JP2023546501A - 新規エステラーゼ及びその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規エステラーゼ、より特定すると配列番号1のエステラーゼと比較して改善された活性及び/又は改善された熱安定性を有するエステラーゼ変異体、並びにプラスチック製品などのポリエステル含有物質を分解するためのその使用に関する。本発明のエステラーゼは、ポリエチレンテレフタラート及びポリエチレンテレフタラート含有物質を分解するのに特に適している。

Description

本発明は、新規エステラーゼ、より特定すると親エステラーゼと比較して改善された活性及び/又は改善された熱安定性を有するエステラーゼに関する。本発明はまた、プラスチック製品などのポリエステル含有物質を分解するための該新規エステラーゼの使用にも関する。本発明のエステラーゼは、ポリエチレンテレフタラート、及びポリエチレンテレフタラート含有物質を分解するのに特に適している。
背景
エステラーゼは、ポリエステルを含む、多種多様なポリマーの加水分解を触媒することができる。この状況において、エステラーゼは、食器洗い及び洗濯の用途のための洗剤として、バイオマス及び食品を加工するための分解酵素として、環境汚染物質の解毒における又は織物産業におけるポリエステル生地の処理のための生体触媒としてなどの、多くの産業用途において有望な効果を示した。ポリエチレンテレフタラート(PET)を加水分解するための分解酵素としてのエステラーゼの使用は、特に興味深い。実際に、PETは、多くの技術的分野において、例えば衣類、カーペットの製造において、又は包装用若しくは自動車用プラスチックの製造のための熱硬化性樹脂の形態で使用され、よって埋立地におけるPETの蓄積は、ますます増えつつあるエコロジー問題となっている。
ポリエステル、特にPETの酵素的分解は、プラスチック廃棄物の蓄積を減少させるための興味深い解決策と考えられる。実際に、酵素は、ポリエステル含有物質、より特定するとプラスチック製品から、モノマーレベルさえまでの加水分解を加速し得る。さらに、加水分解物(すなわち、モノマー及びオリゴマー)は、新規ポリマーの合成のための材料としてリサイクルすることができる。
この状況において、いくつかのエステラーゼが、ポリエステルのための分解酵素候補として同定され、このようなエステラーゼのいくつかの変異体が開発されている。エステラーゼの中でも、クチナーゼ(これはクチンヒドロラーゼ(EC3.1.1.74)としても知られている)が特に興味深い。クチナーゼは、様々な真菌(P.E. Kolattukudy、"Lipases"、Ed. B. Borg- strom and H.L. Brockman、Elsevier 1984、471-504)、細菌、及び植物の花粉から同定されている。近年、メタゲノミクスアプローチにより、追加のエステラーゼが同定された。
しかしながら、より効率的に、そしてそれにより、より競合的にポリエステル分解プロセスを提供するために、すでに既知であるエステラーゼと比較して改善された活性及び/又は改善された熱安定性を有するエステラーゼが依然として必要である。
発明の要約
本発明は、親エステラーゼすなわち野生型エステラーゼと比較して、増加した活性及び/又は増加した熱安定性を示し、配列番号1に示されるようなアミノ酸配列を有する、新規エステラーゼを提供する。この野生型エステラーゼは、UniprotデータベースでE5BBQ3として参照され、かつポリエステル分解活性を有すると記載された、エステラーゼに相当する。本発明のエステラーゼは、プラスチック製品、より特定するとPET含有プラスチック製品を分解するためのプロセスにおいて特に有用である。
これに関して、本発明の目的は、(i)配列番号1に示される完全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有し、そして(ii)F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sから選択された位置における少なくとも1つの置換を有し、ここでの位置は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を参考にして番号が付され、(iii)ポリエステル分解活性を有する、エステラーゼを提供することである。好ましくは、該エステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して増加した熱安定性及び/又は増加した分解活性を示す。
好ましくは、前記エステラーゼは、T168Q、F209I/G/H/L/R/S/T及びN212D/Qから選択された、より好ましくはT168Q、F209I及びN212D、より好ましくは少なくともF209Iから選択された少なくとも1つの置換を含む。
本発明の別の目的は、本発明のエステラーゼをコードしている核酸を提供することである。本発明はまた、該核酸を含んでいる発現カセット又は発現ベクター、及び該核酸、発現カセット又はベクターを含んでいる宿主細胞に関する。
本発明はまた、本発明のエステラーゼ、本発明の宿主細胞、又はその抽出物を含んでいる、組成物を提供する。
本発明のさらなる目的は、
(a)エステラーゼをコードしている核酸を発現するのに適した条件下で、本発明に記載の宿主細胞を培養する工程;及び場合により
(b)細胞培養液から該エステラーゼを回収する工程
を含む、本発明のエステラーゼを産生する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、
(a)ポリエステルを、本発明に記載のエステラーゼ、又は本発明に記載の宿主細胞、又は本発明に記載の組成物と接触させる工程;及び場合により
(b)モノマー及び/又はオリゴマーを回収する工程
を含む、ポリエステルを分解する方法を提供することである。
特に、本発明は、PETを、少なくとも1つの本発明のエステラーゼと接触させる工程、並びに場合によりPETのモノマー及び/又はオリゴマーを回収する工程を含む、PETを分解する方法を提供する。
本発明はまた、PET又はPET含有プラスチック製品を分解するための、本発明のエステラーゼの使用に関する。
本発明はまた、本発明のエステラーゼ又は宿主細胞又は組成物が含まれている、ポリエステル含有物質にも関する。
本発明はまた、本発明に記載のエステラーゼ若しくは宿主細胞を含んでいる洗剤組成物、又は本発明のエステラーゼを含んでいる組成物にも関する。
発明の詳細な説明
定義
本開示は、以下の定義を参照することによって最善に理解されるであろう。
本明細書における「ペプチド」、「ポリペプチド」、「タンパク質」、「酵素」という用語は、アミノ酸鎖を形成しているアミノ酸の数に関係なく、ペプチド結合によって連結された該アミノ酸鎖を指す。アミノ酸は本明細書において、以下の命名法に従って、それらの一文字又は三文字コードによって示される:A:アラニン(Ala);C:システイン(Cys);D:アスパラギン酸(Asp);E:グルタミン酸(Glu);F:フェニルアラニン(Phe);G:グリシン(Gly);H:ヒスチジン(His);I:イソロイシン(Ile);K:リジン(Lys);L:ロイシン(Leu);M:メチオニン(Met);N:アスパラギン(Asn);P:プロリン(Pro);Q:グルタミン(Gln);R:アルギニン(Arg);S:セリン(Ser);T:トレオニン(Thr);V:バリン(Val);W:トリプトファン(Trp)、及びY:チロシン(Tyr)。
「エステラーゼ」という用語は、酵素命名法に従ってEC3.1.1と分類された、エステルから酸とアルコールへの加水分解を触媒する、ヒドロラーゼのクラスに属する酵素を指す。「クチナーゼ」又は「クチンヒドロラーゼ」という用語は、酵素命名法に従ってEC3.1.1.74と分類された、クチンと水からクチンモノマーの化学生成反応を触媒することができる、エステラーゼを指す。
「野生型タンパク質」又は「親タンパク質」という用語は、天然に見られるような非突然変異型のポリペプチドを指す。今回の場合、親エステラーゼは、配列番号1に示されるようなアミノ酸配列を有するエステラーゼを指す。
「突然変異体」及び「変異体」という用語は、配列番号1に由来し、かつ、1つ以上(例えば数個)の位置に少なくとも1つの修飾又は改変、すなわち、置換、挿入、及び/又は欠失を含み、かつポリエステル分解活性を有している、ポリペプチドを指す。該変異体は、当技術分野において周知の様々な技術によって得ることができる。特に、野生型タンパク質をコードしているDNA配列を改変させるための技術の例としては、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発、及び合成オリゴヌクレオチドの構築が挙げられるがこれらに限定されない。したがって、本明細書において使用する特定の位置に関する「修飾」及び「改変」という用語は、この特定の位置におけるアミノ酸が、野生型タンパク質のこの特定の位置のアミノ酸と比較して修飾されていることを意味する。
「置換」は、アミノ酸残基が、別のアミノ酸残基によって置換されていることを意味する。好ましくは、「置換」という用語は、天然に存在する標準的な20のアミノ残基、稀に天然に存在するアミノ酸残基(例えば、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、6-N-メチルリジン、6-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、アロ-イソロイシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルバリン、ピログルタミン、アミノ酪酸、オルチニン、ノルロイシン、ノルバリン)、及び合成で作られることの多い非天然アミノ酸残基(例えばシクロヘキシル-アラニン)から選択された別のアミノ酸残基による、アミノ酸残基の置換を指す。好ましくは、「置換」という用語は、天然に存在する標準的な20のアミノ酸残基(G、P、A、V、L、I、M、C、F、Y、W、H、K、R、Q、N、E、D、S及びT)から選択された別のアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換を指す。「+」の記号は、置換の組合せを示す。本文書では、以下の用語が、置換を示すために使用される:L82Aは、親配列の82番目の位置におけるアミノ酸残基(ロイシン、L)が、アラニン(A)によって置換されていることを示す。A121V/I/Mは、親配列の121番目の位置のアミノ酸残基(アラニン、A)が、以下のアミノ酸の1つによって置換されていることを示す:バリン(V)、イソロイシン(I)又はメチオニン(M)。置換は、保存的置換であっても、又は非保存的置換であってもよい。保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン及びトレオニン)、疎水性アミノ酸(メチオニン、ロイシン、イソロイシン、システイン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小型アミノ酸(グリシン、アラニン及びセリン)のグループ内である。
特記されない限り、本出願に開示された位置は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を参照して番号が付される。
本明細書において使用する「配列同一性」又は「同一性」という用語は、2つのポリペプチド配列間での一致(同一のアミノ酸残基)数(又は比率%として表現される割合)を指す。配列同一性は、配列ギャップを最小限にしつつ、重複及び同一性が最大化するようにアラインさせて、配列を比較することによって決定される。特に、配列同一性は、2つの配列の長さに応じて、多くの数学的なグローバル又は局所的アラインメントアルゴリズムのいずれかを使用して決定され得る。同じような長さの配列は好ましくは、完全長にわたり最適に配列をアラインさせる、グローバルアラインメントアルゴリズム(例えばNeedleman及びWunschアルゴリズム;Needleman and Wunsch, 1970)を使用してアラインされるが、実質的に異なる長さの配列は好ましくは、局所的アラインメントアルゴリズム(例えばSmith及びWatermanアルゴリズム(Smith and Waterman, 1981)又はAltschulアルゴリズム(Altschul et al., 1997; Altschul et al., 2005))を使用してアラインされる。アミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントとは、当技術分野の技能範囲内の様々な方法で、例えば、インターネットウェブサイト上で、例えばhttp://blast.ncbi.nlm.nih.gov/又はhttp://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/で利用可能な公共的に入手可能なコンピューターソフトウェアを使用して達成され得る。当業者は、比較される配列の完全長におよぶ最大のアラインメントを達成するのに必要とされる任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。本明細書の目的では、アミノ酸配列同一性の数値%は、Needleman-Wunschアルゴリズムを使用して2つの配列の最適なグローバルアラインメントを作り出す、ペアワイズ配列アラインメントプログラムEMBOSS Needleを使用して発生した数値を指し、ここでの全ての探索パラメーターは、デフォールト値、すなわち、スコアリングマトリックス=BLOSUM62、ギャップオープン=11、ギャップエクステンド=1に設定される。
「ポリマー」は、その構造が、共有化学結合によって連結された複数のモノマー(反復単位)から構成される、化合物又は化合物の混合物を指す。本発明の状況において、ポリマーという用語は、1種類の反復単位(すなわちホモポリマー)又は異なる反復単位の混合物(すなわちコポリマー又はヘテロポリマー)から構成される、天然又は合成のポリマーを含む。本発明によると、「オリゴマー」は、2から約20個のモノマーを含有している分子を指す。
本発明の状況において、「ポリエステル含有物質」又は「ポリエステル含有製品」は、結晶性、半結晶性又は完全に無定形の、少なくとも1つのポリエステルを含んでいる、プラスチック製品などの製品を指す。特定の実施態様では、ポリエステル含有物質は、少なくとも1つのポリエステル及びおそらく他の物質又は添加物質、例えば可塑剤、鉱物性又は有機性充填剤を含有している、プラスチックシート、チューブ、棒、プロファイル、形状、フィルム、大きな塊などの、少なくとも1つのプラスチック物質から作製された任意の品目を指す。別の特定の実施態様では、ポリエステル含有物質は、プラスチック製品の作製に適した、溶解状態又は固体状態の、プラスチック化合物又はプラスチック配合物を指す。別の特定の実施態様では、ポリエステル含有物質は、少なくとも1つのポリエステルを含んでいる、織物、生地又は繊維を指す。別の特定の実施態様では、ポリエステル含有物質は、少なくとも1つのポリエステルを含んでいる、プラスチック廃棄物又は繊維廃棄物を指す。
