単に電気信号等として取得する態様を含み、更には、このような検出手段によって検出される何らかの値に基づいて所定のアルゴリズム又は演算式に従った演算を行った結果として取得する態様を含む概念である。
内燃機関では、本来、スワール比が高い(即ち、制御弁が閉じている)程燃料と吸気との混合が促進されるから、燃焼状態への寄与が大きいものとなるが、内燃機関が高回転且つ高負荷な運転条件にある場合には、制御弁が相対的に閉じていることに起因する前述した吸気絞り損失が無視し得ない程度に大きくなって燃料消費率が悪化し易い。更にこの場合、燃料噴射量が増加することによって吸気量が相対的に減少するため、スモークの発生等エミッションが逆に悪化しかねない。
この態様によれば、開度制御手段は、スワール比が最適値SRに制御された場合の損失指標値が基準値より大きい場合に、損失指標値が係る基準値以下となるように制御弁の開度を制御する。
ここで、開度制御手段が行うこのような開度制御の態様は如何なるものであってもよい。例えば、制御弁の開度を予め設定された量ずつ段階的に変化させ、その都度損失指標値を参照することによってフィードバック的に、損失指標値を基準値以内に抑制し且つ可能な限りスワール比が最適値に近くなるような制御弁の開度を決定してもよい。この際、予め実験的に、経験的に又はシミュレーション等に基づいて開度値の適切な変位が与えられていてもよい。また、極端な場合には、制御弁の開度を即座に全開に制御してもよい。
一方、このような開度が決定された場合、第1決定手段は、前述した対応関係に基づいて係る開度に対応するスワール比を特定し、新たにスワール比の最適値SRとして設定する。即ち、この態様によれば、スワール比の暫定的な最適値が決定される。従って、内燃機関が高回転且つ高負荷状態であっても、内燃機関の燃焼状態を速やかに最適化することが可能となる。
尚、この態様では、前記損失特定手段は、前記損失指標値として、前記内燃機関における、排気管の所定位置における圧力と吸気管の所定位置における圧力との差分を特定してもよい。
このように、排気の圧力と吸気の圧力との差分によって吸気絞り損失を規定した場合、吸気絞り損失が比較的簡便且つ正確に特定され得るので効果的である。
上述した課題を解決するため、本発明に係る他の内燃機関の制御装置は、気筒における吸気流路が少なくとも二つに分割され、該分割された吸気流路の少なくとも一方に開度に応じて燃焼室内で形成される吸気の旋回流の強度を制御することが可能な制御弁を備えると共に、周状に所定間隔で配置された複数の噴射孔から燃料を副噴射及び主噴射に分割して前記燃焼室内に供給する供給手段を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、予め前記内燃機関の運転条件に対応付けられた、前記主噴射と前記副噴射との時間間隔を規定する角度値をθint、前記所定間隔を規定する角度値をθ、相互に異なる複数の前記内燃機関相互間における旋回流の特性の差異を補正する第3補正係数をC’’とした場合に下記(3)式に従って前記旋回流の強度を規定するスワール比の最適値SRを決定する第3決定手段と、予め設定される前記開度と前記スワール比との対応関係に基づいて前記スワール比が前記最適値SRとなるように前記開度を制御する開度制御手段とを具備することを特徴とする。
SR=C’’×θ/θint…(3)
内燃機関にスワールを制御するための機構が備えられていない場合がある。そのような内燃機関においては、予め主噴射と副噴射との時間間隔は実験的に最適化される。一方で、このような内燃機関にスワールを可変に制御するための機構を新たに加えた場合、係る実験的に最適化された時間間隔を用いて速やかにスワール比の最適値を決定することができる。
本発明に係る他の内燃機関の制御装置によれば、第3決定手段が上記(3)式に従ってスワール比の最適値SRを決定する。ここで、θintは、予め主噴射と副噴射との時間間隔を規定するものとして最適化された角度値であり、θは上述した本発明に係る内燃機関の制御装置と同様噴射孔の間隔を規定する角度値であり、第3補正係数C’’とは、上述した第1補正係数C’と同様に、内燃機関に固有の補正値である。このように、本発明に係る他の内燃機関の制御装置によれば、予め適合された時間間隔に対しても速やかにスワール比の最適値SRを決定することが可能であり、内燃機関の燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化することが可能となる。
本発明に係る他の内燃機関の制御装置の一の態様では、前記第3決定手段は、(i)前記最適値SRが予め設定される上限値SRmaxより大きい場合には前記上限値SRmaxを前記最適値SRとして決定し、(ii)前記最適値SRが予め設定される下限値SRmin未満である場合には前記下限値SRminを前記最適値SRとして決定する。
内燃機関には、吸気系(主として吸気ポート)の形状及び空間的な配置並びに気筒(燃焼室やピストン等)の形状によって、実現され得るスワール比の範囲が決定される。従って、第3決定手段によって決定されるスワール比の最適値SRが、実現され得ない値となる場合がある。この態様によれば、内燃機関が採り得るスワール比の上限値SRmax及び下限値SRminによって規定される範囲内で最適値SRが決定されるため、スワール比を現実的に見て最適な値に制御することが可能となる。
主噴射と副噴射との時間間隔(即ち、係る時間間隔を規定する角度値)が可変である本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段を更に具備し、前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度に制御し、前記第2決定手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記角度値θintを、前記(2)式において前記最適値SRに前記スワール比最小開度に対応する前記スワール比SR’を代入してなる前記角度値の過渡値θint’に決定し、前記供給制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する。
この態様によれば、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される過渡状態判別手段により、例えば、燃料の要求噴射量とスモーク等の発生限界を規定する上限ガード値との比較等に基づいて、内燃機関が過渡状態にあるか否かが判別される。
ここで、「過渡状態」とは、例えば加速要求等によって、内燃機関における、例えば要求負荷等の運転条件が、定常状態と比較して急激に変化している状態を包括する概念である。従って、過渡状態にあるか否かの判別に係る基準は、内燃機関に要求される性能や内燃機関の仕様等に応じて適宜定められていてもよい。
過渡状態においては、内燃機関の動作条件が急峻に変化、典型的には要求負荷が急峻に増大するため、例えば圧縮自着火式内燃機関等、燃料の噴射量制御に機関回転数の減少に応じて噴射量を増量し燃焼を安定させる所謂ガバナ制御が使用される場合には特に、燃料の要求噴射量がスモーク等の発生限界を規定する上限ガード以上となってエミッションの悪化を招きかねない。
一方で、内燃機関がこのような過渡状態にある期間(以下、適宜「過渡期間」と称する)では、第1決定手段及び第2決定手段に係る上述したスワール比の最適値SR及びそれに応じた最適な角度値θintの決定、並びに開度制御手段及び供給制御手段による制御は、刻々と変化する内燃機関の動作条件に追従しきれない場合が多く、実践的にみて必ずしも有効に機能しない場合がある。従って、過渡期間では、例えば環境性能等を含む内燃機関の性能が低下しかねない。
この態様によれば、このような過渡期間について、開度制御手段が、制御弁の開度をスワール比最小開度に制御する。スワール比最小開度とは、旋回流の強度を規定するスワール比が最小となる開度であり、即ち、制御弁が全開に制御された場合の開度を意味するが、開度なる概念は、基準となる開度の設定如何によってその大小が変化するから、制御弁が全開に制御された場合の開度とは、必ずしも開度の最大値でなくてもよい。より具体的には、制御弁が全開に制御された状態を開度がゼロである状態と表現されてもよい。制御弁の開度がスワール比最小開度に制御されることに伴い、スワール比は、過渡期間に入る前の最適値SRから、スワール比最小開度に対応するスワール比(即ち、スワール比の最小値)SR’に速やかに移行される。
