JP3846054B2 - カロチノイド系色素含有材料の退色防止剤及び退色防止方法 - Google Patents

カロチノイド系色素含有材料の退色防止剤及び退色防止方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カロチノイド系色素を含有する材料、例えば食品、医薬品、化粧品、飼料、着色剤等のための退色防止剤、カロチノイド系色素を含有する抗退色性着色剤、カロチノイド系色素含有材料及びその退色防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カロチノイド系色素は、動植物界に広く分布する黄色乃至赤色の色素であり、ニンジン、トマト、柑橘類、鮭、エビ、カニ、卵等、多くの食材に含有されており、従ってこれらの食材を原料とする食品にもカロチノイド系色素が含有されていることとなる。また、種々の動植物から抽出されたカロチノイド系色素は、安全性も高いために、粘稠液体、ペーストもしくは粉末の形態で、種々の食品の着色剤として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、カロチノイド系色素は、その分子中に長い共役系を有するために、酸素や熱等に対する耐性、特に光に対する耐性が著しく低いという欠点がある。そのためカロチノイド系色素を含有する着色剤や食品は、特に光の影響により経時的に退色を起こし易いという問題がある。ひとたび退色した着色剤や食品は、商品価値が著しく低下する。
【0004】
このため、従来よりカロチノイド系色素の退色を防止するために、種々の試みが提案されている。代表的には、カロチノイド類の乳化液にカロチノイド類の安定化剤としてアスコルビン酸又はその塩を添加すること(特公昭37−8532号公報)や、カロチノイド色素を含有する水性液に水易溶性フラボノール配糖体と水溶性抗酸化剤とを添加すること(特開平2−135070号公報)、あるいは2つ以上のカルボキシル基を有する有機酸やグリシンをカロチノイド色素含有物に添加すること(特開平6−264055号公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カロチノイド系色素の退色を防止するためのこれら従来の試みは、いずれも退色を十分に防止するにまでには至っていないという問題があった。中でも、アスコルビン酸を使用した場合には、逆に退色を促進してしまう場合もあった。
【0006】
このため、カロチノイド系色素を含有する食品の場合、賞味期限を短く設定したり、光の影響を除くために遮光性の包装や容器に食品を入れることが行われている。賞味期限を短く設定すると、衛生学的及び栄養学的には問題がない食品であっても廃棄処分せざるを得ない場合が生ずる。また、遮光性の包装や容器を使用すると、包装まで含めた食品の製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、カロチノイド系色素を含有する食品、医薬品、化粧品、飼料、着色剤等のカロチノイド系色素含有材料の退色を効果的に防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、詳細な理由は不明であるが、カロチノイド系色素含有材料に可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを添加することにより上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを有効成分として含有することを特徴とする、カロチノイド系色素含有材料の退色防止剤を提供する。
【0010】
また、本発明は、上述のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤と、カロチノイド系色素とを含有することを特徴とする抗退色性着色剤を提供する。
【0011】
更に、本発明は、カロチノイド系色素含有材料中のカロチノイド系色素の退色を防止するために、上述の退色防止剤を含有することを特徴とするカロチノイド系色素含有材料を提供する。
【0012】
また、本発明は、カロチノイド系色素含有材料に、上述の退色防止剤を添加することを特徴とするカロチノイド系色素含有材料の退色防止方法を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
先ず、本発明のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤について説明する。
【0015】
本発明のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤は、有効成分として可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを含有する。
【0016】
ここで、退色防止の対象となるカロチノイド系色素含有材料には、カロチノイド系色素を含有する食品(例えば、ニンジン、パプリカ、カボチャ等のカロチノイド系色素を含有する食材を使用した加工食品、ジュース等の飲料類、ゼリー等の菓子類、ソーセージ等の肉加工品、蒲鉾等の魚肉練製品、ドレッシング、ケチャップ等の調味料類、スープ類)、医薬品(例えば、錠剤の糖衣部分、着色顆粒剤、栄養ドリンク剤等)、化粧品(例えば、ファンデーション、クリーム、リップスティック、シャンプー、リンス等)、粘稠液体状、ペースト状あるいは粉末状のカロチノイド系色素含有着色剤等が含まれる。
