JP2009002177A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料噴射に関するパラメータを無駄に変化させることなく内燃機関の運転状態に応じて着火時期に適切に制御することが可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】気筒2内にスワール流Sが形成されるとともに、気筒2の中央部から放射状に燃料が噴射される内燃機関1に適用され、メイン噴射及びパイロット噴射にて燃料が噴射される内燃機関の燃料噴射制御装置において、メイン噴射時に噴射された燃料の実着火時期Tを取得し、実着火時期Tと目標着火時期Ttとの差が所定の許容値Aより大きい場合、スワール流Sの強さを考慮して実着火時期Tにおけるメイン燃料Fmに対するパイロット燃料Fpの相対位置αを推定し、その推定結果に基づいてパイロット噴射の実行時期を補正する。
【選択図】図2
【解決手段】気筒2内にスワール流Sが形成されるとともに、気筒2の中央部から放射状に燃料が噴射される内燃機関1に適用され、メイン噴射及びパイロット噴射にて燃料が噴射される内燃機関の燃料噴射制御装置において、メイン噴射時に噴射された燃料の実着火時期Tを取得し、実着火時期Tと目標着火時期Ttとの差が所定の許容値Aより大きい場合、スワール流Sの強さを考慮して実着火時期Tにおけるメイン燃料Fmに対するパイロット燃料Fpの相対位置αを推定し、その推定結果に基づいてパイロット噴射の実行時期を補正する。
【選択図】図2
Description
本発明は、スワール流が形成される気筒内にパイロット噴射及びメイン噴射にて燃料を噴射する内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
メイン噴射とパイロット噴射との間の期間である噴射停止期間を強制的に所定量又は所定期間所定の方向に変化させ、噴射停止期間を変化させる前と変化させた後の燃焼騒音の変化に応じて燃焼騒音が減少する方向にパイロット噴射量又は噴射停止期間を変化させる燃料噴射率制御装置が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
特許文献1の装置では、メイン噴射とパイロット噴射との間の期間を変化させた前後の燃焼騒音の変化に応じてパイロット噴射の量又は燃料噴射の間隔を調整するため、最初に燃焼騒音が悪化する方向に期間を変化させる場合がある。また、メイン噴射とパイロット噴射との間の期間を最初に強制的に変化させるため、燃焼騒音が十分に小さい場合においてもこの制御が実行されるおそれがある。この場合、パイロット噴射とメイン噴射との間の期間を無駄に変化させることになる。
そこで、本発明は、燃料噴射に関するパラメータを無駄に変化させることなく内燃機関の運転状態に応じて着火時期に適切に制御することが可能な内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを目的とする。
本発明の内燃機関の燃料噴射制御装置は、気筒内にスワール流が形成される内燃機関に適用され、前記気筒の中央部から放射状に燃料が噴射されるように複数の噴射口から燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記燃料噴射弁からメイン噴射時に噴射された燃料の着火が行われるべき目標着火時期を設定するとともに、前記メイン噴射に先立って前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるパイロット噴射の実行時期を前記メイン噴射の実行時期に基づいて設定する噴射時期設定手段と、を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記メイン噴射時に噴射された燃料が実際に着火した時期である実着火時期を取得する実着火時期取得手段と、前記実着火時期取得手段が取得した実着火時期と前記目標着火時期との差が所定の許容値より大きい場合、前記スワール流の強さを考慮して前記実着火時期における前記メイン噴射時に噴射された燃料に対する前記パイロット噴射時に噴射された燃料の相対位置を推定し、その推定結果に基づいて前記実着火時期が前記目標着火時期に調整されるように前記パイロット噴射の実行時期を補正する噴射時期補正手段と、を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
