JPH09191887A - 生分解性ポリマーのデポリメラーゼ及びその製造方法 - Google Patents

生分解性ポリマーのデポリメラーゼ及びその製造方法

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JPH09191887A
JPH09191887A JP8301671A JP30167196A JPH09191887A JP H09191887 A JPH09191887 A JP H09191887A JP 8301671 A JP8301671 A JP 8301671A JP 30167196 A JP30167196 A JP 30167196A JP H09191887 A JPH09191887 A JP H09191887A
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JP
Japan
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depolymerase
sequence
amino acid
biodegradable polymer
enzyme
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Application number
JP8301671A
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English (en)
Inventor
Nobuo Kato
暢夫 加藤
Keiko Kita
恵子 喜多
Ko Ishimaru
香 石丸
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Arkray Inc
Original Assignee
KDK Corp
Kyoto Daiichi Kagaku KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性ポリマーの分解酵素を提供する。 【解決手段】 配列番号3に記載のアミノ酸配列若しく
は配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上のア
ミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を有し、生
分解性ポリマーの加水分解を触媒する酵素活性を有する
デポリメラーゼ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DNA組換え技術
による生分解性ポリマーの加水分解を触媒する酵素であ
るデポリメラーゼに関し、より詳しくは、アルカリジェ
ネス属(Alcaligenes)由来のデポリメラーゼの酵素及び
該酵素をコードするDNA、該DNAを含有する発現ベ
クター、該発現ベクターにより形質転換された微生物、
該形質転換体を培養することによる組換えデポリメラー
ゼの製造、そのようにして得られる組換えデポリメラー
ゼ、該組換えデポリメラーゼを用いる生分解性プラスチ
ックの効率的な分解方法に関する。本発明の酵素は、特
に、生分解性ポリマーとして3−ヒドロキシ酪酸(以下
3HBと略記する)を単位とするポリヒドロキシアルカ
ノエート(以下、PHAと略記する)の加水分解に適す
る。
【0002】
【従来技術】近年、ポリヒドロキシアルカノエート(P
HA)をはじめ生分解性(生物分解性)プラスチック製
品は、投棄後、土中や海中に存在する微生物により自然
に分解され得る素材として、注目を集めており、コスト
ダウンのために、様々な改良が試みられている。例え
ば、微生物による分解を促進するために生分解性プラス
チック素材に微生物培地成分を配合する方法(特開昭4
−168150)、生分解性プラスチック素材にリパー
ゼ、アミラーゼ、セルラーゼ乳酸脱水素酵素などの加水
分解酵素を添加する方法(特開平4−168149号公
報)、生分解性プラスチック素材形成品を製造する際に
配合する無機及び/又は有機フィーラーの配合量と平均
体積を特定範囲に調節し、成形品使用中の生分解及び崩
壊を制御する方法(特開平4−146953号公報)等
が提案されている。
【0003】しかしながら、生分解能を持つ微生物や、
その酵素に関する開発は遅れており、実用化の例もな
い。PHB及び代表的なPHA(ポリ3ヒドロキシブチ
レート/ポリ4ヒドロキシブチレート及び3ヒドロキシ
ブチレート/3ヒドロキシバリレート)は以下の構造式
で示される。
【化1】 式中、X、Yは1以上の任意の整数を表す。本出願人
は、様々な微生物産生酵素をスクリーニングし、アルカ
リジェネス(Alcalige nes)属の菌がPHAに特異的に反
応する酵素であるデポリメラーゼを産生することを見出
し、それを精製して諸性質を明らかにした(Applied An
d Environmental Microbiology, May 1995, P. 1727-17
30)。
【0004】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、微生物を培養
し、培養物からデポリメラーゼを抽出、精製して製造す
る方法は、多くの労力と時間を必要とし、非効率的であ
る。また、該培養物には、デポリメラーゼ以外にアルカ
リジェネス属の菌株固有のタンパク質等夾雑物が混入し
ており、デポリメラーゼ活性に悪影響を及ぼす物質が混
在する可能性も否定できず、デポリメラーゼを用いた測
定は、信頼性が十分に確保できない恐れがある。従っ
て、アルカリジェネス属の菌に由来する不純物を伴わな
いデポリメラーゼを効率よく製造する方法の開発が求め
られていた。そのためには、アルカリジェネス属由来の
デポリメラーゼをコードするDNAをクローニングし、
該DNAを含有する適当な発現ベクターを構築し、該発
現ベクターで宿主細胞を形質転換させ、効率よくデポリ
メラーゼを得ることが必要である。また、該デポリメラ