【0017】
また、カロチノイド系色素としては、α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、カプサンチン、カプソルビン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、ロドキサンチン、リコピン、クリプトキサンチン、クロセチン、クロシン、ビキシン、ノルビキシン等の化合物、ニンジン、パプリカ、クチナシ、アナトー等のカロチノイド系色素を含有する動植物の溶剤(水、アルコール、アセトン、ヘキサン等)による抽出物(例えば、ニンジンカロチン色素、パプリカ色素、クチナシ黄色素、アナトー色素等)もしくはその濃縮物又は精製品等を挙げることができる。
【0018】
本発明で使用する可溶性卵殻膜は、水に可溶な状態とした卵殻膜である。中でも鳥卵(特に鶏卵)から常法により採取した卵殻膜(乾燥物、湿潤物、粉状物等の状態を問わず)に加水分解処理を施して水に可溶な状態とした卵殻膜を使用することが好ましい。
【0019】
ここで、加水分解処理としては、酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等)、アルカリ(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、酸化剤(例えば、過ギ酸等)、還元剤(例えば、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸等)、酵素(例えばタンパク質分解酵素(パパイン、パンクレアチン等))等による加水分解処理を挙げることができる。これらの処理は単独でもよく、2種以上の処理を同時にもしくは別々に組み合わせて実施してもよい。中でも、少なくとも酸加水分解処理を行うことがカロチノイド系色素含有材料の退色防止効果の点から好ましい。
【0020】
なお、ある程度の加水分解速度を維持するために、例えば一般的に用いられている塩酸を用いた場合には、0.5規定(N)以上の濃度とすることが好ましい。
【0021】
このような加水分解処理の一般的な操作の例を以下に具体的に説明する。
【0022】
酸加水分解処理
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜1重量部(乾物換算)に対し、5〜40重量部の0.5〜6Nの塩酸あるいは0.5〜15Nの硫酸を添加し、例えば常圧下で50〜100℃で30分〜24時間処理し、中和した後、濾過し、必要に応じて更に脱塩することにより可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0023】
アルカリ加水分解処理
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜1重量部(乾物換算)に対し、5〜40重量部の0.5〜3Nの水酸化ナトリウムあるいは30〜70容量%のエタノールを含有する0.5〜3Nの水酸化ナトリウムを添加し、例えば常圧下で40〜100℃で30分〜8時間処理し、中和した後、濾過し、必要に応じて更に脱塩することにより可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0024】
酵素加水分解処理
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜1重量部(乾物換算)に対し、5〜40重量部の水を加え、タンパク質分解酵素(例えば、パパイン、パンクレアチン等)を卵殻膜の乾物に対し0.5〜20%となるように添加し、酵素の至適pH及び温度範囲内で5〜40時間処理し、その後加熱により酵素を失活させ、濾過することにより可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0025】
酸加水分解処理と酵素加水分解処理との併用
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜1重量部(乾物換算)に対し、5〜40重量部の0.5〜6Nの塩酸あるいは0.5〜15Nの硫酸を添加し、例えば常圧下で50〜100℃で30分〜24時間処理し、次に、酵素の至適pHに調整した後、タンパク質分解酵素(例えば、パパイン、パンクレアチン等)を卵殻膜の乾物に対し0.1〜20%となるように添加し、酵素の至適温度範囲内で5〜40時間処理し、その後加熱により酵素を失活させ、濾過し、必要に応じて更に脱塩することにより可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0026】
なお、上述の各種の加水分解処理により得られる可溶性卵殻膜は、水溶液の状態であり、その状態でも使用することができるが、所望により凍結乾燥法あるいは噴霧乾燥法により乾燥し、必要に応じて粉末化し、そのような乾物状態あるいは粉末状態で使用することもできる。
