JP3848848B2 - コイル部品の製造方法及びコイル部品の製造に用いるはんだ槽とはんだ槽掃除治具 - Google Patents

コイル部品の製造方法及びコイル部品の製造に用いるはんだ槽とはんだ槽掃除治具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に用いられるトランス、チョークコイル等のコイル部品の製造方法に関し、特に、コイルとして巻回された絶縁被覆導線の端末の外部接続端子とのからげ箇所の浸漬はんだ付けによる導電接続工程に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器に用いられる小型のコイル部品は、図5に示されるチョークコイル10のように、樹脂製ボビンまたはフェライト等の巻芯1に絶縁被覆導線2を巻回し、その端末2a、2bを例えば前記巻芯1の両端に延設された鍔3a、3bの一方の鍔3bの端面側に巻芯1と一体に植設された外部接続端子6、6にからげ、そのからげ部分を加熱溶融したはんだに浸漬してはんだ付けすることにより導電接続している。
【0003】
コイル部品のコイル巻線として用いられている上記絶縁被覆導線2は、図6の断面図に示されるような銀線または銅線またはこれらの外周に錫メッキや錫−銅はんだメッキ等を施した導電線材4の外周をポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂等の絶縁被覆膜5で覆った円形または矩形の断面構造を有している。
【0004】
また、上記絶縁被覆導線2の端末2a、2bの外部接続端子6への浸漬はんだ付けによる導電接続工程には、例えば図5に示されるようなステンレス製のはんだ槽8が用いられる。このはんだ槽8に図示されないはんだ加熱装置にて350〜400℃に加熱溶融したはんだ11を蓄え、前記コイル部品10の外部接続端子6とこの根元箇所にからげた絶縁被覆導線2の端末2a、2bとのからげ部分をはんだ11中に外部接続端子6共々浸漬してからげ部分の絶縁被覆膜5を熱で溶融破壊して除去し、且つ露出した導電線材4と外部接続端子6をはんだ11で被覆して引き上げて固着させることで導電接続する。
【0005】
ところで、図5のステンレス製のはんだ槽8の母材であるステンレス鋼7は一般に12%以上のCrを含んでおり、ステンレス鋼7の表面に厚さtが数nmのCr酸化膜9ができて不動態化し(これを不動態皮膜という)、優れた耐食性を示すものである。ステンレス鋼は組織の上からマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系に大別されるが、そのうちオーステナイト系の基本組成は18%Cr−8%Niなので、18−8ステンレス(AISI ASTM No.SUS304)と呼称され、軟かくて加工性に富み、耐食性に優れているので広範囲に利用されている。通常、上記ステンレス製のはんだ槽8も18−8ステンレス鋼のみから構成されている。
【0006】
一方、コイル部品のコイル巻線(絶縁被覆導線2)の外部接続端子6へのはんだ付けに用いられているはんだは、通常は錫(Sn)−鉛(Pb)系合金であり、錫が約40〜60重量%、鉛が約60〜40重量%、その他の金属として銅が0.03〜0.08重量%、アンチモン(Sb)が0.1〜0.3重量%の組成(公称60Sn−40Pbはんだ、40Sn−60Pbはんだ等)であり、溶融温度は概ね200℃前後である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
最近では、電子機器における部品の導電接続に多用されているはんだ中に含まれる鉛の環境汚染が問題視されており、鉛を含有しない所謂Pbフリーはんだへの切り換えが課題となっている。このPbフリーはんだは組成成分の殆どを錫とするものが多いが、その溶融温度は300℃程度と従来の60Sn−40Pbはんだ等よりも相当高くなっており、浸漬はんだ付けの際には390〜450℃の高温に加熱溶融する必要がある。
