JP3848045B2 - ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素及び該酵素をコードする遺伝子 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素及び該酵素をコードする遺伝子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと記載)合成酵素、このPHA合成酵素をコードする遺伝子、その遺伝子を含む組換えベクター、その組換えベクターにより形質転換され、PHA合成酵素の発現能を有する形質転換体、該形質転換体を利用したPHA合成酵素の生産方法、ならびに該形質転換体を利用したPHAの製造方法に関する。より具体的には、ポリヒドロキシアルカノエートの産生能を有する微生物由来のPHA合成酵素、ならびにそのPHA合成酵素の組換え発現に利用される、PHA合成酵素をコードする遺伝子に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、多くの微生物がポリ−3−ヒドロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のPHAを生産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解性プラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178−197)。これらのポリマーは従来のプラスチックと同様に、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができる。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物により完全分解されるという利点を有しており、従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また、生体適合性にも優れており、医療用軟質部材等としての応用も期待されている。
【0003】
このような微生物産生PHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、これまで主に、PHAの物性の改良という観点から、このような組成や構造の制御に関する研究がなされてきた。
【0004】
例えば、アルカリゲネス・ユウトロファス H16株(Alcaligenes eutropus H16、ATCC No.17699)及びその変異株は、その培養時の炭素源を変化させることによって、3−ヒドロキシ酪酸(3HB)と3−ヒドロキシ吉草酸(3HV)との共重合体を様々な組成比で生産することが報告されている(特表平6−15604号公報、特表平7−14352号公報、特表平8−19227号公報 等)。
【0005】
また、特許公報第2642937号では、シュードモナス・オレオボランス・ATCC29347株(Pseudomonas oleovorans ATCC29347)に、炭素源として非環状脂肪族炭化水素を与えることにより、炭素数が6から12までの3−ヒドロキシアルカノエートをモノマーユニットとするPHAを生産することが開示されている。
【0006】
特開平5−74492号公報では、メチロバクテリウム属(Methylobacterium sp.)、パラコッカス属(Paracoccus sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、シュードモナス属(Pseudomonas sp.)の微生物を、炭素数3から7の第一級アルコールに接触させることにより、3HBと3HVとの共重合体を生産させる方法が開示されている。
【0007】
特開平5−93049号公報、及び、特開平7−265065号公報では、アエロモナス・キャビエ(Aeromonas caviae)を、オレイン酸やオリーブ油を炭素源として培養することにより、3HBと3−ヒドロキシヘキサン酸(3HHx)の2成分共重合体を生産することが開示されている。
【0008】
特開平9−191893号公報では、コマモナス・アシドボランス・IFO13852株(Comamonas acidovorans IFO13852)が、炭素源としてグルコン酸及び1,4−ブタンジオールを用いた培養により、3HBと4−ヒドロキシ酪酸とをモノマーユニットに持つポリエステルを生産することが開示されている。
【0009】
さらに、ある種の微生物では、様々な置換基、例えば、不飽和炭化水素、エステル基、アリール基(芳香環基)、シアノ基、ハロゲン化炭化水素、エポキシド等が導入されたPHAを生産することが報告されており、このような手法によって微生物産生PHAの物性改良を目指す試みもなされ始めている。例えば、Makromol.Chem.,191,1957−1965,1990、Macromolecules,24,5256−5260,1991、Chirality,3,492−494,1991 等では、シュードモナス・オレオボランスが3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸(3HPV)をモノマーユニットとして含むPHAを生産することが報告されており、3HPVが含まれることに起因すると思われる、ポリマー物性の変化が認められている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、微生物産生PHAにおいては、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等を変えることにより、何通りかの組成・構造のものが得られている。しかしながら、その微生物自体のPHA合成酵素は、それぞれの微生物によって、その基質特異性が大きく異なっている。それに伴い、公知の微生物、あるいは、そのような公知の微生物が持つPHA合成酵素のみでは、様々な使用目的に適合した各種モノマー単位を組成に含むPHAを生産させることは困難であった。
【0011】
一方、上述するように、様々な置換基を側鎖に導入したPHAは、導入した置換基の特性等に起因して、極めて有用な機能・特性を具備した「機能性ポリマー」としての展開も期待できる。従って、そのような機能性と生分解性とを兼ね備えた、優れた有用性を持つポリマーを生産し、菌体内に蓄積し得る微生物の探索、開発は極めて有用かつ重要である。さらには、この高い有用性を持つPHAの産生に係わるPHA合成酵素の特定、そのPHA合成酵素をコードする遺伝子を取得することは、目的とするPHAの産生能を有する、新規な形質転換微生物の創製を可能とする。すなわち、PHA合成酵素をコードする遺伝子を含む組換えベクターを構築し、該組換えベクターにより形質転換された形質転換微生物を得て、この形質転換微生物を利用したPHAの製造、あるいは、組換え型PHA合成酵素を発現させる方法へ適用を可能とする。このように、形質転換微生物を利用して、目的のPHAを製造することは、PHAの生産性を高める上で、極めて有用な手段を提供し、PHAの利用を進める上でも重要であると考えられる。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するもので、本発明の目的は、新規な側鎖構造を有するPHAを生産し、その菌体内に蓄積する能力を有する新規微生物を探索し、その新規なPHA産生能に関連する酵素蛋白質、すなわち、新規なPHA合成酵素を特定し、また、そのアミノ酸配列をコードする遺伝子を解明することにある。より具体的には、新規な側鎖構造を有するPHAを生産する微生物に由来する、新規なPHA合成酵素とそのアミノ酸配列をコードするDNAを提供することにある。さらに、本発明は、提供されるPHA合成酵素をコードするDNAを組み込み、宿主微生物の形質転換に利用される組換えベクター、この組換えベクターを用いて形質転換した形質転換微生物の提供をもその目的とする。ならびに、得られた形質転換微生物において、組換え型PHA合成酵素の発現・生産を行う方法、および形質転換微生物を利用して、目的のPHAを製造する方法の提供をも、本発明は目的とする。