本明細書において、「ポリエステル(群」」という用語は、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンイソソルバイドテレフタラート(PEIT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタラート(PBAT)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(エチレンアジペート)(PEA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらのポリマーのブレンド/混合物を包含するがこれらに限定されない。
新規エステラーゼ
本発明は、親エステラーゼと比較して改善された活性及び/又は改善された熱安定性を有する新規エステラーゼを提供する。より特定すると、本発明者らは、産業プロセスに使用するに特に適した新規酵素を設計した。本発明のエステラーゼは、ポリエステル、より特定するとPET、例えばPET含有物質、特にPET含有プラスチック製品の分解に特に適している。特定の実施態様では、該エステラーゼは、増加した活性及び増加した熱安定性の両方を示す。
それ故、本発明の目的は、親エステラーゼとしても参照される、配列番号1に示されるようなアミノ酸配列を有するエステラーゼと比較して、増加した活性を示すエステラーゼを提供することである。
特に、本発明者らは、エステラーゼのX線結晶構造(すなわち折り畳まれた3次元構造)内のポリマー基質と接触させることを意図した、配列番号1内の特定のアミノ酸残基を同定し、これはエステラーゼと基質の接触を促進するために有利には修飾されていてもよく、これにより有利には、ポリマーへの吸着増加及び/又はこれによりこのポリマー上での該エステラーゼの活性増加がもたらされる。
本発明の状況において、「増加した活性」又は「増加した分解活性」という用語は、所与の温度で配列番号1のエステラーゼがポリエステルを分解及び/又は同ポリエステル上に吸着する能力と比較して、同温度で、同ポリエステルを該エステラーゼが分解する能力の増加及び/又はポリエステル上に吸着する能力の増加を示す。特に、本発明のエステラーゼは、増加したPET分解活性を示す。このような増加は、配列番号1のエステラーゼのPET分解活性より少なくとも10%高い場合があり、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、110%、120%、130%又はそれ以上高い場合がある。特に、分解活性は、脱重合活性であり、これにより、ポリエステルのモノマー及び/又はオリゴマーがもたらされ、これはさらに回0収及び場合により再使用され得る。
エステラーゼの「分解活性」は、当技術分野においてそれ自体既知である方法に従って、当業者によって評価され得る。例えば、分解活性は、特定のポリマーの脱重合活性速度の測定、寒天プレート中に分散させた固体ポリマー化合物を分解する速度の測定、又はリアクター中のポリマーの脱重合活性速度の測定によって判定され得る。特に、分解活性は、エステラーゼの「特異的分解活性」を測定することによって評価され得る。PETに対するエステラーゼの「特異的分解活性」は、初期反応期間中(すなわち、最初の24時間)、1分あたりに加水分解されたPETのμmol、又は1時間あたり及びエステラーゼ1mgあたりに生成された等価なTAのmgに相当し、加水分解反応曲線の線形部分から決定され、このような曲線は、最初の24時間中の様々な時点において実施された数回のサンプリングによって設定される。別の例として、「分解活性」は、ポリマー又はポリマー含有プラスチック製品を分解酵素と接触させた場合に、所定の期間の後に、適切な温度、pH及び緩衝液の条件下で遊離されたオリゴマー及び/又はモノマーの速度及び/又は収量を測定することによって評価され得る。
基質上に酵素が吸着する能力は、当業者によって、当技術分野においてそれ自体公知の方法に従って評価され得る。例えば、基質上に酵素が吸着する能力は、酵素含有溶液から測定され得、ここでの酵素は、事前に、適切な条件下で基質と共にインキュベートされている。
本発明者らはまた、高温で(すなわち改善された熱安定性)、有利には50℃を上回る、好ましくは60℃を上回る、より好ましくは65℃を上回る温度における、対応するエステラーゼの安定性を改善するように有利には修飾されていてもよい、配列番号1内の標的アミノ酸残基を同定した。
それ故、本発明の目的は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するエステラーゼ(すなわち親エステラーゼ)の熱安定性と比較して、増加した熱安定性を示す新規エステラーゼを提供することである。
本発明の状況において、特記されない限り、所与の温度は、該温度+/-1℃に相当する。
本発明の状況において、「増加した熱安定性」という用語は、配列番号1のエステラーゼと比較して、高温で、特に50℃から90℃の温度で、その化学構造及び/又は物理構造の変化に該エステラーゼが耐える能力の増加を示す。特定の実施態様では、該エステラーゼの熱安定性は、50℃~90℃、50℃~80℃、50℃~75℃、50℃~70℃、50℃~65℃、55℃~90℃、55℃~80℃、55℃~75℃、55℃~70℃、55℃~65℃、60℃~90℃、60℃~80℃、60℃~75℃、60℃~70℃、60℃~65℃、65℃~90℃、65℃~80℃、65℃~75℃、65℃~70℃の温度で、親エステラーゼの熱安定性と比較して改善されている。特定の実施態様では、該エステラーゼの熱安定性は、少なくとも50℃~65℃の温度で、親エステラーゼの熱安定性と比較して改善されている。
特に、熱安定性は、エステラーゼの融点(Tm)の判定を通して評価され得る。本発明の状況において、「融点」は、考慮される酵素集団の半分が、折り畳まれていないか又は誤って折り畳まれる温度を指す。典型的には、本発明のエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼのTmと比較して、約1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、10℃又はそれ以上の上昇したTmを示す。特に、本発明のエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、50℃~90℃の温度で延長された半減期を有し得る。特に、本発明のエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、50℃~90℃、50℃~80℃、50℃~75℃、50℃~70℃、50℃~65℃、55℃~90℃、55℃~80℃、55℃~75℃、55℃~70℃、55℃~65℃、60℃~90℃、60℃~80℃、60℃~75℃、60℃~70℃、60℃~65℃、65℃~90℃、65℃~80℃、65℃~75℃、65℃~70℃の温度で延長された半減期を有し得る。特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、少なくとも50℃~65℃の温度で延長された半減期を有する。
エステラーゼの融点(Tm)は、当業者によって、当技術分野においてそれ自体公知の方法に従って測定され得る。例えば、DSF(示差走査熱量測定)を使用して、エステラーゼの熱変性温度の変化を定量し得、これによりそのTmを決定し得る。あるいは、Tmは、円偏光二色性を使用した、タンパク質の折り畳みの分析によって判定され得る。好ましくは、Tmは、実験部に見られるような、示差走査熱量測定又は円偏光二色性を使用して測定される。本発明の状況において、Tmの比較は、同じ条件下(例えばpH、ポリエステルの性質及び量など)で測定されるTmを用いて実施される。
あるいは、熱安定性は、様々な温度でのインキュベーション後のエステラーゼ活性及び/又はエステラーゼのポリエステル脱重合活性を測定し、そして親エステラーゼのエステラーゼ活性及び/又はポリエステル脱重合活性と比較することによって評価され得る。様々な温度で複数回のポリエステルの脱重合アッセイを実施する能力も評価され得る。迅速かつ価値ある試験は、様々な温度でのインキュベーション後の寒天プレート中に分散させた固体ポリエステル化合物を分解するエステラーゼの能力の、ハロー直径測定による評価からなり得る。
したがって、本発明の目的は、(i)配列番号1に示される完全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有し、そして(ii)F209I/A/G/H/L/R/S/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、A125G、L152Q、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sから選択された少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、ここでの位置は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を参照にして番号が付され、(iii)ポリエステル分解活性を有し、そして好ましくは(iv)配列番号1のエステラーゼと比較して増加した熱安定性及び/又は増加した分解活性を有する、エステラーゼを提供することである。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sから選択された少なくとも1つの置換を含む。
好ましくは、前記エステラーゼは、D12F/Y、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R、D94S、S121W、A125G、L152Q、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C、T207L、F209I、P211A、N212D、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A、G250C/Y及びP260Sから選択された、より好ましくはD12F/Y、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C、T207L、F209I、P211A、N212D、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A、G250C/Y及びP260Sから選択された少なくとも1つの置換を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、T168Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T及びN212D/Qから選択された、好ましくはT168Q、F209I/G/H/L/R/T及びN212D/Qから選択された、より好ましくはT168Q、F209I及びN212Dから選択された少なくとも1つの置換を含む。
好ましい実施態様では、前記エステラーゼは、F209I/G/H/L/R/T及びT168Qから選択された、好ましくはF209I及びT168Qから選択された少なくとも1つの置換を含む。
特に、前記エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/Tから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/Tから選択された少なくとも1つの置換、より好ましくはF209Iの置換を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼはさらに、T11、D12、S23、T50、A53、Y60、T61、T63、A65、T88、T89、L90、Q92、M107、S121、A125、L152、M127、G135、S136、P151、L157、K159、T177、T183、D204、T207、F209、A210、N212、I213、K216、Q238、D246、E253及びD174から選択された、好ましくはT61、A65、Q92、G135、T177、T183、D204、F209、N212及びE253から選択された、少なくとも1つの置換を含む。
特に、前記エステラーゼはさらに、T11N、D12H、S23P、T50E、A53L、Y60F/M、T61M/V、T63N、A65T、T88S、T89Q、L90W/F、Q92G/P、M107L、S121R、A125G、L152Q、M127V、G135A、S136T、P151A、L157E/G/N/Q/W/T、K159T、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、T207D、F209W/S/A、A210T、N212M、I213F、K216N、Q238D、D246Y/C/E/P、E253C及びD174Rから選択された、好ましくはT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、F209W/S/A、N212M及びE253Cから選択された、より好ましくはT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T177N、T183E、D204C、F209W、N212M及びE253Cから選択された、少なくとも1つの置換を含む。
好ましい実施態様では、前記エステラーゼはさらに、Q92G/P、G135A、T183E、D204C/K/R、F209W/S/A及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G、G135A、T183E、D204C/K/R、F209W及びE253Cから選択された少なくとも1つの置換を含む。特に、該エステラーゼはさらに、Q92G/P、G135A、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G、G135A、T183E、D204C及びE253Cから選択された少なくとも1つの置換を含む。
好ましい実施態様では、前記エステラーゼはさらに、少なくともD204C+E253Cの置換の組合せを含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼはさらに、D204K/Rから選択された少なくとも1つのアミノ酸置換、及び親エステラーゼにあるような少なくともE253のアミノ酸残基を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/Tから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/Tから選択された1つの置換、並びにT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはQ92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された少なくとも1つの置換を含む。特に、該エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/Tから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/Tから選択された1つの置換、並びに、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはQ92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された少なくとも2つの置換、好ましくは少なくとも3つの置換を含む。
