JP2006204253A - ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリヒドロキシアルカノエートの分解、再生産に有用なポリヒドロキシアルカノエート分解酵素およびその遺伝子を提供することである。
【解決手段】 特徴的な基質特異性を有するポリヒドロキシアルカノエート生産菌の有するポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を単離し、その遺伝子をクローニングして、DNA配列を決定し、組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造を可能とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 特徴的な基質特異性を有するポリヒドロキシアルカノエート生産菌の有するポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を単離し、その遺伝子をクローニングして、DNA配列を決定し、組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造を可能とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、DNA組換え技術によるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素に関し、より詳しくは、シュードモナス属(Pseudomonads)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素および該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を有する発現ベクター、該発現ベクターにより形質転換された微生物、該形質転換体を培養することによる組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造方法、そのようにして得られる組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素、該組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を用いるポリヒドロキシアルカノエートの分解方法に関する。
これまで、多くの微生物がポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)あるいはその他のポリ-3-ヒドロキシアルカノエート(PHA)を生産し、菌体内に蓄積することが報告されてきた(「生分解性プラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178-197(1995))。これらのポリマーは従来のプラスチックと同様に、溶融加工等により各種製品の生産に利用することができる。さらに、生分解性であるがゆえに、自然界で微生物により完全分解されるという利を有しており、従来の多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また、生体適合性にも優れており、医療用軟質部材等としての応用も期待されている。特に最近、微生物産生PHAのより広範囲な応用、例えば機能性ポリマーとしての応用を考慮して、アルキル基以外の置換基を側鎖に導入したPHA「unusual PHA」が極めて有用であることが期待されている。このような置換基の例としては、芳香環を含むもの(フェニル基、フェノキシ基、ベンゾイル基等)や、不飽和炭化水素、エステル基、アリル基、シアノ基、ハロゲン化炭化水素、エポキシド、チオエーテルなどが挙げられる。微生物産生PHAは、その生産に用いる微生物の種類や培地組成、培養条件等により、様々な組成や構造のものとなり得ることが知られており、このようなPHAを産生する微生物については様々な研究が成され、PHAの生合成経路は比較的よく調べられてきた。これまでのところポリヒドロキシアルカノエート合成酵素はその基質特異性とサブユニット構成により、3つのクラスに分類されている。
「第1のクラス」に属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素はRalstonia eutrophaやAeromonas punctataなどに見出されるもので、炭素数3から5の短い鎖長の3−ヒドロキシアルカン酸と、補酵素CoAとのチオエステル体を基質として利用する。
「第2のクラス」に属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素はPseudomonas oleovolansやPseudomonas aeruginosaなどに見出されるもので、炭素数6から14の中鎖長3−ヒドロキシアルカン酸のほか様々な「unusual」な3−ヒドロキシアルカン酸と補酵素CoAとのチオエステル体を基質として利用する。
第1、第2のクラスともに、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素は分子量61から73kDaの単一のサブユニットから構成されている。
第1、第2のクラスともに、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素は分子量61から73kDaの単一のサブユニットから構成されている。
「第3のクラス」に属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素はAllochromatium vinosumやEctothiorhodospira shaposhnikoviiなどに見出され、約40kDaの相異なる2種類のサブユニットから構成される。基質特異性は、第1のクラスのポリヒドロキシアルカノエート合成酵素に似て、炭素数3から5の短い鎖長の3−ヒドロキシアルカン酸と補酵素CoAとのチオエステル体を利用する。
一方、PHAの分解経路については不明な点が多い。The Journal of Biological Chemistry 266, 2191(1991)には上記「第2のクラス」に属する基質特異性を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有するPseudomonas oleovolansに対する化学変異原処理によって細胞内PHAを分解できない変異株を取得し、これを利用してPHA分解活性を相補する遺伝子をクローニングしたことが開示されている。これによれば、PHA合成酵素遺伝子(phaC1, phaC2)とPHA分解酵素遺伝子(phaZ)はクラスターを形成し、phaC1-phaZ-phaC2という構成をとっている。その後、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas sp.61-3、Pseudomonas resinovolans、Pseudomonas putida U、Pseudomonas mendocinaなど、Pseudomonas oleovolansと同じ「第2のクラス」に属する基質特異性を有するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有する他の細菌においても、同じphaC1-phaZ-phaC2という遺伝子構成をとっていることが明らかになっている。
ところでこれらの研究の過程でPHA分解酵素遺伝子の機能しない変異株が単離されたものの、PHA分解酵素活性と細胞内PHAの蓄積量との関係についてはわかっていない。
一方、特開平11−113574号公報には「第1のクラス」に属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有するアルカリゲネス・ユートロファスから単離されたポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)の分解酵素が提示されている。また特開平9−191887号公報には「第1のクラス」に属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有するアルカリゲネス・フェリカスから単離されたポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)の分解酵素が提示されている。さらに、特開平6−086681号公報には「第1のクラス」に属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有するズーグロエア・ラミゲラから単離されたポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)の分解酵素が提示されている。
特開平11−113574号公報
特開平9−191887号公報
特開平6−086681号公報
「生分解性プラスチックハンドブック」,生分解性プラスチック研究会編,(株)エヌ・ティー・エス,P178-197(1995)
The Journal of Biological Chemistry 266, 2191(1991)
機能性ポリマーとして期待されているPHAを、安価にかつ大量に安定的に得るためにはその生産性を向上させることが必要である。このためには、単にPHAを産生する微生物の生合成効率を高めるのみでなく、その分解を抑えることが重要であると考えられる。従来知られていた前記第1のクラスに属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有する微生物から単離されたポリ-3-ヒドロキシ酪酸(PHB)の分解酵素は、炭素数3から5の短い鎖長の3−ヒドロキシアルカン酸を構成単位とするPHAの分解に関与するものであるので、機能性ポリマーとして期待されているPHA(特にunusual PHA)を、安価にかつ大量に安定的に得るためには、利用できない。本発明の解決しようとする課題は、前記第2のクラスに属するポリヒドロキシアルカノエート合成酵素を有する微生物のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素およびその遺伝子を提供することである。
本発明者らは鋭意研究を行ない、unusualなPHA産生微生物の一種であるシュードモナス スピーシーズ YN21株(Pseudomonas sp. YN21)、シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichoriiH45)、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)、及びシュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAのクローニングを行った。つづいて、該DNAを含有する発現ベクターを構築し、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養することにより、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有する組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を製造することに成功した。本発明によりポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAがクローニングされたので、該DNAを含有する適当な発現ベクターを構築し、該発現ベクターで宿主細胞を形質転換させ、効率よくポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を得ることが可能になった。
また、通常の遺伝子組換え技術を用いて、アミノ酸の付加、欠失、挿入、置換等により、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を保持している誘導体を得ることも当業者にとって容易に行えるようになった。
また、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は従来基質にならなかった様々な置換基を側鎖に有するunusualなPHAを基質として利用しうることを見出したことによって本発明を完成した。
また、通常の遺伝子組換え技術を用いて、アミノ酸の付加、欠失、挿入、置換等により、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を保持している誘導体を得ることも当業者にとって容易に行えるようになった。
また、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は従来基質にならなかった様々な置換基を側鎖に有するunusualなPHAを基質として利用しうることを見出したことによって本発明を完成した。
即ち、本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質の第1の態様は、以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(YN21_PhaZ)である。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列。
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列。
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質の第2の態様は、以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(H45_PhaZ)である。
(a)配列番号3で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。
(a)配列番号3で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質の第3の態様は、以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(P161_PhaZ)である。
(a)配列番号5で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号5で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。
(a)配列番号5で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号5で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質の第4の態様は、以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(P91_PhaZ)である。
(a)配列番号7で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。
(a)配列番号7で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の第1の態様は、以下の(i)〜(iv)のいずれかのDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(YN21_phaZ)である。
(i)配列番号2に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号2に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
(i)配列番号2に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号2に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の第2の態様は、以下の(i)〜(iv)のいずれかのDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(H45_phaZ)である。
(i)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号4に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号3で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
(i)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号4に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号3で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の第3の態様は、以下の(i)〜(iv)のいずれかのDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(P161_phaZ)である。
(i)配列番号6に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号6に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号5で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号5で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
(i)配列番号6に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号6に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号5で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号5で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の第4の態様は、以下の(i)〜(iv)のいずれかDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(P91_phaZ)である。
(i)配列番号8に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号8に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号7で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
(i)配列番号8に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号8に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号7で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。
本発明にかかる組換えベクターは、上記の各態様にかかる遺伝子を含有している組換えベクターである。また、本発明にかかある形質転換体は、宿主細胞がこの組換えベクターにより形質転換されているものである。
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造方法は、上記の形質転換体を培養し、培養液からポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を回収することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造方法である。
本発明にかかるポリヒドロキシアルカノエート分解方法は、上記のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を用いた、ポリヒドロキシアルカノエートの分解方法である。