更に、このように内燃機関が過渡状態であると判別された場合には、第2決定手段が、角度値θintを、(2)式において最適値SRにスワール比SR’を代入することによって、角度値の過渡値θint’に決定する。このようにして角度値θintが過渡値θint’に決定されると、供給制御手段により、主噴射と副噴射との時間間隔がこの角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように供給手段が制御される。
従って、この態様によれば、過渡期間において速やかに制御弁が全開せしめられ、燃焼室に吸入される吸気量が増加せしめられる。従って、例えば過渡期間に急激に増加し得る燃料の要求量に対し速やかに吸気量を追従させ、例えばエミッションの悪化等内燃機関の性能低下を防ぐことが可能となる。また、この際、主噴射と副噴射との時間間隔を規定する角度値が、従前の角度値θintから過渡期間のスワール比SR’に対し最適化された過渡値θint’に補正されるため、過渡期間における燃焼状態も、定常状態のそれと同様に最適化される。
即ち、この態様によれば、過渡期間においても、燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化するといった本発明の内燃機関の制御装置に係る効果が好適に担保される。
主噴射と副噴射との時間間隔(即ち、係る時間間隔を規定する角度値)が可変である本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段と、現時点における前記開度を特定する開度特定手段とを更に具備し、前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記特定された開度と前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度との間の値として規定される中間開度に制御し、前記第2決定手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記角度値θintを、前記(2)式において前記最適値SRに前記中間開度に対応する前記スワール比SR’’を代入してなる前記角度値の過渡値θint’に決定し、前記供給制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する。
この態様によれば、過渡状態判別手段によって内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、制御弁の開度が中間開度に制御される。
ここで、「中間開度」とは、現時点における制御弁の開度と、前述したスワール比最小開度との間の開度を包括する概念であり、例えば、これらの中間に相当する開度等を指す。尚、この際、現時点における制御弁の開度は、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される開度特定手段によって特定される。
制御弁の開度が中間開度に制御されるのに伴い、角度値θintは、従前の値から(2)式においてスワール比の最適値SRに係る中間開度に対応するスワール比SR’’を代入することによって得られる過渡値θint’に補正され、上述したように、過渡期間においてもスワール比及び主噴射と副噴射との時間間隔を規定する角度値を最適化することが可能となる。
ここで、この態様では特に、過渡期間におけるスワール比が、中間開度に対応するスワール比SR’’を目標として追従するため、吸入空気量が増加することに伴うトルクショックが、スワール比が前述したスワール比SR’に制御される場合と比較して抑制され、ドライバビリティの低下を防止することが可能となる。但し、この態様では、過渡期間においてスワール比が前述したスワール比SR’に制御される場合と比較して、現時点における制御弁の開度を取得して中間開度を設定するプロセスが必要となるため、制御上の処理負荷は増大する。従って、いずれの態様を選択するかについての指標は、例えば予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、制御上の負荷とドライバビリティという相反する要素を効果的にバランスし得るように決定されていてもよい。
主噴射と副噴射との時間間隔(即ち、係る時間間隔を規定する角度値)が固定されている本発明に係る内燃機関の他の態様では、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段を更に具備し、前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度に制御し、前記所定間隔を規定する角度値をθ、第2補正係数をC’、前記スワール比最小開度に対応する前記スワール比をSR’とした場合に、(4)式に従って前記角度値の過渡値θint’を決定する第4決定手段と、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する供給制御手段とを更に具備する。
θint’=C’×θ/SR’…(4)
この態様によれば、過渡状態判別手段によって内燃機関が過渡状態にあると判別された場合には、開度制御手段によって、制御弁の開度がスワール比最小開度に制御され、それに伴い、第4決定手段が、予め設定された主噴射と副噴射との時間間隔を規定する角度値θintを、(4)式に基づいて過渡期間についてのみ過渡値θint’に補正する。(4)式とは即ち、係る時間間隔を規定する角度値θintが可変である態様における(2)式と同等の式である。
従って、この態様によれば、過渡期間においても、燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化するといった本発明の内燃機関の制御装置に係る効果が好適に担保される。
主噴射と副噴射との時間間隔(即ち、係る時間間隔を規定する角度値)が固定されている本発明に係る内燃機関の他の態様では、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段と、現時点における前記開度を特定する開度特定手段とを更に具備し、前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記特定された開度と前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度との間の値として規定される中間開度に制御し、前記所定間隔を規定する角度値をθ、第2補正係数をC’、前記中間開度に対応する前記スワール比をSR’’とした場合に、(5)式に従って前記角度値の過渡値θint’を決定する第5決定手段と、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する供給制御手段とを更に具備する。
θint’=C’×θ/SR’’…(5)
この態様によれば、内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、スワール比が中間開度に制御され、主噴射と副噴射との時間間隔を規定する角度値が過渡値θint’に制御される。従って、過渡期間においてトルクショックが発生することが防止され、ドライバビリティの低下が抑制される。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記内燃機関は、過給器及び該過給器に係る過給を補助する電動機を更に具備し、前記内燃機関の制御装置は、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段と、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記過給が補助されるように前記電動機を制御する電動機制御手段とを更に具備する。
本発明における「過給器」とは、例えば、内燃機関に係る排気を利用してタービンを回し、係るタービンの回転を、係るタービンと同軸に構成されたコンプレッサの回転に変換して吸気圧を上昇せしめるターボチャージャ等を含み、何らこのような過給器が設けられない場合と比較して幾らかなりとも吸入空気量を増量せしめ得る装置又は機構を包括する概念である。
本発明における「電動機」とは、その動力によって過給器による過給動作を補助し得る機構又は装置を包括する概念であり、例えばターボチャージャのタービン側に設置され、係るタービンの回転を補助するモータ等を指す。この場合、過給器及び電動機は、所謂MAT(Motor Assist Turbo)と称される構成を採ってもよい。