特に、前記エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された少なくとも3つの置換、好ましくは少なくとも4つの置換を含む。好ましくは、該エステラーゼは、F209I/G/H/L/R/T/W、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された少なくとも3つの置換、好ましくは少なくとも4つの置換を含む。
特定の実施態様では、前記エステラーゼは、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sからなる群より選択された、好ましくはF209I、D12F/Y、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C、T207L、P211A、N212D、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A、G250C/Y及びP260Sから選択された、より好ましくはF209I、D12F/Y、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C、T207L、P211A、N212D、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A、G250C/Y及びP260Sから選択された、1~31個のアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。特に、該エステラーゼは、配列番号1と比較して、T168Q、F209I/G/H/L/R/T及びN212D/Qから選択された、好ましくはT168Q、F209I及びN212Dから選択された、1~3個のアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/T及びT168Qからなる群より選択された、好ましくはF209I及びT168Qから選択された、1つ又は2つのアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。
特定の実施態様では、前記エステラーゼは、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sからなる群より選択された、好ましくはF209I、D12F/Y、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R、D94S、S121W、A125G、L152Q、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C、T207L、P211A、N212D、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A、G250C/Y及びP260Sから選択された、より好ましくはF209I、D12F/Y、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C、T207L、P211A、N212D、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A、G250C/Y及びP260Sから選択された、1つのアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。特に、該エステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、T168Q、F209I/G/H/L/R/T及びN212D/Qから選択された、好ましくはT168Q、F209I及びN212Dから選択された1つの置換を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/T及びT168Qからなる群より選択された、好ましくはF209I及びT168Qから選択された、1つのアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。
特に、前記エステラーゼは、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/Tから選択された1つのアミノ酸置換、好ましくはF209Iの置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する。有利には、該エステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して増加した分解活性を示す。
本発明の目的はまた、(i)配列番号1に示される完全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有し、そして(ii)F209、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183、D204、N212及びE253から選択された位置における少なくとも3つのアミノ酸置換を有し、ここでの位置は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を参考にして番号が付され、(iii)ポリエステル分解活性を有し、そして好ましくは(iv)配列番号1のエステラーゼと比較して増加した熱安定性及び/又は増加した分解活性を有する、エステラーゼを提供することである。好ましくは、該エステラーゼは、F209、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183、D204、N212及びE253から選択された位置における少なくとも4つのアミノ酸置換を含む。
好ましくは、前記エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/T/W、Q92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはF209I/W、Q92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された、さらにより好ましくはF209I、Q92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された、少なくとも3つの置換、より好ましくは少なくとも4つのアミノ酸置換を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/Wから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/Tから選択された1つの置換、並びに、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはQ92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された少なくとも2つの置換を含む。特に、該エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/Wから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/Tから選択された1つの置換、並びに、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはQ92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された、少なくとも3つの置換を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209+D204+E253の位置における少なくとも1つの置換の組合せ、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253Cから選択された少なくとも1つの置換の組合せ、より好ましくはF209I/W+D204C+E253Cから選択された組合せ、さらにより好ましくはF209I+D204C+E253Cの置換の組合せを含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209+D204+E253の位置における少なくとも1つの置換の組合せ、並びに、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183及びN212から選択された位置における、好ましくはQ92、G135、T168及びT183から選択された位置における少なくとも1つの置換を含む。
好ましくは、前記エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253Cから選択された、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T+D204C/K/R+E253Cから選択された、より好ましくはF209I+D204C+E253Cから選択された、少なくとも1つの置換の組合せを含む。特に、該エステラーゼはさらに、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183及びN212から選択された位置における少なくとも1つの置換、好ましくはT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E及びN212D/Q/Mから選択された、より好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q及びT183Eから選択された、さらにより好ましくはQ92G、G135A、T168Q及びT183Eから選択された少なくとも1つの置換を含む。1つの実施態様では、該エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253Cの置換の組合せ、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T+D204C/K/R+E253Cから選択された、より好ましくはF209I+D204C+E253Cから選択された置換の組合せを有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、アミノ酸配列を含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209+D204+E253、F209+D204+E253+Q92、F209+D204+E253+N212、F209+D204+E253+Q92+G135+T168、F209+D204+E253+Q92+G135+T168+T183、F209+D204+E253+Q92+T183又はF209+D204+E253+Q92+T168+T183からなる群より選択された位置における少なくとも1つの置換の組合せを含む。好ましくは、該エステラーゼは、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+N212D/M/Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、より好ましくはF209I/W+D204C+E253C、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P、F209I/W+D204C+E253C+N212D/M、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、さらにより好ましくはF209I+D204C+E253C+Q92G、F209I+D204C+E253C+Q92G+T183E及びF209I+D204C+E253C+Q92G+G135A+T168Q+T183Eから選択された、少なくとも1つの置換の組合せを含む。有利には、このエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、増加した熱安定性及び増加したポリエステル分解活性の両方を示す。好ましくは、該エステラーゼは、50℃~65℃、より好ましくは50℃及び/又は65℃の温度で、配列番号1のエステラーゼと比較して、増加した熱安定性及び増加したポリエステル分解活性の両方を示す。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、F209+D204+E253+Q92の位置における少なくとも1つの置換の組合せ、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P、より好ましくはF209I+D204C+E253C+Q92Gから選択された1つの置換の組合せを含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼはさらに、L14、G62、R73、D85、T86、A179、A206、N215、I217、G219、F239、R245、F249、E251、V252及びD174から選択された位置における少なくとも1つの置換を含み得る。好ましくは、該置換は、L14D/E、G62D/S、R73C/D/E/F/G/I/M/N/Q/S/V、D85A/E/F、T86E/S、A179C、A206D、N215C/D/E、I217Q、G219A/E、F239E、R245C/E、F249T、E251D/E/H/S、V252Tから選択される。
特定の実施態様では、前記エステラーゼは、配列番号1と比較して、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された3~11個の置換を有する、好ましくは、配列番号1と比較して、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W、Q92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはF209I/W、Q92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された、さらにより好ましくはF209I、Q92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された3~7個の置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる。