周知のようにメイン噴射で噴射された燃料の着火時期は、その着火時期におけるパイロット噴射で噴射した燃料(以下、パイロット燃料と称することがある。)とメイン噴射で噴射した燃料(以下、メイン燃料と称することがある。)との位置関係に影響される。メイン燃料の噴射時にパイロット燃料がそのメイン燃料の近くにあるほどパイロット燃料の燃焼によって生じる熱によってメイン燃料が着火し易くなるため、メイン燃料が噴射されてからそのメイン燃料が燃焼するまでの期間、いわゆる着火遅れ期間が短くなる。そのため、着火時期が早くなる。
ところで、気筒内にスワール流が形成されるともに、その気筒の中央部から放射状に燃料が噴射される内燃機関ではパイロット燃料がスワール流に伴って気筒の周方向に移動する。そのため、メイン燃料の噴射時にはパイロット燃料が、そのパイロット燃料が噴射された噴射口から噴射されたメイン燃料とその噴射口に対してスワール流の流れ方向下流の隣に位置する噴射口(以下、前方噴射口と称することがある。)から噴射されたメイン燃料との間に位置する。この内燃機関では、パイロット噴射の実行時期を早くするほど着火時期が早くなる場合がある。例えば、メイン噴射の実行時期にパイロット燃料とそのパイロット燃料が噴射された噴射口からのメイン燃料との距離よりもパイロット燃料と前方噴射口から噴射されたメイン燃料との距離の方が短い場合は、パイロット噴射の実行時期を早めることによりパイロット燃料と前方噴射口から噴射されたメイン燃料とを近付けることになるため、着火時期が早くなる。一方、パイロット噴射の実行時期を遅くするほど着火時期が早くなる場合もある。例えば、メイン噴射の実行時期にパイロット燃料と前方噴射口から噴射されたメイン燃料との距離よりもパイロット燃料とそのパイロット燃料が噴射された噴射口からのメイン燃料との距離の方が短い場合は、パイロット噴射の実行時期を遅くすることによってパイロット噴射とそのパイロット燃料が噴射された噴射口からのメイン燃料とを近付けることになるため、着火時期が早くなる。そのため、このような内燃機関において着火時期を適切に制御するためには、その着火時期におけるパイロット燃料とメイン燃料との位置関係を考慮する必要がある。
本発明の燃料噴射制御装置によれば、着火時期におけるメイン燃料に対するパイロット燃料の相対位置を推定し、その推定結果に基づいてパイロット噴射の実行時期を補正するため、気筒内にスワール流が形成されるともに、その気筒の中央部から放射状に燃料が噴射される内燃機関においても着火時期を適切に制御することができる。また、最初からパイロット噴射の実行時期を適切な方向に補正できるので、パイロット噴射の実行時期の無駄な補正を防止できる。そのため、パイロット噴射の実行時期を無駄に変化させることなく内燃機関の運転状態に応じて着火時期を適切に制御することができる。
本発明の燃料噴射制御装置の一形態において、前記噴射時期補正手段は、前記実着火時期と前記目標着火時期との差、及び前記実着火時期における前記メイン噴射時に噴射された燃料に対する前記パイロット噴射時に噴射された燃料の相対位置の推定結果に基づいて前記パイロット噴射の実行時期を補正してもよい(請求項2)。このように実着火時期と目標着火時期との差を補正に反映させることにより、着火時期をより適切に制御することができる。
本発明の燃料噴射制御装置の一形態において、前記噴射時期設定手段は、前記内燃機関の運転状態に応じて前記気筒内で発生するスモークの量及び前記気筒内で燃料が燃焼する際に生じる燃焼騒音の少なくともいずれか一方を低減対象に設定し、設定した低減対象が低減されるように前記目標着火時期を設定してもよい(請求項3)。燃焼騒音は、着火時期を早くするほど低減することができる。一方、スモークの発生量は、着火時期を遅くするほど低減することができる。このように燃焼騒音を低減する場合とスモークの発生量を低減する場合とでは、着火時期を互いに反対の方向に制御する必要がある。この形態では、内燃機関の運転状態に応じて燃焼騒音及びスモークの発生量のうち優先的に低減すべき方を低減対象に設定し、その低減対象が低減されるように目標着火時期を設定するので、内燃機関の運転状態に応じて燃焼騒音及びスモークの発生量のそれぞれを適切に低減することができる。