【0008】
上記のような外部接続端子6と絶縁被覆導線2の端末2a、2bの導電線材4とのはんだ槽8への浸漬はんだ付けを導電接続工程の内容とするコイル部品の製造方法において、Pbフリーはんだを使用する場合には、コイル部品の半田付け工程に長く上記ステンレス製のはんだ槽8を使用していると、徐々にはんだ11と導電線材4との濡れ性(からげ部分の導電付着性)が悪くなってはんだ接合の信頼性が劣化してしまうという問題点が見い出された。
【0009】
本発明者が子細にこのはんだ濡れ性の劣化の原因を調査したところ、図5に概念図として表示されているように、ステンレスはんだ槽8における内表面の厚さtが数nmのCr酸化膜(不動態皮膜)9が破損した箇所13からはんだ11の錫(Sn)中にステンレス成分のNiが溶解してはんだ中へ溶け込んでいき、それとともにFeやCrも析出する。そしてはんだ11の液面に析出したステンレス成分(Fe、Cr、Ni)は酸化して酸化膜12(Fe、NiO、Cr等)を形成する。前記はんだ中へ溶け込んだNiや前記酸化膜12ははんだ成分の錫、鉛よりも強固で導電線材4である銀や銅との濡れ性が悪く、はんだ接合の濡れ性に悪影響を与えるのである。即ち、外部接続端子6をはんだ槽8中のはんだ11に浸漬する際に、外部接続端子6と導電線材4とはんだ11相互の境界面に酸化膜12が介在して、はんだ濡れ性(換言すれば、はんだ11と導電線材4や外部接続端子6との付着性)が悪くなって接合強度が落ちる結果となるのである。
【0010】
特に、はんだとしてPbフリーはんだを使用する場合は、従来よりもはんだが高温に加熱溶融されていることに加え錫が組成の大部分を占めているので、破損した箇所13からのステンレス成分の溶解が速く、上記からげ部分のはんだ濡れ性の劣化は顕著である。
【0011】
また、導電接続工程において、図7に示されるように、溶融したはんだ11を溜めたはんだ槽8中の底には徐々にドロス15(dross:導電線材4の銅線からのはんだ11へのCuの溶け込みによるCu−Sn化合物等の金属不純物、はんだ滓)が溜まるので、適時除去しなければならない。このドロス除去作業の際には、へら状の金属治具16を使用してステンレス製のはんだ槽8の底を矢印の如く擦るようにドロス15を掻き取るので、はんだ槽8の内側表面のCr酸化膜9を破損する恐れが大きく、はんだ槽8の寿命が短くなるという問題点があった。
【0012】
さらに、従来よりはんだ11の加熱溶融手段として、はんだ槽8の中にはんだ加熱装置を挿入してはんだ11を直接加熱する手段が採られている場合が多い(このはんだ加熱装置は投げ込み式ヒータと称されている)が、このはんだ加熱装置は発熱ヒータ本体と、前記発熱ヒータ本体の周囲を覆うステンレス鋼の金属外被体とからなっている。したがって、このはんだ加熱装置も長く使用しているとステンレス鋼の金属外被体の表面のCr酸化膜が破れ、そこから侵食されて劣化し、寿命を短くしているのが現状である。
【0013】
従来の鉛を含むはんだを使用する限りにおいては、その溶融温度が200℃前後と比較的低いので、上記はんだ槽8やはんだ加熱装置の劣化の問題は顕在化していなかったが、Pbフリーはんだに切り換える場合においては劣化が急速に進むので重大な問題となる。
【0014】
本発明は、コイル部品の製造方法において、外部接続端子への絶縁被覆導線の端末の外部接続端子への浸漬はんだ付けによる導電接続工程で、Pbフリーはんだを使用する場合においても良好なはんだ濡れ性を保持して高い接合の信頼性を得るとともに、コイル部品の製造に用いるはんだ槽、はんだ加熱装置及びはんだ槽掃除治具の寿命を長くすることを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、