【0013】
加えて、本発明は、前記の形質転換微生物における組換え型PHA合成酵素の発現に際し、酵素活性を損なわない範囲で、PHA合成酵素のアミノ酸配列に改変を施した改変型のPHA合成酵素、その改変アミノ酸配列をコードするDNAの提供も、その目的に含むものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明者らは、デバイス材料や医用材料等として有用な、新規な側鎖構造を有するPHAの開発を目指し、所望のPHAを生産し菌体内に蓄積する能力を有する新規微生物の探索を進めた。更に、本発明者らは、鋭意研究を重ね、探索した新規なPHAを生産する新規微生物について、その新規なPHAの生産に係わるPHA合成酵素の特定、ならびに、そのPHA合成酵素をコードする遺伝子の取得を進めた。加えて、取得されたPHA合成酵素の遺伝子を含む組換えベクターの構築、該組換えベクターによる宿主微生物の形質転換、得られた形質転換微生物における組換え型PHA合成酵素の発現、それに伴う、所望のPHAの生産の確認を進めた。
【0015】
その過程で、本発明者らは、化学式(II):
【0016】
【化1】
Figure 0003848045
【0017】
で表される5−(4−フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)を合成し、これを原料(基質)として、対応する化学式(III):
【0018】
【化2】
Figure 0003848045
【0019】
で表される3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)に変換し、この3HFPVに由来する化学式(I):
【0020】
【化3】
Figure 0003848045
【0021】
で示されるモノマーユニットを含む新規なPHAを生産し菌体内に蓄積する能力を有する微生物を土壌から新たに分離した。この新たに分離した微生物を、YN2株とした。本発明者らは、前記のFPVAから3HFPVへの変換を行う酵素活性以外に、このYN2株は、化学式(IV):
【0022】
【化4】
Figure 0003848045
【0023】
で表される4−シクロヘキシル酪酸(CHxBA)を(基質)として、対応する化学式(V):
【0024】
【化5】
Figure 0003848045
【0025】
で表される3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸(3HCHxB)に変換し、この3HCHxBに由来する化学式(VI):
【0026】
【化6】
Figure 0003848045
【0027】
で示されるモノマーユニットを含むPHAを生産し菌体内に蓄積する能力をも有することを見出した。
【0028】
このYN2株の菌学的性質を列挙すれば以下の通りである。
<YN2株の菌学的性質>
形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm
細胞の多形性 :なし
運動性 :あり
胞子形成 :なし
グラム染色性 :陰性
コロニー形状 :円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、クリーム色
生理学的性質
カタラーゼ :陽性
オキシダーゼ :陽性
O/F試験 :酸化的
硝酸塩の還元 :陰性
インドールの生成 :陰性
ブドウ糖酸性化 :陰性
アルギニンジヒドロラーゼ :陰性
ウレアーゼ :陰性
エスクリン加水分解 :陰性
ゼラチン加水分解 :陰性
β−ガラクトシダーゼ :陰性
King'sB寒天での蛍光色素産生:陽性
4%NaClでの生育 :陰性
ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積 :陰性
基質資化能
ブドウ糖 :陽性
L−アラビノース :陰性
D−マンノース :陽性
D−マンニトール :陽性
N−アセチル−D−グルコサミン:陽性
マルトース :陰性
グルコン酸カリウム :陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸 :陰性
dl−リンゴ酸 :陽性
クエン酸ナトリウム :陽性
酢酸フェニル :陽性
以上の菌学的性質から、バージェーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー・第1巻(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology,Volume1)(1984年)、及び、バージェーズ・マニュアル・オブ・ディタミネーティブ・バクテリオロジー(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology)第9版(1994年)に基づいて検索したところ、YN2株はシュードモナス・チコリアイ(Pseudomonas cichorii)に属すると判明した。従って、この菌株をシュードモナス・チコリアイ・YN2株( Pseudomonas cichorii YN2)と命名した。
【0029】
また、シュードモナス・チコリアイ(Pseudomonas cichorii)において、このYN2株の示すPHA生産能を有する菌株の報告はなく、本発明者らは、YN2株を新規な微生物と判断した。なお、本願出願人により、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2)は寄託番号「FERM P−17411」として、通商産業省・工業技術院・生命工学工業技術研究所(特許微生物寄託センター)に寄託されている。
【0030】
本発明者らは、この新規微生物YN2株から、そのPHA合成酵素の遺伝子をクローニングすることに成功し、その塩基配列を決定した。また、この遺伝子がコードしているPHA合成酵素のアミノ酸配列を解明した。以上の知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0031】
すなわち、本発明のPHA合成酵素は、配列番号:1に示すアミノ酸配列を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素、あるいは、配列番号:3に示すアミノ酸配列を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素である。さらには、本発明のPHA合成酵素は、前記配列番号:1に示すアミノ酸配列を実質的に保持し、そのポリヒドロキシアルカノエート合成酵素活性を損なわない範囲でアミノ酸の欠失、置換もしくは付加がなされた改変アミノ酸配列を有するPHA合成酵素、あるいは、前記配列番号:3に示すアミノ酸配列を実質的に保持し、そのポリヒドロキシアルカノエート合成酵素活性を損なわない範囲でアミノ酸の欠失、置換もしくは付加がなされた改変アミノ酸配列を有するPHA合成酵素とすることができる。
【0032】
一方、本発明のPHA合成酵素遺伝子は、上記の配列番号:1に示すアミノ酸配列、またはその改変アミノ酸配列をコードするDNAを含むポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子、あるいは、同じく、上記の配列番号:3に示すアミノ酸配列、またはその改変アミノ酸配列をコードするDNAを含むポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子である。特に、配列番号:1に示すアミノ酸配列をコードするDNAとして、配列番号:2に示すDNA塩基配列を含むPHA合成酵素遺伝子、ならびに、配列番号:3に示すアミノ酸配列をコードするDNAとして、配列番号:4に示すDNA塩基配列を含むPHA合成酵素遺伝子は、それぞれ、YN2株のゲノム遺伝子に由来する本発明のPHA合成酵素遺伝子の一態様である。
【0033】