この態様によれば、過渡状態判別手段によって内燃機関が過渡状態にあると判別された場合には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される電動機制御手段によって、過給が補助されるように電動機が制御される。
例えば、圧縮自着火式内燃機関のように燃料の供給制御にガバナ制御が用いられる場合、過給圧に応じて、例えばスモーク等の発生限界を規定する燃料の上限ガード値が変化する。一方、過渡期間では、要求される負荷(即ち、燃料噴射量)に対し、吸入空気量の追従が遅延し易く、過給器を用いたとしても、過給器の追従遅延により、効果的には係る問題が改善され難い。特に、内燃機関にEGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)装置等が備わる場合には、過渡期間におけるEGRの切り遅れ(例えばEGRガス量を制御するEGRバルブの応答遅延等)によって、過渡期間において吸入空気量が不足し易い。
このような場合に、電動機によって過給が補助された場合、過給圧が迅速に上昇するため、吸入空気量が増大し、過渡期間におけるスモーク等の発生が抑制され、環境性能が少なくとも維持され得る。
本発明に係るスワール比の最適化の観点から言えば、過渡期間に過給が補助され、吸入空気量が担保されれば、過渡期間に特化した制御、例えば制御弁を全開にしてスワール比を低下させ、且つ主噴射と副噴射との時間間隔を規定する角度値を最適化するような制御は実質的に不要となる。従って、例えば、その都度内燃機関の運転条件に応じた最適なスワール比SR及び角度値θintを実現する、或いは予め設定された角度値θintに応じたスワール比を実現するといった、本発明に係る顕著な効果が、過渡期間においても何ら損なわれることがなく、実践上極めて有益である。
尚、この態様では、前記過給器は、前記内燃機関に係る排気の一部を利用して前記過給を行い、前記内燃機関は、前記過給に利用される排気の量を変化させることが可能な排気量可変手段を更に具備し、前記内燃機関の制御装置は、前記過給が補助されるように前記電動機が制御される際に前記排気の量が増加するように前記排気量可変手段を制御する排気量可変制御手段を更に具備してもよい。
この場合、例えばVN(Variable Nozzle:可変ノズル装置)等の排気量可変手段が更に備わり、過給器に流入する排気の量が可変とされる。排気量可変手段によれば、例えば然るべき弁の開度を絞ることによって過給圧を上昇せしめることが可能であるが、前述したようにEGR装置が備わる場合には特に、係る開度の制限によって背圧の上昇を招き、EGRガス量が増大して吸入空気量が不足するといった背反が生じ易い。
本態様では、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成される排気量可変制御手段により、過給を補助すべく電動機が制御される際に、例えば然るべき弁の開度が全開にされること等によって、過給に利用される排気の量が増加するように排気量可変手段が制御される。従って、過渡期間において背圧を上昇させることなく過給圧を上昇せしめることが可能となり、実践上極めて有益である。
尚、「排気の量が増加するように」とは、例えば排気量可変手段が、予め過給器に供給される排気の量が最大となるように設定された状態にある場合には、そのような状態を維持することを含む趣旨である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)100及びエンジン200を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAM(Random Access Memory)などを備え、エンジン200の動作を制御すると共に、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例として機能するように構成されている。
エンジン200は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンであり、本発明に係る「内燃機関」の一例である。以下に、エンジン200の要部構成について、その動作と共に説明する。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たる車両用のディーゼルエンジンであり、シリンダブロック201に収容される複数のシリンダ202各々において、インジェクタ209によって噴射される燃料を自着火させて爆発させると共に、爆発力に応じて生じるピストン(不図示)の往復運動を、コネクティングロッド(不図示)を介してクランクシャフト(不図示)の回転運動に変換することが可能に構成されている。以下に、エンジン200の要部構成をその動作と共に説明する。尚、複数のシリンダ202は、夫々同一の構成を有しており、図1においては、図面の煩雑化を防ぐ目的から、相互に重複する箇所の符号が一部省略されている。
シリンダ202内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気は、エアクリーナ204によって濾過された後、吸気マニホールド203を介してシリンダ202に供給される。吸気マニホールド203には、吸入空気の圧力(吸気圧)を検出するための吸気圧センサ205が設置されている。吸気圧センサ205は、ECU100と電気的に接続されている。
吸気マニホールド203において各シリンダへ分岐する枝管部分(即ち、本発明に係る「気筒における吸気流路」の一例)は、二つの吸気ポートに分岐し、夫々の吸気ポートを介してシリンダ202内部(即ち、燃焼室)と繋がっている。
各吸気ポートと燃焼室との連通状態は、吸気バルブ206及び一方の吸気ポート上流部に備わるスワールコントロールバルブ(以下、適宜「SCV」と称する)207の開閉に応じて制御される。吸気バルブ206の開閉は、クランクシャフトの動作に連動したカム及びカムシャフトの動作によって制御される。
SCV207は、本発明に係る「制御弁」の一例である。SCV207は、ECU100と電気的に接続されており(制御ラインは不図示)、ECU100による不図示の電動アクチュエータの制御に従ってその開閉状態が制御される構成となっている。また、SCV207の開度は、開度センサ208によって検出される。開度センサ208は、ECU100と電気的に接続されており(制御ラインは不図示)、そのセンサ出力は、常にECU100によって監視される構成となっている。
夫々の吸気ポートは、吸気マニホールド203を介して供給される吸気を燃焼室内に導入する管状部材であり、燃焼室内に導入される吸気が燃焼室壁面に沿って流れるようにその形状及び空間的な配置態様が決定されている。従って、燃焼室内では必然的に吸気のスワールが発生する。また、吸気ポート各々の形状及び空間的な配置態様は、一方の吸気ポートに設けられたSCV207が相対的に開いた状態において、係るスワールの回転速度が相対的に低下し、SCV207が相対的に閉じた状態において、係るスワールの回転速度は相対的に上昇するように決定されている。
燃焼室内におけるスワールの回転速度の指標としては、スワール比が用いられる。スワール比は、エンジン200における機関一回転当りのスワールの回転数を指し、その値は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいてSCV207の開度と対応付けられている。ECU100のROMには、SCV207の開度とエンジン200のスワール比とを相互に対応付けるマップが予め格納されている。
尚、スワール比の定義に鑑みれば、スワール比は、SCV207の開度に応じて、即ち開度が増加するに連れて低下するが、燃焼室に導かれる吸気の全体量としては無論、SCV207の開度に応じて、即ち開度が増加するに連れて増加する。
インジェクタ209には、燃料が不図示の燃料タンクからコモンレール210及び枝管211を介して供給されており、インジェクタ209は、この供給される燃料を、ECU100の制御に従ってシリンダ202内に直接噴射することが可能に構成されている。尚、コモンレール210は、高温且つ高圧のシリンダ内に燃料を安定に供給するため、インジェクタ209に対し、高圧の燃料供給を行うことが可能に構成されている。