本発明により、シュードモナス属(Pseudomonads)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素および該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を有する発現ベクターが提供され、該発現ベクターにより形質転換された微生物、該形質転換体を培養することによる組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造が可能になる。またそのようにして得られる組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を用いれば、様々な置換基を有するunusual PHAの分解が可能になる。
本発明者らはフェニル吉草酸を基質として用いて、3−ヒドロキシフェニル吉草酸モノマーユニットを含むPHAを生産する能力を有する微生物の探索を行った。その結果、土壌より所望の能力を有する微生物株を分離することに成功し、YN21株とした。
以下に述べる菌学的性質から、バージェーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリオロジー・第1巻(Bergey‘s Manual of Systematic Bacteriology,Volume1)(1984年)、及び、バージェーズ・マニュアル・オブ・ディタミネーティブ・バクテリオロジー(Bergey‘s Manual of Determinative Bacteriology)第9版(1994年)に基づいて検索したところ、YN21株はシュードモナス属(Pseudomonas)に属すると判明した。従って、この菌株をシュードモナス・スピーシーズ・YN21株と命名した。
unusualな置換基を有するポリヒドロキシアルカノエート生産菌として本発明者らが土壌より分離した微生物である、シュードモナス スピーシーズ YN21株(Pseudomonas sp. YN21)は寄託番号FERM BP−08569として、シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45)は寄託番号FERM BP−7374として、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)は寄託番号FERM BP−7376として、シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91)は寄託番号FERM BP−7373として、それぞれ独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されている。
なお、YN21株、H45株、P161株、およびP91株の菌学的性質を列挙すれば以下の通りである。
<YN21株の菌学的性質>
1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性:なし
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:−
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、半透明
2)生理学的性質
カタラーゼ活性:+
オキシダーゼ活性:+
O/F試験:酸化型
硝酸還元:+
インドール産生:−
アルギニンジヒドロラーゼ:+
エスクリン加水分解:−
ゼラチン加水分解:−
King's B寒天での蛍光色素産生:+
ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積:−
Tween 80 の加水分解:+
41℃生育:−
グルコン酸還元:−
レバン産生:−
ジャガイモ腐敗:−
タバコ過敏感反応:−
スクロース:−
カゼイン:−
チロシナーゼ:+
硫化水素:−
ペクチン:−
レシチナーゼ:−
リトマスミルク:B
デンプン:−
3)基質資化能
ブドウ糖:+
L-アラビノース:+
D-マンノース:+
D-マンニトール:−
マルトース:−
グルコン酸:+
D-キシロース:(+)
ラフィノース:−
サリシン:−
グリセリン:+
D-セロビオース:−
D-メレチトース:−
ラクトース:−
ガラクトース:+
D-ソルビトール:−
α-メチル-D-グルコシド:−
D-リボース:(+)
スクロース:−
イノシトール:−
D-フルクトース:+
L-ラムノース:−
D-アラビノース:−
ズルシトール:−
メリビオース:−
アドニトール:−
デンプン:−
エリスリトール:−
トレハロース:−
ベタイン:+
DL-乳酸:+
D-酒石酸:−
L-酒石酸:(+)
メソ酒石酸:+
n-カプリン酸:+
L-リンゴ酸:(+)
クエン酸:+
D-サッカラート:+
レブリン酸:+
メサコン酸:−
マロン酸:+
コハク酸:+
酢酸:+
プロピオン酸:+
n-酪酸:+
ギ酸:−
グルタル酸:+
D-キナ酸:+
セバシン酸:+
p-ヒドロキシ安息香酸:+
アントラニル酸:−
ペラルゴン酸:+
グリセリン酸:+
γ-アミノ酪酸:+
L-ロイシン:+
L-セリン:+
ヒスチジン:+
L-イソロイシン:+
L-アルギニン:+
β-アラニン:+
L-チロシン:+
L-バリン:+
ホモセリン:−
サルコシン:+
トリアセチン:+
トリゴネリン:+
5-フェニル吉草酸:+
3-ヒドロキシ酪酸:+
L-アスパラギン:+。
<YN21株の菌学的性質>
1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性:なし
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:−
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、半透明
2)生理学的性質
カタラーゼ活性:+
オキシダーゼ活性:+
O/F試験:酸化型
硝酸還元:+
インドール産生:−
アルギニンジヒドロラーゼ:+
エスクリン加水分解:−
ゼラチン加水分解:−
King's B寒天での蛍光色素産生:+
ポリ-β-ヒドロキシ酪酸の蓄積:−
Tween 80 の加水分解:+
41℃生育:−
グルコン酸還元:−
レバン産生:−
ジャガイモ腐敗:−
タバコ過敏感反応:−
スクロース:−
カゼイン:−
チロシナーゼ:+
硫化水素:−
ペクチン:−
レシチナーゼ:−
リトマスミルク:B
デンプン:−
3)基質資化能
ブドウ糖:+
L-アラビノース:+
D-マンノース:+
D-マンニトール:−
マルトース:−
グルコン酸:+
D-キシロース:(+)
ラフィノース:−
サリシン:−
グリセリン:+
D-セロビオース:−
D-メレチトース:−
ラクトース:−
ガラクトース:+
D-ソルビトール:−
α-メチル-D-グルコシド:−
D-リボース:(+)
スクロース:−
イノシトール:−
D-フルクトース:+
L-ラムノース:−
D-アラビノース:−
ズルシトール:−
メリビオース:−
アドニトール:−
デンプン:−
エリスリトール:−
トレハロース:−
ベタイン:+
DL-乳酸:+
D-酒石酸:−
L-酒石酸:(+)
メソ酒石酸:+
n-カプリン酸:+
L-リンゴ酸:(+)
クエン酸:+
D-サッカラート:+
レブリン酸:+
メサコン酸:−
マロン酸:+
コハク酸:+
酢酸:+
プロピオン酸:+
n-酪酸:+
ギ酸:−
グルタル酸:+
D-キナ酸:+
セバシン酸:+
p-ヒドロキシ安息香酸:+
アントラニル酸:−
ペラルゴン酸:+
グリセリン酸:+
γ-アミノ酪酸:+
L-ロイシン:+
L-セリン:+
ヒスチジン:+
L-イソロイシン:+
L-アルギニン:+
β-アラニン:+
L-チロシン:+
L-バリン:+
ホモセリン:−
サルコシン:+
トリアセチン:+
トリゴネリン:+
5-フェニル吉草酸:+
3-ヒドロキシ酪酸:+
L-アスパラギン:+。
YN21株は従来菌株であるPseudomonas cichorii YN2株(FERM BP-7375)と硝酸塩還元性、インドール生成、ブドウ糖酸性化、アルギニンジヒドロラーゼ活性、D-マンノース資化能などの生理学的性質及び基質資化能の違いを示すことができる。また同様に従来菌株であるH45 株(FERM BP-7374)とは硝酸塩の還元性、アルギニンジヒドロラーゼ活性、L-アラビノース資化能、D-マンニトール資化能において、P161 株(FERM BP-7376)とはD-マンニトール資化能において、P91 株(FERM BP-7373)とは硝酸塩還元性、L-アラビノース資化能、D−マンノース資化能においてそれぞれ特性を異にする。
<シュードモナス・チコリアイ・H45株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm
細胞の多形性:なし
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:陰性
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、クリーム色
(2)生理学的性質
カタラーゼ:陽性
オキシダーゼ:陽性
O/F試験:酸化型
硝酸塩の還元:陰性
インドールの生成:陰性
ブドウ糖酸性化:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陰性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
King’sB寒天での蛍光色素産生 :陽性
4%NaClでの生育 :陰性
ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陰性
(3)基質資化能
ブドウ糖:陽性
L−アラビノース :陰性
D−マンノース :陽性
D−マンニトール :陽性
N−アセチル−D−グルコサミン:陽性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陽性。
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.8μm×1.0〜1.2μm
細胞の多形性:なし
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:陰性
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、クリーム色
(2)生理学的性質
カタラーゼ:陽性
オキシダーゼ:陽性
O/F試験:酸化型
硝酸塩の還元:陰性
インドールの生成:陰性
ブドウ糖酸性化:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陰性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
King’sB寒天での蛍光色素産生 :陽性
4%NaClでの生育 :陰性
ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陰性
(3)基質資化能
ブドウ糖:陽性
L−アラビノース :陰性
D−マンノース :陽性
D−マンニトール :陽性
N−アセチル−D−グルコサミン:陽性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陽性。
<シュードモナス・ジェッセニイ・P161株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:球状 φ0.6μm、桿状 0.6μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性:あり(伸長型)
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:陰性
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、淡黄色
(2)生理学的性質
カタラーゼ:陽性
オキシダーゼ:陽性
O/F試験:酸化型
硝酸塩の還元:陽性
インドールの生成:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陽性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
King’sB寒天での蛍光色素産生 :陽性
(3)基質資化能
ブドウ糖:陽性
L−アラビノース :陽性
D−マンノース :陽性
D−マンニトール :陽性
N−アセチル−D−グルコサミン:陽性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陽性。
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:球状 φ0.6μm、桿状 0.6μm×1.5〜2.0μm
細胞の多形性:あり(伸長型)
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:陰性
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、淡黄色
(2)生理学的性質
カタラーゼ:陽性
オキシダーゼ:陽性
O/F試験:酸化型
硝酸塩の還元:陽性
インドールの生成:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陽性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
King’sB寒天での蛍光色素産生 :陽性
(3)基質資化能
ブドウ糖:陽性
L−アラビノース :陽性
D−マンノース :陽性
D−マンニトール :陽性
N−アセチル−D−グルコサミン:陽性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陽性。
<シュードモナス・プチダ・P91株の菌学的性質>
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.6μm×1.5μm
細胞の多形性:なし
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:陰性
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、クリーム色
(2)生理学的性質
カタラーゼ:陽性
オキシダーゼ:陽性
O/F試験:酸化型
硝酸塩の還元:陰性
インドールの生成:陰性
ブドウ糖酸性化:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陽性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
King’s B寒天での蛍光色素産生:陽性
(3)基質資化能
ブドウ糖:陽性
L−アラビノース :陰性
D−マンノース :陰性
D−マンニトール :陰性
N−アセチル−D−グルコサミン:陰性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陽性
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAのクローニングは、当該技術分野で既知の方法に従って行うことができる。まず、シュードモナス スピーシーズ YN21株、シュードモナス・チコリアイ・H45株、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株、およびシュードモナス・プチダ・P91株それぞれの培養物からポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製し、各精製酵素のN末端アミノ酸配列を決定する。次いで精製ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を限定分解することにより得られたペプチド断片より、部分アミノ酸配列を決定し、該アミノ酸配列に基づいてオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。ゲノムDNAを鋳型とし、これらのプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行い、各菌株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の一部(または全部)を含むPCR断片を得る。次に、該断片をプローブにサザンハイブリダイゼーションを行って、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の全配列を含むDNA断片を得る。さらに、この断片をサブクローニングして、コロニーハイブリダイゼーションを行い、陽性コロニーを取得する。これらのコロニーからプラスミドを抽出し塩基配列を決定する。
(1)形態学的性質
細胞の形と大きさ:桿菌、0.6μm×1.5μm
細胞の多形性:なし
運動性:あり
胞子形成:なし
グラム染色性:陰性
コロニー形状:円形、全縁なめらか、低凸状、表層なめらか、光沢、クリーム色
(2)生理学的性質
カタラーゼ:陽性
オキシダーゼ:陽性
O/F試験:酸化型
硝酸塩の還元:陰性
インドールの生成:陰性
ブドウ糖酸性化:陰性
アルギニンジヒドロラーゼ:陽性
ウレアーゼ:陰性
エスクリン加水分解:陰性
ゼラチン加水分解:陰性
β−ガラクトシダーゼ:陰性
King’s B寒天での蛍光色素産生:陽性
(3)基質資化能
ブドウ糖:陽性
L−アラビノース :陰性
D−マンノース :陰性
D−マンニトール :陰性
N−アセチル−D−グルコサミン:陰性
マルトース:陰性
グルコン酸カリウム:陽性
n−カプリン酸 :陽性
アジピン酸:陰性
dl−リンゴ酸:陽性
クエン酸ナトリウム:陽性
酢酸フェニル:陽性
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAのクローニングは、当該技術分野で既知の方法に従って行うことができる。まず、シュードモナス スピーシーズ YN21株、シュードモナス・チコリアイ・H45株、シュードモナス・ジェッセニイ・P161株、およびシュードモナス・プチダ・P91株それぞれの培養物からポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製し、各精製酵素のN末端アミノ酸配列を決定する。次いで精製ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を限定分解することにより得られたペプチド断片より、部分アミノ酸配列を決定し、該アミノ酸配列に基づいてオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。ゲノムDNAを鋳型とし、これらのプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行い、各菌株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の一部(または全部)を含むPCR断片を得る。次に、該断片をプローブにサザンハイブリダイゼーションを行って、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の全配列を含むDNA断片を得る。さらに、この断片をサブクローニングして、コロニーハイブリダイゼーションを行い、陽性コロニーを取得する。これらのコロニーからプラスミドを抽出し塩基配列を決定する。
このようにして取得されたポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする塩基配列を、配列番号2、4、6および8に、また塩基配列から推定されたポリヒドロキシアルカノエート分解酵素のアミノ酸配列を、配列番号1、3、5および7にそれぞれ示す。配列番号1、3、5または7に開示された内容に基づいて、通常の遺伝子組換え技術を用いて、アミノ酸の付加、欠失、挿入、置換等によりポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を保持している誘導体を得ることは当業者にとって容易である。ゆえにそのような常套手段で得られるポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の活性な誘導体も本発明の範囲に包含されるものである。