(1)導電線材の外周に絶縁被覆膜を有する絶縁被覆導線を巻芯に巻回するとともにその両端末を前記巻芯と一体に設けられた外部接続端子にからげ、金属母材の表面にモリブデン層とその酸化膜が形成された槽の少なくとも内側表面にガラス材またはセラミック材を溶射してなる耐熱性コーティング層を備える構造のはんだ槽中で、当該はんだ槽中に投入され発熱ヒータ本体と前記発熱ヒータ本体の周囲を覆う金属外被体と前記金属外被体の外表面に形成されたガラス材またはセラミック材からなる耐熱性コーティング層とを備えるはんだ加熱装置により390〜450℃に加熱溶融した錫を主成分として鉛を含まないはんだの中へ前記外部接続端子と前記絶縁被覆導線とのからげ部分を浸漬することにより、該からげ部分の絶縁被覆膜を溶かして除去するとともに導電線材と外部接続端子とをはんだ接合する導電接続工程を備えることを特徴とするコイル部品の製造方法を提供する。
(2)発熱ヒータ本体と前記発熱ヒータ本体の周囲を覆う金属外被体と前記金属外被体の外表面に形成されたガラス材またはセラミック材からなる耐熱性コーティング層とを備えるはんだ加熱装置が槽中に投入され、かつ、金属母材の表面にモリブデン層とその酸化膜が形成された前記槽の少なくとも内側表面にガラス材またはセラミック材を溶射してなる耐熱性コーティング層が形成されていることを特徴とするコイル部品の製造に用いるのに好適なはんだ槽を提供する。
(3)(2)のコイル部品の製造方法に用いるはんだ槽中の底に溜まったドロスを掻き取って除去するへら状のはんだ槽掃除治具であり、全体もしくは少なくともはんだ槽と接触する掻き取り部分が390℃以上の耐熱性を有する樹脂からなることを特徴とするコイル部品の製造に用いるのに好適なはんだ槽掃除治具を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のコイル部品の製造方法の実施の形態を図面に基いて説明する。なお、コイル部品としての外的構造及び製造方法は、前述のはんだ付け工程を除き、例えば図5に示したチョークコイル10のような従来のコイル部品の製造方法と同様なのでその説明は概説に留め、絶縁被覆導線2の外部接続端子6との浸漬はんだ付けによる導電接続工程について詳述する。
【0017】
図1は本発明のコイル部品の製造方法における導電接続工程の浸漬はんだ付けの様子を示す図である。
【0018】
図1のコイル部品20は前述の図5のチョークコイル10と同様、巻芯1の両端に鍔3a、3bを有し、鍔3bの端面に植設された外部接続端子6、6と、前記巻芯1に巻回されてその端末2a、2bが前記鍔3bの外部接続端子6、6の根元箇所に導出されてからげられている。
【0019】
前記巻芯1は、例えば、フェライト焼成体または磁性粉を混入した樹脂成型体またはアルミナなどのセラミックスから成り、外部接続端子6は例えば鉄、銀または銅とその上に被着された錫メッキ層或いは錫−銅はんだメッキ層等からなるリードである。
【0020】
本発明のコイル部品の製造方法における上記絶縁被覆導線2の端末2a、2bと前記外部接続端子6、6との浸漬はんだ付けによる導電接続工程では、前記絶縁被覆導線2の端末2a、2bと外部接続端子6とのからげ部分を接合箇所12として、外部接続端子6共々はんだ槽38中の390〜450℃に加熱溶融したPbフリーはんだ22に浸漬して前記接合箇所12の絶縁被覆膜5を熱で溶融破壊して除去し、露出した導電線材4と外部接続端子6とを被覆するようにPbフリーはんだ22で濡らし、引き上げてはんだを固着させて接合する。
【0021】
この際、用いるはんだ槽38は、図2の断面図に示されるように、はんだ槽の金属母材17の表面にモリブデン層25とその酸化膜26(MoO)が形成された槽の少なくとも内側表面にガラス材またはセラミック材(例えばアルミナAl、ジルコニアZrO等)を溶射してなるコーティング膜14を備えている。金属母材17としては前述のSUS304の他、SUS316(18Cr−12Ni−Mo)が良好である。また高価ではあるが、チタン材を金属母材17としても良い。
【0022】