ここで、図2を参照して、インジェクタ209の詳細について説明する。ここに、図2は、燃焼室上方からインジェクタ209を見た模式的平面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、インジェクタ209には、4つの噴射孔209a、209b、209c及び209dが周状に等間隔で配置されている。従って、各噴射孔の配置間隔(即ち、本発明に係る「所定間隔」の一例)を規定する角度θは90度となっている。尚、燃料噴射時以外の期間において、各噴射孔は遮蔽板(不図示)によって燃焼室と隔絶されており、燃料噴射時にはECU100の制御により遮蔽板が摺動して噴射孔と燃焼室とが相互に連通し、各噴射孔から同時に燃料が噴射される。
一方、燃焼室内には、図示スワール方向に前述したスワールが形成されており、各噴射孔から噴射された燃料(図示「噴霧」参照)は、係るスワールに乗って係るスワール方向へと旋回する。エンジン200は、このスワールによって燃料と吸気との混合を促進し、燃焼効率を高める構成となっている。また、本実施形態において、インジェクタ209は、噴射すべき燃料を、パイロット噴射(即ち、本発明に係る「副噴射」の一例)及びメイン噴射(即ち、本発明に係る「主噴射」の一例)に分割して噴射するように構成されている。係るパイロット噴射によって燃焼室内の急激な温度上昇が防止され、着火遅れに起因する燃焼騒音が低減される。
図1に戻り、シリンダ202内部では、インジェクタ209によって噴射された燃料と、吸気とが混合し、混合ガスとなって圧縮されると共に、更に係る圧縮の過程で混合ガスが燃焼温度に到達することによって混合ガスが燃焼する。燃焼した混合ガスは排気ガスとなり吸気バルブ207の開閉に連動して開閉する排気バルブ212の作用によって不図示の排気ポートから排気マニホールド213へ排出される。また、排気マニホールド213の圧力は、排気圧センサ214によって検出され、排気圧センサ214と電気的に接続されたECU100によって常に監視される構成となっている。排気マニホールド213には、触媒215が設置されており、排気ガスの浄化が行われている。
一方、クランクシャフトの近傍には、クランクシャフトの回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ216が設置されている。クランクポジションセンサ216は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ216から得られるクランクシャフトの回転状態に基づいて、クランク角及びエンジン200の機関回転数等を取得することが可能に構成されている。
<実施形態の動作>
ECU100は、エンジン200の燃焼状態を効率的且つ効果的に最適化するため、ROMに格納されるプログラムに従って、以下に説明する燃焼制御処理を実行している。ここで、図3を参照して、燃焼制御処理の詳細について説明する。ここに、図3は、燃焼制御処理のフローチャートである。
図3において、ECU100は、エンジン200におけるスワール比の最適値SRを下記(1)式に従って算出する(ステップA10)。尚、(1)式において、Cは絶対値補正係数(即ち、本発明に係る「第1補正係数」の一例)であり、エンジン200に固有の値である。θは前述した噴射孔の間隔を規定する角度値(即ち、本実施形態では90(deg))である。また、Dmainは、メイン噴射が行われる期間を規定する角度値である。
SR=C×θ/Dmain…(1)
ECU100は、インジェクタ209による燃料噴射のタイミングをクランクポジションセンサ216によって検出されるクランク角に基づいて制御しており、メイン噴射が行われる期間(以下、適宜「メイン噴射期間」と略称する)は、噴射開始クランク角と噴射終了クランク角との差分として決定される。尚、燃料噴射量(パイロット噴射によって噴射される燃料が極少量である場合には、実質的にはメイン噴射によって噴射される燃料量と等価)は、エンジン200の機関回転数Ne及び負荷(アクセル開度)によって決定される値であり、即ち、刻々と変化するエンジン200の運転条件に対応する値となる。従って、メイン噴射期間を規定するDmainもまた、エンジン200の機関回転数Ne及び負荷に対応して変化する値となる。
最適値SRを算出すると、ECU100は、算出された最適値SRが所定の上限値SRmaxより大きいか否かを判別する(ステップA11)。最適値SRが上限値SRmaxより大きい場合(ステップA11:YES)、ECU100は、スワール比の最適値SRを上限値SRmaxに設定する(ステップA13)。
一方、最適値SRが上限値SRmax以下である場合(ステップA11:NO)、ECU100は、最適値SRが所定の下限値SRmin未満であるか否かを判別する(ステップA12)。最適値SRが下限値SRmin未満である場合(ステップA12:YES)、ECU100は、スワール比の最適値SRを下限値SRminに設定する(ステップA14)。
最適値SRが上限値SRmax以下且つ下限値SRmin以上である場合(ステップA12:NO)、ECU100は、スワール比の最適値SRを、ステップA10に係る処理において算出された最適値SRに設定する。
スワール比の最適値SRが設定されると、ECU100は、エンジン200のスワール比が係る設定された最適値SRとなるようにSCV207の開度を制御する(ステップA15)。この際、ECU100は、ROMに格納されるマップを参照して、最適値SRに対応する開度を取得しSCV207を制御する。
エンジン200のスワール比が(1)式に基づいた最適値SRに設定されると、ECU100は、下記(2)式に基づいてパイロット噴射とメイン噴射との最適な間隔を規定する角度値であるインタバルθintを算出する(ステップA16)。ここで、C’は、パイロット噴射による噴霧とメイン噴射による噴霧との相対的な位置関係を規定する補正係数である。
θint=C’×θ/SR…(2)
ここで、一旦図2に戻って補足すると、(2)式における補正係数C’が「1」である場合とは、概念的には、例えば噴射孔209aにおけるパイロット噴射の噴霧が、噴射孔209bにおけるメイン噴射の噴霧と真正面から衝突することを表す。また、補正係数C’が1未満であれば、噴射孔209bにおけるメイン噴射の噴霧が、噴射孔209aにおけるパイロット噴射の噴霧が到達するよりも早いタイミングで噴射されることを表す。反対に、補正係数C’が1より大きければ、噴射孔209bにおけるメイン噴射の噴霧が、噴射孔209aにおけるパイロット噴射の噴霧が通過してから噴射されることを表す。係る補正係数C’の値は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、噴霧と噴霧との空間(即ち、吸気)を最大限に利用することが可能となるように決定されている。
図3に戻り、インタバルθintが算出されると、ECU100は、算出されたインタバルθintが、所定の下限インタバルθintmin未満であるか否かを判別する(ステップA17)。ここで、下限インタバルθintminとは、エンジン200における物理的、機械的、機構的又は電気的な制約等によって実現不可能なインタバルを規定する閾値である。
インタバルθintが、下限インタバルθintmin以上である場合(ステップA17:NO)、ECU100は、パイロット噴射とメイン噴射との時間間隔(角度値)をインタバルθintに設定し、インジェクタ209を制御する(ステップA19)。一方で、インタバルθintが、下限インタバルθintmin未満である場合(ステップA17:YES)、ECU100は、補正係数C’を「1」インクリメントして更新する(ステップA18)と共に、処理をステップA16に戻し、インタバルθintが下限インタバルθintmin以上となるまでステップA17及びステップA18に係る処理を繰り返す。インタバルθintが最終的に下限インタバルθintmin以上となった場合、上述したステップA19に係る処理が実行される。ステップA19に係る処理を実行すると、ECU100は、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。
ここで、θintが「1」インクリメントされるとは、即ち、上述した図2の例で言えば、噴射孔209aにおけるパイロット噴射の噴霧が、隣接する噴射孔209bを通り過ぎて一つ先の噴射孔209cにおけるメイン噴射の噴霧と前後する位置関係となる概念である。即ち、θintが自然数インクリメントされる限りにおいて、メイン噴射における噴霧とパイロット噴射における噴霧との相対的な位置関係は保存される。
