JP3846321B2 - 燃料噴射弁の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射弁の制御装置に係り、特に、直噴式内燃機関に搭載される電磁式燃料噴射弁の制御装置として好適な燃料噴射弁の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平9−273442号公報に開示されるように、直噴式内燃機関に搭載される電磁式燃料噴射弁の制御装置として、DC-DCコンバータを備える装置が知られている。直噴式内燃機関の燃料噴射弁には、高い圧力での燃料噴射を可能とするため、高圧燃料が供給される。この高圧燃料の漏出を防ぐため、直噴式内燃機関の燃料噴射弁では、弁体を閉弁方向に付勢するバネ荷重が高い値に設定される。このため、直噴式内燃機関の燃料噴射弁を開弁させるためには、大きな電力が必要となる。
【0003】
ところで、従来の電磁式燃料噴射弁は、弁体と共に動作する可動鉄心を備えている。この可動鉄心は、開弁時には固定鉄心と離間しており、ソレノイドに励磁電流が供給されて固定鉄心との間に電磁力が生ずると、固定鉄心に向かって、すなわち開弁方向に向かって移動する。可動鉄心を固定鉄心に引き寄せるために必要な励磁電流は、両者が離れているほど大きな値となる。このため、従来の燃料噴射弁を開弁させる際には、その開弁の初期段階において特に大きな励磁電流が必要とされる。そして、可動鉄心と固定鉄心とが最も近接する全開状態を保持するために必要な最小限の電流は、開弁初期の段階で要求される励磁電流に比べれば十分に小さな値となる。
【0004】
上述した従来の制御装置は、燃料噴射弁の開弁が要求される場合に、先ず、DC-DCコンバータにより昇圧された高電圧を燃料噴射弁のソレノイドに供給する。このような高電圧によれば、可動鉄心が固定鉄心から離間している状況下で、両者間に十分な電磁力を発生させることができる。このため、従来の制御装置によれば、優れた応答性で閉弁状態の燃料噴射弁を開弁状態に移行させることができる。
【0005】
上述した従来の制御装置は、燃料噴射弁が全開状態になる時期とほぼ同期して、ソレノイドに供給する電圧をバッテリ電圧に切り替える。燃料噴射弁を全開状態に保持するための電流は、バッテリ電圧によっても十分に発生することができる。また、ソレノイドに供給する電圧を高電圧からバッテリ電圧に切り替えると、消費電力を抑えることができる。このため、従来の制御装置によれば、無駄な電力消費を抑えながら、燃料噴射弁を適正に開閉させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バッテリ電圧は、バッテリが劣化するに従って低下する。また、内燃機関の運転中に発電動作を行うオルタネータは、内燃機関の始動中は発電動作を実行し得ない。このため、バッテリが低下している場合、内燃機関の始動中には、不当に低い電圧がバッテリ電圧として燃料噴射弁のソレノイドに供給されることがある。
【0007】
従来の制御装置を用いるシステムでは、ソレノイドに供給されるバッテリ電圧が上記の如く低化することを想定して燃料噴射弁を設計する必要がある。つまり、従来のシステムでは、上記の如く低下したバッテリ電圧によっても適正に開弁状態が保持できるように燃料噴射弁を設計する必要がある。このため、従来のシステムでは、燃料噴射弁に過剰な保持能力が要求され、その結果、燃料噴射弁の小型化や低コスト化が妨げられるという問題が生じていた。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、燃料噴射弁に過剰な保持能力を要求することなく、バッテリ電圧の低下時にも適正に燃料噴射弁を作動させることのできる燃料噴射弁の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記の目的を達成するため、ソレノイドを有する電磁式燃料噴射弁の制御装置であって、
バッテリ電圧に比して高い高電圧を発生する変換器と、
前記高電圧を前記ソレノイドに供給する高電圧供給回路と、
バッテリ電圧を前記ソレノイドに供給するバッテリ電圧供給回路と、
前記ソレノイドに、所定期間に渡って前記高電圧が供給された後、所定期間に渡って前記バッテリ電圧が供給されるように、前記高電圧供給回路および前記バッテリ電圧供給回路を駆動する通常駆動手段と、
前記ソレノイドに、所定期間に渡って前記高電圧が供給された後、所定期間に渡って断続的に前記高電圧が供給されるように、前記高電圧供給回路を駆動する高電圧駆動手段と、