本発明の燃料噴射制御装置の一形態においては、前記気筒内の圧力を検出する筒内圧検出手段をさらに備え、前記実着火時期取得手段は、前記筒内圧検出手段が検出した圧力に基づいて前記実着火時期を推定してもよい(請求項4)。周知のように気筒内の圧力(以下、筒内圧力と略称することがある。)は着火時期と相関関係を有している。そのため、このように筒内圧力に基づいて実着火時期を推定することにより、実着火時期を容易に推定できる。
本発明の燃料噴射制御装置の一形態において、前記噴射時期設定手段は、前記目標噴射時期及び前記スワール流の強さに基づいて前記パイロット噴射の実行時期を設定してもよい(請求項5)。このように噴射時期設定手段が設定するパイロット噴射の実行時期、すなわち補正前のパイロット噴射の実行時期もスワール流の強さを考慮して設定することにより、実着火時期を目標着火時期により速やかに調整することができる。
以上に説明したように、本発明の燃料噴射制御装置によれば、着火時期におけるメイン燃料とパイロット燃料との位置関係を考慮してパイロット噴射の実行時期を補正するため、気筒内にスワール流が形成されるともに、その気筒の中央部から放射状に燃料が噴射される内燃機関においてもパイロット噴射の実行時期を無駄に変化させることなく内燃機関の運転状態に応じて着火時期を適切に制御することができる。
図1は、本発明の一形態に係る燃料噴射制御装置が組み込まれた内燃機関の要部を示した図である。図1の内燃機関1は、車両に走行用動力源として搭載されるディーゼルエンジンであり、複数の気筒2を備えている。図1では一つの気筒2のみが示されているが、他の気筒2の構成も同様である。以降、内燃機関1をエンジンと称することがある。各気筒2はシリンダブロック3に形成されており、各気筒2の上部はシリンダヘッド4にて塞がれる。各気筒2にはピストン5が往復運動自在に設けられ、ピストン5はコンロッド7を介してクランクシャフト6に連結される。各気筒2には、吸気通路8及び排気通路9がそれぞれ接続されている。吸気通路8は気筒2に対して吸気弁10にて開閉され、排気通路9は気筒2に対して排気弁11にて開閉される。吸気弁10及び排気弁11の開閉駆動は周知の動弁機構12によって実行される。吸気通路8には、気筒2内にスワール流S(図2参照)を形成するためのスワール制御弁13が設けられている。
各気筒2の天上面には燃料噴射弁20がその先端20aを気筒2内に臨ませるようにして気筒2の中央部に設けられている。燃料噴射弁20は不図示のコモンレールに接続されて所定燃圧の燃料が供給されるようになっている。図2は、図1のII−II線における気筒2の断面の一部を拡大して示した図である。図2に示したように燃料噴射弁20の先端20aには、複数の噴射口21が設けられている。なお、図2では2つの噴射口21のみを示したが、先端20aにはこれら2つの噴射口21aと同一の間隔θで全周に亘って噴射口21が形成されている。
燃料噴射弁20の動作は、エンジンコントロールユニット(ECU)30にて制御される。ECU30は、マイクロプロセッサ及びそのマイクロプロセッサの動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を備えたコンピュータとして構成され、エンジン1に設けられた各種のセンサに基づいてスワール制御弁13などの各種の装置を操作してエンジン1の運転状態を制御する周知のコンピュータユニットである。ECU30は、例えばエンジン1の回転数及び吸入空気量に基づいて気筒2内に形成すべきスワール流Sの強さを設定し、その設定した強さのスワール流Sが形成されるようにスワール制御弁13の開度を制御する。ECU30に接続されるセンサとしては、吸入空気量に対応する信号を出力するエアフローメータ31、エンジン1の機関回転速度(回転数)に対応する信号を出力するクランク角センサ32、及び気筒2内の圧力に対応する信号を出力する筒内圧検出手段としての筒内圧センサ33等がある。ECU30には、これらの他にも各種のセンサが接続されるが、それらの図示は省略した。