本発明の組換えベクターは、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子として、上記するアミノ酸配列をコードする遺伝子DNAを含有する組換えベクターである。また、本発明の形質転換微生物は、宿主に適合させた組換えベクター導入により形質転換された形質転換微生物である。
【0034】
さらに、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、組換えベクターを導入した、上記の形質転換微生物をポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の基質を含む培地で培養し、得られる培養物からポリヒドロキシアルカノエートを取得することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方法である。加えて、本発明のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の生産方法は、組換えベクターを導入した、上記の形質転換微生物を培養し、前記形質転換微生物にポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を産出させることを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の生産方法である。
【0035】
例えば、本発明のポリヒドロキシアルカノエートの製造方法は、上記の形質転換微生物を利用して、3HFPVに由来する化学式(I)で示されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法、あるいは、3HCHxBに由来する化学式(VI)で示されるモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエートの製造方法のように、YN2株由来のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素に特徴的な基質特異性を利用する製造方法とすると、好ましいものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明のPHA合成酵素は、本発明者らより分離された新規な微生物、シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)に由来する酵素蛋白質である。すなわち、5−(4−フルオロフェニル)吉草酸(FPVA)を対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸(3HFPV)に変換し、あるいは、4−シクロヘキシル酪酸(CHxBA)を対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸(3HCHxB)に変換し、それぞれ対応するモノマーユニットを含むPHAの合成に係わる酵素活性を有する。
【0037】
以下、本発明のPHA合成酵素とそれをコードする遺伝子について、より具体的に説明する。
【0038】
本発明者らは、YN2株から、前記する基質特異性を示すPHA合成酵素へ翻訳される遺伝子のクローニングを行い、少なくとも二種のアミノ酸配列を有するPHA合成酵素の存在を確認した。すなわち、本発明のPHA合成酵素は、YN2株の染色体遺伝子中においては、配列番号:2に記載する塩基配列のDNAによりコードされている、配列番号:1に記載するアミノ酸配列を有するPHA合成酵素、ならびに、配列番号:4に記載する塩基配列のDNAによりコードされている、配列番号:3に記載するアミノ酸配列を有するPHA合成酵素、この二種類の酵素が存在する。前記の配列番号:2に記載する塩基配列の遺伝子DNAおよび配列番号:4に記載する塩基配列の遺伝子DNAは、下記する手順によりクローニングされる。
【0039】
先ず、シュードモナス・チコリアイ・YN2株において、PHA合成酵素は、染色体遺伝子から翻訳される酵素蛋白質であるので、目的とするPHA合成酵素遺伝子を内在している染色体DNAを取得する。YN2株の菌体から染色体DNAの分離には、公知の分離方法を用いることができる。例えば、YN2株をLB培地、あるいはM9培地に適当な炭素源を加えたもの等で培養した後、菌体を破砕して、例えば、マーマーらの方法(Journal of Molecular Biology,3巻,208頁,1961年)等により、染色体DNAを調製する。
【0040】
次いで、上記の方法により得られた染色体DNAより、遺伝子ライブラリーを作製する。染色体DNAを適当な制限酵素(例えば、Sau3AI等)を用いて分解し、適当な断片長を有する分解物について、これを連結可能な制限酵素(例えば、BamHI等)で切断したベクターに連結し、遺伝子ライブラリーを作製する。
【0041】
ライブラリーの作製に利用するベクターに応じて、適当な断片長は、通常のプラスミドベクターを用いるときは4000〜25000塩基対程度、コスミドあるいはファージベクターを用いるときは15000〜30000塩基対程度とする。適当な長さのDNA断片を分取する方法としては、蔗糖密度勾配を用いる方法やアガロースゲルを用いる方法(Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory出版(1982年))など公知の方法を用いれば良い。
【0042】
通常、遺伝子ライブラリーにおける宿主微生物には、大腸菌を利用するので、ベクターは、宿主微生物(大腸菌)において自律的に増殖し得るファージベクターまたはプラスミドベクターが使用される。汎用されるファージベクターあるいはコスミドベクターとしては、例えばpWE15、M13、λEMBL3、λEMBL4、λFIXII、λDASHII、λZAPII、λgt10、λgt11、Charon4A、Charon21A等が挙げられる。また、多用されるプラスミドベクターとしては、例えばpBR系、pUC系、pBluescriptII系、pGEM系、pTZ系、pET系等が挙げられる。その他、大腸菌に加えて、シュードモナス属などの複数の宿主微生物で自律的増殖が可能なベクター等の各種シャトルベクターを使用することもできる。このベクターについても、それと連結する染色体DNA断片に合わせて、同様に適当な制限酵素で切断することにより、所望の断片を得ることができる。
【0043】
染色体DNA断片とベクター断片との連結はDNAリガーゼを用いればよく、例えば、市販のライゲーションキット(宝酒造(株)など)を用いて行うことができる。このように、例えば、様々な染色体DNA断片とプラスミドベクター断片とを連結させ、種々のDNA断片を含む組換えプラスミドの混合物(以下、遺伝子ライブラリーと記載)を作製する。
【0044】
ここで遺伝子ライブラリー作製において、適当な長さの染色体DNA断片を用いる方法の他に、YN2株から全mRNAを抽出・精製し、逆転写酵素を利用してcDNA断片を合成する方法(Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory出版,1982年)を利用することもできる。また、遺伝子ライブラリーに調製したベクターを利用して、大腸菌に一度形質転換あるいは形質導入した後、宿主大腸菌を培養して、遺伝子ライブラリーを大量に増幅することも可能である(Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory出版,1982年)。
【0045】
遺伝子DNA断片を含む組換えベクターの宿主微生物への導入は、公知の方法により行う。例えば、宿主微生物に大腸菌を用いる場合には、塩化カルシウム法(Journal of Molecular Biology,53巻,159頁,1970年)、塩化ルビジウム法(Methods in Enzymology,68巻,253頁,1979年)やエレクトロポレーション法(Current Protocols in Molecular Biology,1巻,1.8.4頁,1994年)等を利用して、組換えプラスミドベクターを導入できる。また、コスミドベクターやファージベクターを利用する場合、宿主大腸菌の形質導入については、インビトロ・パッケージング法(Current Protocols in Molecular Biology, 1巻, 5.7.1頁,1994年)等を用いることができる。その他、組換えベクターを保持する菌株との接合伝達による方法も、ベクターを保持する菌株の取得に利用可能である。