特定の実施態様では、前記エステラーゼのアミノ酸配列は、配列番号1と比較して、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+N212D/M/Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、より好ましくはF209I/W+D204C+E253C、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P、F209I/W+D204C+E253C+N212D/M、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、さらにより好ましくはF209I+D204C+E253C+Q92G、F209I+D204C+E253C+Q92G+T183E及びF209I+D204C+E253C+Q92G+G135A+T168Q+T183Eから選択された、1つの置換の組合せを有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる。有利には、このエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、増加した熱安定性及び増加した分解活性の両方を示す。好ましくは、該エステラーゼは、50℃~65℃、より好ましくは50℃及び/又は65℃の温度で、配列番号1のエステラーゼと比較して、増加した熱安定性及び増加したポリエステル分解活性の両方を示す。
別の実施態様では、前記エステラーゼのアミノ酸配列は、配列番号1と比較して、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253Cから選択された、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T+D204C/K/R+E253Cから選択された、より好ましくはF209I+D204C+E253Cから選択された、1つの置換の組合せを有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、親エステラーゼにあるような、D176、H208、S130、M131、C241、C259、G59、H129、G132、W155、I171、I178、P214、D174から選択された少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、すなわち、本発明のエステラーゼは、これらの位置の1つ、2つ、又は全てにおいて修飾されていない。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、該エステラーゼの触媒部位を形成している少なくともアミノ酸D176、H208及びS130、並びに/あるいは、親エステラーゼにあるような、ジスルフィド結合を形成しているアミノ酸C241及びC259を含む。好ましくは、該エステラーゼは、親エステラーゼにあるような、D176+H208+S130、C241+C259及びD176+H208+S130+C241+C259から選択された少なくとも1つの組合せを含む。1つの実施態様では、該エステラーゼは、親エステラーゼにあるような、D176+H208+S130+C241+C259+M131+D174の組合せを含む。
あるいは又はそれに加えて、本発明のエステラーゼは、親エステラーゼにあるような、G59、H129、G132、W155、I171、I178及びP214から選択された、少なくとも1つのアミノ酸を含む。好ましくは、該エステラーゼは、親エステラーゼにあるような、I171及びI178から選択された少なくとも1つのアミノ酸、より好ましくは親エステラーゼにあるようなI171+I178の組合せを含む。1つの実施態様では、該エステラーゼは、親エステラーゼにあるような、I171+I178+G59+H129+G132+W155+P214の組合せを含む。
1つの実施態様では、前記エステラーゼは、親エステラーゼにあるようなD176+H208+S130+C241+C259+I171+I178の組合せを含む。
変異体のポリエステル分解活性
本発明の目的は、エステラーゼ活性を有する新規酵素を提供することである。特定の実施態様では、本発明の酵素は、クチナーゼ活性を示す。
特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、ポリエステル分解活性、好ましくはポリエチレンテレフタラート(PET)分解活性、及び/又はポリブチレンアジペートテレフタラート(PBAT)分解活性、及び/又はポリカプロラクトン(PCL)分解活性、及び/又はポリブチレンスクシネート(PBS)活性、より好ましくはポリエチレンテレフタラート(PET)分解活性、及び/又はポリブチレンアジペートテレフタラート(PBAT)分解活性を有する。さらにより好ましくは、本発明のエステラーゼは、ポリエチレンテレフタラート(PET)分解活性を有する。
有利には、本発明のエステラーゼは、20℃~90℃、好ましくは40℃~90℃、より好ましくは50℃~90℃、さらにより好ましくは60℃~90℃の少なくとも温度範囲で、ポリエステル分解活性を示す。特に、本発明のエステラーゼは、65℃~90℃、65℃~85℃、65℃~80℃、70℃~90℃、70℃~85℃、70℃~80℃の温度範囲で、ポリエステル分解活性を示す。特定の実施態様では、該エステラーゼは、60℃でポリエステル分解活性を示す。特定の実施態様では、該エステラーゼは、70℃でポリエステル分解活性を示す。特定の実施態様では、ポリエステル分解活性は、55℃~70℃の温度で依然として測定可能である。上記で見られるように、温度は、+/-1℃で考えられなければならない。
特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、配列番号1のエステラーゼと比較して、所与の温度で、より特定すると40℃~90℃、より好ましくは50℃~90℃の温度で、増加したポリエステル分解活性を有する。
特定の実施態様では、前記エステラーゼは、65℃で、配列番号1のエステラーゼのポリエステル分解活性よりも少なくとも5%高い、好ましくは少なくとも10%、20%、50%、100%又はそれ以上高いポリエステル分解活性を有する。
特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、少なくとも5~9のpH範囲、好ましくは6~9のpH範囲、より好ましくは6.5~9のpH範囲、さらにより好ましくは6.5~8のpH範囲で測定可能なエステラーゼ活性を示す。
核酸、発現カセット、ベクター、宿主細胞
本発明のさらなる目的は、上記に定義されているようなエステラーゼをコードしている核酸を提供することである。
本明細書において使用する「核酸」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドの配列を指す。核酸は、DNA(cDNA又はガイドDNA)、RNA、又はその混合物であり得る。それは、一本鎖形又は二本鎖の形又はその混合物であり得る。それは、組換え、人工、及び/又は合成起源であり得、そしてそれは、例えば修飾された結合、修飾されたプリン塩基若しくはピリミジン塩基、又は修飾された糖を含む、修飾されたヌクレオチドを含み得る。本発明の核酸は、単離された形態であっても又は精製された形態であってもよく、当技術分野においてそれ自体公知である技術、例えばcDNAライブラリーのクローニング及び発現、増幅、酵素合成、又は組換え技術などによって作製、単離及び/又は操作され得る。核酸はまた、インビトロで、例えばBelousov (1997) Nucleic Acids Res. 25:3440-3444に記載のような、周知の化学合成技術によって合成されてもよい。
本発明はまた、ストリンジェントな条件下で、上記に定義されているようなエステラーゼをコードしている核酸にハイブリダイズする核酸を包含する。好ましくは、このようなストリンジェントな条件は、約42℃で2×SSC/0.1%SDS中でのハイブリダイゼーションフィルターの約2.5時間のインキュベーション、それに続いて、1×SSC/0.1%SDS中で65℃でのフィルターの4回の15分間の洗浄を含む。使用されるプロトコールは、Sambrook et al. (分子クローニング:実験マニュアル、コールドスプリングハーバー出版、コールドスプリングハーバーN.Y. (1988))及びAusubel (Current Protocols in Molecular Biology (1989))のような参考文献に記載されている。
本発明はまた、本発明のエステラーゼをコードしている核酸も包含し、ここでの該核酸の配列又は少なくとも該配列の一部は、最適化されたコドン使用頻度を使用して工学操作されている。
あるいは、本発明に記載の核酸は、本発明に記載のエステラーゼ配列から推論し得、コドン使用頻度は、核酸が転写されるであろう宿主細胞に応じて適応させ得る。これらの工程は、当業者には周知である方法に従って実施され得、その中のいくつかは、参考マニュアルSambrook et al. (Sambrook et al., 2001)に記載されている。
本発明の核酸はさらに、選択された宿主細胞又は宿主細胞系におけるポリペプチドの発現を引き起こすか又は調節するために使用することのできる、調節領域、すなわち、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、終結因子、シグナルペプチドなどの追加のヌクレオチド配列を含み得る。
本発明はさらに、適切な宿主細胞における該核酸の発現を指令する、1つ以上の制御配列に作動可能に連結された、本発明に記載の核酸を含んでいる発現カセットに関する。
本明細書において使用する「発現」という用語は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、及び分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの生成に関与する任意の工程を指す。
「発現カセット」という用語は、コード領域、すなわち、本発明の核酸と、調節領域を含んでいる、すなわち、作動可能に連結された1つ以上の制御配列を含んでいる、核酸構築物を示す。
典型的には、発現カセットは、転写プロモーター及び/又は転写終結因子などの制御配列に作動可能に連結された、本発明に記載の核酸を含む又はからなる。制御配列は、宿主細胞によって認識されるプロモーター、又は本発明のエステラーゼをコードしている核酸の発現のためのインビトロでの発現系を含み得る。該プロモーターは、酵素の発現を媒介する転写制御配列を含む。突然変異した、切断短縮された、及びハイブリッドのプロモーターを含む、該プロモーターは、宿主細胞内で転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであり得、宿主細胞にとって同種であるか又は異種であるかのいずれかである細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードしている遺伝子から得ることができる。制御配列はまた、転写終結因子であってもよく、これは宿主細胞によって認識されることにより転写を終結させる。終結因子は、該エステラーゼをコードしている核酸の3’末端に作動可能に連結されている。宿主細胞内で機能する任意の終結因子を、本発明に使用し得る。典型的には、発現カセットは、転写プロモーター及び転写終結因子に作動可能に連結された、本発明に記載の核酸を含む又はからなる。
本発明はまた、上記に定義されているような核酸又は発現カセットを含んでいるベクターにも関する。
本明細書において使用する「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、組換え遺伝子材料を宿主細胞に導入するためのビヒクルとして使用される、本発明の発現カセットを含む、DNA分子又はRNA分子を指す。主な種類のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、ウイルス、コスミド、及び人工染色体である。ベクターそれ自体が一般的に、挿入断片(異種核酸配列、導入遺伝子)と、ベクターの「骨格」としての役割を果たすより大きな配列からなる、DNA配列である。遺伝子情報を宿主に導入するベクターの目的は典型的には、挿入断片を単離、複製、又は標的細胞において発現することである。発現ベクター(発現構築物)と呼ばれるベクターは、標的細胞内での異種配列の発現に特に適応され、一般的にはポリペプチドをコードしている異種配列の発現を駆動するプロモーター配列を有する。一般的には、発現ベクター内に存在する調節配列としては、転写プロモーター、リボソーム結合部位、終結因子、及び場合により存在するオペレータが挙げられる。好ましくは、発現ベクターはまた、宿主細胞における自律複製のための複製起点、選択マーカー、少数の有用な制限酵素部位、及び高いコピー数の能力も含む。発現ベクターの例は、クローニングベクター、修飾されたクローニングベクター、特別に設計されたプラスミド及びウイルスである。様々な宿主において適切なレベルのポリペプチドの発現をもたらす発現ベクターは、当技術分野において周知である。ベクターの選択は典型的には、ベクターが形質導入される予定の宿主細胞とベクターの適合性に依存するだろう。好ましくは、発現ベクターは、鎖状又は環状二本鎖DNA分子である。
本発明の別の目的は、上記のような核酸、発現カセット、又はベクターを含んでいる、宿主細胞を提供することである。したがって、本発明は、宿主細胞を形質転換、トランスフェクト、又は形質導入するための、本発明に記載の核酸、発現カセット、又はベクターの使用に関する。ベクターの選択は、典型的には、ベクターが導入されなければならない宿主細胞と該ベクターとの適合性に依存するだろう。
本発明によると、宿主細胞は、一過性に又は安定的に、形質転換、トランスフェクト、又は形質導入され得る。本発明の発現カセット又はベクターは宿主細胞にに導入されることにより、該カセット又はベクターが、染色体への組み込み体として、又は自律複製する染色体外ベクターとして維持される。「宿主細胞」という用語はまた、複製中に起こる突然変異に因り、親宿主細胞と同一ではない、親宿主細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞は、本発明の変異体の産生において有用な任意の細胞、例えば原核細胞又は真核細胞であり得る。原核宿主細胞は、任意のグラム陽性菌又はグラム陰性菌であり得る。宿主細胞はまた、真核細胞、例えば酵母、真菌、哺乳動物、昆虫、又は植物の細胞であり得る。特定の実施態様では、宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)、桿菌(Bacillus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、トリコデルマ(Trichoderma)、アスペルギルス(Aspergillus)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、ピキア(Pichia)、ビブリオ(Vibrio)、又はヤロウィア(Yarrowia)の群から選択される。
本発明に記載の核酸、発現カセット、又は発現ベクターは、電気穿孔法、コンジュゲーション、形質導入、コンピテント細胞の形質転換、プロトプラスト形質転換、プロトプラスト融合、微粒子銃「遺伝子銃」による形質転換、PEGにより媒介される形質転換、脂質により支持される形質転換若しくはトランスフェクション、化学的に媒介されるトランスフェクション、酢酸リチウムにより媒介される形質転換、リポソームにより媒介される形質転換などの、当業者によって知られている任意の方法によって宿主細胞に導入され得る。