また、配列番号2、4、6および8に示す塩基配列を含むDNAのみならず、配列番号2、4、6または8に示す塩基配列を含むDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAや、配列番号1、3、5または7のアミノ酸配列あるいは、その変異配列をコードするDNAも本発明の範囲に包含されるものである。
ここで、上記の「ストリンジェントな条件下にハイブリダイズ」するDNAとは、以下に示すDNAをいう。すなわち、(1)高イオン濃度下[例えば、6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム)等が挙げられる。] に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号1で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[例えば、0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)等が挙げられる。] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持されるDNAをいう。具体的には、例えば、配列番号2で示される塩基配列において、その一部が、その遺伝子産物が所望とする酵素活性を維持し得る範囲内で、欠失、置換、若しくは付加された塩基配列からなるDNAなどが挙げられる。かかるDNAは自然界からクローニングされたDNAであってもよいし、自然界からクローニングされたDNAに塩基の欠失、置換または付加が人為的に導入されたDNAであってもよく、また、人為的に合成されたDNAであってもよい。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAを、適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、様々なPHA分解酵素非生産性の宿主内で発現可能なポリヒドロキシアルカノエート分解酵素発現ベクターを構築することができる。よって、以下の実施例で示す発現ベクター及び宿主細胞は、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの発現に適した多くのベクター及び宿主細胞の1例にすぎず、当業者ならば、当該技術分野での常法に従い、任意の宿主細胞内で機能的なポリヒドロキシアルカノエート分解酵素発現ベクターを構築することができる。プロモーターは既知のものから適宜選択するか、あるいは各種の遺伝子から利用可能なものを選択して、新たに調製、あるいは合成したものでもよい。このように、本発明の発現ベクターは本明細書記載の例示のプラスミドに限定されず、通常の技術を用いて修飾(例えば、プロモーターを交換する)することによって、異なる種類の微生物、また他の細胞内で機能的であり、及び/又はポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を高レベルに産生させることができる発現ベクターを構築することができる。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAを担持する発現ベクターで形質転換するために用いられる宿主細胞は、大腸菌等の原核細胞、酵母等の真核細胞のいずれでもよく、さらには一般的に利用されている高等生物の細胞でもよい。宿主細胞としては、微生物[原核生物(細菌、例えば大腸菌や枯草菌等)、真核生物(例えば酵母)]、動物細胞又は培養植物細胞が挙げられる。微生物の好ましい例は、原核生物、特にEscherichia属に属する菌株(例えば、E.coli等)、酵母、特にSaccharomyces属に属する株(例えば、S.cerevisiae)やCandida属に属する株(例えば、C.boidinii)である。好ましい動物細胞株は例えば、マウスL929細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などである。
宿主細胞として細菌、特に大腸菌を使用するのに適した、発現ベクターは既知であり、例えば、lacプロモーターやtacプロモーター等の慣用のプロモーターを有するものを挙げることができる。酵母でのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の発現のための発現ベクターとしては、GALプロモーターやAODプロモーター等のプロモーターを含有するものが好ましい。又、哺乳動物細胞でのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素発現のための発現ベクターとしては、SV40プロモーター等のプロモーターを有するものが挙げられる。しかしながら、操作及び入手の容易さを考慮して、宿主細胞としては原核性宿主が好ましく、特に大腸菌が好ましい。原核性宿主−ベクター系については、多くの成書(例えばMolecular Cloning:A LABOLATORY MANUAL, Cold SpringHarbor Laboratory Press)があり、当該技術分野で既知であるが、以下に簡単に説明する。
例えば、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAを大腸菌で発現させるには、大腸菌を用いた形質転換に適するプラスミドのプロモーターの下流に該DNAを挿入する。
例えば、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAを大腸菌で発現させるには、大腸菌を用いた形質転換に適するプラスミドのプロモーターの下流に該DNAを挿入する。
後述する実施例では、大腸菌での1つの態様の発現が記載されているが、他の態様での発現は、例えば、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAを適当な酵素(例えば制限酵素、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼなど)で処理することによりポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性をコードするDNA断片を得、これを適当なベクターに組み込むことにより様々な宿主でポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するペプチドを発現させることができ、これらのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素も本発明の範囲に含まれる。
発現ベクターによる宿主細胞の形質転換方法は既知であり、Molecular Cloning:A LABOLATORY MANUAL, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載の方法で行うことができる。例えば、原核性宿主の場合は、コンピテントセル作製法、真核性宿主の場合は、コンピテントセル作製法、哺乳動物細胞の場合はトランスフェクション法、エレクトロポレーション法により行うことができる。次いで、得られた形質転換体を適当な培地に培養する。培地は、炭素源(例えばグルコース、メタノール、ガラクトース、フルクトース等)及び無機また有機窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸等)を含有していてよい。所望により、培地に他の栄養源(例えば無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム)、ビタミン類(例えばビタミンB1)、抗生物質(例えばアンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン等))を加えてもよい。哺乳動物細胞の培養には、イーグル培地が適当である。
形質転換体の培養は、通常、pH6.0〜8.0、好ましくはpH7.0、25〜40℃、好ましくは30〜37℃で8〜48時間行えばよい。生産されたポリヒドロキシアルカノエート分解酵素が培養液中に存在しているときは、培養物を濾過又は遠心分離する。精製は、回収した培養液上清から、天然又は合成のタンパク質の精製、単離に用いられる常法(例えば透析、ゲル濾過、対応する抗ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素モノクロナール抗体を用いてのアフィニティカラムクロマトグラフィー、適当な吸着剤を用いてのカラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等)を用いて行うことができる。生産されたポリヒドロキシアルカノエート分解酵素が培養形質転換体のペリプラズム及び細胞質中に存在するときは、濾過や遠心分離によって細胞を集め、それらの細胞壁及び/又は細胞膜を、たとえば超音波及び/又はリゾチーム処理によって破壊して細胞破砕物を得る。この細胞破砕物に適当な水溶液(例えば緩衝液)を混合し、常法によって、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製することができる。
大腸菌中で生産されたポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を再生(リフォールディング)する必要があるときは、これを常法によって行うことができる。
尚、用途に応じてポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は完全に精製されていなくとも良く、次の(1)〜(7)のいずれかであっても良い。
(1)生細胞:ろ過又は遠心分離等の通常の方法で培養物から分離された細胞。
(2)乾燥細胞:(1)の生細胞を凍結乾燥又は真空乾燥したもの。
(3)細胞抽出物:(1)又は(2)の細胞を通常の方法(例えば有機溶媒中での自己溶菌、アルミナや海砂と混合しての摩砕、又は超音波処理)して得られる。
(4)酵素溶液:細胞抽出物を常法通り精製するか部分精製することにより得られる。
(5)精製酵素:(4)に記載の酵素溶液をさらに精製し、不純物を含まないもの。
(6)酵素活性を有するフラグメント;精製酵素等を適当な方法で断片化処理することにより得られるペプチドフラグメント。
(7)固定化細胞又は酵素:細胞又は酵素を通常の方法で固定化(例えばポリアクリルアミド、ガラスビーズ、イオン交換樹脂等に固定化)したもの。
(1)生細胞:ろ過又は遠心分離等の通常の方法で培養物から分離された細胞。
(2)乾燥細胞:(1)の生細胞を凍結乾燥又は真空乾燥したもの。
(3)細胞抽出物:(1)又は(2)の細胞を通常の方法(例えば有機溶媒中での自己溶菌、アルミナや海砂と混合しての摩砕、又は超音波処理)して得られる。
(4)酵素溶液:細胞抽出物を常法通り精製するか部分精製することにより得られる。
(5)精製酵素:(4)に記載の酵素溶液をさらに精製し、不純物を含まないもの。
(6)酵素活性を有するフラグメント;精製酵素等を適当な方法で断片化処理することにより得られるペプチドフラグメント。
(7)固定化細胞又は酵素:細胞又は酵素を通常の方法で固定化(例えばポリアクリルアミド、ガラスビーズ、イオン交換樹脂等に固定化)したもの。
培地に分泌される場合(適当な分泌用シグナルをコードする領域をアセチル−CoAアシルトランスフェラーゼをコードする領域に配置して、アセチル−CoAアシルトランスフェラーゼを培養液中に分泌する場合も含む)は、培養物そのもの及びそれから精製される酵素(溶液、凍結乾燥品、断片化したフラグメント等)及び固定化酵素が培養物又は処理物の例として挙げられる。また、「酵素活性を有するフラグメント」は、(6)に記載のごとく、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有し、本発明の目的に有用なペプチドフラグメントを指す。そのようなフラグメントは、例えば、上記(5)の精製酵素を、適当な方法で断片化処理することにより得ることができる。
上記の培養物、その処理物(精製酵素標品及び酵素活性を有するフラグメントを含む)は、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素酵素活性を有し、例えば下記の構造式[1]から[16]で示されるポリヒドロキシアルカノエートの分解活性を有する。
(ただし式中R1およびaの組合せが下記のいずれかであるポリマーユニットからなる群より選択される少なくとも一つである。
(1)R1が水素原子(H)であり、aが1から10の整数のいずれかであるポリマーユニット、
(2)R1がハロゲン原子であり、aが1から10の整数のいずれかであるポリマーユニット、
(3)R1が、
(1)R1が水素原子(H)であり、aが1から10の整数のいずれかであるポリマーユニット、
(2)R1がハロゲン原子であり、aが1から10の整数のいずれかであるポリマーユニット、
(3)R1が、
であり、aが1から8の整数のいずれかであるポリマーユニット)
(式中R2は芳香環への置換基を示し、R2は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、COOR'(R' : H、Na、およびKのいずれかを表す)基、CH3基、C2H5基、C3H7基、CH=CH2基、CF3基、C2F5基、及びC3F7基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中bは0から7の整数のいずれかを表す。)
(式中R3は芳香環への置換基を示し、R3は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C2H5基、C3H7基、SCH3基、CF3基、C2F5基、及びC3F7基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中cは0から7の整数のいずれかを表す。)
(式中R4は芳香環への置換基を示し、R4は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C2H5基、C3H7基、CF3基、C2F5基、及びC3F7基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中dは0から7の整数のいずれかを表す。)
(式中R5は芳香環への置換基を示し、R5は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、COOR'(R' : H、Na、K、CH3、及びC2H5のいずれかを表す)基、SO2R"(R" : OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、及びOC2H5のいずれかを表す)基、CH3基、C2H5基、C3H7基、CH(CH3)2基、及びC(CH3)3基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中eは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中R6は芳香環への置換基を示し、R6は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、COOR'(R' : H、Na、K、CH3、及びC2H5のいずれかを表す)基、SO2R"(R" : OH、ONa、OK、ハロゲン原子、OCH3、及びOC2H5のいずれかを表す)基、CH3基、C2H5基、C3H7基、CH(CH3)2基、及びC(CH3)3基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中fは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中gは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中hは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中iは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中jは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中R7はシクロヘキシル基への置換基を示し、R7は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C2H5基、C3H7基、CF3基、C2F5基、及びC3F7基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中kは0から8の整数のいずれかを表す。)
(式中R8はシクロヘキシルオキシ基への置換基を示し、R8は水素原子(H)、ハロゲン原子、CN基、NO2基、CH3基、C2H5基、C3H7基、CF3基、C2F5基、及びC3F7基からなる群から選ばれたいずれか1つを表し、式中mは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中nは1から8の整数のいずれかを表す。)
(式中pは3または5のいずれかの整数を表す。)
(式中q1は1から8の整数のいずれかを表し、q2は0から8の整数のいずれかを表す。)
(式中R9は水素原子(H)、Na原子またはK原子であり、式中rは1から8の整数のいずれかを表す。)
本発明方法に従ってポリヒドロキシアルカノエートの分解反応を行うには、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の基質であるポリヒドロキシアルカノエートを含有する試料と、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する形質転換体の培養物又はその処理物を、適当な反応用の媒体を必要に応じて用いて接触させる。
本発明方法に従ってポリヒドロキシアルカノエートの分解反応を行うには、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の基質であるポリヒドロキシアルカノエートを含有する試料と、本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する形質転換体の培養物又はその処理物を、適当な反応用の媒体を必要に応じて用いて接触させる。
培養物又はその処理物は水又は緩衝液中懸濁液(溶液)として用いる。pH、温度及び反応時間等の反応条件は特に限定されるものでなく、同様の酵素反応に通常用いられる条件から適宜選択するとよい。しかしながら、好ましくはpH6.0〜9.0、より好ましくはpH約7.0から8.0であり、反応温度は25〜50℃、好ましくは30〜40℃、より好ましくは約35℃である。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、適当な固体支持体に固定化することができる。酵素の固定化は当該技術分野で既知の方法により行うことができる。例えば、担体結合法、架橋化法、包括法、複合法等によって行う。担体としては、高分子ゲル、マイクロカプセル、アガロース、アルギン酸、カラゲーナン、などがある。結合は共有結合、イオン結合、物理吸着法、生化学的親和力を利用し、当業者既知の方法で行う。このようにして得られた固定化酵素は、例えばポリヒドロキシアルカノエートの分解再利用プラントに有用である。