【0046】
次に、前記遺伝子ライブラリー中から、YN2株のPHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片を得るためのプローブを調製する。
【0047】
公知の微生物において、そのPHA合成酵素遺伝子について、既にいくつか、その塩基配列が報告されている(Peoples, O. P. and Sinskey,A. J., J. Biol. Chem., 264, 15293 (1989);Huisman, G. W. et al., J. Biol. Chem., 266, 2191 (1991);Pieper,U. et al., FEMS Microbiol. Lett., 96, 73 (1992);Timm, A. and Steinbuchel, A., Eur. J. Biochem., 209, 15 (1992);Matsusaki, H. et al., J. Bacteriol., 180, 6459 (1998))。これら報告されている塩基配列を比較して、塩基配列の保存度の高い領域を選択し、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと記載)に用いるプライマー用のオリゴヌクレオチドを設計する。PHA合成酵素遺伝子の共通性を利用する、このようなプライマー用オリゴヌクレオチドとしては、Timm, A. and Steinbuchel, A., Eur. J. Biochem., 209, 15 (1992)により報告された塩基配列が挙げられるが、これに限定されるものではない。オリゴヌクレオチドは、設計された塩基配列に従って、例えば、アマシャム・ファルマシアバイオテクのカスタム合成サービス等、商業的なDNA合成装置などを利用して合成が可能である。
【0048】
本発明のYN2株由来のPHA合成酵素遺伝子に対しては、PCRプライマー用のオリゴヌクレオチドとして、配列番号:5に記載する塩基配列ならびに配列番号:6に記載する塩基配列の合成DNAを設計した。
【0049】
次に、設計したオリゴヌクレオチドをプライマーとし、YN2株の染色体DNAを鋳型として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行い、PCR増幅断片を採取する。得られたPCR増幅断片は、プライマーに由来して、PHA合成酵素遺伝子に共通する塩基配列を両端に含む。両端のプライマーに相補的な塩基配列の間に、テンプレートであるYN2株のPHA合成酵素遺伝子自体に由来する部分塩基配列を有するものとなる。
【0050】
従って、得られたPCR増幅断片はYN2株のPHA合成酵素遺伝子に100%近い相同性を有する断片であり、コロニーハイブリダイゼーションを行う際のプローブとして高いS/N比を期待することができる。加えて、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー制御を容易なものとすることが可能である。
【0051】
前記のPCR増幅断片を適当な試薬を用いて標識し、プローブに用いて前記染色体DNAライブラリーについてコロニーハイブリダイゼーションを行い、PHA合成酵素遺伝子を保持する組換え大腸菌菌株を選抜する(Current Protocols in Molecular Biology,1巻,6.0.3頁,1994年)。例えば、PCR増幅断片の標識は、標識酵素を用いる汎用の検出系、AlkPhosDirect(アマシャム・ファルマシアバイオテク)などの市販のキットを利用することができる。
【0052】
また、PHA合成酵素遺伝子を含む遺伝子断片を保持する組換え大腸菌菌株の選抜は、上記の遺伝子型を利用した選抜方法以外にもPHA合成の有無を直接評価する表現型を利用した方法に拠ることも可能である。すなわち、組換え大腸菌菌株において、保持するPHA合成酵素遺伝子からPHA合成酵素の発現がなされる場合、そのPHA合成酵素によるPHAの生産がなされる。このPHA合成の有無を調べ、PHA合成酵素の発現がなされている組換え大腸菌菌株を選別することも可能である。PHA合成の有無を調べる方法としては、例えば、スダンブラックBにより染色する方法(Archives of Biotechnology,71巻,283頁,1970年)、位相差顕微鏡によりPHAの蓄積を調べる方法などを用いることができる。
【0053】
前記の何れかの方法により選抜した組換え大腸菌から、アルカリ法(Current Protocols in Molecular Biology,1巻,1.6.1頁,1994年)を用いてプラスミドを回収する。この回収されたプラスミドから、PHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片、あるいは、PHA合成酵素遺伝子を部分的に含むDNA断片複数を得ることができる。採取したDNA断片の塩基配列の決定は、例えばサンガー法(Molecular Cloning,2巻,13.3頁,1989年)等によって行うことが可能である。具体的には、塩基配列自動分析装置、例えばDNAシーケンサー377A(パーキン・エルマー)等を用いてダイプライマー法あるいはダイターミネーター法により行うことができる。DNA断片が組み込まれたベクター自体の塩基配列は既知であるので、そこにクローニングされているDNA断片の塩基配列は、一義的に解析が可能である。
【0054】
なお、上記方法により、採取したPHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片の全塩基配列を決定した後は、化学合成法、染色体DNAを鋳型としたPCR法、あるいは該塩基配列を有するDNA断片の制限酵素による分解等の任意の方法により調製したDNA断片をプローブとしてハイブリダイズすることにより、本発明のPHA合成酵素遺伝子DNAを得ることが可能である。
【0055】
本発明者らは、上述の手順に従って、YN2株から、前記する基質特異性を示すPHA合成酵素へ翻訳される遺伝子の選別を行い、少なくとも二種のアミノ酸配列を有するPHA合成酵素の存在を見出した。すなわち、YN2株の染色体DNAから採取した、配列番号:2に示す塩基配列を有する本発明のPHA合成酵素遺伝子と、この遺伝子によりコードされている配列番号:1に示すアミノ酸配列を有するPHA合成酵素、ならびに、配列番号:4に示す塩基配列を有する本発明のPHA合成酵素遺伝子と、この遺伝子によりコードされている配列番号:3に示すアミノ酸配列を有するPHA合成酵素である。
【0056】
また、本発明のPHA合成酵素遺伝子は、例えば、そのコードするアミノ酸配列が同じとなる、縮重コドンにおいてのみ異なる、同一のポリペプチドをコードする縮重異性体も包含する。より具体的には、同一のアミノ酸をコードする縮重コドンを、宿主に依存して、より使用頻度の高いコドンを選択し、変換した縮重異性体をも包含する。一方、本発明のPHA合成酵素は、YN2株固有の配列番号:1に示すアミノ酸配列を有するPHA合成酵素、および配列番号:3に示すアミノ酸配列を有するPHA合成酵素に加え、そのPHA合成活性ならびに基質特異性を損なわない限り、また、アミノ酸配列を実質的に維持する範囲内で、いくつかのアミノ酸について欠失、置換、付加等の変異があってもよい。ここで、欠失、置換、付加等の変異は、配列番号:2に示す塩基配列あるいは配列番号:4に示す塩基配列を有する、YN2株固有のPHA合成酵素遺伝子を基にして、部位突然変異導入方法(Current Protocols in Molecular Biology1巻,8.1.1頁,1994年)等により導入可能である。