ーゼは、その生化学的諸性質より、新規のデポリメラー
ゼであると考えられたので、クローニングする必要があ
った。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、アルカリジェネス・フェカリスAE
122株(Alcalige nes faecalis AE122)由来のデポリメ
ラーゼをコードするDNAのクローニングを行った。つ
づいて、該DNAを含有する発現ベクターを構築し、該
発現ベクターで宿主細胞を形質転換し、得られた形質転
換体を培養することにより、生分解性ポリマーに対する
デポリメラーゼ活性を有する組換えデポリメラーゼを製
造することに成功した。本発明のデポリメラーゼをコー
ドするDNA及び推定のアミノ酸配列を配列表の配列番
号3、及び図9、10に示す。本発明によりデポリメラ
ーゼをコードするDNAがクローニングされたので、そ
れに基づき、通常の遺伝子組換え技術を用いて、アミノ
酸の付加、欠失、挿入、置換等により、デポリメラーゼ
活性を保持している誘導体を得ることは当業者にとって
容易である。故に、そのような常套手段で得られるデポ
リメラーゼの活性な誘導体も本発明の範囲に包含される
ものである。
【0006】従って、本発明は、配列番号3に記載のア
ミノ酸配列若しくは該配列に1以上のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加された配列を有し、生分解性ポリマー
の加水分解を触媒する酵素活性を有するデポリメラーゼ
を提供するものである。本発明のデポリメラーゼの特性
を以下に例示する。 (1)生分解性ポリマーの加水分解反応を触媒する酵素
活性を有し; (2)SDS−PAGE及びゲル濾過により、分子量約
95kDaのモノマー酵素とされ、; (3)そのN末端に配列表の配列番号1で示されるアミ
ノ酸配列を、また、内部領域に配列番号2で示されるア
ミノ酸配列を有する。
【0007】本発明のデポリメラーゼは、塩水の存在
下、生分解性ポリマーの加水分解を触媒する活性を有す
る。そのような生分解性ポリマーとしては、PHBを成
分とするPHAが好ましい。なお、本発明のデポリメラ
ーゼは、種々のPHAにも反応性を示すことから、本発
明のデポリメラーゼを、特にPHAデポリメラーゼとも
称する場合もある。本発明はまた、上記デポリメラーゼ
をコードするDNAを提供するものである。該DNA
は、相補DNA、合成DNAのいずれでもよい。本発明
のDNAは、1つの実施態様として、番号3記載の塩基
配列又はその部分配列で示すことができる。本発明はま
た、配列番号3に記載の塩基配列において1以上の塩基
が欠失、置換若しくは付加された配列を有し、生分解性
ポリマーの加水分解を触媒する酵素活性を有するデポリ
メラーゼをコードするDNAをも包含する。さらに、本
発明は該DNAを含有する発現ベクターを提供するもの
である。本発明はまた、該発現ベクターによって形質転
換された宿主細胞を提供するものである。さらに、本発
明は、このようにして得られた形質転換体を培地に培養
し、培養物からデポリメラーゼを回収することを特徴と
するデポリメラーゼの製造法を提供するものである。さ
らに、本発明は、生分解性ポリマーであるPHAを加水
分解するために、デポリメラーゼとPHAとを、塩水の
存在下で接触させることを特徴とする該試料中の生分解
性ポリマーの分解方法を提供するものである。
【0008】本明細書中、培養物の「処理物」とは培養物
から得られる物質であって、より高い加水分解活性を有
する様に、当該技術分野で通常の方法により処理された
物質を指す。 (1)生細胞:ろ過又は遠心分離等の通常の方法で培養
物から分離された細胞。 (2)乾燥細胞:(1)の生細胞を凍結乾燥又は真空乾燥
したもの。 (3)細胞抽出物:(1)又は(2)の細胞を通常の方法
(例えば有機溶媒中での自己溶菌、アルミナや海砂と混
合しての摩砕、又は超音波処理)して得られる。 (4)酵素溶液:細胞抽出物を常法通り精製するか部分
精製することにより得られる。 (5)精製酵素:(4)に記載の酵素溶液をさらに精製
し、不純物を含まないもの。 (6)酵素活性を有するフラグメント;精製酵素等を適
当な方法で断片化処理することにより得られるペプチド
フラグメント。 (7)固定化細胞又は酵素:細胞又は酵素を通常の方法
で固定化(例えばポリアクリルアミド、ガラスビーズ、
イオン交換樹脂等に固定化)したもの。 尚、PHAと反応させるデポリメラーゼは完全に精製さ
れていなくとも良く、上記の(1)〜(7)のいずれか
であっても良い。培地に分泌される場合は、培養物その
もの及びそれから精製される酵素(溶液、凍結乾燥品、
断片化したフラグメント等)及び固定化酵素が培養物又
は処理物の例として挙げられる。また、「酵素活性を有
するフラグメント」は、(6)に記載のごとく、デポリ
メラーゼ活性を有し、本発明の目的に有用なペプチドフ
ラグメントを指す。そのようなフラグメントは、例え
ば、上記(5)の精製酵素を、適当な方法で断片化処理
することにより得ることができ、培養物の処理物の1つ
である。なお、本明細書で、単にデポリメラーゼという
ときにも、上記の培養物の処理物の1つを表す場合があ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のデポリメラーゼをコード
するDNAのクローニングは、当該技術分野で既知の方
法に従って行うことができる。まず、faecalis AE1
22の培養物からデポリメラーゼを精製し、それよりN末
端アミノ酸配列を決定した。次いで精製デポリメラーゼ
を限定分解することにより得られたペプチド断片より、
部分アミノ酸配列を決定し、該アミノ酸配列に基づいて
オリゴヌクレオチドプライマーを設計した。決定された
N−末端アミノ酸配列を配列表の配列番号1及び図1
に、内部領域のアミノ酸配列を配列番号2及び図1に示
す。また、オリゴヌクレオチドプライマー1及び2のヌ
クレオチド配列を配列番号4及び5に示す。これら配列