場合により、1つを超えるコピー数の本発明の核酸、カセット、又はベクターを宿主細胞に挿入することにより、変異体の産生を増加させてもよい。
特定の実施態様では、宿主細胞は、組換え微生物である。本発明は実際に、ポリエステル含有物質の分解能の改善された微生物の工学操作を可能とする。例えば、本発明の配列を使用することにより、ポリエステルを分解することができることがすでに知られている真菌又は細菌の野生株を補完して、該株の能力を改善及び/又は高め得る。
エステラーゼの生成
本発明の別の目的は、本発明のエステラーゼをコードしている核酸を発現させる工程及び場合により該エステラーゼを回収する工程を含む、本発明のエステラーゼを生成する方法を提供することである。
特に、本発明は、(a)本発明の核酸、カセット又はベクターを、インビトロでの発現系に接触させる工程;及び(b)生成されたエステラーゼを回収する工程を含む。本発明のエステラーゼをインビトロで生成する方法に関する。インビトロでの発現系は、当業者には周知であり、市販されている。
好ましくは、生成法は、
(a)本発明のエステラーゼをコードしている核酸を含む宿主細胞を、核酸を発現するに適した条件下で培養する工程;及び場合により
(b)細胞培養液から該エステラーゼを回収する工程
を含む。
有利には、宿主細胞は、組換え桿菌、組換えエシェリヒア・コリ、組換えアスペルギルス、組換えトリコデルマ、組換えストレプトマイセス、組換えサッカロマイセス、組換えピキア、組換えビブリオ、又は組換えヤロウィアである。
宿主細胞は、ポリペプチドの生成に適した栄養培地中で、当技術分野において公知の方法を使用して培養される。例えば該細胞は、振盪フラスコ培養、又は小規模若しくは大規模の発酵(連続、バッチ、フェッドバッチ、又は固体状態の発酵を含む)によって、適切な培地中、酵素が発現及び/又は単離されることを可能とする条件下で実施された、実験室での又は工業用の発酵槽中で培養され得る。培養は、業者の、又は(例えばアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションのカタログ内に)公開されている組成に従って調製された適切な栄養培地中で行なわれる。
前記エステラーゼが、栄養培地に分泌される場合、該エステラーゼは、培養上清から直接回収することができる。逆に、該エステラーゼは、細胞溶解液から又は透過処理後に回収されてもよい。該エステラーゼは、当技術分野において公知である任意の方法を使用して回収され得る。例えば、該エステラーゼは、栄養培地から、収集、遠心分離、ろ過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、又は沈降を含むがこれらに限定されない、従来の手順によって回収されてもよい。場合により、該エステラーゼは、実質的に純粋なポリペプチドを得るために、クロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、クロマト分画、及びサイズ排除クロマトグラフィー)、電気泳動の手技(例えば分取等電点電気泳動)、溶解度の差(例えば硫酸アンモニウム沈降法)、SDS-PAGE、又は抽出を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知である多種多様な手順によって、部分的に又は完全に精製され得る。
前記エステラーゼは、そのままで、精製形で、単独で又は追加の酵素と組み合わせてのいずれかで使用されることにより、ポリエステル(群)及び/又はポリエステル含有物質、例えばポリエステル含有プラスチック製品の分解及び/又はリサイクルに関与する酵素反応を触媒し得る。該エステラーゼは、可溶形であっても、又は固体相上に存在してもよい。特に、それは、細胞膜若しくは脂質小胞に、又は合成支持体、例えばガラス、プラスチック、ポリマー、フィルター、膜に、例えばビーズ、カラム、プレートなどの形態で結合していてもよい。
組成物
本発明のさらなる目的は、本発明のエステラーゼ、又は宿主細胞、又はその抽出物を含んでいる、組成物を提供することである。本発明の状況では、「組成物」という用語は、本発明のエステラーゼ又は宿主細胞を含んでいる、任意の種類の組成物を包含する。
本発明の組成物は、組成物の全重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、好ましくは0.1重量%~50重量%、より好ましくは0.1重量%~30重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~5重量%のエステラーゼを含み得る。あるいは、該組成物は、5~10重量%の本発明のエステラーゼを含み得る。
前記組成物は、液体であっても乾燥していてもよく、例えば、粉末の形態であり得る。いくつかの実施態様では、該組成物は凍結乾燥物である。
前記組成物はさらに、賦形剤及び/又は試薬などを含み得る。適切な賦形剤は、生化学で一般的に使用される緩衝液、pH調整剤、保存剤、例えば安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム若しくはアスコルビン酸ナトリウム、防腐剤、保護剤、又は安定化剤、例えばデンプン、デキストリン、アラビアゴム、塩、糖、例えばソルビトール、トレハロース、若しくはラクトース、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、捕捉剤、例えばEDTA、還元剤、アミノ酸、担体、例えば溶媒若しくは水溶液などを包含する。本発明の組成物は、該エステラーゼを1つ又はいくつかの賦形剤と混合することによって得られてもよい。
特定の実施態様では、前記組成物は、該組成物の全重量に基づいて、0.1重量%~99.9重量%、好ましくは50重量%~99.9重量%、より好ましくは70重量%~99.9重量%、さらにより好ましくは95重量%~99.9重量%の賦形剤(群)を含む。あるいは、該組成物は、90重量%~95重量%の賦形剤(群)を含み得る。
特定の実施態様では、前記組成物はさらに、酵素活性を示す追加のポリペプチド(群)を含み得る。本発明のエステラーゼの量は、例えば分解しようとするポリエステルの性質及び/又は該組成物に含有されている追加の酵素/ポリペプチドに応じて、当業者によって容易に適応されるだろう。
特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、1つ又はいくつかの賦形剤、特にポリペプチドを安定化又は分解から保護することのできる賦形剤と一緒に、水性媒体中で可溶化される。例えば、本発明のエステラーゼは、水中に、最終的には追加の成分、例えばグリセロール、ソルビトール、デキストリン、デンプン、グリコール、例えばプロパンジオール、塩などと共に可溶化されてもよい。その後、結果として得られる混合物を乾燥させることにより、粉末を得てもよい。このような混合物を乾燥させるための方法は、当業者には周知であり、これには、凍結乾燥、フリーズドライ、噴霧乾燥、超臨界乾燥、ダウンドラフト蒸発、薄層蒸発、遠心分離による蒸発、コンベア乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥、又はその任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
特定の実施態様では、前記組成物は、粉末形であり、これはエステラーゼ及び安定化量/可溶化量のグリセロール、ソルビトール又はデキストリン、例えばマルトデキストリン及び/又はシクロデキストリン、デンプン、グリコール、例えばプロパンジオール、及び/又は塩を含む。
特定の実施態様では、本発明の組成物は、本発明のエステラーゼを発現している少なくとも1つの組換え細胞又はその抽出物を含む。「細胞の抽出物」は、実質的に生細胞を含まない、細胞から得られた任意の画分、例えば細胞上清、細胞片、細胞壁、DNA抽出物、酵素、若しくは酵素調製物、又は、化学的、物理的及び/若しくは酵素的な処理によって細胞から導かれた任意の調製物を示す。好ましい抽出物は、酵素的に活性な抽出物である。本発明の組成物は、1つ又はいくつかの本発明の組換え細胞又はその抽出物、及び場合により1つ又はいくつかの追加の細胞を含み得る。
1つの実施態様では、前記組成物は、本発明のエステラーゼを発現及び分泌している、組換え微生物の培養培地からなるか又は含む。特定の実施態様では、該組成物は、凍結乾燥されたこのような培養培地を含む。
エステラーゼの使用
本発明のさらなる目的は、本発明のエステラーゼを使用して、好気性又は嫌気性条件下で、ポリエステル又はポリエステル含有物質を分解及び/又はリサイクルするための方法を提供することである。本発明のエステラーゼは、PET及びPEG含有物質を分解するのに特に有用である。
それ故、本発明の目的は、本発明のエステラーゼ、又は対応する組換え細胞若しくはその抽出物、又は組成物を、ポリエステルの酵素的分解のために使用することである。
特定の実施態様では、前記エステラーゼによって標的化されるポリエステルは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンイソソルバイドテレフタラート(PEIT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタラート(PBAT)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(エチレンアジペート)(PEA)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、及びこれらの物質のブレンド/混合物、好ましくはポリエチレンテレフタラートから選択される。
好ましい実施態様では、前記ポリエステルはPETであり、少なくともモノマー(例えばモノエチレングリコール又はテレフタル酸)、及び/又はオリゴマー(例えばメチル-2-ヒドロキシテレフタラート(MHET)、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)、1-(2-ヒドロキシエチル)4-メチルテレフタラート(HEMT)及びジメチルテレフタラート(DMT))が回収される。
本発明の目的はまた、本発明のエステラーゼ、又は対応する組換え細胞若しくはその抽出物、又は組成物をポリエステル含有物質の少なくとも1つのポリエステルの酵素的分解のために使用することである。
本発明の別の目的は、ポリエステル含有物質の少なくとも1つのポリエステルを分解するための方法を提供することであり、ここでのポリエステル含有物質を、本発明のエステラーゼ又は宿主細胞又はその抽出物又は組成物と接触させ、それにより、ポリエステル含有物質の少なくとも1つのポリエステルを分解する。
有利には、ポリエステル(群)は、モノマー及び/又はオリゴマーへと脱重合される。
特に、本発明は、PET含有物質のPETを分解するための方法を提供し、ここでのPET含有物質を、本発明のエステラーゼ又は宿主細胞又は組成物と接触させ、これによりPETを分解する。
1つの実施態様では、少なくとも1つのポリエステルが、再重合可能なモノマー及び/又はオリゴマーへと分解され、これは有利には回収されることにより、再利用され得る。回収されたモノマー/オリゴマーは、リサイクル(例えば再重合可能なポリエステル)又はメタン化のために使用され得る。特定の実施態様では、少なくとも1つのポリエステルはPETであり、モノエチレングリコール、テレフタル酸、メチル-2-ヒドロキシエチルテレフタラート(MHET)、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)、1-(2-ヒドロキシエチル)4-メチルテレフタラート(HEMT)及び/又はジメチルテレフタラート(DMT)が回収される。
1つの実施態様では、ポリエステル含有物質のポリエステル(群)は完全に分解される。
ポリエステル含有物質を分解するのに必要とされる時間は、ポリエステル含有物質それ自体(すなわち、ポリエステル含有物質の性質及び入手原、その組成、形状など)、使用されるエステラーゼの種類及び量、並びに、様々なプロセスパラメーター(すなわち、温度、pH、追加の物質など)に応じて変更され得る。当業者は、ポリエステル含有物質及び想定される分解時間にプロセスパラメーターを容易に適応させ得る。
有利には、分解プロセスは、20℃~90℃、好ましくは40℃~90℃、より好ましくは50℃~70℃の温度で実施される。特定の実施態様では、分解プロセスは、60℃で実施される。別の特定の実施態様では、分解プロセスは65℃で実施される。別の特定の実施態様では、分解プロセスは70℃で実施される。より一般的には、温度は、エステラーゼが不活化される温度(すなわち、その至適温度におけるその活性と比較して活性の80%超を失う温度)及び/又は組換え微生物がもはやエステラーゼを合成しない温度に相当する、不活化温度より低く維持される。特に、温度は、標的化ポリエステルのガラス転移温度(Tg)より低く維持される。
有利には、プロセスは、連続フロープロセスで、該エステラーゼが数回使用及び/又はリサイクルできる温度で実施される。
有利には、分解プロセスは、pH5~9、好ましくはpH範囲6~9、より好ましくはpH範囲6.5~9、さらにより好ましくはpH範囲6.5~8で実施される。
特定の実施態様では、ポリエステル含有物質は、エステラーゼと接触させる前に、その構造を物理的に変化させ、ポリエステルとエステラーゼとの間の接触表面を増加させるために、前処理されてもよい。
本発明の別の目的は、ポリエステル含有物質を、本発明のエステラーゼ、又は対応する組換え細胞若しくはその抽出物、又は組成物に曝す工程、並びに場合によりモノマー及び/又はオリゴマーを回収する工程を含む、ポリエステル含有物質からモノマー及び/又はオリゴマーを生成する方法を提供することである。
脱重合から生じるモノマー及び/又はオリゴマーは、順次又は連続的に回収され得る。一種類のモノマー及び/又はオリゴマーあるいはいくつかの異なる種類のモノマー及び/又はオリゴマーが、ポリエステル含有出発物質に応じて、回収され得る。
本発明の方法は、モノエチレングリコール及びテレフタル酸から選択されたモノマー、並びに/あるいは、メチル-2-ヒドロキシエチルテレフタラート(MHET)、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)、1-(2-ヒドロキシエチル)4-メチルテレフタラート(HEMT)及びジメチルテレフタラート(DMT)から選択されたオリゴマーを、PET及び/又はPET含有プラスチック製品から生成するのに特に有用である。
回収されたモノマー及び/又はオリゴマーは、全ての適した精製法を使用してさらに精製され得、そして再重合可能な形態で調整され得る。
回収された再重合可能なモノマー及び/又はオリゴマーは、例えば、ポリエステルを合成するために再使用され得る。有利には、同じ性質のポリエステルを再重合させる。しかしながら、回収されたモノマー及び/又はオリゴマーを、他のモノマー及び/又はオリゴマーと混合して、例えば、新規コポリマーを合成することが可能である。あるいは、回収されたモノマーは、関心対象の新規化合物を生成するための、化学物質中間体として使用されてもよい。