また、ECU30は、エンジン1の回転数及び吸入空気量に基づいて燃料噴射弁20から噴射すべき燃料量を算出し、その算出した燃料量が噴射されるように燃料噴射弁20の動作を制御する。この際、ECU30は、エンジン1の運転状態に応じて実行時期が設定されるメイン噴射と、メイン噴射に先立って行われてメイン噴射よりも少量の燃料が噴射されるパイロット噴射とが実行されるように燃料噴射弁20の動作を制御する。そして、ECU30は、算出した燃料量の燃料がメイン噴射及びパイロット噴射において分割して噴射されるように燃料噴射弁20の動作を制御する。図3は、ECU30がこれらメイン噴射及びパイロット噴射の各実行時期を設定するためにエンジン1の運転中に所定の周期で繰り返し実行する噴射時期設定ルーチンを示している。なお、ECU30は、図3のルーチンで設定した各実行時期に燃料噴射弁20から燃料が噴射されるように図3のルーチンと並行に実行する他のルーチンにて燃料噴射弁20の動作を制御する。
図3のルーチンにおいてECU30は、まずステップS11でエンジン1の運転状態を取得する。エンジン1の運転状態としては、例えば吸入空気量、エンジン1の回転数などが取得される。また、この処理では、メイン噴射の実行時期、及び気筒2内に形成されるスワール流Sの強さが算出される。メイン噴射の実行時期は、エンジン1の回転数に基づいて算出する周知の算出方法で算出すればよい。また、スワール流Sの強さは、例えばエンジン1の回転数及び負荷に基づいて算出する周知の算出方法で算出すればよい。
続くステップS12においてECU30は、エンジン1の運転状態に基づいてメイン燃料の目標着火時期Tt及びパイロット噴射の実行時期を設定する。図4に示したように気筒2内で発生するスモークの量及び燃焼時に発生する燃焼騒音は、メイン燃料の着火時期、すなわちメイン燃料が噴射されてから着火するまでの期間である着火遅れ期間に応じて変化する。そして、図4に示したように燃焼騒音は着火時期が早くなるほど、すなわち着火遅れ期間が短くなるほど小さくなる。一方、スモークの発生量は着火時期が遅くなるほど、すなわち着火遅れ期間が長くなるほど小さくなる。燃焼騒音及びスモーク発生量のいずれを抑制すべきかはエンジン1の運転状態に応じて適宜設定すればよい。例えば、エンジン1が高負荷、高回転で運転されている場合は燃焼騒音が多少大きくても問題ないため、スモーク発生量が小さくなるように目標着火時期を設定する。エンジン1の通常運転時は両方が適切に抑制される着火時期、すなわち図4に示した目標着火時期Ttが設定される。メイン燃料の着火時期は、着火時期におけるメイン燃料とパイロット燃料との位置関係に影響され、メイン燃料とパイロット燃料との距離が近いほど着火時期が早くなる。
図2に示したようにメイン燃料Fmに先立って噴射されたパイロット燃料Fpはスワール流Sに伴って移動し、メイン燃料Fmの噴射時にはパイロット燃料Fpが噴射された噴射口21aから噴射されたメイン燃料Fm1とその噴射口21aよりもスワール流Sの流れ方向前方にある噴射口(前方噴射口)21bから噴射されたメイン燃料Fm2との間に位置する。そのため、パイロット噴射の実行時期とメイン噴射の実行時期との間隔(以下、噴射間隔と称することがある。)に応じてパイロット燃料Fpが噴射口21a又は噴射口21bのいずれの噴射口から噴射されたメイン燃料Fmに影響を与えるか変化する。例えば、着火時期にパイロット燃料Fpがメイン燃料Fm2よりもメイン燃料Fm1の方に近くなるように噴射間隔を設定すればそのパイロット燃料Fpはメイン燃料Fm1に影響を与える。一方、着火時期にパイロット燃料Fpがメイン燃料Fm1よりもメイン燃料Fm2の方に近くなるように噴射間隔を設定すればそのパイロット燃料Fpはメイン燃料Fm2に影響を与える。