前記通常駆動手段と、前記高電圧駆動手段とを、選択的に有効にする駆動方法切り替え手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃料噴射弁の制御装置であって、
内燃機関が始動中であるか否かを判別する始動中判別手段を備え、
前記駆動方法切り替え手段は、少なくとも内燃機関の始動中は、前記高電圧駆動手段を有効とすることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の燃料噴射弁の制御装置であって、
前記バッテリ電圧が所定値より低下しているか否かを判別するバッテリ電圧判定手段を備え、
前記駆動方法切り替え手段は、少なくとも前記バッテリ電圧が前記所定値より低い場合に、前記高電圧駆動手段を有効とすることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1において用いられる燃料噴射弁10の断面図を示す。燃料噴射弁10は、内燃機関の筒内に直接燃料を噴射する直噴式の内燃機関において好適に用いることができる。
【0014】
燃料噴射弁10は、磁性体で構成された固定鉄心12を備えている。固定鉄心12の内部には、調整パイプ14が固定されていると共に、その調整パイプ14と接するようにコイルスプリング16が配設されている。固定鉄心12と隣接する位置には、コイルスプリング16によって図1中下向きに付勢される可動鉄心18が配置されている。可動鉄心18は、燃料噴射弁10の内部を、その軸方向に摺動することができる。
【0015】
固定鉄心12の外周には、ソレノイド20が設けられている。可動鉄心18と固定鉄心12との間には、ソレノイド20に励磁電流が供給されることにより電磁力が発生する。そして、可動鉄心18は、上記の電磁力が発生すると固定鉄心12に引き寄せられ、また、その電磁力が消滅すると、コイルスプリング16の付勢力により固定鉄心12から遠ざかる方向に移動する。
【0016】
可動鉄心18には、可動鉄心18と共に燃料噴射弁10の内部を変位するニードル22が連結されている。また、ニードル22の端部には、弁体24が固定されている。燃料噴射弁10は、弁体24を取り囲むように形成されたノズルボディ26を備えている。ノズルボディ26は、弁体24により開閉される燃料噴射孔28を備えている。
【0017】
上述した弁体24とノズルボディ26との間には空間が形成されている。この空間には、図示しない燃料供給源から高圧の燃料が供給されている。弁体24は、ソレノイド20に励磁電流が供給されていないときは、ノズルボディ26に着座し、燃料噴射孔28を閉塞する。従って、この場合、燃料噴射孔28から燃料は噴射されない。
【0018】
上記の状態から、ソレノイド20に励磁電流が供給されると、可動鉄心18が固定鉄心12に引き寄せられることにより、弁体24がノズルボディ26から離座する。その結果、弁体24の周囲に蓄えられていた高圧の燃料が燃料噴射孔28に流入し、更に、燃料噴射孔28から外部へ噴射される。その後、ソレノイド20に対する励磁電流の供給を停止すると、弁体24がノズルボディ26に着座し、燃料噴射が終了される。このように、図1に示す燃料噴射弁10によれば、ソレノイド20に供給する励磁電流を適宜制御することにより、燃料噴射期間を、すなわち、噴射される燃料の量を制御することができる。
【0019】
図2は、本実施形態の制御装置が一つの燃料噴射弁10に対応して備えている駆動回路の概要を説明するための図である。尚、本実施形態の制御装置は、図2に示す駆動回路を個々の燃料噴射弁10に対応して複数有していると共に、後述する図4に示すルーチンの結果に従ってそれらの駆動回路を駆動する制御ユニット(図示せず)とを備えている。
【0020】
図2に示す駆動回路は、バッテリ電圧の供給を受ける+B端子30、および接地電位に維持されるGND端子32を備えている。ここで、「バッテリ電圧」とは、バッテリの正極端子に現れる電圧であり、オルタネータが発電動作を行っている場合は、その発電動作の結果としてバッテリの正極端子に現れる電圧が、上記のバッテリ電圧となる。
【0021】
+B端子30およびGND端子32には、電圧昇圧部34が接続されている。電圧昇圧部34は、DC-DCコンバータで構成されており、約12Vのバッテリ電圧を、所望の高電圧の直流電圧に昇圧することができる。電圧昇圧部34は、例えば、特開平11−351039号公報に開示されるような公知の高圧チョッパ回路により実現することができる。