次下、に実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、これらは本発明を制限するものではない。以下の実施例において用いたプラスミド類、様々な制限酵素やT4DNAリガーゼ、その他の酵素類は、市販品から入手し、供給者の指示に従って使用した。また、DNAのクローニング、各プラスミドの構築、宿主の形質転換、形質転換体の培養及び培養物からの酵素の回収は、当業者既知の方法、あるいは文献記載の方法に準じて行った。
(実施例1)
[シュードモナス スピーシーズ YN21株(Pseudomonas sp. YN21)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas sp. YN21株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
[シュードモナス スピーシーズ YN21株(Pseudomonas sp. YN21)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas sp. YN21株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
Na2HPO4: 6.2g
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
ニトリロ三酢酸: 1.5g
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。
ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性は以下の力価の測定法に従って測定した。
ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
2)酵素の精製
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31kDaのタンパク質であることがわかった。また等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.6であった。
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31kDaのタンパク質であることがわかった。また等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.6であった。
3)部分アミノ酸配列の決定
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号9)と2つの内部領域(配列番号10、11)のアミノ酸配列が決定された。
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号9)と2つの内部領域(配列番号10、11)のアミノ酸配列が決定された。
4)オリゴヌクレオチドプライマーの設計
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図1)。N末端領域及び配列番号11の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ21-1F-1(配列番号12)及びphaZ21-1R-1(配列番号13)を合成した。なお、プライマーphaZ21-1R-1は、配列番号11のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図1)。N末端領域及び配列番号11の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ21-1F-1(配列番号12)及びphaZ21-1R-1(配列番号13)を合成した。なお、プライマーphaZ21-1R-1は、配列番号11のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
5)ゲノムDNAの調製
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas sp. YN21株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、YN21株のゲノムDNAを調製した。
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas sp. YN21株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、YN21株のゲノムDNAを調製した。
6)PCRによる部分配列の増幅
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ21-1F-1(配列番号12)とphaZ21-1R-1(配列番号13)により約380bの断片が増幅された。
7)PCR増幅断片のサブクローニング
上記6)で得た約380bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。
以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記6)で得た約380bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。
以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記の混合物を25℃で1時間インキュベートし、E.coli JM109コンピテントセルに形質転換した。アンピシリン50μg/ml、X-gal 50μg/ml、IPTG 0.1mMを含むLBアガロースプレートでホワイトコロニーを形質転換体として選択した。形質転換体より単離したプラスミドpGEM-phaZ21を各種制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で消化断片の解析を行ったところ、約400bのPCR断片がpGEM-T Easy VectorのEroRI、SpeIサイトに挿入されていることが判明した。pGEM-phaZ21の制限酵素切断地図を図2に示す。
得られたプラスミドpGEM-phaZ21中の挿入部分(図2、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号10の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約380bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
得られたプラスミドpGEM-phaZ21中の挿入部分(図2、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号10の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約380bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
8)サザンハイブリダイゼーション
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、PstIにより切断された約3.2kbの断片に陽性シグナルを得た。この約3.2kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、PstIにより切断された約3.2kbの断片に陽性シグナルを得た。この約3.2kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
9)コロニーハイブリダイゼーション
上記8)で精製された得られた約3.2kbのDNA断片を、同じくPstIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ21を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ21))。このプラスミドpUC-pZ21の制限酵素切断地図を図3に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号14、15及び図4及び5に示す。図4及び5における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
上記8)で精製された得られた約3.2kbのDNA断片を、同じくPstIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ21を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ21))。このプラスミドpUC-pZ21の制限酵素切断地図を図3に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号14、15及び図4及び5に示す。図4及び5における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
(実施例2)
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例1で決定されたPseudomonas sp. YN21株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号2)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ21-for(配列番号16)およびphaZ21-rev(配列番号17)を設計・合成した。
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例1で決定されたPseudomonas sp. YN21株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号2)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ21-for(配列番号16)およびphaZ21-rev(配列番号17)を設計・合成した。
実施例1で調製したプラスミドpUC-pZ21をテンプレートに、設計したプライマーphaZ21-for(配列番号16)およびphaZ21-rev(配列番号17)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ21-for(配列番号16)とphaZ21-rev(配列番号17)により約850bの断片が増幅された。上記PCRに用いたプライマー;phaZ21-for(配列番号16)およびphaZ21-rev(配列番号17)中には予めそれぞれ制限酵素XhoIの認識部位が含まれている。そこで約850bのPCR増幅産物を制限酵素XhoIで消化した。消化断片をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)の対応する制限酵素XhoIの認識部位に挿入した。得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換し、アンピシリンを添加したLB寒天プレート上で生育可能なコロニーを選択した。
プライマーpGEX-5'(配列番号18)およびphaZ21-rev(配列番号17)を用いてPCRを行い、約970bの増幅断片が得られることを確認することによって、上記850bのPCR増幅産物がグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と同じ方向で挿入されたクローンを選択した。このクローンから抽出したプラスミド(pGEX-phaZ21)を用いて大腸菌(BL21)を形質転換し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB-Amp培地10mLで一晩プレ・カルチャーした後、その1mLを、100mLのLB-Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4~12時間培養を続けた。IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharose 4B beads: アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて精製した。使用したグルタチオンセファロースは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロースを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4重量%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。前処理したグルタチオンセファロース 40μLを、無細胞抽出液1mL に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST-PhaZ21をグルタチオンセファロースに吸着させた。吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロースを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS-PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。精製されたGST融合タンパク質の分子量は約59kDaであった。
次に、GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムバイオサイエンス、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、発現タンパク質PhaZ21の最終精製物を得た。発現精製タンパク質PhaZ21のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。精製タンパク質のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性の測定は前述の方法にて行った。
その結果、精製された組換え酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、SDS-PAGEにより精製タンパク質は分子量約31kDaであることがわかった。さらに等電点電気泳動の結果、精製タンパク質の等電点は9.6であった。
その結果、精製された組換え酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、SDS-PAGEにより精製タンパク質は分子量約31kDaであることがわかった。さらに等電点電気泳動の結果、精製タンパク質の等電点は9.6であった。
(実施例3)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例2で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例2で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例4)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例2で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例2で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例5)
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号1のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ21)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号1のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ21)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。
ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ21[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ21[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ21[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ21[T201V])、さらにこれらの組合せとして、PhaZ21[G14A, Y75H]、PhaZ21[G14A, T201V]、PhaZ21[Y75H, T201V]、PhaZ21[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例2に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例1に述べた方法によって測定した。
その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号2で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
(実施例6)
[シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas cichorii H45株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
[シュードモナス・チコリアイ・H45株(Pseudomonas cichorii H45)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas cichorii H45株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
Na2HPO4: 6.2g
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
ニトリロ三酢酸: 1.5g
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。
ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性は以下の力価の測定法に従って測定した。
ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
2)酵素の精製
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31.5kDaのタンパク質であることがわかった。また、等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.5であった。
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31.5kDaのタンパク質であることがわかった。また、等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.5であった。
3)部分アミノ酸配列の決定
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号19)と2つの内部領域(配列番号20、21)のアミノ酸配列が決定された。
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号19)と2つの内部領域(配列番号20、21)のアミノ酸配列が決定された。
4)オリゴヌクレオチドプライマーの設計