番号1及び2のペプチド断片と、プライマー1及び2と
の関係は図1に示す通りである。ゲノムDNAを鋳型と
し、これらのプライマーを用いてPCR(ポリメラーゼ
チェーン反応)を行ったところ、約1.5kbのPCR
断片が得られた。次に、該断片をプローブにサザンハイ
ブリダイゼーションを行って、全配列を含む約6.2k
bpのKpnI断片を得た。さらに、この断片をpUC
19にサブクローニングして、コロニーハイブリダイゼ
ーションを行った。その結果、10個の陽性コロニーが
得られた。これらのコロニーからプラスミドを抽出し、
塩基配列を決定したところ、そのうちの1株はPHAデ
ポリメラーゼのN末端アミノ酸配列(配列番号1)に相
当する塩基配列を持つプラスミドpPD181を保有す
るクローンであることが分かった[大腸菌形質転換体
coli JM109/pPD181)]。
【0010】プラスミドpPD181を導入した大腸
菌、E.col i JM109/pPD181は、通産省工業
技術院生命工学技術研究所に寄託されている(受託日:
1995年10月18日;受託番号:FERM P−1
5244)。次いで、得られたクローンの塩基配列を決
定しアミノ酸配列を推定した。これを配列番号3及び図
9、10に示す。既述のごとく、本発明の目的には、配
列番号3及び図9、10に示したアミノ酸配列を完全に
有するデポリメラーゼのみならず、所望の酵素活性を有
するそのフラグメントも同様に有用である。
【0011】本発明の、大腸菌宿主内で複製可能なデポ
リメラーゼ発現ベクターpPD181は、lacプロモー
ターとSD配列、並びにアンピシリン耐性を付与するD
NA配列を含有しているが、該デポリメラーゼをコード
するDNAを、他の適当な発現ベクターのプロモーター
の下流に挿入することにより、他の宿主内でも発現可能
なデポリメラーゼ発現ベクターを構築することができ
る。よって、上記の発現ベクター及び宿主細胞は、本発
明のデポリメラーゼをコードするDNAの発現に適した
多くのベクター及び宿主細胞の1例にすぎず、当業者な
らば、当該技術分野での常法に従い、任意の宿主細胞内
で機能的なデポリメラーゼ発現ベクターを構築すること
ができる。プロモーターは既知のものから適宜選択する
か、あるいは新たに調製したものでもよい。このよう
に、本発明の発現ベクターは本明細書記載の例示のプラ
スミドに限定されず、通常の技術を用いて修飾(例え
ば、プロモーターを交換する)することによって、異な
る種類の微生物、また他の細胞内で機能的であり、及び
/又はデポリメラーゼを高レベルに産生させることがで
きる発現ベクターを構築することができる。
【0012】本発明のデポリメラーゼをコードするDN
Aを担持する発現ベクターで形質転換するために用いら
れる宿主細胞は、大腸菌等の原核細胞、酵母等の真核細
胞のいずれでもよく、さらには一般的に利用されている
高等生物の細胞でもよい。宿主細胞としては、微生物
[原核生物(細菌、例えば大腸菌や枯草菌等)、真核生
物(例えば酵母)]、動物細胞又は培養植物細胞が挙げ
られる。微生物の好ましい例は、原核生物、特にEscher
ichia属に属する菌株(例えば、.coli等)、酵母、特
Sa ccharomyces属に属する株(例えば、.cerevisia
e)やCandida属に属する株(例えば、.boidinii)で
ある。好ましい動物細胞株は例えば、マウスL929細
胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などであ
る。
【0013】宿主細胞として細菌、特に大腸菌を使用す
るのに適した、発現ベクターは既知であり、例えば、l
acプロモーターやtacプロモーター等の慣用のプロ
モーターを有するものを挙げることができる。酵母での
デポリメラーゼの発現のための発現ベクターとしては、
GALプロモーターやAODプロモーター等のプロモー
ターを含有するものが好ましい。又、哺乳動物細胞での
デポリメラーゼ発現のための発現ベクターとしては、S
V40プロモーター等のプロモーターを有するものが挙
げられる。しかしながら、操作及び入手の容易さを考慮
して、宿主細胞としては原核性宿主が好ましく、特に大
腸菌が好ましい。原核性宿主−ベクター系については、
多くの成書(例えばMolecular Cloning:A LABOLATOR
Y MANUAL, Cold SpringHarbor Laboratory Pres
s)があり、当該技術分野で既知であるが、以下に簡単
に説明する。
【0014】例えば、デポリメラーゼをコードするDN
Aを大腸菌で発現させるには、大腸菌を用いた形質転換
に適するプラスミドのプロモーターの下流に該DNAを
挿入する。後述する実施例では、大腸菌での1つの態様
の発現が記載されているが、他の態様での発現は、例え
ば、E.coli JM109/pPD181に挿入されてい
るデポリメラーゼをコードするDNAを適当な酵素(例
えば制限酵素、アルカリホスファターゼ、ポリヌクレオ
チドキナーゼ、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼな
ど)で処理することによりデポリメラーゼの酵素活性を
コードするDNA断片を得、これを適当なベクターに組
み込むことにより様々な宿主でデポリメラーゼ活性を有
するペプチドを発現させることができ、これらのデポリ
メラーゼも本発明の範囲に含まれる。
【0015】発現ベクターによる宿主細胞の形質転換は
既知であり、Molecular Cloning:A LABOLATORY MANU
AL, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載
の方法で行うことができる。例えば、原核性宿主の場合
は、コンピテントセル作製法、真核性宿主の場合は、コ
ンピテントセル作製法、哺乳動物細胞の場合はトランス
フェクション法、エレクトロポレーション法により行う
ことができる。次いで、得られた形質転換体を適当な培