【0022】
電圧昇圧部34の出力端子には、高電圧蓄積用のコンデンサ(C)36が接続されている。コンデンサ36に蓄えられた電荷は、後述の如く、燃料噴射弁10を開弁させるために適宜ソレノイド20に放電される。ここで、コンデンサ36は、燃料噴射弁10を1回開弁させるために必要な放電量に比して、十分に大きな容量を有するものとする。
【0023】
電圧昇圧部34の出力端子には、更に、第2スイッチ素子(SW2)38を介して駆動信号線40が接続されている。駆動信号線40には、第2ダイオード41のカソード端子が接続されていると共に、燃料噴射弁10のソレノイド20(インジェクタL)の一端が接続されている。第2ダイオード41は、そのアノード端子において接地されている。また、ソレノイド20の他端には、第1スイッチ素子(SW1)42が接続されている。第1スイッチ素子42は、電圧検出線44および抵抗器(Rs)46を介して接地されている。
【0024】
上述した回路構成によれば、第1スイッチ素子42および第2スイッチ素子38を共にオン状態とすることにより、ソレノイド20に対して、電圧昇圧部34で生成された高電圧を印加することができる。更に、その状態で第2スイッチ素子38のオンオフを繰り返せば、その際のオン時間とオフ時間との比、すなわちデューティ比により、ソレノイド20を流れる励磁電流を制御することができる。
【0025】
図2に示す回路において、+B端子30には、電圧昇圧部34の他に、第3スイッチ素子(SW3)48が接続されている。また、第3スイッチ素子48は、第1ダイオード(D1)50を介して駆動信号線40に接続されている。第1ダイオード50によれば、第3スイッチ素子48から駆動信号線40へ向かう電流の流れを許容し、かつ、その逆向きの電流を遮断することができる。
【0026】
つまり、第1ダイオード50によれば、駆動信号線40に電圧昇圧部34から高電圧が供給されている場合に、その電圧に起因して駆動信号線40から第3スイッチ素子48に向かって電流が逆流するのを防ぐことができる。更に、上記の回路構成によれば、第2スイッチ素子38がオフされた状態で第1スイッチ素子42および第3スイッチ素子48をオンとすることで、ソレノイド20に対してバッテリ電圧を印加することができる。そして、その状態で第3スイッチ素子48のオンオフを繰り返せば、その際のデューティ比により、ソレノイド20を流れる励磁電流を制御することができる。
【0027】
図2に示す回路において、電圧検出線44には、ソレノイド20を流れる励磁電流の大きさに応じた電圧が発生する。つまり、図2に示す回路において、電圧検出線44に現れる電圧は、ソレノイド20を流れる励磁電流の大きさの特性値として把握することができる。このため、図2に示す回路によれば、電圧検出線44に現れる電圧が所望の電圧となるように第2スイッチ素子38または第3スイッチ素子48の駆動デューティ比を制御することで、定電流フィードバック(F/B)制御を実現することができる。
【0028】
図3は、本実施形態の制御装置において実行される通常の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
具体的には、図3(A)は、燃料噴射弁10に対して発せられる噴射指令の波形であり、時刻t1に噴射指令が立ち上げられ、時刻t2にその指令が消滅した例を示している。また、図3(B)、図3(C)および図3(D)は、それぞれ、第1スイッチ素子42、第2スイッチ素子38および第3スイッチ素子48に対する駆動信号の波形を示している。更に、図3(E)、図3(F)および図3(G)は、ソレノイド20に印加される電圧の波形、ソレノイド20を流れる励磁電流の波形、および燃料噴射弁10の弁体24の挙動波形を示している。
【0029】
通常の駆動方法では、時刻t1に噴射指令が立ち上げられると同時に、全てのスイッチ素子42,38,48がオン状態とされる。その結果、ソレノイド20には、時刻t1の後、図3(E)に示すように電圧昇圧部34によって生成された高電圧が印加され、また、図3(F)に示すようにその高電圧に対応した励磁電流が流れ始める。ソレノイド20に対してこのような励磁電流が流通し始めると、可動鉄心18が固定鉄心12に引き寄せられることにより、図3(G)に示すように弁体24は開弁位置に向かって変位し始める。
【0030】