はんだ槽38の構成は良好な金属母材17に対する保護膜となって耐久性が向上してはんだ槽の寿命が長くなる。また、モリブデン層25とその酸化膜26(MoO)と耐熱性コーティング層14が保護膜となるので、金属母材17は限定されず、ステンレス鋼、チタン以外の金属材も選択可能である。
【0023】
上記はんだ槽38のコーティング膜14の膜厚dは10〜1000μm程度であり、加熱されるはんだ槽の保護膜として必要十分な耐熱性(緻密さと堅牢さ)を有することが要求される。また、好ましくはPbフリーはんだ22との濡れ性が低いコーティング膜を採用すべきであるが、上記ガラス材やセラミック材を溶射した膜はこれらの要求を満たすコーティング膜である。
【0024】
上記はんだ槽38がコーティング膜14を備えることにより、金属母材は従来の錫−鉛系合金のはんだに対しては勿論、高温に溶融したPbフリーはんだ22に対しても十分に保護されて破損する恐れが少なく、金属母材の組成分のPbフリーはんだ22への溶出、析出の現象が生じない。その結果、前記ステンレス成分(Ni、Fe、Cr)等の酸化膜12は形成されず、Pbフリーはんだ22の導電線材4や外部接続端子6との濡れ性は良好に維持され、コイル部品としての巻線の導電接続の信頼性が良好に維持されるのである。
【0025】
次に、図3に示されるように、特に、上記はんだ槽38中に投入されて390〜450℃という高温にPbフリーはんだ22を加熱溶融するはんだ加熱装置として、発熱ヒータ本体41(例えばニクロム線を発熱源とするもの。)と、前記発熱ヒータ本体41の周囲を覆うステンレス等の金属外被体42と、さらに前記金属外被体42の外表面に形成された前述のガラス材またはセラミック材を溶射してなる耐熱性コーティング層14と、を備えるはんだ加熱装置40を採用する。
【0026】
上記はんだ加熱装置40では、ステンレス鋼のCr酸化膜9等の不動態皮膜のみだと金属成分の溶出が生じやすい高温なPbフリーはんだ22の場合であっても、耐熱性コーティング層14が保護膜となって金属外被体42の劣化が阻止されるのである。
【0027】
次に、はんだ槽やはんだ加熱装置が耐熱性コーティング層14で保護されても、導電接続工程におけるドロス除去作業の際に従来のような金属治具16で上記はんだ槽38の底を傷つけてしまっては金属母材の劣化は防止できない。そこで、本発明のコイル部品の製造に用いるドロス除去用の治具として、図4の斜視図に示されるようなはんだ槽掃除治具50、52を提供する。
【0028】
図4の(a)のはんだ槽掃除治具50は、はんだ槽の大きさにもよるが、概ね縦寸法Yが150mm、横寸法Xが40mm、厚さZが10mm程度のへら状の治具であり、全体がはんだ耐熱性を有するとともにはんだ槽内表面よりも柔らかい樹脂48からできている。また、図4の(b)のはんだ槽掃除治具52は、前記同様の形状で、ステンレス鋼等の金属母材44の表面の全体または少なくともはんだ槽と接触する先端の掻き取り部分45が前記はんだ耐熱性の柔らかい樹脂48からできている。
【0029】
この樹脂48に適用され得る耐熱性樹脂としては、耐熱性に最も優れる非熱可塑性型のポリイミド結合のみのポリイミド樹脂が最適であるが、耐熱性がこれよりも若干劣るものの通常の成形機で成形可能な熱可塑性型のアミド結合を導入したポリイミドアミド、エーテル結合を導入したポリエーテルイミド、さらにフェノール樹脂、アリル樹脂等も使用可能である。また、これらの樹脂の硬度としては、ロックウェルM90〜115が好ましい。
【0030】
上記はんだ槽掃除治具50、52をドロス除去作業に使用することで、従来の錫−鉛系合金のはんだは勿論、Pbフリーはんだを用いる場合もハンダ槽の寿命は長くなり、導電接続の信頼性向上、ひいては導電接続工程の効率化、製造コストの低減が実現するのである。
【0031】
【発明の効果】
(1)本発明に係るコイル部品の製造方法によって、鉛を含有しないはんだを使用してもはんだ槽の金属母材の組成分の溶出、析出の現象が生じず、はんだの濡れ性が良好に維持され、コイル部品の絶縁被覆導線の端末の外部接続端子との接合箇所のはんだ接合の信頼性が良好に維持される。