地に培養する。培地は、炭素源(例えばグルコース、メ
タノール、ガラクトース、フルクトース等)及び無機ま
た有機窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモ
ニウム、硝酸ナトリウム、ペプトン、カザミノ酸等)を
含有していてよい。所望により、培地に他の栄養源(例
えば無機塩類(塩化ナトリウム、塩化カリウム)、ビタ
ミン類(例えばビタミンB1)、抗生物質(例えばアン
ピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン等))を加
えてもよい。哺乳動物細胞の培養には、イーグル培地が
適当である。
【0016】形質転換体の培養は、通常、pH6.0〜
8.0、好ましくはpH7.0、25〜40℃、好ましく
は30〜37℃で8〜48時間行えばよい。生産された
デポリメラーゼが培養液中に存在しているときは、培養
物を濾過又は遠心分離する。精製は、回収した培養液上
清から、天然又は合成のタンパク質の精製、単離に用い
られる常法(例えば透析、ゲル濾過、対応する抗デポリ
メラーゼモノクロナール抗体を用いてのアフィニティカ
ラムクロマトグラフィー、適当な吸着剤を用いてのカラ
ムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー
等)を用いて行うことができる。生産されたデポリメラ
ーゼが培養形質転換体のペリプラズム及び細胞質中に存
在するときは、濾過や遠心分離によって細胞を集め、そ
れらの細胞壁及び/又は細胞膜を、たとえば超音波及び
/又はリゾチーム処理によって、破壊して、デブリス
(細胞破砕物)を得る。このデブリスを適当な水溶液
(例えば緩衝液)に溶解させ、常法によって、デポリメ
ラーゼを精製することができる。
【0017】大腸菌中で生産されたデポリメラーゼを再
生(リフォールディング)する必要があるときは、これ
を常法によって行なうことができる。本発明方法で得ら
れる形質転換体を適当な培地で培養して得られる培養物
はデポリメラーゼ活性を示すが、このものを上記のごと
く当業者既知の通常の方法でさらに処理して酵素溶液等
の処理物を調製することができる。また、所望により精
製してもよい。例えば、培養物を遠心して上清を回収
し、各種クロマトグラフィー等に用いれば精製酵素標品
が得られる。
【0018】上記の培養物、その処理物(精製酵素標品
及び酵素活性を有するフラグメントを含む)は、デポリ
メラーゼ酵素活性を有し、生分解性ポリマー、特にPH
Bを成分とするPHAからなる生分解性プラスチックの
分解に適しており、環境保護に有用である。本発明によ
りデポリメラーゼをコードするDNAがクローニングさ
れたので、それに基づき、通常の遺伝子組換え技術を用
いて、アミノ酸の付加、欠失、挿入、置換等により、デ
ポリメラーゼ活性を保持している誘導体を得ることは当
業者にとって容易である。故に、そのような常套手段で
得られるデポリメラーゼの活性な誘導体も本発明の範囲
に包含されるものである。
【0019】既述のごとく、本発明の形質転換体を培養
して得られる培養物及びその処理物は、例えば前記の構
造式で示されるPHAの加水分解反応の触媒活性を有す
る。しかしながら、本発明のデポリメラーゼの使用は前
記の構造式で示されるPHAに限定されるものではな
く、既存の又は将来開発される、任意の生分解性ポリマ
ーの加水分解に有用である。
【0020】本発明方法に従って生分解性ポリマーを分
解するには、本発明のデポリメラーゼで加水分解される
生分解性ポリマーを含有する試料、例えば、プラスチッ
ク成形品と、本発明のデポリメラーゼを発現する形質転
換体の培養物又はその処理物を塩水中で接触させる。培
養物又はその処理物は水又は緩衝液中懸濁液(溶液)とし
て用いる。pH、温度及び反応時間等の反応条件は特に
限定されるものでなく、同様の酵素反応に通常用いられ
る条件から適宜選択するとよい。しかしながら、好まし
くはpH7.0〜11.0、より好ましくはpH約10.0
であり、反応温度は30〜70℃、好ましくは45〜6
5℃、より好ましくは約55℃である。反応系には、少
なくとも25%、好ましくは75%の塩水が必要であ
る。塩水の代わりに人工海水(NaCl 2.3%、N
2SO4 0.4%、NaHCO30.02%、KCl
0.07%、KBr 0.01%、MgCl2 0.5%、
CaCl2 0.1%、SrCl2 0.002%、H3
3 0.003%)を添加してもよい。
【0021】本発明の生分解性ポリマーの分解方法に用
いる酵素は、適当な固体支持体に固定化することができ
る。酵素の固定化は当該技術分野で既知の方法により行
うことができる。例えば、担体結合法、架橋化法、包括
法、複合法等によって行う。担体としては、高分子ゲ
ル、マイクロカプセル、アガロース、アルギン酸、カラ
ゲーナン、などがある。結合は共有結合、イオン結合、
物理吸着法、生化学的親和力を利用し、当業者既知の方
法で行う。このようにして得られた固定化酵素は、プラ
スチック廃棄物の処理に有用である。
【0022】
【実施例】次下に実施例を挙げて本発明を詳しく説明す
るが、これらは本発明を制限するものではない。以下の
実施例において用いたプラスミド類、様々な制限酵素や
T4DNAリガーゼ、その他の酵素類は、市販品から入
手し、供給者の指示に従って使用した。また、DNAの
クローニング、各プラスミドの構築、宿主の形質転換、
形質転換体の培養及び培養物からの酵素の回収は、当業
者既知の方法、あるいは文献記載の方法に準じて行なっ
た。また、酵素活性は以下の力価の測定法に従って測定
した。
【0023】力価の測定 本発明のデポリメラーゼの力価の測定はPHB顆粒(P
HB-granule)の濁度を測定する方法により行った。常
法に従って、水素細菌のAlca ligenes eutrop hus ATCC17
699の菌体内にPHB(ポリ3ヒドロキシ酪酸)を大量
に蓄積させ、これを菌体内より抽出してPHB顆粒とし
た。活性測定基質はこのPHB顆粒50mgを50mM Tr