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図6)。N末端領域及び配列番号21の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ45-1F-1(配列番号22)及びphaZ45-1R-1(配列番号23)を合成した。なお、プライマーphaZ45-1R-1は、配列番号21のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図6)。N末端領域及び配列番号21の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ45-1F-1(配列番号22)及びphaZ45-1R-1(配列番号23)を合成した。なお、プライマーphaZ45-1R-1は、配列番号21のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
5)ゲノムDNAの調製
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas cichorii H45株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、H45株のゲノムDNAを調製した。
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas cichorii H45株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、H45株のゲノムDNAを調製した。
6)PCRによる部分配列の増幅
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ45-1F-1(配列番号22)とphaZ45-1R-1(配列番号23)により約390bの断片が増幅された。
7)PCR増幅断片のサブクローニング
上記6)で得た約390bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。
以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記6)で得た約390bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。
以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記の混合物を25℃で1時間インキュベートし、E.coli JM109コンピテントセルに形質転換した。アンピシリン50μg/ml、X-gal 50μg/ml、IPTG 0.1mMを含むLBアガロースプレートでホワイトコロニーを形質転換体として選択した。形質転換体より単離したプラスミドpGEM-phaZ45を各種制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で消化断片の解析を行ったところ、約400bのPCR断片がpGEM-T Easy VectorのEroRI、SpeIサイトに挿入されていることが判明した。pGEM-phaZ45の制限酵素切断地図を図7に示す。
得られたプラスミドpGEM-phaZ45中の挿入部分(図7、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号20の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約390bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
得られたプラスミドpGEM-phaZ45中の挿入部分(図7、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号20の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約390bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
8)サザンハイブリダイゼーション
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、BamHIにより切断された約4.4kbの断片に陽性シグナルを得た。この約4.4kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、BamHIにより切断された約4.4kbの断片に陽性シグナルを得た。この約4.4kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
9)コロニーハイブリダイゼーション
上記8)で精製された得られた約4.4kbのDNA断片を、同じくBamHIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ45を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ45))。このプラスミドpUC-pZ45の制限酵素切断地図を図8に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号24、25及び図9及び10に示す。図9及び10における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
上記8)で精製された得られた約4.4kbのDNA断片を、同じくBamHIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ45を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ45))。このプラスミドpUC-pZ45の制限酵素切断地図を図8に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号24、25及び図9及び10に示す。図9及び10における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
(実施例7)
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例6で決定されたPseudomonas cichorii H45株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号4)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ45-for(配列番号26)およびphaZ45-rev(配列番号27)を設計・合成した。
実施例6で調製したプラスミドpUC-pZ45をテンプレートに、設計したプライマーphaZ45-for(配列番号26)およびphaZ45-rev(配列番号27)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例6で決定されたPseudomonas cichorii H45株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号4)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ45-for(配列番号26)およびphaZ45-rev(配列番号27)を設計・合成した。
実施例6で調製したプラスミドpUC-pZ45をテンプレートに、設計したプライマーphaZ45-for(配列番号26)およびphaZ45-rev(配列番号27)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ45-for(配列番号26)とphaZ45-rev(配列番号27)により約860bの断片が増幅された。上記PCRに用いたプライマー;phaZ45-for(配列番号26)およびphaZ45-rev(配列番号27)中には予めそれぞれ制限酵素BamHIおよびEcoRIの認識部位が含まれている。そこで前記約860bのPCR増幅産物を制限酵素BamHIおよびEcoRIで消化した。消化断片をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)の対応する制限酵素BamHIおよびEcoRIの認識部位に挿入した。得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換し、アンピシリンを添加したLB寒天プレート上で生育可能なコロニーを選択した。プライマーpGEX-5'(配列番号18)およびphaZ45-rev(配列番号27)を用いてPCRを行い、約950bの増幅断片が得られることによって、上記860bのPCR増幅産物がグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と同じ方向で挿入されたクローンであることを確認した。
このクローンから抽出したプラスミド(pGEX-phaZ45)を用いて大腸菌(BL21)を形質転換し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB-Amp培地10mLで一晩プレ・カルチャーした後、その1mLを、100mLのLB-Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4~12時間培養を続けた。IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharose 4B beads: アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて精製した。使用したグルタチオンセファロースは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロースを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4重量%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。前処理したグルタチオンセファロース 40μLを、無細胞抽出液1mL に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST-PhaZ45をグルタチオンセファロースに吸着させた。吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロースを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS-PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。精製されたGST融合タンパク質の分子量は約58kDaであった。
次に、GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムバイオサイエンス、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、発現タンパク質PhaZ45の最終精製物を得た。発現精製タンパク質PhaZ45のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。精製タンパク質のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性の測定は前述の方法にて行った。その結果、精製された組換え酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、SDS-PAGEにより精製タンパク質は分子量約31.5kDaであることがわかった。さらに等電点電気泳動の結果、精製タンパク質の等電点は9.5であった。
(実施例8)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例7で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例7で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例9)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例7で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例7で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例10)
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号3のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ45)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ45[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ45[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ45[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ45[T201V])、
さらにこれらの組合せとして、PhaZ45[G14A, Y75H]、PhaZ45[G14A, T201V]、PhaZ45[Y75H, T201V]、PhaZ45[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例7に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例6に述べた方法によって測定した。その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号4で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号3のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ45)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ45[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ45[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ45[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ45[T201V])、
さらにこれらの組合せとして、PhaZ45[G14A, Y75H]、PhaZ45[G14A, T201V]、PhaZ45[Y75H, T201V]、PhaZ45[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例7に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例6に述べた方法によって測定した。その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号4で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
(実施例11)
[シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas jessenii P161株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
[シュードモナス・ジェッセニイ・P161株(Pseudomonas jessenii P161)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas jessenii P161株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
Na2HPO4: 6.2g
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
ニトリロ三酢酸: 1.5g
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性は以下の力価の測定法に従って測定した。ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性は以下の力価の測定法に従って測定した。ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
2)酵素の精製
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31.5kDaのタンパク質であることがわかった。また等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.5であった。
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31.5kDaのタンパク質であることがわかった。また等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.5であった。
3)部分アミノ酸配列の決定
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号28)と2つの内部領域(配列番号29、30)のアミノ酸配列が決定された。
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号28)と2つの内部領域(配列番号29、30)のアミノ酸配列が決定された。
4)オリゴヌクレオチドプライマーの設計
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図11)。N末端領域及び配列番号28の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ161-1F-1(配列番号31)及びphaZ161-1R-1(配列番号32)を合成した。なお、プライマーphaZ161-1R-1は、配列番号30のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図11)。N末端領域及び配列番号28の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ161-1F-1(配列番号31)及びphaZ161-1R-1(配列番号32)を合成した。なお、プライマーphaZ161-1R-1は、配列番号30のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
5)ゲノムDNAの調製
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas jessenii P161株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、P161株のゲノムDNAを調製した。
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas jessenii P161株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、P161株のゲノムDNAを調製した。
6)PCRによる部分配列の増幅
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ161-1F-1(配列番号31)とphaZ161-1R-1(配列番号32)により約390bの断片が増幅された。
7)PCR増幅断片のサブクローニング
上記6)で得た約390bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記6)で得た約390bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記の混合物を25℃で1時間インキュベートし、E.coli JM109コンピテントセルに形質転換した。アンピシリン50μg/ml、X-gal 50μg/ml、IPTG 0.1mMを含むLBアガロースプレートでホワイトコロニーを形質転換体として選択した。