【0057】
本発明の組換えベクターは、本発明の組換え型PHA合成酵素を、シュードモナス属に属する微生物、大腸菌等の微生物を宿主として、発現する用途に用いるものである。従って、本発明の組換えベクター自体が、用いる宿主中で自律複製可能であると同時に、発現を誘起するプロモーター、本発明のPHA合成酵素遺伝子DNA、ならびに宿主に適する転写終結配列を含む構成であることが好ましい。加えて、組換えベクターの導入後、その選別に利用される各種のマーカー遺伝子を具えるベクターを用いるとよい。
【0058】
シュードモナス属に属する微生物、大腸菌など、多種な細菌の宿主に適合する発現ベクターとしては、広範囲の宿主において複製・保持されるRK2複製起点を有するpLA2917 (ATCC 37355)やRSF1010複製起点を有するpJRD215 (ATCC 37533)等が挙げられる。これらに限らず、広範囲の宿主において複製・保持される複製起点を有するものならば何れも使用可能である。プロモーターは、宿主とする細菌中で発現できるものであれば何れも使用可能であり、例えば、trpプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター、T3プロモーターなどの大腸菌やファージ等に由来するプロモーターを用いることができる。
【0059】
酵母を宿主として用いる場合は、発現ベクターとして、例えば、YEp13、YCp50、pRS系、pYEX系ベクター等が利用可能である。プロモーターとしては、例えば、GALプロモーター、AODプロモーター等を用いることができる。
【0060】
本発明の形質転換微生物は、本発明の組換えベクターを、その組換えベクターを作製する際に用いた発現ベクターに適合する宿主中に導入することにより得られる。宿主として利用可能な細菌類として、エシェリチア(Esherichia)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ラルストーニャ(Ralstonia)属、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、コマモナス(Comamonas)属、バルクホルデリア(Burkholderia)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、フラボバクテリウム(Flabobacterium)属、ビブリオ(Vibrio)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、リゾビウム(Rhizobium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、モラセラ(Moraxella)属、ニトロゾモナス(Nitrosomonas)属、アエロモナス(Aeromonas)属、 パラコッカス(Paracoccus)属、バチルス(Bacillus)属、クロストリヂウム(Clostridium)属、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、アクチノマイセス(Actinomyces)属、ノカルジア(Nocardia)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属などの各種細菌が挙げられる。細菌への組換えDNAの導入方法としては、前述した塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等が利用可能である。
【0061】
また、上記の細菌以外にも、宿主に利用できる微生物として、サッカロミセス(Saccharomyces)属、カンジダ(Candida)属等の酵母、かび等が挙げられる。酵母への組換えDNAの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法(Methods Enzymol.,194,182-187(1990))、スフェロプラスト法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 1929-1933 (1978))、酢酸リチウム法(J. Bacteriol., 153, 163-168 (1983))等が利用可能である。
【0062】
本発明のPHA合成酵素は、上記の手法で創製される本発明の形質転換体を培養し、導入されている発現ベクター中の対応するPHA合成酵素遺伝子から組換え型蛋白質として生産される。その培養物(培養菌体又は培養上清)中に本発明のPHA合成酵素を産生・蓄積させ、培養物から目的のPHA合成酵素を分離・取得することにより、組換え型酵素蛋白質の生産を行うことができる。この目的では、本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法を用いればよい。また培養方法は、バッチ式、流動バッチ式、連続培養、リアクター形式等、通常の微生物の培養に用いるいかなる方法をも用いることができる。なお、この培養では、前記ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子発現の誘導物質を含む培地を用いることもできる。
【0063】
大腸菌等の細菌を宿主として得られた形質転換体においては、培養に用いる培地として、完全培地あるいは合成培地、例えばLB培地、M9培地等が挙げられる。また、培養温度は25〜37℃の範囲で、好気的に8〜72時間培養することにより、微生物の増殖を図る。その後、集菌し、菌体内に蓄積されたPHA合成酵素の回収を行うことができる。この微生物の増殖に必要な炭素源として、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、マルトース、ガラクトース、でんぷん等の糖類、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、グリセリン等の多価アルコール類、酢酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、グルコン酸等の有機酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸等の脂肪酸等が利用できる。
【0064】
窒素源としては例えばアンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩の他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、麦芽エキス、カゼイン分解物、コーンスティープリカー等の天然物由来のものが挙げられる。また、無機物として、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。培養液には、マーカー遺伝子として用いている各種薬剤耐性遺伝子等に応じて、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン等の抗生物質を添加してもよい。
【0065】
また、発現ベクターにおいて、誘導性のプロモーターを用いている場合は、形質転換した微生物を培養する際に、そのプロモーターの種類に応じて適する誘導物質を培地に添加して、発現を促せばよい。例えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)、テトラサイクリン、インドールアクリル酸(IAA)等が誘導物質として挙げられる。
【0066】
PHA合成酵素の分離・精製は、得られる培養物を遠心・回収し、アフィニティークロマトグラフィー、陽イオン又は陰イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等の手段を単独でまたは適宜組み合わせることによって行うことができる。得られた精製物質が目的の酵素であることの確認は、通常の方法、例えばSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、ウエスタンブロッティング等により行う。