is-HCl緩衝液(pH7.5)100mlに、超音波処理
により懸濁したものを用いた。反応は、25mM Tris
−HCl緩衝液(pH7.5)、80μg/ml PHB顆
粒、50%海水、PHAデポリメラーゼを含有する全量
3mlの系で行った。まず、酵素以外の成分を3mlのセ
ル内で混合し、1分間プレインキュベートした。PHA
デポリメラーゼの添加で反応を開始し、650nmにお
けるPHB顆粒の減少を、120秒間、経時的に測定し
た。予め作成したPHB顆粒量と650nmにおける濁
度の検量線より減少量を求め、これを酵素活性とした。
なお、IUは30℃で1分間に1μgのPHB顆粒を分
解する酵素量と定義した。
【0024】実施例1 PHAデポリメラーゼ遺伝子の
クローニング 1.アルカリジェネス・フェカリスAE122株(Alcal
igenes faecalis AE122)由来のPHAデポリメラーゼの
部分アミノ酸配列の決定 1) Afaecalis AE122株の培養及びPHAデポリメラ
ーゼの精製 ・培養及び粗酵素液の調製 コハク酸培地[(コハク酸ナトリウム0.4%,NH4
l 0.1%,MgSO4・7H2O 0.05%,FeC
3・6H2O 0.01%,CaCl2・2H2O5X1
-4%,66mM KPB(pH6.8)75%,人工
海水 25%]を用いて、30℃で60時間前培養を行
った。本培養にはPHB培地[PHB(Aldrichi製)
0.2%,NH4Cl 0.1%,MgSO4・7H2
0.05%,CaCl2・2H2O 5X10-4%,66
mM KPB(pH6.8) 75%,人工海水 25
%)]を用い、前培養液を添加して30℃で48時間振
とう培養した。その後、遠心分離(4℃,9500rpm,
40分)して上清を回収し、粗酵素液とした。また、粗
酵素液が50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)になるよ
うに1M Tris−HCl緩衝液(pH8.7)で調整した。
【0025】・精製 調製した粗酵素液に、体積比で1/20量の50mM Tr
is−HCl(pH7.5)緩衝液で十分に平衡化したDE
AE-cellulose樹脂を加え、15分間撹拌、10分間静
置を2回繰り返し、バッチ法による吸着をおこなった。
20分間静置してデカンテーションで上清を取り除き、
50mM Tris−HCl(pH7.5)緩衝液で洗浄してか
らカラムにつめた。溶出はNaCl(0〜1M)のリニア
グラジエントで行った。
【0026】集めた活性画分は、4MのNaClを含む5
0mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化したPhenyl
-Sepharose CL-4Bに用いた。活性画分にも塩濃度が4M
になるようにNaClを添加した。同緩衝液で洗浄後、塩
濃度とエチレングリコールの直線濃度勾配により溶出さ
せた。活性画分はエチレングリコールを除去するため、
回収後、50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で一晩透
析した。エチレングリコールは該酵素にとって負の要因
となるため完全に除去する必要がある。最後にDEAE
−Toyopearlカラムクロマトグラフィーをおこなった。
予め50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)で平衝化した
カラムに、透析した活性画分を負荷した。同緩衝液で洗
浄後、NaClによる塩濃度勾配により目的タンパクを溶
出させた。これらのステップでPHAデポリメラーゼを
培養液上清から回収率15%で、22倍に精製した。
【0027】得られた酵素標品を用いてSDS−PAG
E(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル
電気泳動)及びゲル濾過を行い分子量を決定した。SD
S−PAGEは7.5%ゲルを用いてデービスの方法に
従った。20mAの一定電流で2時間泳動後、染色はクマ
シーブリリアントブルーで行った。分子量既知の数種の
タンパク(ミオシン、β−ガラクトシダーゼ、ホスホリ
ラーゼB、牛血清アルブミン、オボアルブミン)を同様
に泳動し、分子量マーカーを作成した。また、ゲル濾過
はTSK−gel G3000SWで、展開用緩衝液と
して0.2MNaClを含む70mMリン酸緩衝液(K
PB)を用いて行った。これらの結果より、該酵素は分
子量約95kDaのモノマー酵素であることがわかっ
た。
【0028】2)部分アミノ酸配列の決定 上記の方法で精製した酵素標品を用いて、該酵素の部分
アミノ酸配列を決定した。N末端アミノ酸の配列決定に
は、微量透析やゲル濾過により精製酵素標品を完全に脱
塩したものをサンプルとし、プロテインシークエンサー
に用いた。また、内部アミノ酸配列を解析する際には、
精製タンパクを還元カルボキシメチル化して変性した
後、ブロモシアン、リジルエンドペプチダーゼを連続的
に作用させて断片化を行った。それぞれのペプチド断片
はC18を用いた逆相カラムクロマトグラフィーにより
分取し、プロテインシークエンサーで解析した。その結
果、N末端からの29残基(配列1、並びに図1)と5
つの内部領域(配列番号2、並びに図1、及び配列番号
6、7、8、9)のアミノ酸配列が決定された。
【0029】2.PCRによる部分配列の増幅 1)オリゴヌクレオチドプライマーの調製 上記1.2)で得たアミノ酸配列から推定される塩基配
列を基に、PCR(ポリメラーゼチェーン反応)に用い
るためのプライマーを設計した(図1)。N末端領域及
び内部領域の配列に基づいて、それぞれプライマー1及
び2を合成した。なお、プライマー2は、プライマー1
が付着するペプチド鎖に対する相補鎖として、図1の配
列に基づき、そのC末端側から合成された。プライマー
1及び2のヌクレオチド配列を配列番号4及び5に示
す。