形質転換体より単離したプラスミドpGEM-phaZ161を各種制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で消化断片の解析を行ったところ、約400bのPCR断片がpGEM-T Easy VectorのEroRI、SpeIサイトに挿入されていることが判明した。pGEM-phaZ161の制限酵素切断地図を図12に示す。得られたプラスミドpGEM-phaZ161中の挿入部分(図12、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号29の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約390bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
形質転換体より単離したプラスミドpGEM-phaZ161を各種制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で消化断片の解析を行ったところ、約400bのPCR断片がpGEM-T Easy VectorのEroRI、SpeIサイトに挿入されていることが判明した。pGEM-phaZ161の制限酵素切断地図を図12に示す。得られたプラスミドpGEM-phaZ161中の挿入部分(図12、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号29の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約390bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
8)サザンハイブリダイゼーション
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、KpnIにより切断された約3.8kbの断片に陽性シグナルを得た。この約3.8kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、KpnIにより切断された約3.8kbの断片に陽性シグナルを得た。この約3.8kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
9)コロニーハイブリダイゼーション
上記8)で精製された得られた約3.8kbのDNA断片を、同じくKpnIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ161を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ161))。このプラスミドpUC-pZ161の制限酵素切断地図を図13に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号33、34及び図14及び15に示す。図14及び15における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
上記8)で精製された得られた約3.8kbのDNA断片を、同じくKpnIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ161を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ161))。このプラスミドpUC-pZ161の制限酵素切断地図を図13に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号33、34及び図14及び15に示す。図14及び15における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
(実施例12)
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例11で決定されたPseudomonas jessenii P161株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号6)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ161-for(配列番号35)およびphaZ161-rev(配列番号36)を設計・合成した。実施例11で調製したプラスミドpUC-pZ161をテンプレートに、設計したプライマーphaZ161-for(配列番号35)およびphaZ161-rev(配列番号36)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例11で決定されたPseudomonas jessenii P161株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号6)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ161-for(配列番号35)およびphaZ161-rev(配列番号36)を設計・合成した。実施例11で調製したプラスミドpUC-pZ161をテンプレートに、設計したプライマーphaZ161-for(配列番号35)およびphaZ161-rev(配列番号36)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ161-for(配列番号35)とphaZ161-rev(配列番号36)により約860bの断片が増幅された。上記PCRに用いたプライマー;phaZ161-for(配列番号35)およびphaZ161-rev(配列番号36)中には予めそれぞれ制限酵素BamHIおよびEcoRIの認識部位が含まれている。そこで前記約860bのPCR増幅産物を制限酵素BamHIおよびEcoRIで消化した。消化断片をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)の対応する制限酵素BamHIおよびEcoRIの認識部位に挿入した。得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換し、アンピシリンを添加したLB寒天プレート上で生育可能なコロニーを選択した。プライマーpGEX-5'(配列番号18)およびphaZ161-rev(配列番号36)を用いてPCRを行い、約950bの増幅断片が得られることによって、上記860bのPCR増幅産物がグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と同じ方向で挿入されたクローンであることを確認した。このクローンから抽出したプラスミド(pGEX-phaZ161)を用いて大腸菌(BL21)を形質転換し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB-Amp培地10mLで一晩プレ・カルチャーした後、その1mLを、100mLのLB-Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4~12時間培養を続けた。IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharose 4B beads: アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて精製した。
使用したグルタチオンセファロースは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロースを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4重量%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。前処理したグルタチオンセファロース 40μLを、無細胞抽出液1mL に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST-PhaZ161をグルタチオンセファロースに吸着させた。吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロースを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS-PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。精製されたGST融合タンパク質の分子量は約58.5kDaであった。
次に、GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムバイオサイエンス、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、発現タンパク質PhaZ161の最終精製物を得た。発現精製タンパク質PhaZ161のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。精製タンパク質のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性の測定は前述の方法にて行った。その結果、精製された組換え酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、SDS-PAGEにより精製タンパク質は分子量約31.5kDaであることがわかった。さらに等電点電気泳動の結果、精製タンパク質の等電点は9.5であった。
(実施例13)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例12で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例12で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例14)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例12で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例12で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例15)
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号5のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ161)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ161[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ161[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ161[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ161[T201V])、さらにこれらの組合せとして、PhaZ161[G14A, Y75H]、PhaZ161[G14A, T201V]、PhaZ161[Y75H, T201V]、PhaZ161[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例12に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例11に述べた方法によって測定した。
その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号6で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号5のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ161)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ161[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ161[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ161[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ161[T201V])、さらにこれらの組合せとして、PhaZ161[G14A, Y75H]、PhaZ161[G14A, T201V]、PhaZ161[Y75H, T201V]、PhaZ161[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例12に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例11に述べた方法によって測定した。
その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号6で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
(実施例16)
[シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas putida P91株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
[シュードモナス・プチダ・P91株(Pseudomonas putida P91)由来のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子のクローニング]
1)培養及び粗酵素液の調製
0.1%(v/v)ノナン酸、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用いて、Pseudomonas putida P91株を30℃で36時間前培養を行った。本培養には0.1%(v/v)ノナン酸 、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地を用い、前培養液を添加して30℃で24時間振とう培養した。
M9培地の組成は以下の通りである。
Na2HPO4: 6.2g
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
KH2PO4 : 3.0g
NaCl : 0.5g
NH4Cl : 1.0g
微量成分溶液 : 0.3%(v/v)
(培地1リットル中、pH 7.0)
上記の微量成分溶液の組成は以下の通りである。
ニトリロ三酢酸: 1.5g
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。
MgSO4 : 3.0g
MnSO4 : 0.5g
NaCl : 1.0g
FeSO4 : 0.1g
CaCl2 : 0.1g
CoCl2 : 0.1g
ZnSO4 : 0.1g
CuSO4 : 0.1g
AlK(SO4)2 : 0.1g
H3BO3 : 0.1g
Na2MoO4 : 0.1g
NiCl2 : 0.1g
(1リットル中)
その後、遠心分離(4℃,9500rpm,40分)して菌体を回収し、100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し再度遠心分離して回収することによって菌体を洗浄した。ついで100mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で菌体を懸濁し、フレンチプレス処理によって菌体を破砕した。破砕液を遠心分離して、未破砕の細胞を沈殿として除き、上清を粗酵素液として調整した。
ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性は以下の力価の測定法に従って測定した。
ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
ポリヒドロキシノナン酸をソルベントキャスト法にてQCM(水晶発振子マイクロバランス)上にフィルム化し、これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。周波数変化量からポリヒドロキシアルカノエートの質量減少量を求め、これを酵素活性とした。なお、IUは35℃で1分間に1μgのポリヒドロキシアルカノエートを分解する酵素量と定義した。
2)酵素の精製
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。
集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31.5kDaのタンパク質であることがわかった。また等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.5であった。
調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDEAE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、50mM Tris-HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してからカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニアグラジエントで行った。
集めた活性画分は、10mMのNaClを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl-Sepharose CL-4Bにアプライした。同緩衝液で洗浄後、塩濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出させた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、回収後、50mMTris-HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透析した。最後にDEAE−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。予め50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したカラムに、透析した活性画分をアプライした。同緩衝液で洗浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶出させた。これらのステップでポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を粗酵素液から回収率15%で、22倍に精製した。得られた酵素標品を用いてSDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動)を行い分子量の決定をした。SDS−PAGEは7.5重量%ゲルを用いてデービスの方法に従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマシーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種のタンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様に泳動し、分子量マーカーを作成した。この結果より、精製酵素は分子量約31.5kDaのタンパク質であることがわかった。また等電点電気泳動の結果、本酵素の等電点は9.5であった。