以上説明したように、本実施形態に係る燃焼制御処理によれば、刻々と変化するエンジン200の運転条件に対し、マップ適合などの膨大な処理工程を経ることなく演算処理によって最適なスワール比を決定することが可能である。更に、係る最適なスワール比に対して最適となるパイロット噴射とメイン噴射との時間間隔を演算処理の結果として取得することが可能となる。即ち、効率的且つ効果的にエンジン200の燃焼状態を最適化することが可能となるのである。
<第2実施形態>
本発明に係る燃焼状態の最適化手法は、スワール比を可変とする機構を持たないエンジンをそのような機構を付加することによってポテンシャルアップする場合にも効果的である。ここで、図4を参照して、そのような本発明の第2実施形態に係る燃焼制御処理について説明する。ここに、図4は、第2実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。尚、第2実施形態に係るハードウェア構成は、説明の簡略化のため第1実施形態と同様であるとし、下記の説明では同一の符合を使用して説明を行うものとする。
図4において、ECU100は、下記(3)式に従ってスワール比の最適値SRを算出する(ステップB10)。ここで、本実施形態の場合、インタバルθintは、スワール比が固定された状態において最適化されている。従って、係るインタバルθintに基づいて、最適なスワール比を算出することにより、処理上の負荷が著しく軽減される。尚、(3)式におけるC’’とは、上記(1)式と同様に、エンジンに固有の値であり、異なるエンジン間で同様の効果を享受するための補正係数である。
SR=C’’×θ/θint…(3)
スワール比の最適値SRが算出されると、ECU100は、第1実施形態と同様、SCV207の開度制御によってエンジン200のスワール比を最適値SRに制御する(ステップA15)。尚、この際、第1実施形態と同様に、上限値SRmax及び下限値SRminとの比較処理を介して、上限値SRmax及び下限値SRminによって規定される範囲内でスワール比の最適値SRが決定され、制御対象とされる。
以上説明したように、第2実施形態に係る燃焼制御処理によれば、予めスワール比を可変とする機構を有さないエンジンに対しても、効率的且つ効果的にエンジンの燃焼状態を最適化し得る。
<第3実施形態>
エンジンの運転条件が高回転且つ高負荷である場合、上述したスワール比の制御によってかえってエンジンの効率的な燃焼が妨げられる場合がある。そのような問題点に対処し得る本発明の第3実施形態に係る燃焼制御処理について、図5を参照して説明する。ここに、図5は、第3実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。尚、第3実施形態に係るハードウェア構成は、説明の簡略化のため第1実施形態と同様であるとし、下記の説明では同一の符合を使用して説明を行うものとする。尚、図5のフローチャートにおいては、予め上述の第1実施形態に示したような各処理によって、エンジン200のスワール比が最適値SRに制御されているものとする。
図5において、ECU100は、エンジン200の吸気絞り損失を規定する損失指標値dPが所定の上限値dPlim以下であるか否かを判別する(ステップC10)。ここで、吸気絞り損失とは、SCV207を閉じる(即ち、スワール比を高める)ことによって生じる損失である。ECU100は、排気圧センサ214を介して取得される排気マニホールド213の圧力値から吸気圧センサ205を介して取得される吸気マニホールド203の圧力値を減算することによって係る損失指標値dPを算出する。尚、上限値dPlimの値は、予めエンジン200の吸気絞り損失による悪影響が、スワール比を高めることによる効果を陵駕する状態を規定する値として設定されている。
算出された損失指標値dPが上限値dPlimより大きい場合(ステップC10:NO)、ECU100は、SCV207の開度を所定量増加させる(ステップC11)。ここで、ステップC11に係る処理における開度の増加量は、どのように決定されていてもよいが、エンジン200が高回転且つ高負荷な運転条件である場合には、SCV207の開度は全開か又はそれに近い程度に比較的大きく開いている必要がある場合が多いから、増加量は比較的大きめに設定されていてもよい。
SCV207の開度を増加させると、ECU100は処理をステップC10に戻し、損失指標値dPが上限値dPlim以下となるまで一連の処理を繰り返す。損失指標値dPが上限値dPlim以下となった場合(ステップC10:YES)、ECU100は、損失指標値dPを上限値dPlim以下に抑え得るSCV207の開度に対応するスワール比をマップから取得し、スワール比の暫定的な最適値SR’として設定する(ステップC12)。
スワール比の暫定的な最適値SR’を設定すると、ECU100は、上記(2)式に従い、暫定的な最適値SR’に対応するパイロット噴射とメイン噴射との最適な時間間隔を規定するインタバルθintを算出する(ステップC13)。インタバルθintを算出すると、ECU100は、メイン噴射とパイロット噴射との時間間隔が、係るインタバルθintに対応する値となるようにインジェクタ209を制御する(ステップC14)。ステップC14に係る処理が実行されると、処理はステップC10へ戻され、一連の処理が繰り返される。
このように、第3実施形態に係る燃焼制御処理によれば、高回転且つ高負荷である場合には吸気絞り損失が所定値以下となる程度までSCV207の開度を増じ、燃焼室に供給される吸気の量を増じることによって、燃料消費率を上昇させ又エミッションを低減することが可能となる。その一方で、スワール比の暫定的な最適値SR’に応じたパイロット噴射とメイン噴射との最適な時間間隔を規定するθintを算出し、インジェクタ209を制御することによって、エンジン200の燃焼状態も最適化される。即ち、効率的且つ効果的にエンジンの燃焼状態を最適化することが可能となるのである。
<第4実施形態>
上述した各種実施形態は、エンジン200が定常状態にある場合には顕著に効果的であるが、急加速時等の過渡期間では、SCV207の開度(即ち、スワール比)及びインタバルθintの制御が刻々と変化する動作条件に追従しきれずに、エミッションが悪化する場合がある。そこで、図6を参照し、本発明の第4実施形態として、このような過渡期間に関する制御について説明する。ここに、図6は、本発明の第4実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。尚、本実施形態は、上記第1実施形態に係る燃焼制御処理に対応するものであり、図6において、図3と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、燃焼制御処理が開始されると、既に述べたように、SCV207の開度が、スワール比を最適値SRに追従させるべく制御され、それに伴って、インタバルθintも最適値SRに最適化されたインタバルに制御される。
ここで、ステップA16に係る処理によって、(2)式に従いインタバルθintが設定されると、ECU100は、エンジン200が過渡状態にあるか否かを判別する(ステップD10)。
ステップD10に係る判別処理は、燃料の要求噴射量が所定の上限ガード値よりも大きいか否かに基づいてなされ、係る要求噴射量が係る上限ガード値よりも大きい場合に、エンジン200が過渡状態にあると判別される。尚、本発明に係る実施形態において、エンジンはディーゼルエンジンであり、従って、燃料噴射量の制御は、基本的にガバナ制御に従って実行されている。ガバナ制御では、機関回転数Neとアクセル開度によって燃料の噴射量が定まる。上限ガード値とは、それ以上燃料が噴射されるとスモークの発生が無視し得ないものとして規定される噴射量の値であり、吸入空気量に応じて可変な値である。
エンジン200が過渡状態にないと判別された場合(ステップD10:NO)、ECU100は既に述べた定常時の制御を継続すると共に、エンジン200が過渡状態にあると判別された場合(ステップD10:YES)、後述する過渡制御処理を実行する。過渡制御処理が終了した場合には、処理はステップA10へ戻され、一連の処理が繰り返される。