【0067】
なお、本発明の形質転換微生物の培養、本発明の形質転換微生物によるPHA合成酵素の生産、菌体内への蓄積、並びに、菌体からのPHA合成酵素の回収および精製は、上に例示した方法に限定されるものではない。
【0068】
本発明の形質転換微生物を培養して、組換え型PHA合成酵素を発現させ、目的のPHAを産生させることができる。例えば、前記の培養条件で培養して、組換え型PHA合成酵素を生産させ、その際、目的とするPHAに対応する基質を培地に添加し、PHA合成酵素を作用させる。培養物、生産菌体からのPHAの回収は、通常行われているクロロホルム等の有機溶媒による抽出が最も簡便ではある。また、クロロホルム等の有機溶媒が使用しにくい環境中においては、SDS等の界面活性剤による処理、リゾチーム等の酵素による処理、EDTA、次亜塩素酸ナトリウム、アンモニア等の薬剤による処理によってPHA以外の菌体成分を除去して、PHAを回収する方法を用いることもできる。なお、PHA製造を目的とする本発明の形質転換微生物の培養、培養した微生物によるPHAの生産、菌体内への蓄積、並びに、形質転換微生物の菌体からのPHAの回収は、上に例示した方法に限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、以下に述べる実施例は本発明の最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明の技術的範囲は、これら実施例に限定されるものではない。
【0070】
(実施例1) YN2株のPHA合成酵素遺伝子のクローニング
YN2株を100mlのLB培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%塩化ナトリウム、pH7.4)で、30℃、一晩培養後、マーマーらの方法により染色体DNAを分離回収した。得られた染色体DNAを制限酵素Hind IIIで完全分解した。ベクターにはpUC18を使用し、制限酵素Hind IIIで切断した。末端の脱リン酸化処理(Molecular Cloning,1巻,5.7.2頁,1989年;Cold Spring Harbor Laboratory出版)の後、DNAライゲーションキットVer.II(宝酒造)を用いて、ベクターの切断部位(クローニングサイト)と染色体DNAのHind III完全分解断片とを連結した。この染色体DNA断片を組み込んだプラスミドベクターを用いて、大腸菌(Escheichia coli)HB101株を形質転換し、YN2株の染色体DNAライブラリーを作製した。
【0071】
次に、YN2株のPHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片を選択するため、コロニー・ハイブリダイズ用のプローブ調製を行った。配列番号:5および配列番号:6の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し(アマシャムファルマシア・バイオテク)、このオリゴヌクレオチドをプライマーに用いて、染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行った。PCR増幅されてきたDNA断片をプローブとして用いた。プローブの標識化は、市販の標識酵素系AlkPhosDirect(アマシャムファルマシア・バイオテク)を利用して行った。得られた標識化プローブを用いて、YN2株の染色体DNAライブラリーからコロニーハイブリダイゼーション法によってPHA合成酵素遺伝子を含む組換えプラスミドを有する大腸菌菌株を選抜した。選抜した菌株から、アルカリ法によってプラスミドを回収することで、PHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片を得ることができた。
【0072】
ここで取得した遺伝子DNA断片を、不和合性グループであるIncP、IncQ、あるいはIncWの何れにも属さない広宿主域複製領域を含むベクターpBBR122(Mo Bi Tec)に組み換えた。この組み換えプラスミドをシュードモナス・チコリアイYN2m1株(PHA合成能欠損株)にエレクトロポレーション法により形質転換したところ、YN2m1株のPHA合成能が復帰し、相補性を示した。従って、選抜された遺伝子DNA断片は、シュードモナス・チコリアイYN2m1株内において、PHA合成酵素に翻訳可能な、PHA合成酵素遺伝子領域を含むことが確認される。
【0073】
このPHA合成酵素遺伝子を含むDNA断片について、サンガー法により塩基配列を決定した。その結果、決定された塩基配列中には、それぞれペプチド鎖をコードする、配列番号:2および配列番号:4で示される塩基配列が存在することが確認された。下で述べるように、個々のペプチド鎖からなる蛋白質は、ともに酵素活性を有しており、配列番号:2および配列番号:4で示される塩基配列はそれぞれPHA合成酵素遺伝子であることを確認することができた。すなわち、配列番号:1に示すアミノ酸配列を配列番号:2の塩基配列はコードしており、配列番号:3に示すアミノ酸配列を配列番号:4の塩基配列はコードしており、この何れか一方のアミノ酸配列を有する蛋白質のみで、PHA合成能が発揮されることを確認した。
【0074】
(実施例2) YN2株のPHA合成酵素遺伝子の発現ベクターへの組換え
配列番号:2で示される塩基配列のPHA合成酵素遺伝子について、染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を再調製した。配列番号:2で示される塩基配列に対して、上流側プライマーとなる、その開始コドンよりも上流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:7)および下流側プライマーとなる、終止コドンよりも下流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:8)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライマーとして、PCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0075】
同様に、配列番号:4で示される塩基配列のPHA合成酵素遺伝子についても、染色体DNAをテンプレートとしてPCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を再調製した。配列番号:4で示される塩基配列に対して、上流側プライマーとなる、その開始コドンよりも上流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:9)および下流側プライマーとなる、終止コドンよりも下流の塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(配列番号:10)をそれぞれ設計・合成した(アマシャムファルマシア・バイオテク)。このオリゴヌクレオチドをプライマーとして、PCRを行い、PHA合成酵素遺伝子の完全長を増幅した(LA−PCRキット;宝酒造)。
【0076】
次に、得られたPHA合成酵素遺伝子の完全長を含むPCR増幅断片を、それぞれについて制限酵素Hind IIIを用いて完全分解した。また、発現ベクターpTrc99Aも制限酵素Hind IIIで切断し、脱リン酸化処理(Molecular Cloning,1巻,5.7.2頁,1989年;Cold Spring Harbor Laboratory出版)した。この発現ベクターpTrc99Aの切断部位に、両末端の不用な塩基配列を除いたPHA合成酵素遺伝子の完全長を含むDNA断片を、DNAライゲーションキットVer.II(宝酒造)を用いて連結した。
【0077】