3)部分アミノ酸配列の決定
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号37)と2つの内部領域(配列番号38、39)のアミノ酸配列が決定された。
上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定には、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサーに用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した後、Staphylococcal peptidase Iを作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結果、N末端からの27残基(配列番号37)と2つの内部領域(配列番号38、39)のアミノ酸配列が決定された。
4)オリゴヌクレオチドプライマーの設計
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図16)。N末端領域及び配列番号39の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ91-1F-1(配列番号40)及びphaZ91-1R-1(配列番号41)を合成した。なお、プライマーphaZ91-1R-1は、配列番号39のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
上記3)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用いるためのプライマーを設計した(図16)。N末端領域及び配列番号39の内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマーphaZ91-1F-1(配列番号40)及びphaZ91-1R-1(配列番号41)を合成した。なお、プライマーphaZ91-1R-1は、配列番号39のアミノ酸配列から推定される塩基配列のDNAに対する相補鎖として合成された。
5)ゲノムDNAの調製
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas putida P91株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、P91株のゲノムDNAを調製した。
上記1)に記載したように、0.5%(w/v)ポリペプトンおよび0.5%(w/v)グルコースを加えたM9培地でPseudomonas putida P91株を30℃で36時間培養し、遠心分離(4℃、12,000rpm、20min)して生菌体を調製した。つぎにWizard Genomic DNA Purification System(プロメガ(株)製)を用いて、P91株のゲノムDNAを調製した。
6)PCRによる部分配列の増幅
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
上記5)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、4)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。すなわち以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ91-1F-1(配列番号40)とphaZ91-1R-1(配列番号41)により約520bの断片が増幅された。
7)PCR増幅断片のサブクローニング
上記6)で得た約520bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。
以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記6)で得た約520bのPCR産物をアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)して精製した。目的物を含むゲルを切り出し、MinElute Gel Extraction Kit [(株)キアゲン製]を用いてDNA断片を回収した。次に回収したDNA断片を用いてpGEM-T Easy Vector Systems[プロメガ(株)製]によりTAクローニングを行った。
以下にライゲーション反応液の組成を示す。
上記の混合物を25℃で1時間インキュベートし、E.coli JM109コンピテントセルに形質転換した。アンピシリン50μg/ml、X-gal 50μg/ml、IPTG 0.1mMを含むLBアガロースプレートでホワイトコロニーを形質転換体として選択した。形質転換体より単離したプラスミドpGEM-phaZ91を各種制限酵素で消化し、アガロースゲル電気泳動で消化断片の解析を行ったところ、約540bのPCR断片がpGEM-T Easy VectorのEroRI、SpeIサイトに挿入されていることが判明した。pGEM-phaZ91の制限酵素切断地図を図17に示す。得られたプラスミドpGEM-phaZ91中の挿入部分(図17、PCR Product)の塩基配列をジデオキシ法により決定したところ、配列番号38の内部領域のアミノ酸配列をコードするDNA塩基配列が見出され、約520bのPCR増幅断片がポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAの一部であることが確認できた。
8)サザンハイブリダイゼーション
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、KpnIにより切断された約2.1kbの断片に陽性シグナルを得た。この約2.1kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
上記5)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン膜に転写した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、KpnIにより切断された約2.1kbの断片に陽性シグナルを得た。この約2.1kbのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒造(株)製)を用いて、10000rpm、4℃、10分の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
9)コロニーハイブリダイゼーション
上記8)で精製された得られた約2.1kbのDNA断片を、同じくKpnIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ91を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ91))。このプラスミドpUC-pZ91の制限酵素切断地図を図18に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号42、45及び図19及び20に示す。図19における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
上記8)で精製された得られた約2.1kbのDNA断片を、同じくKpnIで消化したpUC18(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。次いで、上記6)で増幅したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sambrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個のコロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した。その結果、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の全長に相当する塩基配列を含有するプラスミドpUC-pZ91を保有するクローンを1株得た(大腸菌形質転換体(E.coli JM109/pUC-pZ91))。このプラスミドpUC-pZ91の制限酵素切断地図を図18に示す。このプラスミドのポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をコードする部分の塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定した。結果を配列番号42、45及び図19及び20に示す。図19における下線は、プロテインシーケンサーにより決定したN末端および内部アミノ酸配列を表す。
(実施例17)
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例16で決定されたPseudomonas putida P91株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号8)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ91-for(配列番号43)およびphaZ91-rev(配列番号44)を設計・合成した。実施例16で調製したプラスミドpUC-pZ91をテンプレートに、設計したプライマーphaZ91-for(配列番号43)およびphaZ91-rev(配列番号44)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
[組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクターの構築、組換えタンパク質の発現、精製および活性測定]
実施例16で決定されたPseudomonas putida P91株のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子の塩基配列(配列番号8)に基づいて、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)にリクローニングするため、PCRプライマーphaZ91-for(配列番号43)およびphaZ91-rev(配列番号44)を設計・合成した。実施例16で調製したプラスミドpUC-pZ91をテンプレートに、設計したプライマーphaZ91-for(配列番号43)およびphaZ91-rev(配列番号44)を用いてPCR(ポリメラーゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製した。
PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル繰り返して行った。PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1重量%)により行った。その結果、プライマーphaZ91-for(配列番号43)とphaZ91-rev(配列番号44)により約860bの断片が増幅された。上記PCRに用いたプライマー;phaZ91-for(配列番号43)およびphaZ91-rev(配列番号44)中には予めそれぞれ制限酵素BamHIおよびXhoIの認識部位が含まれている。そこで前記約860bのPCR増幅産物を制限酵素BamHIおよびXhoIで消化した。消化断片をGST融合タンパク質発現用ベクターpGEX-6P-1(アマシャムバイオサイエンス社製)の対応する制限酵素BamHIおよびXhoIの認識部位に挿入した。得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM109株を形質転換し、アンピシリンを添加したLB寒天プレート上で生育可能なコロニーを選択した。
プライマーpGEX-5'(配列番号18)およびphaZ91-rev(配列番号44)を用いてPCRを行い、約950bの増幅断片が得られることによって、上記860bのPCR増幅産物がグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と同じ方向で挿入されたクローンであることを確認した。このクローンから抽出したプラスミド(pGEX-phaZ91)を用いて大腸菌(BL21)を形質転換し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB-Amp培地10mLで一晩プレ・カルチャーした後、その1mLを、100mLのLB-Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4~12時間培養を続けた。IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharose 4B beads: アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて精製した。使用したグルタチオンセファロースは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロースを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4重量%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。前処理したグルタチオンセファロース 40μLを、無細胞抽出液1mL に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST-PhaZ91をグルタチオンセファロースに吸着させた。吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロースを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS-PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。精製されたGST融合タンパク質の分子量は約58.2kDaであった。
次に、GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムバイオサイエンス、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、発現タンパク質PhaZ91の最終精製物を得た。発現精製タンパク質PhaZ91のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。精製タンパク質のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性の測定は前述の方法にて行った。その結果、精製された組換え酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、SDS-PAGEにより精製タンパク質は分子量約31.5kDaであることがわかった。さらに等電点電気泳動の結果、精製タンパク質の等電点は9.5であった。
プライマーpGEX-5'(配列番号18)およびphaZ91-rev(配列番号44)を用いてPCRを行い、約950bの増幅断片が得られることによって、上記860bのPCR増幅産物がグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子と同じ方向で挿入されたクローンであることを確認した。このクローンから抽出したプラスミド(pGEX-phaZ91)を用いて大腸菌(BL21)を形質転換し、発現用菌株を得た。得られた菌株をLB-Amp培地10mLで一晩プレ・カルチャーした後、その1mLを、100mLのLB-Amp培地に添加し、37℃、170rpmで3時間振とう培養した。その後IPTGを添加 (終濃度 1mM) し、37℃で4~12時間培養を続けた。IPTG 誘導した大腸菌を集菌 (8000×g、 2分、4℃) し、1/10 量の 4℃ PBSに再懸濁した。凍結融解およびソニケーションにより菌体を破砕し、遠心 (8000×g、 10分、4℃)して固形夾雑物を取り除いた。目的の発現タンパク質が上清に存在することをSDS-PAGEで確認した後、誘導発現されたGST融合タンパク質をグルタチオン・セファロース4B(Glutathion Sepharose 4B beads: アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて精製した。使用したグルタチオンセファロースは、予め非特異的吸着を抑える処理を行った。すなわち、グルタチオンセファロースを同量のPBSで3回洗浄(8000×g、1分、4℃) した後、4重量%BSA含有PBSを同量加えて4℃で1時間処理した。処理後同量のPBSで2回洗浄し、1/2量のPBSに再懸濁した。前処理したグルタチオンセファロース 40μLを、無細胞抽出液1mL に添加し、4℃で静かに攪拌した。これにより、融合タンパク質GST-PhaZ91をグルタチオンセファロースに吸着させた。吸着後、遠心 (8000×g、 1分、4℃)してグルタチオンセファロースを回収し、400μLのPBSで3回洗浄した。その後、10 mMグルタチオン40μLを添加し、4℃で1時間攪拌して、吸着した融合タンパク質を溶出した。遠心 (8000×g、2分、4℃)して上清を回収した後PBSに対して透析し、GST融合タンパク質を精製した。SDS-PAGEにより、シングルバンドを示すことを確認した。精製されたGST融合タンパク質の分子量は約58.2kDaであった。
次に、GST融合タンパク質500μgをPreScissionプロテアーゼ(アマシャムバイオサイエンス、5U)で消化した後、グルタチオン・セファロースに通してプロテアーゼとGSTを除去した。フロースルー分画をさらに、PBSで平衡化したセファデックスG200カラムにかけ、発現タンパク質PhaZ91の最終精製物を得た。発現精製タンパク質PhaZ91のタンパク質濃度は、マイクロBCAタンパク質定量試薬キット(ピアスケミカル社製)によって測定した。精製タンパク質のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性の測定は前述の方法にて行った。その結果、精製された組換え酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、SDS-PAGEにより精製タンパク質は分子量約31.5kDaであることがわかった。さらに等電点電気泳動の結果、精製タンパク質の等電点は9.5であった。
(実施例18)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例17で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3-ヒドロキシ−7,8−エポキシオクタン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約32%、約68%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−フェニル吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約92%、約8%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−フェノキシ−n−酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−5−(4−フルオロベンゾイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(5)3−ヒドロキシ−5−{[(4−フルオロフェニル)メチル]スルファニル}吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(6)3-ヒドロキシ−4−(フェニルスルファニル)酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(7)3−ヒドロキシ−5−フェニルメチルオキシ吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(8)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約97%、約3%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例17で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例19)