ここで、図7を参照して、過渡制御処理の詳細について説明する。ここに、図7は、過渡制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、ECU100は、スワール比の最適値SRを、SCV207を全開に制御した場合のスワール比SR’に設定する(ステップE10)。スワール比の最適値がSR’に設定されたことに伴い、ステップA15に係る処理において、SCV207が全開に制御され、スワール比がSR’に制御される。
一方、スワール比が言わば強制的にSR’に設定されたことに伴い、メイン噴射とパイロット噴射との間隔を規定するインタバルθintは、(2)式において、最適値SRにSR’を代入することによって得られる過渡インタバルθint’(即ち、本発明に係る「角度値の過渡値」の一例)に設定される(ステップE11)。尚、ステップE11に係る処理において使用される式は、即ち本発明に係る(4)式と同等である。
過渡インタバルθint’が設定されると、上述したように、過渡インタバルθint’がインタバルとして採り得る範囲であるかの判別及びその対処がなされ(ステップA17及びステップA18参照)、ECU100が、インタバルを過渡インタバルθint’に制御する(ステップA19)。
インタバルが過渡インタバルθint’に制御されると、ECU100は、エンジン200が過渡状態にある期間(即ち、過渡期間)が終了したか否かを判別する(ステップE12)。過渡期間が継続している場合(ステップE12:NO)、ECU100は、スワール比及びインタバルを、夫々SR’及び過渡インタバルθint’に制御し続ける。また、過渡期間が終了した場合(ステップE12:YES)、ECU100は、過渡制御処理を終了する。
このように、過渡制御処理では、エンジン200が過渡状態にあると判別された場合に、スワール比の最適値が速やかにSCV207全開時のスワール比SR’に制御され、インタバルも係るスワール比SR’に最適化された過渡インタバルθint’に補正される。従って、燃焼状態を最適化しつつ、エンジン200の燃焼室内において燃焼に供される空気量を増大させ、例えばスモークの発生を防止することが可能となる。
<第5実施形態>
過渡制御処理の態様は、第4実施形態のものに限定されない。ここで、図8を参照して、本発明の第5実施形態に係る過渡制御処理の詳細について説明する。ここに、図8は、過渡制御処理の他のフローチャートである。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、ECU100は、スワール比の最適値SRを、SCV207が中間開度に制御された場合のスワール比SR’’に設定する(ステップF10)。ここで、本実施形態に係る中間開度とは、現時点におけるSCV207の開度と、全開時のSCV207の開度(本実施形態では、この開度をゼロとする)との中間に位置する開度を指す。即ち、ステップF10に係る処理において、ECU100は、開度センサ208の出力に基づいてSCV207の開度を取得し、中間開度を算出すると共に目標スワール比として設定する。これに伴い、ECU100は、SCV207の開度を係る中間開度に制御して、スワール比をSR’’に制御する。
スワール比が中間開度に対応するスワール比SR’’に制御されると、ECU100は、インタバルを、(2)式において、最適値SRにSR’’を代入することによって得られる過渡インタバルθint’に設定し(ステップF11)、そしてインタバルが係る過渡インタバルθint’となるようにインジェクタ209を制御する。尚、ステップF11に係る処理において使用される式は、即ち、本発明に係る(5)式と同等である。
第5実施形態に係る過渡制御処理によれば、過渡期間においてSCV207が全開状態とはならず、中間開度に維持されるため、吸入空気量の増大に伴うトルクショックは、第4実施形態と比較して抑制されたものとなる。従って、ドライバビリティの低下を招くことなく、過渡期間における燃焼状態を最適化することが可能となる。
尚、中間開度は、本実施形態の如く、現時点におけるSCV207の開度と全開時の開度との中間値に限定されない。例えば、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、例えば、過渡状態に陥った際のエンジン200の状態と最適な中間開度との相関が得られるような場合等には、そのような相関に基づいてその都度個別具体的に中間開度が設定されてもよい。
<第6実施形態>
第4及び第5実施形態に係る過渡制御処理は、第1実施形態、即ち、インタバルをスワール比に応じて可変に制御し得る場合のものであるが、無論、インタバルが固定された、第2実施形態に係る燃焼制御処理についても同様に過渡制御処理を実行することができる。ここで、図9を参照し、本発明の第6実施形態として、インタバルが固定されている場合における燃焼制御処理について説明する。ここに、図9は、本発明の第6実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図4と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図9において、ステップB10に係る処理においてインタバルθintに応じてスワール比の最適値が設定されると、ECU100は、エンジン200が過渡状態にあるか否かを判別する(ステップD10)。エンジン200が過渡状態にない場合(ステップD10:NO)、既に述べたように固定値であるθintに対し最適なスワール比が得られるように、SCV207の開度制御が継続される。一方、エンジン200が過渡状態にある場合(ステップD10:YES)、上述した各種過渡制御処理が実行される。このように、インタバルが予め設定されている場合であっても、過渡期間において燃焼状態を最適化しつつエミッションの悪化を防止することが可能である。
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態として、エンジンに過給器が備わる場合について説明する。始めに、図10を参照して、本発明の第7実施形態に係るエンジンシステム11の構成について説明する。ここに、図10は、エンジンシステム11の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、エンジンシステム11は、エンジン200の代わりにエンジン300を備える点において、エンジンシステム10と相違している。
エンジン300は、エンジン200に対し、主としてEGR処理系統及びMAT306が追加された構成となっている。
即ち、排気マニホールド213の一部は、EGRパイプ301に連通しており、エンジン300において排気バルブ212を介して排出された排気の一部は、係るEGRパイプ301を介して吸気マニホールド203に還流される構成となっている。この際、吸気マニホールド203に還流せしめられる排気の量は、例えばソレノイドバルブ等の形態を採るEGRバルブ302によって制御される構成となっている。また、EGRバルブ302はECU100と電気的に接続されており、その開閉状態は、ECU100によって上位に制御される構成となっている。
一方、排気マニホールド213から続く排気管(符合省略)における触媒215の前段には、MAT306が設置されている。
MAT306は、排気管に連通するタービン303及びタービン303と回転軸が同軸に構成されたコンプレッサ305を備え、更にタービン303の回転をアシストするモータ304が備わる構成となっている。尚、モータ304は、不図示の制御バスを介してECU100と電気的に接続されており、ECU100による上位の制御により駆動される構成となっている。
係る構成の下、排気マニホールド213に排出された排気の一部は、タービン303を回転せしめる駆動力としてMAT306に供給される。排気によってタービン303が回転すると、回転軸がタービン303と同軸に構成されたコンプレッサ305が駆動され、吸気マニホールド203を含む吸気管(符合省略)の圧力が大気圧以上となり、エアクリーナ204を介して吸気マニホールド203へ供給される空気量が増大せしめられる。即ち過給が行われる構成となっている。尚、この際、吸気マニホールド203に供給される吸入空気は、吸気管の一部に設置されたインタークーラ307により冷却される構成となっており、MAT306に係る過給効率が向上せしめられている。