通常の駆動方法では、弁体24が開弁位置に到達する時期とほぼ同期して、第2スイッチ素子38がオフされる(図3(C)参照)。その結果、時刻t3の後、ソレノイド20に印加される電圧は高電圧からバッテリ電圧に変更され(図3(E)参照)、励磁電流が減少し始める(図3(F)中実線の波形参照)。バッテリ電圧が適正である場合は、ソレノイド20にバッテリ電圧を印加することで、十分に弁体24を開弁位置に保持することができる。このため、このような場合には、時刻t3の後も、弁体24は開弁位置に保持される(図3(G)中実線の波形参照)。
【0031】
通常の駆動方法では、更に、弁体24の挙動が安定した時刻t4の後、第3スイッチ48の定電流制御が開始される。より具体的には、時刻t4の後、第3スイッチ48のデューティ制御が開始される(図3(D)参照)。この際、第3スイッチ48の駆動デューティ比は、電圧検出線44に現れる電圧を基礎とし、励磁電流が所望の値となるようにフィードバック制御される。その結果、時刻t4の後、ソレノイド20を流れる励磁電流は更に小さな値へと変化する(図3(F)中実線の波形参照)。バッテリ電圧が適正である場合は、上記の定電流制御によって十分に弁体24を開弁位置に保持することができる。このため、この場合は、時刻t4の後も、弁体24は適正に開弁位置に保持される(図3(G)中実線の波形参照)。
【0032】
時刻t2において噴射指令が消滅すると、その時点で、第1スイッチ素子42および第3スイッチ素子48がオフ状態とされる(図3(B)および図3(D)参照)。その結果、ソレノイド20の印加電圧が0となり(図3(E)参照)、ソレノイド20を流れる励磁電流が消滅し(図3(F)参照)、弁体24が開弁位置から閉弁位置に向かって移動し始める(図3(G)参照)。通常の駆動方法では、以上説明したような手順で燃料噴射弁10の開閉が行われる。
【0033】
本実施形態において、+B端子30に供給されるバッテリ電圧には、既述した通りオルタネータの発電動作の結果が反映されている。このため、内燃機関が始動され、オルタネータが適正な発電動作を開始し始めた後は、バッテリの劣化状態に関わらず、+B端子30に供給されるバッテリ電圧は安定して12V以上の値を維持する。このような状況下では、通常の駆動方法を用いることで、上記の如く燃料噴射弁10を適正に開閉させることができる。
【0034】
しかしながら、オルタネータは、内燃機関の始動中は適正な発電動作を実行することができない。このため、バッテリが劣化している状況下で内燃機関が始動される場合は、その始動期間中において、+B端子30に印加される電圧が、不当に低い値となることがある。
【0035】
図3(F)および図3(G)中に破線で示す波形は、このような状況下で生じ得る励磁電流および弁挙動の波形である。つまり、+B端子30に印加されるバッテリ電圧が不当に低い場合は、通常の制御方法が進められる過程でソレノイド20への印加電圧が高電圧からバッテリ電圧に切り替えられると(時刻t2)、その後十分な励磁電流が得られず(図3(F)中破線の波形参照)、弁体24が開弁位置に保持できない事態(図3(G)中破線の波形参照)が生じ得る。
【0036】
そこで、本実施形態の制御装置は、内燃機関の始動中にバッテリ電圧を監視し、その電圧が不当に低い値である場合には、バッテリ電圧を用いた駆動を行わずに、高電圧を用いた駆動を継続することとした。以下、図4および図5を参照して、この機能を実現するために制御装置が実行する具体的な処理の内容につき詳細に説明する。
【0037】
図4は、本実施形態の制御装置において(厳密にはその内部の制御ユニットにおいて)、上記の機能を実現するために実行される駆動方式選択ルーチンのフローチャートである。
図4に示すルーチンでは、先ず、内燃機関が始動中であるか否かが判別される(ステップ100)。
【0038】
内燃機関が始動中であるか否かは、例えば、機関回転数が所定回転数以下であるか否かに基づいて判断することができる。上記の判別の結果、内燃機関が始動中ではない(既に始動されている)と判別された場合は、安定したバッテリ電圧が得られると判断できるため、燃料噴射弁10の駆動方法として、通常の駆動方法が選択される(ステップ102)。
この場合、以後、図3を参照して説明した上記の駆動方法で燃料噴射弁10が駆動される。
【0039】
一方、上記ステップ100において、内燃機関が始動中であると判別された場合は、次に、バッテリ電圧が低下しているか否かが判別される(ステップ104)。