(2)本発明に係るコイル部品の製造に用いるはんだ槽では、従来の錫−鉛系合金のはんだを蓄える場合は勿論、鉛を含有しないはんだを蓄える場合でも、はんだ槽の寿命が長くなる。また、金属母材としてステンレス鋼、チタンの他に種々の金属が適用可能である。
(3)本発明に係るコイル部品の製造に用いるはんだ槽のはんだ加熱装置では、従来の錫−鉛系合金のはんだを加熱溶融する場合は勿論、鉛を含有しないはんだを加熱溶融する場合でも、はんだ加熱装置の寿命が長くなる。
(4)本発明に係るコイル部品の製造に用いるはんだ槽掃除治具によって、はんだ槽中のドロス除去に際して、はんだ槽を傷つけ劣化させる恐れが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコイル部品の製造方法における導電接続工程の浸漬はんだ付けの様子を示す図である。
【図2】本発明に係る金属母材の表面にモリブデン層とその酸化膜が形成されたはんだ槽の断面構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る加熱装置をはんだ槽に投入した状態を示す図である。
【図4】本発明に係るはんだ槽掃除治具の斜視図である。
【図5】従来のチョークコイルの浸漬はんだ付けによる導電接続工程を示す図である。
【図6】絶縁被覆導線の断面図の例である。
【図7】導電接続工程におけるドロス除去作業を示す図である。
【符号の説明】
1 巻芯
2 絶縁被覆導線
2a、2b 絶縁被覆導線の端末
3a、3b 鍔
4 導電線材
5 絶縁被覆膜
6 外部接続端子
8、38 はんだ槽
10 チョークコイル
11 はんだ
12 接合箇所
14 コーティング膜
15 ドロス
16 金属治具
17 金属母材
20 コイル部品
22 Pbフリーはんだ
25 モリブデン層
26 モリブデン酸化膜
40 加熱装置
41 発熱ヒータ本体
42 金属外被体
45 掻き取り部分
48 樹脂
50、52 はんだ槽掃除治具
d コーティング膜の厚さ

Claims (3)

  1. 導電線材の外周に絶縁被覆膜を有する絶縁被覆導線を巻芯に巻回するとともにその両端末を前記巻芯と一体に設けられた外部接続端子にからげ、金属母材の表面にモリブデン層とその酸化膜が形成された槽の少なくとも内側表面にガラス材またはセラミック材を溶射してなる耐熱性コーティング層を備える構造のはんだ槽中で、当該はんだ槽中に投入され発熱ヒータ本体と前記発熱ヒータ本体の周囲を覆う金属外被体と前記金属外被体の外表面に形成されたガラス材またはセラミック材からなる耐熱性コーティング層とを備えるはんだ加熱装置により390〜450℃に加熱溶融した錫を主成分として鉛を含まないはんだの中へ前記外部接続端子と前記絶縁被覆導線とのからげ部分を浸漬することにより、該からげ部分の絶縁被覆膜を溶かして除去するとともに導電線材と外部接続端子とをはんだ接合する導電接続工程を備えることを特徴とするコイル部品の製造方法。
  2. 発熱ヒータ本体と前記発熱ヒータ本体の周囲を覆う金属外被体と前記金属外被体の外表面に形成されたガラス材またはセラミック材からなる耐熱性コーティング層とを備えるはんだ加熱装置が槽中に投入され、かつ、金属母材の表面にモリブデン層とその酸化膜が形成された前記槽の少なくとも内側表面にガラス材またはセラミック材を溶射してなる耐熱性コーティング層が形成されていることを特徴とするコイル部品の製造に用いるはんだ槽。
  3. 請求項2記載のコイル部品の製造方法に用いるはんだ槽中の底に溜まったドロスを掻き取って除去するへら状のはんだ槽掃除治具であり、全体もしくは少なくともはんだ槽と接触する掻き取り部分が耐熱性を有する樹脂からなることを特徴とするコイル部品の製造に用いるはんだ槽掃除治具。
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