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例17で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
[unusual PHAの分解]
PHAとして、
(1)3−ヒドロキシ−5−(2−チエニルスルファニル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約82%、約18%含むコポリマー、
(2)3−ヒドロキシ−5−(2−チエノイル)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約86%、約14%含むコポリマー、
(3)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシル酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(4)3−ヒドロキシ−4−シクロヘキシルオキシ酪酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約88%、約12%含むコポリマー、
(5)3-ヒドロキシ−10−ウンデセン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約25%、約75%含むコポリマー、
(6)3−ヒドロキシドデカ−5−エン酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(7)3-ヒドロキシ-5-(メチルチオ)吉草酸ユニットと3−ヒドロキシデカン酸ユニットをそれぞれモル比で約90%、約10%含むコポリマー、
(8)3-ヒドロキシ-7-カルボキシヘプタン酸ユニットと3−ヒドロキシノナン酸ユニットをそれぞれモル比で約13%、約87%含むコポリマー、
をそれぞれ個々に用い、実施例17で調製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素による分解を次の様にして確認した。各々のPHAのクロロホルム溶液をQCM上にキャスト法にてフィルム化した。これを50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)2ml、35℃中に静置し、QCM信号が安定するまでプレインキュベートした。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素150μgの添加で反応を開始し、QCMの共振周波数を経時的に測定した。経時的な共振周波数の増加が観察され、QCM上のポリヒドロキシアルカノエートの分解に伴う質量減少が確認された。
(実施例20)
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号7のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ91)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ91[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ91[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ91[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ91[T201V])、
さらにこれらの組合せとして、PhaZ91[G14A, Y75H]、PhaZ91[G14A, T201V]、PhaZ91[Y75H, T201V]、PhaZ91[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例17に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例15に述べた方法によって測定した。
その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号8で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
[変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の作製]
配列番号7のアミノ酸配列において、14番目のグリシンをアラニンに、75番目のチロシンをヒスチジンに、また201番目のスレオニンをバリンにそれぞれ置換した変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を作製した。それぞれのアミノ酸の置換は、遺伝子DNAのそれぞれ対応するコドンを、14番目のグリシンであればGGCをGCCに、75番目のチロシンであればTATをCATに、201番目のスレオニンであればACCをGTCにそれぞれ塩基を置換することによって行った。それぞれの変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素は、実施例2で作製した組換えポリヒドロキシアルカノエート分解酵素遺伝子発現ベクター(pGEX-phaZ91)をテンプレートプラスミドとして、QuickChange Multi Site-Directed Mutagenesis Kit (Stratagene)を用いて行った。ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の野生型(PhaZ91[wt])に対して、14番目のグリシンをアラニンに置換したもの(PhaZ91[G14A])、75番目のチロシンをヒスチジンに置換したもの(PhaZ91[Y75H])、201番目のスレオニンをバリンに置換したもの(PhaZ91[T201V])、
さらにこれらの組合せとして、PhaZ91[G14A, Y75H]、PhaZ91[G14A, T201V]、PhaZ91[Y75H, T201V]、PhaZ91[G14A, Y75H, T201V] の計7種類の変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を発現する遺伝子発現ベクターを構築し、実施例17に述べた方法によって、各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を精製した。精製した各種ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の酵素活性を実施例15に述べた方法によって測定した。
その結果、精製された変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の比活性は野生型酵素と同等であることがわかった。また、各変異型ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素をコードするDNAは、(1)高イオン濃度下[6xSSC(900mMの塩化ナトリウム、90mMのクエン酸ナトリウム) に、65℃の温度条件でハイブリダイズさせることにより配列番号8で示される塩基配列を含むDNAとDNA−DNAハイブリッドを形成し、(2)低イオン濃度下[0.1xSSC(15mMの塩化ナトリウム、1.5mMのクエン酸ナトリウム)] に、65℃の温度条件で30分間洗浄したあとでも該ハイブリッドが維持され、ストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNAであることが確認された。DNA−DNAハイブリッドの検出はAlkPhos Direct Labelling and Detection System(アマシャム バイオサイエンス社製)を用いて行った。
(実施例21)
[YN21株の取得]
ポリペプトン0.5%、フェニル吉草酸0.1%、ミネラル溶液0.3%、粉末寒天1.2%を含むM9培地をオートクレーブ滅菌し、50℃に冷却後、ナイルレッドを0.05%含有するDMSO溶液を0.1%添加し、滅菌シャーレに15mlずつ分注し、寒天を固化させて寒天培地を作製した。
[YN21株の取得]
ポリペプトン0.5%、フェニル吉草酸0.1%、ミネラル溶液0.3%、粉末寒天1.2%を含むM9培地をオートクレーブ滅菌し、50℃に冷却後、ナイルレッドを0.05%含有するDMSO溶液を0.1%添加し、滅菌シャーレに15mlずつ分注し、寒天を固化させて寒天培地を作製した。
なお、M9培地及びミネラル溶液の組成は以下に示す。
[M9培地]
Na2HPO4:6.2g、KH2PO4:3.0g、NaCl:0.5g、NH4Cl:1.0g(培地1リットル中、pH7.0)
[ミネラル溶液]
ニトリロ三酢酸:1.5 g、MgSO4:3.0 g、MnSO4:0.5 g、NaCl:1.0 g、FeSO4:0.1 g、CaCl2:0.1 g、CoCl2:0.1 g、ZnSO4:0.1 g、CuSO4:0.1 g、AlK(SO4)2:0.1 g、H3BO3:0.1 g、Na2MoO4:0.1 g、NiCl2:0.1 g(1リットル中、pH7.0)
次に、野外から採取した土壌試料5gを10mlの滅菌蒸留水に添加し、1分間攪拌した。この土壌懸濁液0.5mlを4.5mlの滅菌水に添加・攪拌し、10倍希釈液を作製した。同様の操作を繰り返し、100倍希釈液、1000倍希釈液、10000倍希釈液を作製した。10倍〜10000倍希釈液を先に作製した寒天培地に各0.1mlずつ分注し、寒天表面に均一になるように広げた。これを培養器に移し、30℃で5日間培養した。培養後、PHAを合成したと思われる赤色のコロニーのうち、形態の異なる株を分離した。こうして野生株を十数株取得した。次に、ポリペプトン0.5%、グルコース0.5%、フェニル吉草酸0.1%、ミネラル溶液0.3%を含むM9培地(pH7.0)50mlに上記野生株を保存寒天培地のコロニーから植菌し、500ml容坂口フラスコにて30℃、125ストローク/分で振盪培養した。また上記培地をpH5.0、pH8.5にそれぞれ調整した培地に関しても同様に培養を行った。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて洗浄した後、真空乾燥した。この乾燥菌体ペレットを酢酸エチル10mlに懸濁し、35℃で15時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させ、沈澱物のみを回収して真空乾燥し、得られたPHAを秤量してポリマー乾燥重量(PDW)を求めた。得られたPHAのモノマーユニット比を、1H−NMR(FT−NMR:BrukerDPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CDCl3;reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3;測定温度:室温)によって求めた。以上により得られたポリマー乾燥重量(PDW)及びモノマーユニット比を各野生株及び従来菌株に関して比較することで、PHA生産性を有するYN21株を取得した。
[M9培地]
Na2HPO4:6.2g、KH2PO4:3.0g、NaCl:0.5g、NH4Cl:1.0g(培地1リットル中、pH7.0)
[ミネラル溶液]
ニトリロ三酢酸:1.5 g、MgSO4:3.0 g、MnSO4:0.5 g、NaCl:1.0 g、FeSO4:0.1 g、CaCl2:0.1 g、CoCl2:0.1 g、ZnSO4:0.1 g、CuSO4:0.1 g、AlK(SO4)2:0.1 g、H3BO3:0.1 g、Na2MoO4:0.1 g、NiCl2:0.1 g(1リットル中、pH7.0)
次に、野外から採取した土壌試料5gを10mlの滅菌蒸留水に添加し、1分間攪拌した。この土壌懸濁液0.5mlを4.5mlの滅菌水に添加・攪拌し、10倍希釈液を作製した。同様の操作を繰り返し、100倍希釈液、1000倍希釈液、10000倍希釈液を作製した。10倍〜10000倍希釈液を先に作製した寒天培地に各0.1mlずつ分注し、寒天表面に均一になるように広げた。これを培養器に移し、30℃で5日間培養した。培養後、PHAを合成したと思われる赤色のコロニーのうち、形態の異なる株を分離した。こうして野生株を十数株取得した。次に、ポリペプトン0.5%、グルコース0.5%、フェニル吉草酸0.1%、ミネラル溶液0.3%を含むM9培地(pH7.0)50mlに上記野生株を保存寒天培地のコロニーから植菌し、500ml容坂口フラスコにて30℃、125ストローク/分で振盪培養した。また上記培地をpH5.0、pH8.5にそれぞれ調整した培地に関しても同様に培養を行った。72時間後、菌体を遠心分離により回収し、冷メタノールにて洗浄した後、真空乾燥した。この乾燥菌体ペレットを酢酸エチル10mlに懸濁し、35℃で15時間攪拌してPHAを抽出した。抽出液を孔径0.45μmのメンブラン・フィルターで濾過した後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この濃縮液を冷メタノール中に加えて、PHAを再沈澱させ、沈澱物のみを回収して真空乾燥し、得られたPHAを秤量してポリマー乾燥重量(PDW)を求めた。得られたPHAのモノマーユニット比を、1H−NMR(FT−NMR:BrukerDPX400;共鳴周波数:400MHz;測定核種:1H;使用溶媒:CDCl3;reference:キャピラリ封入TMS/CDCl3;測定温度:室温)によって求めた。以上により得られたポリマー乾燥重量(PDW)及びモノマーユニット比を各野生株及び従来菌株に関して比較することで、PHA生産性を有するYN21株を取得した。
本発明のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を利用すれば、ポリヒドロキシアルカノエートの分解促進による廃棄物処理や、分解物のポリヒドロキシアルカノエート生産の基質としての再利用が可能となり、これらの処理を行うプラントの効率的な稼動を実現することができる。
Claims (14)
- 以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(YN21_PhaZ);
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列。 - 以下の(i)〜(iv)のいずれかのDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(YN21_phaZ):
(i)配列番号2に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号2に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号1で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。 - 以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(H45_PhaZ);
(a)配列番号3で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号3で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。 - 以下の(i)〜(iv)のいずれかのDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(H45_phaZ):
(i)配列番号4に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号4に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号3で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。 - 以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(P161_PhaZ);
(a)配列番号5で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号5で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。 - 以下の(i)〜(iv)のいずれかのDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(P161_phaZ):
(i)配列番号6に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号6に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号5で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号5で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。 - 以下の(a)または(b)のアミノ酸配列を有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質(P91_PhaZ);
(a)配列番号7で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失、置換されたアミノ酸配列。 - 以下の(i)〜(iv)のいずれかDNAを有し、ポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子(P91_phaZ):
(i)配列番号8に示す塩基配列からなるDNA、
(ii)配列番号8に示す塩基配列からなるDNAに相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつポリヒドロキシアルカノエート分解酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA、
(iii)配列番号7で表されるアミノ酸配列をコードするDNA、
(iv)配列番号7で表されるアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列をコードするDNA。 - 請求項2、4、6または8に記載の遺伝子を含有している組換えベクター。
- 請求項9に記載の組換えベクターを含む形質転換体。
- 大腸菌である請求項10に記載の形質転換体。
- 請求項10または11に記載の形質転換体を培養し、培養液からポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を回収することを特徴とするポリヒドロキシアルカノエート分解酵素の製造方法。
- 請求項12記載のポリヒドロキシアルカノエート分解酵素を用いた、ポリヒドロキシアルカノエートの分解方法。
- ポリヒドロキシアルカノエートが式[1]から式[16]に示す群から選ばれた少なくとも1種類のポリマーユニットをポリマー分子中に含むことを特徴とする請求項13記載の分解方法;
(1)R1が水素原子(H)であり、aが1から10の整数のいずれかであるポリマーユニット、
(2)R1がハロゲン原子であり、aが1から10の整数のいずれかであるポリマーユニット、
(3)R1が、
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