本実施形態の制御装置は、バッテリ電圧を監視するための電圧センサ(図示せず)を備えている。本ステップ104では、そのセンサ出力が所定の判定値より低いか否かに基づいて上記の判断がなされる。その結果、バッテリ電圧が低下していないと判別された場合は、燃料噴射弁10の駆動方法として通常の駆動方法を採用すべく、上記ステップ102の処理が実行される。
【0040】
これに対して、上記ステップ104においてバッテリ電圧が低下していると判別された場合は、通常の駆動方法に代えて、燃料噴射弁10の駆動方法として、高電圧駆動方法が採用される(ステップ106)。
【0041】
図5は、高電圧駆動方法の内容を説明するためのタイミングチャートである。尚、図5(A)乃至図5(G)に示される内容は、図3(A)乃至図3(G)に示される内容と、それぞれ対応している。
【0042】
高電圧駆動方法では、時刻t1に噴射指令が立ち上げられると同時に、全てのスイッチ素子42,38,48がオン状態とされる。その結果、ソレノイド20には、時刻t1の後、図5(E)に示すように電圧昇圧部34によって生成された高電圧が印加され、また、図5(F)に示すようにその高電圧に対応した励磁電流が流れ始める。ソレノイド20に対してこのような励磁電流が流通し始めると、可動鉄心18が固定鉄心12に引き寄せられることにより、図5(G)に示すように弁体24は開弁位置に向かって変位し始める。
【0043】
高電圧駆動方法では、弁体24が開弁位置に到達する時期とほぼ同期して、第2スイッチ素子38の定電流制御が開始される。より具体的には、時刻t3の後、第2スイッチ素子38のデューティ制御が開始される(図5(C)参照)。この際、第2スイッチ素子38の駆動デューティ比は、電圧検出線44に現れる電圧を基礎とし、励磁電流が所望の値となるようにフィードバック制御される。その結果、時刻t3の後、ソレノイド20を流れる励磁電流は、弁体24を開弁位置に保持するために過不足のない値に制御される(図5(F)参照)。
【0044】
以後、噴射指令が消滅するまで、第2スイッチ素子38の定電流制御、すなわち、電圧昇圧部34によって生成された高電圧を用いた定電流制御が継続される。そして、時刻t2において噴射指令が消滅すると、その時点で全てのスイッチ素子42、38および48がオフ状態とされる(図5(A)乃至図5(D)参照)。その結果、ソレノイド20の印加電圧が0となり(図5(E)参照)、ソレノイド20を流れる励磁電流が消滅し(図5(F)参照)、弁体24が開弁位置から閉弁位置に向かって移動し始める(図5(G)参照)。
【0045】
以上説明した通り、高電圧駆動方法では、弁体24が開弁位置に到達した後、電圧昇圧部34により生成された高電圧を用いて弁体24を保持するための励磁電流の制御が行われる。この場合、バッテリ電圧の劣化に関わらず、弁体24を保持する上で十分な励磁電流を確保することができる。このため、高電圧駆動方法によれば、バッテリ電圧が低い状況下でも、燃料噴射弁10を適正に開閉させることができる。
【0046】
上述の如く、本実施形態の制御装置によれば、バッテリ電圧が十分に高い場合には通常の駆動方法を用いて、また、バッテリ電圧が不当に低い場合には高電圧駆動方法を用いて燃料噴射弁10を制御することができる。このため、本実施形態の制御装置によれば、バッテリ電圧の高低に関わらず、常に、無駄な電力消費を伴うことなく適正に燃料噴射弁10を制御することができる。
【0047】
ところで、上述した実施の形態1においては、内燃機関の始動後は、必ずバッテリ電圧が十分であることを前提として、内燃機関の始動中に限って高電圧駆動を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、何らかの原因でバッテリ電圧が低下するような場合には、内燃機関の運転中に高電圧駆動を実行することとしてもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態1においては、内燃機関の始動時に、バッテリ電圧を監視して、その電圧が低い場合にのみ高電圧駆動を実行することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、バッテリ電圧を監視することなく、内燃機関の始動時には常に高電圧駆動を実行することとしてもよい。
【0049】