【0027】
また、本発明で使用する水溶性抗酸化剤としては、水に可溶で還元性を示す物質であれば特に限定されないが、好ましくは、アスコルビン酸もしくはその塩、エリソルビン酸もしくはその塩、没食子酸、コーヒー酸、エチレンジアミン四酢酸もしくはその塩、ポリフェノール類等を挙げることができる。
【0028】
本発明の退色防止剤中における可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤との配合割合は、水溶性抗酸化剤の配合割合が相対的に少なすぎても多すぎても十分な退色防止効果が得られないので、可溶性卵殻膜の1重量部(乾物換算)に対し、水溶性抗酸化剤を好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
【0029】
本発明のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤は、更に、必要に応じて他の添加剤、賦形剤、水や低級アルコール等の溶剤等を含有することができる。
【0030】
本発明のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤と、必要に応じて他の添加成分とを常法に従って混合することにより、溶液状態、乳化状態、ペースト状態あるいは粉末状態の退色防止剤として製造することができる。
【0031】
本発明のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤の使用方法(即ち、カロチノイド系色素含有材料の退色防止方法)としては、カロチノイド系色素含有材料と退色防止剤とを共存させればよく、共存させる方法としては特に限定されず、例えば、溶液状態、乳化状態、ペースト状態あるいは粉末状態の本発明の退色防止剤を、カロチノイド系色素含有材料及び必要に応じて添加される各種添加剤(例えば、トコフェロール類等)や賦形剤等と共に常法により均一に混合すればよい。また、カロチノイド系色素含有材料に、予め可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを混合して得られる均一な退色防止剤を添加するのではなく、カロチノイド系色素含有材料に、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを別々に添加してもよい。
【0032】
この場合、退色防止剤のカロチノイド系色素含有材料に対する添加量は、少なすぎると十分な退色防止効果が望めず、過度に添加しても退色防止効果の飛躍的向上が望めず、しかも経済的ではない。従って、カロチノイド系色素含有材料中のカロチノイド系色素1重量部に対し、退色防止剤中の可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤との合計量が0.1〜5000重量部となるように添加することが好ましく、1〜2000重量部とすることがより好ましい。
【0033】
次に、本発明の抗退色性着色剤について説明する。
【0034】
本発明の抗退色性着色剤は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とカロチノイド系色素とを含有する。可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを着色剤に含有させることにより、含有されているカロチノイド系色素の退色を防止して着色剤に抗退色性を賦与することができる。
【0035】
なお、本発明の抗退色性着色剤で使用する可溶性卵殻膜、水溶性抗酸化剤及びカロチノイド系色素は、本発明の退色防止剤で説明したものと同様のものを使用することができる。
【0036】
この抗退色性着色剤には、必要に応じて他の添加剤や賦形剤等を添加することができる。
【0037】
抗退色性着色剤中における可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤との配合割合は、水溶性抗酸化剤の配合割合が相対的に少なすぎても多すぎても十分な退色防止効果が得られないので、可溶性卵殻膜の1重量部(乾物換算)に対し、水溶性抗酸化剤を好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.1〜10重量部である。
【0038】
また、抗退色性着色剤中におけるカロチノイド系色素に対する可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤との合計の配合割合は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤との合計量が相対的に少なすぎても十分な退色防止効果が得られず、過度に添加しても退色防止効果の飛躍的向上が望めず、しかも経済的ではない。従って、カロチノイド系色素1重量部に対し、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤との合計量が好ましくは0.1〜5000重量部、より好ましくは1〜2000重量部である。
【0039】