本発明はまた、ポリエステル含有物質を本発明のエステラーゼ、又は対応する組換え細胞若しくはその抽出物、又は組成物に曝す工程を含む、ポリエステル含有物質の表面加水分解又は表面官能基化の方法に関する。本発明の方法は、ポリエステル物質の親水性又は吸水性を高めるのに特に有用である。このような高まった親水性は、織物の生産、電子工学、及び生物医学の用途に特に関心が高くあり得る。
本発明のさらなる目的は、本発明のエステラーゼ及び/又は該エステラーゼを発現及び分泌している組換え微生物が含まれている、ポリエステル含有物質を提供することである。一例として、本発明のエステラーゼを含む、このようなポリエステル含有物質を調製するためのプロセスは、特許出願第WO2013/093355号、第WO2016/198650号、第WO2016/198652号、第WO2019/043145号及び第WO2019/043134号に開示されている。
したがって、本発明の目的は、本発明のエステラーゼ及び/又は組換え細胞及び/又はその組成物若しくは抽出物と、少なくともPETとを含有している、ポリエステル含有物質を提供することである。1つの実施態様によると、本発明は、PETと、PET分解活性を有する本発明のエステラーゼとを含んでいる、プラスチック製品を提供する。
したがって、本発明の別の目的は、本発明のエステラーゼ及び/又は組換え細胞及び/又はその組成物若しくは抽出物と少なくともPBATとを含有している、ポリエステル含有物質を提供することである。1つの実施態様によると、本発明は、PBATと、PBAT分解活性を有する本発明のエステラーゼとを含んでいる、プラスチック製品を提供する。
したがって、本発明の目的は、本発明のエステラーゼ及び/又は組換え細胞及び/又はその組成物若しくは抽出物と少なくともPBSとを含有している、ポリエステル含有物質を提供することである。1つの実施態様によると、本発明は、PBSと、PBS分解活性を有する本発明のエステラーゼとを含んでいる、プラスチック製品を提供する。
したがって、本発明の目的は、本発明のエステラーゼ及び/又は組換え細胞及び/又はその組成物若しくは抽出物と少なくともPCLとを含有している、ポリエステル含有物質を提供することである。1つの実施態様によると、本発明は、PCLと、PCL分解活性を有する本発明のエステラーゼとを含んでいる、プラスチック製品を提供する。
古典的には、本発明のエステラーゼは、洗剤、食品、動物の食餌、製紙、織物及び医薬品の用途に使用され得る。より特定すると、本発明のエステラーゼは、洗剤組成物の一成分として使用され得る。洗剤組成物としては、手洗い又は洗濯機洗い用の洗剤組成物、例えばシミの付いた生地の前処理に適した洗濯用添加組成物、及びリンスの添加された生地柔軟組成物、一般家庭用の硬質表面の清浄作業に使用するための洗剤組成物、手洗い又は食器洗浄機作業用の洗剤組成物が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、洗剤の添加剤として使用されてもよい。したがって、本発明は、本発明のエステラーゼを含んでいる洗剤組成物を提供する。特に、本発明のエステラーゼは、織物の洗濯中の毛玉及び灰色化の影響を減らすための、洗剤添加剤として使用されてもよい。
本発明はまた、動物の食餌に本発明のエステラーゼを使用するための方法、並びに、本発明のエステラーゼを含んでいるフィード組成物及びフィード添加剤に関する。「フィード」及び「フィード組成物」という用語は、動物による摂取に適しているか又は目的としている、任意の化合物、調製物、混合物、又は組成物を指す。別の特定の実施態様では、本発明のエステラーゼは、タンパク質を加水分解するために、及びペプチドを含んでいる加水分解物を生成するために使用される。このような加水分解物は、フィード組成物又はフィード添加物として使用され得る。
本発明のさらなる目的は、製紙産業で本発明のエステラーゼを使用するための方法を提供することである。より特定すると、本発明のエステラーゼは、製紙用パルプ及び抄紙機の水パイプラインからの粘着物を除去するために使用され得る。
実施例
実施例1-エステラーゼの構築、発現、及び精製
構築
本発明に記載のエステラーゼは、プラスミド構築物を使用して作製された。このプラスミドは、エシェリヒア・コリでの発現のために最適化された、配列番号1のエステラーゼをコードしている遺伝子を、pET-26(+)発現ベクター(メルク・ミリポア社、モルスアイム、フランス)のNdeIとXhoI制限酵素部位の間にクローニングする工程からなる。PelBリーダー配列をコードしているヌクレオチド配列は、配列番号1とNdeI制限酵素部位の間に付加された。発現された融合タンパク質は、細菌の周辺質に指向され、ここでPelBリーダー配列がシグナルペプチダーゼによって除去されて、配列番号1と同一であるがC末端のアミノ酸の伸長が付加された、機能的タンパク質が生じる。2つの部位特異的な突然変異誘発キットが、業者の推奨に従って使用され、これによりエステラーゼの変異体が作製された:アジレント社製のQuikChange II Site-Directed Mutagenesisキット及びQuikChange Lightning Multi Site-Directed(サンタクララ、カリフォルニア州、米国)。
エステラーゼの発現及び精製
Stellar株(商標)(クロンテック社、カリフォルニア州、米国)及びE.コリBL21(DE3)(ニューイングランドバイオラボラトリーズ社、エヴリー、フランス)が、50mLのLB-ミラー培地又はZYM自己誘導性培地中でのクローニング及び組換え発現を実施するために成功裏に使用された(Studier et al., 2005- Prot. Exp. Pur. 41, 207-234)。LB-ミラー培地中での誘導が、16℃で、0.5mMのイソプロピル-β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG、ユーロメディックス社、ゾウフェルヴァイヤースハイム、フランス)を用いて実施された。培養は、アバンティ社のJ-26XP遠心機(ベックマンコールター社、ブレア、米国)での遠心分離(8000rpm、10℃で20分間)によって停止された。細胞を、タロン緩衝液 20mL(トリス-HCl、300mMのNaCl、pH8)に懸濁した。その後、細胞懸濁液を、2分間、30%の振幅(2秒間オン、1秒間オフのサイクル)を用いて、FB705超音波処理機(フィッシャーブランド、イルキルシュ、フランス)によって超音波処理した。その後、遠心分離工程を行なった:エッペンドルフ遠心管中で10℃で10000gで30分間。可溶性画分を収集し、アフィニティクロマトグラフィーにかけた。この精製工程は、タロン(登録商標)金属アフィニティ樹脂(クロンテック社、カリフォルニア州、米国)を用いて完了した。タンパク質の溶出を、イミダゾールの補充されたタロン緩衝液の工程を用いて実施した。精製されたタンパク質を、タロン緩衝液に対して透析し、その後、製造業者の説明書(ライフサイエンスバイオラッド社、フランス)に従ってバイオラッド社のタンパク質アッセイを使用して定量し、+4℃で保存した。
実施例2-エステラーゼの分解活性の評価
エステラーゼの分解活性を決定し、配列番号1のエステラーゼの活性と比較した。
比活性を判定するために複数の方法が使用された:
PETの加水分解に基づいた比活性
(2)固体形のポリエステルの分解に基づいた活性
(3)100mLを上回るリアクター中でのPETの加水分解に基づいた活性。
2.1.PET加水分解に基づいた比活性
粉末形の無定形PET 100mg(20%未満の結晶化度に到達するために第WO2017/198786号に従って調製)を秤量し、100mLのガラス瓶に入れた。配列番号1のエステラーゼ(レファレンス対照として)を含んでいるエステラーゼ調製物、又はタロン緩衝液(20mMのトリス-HCl、0.3mMのNaCl、pH8)中で0.69μMで調製された本発明のエステラーゼ 1mLを、ガラス瓶に入れた。最後に、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8)49mLを加えた。
脱重合は、各ガラス瓶を40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃又は70℃で、150rpmで、MaxQ4450インキュベーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)中でインキュベートすることによって開始された。
脱重合反応の初期速度(1時間あたりに生じた等価なTAのmg)を、最初の24時間中の様々な時点で実施されたサンプリングによって決定し、超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)によって分析した。必要であれば、試料を、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8)で希釈した。その後、メタノール 150μL及び6Nの塩酸 6.5μLを、試料又は希釈液 150μLに加えた。混合し、0.45μmのシリンジフィルター上でろ過した後、試料を、UHPLCにのせて、テレフタル酸(TA)、MHET及びBHETの遊離をモニタリングした。使用されたクロマトグラフィーシステムは、ポンプモジュール、オートサンプラー、25℃で温度自動調節されたカラムオーブン、及び240nmにおける紫外線検出器を含む、Ultimate3000UHPLCシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)であった。使用されたカラムは、Discovery(登録商標)HS C18 HPLCカラム(150×4.6mm、5μm、プレカラムを具備、スペルコ社、ベルフォント、米国)であった。TA、MHET、及びBHETは、1mMのHSO中メタノール(30%から90%)の勾配を使用して、1mL/分で分離した。注入量は、試料 20μLであった。TA、MHET及びBHETは、試料と同じ条件で、市販のTA及びBHET並びに社内合成されたMHETから準備された標準曲線に従って測定された。PET加水分解の比活性(酵素1mgあたり1時間あたりの等価なTAのmg)は、加水分解反応曲線の直線部分において決定され、このような曲線は、最初の27時間中の様々な時点で実施されたサンプリングによって設定された。等価なTAは、測定されたTAと、測定されたMHETとBHETに含有されるTAの合計に相当する。前記の等価なTAの測定はまた、所与の時点におけるPET脱重合アッセイの収量を反映するために使用され得る。
2.2.固体形のポリエステルの分解に基づいた活性
酵素調製物 20μLを、PETを含有している寒天プレート中に作成されたウェルに沈着させた。寒天プレートの調製は、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)中にPET 500mgを可溶化し、この培地を、水溶液 250mLに注ぐことによって実現した。52℃で140ミリバール下でHFIPを蒸発させた後、溶液を、3%寒天を含有している0.2Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8)とv/vで混合した。約30mLの混合物を使用して、各プレートを調製し、4℃で保存した。
野生型エステラーゼ及び変異体によるポリエステルの分解に因り形成されたハローの直径又は表面積を測定し、2~24時間後に、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃で比較した。
2.3.リアクター中のPET加水分解に基づいた活性
100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH8)80mL中で調製された0.69μmolから2.07μmolの精製エステラーゼを、500mLのMinibioバイオリアクター(アプリコン・バイオテクノロジー社、デルフト、オランダ)中の無定形PET(20%未満の結晶化度に到達するように第WO2017/198786号に従って調製)20gと混合した。40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃での温度調節を、水浴への浸漬によって行ない、1つのマリンインペラーを使用して、250rpmの一定の攪拌を維持した。PET脱重合アッセイのpHは、6NのNaOHによってpH8に調節され、my-Controlバイオコントローラシステム(アプリコン・バイオテクノロジー社、デルフト、オランダ)によって確認された。塩基の消費量は、アッセイ中に記録され、PET脱重合アッセイの特徴付けのために使用され得る。
PET脱重合アッセイの最終収量は、残留PET重量の決定によって、又は生成した等価なTAの決定によって、又は塩基量の消費量を通してのいずれかによって決定された。残留PETの重量の決定は、反応終了時における12~15μmのグレード11の無灰ろ紙(Dutscher SAS社、ブリュマト、フランス)を通した反応容量のろ過、及びこのような残余分の乾燥、その後にそれを秤量することによって判定された。生成された等価なTAの決定は、2.1に記載されたUHPLC法を使用して実現し、加水分解率は、所与の時点におけるモル濃度(TA+MHET+BHET)、対、最初の試料に含有されているTAの総量の比に基づいて計算された。PETの脱重合は、酸性モノマーを生成し、これは、塩基で中和されることにより、リアクター内のpHを維持することができるだろう。生成された等価なTAの決定は、対応する塩基のモル消費量を使用して計算され、加水分解の比率は、所与の時点における、等価なTAのモル濃度、対、最初の試料中に含有されるTAの総量の比に基づいて計算された。
24時間後の本発明のエステラーゼ(変異体)によるPETの脱重合の収量は、以下の表1(50℃における)及び表2(65℃における)に示されている。どちらの表も、リファレンスとして使用された配列番号1のエステラーゼのPET脱重合の収量と比較した(そのPET脱重合の収量は、1に等しいと考える)、本発明の変異体によるPETの脱重合の収量の改善を示す。
PET脱重合の収量は、実施例2.1.に見られるように測定する。
Figure 2023546501000001
変異体V1~V4は、表1に列挙される置換の組合せを除いて、それぞれ、配列番号1に示されるようなまさにそのアミノ酸配列を有する。
表1は、全ての変異体の50℃におけるPET脱重合の収量が、配列番号1のエステラーゼによるPETの脱重合の収量の少なくとも2.4倍であることを示す。
Figure 2023546501000002
変異体V1~V3は、表2に列挙される置換の組合せを除いて、それぞれ、配列番号1に示されるようなまさにそのアミノ酸配列を有する。
表2は、全ての変異体の65℃におけるPET脱重合の収量が、配列番号1のエステラーゼによるPETの脱重合の収量の少なくとも11倍であることを示す。
本発明のエステラーゼ(変異体)の特異的分解活性は、以下の表3に示されている。配列番号1のエステラーゼの特異的分解活性は、リファレンスとして使用され、100%特異的分解活性と考える。特異的分解活性は、65℃で実施例2.1に見られるように測定される。
Figure 2023546501000003