尚、上述した実施の形態1においては、電圧昇圧部34が前記請求項1記載の「変換器」に、第2スイッチ素子38および第1スイッチ素子42等が前記請求項1記載の「高電圧供給回路」に、第3スイッチ素子48、第1ダイオード50および第1スイッチ素子42等が前記請求項1記載の「バッテリ電圧供給回路」に、それぞれ相当していると共に、制御ユニットが、通常の駆動方法で燃料噴射弁10を駆動することにより前記請求項1記載の「通常駆動手段」が、高電圧駆動方法で燃料噴射弁10を駆動することにより前記請求項1記載の「高電圧駆動手段」が、上記ステップ100〜106の処理を実行することにより前記請求項1記載の「駆動方法切り替え手段」が、それぞれ実現されている。
【0050】
また、上述した実施の形態1においては、制御ユニットが、上記ステップ100の処理を実行することにより前記請求項2記載の「始動中判別手段」が実現されていると共に、上記ステップ104の処理を実行することにより前記請求項3記載の「バッテリ電圧判定手段」が実現されている。
【0051】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、ソレノイドに対して所定期間に渡って高電圧が供給された後、所定期間に渡ってバッテリ電圧が供給される通常の駆動方法と、ソレノイドに対して所定期間に渡って高電圧が供給された後、所定期間に渡って断続的に高電圧が供給される高電圧駆動方法とを選択的に実行することができる。後者の駆動方法によれば、燃料噴射弁が過剰な保持能力を有していなくても、バッテリ電圧が低下した環境下で、燃料噴射弁を適正に作動させることができる。
【0052】
請求項2記載の発明によれば、内燃機関の始動時に、高電圧駆動方法を用いることができる。このため、本発明によれば、内燃機関の始動時に、低下したバッテリ電圧がソレノイドに供給されても、電磁駆動弁を適正に作動させることができる。
【0053】
請求項3記載の発明によれば、バッテリ電圧が低下している場合に高電圧駆動方法を用いることができる。このため、本発明によれば、バッテリ電圧の低下に関わらず、常に適正に電磁駆動弁を作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1のシステムにおいて用いられる燃料噴射弁の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態1の制御装置の主要部である駆動回路の概要を説明するための図である。
【図3】 本発明の実施の形態1の制御装置において実行される通常の制御方法の概要を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態1の制御装置において実行される駆動方式選択ルーチンのフローチャートである。
【図5】 本発明の実施の形態1の制御装置において実行される高電圧制御方法の概要を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
10 燃料噴射弁
12 固定鉄心
18 可動鉄心
20 ソレノイド
24 弁体
34 電圧昇圧部
38 第2スイッチ素子
42 第1スイッチ素子
48 第3スイッチ素子
Claims (3)
- ソレノイドを有する電磁式燃料噴射弁の制御装置であって、
バッテリ電圧に比して高い高電圧を発生する変換器と、
前記高電圧を前記ソレノイドに供給する高電圧供給回路と、
バッテリ電圧を前記ソレノイドに供給するバッテリ電圧供給回路と、
前記ソレノイドに、所定期間に渡って前記高電圧が供給された後、所定期間に渡って前記バッテリ電圧が供給されるように、前記高電圧供給回路および前記バッテリ電圧供給回路を駆動する通常駆動手段と、
前記ソレノイドに、所定期間に渡って前記高電圧が供給された後、所定期間に渡って断続的に前記高電圧が供給されるように、前記高電圧供給回路を駆動する高電圧駆動手段と、
前記通常駆動手段と、前記高電圧駆動手段とを、選択的に有効にする駆動方法切り替え手段と、
を備えることを特徴とする燃料噴射弁の制御装置。 - 内燃機関が始動中であるか否かを判別する始動中判別手段を備え、
前記駆動方法切り替え手段は、少なくとも内燃機関の始動中は、前記高電圧駆動手段を有効とすることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁の制御装置。 - 前記バッテリ電圧が所定値より低下しているか否かを判別するバッテリ電圧判定手段を備え、
前記駆動方法切り替え手段は、少なくとも前記バッテリ電圧が前記所定値より低い場合に、前記高電圧駆動手段を有効とすることを特徴とする請求項1または2記載の燃料噴射弁の制御装置。
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