MAT306におけるタービン303の側には更に、MAT306に排気を供給する可変ノズル308が備わる。可変ノズル308は、不図示の制御バスを介してECU100と電気的に接続されており、ECU100からの制御に従ってそのノズル開度が可変となるように構成されている。可変ノズル308は、ノズル開度に応じてMAT306の過給圧を変化させることが可能であり、この際、ノズル径が絞られると過給圧が上昇し、ノズル径が開放されると過給圧は低下する構成となっている。可変ノズル308は、本発明に係る「排気量可変手段」の一例として機能する。
このような構成を有するエンジンシステム11では、第4又は第5実施形態に示すような過渡制御処理を行わずとも、過渡期間において燃焼状態を最適化しつつエミッションの悪化を抑制することが可能である。ここで、図11を参照して、本発明の第7実施形態に係る燃焼制御処理の詳細について説明する。ここに、図11は、本発明の第7実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。尚、同図において、図6と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、ステップD10に係る処理においてエンジン300が過渡状態にあると判別された場合(ステップD10:YES)、ECU100は、後述するMAT稼動制御処理を実行する。MAT稼動制御処理は、燃焼制御処理と並行して実行される処理であり、MAT稼動制御処理の実行が開始された場合、ECU100は、ステップA17以降の処理を実行する。尚、ステップD10に係る判別処理において、エンジン300が過渡状態にないと判別された場合(ステップD10:NO)、MAT稼動制御処理が実行されていれば、ECU100はMAT稼動制御処理を終了する(フローチャート上の図示は省略する)。
ここで、図12を参照して、MAT稼動制御処理の詳細について説明する。ここに、図12は、MAT稼動制御処理のフローチャートである。
図12において、ECU100は最初に、基本フィードバック制御(以下、適宜「F/B制御)と称する)を実行する(ステップG10)。F/B制御が行われるに際し、ECU100は、吸気圧センサ205によって検出される吸気圧をMAT306の過給圧として取得し、係る過給圧が、燃料の要求噴射量及び上限ガード値等から設定される目標過給圧以上となるように、モータ304の回転数(即ち、タービン303の回転数)をフィードバック制御する。尚、モータ304の回転数は、図10において不図示の回転センサによって検出され、ECU100に電気信号として伝達される構成となっている。尚、このF/B制御は、MAT稼動制御処理期間中は絶えず実行されている。
F/B制御が実行されると、ECU100は、排気圧センサ214によって検出される排気圧(タービン303の入り口付近の圧力を検出可能である場合には、そのような圧力であってもよい)が基準値を超えたか否かを判別する(ステップG11)。
排気圧が基準値以下である場合(ステップG11:NO)、ECU100は、ステップG11に係る処理を繰り返し実行すると共に、排気圧が基準値を超えた場合(ステップG11:YES)、ECU100は、可変ノズル308の開度を全開に制御する(ステップG12)。
可変ノズル308が全開に制御されると、ECU100は処理をステップG11に戻し、一連の処理を繰り返す。尚、本実施形態では、過渡期間が時間にして数秒程度であることに鑑み、一旦可変ノズル308の開度が全開に制御されると、過渡期間中は開度が全開である状態が維持される構成となっており、可変ノズル308の開度が全開に制御された後は、実質的に、F/B制御のみが実行されることとなる。
排気圧が大きい場合、EGRパイプ301を還流する排気の量が増加し(即ち、EGR量が増加し)、それに起因して吸入空気量の不足が促進されてしまうことがある。ステップG11に係る処理に供される基準値とは、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、このような不足が無視し得なくなる境界を規定する値として設定されている。
エンジン300における噴射量の上限ガード値は、過給圧が高い程(即ち、吸入空気量が多い程)大きくなる。然るに過渡期間においては、タービン303の回転が遅延し過給圧が要求される目標過給圧に追従しない場合がある。しかしながら、MAT稼動制御処理におけるモータ304による適宜のアシストによって、過渡期間においても過給圧を目標過給圧に追従させることが可能となり、空気量の不足に起因するスモークの発生は回避される。
従って、本実施形態によれば、第1実施形態に係る、スワールの最適値SR及びインタバルθintの設定及び制御を、過渡期間中であっても変わらず継続することが可能であり、燃焼状態とエンジン300の運転条件のより広い範囲で最適化することが容易にして可能となる。また、排気圧が高い場合に可変ノズル308を全開に制御することによって、吸入空気量の減少を抑制することが可能であり、燃焼状態の最適化とエミッションの悪化防止とを高い次元で両立することが可能となっている。
<第8実施形態>
第7実施形態に係る燃焼制御処理は、インタバルθintがスワール比に応じて最適値に制御される場合のものであるが、無論、固定されたインタバルに従ってスワール比の最適値SRが設定され、SCV207の開度制御がなされる場合であっても同様の効果を享受することが可能である。ここで、本発明に係る第8実施形態として、このような場合の燃焼制御処理について説明する。ここに、図13は、燃焼制御処理の他のフローチャートである。尚、同図において、図9と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図13において、ECU100は、エンジン300が過渡状態にあると判別された場合(ステップD10:YES)、図12に示すMAT稼動制御処理を実行する。これにより、過渡期間において過渡インタバルθint’を設定する必要が無くなり、第2実施形態と同様に、予め設定されたインタバルに基づいてスワール比の最適値SRを設定し、スワール比を係る最適値SRに制御するといった燃焼状態の最適化を、過渡期間であるか否かによらず継続することが可能となる。即ち、燃焼状態の最適化とエミッションの悪化防止とを高い次元で両立することが可能となっている。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。 図1のエンジンシステムにおけるインジェクタの模式的平面図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUが実行する燃焼制御処理のフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。 図6の燃焼制御処理から分岐する過渡制御処理のフローチャートである。 本発明の第5実施形態に係る過渡制御処理のフローチャートである。 本発明の第6実施形態に係る燃料制御処理のフローチャートである。 本発明の第7実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。 本発明の第7実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。 図11の燃焼制御処理から分岐するMAT稼動制御処理のフローチャートである。 本発明の第8実施形態に係る燃焼制御処理のフローチャートである。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、202…シリンダ、207…SCV、300…エンジン、303…タービン、304…モータ、305…コンプレッサ、306…MAT、308…可変ノズル。

Claims (13)

  1. 気筒における吸気流路が少なくとも二つに分割され、該分割された吸気流路の少なくとも一方に燃焼室内で形成される吸気の旋回流の強度を開度に応じて制御することが可能な制御弁を備えると共に、周状に所定間隔で配置された複数の噴射孔から燃料を副噴射及び主噴射に分割して前記燃焼室内に供給する供給手段を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
    前記所定間隔を規定する角度値をθ、相互に異なる複数の前記内燃機関相互間における旋回流の特性の差異を補正する第1補正係数をC、前記主噴射が行われる期間を規定する角度値をDmainとした場合に(1)式に従って前記旋回流の強度を規定するスワール比の最適値SRを決定する第1決定手段と、
    SR=C×θ/Dmain…(1)