本発明の抗退色性着色剤は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とカロチノイド系色素と、更に必要に応じて添加される他の添加剤や賦形剤等を常法により均一に混合することにより製造することができる。
【0040】
本発明の抗退色性着色剤は、着色すべき種々の食品や医薬品等の製造時の配合成分の一つとして好ましく使用することができる。
【0041】
次に、本発明のカロチノイド系色素含有材料について説明する。
【0042】
本発明のカロチノイド系色素含有材料は、その中に含有されているカロチノイド系色素の退色を防止するために、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを含有することを特徴とする。可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とをカロチノイド系色素含有材料に含有させることにより、含有されているカロチノイド系色素の退色を防止して、カロチノイド系色素含有材料に優れた抗退色性を賦与することができる。従って、本発明のカロチノイド系色素含有材料が食品の場合、退色が原因で短い賞味期限を設定されていたものであっても、賞味期限を延長することが可能となる。
【0043】
なお、本発明のカロチノイド系色素含有材料は、前述したように、種々の食品や医薬品等を対象とすることができる。また、可溶性卵殻膜及び水溶性抗酸化剤は、本発明の退色防止剤で説明したものと同様のものを使用することができる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0045】
実施例1及び比較例1
まず、殻付き鶏卵を割卵して卵液を除いた後、残りの卵殻膜付きの卵殻を粉砕した。得られた粉砕物を清水中に入れて撹拌し、卵殻から分離して浮上してきた卵殻膜を採取し、遠心式脱水機で脱水し、湿潤した卵殻膜(固形分21重量%)を得た。
【0046】
得られた湿潤卵殻膜を熱風乾燥して乾燥卵殻膜を得た。
【0047】
得られた乾燥卵殻膜10kgに、1.5N塩酸100リットルを加え、90℃で8時間、加熱撹拌した。次いで、4N水酸化ナトリウム水溶液で中和し、濾過し、得られた濾液を電気透析法により脱塩した。この脱塩した濾液を噴霧乾燥することにより、粉末状の可溶性卵殻膜を得た。
【0048】
次に、得られた粉末状の可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤としてアスコルビン酸ナトリウムとを含む表1に示す配合成分を混合し加熱溶解し、その一部を分光光度計用ディスポセルに充填し、冷却することにより、カロチノイド系色素としてクチナシ黄色素を含有するゼリー菓子を製造した(実施例1)。これを25℃で蛍光灯照射下(600ルクス)で4日間保存し、保存前と後との442nm吸光度を測定することにより色素残存率を評価した。
【0049】
また、表1に示すように、可溶性卵殻膜を含有しない以外は実施例1と同様にしてゼリー菓子を製造し、同様に色素残存率を評価した(比較例1)。得られた結果を表1に示す。
【0050】
表1からわかるように、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを含有する実施例1の場合には色素残存率が76%であったが、可溶性卵殻膜を含有しない比較例1の場合には41%であった。
【0051】
【表1】
Figure 0003846054
【0052】
実施例2及び比較例2
実施例1と同様にして得られた湿潤卵殻膜(固形分21重量%)20kgに、1N塩酸50リットルを加え、90℃で15時間、加熱撹拌した。次いで、4N水酸化ナトリウム水溶液でpH5.5に調整し、フレーバーザイムMG(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)40gを添加し、55℃で4時間加温した後、pH7に調整し、更に、フレーバーザイムMG40gを添加し、50℃で4時間処理し、その後に90℃で30分間処理して酵素を失活させた。ついで、活性炭200gで脱色し、噴霧乾燥して粉末状の可溶性卵殻膜を得た。
【0053】
次に、得られた粉末状の可溶性卵殻膜1kgとエリソルビン酸0.5kgとを清水10kgに溶解させ、得られた溶液を噴霧乾燥することにより粉末状の退色防止剤を得た(実施例2)。
【0054】
得られた退色防止剤を含む表2の配合の飲料を製造し、透明ガラス瓶に充填し、密封し、これを25℃で蛍光灯照射下(600ルクス)で1ヶ月間保存し、保存前と後との450nm吸光度を測定することにより色素残存率を評価した。
【0055】
また、表2に示すように、退色防止剤を配合させず、エリソルビン酸を配合すること以外は実施例2と同様にして飲料を製造し、同様に色素残存率を評価した(比較例2)。得られた結果を表2に示す。
【0056】
表2からわかるように、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを構成成分とする退色防止剤を含有する実施例2の場合には色素残存率が97%であったが、可溶性卵殻膜を含有しない比較例2の場合には86%であった。
【0057】
【表2】
Figure 0003846054