得られた組換えプラスミドで大腸菌(Escherichia coli HB101:宝酒造)を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた組換え体を培養し、組換えプラスミドの増幅を行い、組換えプラスミドをそれぞれ回収した。配列番号:2の遺伝子DNAを保持する組換えプラスミドをpYN2-C1(配列番号2由来)、配列番号:4の遺伝子DNAを保持する組換えプラスミドをpYN2-C2(配列番号4由来)とした。
【0078】
(実施例3) PHA合成酵素遺伝子組換え大腸菌によるPHA生産−1
実施例2で得られた組換えプラスミド、pYN2-C1(配列番号2由来)、pYN2-C2(配列番号4由来)で大腸菌(Escherichia coli HB101fB fadB欠損株)を塩化カルシウム法により形質転換し、それぞれの組換えプラスミドを保持する組換え大腸菌株、pYN2-C1組換え株、pYN2-C2組換え株を得た。
【0079】
pYN2-C1組換え株、pYN2-C2組換え株それぞれを酵母エキス0.5%、FPVA0.1%とを含むM9培地200mlに植菌して、37℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0080】
この凍結乾燥ペレットを100mlのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。次いで、濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表1に、各菌株について、菌体乾燥重量、回収されたPHAのポリマー乾燥重量、菌体当たりのポリマー収率(ポリマー乾燥重量/菌体乾燥重量)ならびにモノマーユニットの同定結果を併せて示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003848045
【0082】
以上に示すように、pYN2-C1組換え株、pYN2-C2組換え株ともに、基質の5−(4−フルオロフェニル)吉草酸から、対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸に由来する化学式(I)に示すモノマーユニットを主成分とするPHAを生産することが判る。従って、pYN2-C1組換え株は、配列番号:2に示す塩基配列を含むPHA合成酵素遺伝子から翻訳される、配列番号:1に示すアミノ酸配列のPHA合成酵素のみを、pYN2-C2組換え株は、配列番号:4に示す塩基配列を含むPHA合成酵素遺伝子から翻訳される、配列番号:3に示すアミノ酸配列のPHA合成酵素のみを、それぞれ生産するが、この両者ともに、同じく基質の5−(4−フルオロフェニル)吉草酸から、対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸に由来する化学式(I)に示すモノマーユニットへの変換と、それを含むPHAの合成を行うことが確認される。
【0083】
(実施例4) PHA合成酵素遺伝子組換え大腸菌によるPHA生産−2
実施例2で得られた組換えプラスミド、pYN2-C1(配列番号2由来)、pYN2-C2(配列番号4由来)で大腸菌(Escherichia coli HB101fB fadB欠損株)を塩化カルシウム法により形質転換し、それぞれの組換えプラスミド由来の組換え大腸菌を得た。
【0084】
pYN2-C1組換え株、pYN2-C2組換え株それぞれを酵母エキス0.5%、4−シクロヘキシル酪酸0.1%とを含むM9培地200mlに植菌して、37℃、125ストローク/分で振盪培養した。24時間後、菌体を遠心分離によって回収し、冷メタノールで一度洗浄して凍結乾燥した。
【0085】
この凍結乾燥ペレットを100mlのクロロホルムに懸濁し、60℃で20時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮液を冷メタノール中で再沈殿させ、更に沈殿のみを回収して真空乾燥してPHAを得た。得られたPHAは、常法に従ってメタノリシスを行ったのち、ガスクロマトグラフィー−質量分析装置(GC−MS,島津QP−5050、EI法)で分析し、PHAモノマーユニットのメチルエステル化物の同定を行った。表2に、各菌株について、菌体乾燥重量、回収されたPHAのポリマー乾燥重量、菌体当たりのポリマー収率(ポリマー乾燥重量/菌体乾燥重量)ならびにモノマーユニットの同定結果を併せて示す。
【0086】
【表2】
Figure 0003848045
【0087】
以上に示すように、pYN2-C1組換え株、pYN2-C2組換え株ともに、基質の4−シクロヘキシル酪酸から、対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸に由来する化学式(VI)に示すモノマーユニットを主成分とするPHAを生産することが判る。従って、pYN2-C1組換え株は、配列番号:2に示す塩基配列を含むPHA合成酵素遺伝子から翻訳される、配列番号:1に示すアミノ酸配列のPHA合成酵素のみを、pYN2-C2組換え株は、配列番号:4に示す塩基配列を含むPHA合成酵素遺伝子から翻訳される、配列番号:3に示すアミノ酸配列のPHA合成酵素のみを、それぞれ生産するが、この両者ともに、同じく基質の4−シクロヘキシル酪酸から、対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸に由来する化学式(VI)に示すモノマーユニットへの変換と、それを含むPHAの合成を行うことが確認される。
【0088】
上記実施例3の結果をも考慮すると、配列番号:1に示すアミノ酸配列のPHA合成酵素と配列番号:3に示すアミノ酸配列のPHA合成酵素は、互いの基質の特異性が類似した酵素活性を有することが判る。
【0089】
【発明の効果】
本発明のPHA合成酵素、ならびにこのPHA合成酵素をコードする遺伝子は、新規な微生物シュードモナス・チコリアイ・YN2株に由来するものであり、新規な側鎖構造を有するモノマーユニットを選択的に含むPHA合成を行うという基質特異性を示す。また、このPHA合成酵素遺伝子を含む組換えベクター、および該組換えベクターにより形質転換された形質転換微生物は、シュードモナス・チコリアイ・YN2株と同様の基質特異性を示すPHA合成能を有したものとなる。このように、本発明のPHA合成酵素遺伝子は、新規な側鎖構造を有するモノマーユニットを選択的に含むPHA合成を可能とする酵素をコードしており、種々の有用な物性を有し、機能性ポリマーへの応用が期待されるPHAを合成する上で、有用な形質転換微生物の創製を可能とする。
【0090】
【配列表】
Figure 0003848045
Figure 0003848045
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Figure 0003848045

【図面の簡単な説明】
【図1】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第一のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図2】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第一のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図3】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第一のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図4】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第一のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図5】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第一のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図6】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第二のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図7】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第二のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図8】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第二のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図9】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第二のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。