【0030】2)ゲノムDNAの調製 上記1に記載のコハク酸培地(500ml×2)でAfa ec
alis AE122株を30℃で60時間培養し、遠心分離(4
℃、12,000rpm、20min)して得られた生菌体を
用いて、Thomas法によりゲノムDNAを抽出した。
【0031】3)PCRによる部分配列の増幅 ・PCR 上記2)で調製したゲノムDNAをテンプレートに、
1)で設計したプライマーを用いてPCR(ポリメラー
ゼチェーン反応)を行った。以下の反応混合液を調製
し、ミネラルオイルを重層した。 テンプレート(AE122由来ゲノムDNA) 500ng プライマー1 200pmol プライマー2 200pmol 10X 増幅用緩衝液(amplification buffer) 10μl dNTP 200μM Taq ポリメラーゼ(宝酒造(株)製) 5U 滅菌蒸留水 適量 合計 100μl PCRは、変性[94℃で1分(1サイクル目だけ10
分間)]、アニーリング(55℃で2分間)、伸長反応
(72℃で3分間)からなる一連の処理を35サイクル
繰り返して行った。 ・確認泳動 PCR産物の確認はアガロース電気泳動(ゲル濃度1
%)により行った。その結果、プライマー1と2により
約1.5kbの断片が増幅された(図4)。図2はアガロ
ース電気泳動の結果を示す模写図である。図中レーン1
はλDNA/HincII(マーカー)、レーン2はプライマー
1、2のPCR産物である。
【0032】3.PCR増幅断片のサブクローニング 上記2.で得た約1.5kbのPCR産物をアガロースゲ
ルから切り出し、Prep-A-Gene DNA Purification Syste
m(BIO Rad)を用いてDNA断片を回収した。さらに、
Blunting Kit[宝酒造(株)製]を用いて平滑末端化
し、HincII消化したpUC118[宝酒造(株)製]に
挿入した。ライゲーション反応は効率を良くするため
に、10μlの系で行った。以下にライゲーション反応
液の組成を示す。 インサートDNA 4μg ベクターDNA 1μg 10X Ligation buffer 1μl 10X ATP(1mM ATP) 2μl 10X DDT(10mM DTT) 1μl T4 DNAリガーゼ(宝酒造(株)製) 350U 滅菌蒸留水 適量 合計 10μl 上記の混合物を16℃で一晩インキュベートして、コン
ピテントセル作製法により、coli JM109に形質転換
した。アンピシリン50μg/ml、X-gal 50μg/ml、I
PTG 0.1mMを含むLBアガロースプレートでホワ
イトコロニーを選択した。その結果、約1.5kbのPC
R断片がpUC118のHincIIサイトに挿入されたプラ
スミドpKID122を得た(図6)。
【0033】図5はAlkaline mini-preparation of pla
smid DNA(mini-prep)に従って形質転換体より単離した
プラスミドをPstI,EcoRIで二重消化して、アガロ
ース電気泳動を行ったものである。レーン1はpUC1
18、レーン2はpHYマーカー、レーン3はpKID1
22の二重消化物である。得られたクローンの塩基配列
をジデオキシ法により決定したところ、PHAデポリメ
ラーゼをコードするDNAの一部であることが確認でき
た。
【0034】4.サザンハイブリダイゼーション 上記2.2)で得たゲノムDNAを各種制限酵素で切断
し、アガロースゲル電気泳動で分離し、これをナイロン
膜に転写した。次いで、3.でサブクローニングしたP
CR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブとして用
い、サザンハイブリダイゼーションを行った。その結
果、KpnI断片に陽性シグナルを得た。この約6.2k
bのDNA断片をアガロースから切り出し、DNA回収
用フィルター付遠心チューブ(孔径0.22μm、宝酒
造(株)製)を用いて、10.000rpm、4℃、10分
の遠心の後、エタノール沈澱を行うことで精製した。
【0035】5.コロニーハイブリダイゼーション 得られたKpnI消化断片を、同じくKpnIで消化したp
UC19(宝酒造社製:lacプロモーターを有する大腸菌
用発現ベクター)にライゲーション(16℃、16時間)
し、得られたライゲーション混合物を用いて大腸菌JM10
9株を形質転換した。次いで、3.でサブクローニング
したPCR断片をジゴキシゲニンで標識してプローブと
して用い、コロニーハイブリダイゼーションを行った。
ライゲーション、形質転換及びコロニーハイブリダイゼ
ーションは、Maniatisらの方法(Molecular Cloning, a
laboratory manual(2nd ed.),pp.1.62-1.104(1989) Sa
mbrook,J.,Fritch,E.and Maniatis,T.(eds)Cold Spring
Harbor Laboratory)に従った。その結果、800個の
コロニーから10個の陽性コロニーを得た。得られた陽
性コロニーからプラスミドを抽出し、塩基配列を決定し
た。その結果、PHAデポリメラーゼのN末端アミノ酸
配列(配列番号1)に相当する塩基配列を持つプラスミ
ドpPD181を保有するクローンを1株得た(大腸菌
形質転換体(coli JM109/pPD181))。このプラスミド
pPD181の制限酵素地図を図7に示す。このクロー
ンの塩基配列を決定し、推定のアミノ酸配列を決定し
た。結果を配列番号3、及び図9及び10に示す。図9
において、アミノ酸番号1番から上向きの三角の27番
目まではシグナルペプチドを表す。また、図9、10に
おける下線は、プロテインシーケンサーにより決定した
N末端および内部アミノ酸配列を表す。
【0036】実施例2 大腸菌形質転換体(E.colli JM1
09/pPD181)のPHAデポリメラーゼ活性 実施例1で形質転換した大腸菌(Ecolli JM109/pPD18
1)をLB培地(1% Bacto-tryptone,0.5% Bacto-yea