図5は、エンジン1におけるパイロット燃料Fpとメイン燃料Fmとの相対角度αと着火時期との関係の一例を示す図である。なお、相対角度αは、図2に示したように正方向の相対角度+αがパイロット燃料Fpとメイン燃料Fm1との相対角度を示し、負方向の相対角度−αがパイロット燃料Fpとメイン燃料Fm2との相対角度を示している。着火時期にパイロット燃料Fpがメイン燃料Fm1又はメイン燃料Fm2のいずれの近くに移動するかはスワール流Sの強さに応じて決まり、また噴射間隔の最小値は燃料噴射弁20の性能に応じて決まる。すなわち、気筒2内に強いスワール流Sが形成されていると、噴射間隔を最小値に設定してもパイロット燃料Fpがメイン燃料Fm1よりもメイン燃料Fm2に近い位置に移動する。そこで、まずスワール流Sの強さに基づいて相対角度αを正、すなわち図5の線L1又は負、すなわち図5の線L2のいずれに基づいて設定するか決定し、その決定した線上において目標着火時期Ttとなる相対角度αを算出する。次に、着火時期にパイロット燃料Fpとメイン燃料Fmとの相対角度が算出した相対角度αになるように噴射間隔を算出する。その後、メイン噴射の実行時期から算出した噴射間隔を引くことによってパイロット噴射の実行時期を算出する。なお、図5に示した関係は、予め実験などにより求めてECU30のROMにマップとして記憶させておく。この処理を実行して目標着火時期Tt及びパイロット噴射の実行時期を設定することにより、ECU30が本発明の噴射時期設定手段として機能する。
次のステップS13においてECU30は、算出したパイロット噴射の実行時期にパイロット噴射を実行したときの実際の着火時期である実着火時期Tを算出する。周知のように着火時期は気筒2内の圧力をクランク角度で微分した圧力の微分値(以下、圧力上昇率と称することがある。)と関係を有している。図6に一例を示したように、気筒2内にて燃料が着火すると気筒2内の圧力が急に上昇する。そこで、筒内圧センサ33の出力信号とクランク角センサ32の出力信号とに基づいて圧力上昇率を算出し、その圧力上昇率が予め設定した閾値Kを超えた時期を実着火時期Tとして取得する。なお、閾値Kは、本発明が適用されるエンジン1に応じて適宜設定すればよい。この処理を実行することにより、ECU30が本発明の実着火時期取得手段として機能する。
続くステップS14においてECU30は、実着火時期Tと目標着火時期Ttとの差が予め設定した許容値Aよりも大きいか否か判断する。許容値Aは、実着火時期Tにおけるスモーク発生量及び燃焼騒音が目標着火時期Ttにおけるスモーク発生量及び燃焼騒音に対して許容可能な範囲内の数値か否か判定する許容範囲として設定される値である。実着火時期Tと目標着火時期Ttとの差が許容値Aよりも大きいと判断した場合はステップS15に進み、ECU30はパイロット噴射の実行時期の補正量を算出する。この補正量の算出は図5に示した関係に基づいて行われ、まずスワール流Sの強さ及び実着火時期Tに基づいて実着火時期Tにおける相対角度α、すなわち実着火時期Tにおけるパイロット燃料Fpとメイン燃料Fmとの相対位置を求める。次に求めた相対角度αと目標着火時期Ttに対応する相対角度との差を求め、この差が小さくなるように補正量を設定する。図5を参照して具体的に説明すると、目標着火時期Ttの相対角度αtに対して実着火時期Tの相対角度が相対角度α1の場合、この相対角度α1を相対角度αtに近付けるにはパイロット噴射の実行時期を早くする。これにより、着火時期におけるパイロット燃料Fpとメイン燃料Fm1との相対角度が大きくすることができる。パイロット噴射の実行時期をどの程度早めるかは、目標着火時期Ttと実着火時期tとの差に応じて設定すればよい。次のステップS15においてECU30は、算出した補正量に基づいてパイロット噴射の噴射時期を補正する。その後、ステップS13に処理を戻す。以降、実着火時期Tと目標着火時期Ttとの差が許容値A以下なるまでステップS13〜S16の処理が繰り返し実行される。このようにパイロット噴射の実行時期を補正することにより、ECU30が本発明の噴射時期補正手段として機能する。一方、実着火時期Tと目標着火時期Ttとの差が許容値A以下と判断された場合は今回のルーチンを終了する。
このように図3のルーチンを実行し、着火時期におけるパイロット燃料Fpとメイン燃料Fmとの相対位置に基づいてパイロット噴射の実行時期を補正することにより、最初からパイロット噴射の実行時期を適切な方向に補正できる。そのため、この実行時期の無駄な補正を防止できる。また、気筒2内に形成されるスワール流Sの強さを考慮して実行時期を補正するので、気筒2内にスワール流Sが形成されるともに、その気筒2の中央部から放射状に燃料が噴射されるエンジン1においても着火時期を適切に制御することができる。従って、エンジン1の運転状態に応じてスモーク発生量及び燃焼騒音を適切に低減することができる。