【0058】
実施例3及び比較例3
実施例2と同様にして得られた粉末状の可溶性卵殻膜1kgとコーヒー酸1kgとニンジンカロチン色素(キャロットベースNB(ニンジンカロチン色素約1.6重量%含有製剤)、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)1kgとを清水10kgに溶解させ、得られた溶液を噴霧乾燥することにより、粉末状の着色剤1を得た。また、粉末状の可溶性卵殻膜を配合しないこと以外は、同様の操作で着色剤2を得た。
【0059】
得られたそれぞれの着色剤を含む表3の配合の実施例3及び比較例3の飲料を製造し、実施例2及び比較例2と同様に色素残存率を評価した。その結果を表3に示す。
【0060】
表3からわかるように、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを構成成分とする着色剤1を含有する実施例3の飲料の場合には色素残存率が98%であったが、可溶性卵殻膜を構成成分としない着色剤2を含有する比較例3の飲料の場合には64%であった。
【0061】
【表3】
Figure 0003846054
【0062】
実施例4及び比較例4
実施例1と同様にして得られた乾燥卵殻膜5kgに、2N水酸化ナトリウム水溶液100リットルを加え、70℃で3時間、加熱撹拌した。次いで、3N塩酸で中和し、電気透析法により脱塩した。得られた脱塩水溶液を凍結乾燥することにより粉末状の可溶性卵殻膜を得た。
【0063】
次に、得られた粉末状の可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤としてリンゴポリフェノールを含む表5の配合でケーシング詰め魚肉ソーセージを製造した。これを4℃で蛍光灯照射下(600ルクス)で1週間保存し、保存前と後との色を色差計(高速分光光度計CMS−35FSb、(株)村上色彩技術研究所)にて測定し、保存前後のL値、a値及びb値から下式に従ってΔEを算出した。得られた結果を表5に示す。
【0064】
表5からわかるように、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを構成成分とする退色防止剤を含有する実施例4の場合にはΔEが0.34であり、わずかの差しか認められないが、可溶性卵殻膜を含有しない比較例4の場合にはΔEが2.13であり、かなりの差が認められた。従って、実施例4の場合には退色がほとんど生じていないことがわかる。
【0065】
【数1】
ΔE=((L0−L12+(a0−a12+(b0−b121/2
(式中、L0は保存前のL値であり、L1は保存後のL値である。a0は保存前のa値であり、a1は保存後のa値である。b0は保存前のb値である。b1は保存後のb値である。)
【0066】
なお、保存前後におけるΔEの数値に対する評価は以下の表4の通りである。
【0067】
【表4】
Figure 0003846054
【0068】
【表5】
Figure 0003846054
【0069】
実施例5
実施例4において、可溶性卵殻膜(アルカリ加水分解物)に代えて実施例1の可溶性卵殻膜(酸加水分解物)を使用する以外は、実施例4と同様にケーシング詰め魚肉ソーセージを製造し、同様にΔEを算出し評価した。その結果、ΔEは0.18であり、保存前後で実施例4の場合よりも更に差が認められなかった。
【0070】
実施例6
本実施例は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤としてアスコルビン酸とからなる退色防止剤のクチナシ黄色素に対する退色防止効果について、表6に示すように、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤のそれぞれの単独の退色防止効果と比較した結果を示す例である。
【0071】
即ち、0.05M(モル濃度)酢酸緩衝液(pH4)に、クチナシ黄色素(サンエローNo.3、三栄源エフ・エフ・アイ(株)製)0.1重量%と表6に示した割合で可溶性卵殻膜(実施例1で調製したものと同じ酸加水分解物)及び/又はアスコルビン酸を添加し、得られた試料2〜7を透明なサンプル瓶に充填し、これを25℃で蛍光灯照射下(500ルクス)で保存した。
【0072】
なお、可溶性卵殻膜もアスコルビン酸も添加せずに0.05M(モル濃度)酢酸緩衝液(pH4)にクチナシ黄色素だけを添加し、暗所、4℃で保存したものを試料1とした。
【0073】
各試料について、クチナシ黄色素の可視部極大吸収波長である440nmの吸光度を、クチナシ黄色素を添加せずに同様に調製し、保存したものをブランクとして測定し、保存前に対する保存後の吸光度の百分率により、色素残存率を求めた。得られた結果を表6に示す。
【0074】
【表6】
Figure 0003846054
【0075】
表6からわかるように、退色防止のためにアスコルビン酸あるいは可溶性卵殻膜のみを添加した試料5、試料3及び試料4は、同一条件で保存した無添加の試料2よりも退色が進行していることがわかる
一方、アスコルビン酸と可溶性卵殻膜とを添加した試料6及び7は、同一条件で保存した無添加の試料2よりも退色が抑制されており、また、4℃で暗所で保存した試料1と同等もしくはそれ以上の退色防止効果を示した。