変異体V1~V3は、表3に列挙される置換の組合せを除いて、それぞれ、配列番号1に示されるようなまさにそのアミノ酸配列を有する。
実施例3-本発明のエステラーゼの熱安定性の評価
本発明のエステラーゼの熱安定性を決定し、配列番号1のエステラーゼの熱安定性と比較した。
熱安定性を推定するために、様々な方法が使用された。
(1)溶液中のタンパク質の円偏光二色性;
(2)所与の温度、時間、及び緩衝液の条件でタンパク質をインキュベーションした後の、残留エステラーゼ活性;
(3)所与の温度、時間、及び緩衝液の条件でタンパク質をインキュベーションした後の、残留ポリエステルの脱重合活性;
(4)所与の温度、時間、及び緩衝液の条件でタンパク質をインキュベーションした後に、寒天プレート中に分散させた固体ポリエステル化合物(例えばPET又はPBAT又は類似体)を分解する能力;
(5)所与の温度、時間、緩衝液、タンパク質濃度及びポリエステル濃度の条件で、複数回のポリエステルの脱重合アッセイを実施する能力;
(6)示差走査熱量測定(DSF);
このような方法のプロトコールに関する詳細が以下に示されている。
3.1 円偏光二色性
配列番号1のエステラーゼの融点(Tm)を、本発明のエステラーゼのTmと比較するために、円偏光二色性(CD)が、Jasco 815機器(イーストン、米国)を用いて実施された。技術的には、タンパク質試料 400μLが、CDのために使用されたタロン緩衝液中0.5mg/mLで調製された。280~190nmでの初回の走査を行ない、タンパク質の正しい折り畳みに相当するCDの2つの最大強度を決定した。その後、2回目の走査を25℃~110℃で、このような最大強度に相当する波長で実施して、特異的な曲線(S字状の3つのパラメーターy=a/(1+e^((x-x0)/b)))を得、これをシグマプロットバージョン11.0ソフトウェアによって分析し、Tmは、x=x0の場合に決定される。得られたTmは、所与のタンパク質の熱安定性を反映する。Tmが高ければ高いほど、高温で変異体はより安定となる。
3.2 残留エステラーゼ活性
配列番号1のエステラーゼ又は本発明のエステラーゼの40mg/L(タロン緩衝液中)溶液1mLを、様々な温度(40、50、60、65、70、75、80及び90℃)で最大10日間インキュベートした。定期的に、試料を採取し、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)で1~500倍希釈し、パラニトロフェノール-ブチレート(pNP-B)アッセイを実現した。試料 20μLを、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)175μL、及び2-メチル-2-ブタノール中pNP-B溶液(40mM)5μLと混合した。酵素反応を、30℃で、攪拌下で、15分間の間に実施し、405nmにおける吸光度を、マイクロプレート吸光光度計(Versamax、モレキュラーデバイス社、サニーベール、カリフォルニア州、米国)によって取得した。遊離されたパラニトロフェノールについてのpNP-B加水分解活性(1分あたりのpNPBのμmolで表現される初期速度)を、標準的な曲線を使用して、加水分解曲線の線形部分において決定した。
3.3 残留ポリエステル脱重合活性
配列番号1のエステラーゼ及び本発明のエステラーゼの(タロン緩衝液中)40mg/Lの溶液 10mLを、様々な温度(40℃、50℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃及び90℃)で最大30日間インキュベートした。定期的に、試料 1mLを採取し、250~500μmで微粒子化された無定形PET(20%未満の結晶化度に到達するように第WO2017/198786号に従って調製)100mgと0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)49mLとを含有している瓶に移し、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃でインキュベートした。緩衝液 150μLを定期的にサンプリングした。必要であれば、試料を、0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)で希釈した。その後、メタノール 150μL及び6Nの塩酸 6.5μLを、試料又は希釈液 150μLに加えた。混合し、0.45μmのシリンジフィルターでろ過した後、試料を、UHPLCにのせ、テレフタル酸(TA)、MHET及びBHETの遊離をモニタリングした。使用されたクロマトグラフィーシステムは、ポンプモジュール、オートサンプラー、25℃で温度自動調節されたカラムオーブン、及び240nmにおける紫外線検出器を含む、Ultimate3000UHPLCシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)であった。使用されたカラムは、Discovery(登録商標)HS C18 HPLCカラム(150×4.6mm、5μm、プレカラムを具備、スペルコ社、ベルフォント、米国)であった。TA、MHET、及びBHETは、1mMのHSO中メタノール(30%から90%)の勾配を使用して、1mL/分で分離した。注入量は、試料 20μLであった。TA、MHET及びBHETは、試料と同じ条件で、市販のTA及びBHET並びに社内合成されたMHETから準備された標準曲線に従って測定された。PET加水分解の活性(1分間あたりに加水分解されるPETのμmol又は1時間あたりに生成される等価なTAのmg)は、加水分解曲線の直線部分において決定され、このような曲線は、最初の24時間中の様々な時点で実施されたサンプリングによって設定された。等価なTAは、測定されたTAと、測定されたMHETとBHETに含有されるTAの合計に相当する。
3.4 固体形のポリエステルの分解
配列番号1のエステラーゼ及び本発明のエステラーゼの(タロン緩衝液中)40mg/Lの溶液 1mLを、様々な温度(40℃、50℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃及び90℃)で最大30日間インキュベートした。定期的に、酵素調製物 20μLを、PETを含有している寒天プレート中に作成されたウェルに沈着させた。PET含有寒天プレートの調製は、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)中にPET 500mgを可溶化し、この培地を、水溶液 250mLに注ぐことによって実現した。52℃で140ミリバール下でHFIPを蒸発させた後、溶液を、3%寒天を含有している0.2Mのリン酸カリウム緩衝液(pH8)とv/vで混合した。約30mLの混合物を使用して、各オムニトレイを調製し、4℃で保存した。
野生型エステラーゼ及び本発明の変異体によるポリエステルの分解に因り形成されたハローの直径又は表面積を測定し、2~24時間後に、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃で比較した。所与の温度における酵素の半減期は、ハローの直径が2倍減少するのに必要とされる時間に相当する。
3.5 複数回のポリエステルの脱重合
エステラーゼが連続回のポリエステルの脱重合アッセイを実施する能力が、酵素リアクター中で評価された。Minibio500バイオリアクター(アプリコン・バイオテクノロジー社、デルフト、オランダ)を、無定形PET(20%未満の結晶化度に到達するように第WO2017/198786号に従って調製)3g、及びエステラーゼ 3mgを含有している10mMのリン酸カリウム緩衝液(pH8)100mlを用いて開始した。攪拌は、マリンインペラーを使用して、250rpmに設定された。バイオリアクターは、外部の水浴への浸漬によって、50℃、55℃、60℃、65℃、又は70℃に温度調節された。pHは、3MのKOHの添加によって8に調節された。様々なパラメーター(pH、温度、攪拌、塩基の添加)を、BioXpertソフトウェアバージョン2.95によりモニタリングした。無定形PET(20%未満の結晶化度に到達するように第WO2017/198786号に従って調製)1.8gを20時間毎に加えた。反応培地 500μLを定期的にサンプリングした。
TA、MHET及びBHETの量は、実施例2.3に記載のように、HPLCによって決定された。EGの量は、65℃に温度自動調節された、アミネックスHPX-87Kカラム(バイオラッド・ラボラトリーズ社、ハーキュリーズ、カリフォルニア州、米国)を使用して決定された。溶出液は、0.6mL/分で5mMのKHPOであった。注入量は20μLであった。エチレングリコールは、屈折率計を使用してモニタリングされた。
加水分解の比率は、所与の時点におけるモル濃度(TA+MHET+BHET)、対、最初の試料に含有されているTAの総量の比に基づいて、又は、所与の時点におけるモル濃度(EG+MHET+2×BHET)、対、最初の試料に含有されているEGの総量の比に基づいて計算された。分解率は、1時間あたりに遊離したTAの総量のmg、又は1時間あたりの総量のEGのmgで計算される。
酵素の半減期は、50%の分解率の低下を得るのに必要とされるインキュベーション時間として評価された。
3.6 示差走査熱量測定(DSF)
DSFを使用して、その融点(Tm)、すなわちタンパク質集団の半分が折り畳まれていない温度を決定することによって、野生型タンパク質(配列番号1)及びその変異体の熱安定性を評価した。タンパク質の試料は、14μMの濃度で調製され、20mMのトリスHCl(pH8.0)、300mMのNaClからなる緩衝液A中に保存された。DMSO中のSYPROオレンジ色素5000倍のストック溶液をまず、水で250倍まで希釈した。タンパク質の試料を、白色透明な96ウェルのPCRプレート(バイオラッド社、製造番号HSP9601)上にのせ、各ウェルは、25μlの最終容量を含有していた。各ウェル中のタンパク質及びSYPROオレンジ色素の最終濃度は、それぞれ5μM(0.14mg/ml)及び10倍であった。1ウェルあたりに載せられた容量は、以下の通りであった:緩衝液A 15μL、14μMのタンパク質溶液 9μL、及び250倍のSyproオレンジ希釈溶液 1μL。その後、PCRプレートを光学品質シーリングテープを用いて密封し、2000rpmで1分間室温で遠心分離にかけた。その後、示差走査熱量測定実験を、450/490励起及び560/580発光フィルターを使用するために設定された、CFX96リアルタイムPCRシステムを使用して実施した。試料を、1秒あたり0.3℃の速度で、25~100℃まで加熱した。0.03秒毎に1回の蛍光測定を行なった。融点は、バイオラッドCFXマネージャーソフトウェアを使用した融解曲線の一次導関数の極値(群)から決定された。
その後、配列番号1のエステラーゼ及び本発明のエステラーゼを、それらのTm値に基づいて比較した。異なる生成法からの同じタンパク質に関する実験間の高い再現性に因り、変異体を比較するのに0.8℃のΔTmを有意と判断した。Tm値は、少なくとも3回の測定の平均値に相当する。
配列番号1のエステラーゼの融点は、実施例3.6に見られるように、68.0℃+/-0.2℃に等しいと評価されている。
本発明のエステラーゼ変異体の熱安定性は、以下の表4に示され、融点値で表現され、実施例3.6に従って評価される。配列番号1のエステラーゼと比較した融点の上昇を括弧内に示す。
Figure 2023546501000004
変異体V1~V3は、表4に列挙される置換の組合せを除いて、それぞれ、配列番号1に示されるようなまさにそのアミノ酸配列を有する。

Claims (36)

  1. (i)配列番号1に示される完全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有し、そして(ii)F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sから選択された少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、ここでの位置は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を参考にして番号が付され、(iii)ポリエステル分解活性を有し、そして(iv)配列番号1のエステラーゼと比較して増加した熱安定性及び/又は増加した分解活性を有する、エステラーゼ。
  2. 前記エステラーゼが、T168Q、F209I/G/H/L/R/T及びN212D/Qから選択された、好ましくはT168Q、F209I及びN212Dから選択された少なくとも1つの置換を含む、請求項1記載のエステラーゼ。
  3. 前記エステラーゼが、F209I/G/H/L/R/T及びT168Qから選択された、好ましくはF209I及びT168Qから選択された少なくとも1つの置換を含む、請求項1又は2記載のエステラーゼ。
  4. 前記エステラーゼが、F209I/G/H/L/R/Tから選択された少なくとも1つの置換、好ましくは少なくともF209Iの置換を含む、請求項1~3のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  5. 前記エステラーゼがさらに、T11N、D12H、S23P、T50E、A53L、Y60F/M、T61M/V、T63N、A65T、T88S、T89Q、L90W/F、Q92G/P、M107L、S121R、A125G、L152Q、M127V、G135A、S136T、P151A、L157E/G/N/Q/W/T、K159T、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、T207D、F209W/S/A、A210T、N212M、I213F、K216N、Q238D、D246Y/C/E/P、E253C及びD174Rから選択された少なくとも1つの置換、好ましくはT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、F209W/S/A、N212M及びE253C、より好ましくはT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T177N、T183E、D204C、F209W、N212M及びE253Cから選択された少なくとも1つの置換を含む、請求項1~4のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  6. 前記エステラーゼがさらに、Q92G/P、G135A、T183E、D204C/K/R、F209W/S/A及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G、G135A、T183E、D204C/K/R、F209W及びE253Cから選択された少なくとも1つの置換を含む、請求項1~5のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  7. 前記エステラーゼがさらに、Q92G/P、G135A、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G、G135A、T183E、D204C及びE253Cから選択された少なくとも1つの置換を含む、請求項5又は6記載のエステラーゼ。