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本発明はディーゼルエンジンに限定されず、気筒内にスワール流が形成され、かつ気筒内にその中央部から放射状に燃料が噴射される種々の内燃機関に適用してよい。
1 内燃機関
2 気筒
20 燃焼噴射弁
21 噴射口
30 エンジンコントロールユニット(噴射時期設定手段、実着火時期取得手段、噴射時期補正手段)
33 筒内圧センサ(筒内圧検出手段)
T 実着火時期
Tt 目標着火時期
S スワール流
2 気筒
20 燃焼噴射弁
21 噴射口
30 エンジンコントロールユニット(噴射時期設定手段、実着火時期取得手段、噴射時期補正手段)
33 筒内圧センサ(筒内圧検出手段)
T 実着火時期
Tt 目標着火時期
S スワール流
Claims (5)
- 気筒内にスワール流が形成される内燃機関に適用され、前記気筒の中央部から放射状に燃料が噴射されるように複数の噴射口から燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記内燃機関の運転状態に基づいて前記燃料噴射弁からメイン噴射時に噴射された燃料の着火が行われるべき目標着火時期を設定するとともに、前記メイン噴射に先立って前記燃料噴射弁から燃料を噴射させるパイロット噴射の実行時期を前記メイン噴射の実行時期に基づいて設定する噴射時期設定手段と、を備えた内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記メイン噴射時に噴射された燃料が実際に着火した時期である実着火時期を取得する実着火時期取得手段と、前記実着火時期取得手段が取得した実着火時期と前記目標着火時期との差が所定の許容値より大きい場合、前記スワール流の強さを考慮して前記実着火時期における前記メイン噴射時に噴射された燃料に対する前記パイロット噴射時に噴射された燃料の相対位置を推定し、その推定結果に基づいて前記実着火時期が前記目標着火時期に調整されるように前記パイロット噴射の実行時期を補正する噴射時期補正手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射時期補正手段は、前記実着火時期と前記目標着火時期との差、及び前記実着火時期における前記メイン噴射時に噴射された燃料に対する前記パイロット噴射時に噴射された燃料の相対位置の推定結果に基づいて前記パイロット噴射の実行時期を補正することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射時期設定手段は、前記内燃機関の運転状態に応じて前記気筒内で発生するスモークの量及び前記気筒内で燃料が燃焼する際に生じる燃焼騒音の少なくともいずれか一方を低減対象に設定し、設定した低減対象が低減されるように前記目標着火時期を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記気筒内の圧力を検出する筒内圧検出手段をさらに備え、
前記実着火時期取得手段は、前記筒内圧検出手段が検出した圧力に基づいて前記実着火時期を推定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記噴射時期設定手段は、前記目標噴射時期及び前記スワール流の強さに基づいて前記パイロット噴射の実行時期を設定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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- 2007-06-19 JP JP2007161720A patent/JP2009002177A/ja active Pending
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