【0076】
実施例7
本実施例は、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤としてアスコルビン酸とからなる退色防止剤のβ−カロチン色素に対する退色防止効果について、表7に示すように、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤のそれぞれの単独の退色防止効果と比較した結果を示す例である。
【0077】
即ち、0.05M(モル濃度)リン酸−0.05Mクエン酸緩衝液(pH7)に、β−カロチン色素(水溶性β−カロチン液(飲料用)(β−カロチン色素約1重量%含有製剤)、三共(株)製)0.04重量%と表7に示した割合で可溶性卵殻膜(実施例1で調製したものと同じ酸加水分解物)及び/又はアスコルビン酸を添加し、得られた試料9〜14を透明なサンプル瓶に充填し、これを25℃で蛍光灯照射下(500ルクス)で保存した。
【0078】
なお、可溶性卵殻膜もアスコルビン酸も添加せずに0.05Mリン酸−0.05Mクエン酸緩衝液にβ−カロチン色素だけを添加し、暗所、4℃で保存したものを試料8とした。
【0079】
各試料について、β−カロチン色素の可視部極大吸収波長である455nmの吸光度を、β−カロチン色素を添加せずに同様に調製し、保存したものをブランクとして測定し、保存前に対する保存後の吸光度の百分率により、色素残存率を求めた。得られた結果を表7に示す。
【0080】
【表7】
Figure 0003846054
【0081】
表7からわかるように、退色防止のためにアスコルビン酸だけを添加した試料12は、同一条件で保存した無添加の試料9よりは退色が抑制されていたが、4℃暗所で保存されていた試料8よりは、退色が進行していた。また、退色防止のために可溶性卵殻膜のみを添加した試料10及び11は、同一条件で保存した無添加の試料9と、色素退色率の点でほぼ同等であり、退色防止効果がほとんど観察されなかった。
【0082】
一方、アスコルビン酸と可溶性卵殻膜とを添加した試料13及び14は、同一条件で保存したアスコルビン酸のみを添加した試料12よりも退色がより抑制されており、また、4℃で暗所で保存した試料8と同等であり、退色防止効果に優れていることがわかる。
【0083】
なお、可溶性卵殻膜1重量部に対するアスコルビン酸の量を0.01重量部未満とした場合、保存後の色素退色率は可溶性卵殻膜のみを添加した試料10及び11の場合と同程度であり、また、可溶性卵殻膜1重量部に対するアスコルビン酸を50重量部を超える量とした場合、保存後の色素退色率はアスコルビン酸のみを添加した試料12の場合と同程度であり、いずれも十分な効果が得られなかった。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、カロチノイド系色素を含有する食品、医薬品、化粧品、飼料、着色剤等のカロチノイド系色素含有材料の退色を効果的に防止することができる。

Claims (9)

  1. 可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを有効成分として含有することを特徴とする、カロチノイド系色素含有材料の退色防止剤。
  2. 可溶性卵殻膜が、鳥卵から採取した卵殻膜に加水分解処理を施して水に可溶な状態とした卵殻膜である請求項1記載のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤。
  3. 加水分解処理が、少なくとも酸による加水分解処理である請求項2記載のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤。
  4. 水溶性抗酸化剤が、アスコルビン酸もしくはその塩、エリソルビン酸もしくはその塩、没食子酸、コーヒー酸、エチレンジアミン四酢酸もしくはその塩又はポリフェノール類である請求項1〜3のいずれかに記載のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤。
  5. 可溶性卵殻膜の1重量部(乾物換算)に対し、水溶性抗酸化剤を0.01〜50重量部の割合で含有する請求項1〜4のいずれかに記載のカロチノイド系色素含有材料の退色防止剤。
  6. 可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とカロチノイド系色素とを含有することを特徴とする抗退色性着色剤。
  7. カロチノイド系色素含有材料中のカロチノイド系色素の退色を防止するために、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを含有することを特徴とするカロチノイド系色素含有材料。
  8. カロチノイド系色素含有材料の用途が食品である請求項7記載のカロチノイド系色素含有材料。
  9. カロチノイド系色素含有材料に、可溶性卵殻膜と水溶性抗酸化剤とを添加することを特徴とするカロチノイド系色素含有材料の退色防止方法。
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