st extract,1%NaCl,pH7.2)で、温度37℃で16時間
培養した。培養後、培養液をPHB顆粒を含むM9寒天
培地(0.6%Na2HP04,0.3%KH2PO4,0.0
5%NaCl,0.1%NH4Cl,1mMMgSO4,0.1m
M CaCl2,1mM チアミン−HCl,0.5% グリセ
ロール,0.1%グルコース,0.2%PHB顆粒,1.
5%寒天)に塗布し37℃で一晩培養した。対照とし
て、同様に培養して得られたプラスミドpUC19で形
質転換した大腸菌と、コハク酸培地で培養したAfaeca
lis AE122株の培養液を用いた。結果を図8に示す。図
は菌体と、その回りに形成されたハローの状態を示して
いる。PHAデポリメラーゼを産生する菌の周囲には、
PHBの分解により透明な領域が形成されるが、図では
黒色を呈している。図中、1は、本発明のプラスミドで
形質転換されていない大腸菌宿主、2は、本発明の形質
転換体、3は、pPD181中のPHAデポリメラーゼ
遺伝子がlacプロモーターと逆方向に挿入されている
プラスミドで形質転換された大腸菌宿主、4はアルカリ
ジェネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)AE1
22である。図8から明らかなように、pPD181は
PHAデポリメラーゼをコードしているDNAを含有し
ており、該プラスミドで形質転換された大腸菌の形質転
換体は、PHAデポリメラーゼを産生することがわか
る。このプラスミドpPD181を導入した大腸菌Eco
li JM109/pPD181は、通産省工業技術院生命工学技術研
究所に寄託されている(寄託日:1995年10月18日;受託
番号:FERM P-15244)。なお、pPD3107による形
質転換体もPHAデポリメラーゼ活性を発現しており、
本発明の遺伝子内に大腸菌のRNAポリメラーゼにより
認識されるプロモーター配列の存在が示唆される。
【0037】実施例3 大腸菌形質転換体(coli
JM109/pPD181)のPHAデポリメラーゼの
精製 実施例1で形質転換したcoli JM109(pPD
181)を37℃、アンピシリンを含むLB培地で培養
した(5L)。菌の生育が600nmの吸収で1.4の
とき、終濃度が1mMになるようにIPTGを添加し、
20時間培養する。その後、17,000Xgで10分
間遠心分離して上清を回収し、精製に用いた。精製方法
は、フェニルセファロースカラムの代わりにブチルセフ
ァロースカラムを用いたことを除いては、実施例1記載
の方法に従った。その結果、培養液上清より収率45
%、4.7倍に精製でき、5.5mgのPHAデポリメラ
ーゼが得られた。
【0038】実施例4 大腸菌形質転換体(coli
JM109/pPD181)のPHAデポリメラーゼの
性質 実施例3で得られた精製酵素の性質について検討した。
N末端のアミノ酸解析を行ったところ、A.faecalis
AE122由来のもの(GAWQNN)に2残基追加さ
れた配列(GAGAWQNN)であることが分かった。
しかしながら、比活性はPHB−granuleを基質として
37.8kunits/mg、SDS−PAGEによる分子量
は95.5kDaでA.faecalis AE122由来のもの
と一致した。また阻害剤による影響、塩類要求性、耐熱
性に関しても、A.faecalis AE122由来のものと
同傾向を示した。従って、形質転換体(coli JM
109/pPD181)より精製されたPHAデポリメ
ラーゼはA.faecalis AE122由来のものと同等で
あった。
【0039】
【配列表】
【0040】配列番号:1 配列の長さ:29 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:Alcaligenes faecalis
AE122 配列 Gly Ala Trp Gln Asn Asn Leu Ser Leu Gly Gly Phe Asn Lys Val His 1 5 10 15 Leu Tyr Thr Pro Asp Gly Asp Ser Pro Val Gly Asn Gly 20 25 29
【0041】配列番号:2 配列の長さ:22 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:Alcaligenes faecalis AE122 配列 Val Ala Gly Arg Ala Tyr Ser Thr Gly
Asn Tyr Tyr Ala Pro Asp Tyr 1 5
10 15 Phe Ala Gln Gly Ser Asp Glu 16 20 22
【0042】配列番号:3 配列の長さ:2254 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA to mRNA 起源 生物名:Alcaligenes faecalis
AE122 配列
【化2】
【化3】
【0043】配列番号:4 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA配列 5' GGNGCMTGGCARAAYAAYYT 3'
【0044】配列番号:5 配列の長さ:23 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 5' RAARTARTCIGGIGCRTARTARTT 3'
【0045】配列番号:6 配列の長さ:10 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:Alcaligenes faecalis AE122
【0046】配列番号:7 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:Alcaligenes faecalis AE122
【0047】配列番号:8 配列の長さ:8 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:Alcaligenes faecalis AE122