    予め設定される前記開度と前記スワール比との対応関係に基づいて前記スワール比が前記最適値SRとなるように前記開度を制御する開度制御手段と、
    第2補正係数をC’とした場合に(2)式に従って前記最適値SRに対応する前記主噴射と前記副噴射との時間間隔を規定する角度値θintを決定する第2決定手段と、
    θint=C’×θ/SR…(2)
    前記時間間隔が前記θintに対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する供給制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記第1決定手段は、(i)前記最適値SRが予め設定される上限値SRmaxより大きい場合には前記上限値SRmaxを前記最適値SRとして決定し、(ii)前記最適値SRが予め設定される下限値SRmin未満である場合には前記下限値SRminを前記最適値SRとして決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記第2決定手段は、前記θintが予め設定される下限値未満である場合には、前記第2補正係数に自然数を加算してなる前記(2)式に従って前記θintを更新する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関の吸気絞り損失を表す損失指標値を特定する損失特定手段を更に具備し、
    前記開度制御手段は、前記スワール比が前記最適値SRに制御された場合の前記損失指標値が所定の基準値より大きい場合に、前記損失指標値が前記基準値以下となるように前記開度を制御し、
    前記第1決定手段は、前記損失指標値が基準値以下となるように制御された開度に対応する前記スワール比を前記対応関係に基づいて特定すると共に、該特定されたスワール比を新たに前記最適値SRとして決定する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記損失特定手段は、前記損失指標値として、前記内燃機関における、排気管の所定位置における圧力と吸気管の所定位置における圧力との差分を特定する
    ことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 気筒における吸気流路が少なくとも二つに分割され、該分割された吸気流路の少なくとも一方に開度に応じて燃焼室内で形成される吸気の旋回流の強度を制御することが可能な制御弁を備えると共に、周状に所定間隔で配置された複数の噴射孔から燃料を副噴射及び主噴射に分割して前記燃焼室内に供給する供給手段を備えた内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
    予め前記内燃機関の運転条件に対応付けられた、前記主噴射と前記副噴射との時間間隔を規定する角度値をθint、前記所定間隔を規定する角度値をθ、相互に異なる複数の前記内燃機関相互間における旋回流の特性の差異を補正する第3補正係数をC’’とした場合に(3)式に従って前記旋回流の強度を規定するスワール比の最適値SRを決定する第3決定手段と、
    SR=C’’×θ/θint…(3)
    予め設定される前記開度と前記スワール比との対応関係に基づいて前記スワール比が前記最適値SRとなるように前記開度を制御する開度制御手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  7. 前記第3決定手段は、(i)前記最適値SRが予め設定される上限値SRmaxより大きい場合には前記上限値SRmaxを前記最適値SRとして決定し、(ii)前記最適値SRが予め設定される下限値SRmin未満である場合には前記下限値SRminを前記最適値SRとして決定する
    ことを特徴とする請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段を更に具備し、
    前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度に制御し、
    前記第2決定手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記角度値θintを、前記(2)式において前記最適値SRに前記スワール比最小開度に対応する前記スワール比SR’を代入してなる前記角度値の過渡値θint’に決定し、
    前記供給制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段と、
    現時点における前記開度を特定する開度特定手段と
    を更に具備し、
    前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記特定された開度と前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度との間の値として規定される中間開度に制御し、
    前記第2決定手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記角度値θintを、前記(2)式において前記最適値SRに前記中間開度に対応する前記スワール比SR’’を代入してなる前記角度値の過渡値θint’に決定し、
    前記供給制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段を更に具備し、
    前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度に制御し、
    前記所定間隔を規定する角度値をθ、第2補正係数をC’、前記スワール比最小開度に対応する前記スワール比をSR’とした場合に、(4)式に従って前記角度値の過渡値θint’を決定する第4決定手段と、
    θint’=C’×θ/SR’…(4)
    前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する供給制御手段と
    を更に具備する
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段と、
    現時点における前記開度を特定する開度特定手段と
    を更に具備し、
    前記開度制御手段は、前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記開度を前記特定された開度と前記スワール比が最小となる開度であるスワール比最小開度との間の値として規定される中間開度に制御し、
    前記所定間隔を規定する角度値をθ、第2補正係数をC’、前記中間開度に対応する前記スワール比をSR’’とした場合に、(5)式に従って前記角度値の過渡値θint’を決定する第5決定手段と、
    θint’=C’×θ/SR’’…(5)
    前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記時間間隔が前記角度値の過渡値θint’に対応する時間間隔となるように前記供給手段を制御する供給制御手段と
    を更に具備する
    ことを特徴とする請求項6又は7に記載の内燃機関の制御装置。
  12. 前記内燃機関は、過給器及び該過給器に係る過給を補助する電動機を更に具備し、
    前記内燃機関の制御装置は、
    前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判別する過渡状態判別手段と、
    前記内燃機関が過渡状態にあると判別された場合に、前記過給が補助されるように前記電動機を制御する電動機制御手段と
    を更に具備する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  13. 前記過給器は、前記内燃機関に係る排気の一部を利用して前記過給を行い、
    前記内燃機関は、前記過給に利用される排気の量を変化させることが可能な排気量可変手段を更に具備し、
    前記内燃機関の制御装置は、前記過給が補助されるように前記電動機が制御される際に前記排気の量が増加するように前記排気量可変手段を制御する排気量可変制御手段を更に具備する
    ことを特徴とする請求項12に記載の内燃機関の制御装置。
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