【図10】シュードモナス・チコリアイ・YN2株(Pseudomonas cichorii YN2:FERM P−17411)由来の第二のPHA合成酵素をコードする塩基配列とアミノ酸配列を対応して示す図である。

Claims (16)

  1. 配列番号:1に示すアミノ酸配列を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素。
  2. 配列番号:1に示すアミノ酸配列に対して、基質の5−(4−フルオロフェニル)吉草酸から、対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性、及び/又は、基質の4−シクロヘキシル酪酸から、対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性を損なわない範囲で、配列番号:1に示すアミノ酸配列から数個を超えないアミノ酸の欠失、置換もしくは付加がなされた改変アミノ酸配列を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素。
  3. 請求項1あるいは2に記載するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列を含むポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子。
  4. 配列番号:1に示すアミノ酸配列をコードする、配列番号:2に示すDNA塩基配列を含む請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子。
  5. 配列番号:3に示すアミノ酸配列を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素。
  6. 配列番号:3に示すアミノ酸配列に対して、基質の5−(4−フルオロフェニル)吉草酸から、対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性、及び/又は、基質の4−シクロヘキシル酪酸から、対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性を損なわない範囲で、配列番号:3に示すアミノ酸配列から数個を超えないアミノ酸の欠失、置換もしくは付加がなされた改変アミノ酸配列を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素。
  7. 請求項5あるいは6に記載するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列を含むポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子。
  8. 配列番号:3に示すアミノ酸配列をコードする、配列番号:4に示すDNA塩基配列を含む請求項7に記載のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子。
  9. ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子として、前記請求項3または4、あるいは、請求項7または8に記載する遺伝子を含有する組換えベクター。
  10. 請求項9に記載の組換えベクターの導入により形質転換された形質転換微生物。
  11. 請求項10に記載の形質転換微生物をポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の基質を含む培地で培養し、得られる培養物からポリヒドロキシアルカノエートを取得することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
  12. 請求項10に記載の形質転換微生物を培養し、前記形質転換微生物にポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を産出させることを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート合成酵素の生産方法。
  13. 配列番号:1に示すアミノ酸配列に対して、基質の5−(4−フルオロフェニル)吉草酸から、対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性、及び、基質の4−シクロヘキシル酪酸から、対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性を損なわない範囲で、配列番号:1に示すアミノ酸配列から数個を超えないアミノ酸の置換がなされた改変アミノ酸配列を有する
    ことを特徴とする、請求項に記載のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素。
  14. 配列番号:3に示すアミノ酸配列に対して、基質の5−(4−フル オロフェニル)吉草酸から、対応する3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロフェニル)吉草酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性、及び、基質の4−シクロヘキシル酪酸から、対応する3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸へと変換されたモノマーユニットを含むポリヒドロキシアルカノエート合成を行う酵素活性を損なわない範囲で、配列番号:3に示すアミノ酸配列から数個を超えないアミノ酸の置換がなされた改変アミノ酸配列を有する
    ことを特徴とする、請求項に記載のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素。
  15. ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAは、配列番号:2で示される塩基配列に対して、同一のアミノ酸をコードする縮重コドンにおいてのみ異なるコドンへ変換された縮重異性体の塩基配列を有するものである請求項3に記載のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子。
  16. ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAは、配列番号:4で示される塩基配列に対して、同一のアミノ酸をコードする縮重コドンにおいてのみ異なるコドンへ変換された縮重異性体の塩基配列を有するものである請求項7に記載のポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子。
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