  8. 前記エステラーゼがさらに、少なくともD204C+E253Cの置換の組合せを含む、請求項1~7のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  9. 前記エステラーゼが、F209I/A/G/H/L/R/S/Tから選択された、好ましくはF209I/G/H/L/R/Tから選択された1つの置換、並びに、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された、好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C/K/R及びE253Cから選択された、より好ましくはQ92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された、少なくとも1つの置換、好ましくは少なくとも2つの置換、より好ましくは少なくとも3つの置換を含む、請求項1~8のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  10. (i)配列番号1に示される完全長アミノ酸配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有し、そして(ii)F209、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183、D204、N212及びE253から選択された位置における少なくとも3つのアミノ酸置換、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T/W、T61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E、D204C/K/R、N212D/Q/M及びE253Cから選択された少なくとも3つのアミノ酸置換を有し、ここでの位置は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を参考にして番号が付され、(iii)ポリエステル分解活性を有し、そして(iv)配列番号1のエステラーゼと比較して増加した熱安定性及び/又は増加した分解活性を有する、エステラーゼ。
  11. 前記エステラーゼが、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W、Q92G/P、G135A、T168Q、T183E及びD204C/K/R、及びE253Cから選択された、好ましくはF209I/W、Q92G/P、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された、より好ましくはF209I、Q92G、G135A、T168Q、T183E、D204C及びE253Cから選択された少なくとも3つのアミノ酸置換を含む、請求項10記載のエステラーゼ。
  12. 前記エステラーゼが、F209+D204+E253の位置における少なくとも1つの置換の組合せ、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253Cから選択された少なくとも1つの置換の組合せ、より好ましくはF209I/W+D204C+E253Cら選択された組合せを含む、請求項10又は11記載のエステラーゼ。
  13. 前記エステラーゼがさらに、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183及びN212から選択された位置に、好ましくはQ92、G135、T168及びT183から選択された位置に少なくとも1つの置換を含む、請求項12記載のエステラーゼ。
  14. 前記エステラーゼが、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253Cから選択された、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T+D204C+E253Cから選択された少なくとも1つの置換の組合せ、並びにT61M/V、A65T、Q92G/P、G135A、T168Q、T177N/H/Q、T183E及びN212D/Q/Mから選択された、好ましくはQ92G/P、G135A、T168Q及びT183Eから選択された、より好ましくはQ92G、G135A、T168Q及びT183Eから選択された少なくとも1つの置換を含む、請求項12及び13記載のエステラーゼ。
  15. 前記エステラーゼが、F209、T61、A65、Q92、G135、T168、T177、T183、D204、N212及びE253から選択された位置における少なくとも4つのアミノ酸置換を含む、請求項1~14のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  16. 前記エステラーゼが、F209+D204+E253、F209+D204+E253+Q92、F209+D204+E253+N212、F209+D204+E253+Q92+G135+T168、F209+D204+E253+Q92+G135+T168+T183、F209+D204+E253+Q92+T183、又はF209+D204+E253+Q92+T168+T183からなる群より選択された位置における少なくとも1つの置換の組合せを含む、請求項1~15のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  17. 前記エステラーゼが、F209+D204+E253+Q92の位置における少なくとも1つの置換の組合せ、好ましくはF209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/Pから選択された、より好ましくはF209I/W+D204C+E253C+Q92G、さらにより好ましくはF209I+D204C+E253C+Q92Gから選択された置換の組合せを含む、請求項1~16のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  18. 前記エステラーゼが、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+N212D/M/Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C/K/R+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、好ましくはF209I/W+D204C+E253C、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P、F209I/W+D204C+E253C+N212D/M、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、より好ましくはF209I+D204C+E253C+Q92G、F209I+D204C+E253C+Q92G+T183E及びF209I+D204C+E253C+Q92G+G135A+T168Q+T183Eから選択された、少なくとも1つの置換の組合せを含む、請求項1~17のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  19. 前記エステラーゼが、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sからなる群より選択された1~31個のアミノ酸置換、配列番号1と比較して、好ましくはT168Q、F209I/G/H/L/R/T及びN212D/Qから選択された、好ましくはT168Q、F209I及びN212Dから選択された1~3つのアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有する、請求項1記載のエステラーゼ。
  20. 前記エステラーゼのアミノ酸配列が、配列番号1と比較して、F209I/G/H/L/R/T、D12F/Y/R、T50P、T63Q、S66H、W69R、T89R/F、D94S、S121W、T153A、N158Q、T168Q、P180E、A182R、F188I/Y、S197P、E202M、G205C/K、T207L、P211A、N212D/Q、K216P、K220E、Q238T、L240A、P242K、G243Y、P244N、G247A/D/E/H/S、G250C/Y及びP260Sから選択された、好ましくはT168Q、F209I/G/H/L/R/T及びN212D/Qから選択された、より好ましくはF209I/G/H/L/R/T及びT168Qから選択された、さらにより好ましくはF209I及びT168Qから選択された、1つのアミノ酸置換を有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、請求項1記載のエステラーゼ。
  21. 1つの置換が、F209I/G/H/L/R/Tから選択され、好ましくはF209Iである、請求項20記載のエステラーゼ。
  22. 前記エステラーゼのアミノ酸配列が、配列番号1と比較して、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+N212D/M/Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/A/G/H/L/R/S/T/W+D204C+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、好ましくはF209I/W+D204C+E253C、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P、F209I/W+D204C+E253C+N212D/M、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+G135A+T168Q+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T183E、F209I/W+D204C+E253C+Q92G/P+T168Q+T183Eから選択された、より好ましくはF209I+D204C+E253C+Q92G、F209I+D204C+E253C+Q92G+T183E及びF209I+D204C+E253C+Q92G+G135A+T168Q+T183Eから選択された、置換の組合せを有する、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる、請求項18記載のエステラーゼ。
  23. 前記エステラーゼが、親エステラーゼにあるD176、H208、S130、M131、C241、C259、G59、H129、G132、W155、I171、I178、P214、D174から選択された少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、好ましくは該エステラーゼが、親エステラーゼにあるD176+H208+S130、C241+C259、及びD176+H208+S130+C241+C259から選択された、より好ましくはD176+H208+S130+C241+C259+M131+D174から選択された少なくとも1つの組合せを含む、請求項1~22のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  24. 前記エステラーゼが、親エステラーゼにあるG59、H129、G132、W155、I171、I178及びP214から選択された少なくとも1つのアミノ酸、好ましくはI171及びI178から選択された少なくとも1つのアミノ酸、より好ましくは少なくともI171+I178の組合せ、さらにより好ましくは親エステラーゼにあるI171+I178+G59+H129+G132+W155+P214の組合せを含む、請求項1~23のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  25. 前記エステラーゼが、配列番号1のエステラーゼと比較して、増加した熱安定性及び増加した分解活性の両方を示す、請求項1~24のいずれか一項記載のエステラーゼ。
  26. 前記エステラーゼが、配列番号1のエステラーゼと比較して、50℃~65℃、より好ましくは50℃及び/又は65℃の温度で、増加した熱安定性及び/又は増加したポリエステル分解活性の両方を示す、請求項25記載のエステラーゼ。
  27. 請求項1~26のいずれか一項に定義されているエステラーゼをコードしている核酸。
  28. 請求項27の核酸を含んでいる、発現カセット又はベクター。
  29. 請求項27の核酸、又は請求項28の発現カセット若しくはベクターを含んでいる、宿主紙細胞。
  30. 請求項1~26のいずれかに定義されているエステラーゼ、又は請求項29記載の宿主細胞、又はその抽出物を含んでいる、組成物。
  31. (a)ポリエステルを、請求項1~26のいずれか一項記載のエステラーゼ、又は請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の組成物と接触させる工程;及び場合により、
    (b)モノマー及び/又はオリゴマーを回収する工程
    を含んでいる、ポリエステルを分解する方法。
  32. 前記ポリエステルが、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート(PTT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンイソソルバイドテレフタラート(PEIT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンスクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタラート(PBAT)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(エチレンアジペート)(PEA)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、及びこれらの物質のブレンド/混合物、好ましくはポリエチレンテレフタラートから選択される、請求項31の方法。
  33. 工程(a)が、20℃~90℃、好ましくは40℃~90℃、より好ましくは50℃~70℃の温度で実施される、請求項31又は32の方法。
  34. 工程(a)が、pH5~9で、好ましくはpH範囲6~9で、より好ましくはpH範囲6.5~9で実施される、請求項31~33の方法。
  35. 請求項1~26のいずれか一項記載のエステラーゼ、又は請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の組成物を含有している、ポリエステル含有物質。
  36. 請求項1~26のいずれか一項記載のエステラーゼ、又は請求項29記載の宿主細胞、又は請求項30記載の組成物を含んでいる洗剤組成物。
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