【0048】配列番号:9 配列の長さ:13 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 起源 生物名:Alcaligenes faecalis AE122 配列 Ala Gly Xxx Ser Asp Trp Ser Tyr Xxx
Gln Gly Thr Lys 1 5
10 13
【図面の簡単な説明】
【図1】 faecalis AE122株から精製したPHAデ
ポリメラーゼのN−末端領域及び内部領域のアミノ酸配
列、及びそれらとPCRプライマー1及び2との関係を
示す模式図。
【図2】 アルカリジェネス・フェカリス AE122
株(Alca ligenes faecal is AE122)由来の精製 PHA
デポリメラーゼの分子量を、TSK-gel G3000SWを用いる
ゲル濾過により測定した結果を示すグラフ。
【図3】 図2と同様のPHAデポリメラーゼのSDS
−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルア
ミド電気泳動)における泳動パターンを示す写真の模写
図。
【図4】 PCR産物のアガロース電気泳動の結果を示
す写真の模写図。図中、レーン1はλDNA/HincII
(マーカー)、レーン2はプライマー1、2のPCR産物
である。
【図5】 約1.5kbのPCR増幅断片が挿入された
プラスミド(pKID122)で形質転換されたco
li JM109より単離したプラスミドをPstI,EcoRIで
二重消化してアガロース電気泳動を行った結果を示す写
真の模写図。図中、レーン1はpUC118、レーン2
はpHYマーカー、レーン3はpKID122の二重消化
物である。
【図6】 プラスミドpKID122の制限酵素地図。
【図7】 プラスミドpPD181の制限酵素地図。
【図8】 プラスミドpPD181で形質転換した大腸
菌(Eco lli JM109/pPD181)、プラスミドpUC19で
形質転換した大腸菌及びAfaecalis AE122株における
PHAデポリメラーゼ発現の状態を比較した写真の模写
図。
【図9】 プラスミドpPD181を保有するクローン
の、N−末端側1/2に相当する塩基配列及び推定のア
ミノ酸配列を示す模式図。
【図10】 プラスミドpPD181を保有するクロー
ンの、C−末端側1/2に相当する塩基配列及び推定の
アミノ酸配列を示す模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:05) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 9/18 C12R 1:19)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号3に記載のアミノ酸配列若しく
    は配列番号3に記載のアミノ酸配列において1以上のア
    ミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を有し、生
    分解性ポリマーの加水分解を触媒する酵素活性を有する
    デポリメラーゼ。
  2. 【請求項2】 該デポリメラーゼが、アルカリジェネス
    属の菌由来である請求項1記載のデポリメラーゼ。
  3. 【請求項3】 配列番号3に記載の塩基配列若しくは配
    列番号3に記載の塩基配列において1以上の塩基が欠
    失、置換若しくは付加された配列を有し、生分解性ポリ
    マーの加水分解を触媒する酵素活性を有するデポリメラ
    ーゼをコードするDNA。
  4. 【請求項4】 配列番号4又は5に記載する塩基配列か
    らなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズし、かつ生分解性ポリマーの加水分解を触媒する酵
    素活性を有するデポリメラーゼをコードするDNA。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載のDNAを含有する
    発現ベクター。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の発現ベクターによって形
    質転換された宿主細胞。
  7. 【請求項7】 原核性宿主である請求項6記載の宿主細
    胞。
  8. 【請求項8】 大腸菌である請求項7記載の宿主細胞。
  9. 【請求項9】 請求項6〜8記載のいずれかに記載の宿
    主細胞を培養し、培養液からデポリメラーゼを回収する
    ことを特徴とするデポリメラーゼの製造法。
  10. 【請求項10】 請求項6〜8のいずれかに記載の宿主
    細胞の培養液又はその処理物によって加水分解され得る
    生分解性ポリマーを含有する試料と、請求項6〜8のい
    ずれかに記載の宿主細胞の培養液又はその処理物とを、
    塩類を含む溶液(塩水)中で接触させることを特徴とす
    る、該試料中の生分解性ポリマーの分解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100512813B1 (ko) * 2001-04-27 2005-09-07 캐논 가부시끼가이샤 입상 구조체 및 그 제조방법
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WO2022250695A1 (en) * 2021-05-28 2022-12-01 Kimberly-Clark Worldwide, Inc. Optimization of a thermophilic phb depolymerase for industrial applications

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