JP3846047B2 - フルオレン骨格を有するポリウレタン及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フルオレン骨格を有するポリウレタンに関し、詳しくは低温領域において高強度、低収縮率を示し、低温用強度素材として好適なポリウレタン及びその製造方法に関する。
【0002】
本発明のポリウレタンは、低温流体(例えば、LNG〔液化天然ガス〕、液化窒素)の輸送部分又は貯蔵部分(具体的には、貯蔵容器、輸送配管用パッキン)、超伝導ケーブル、リニアモーターカー等の素材として有用である。
【0003】
【従来の技術】
ポリウレタンは、ポリエステルグリコール又はポリエーテルグリコールとジイソシアナートとの反応によって得られる。代表的なポリエステルグリコールとしてはエチレングリコール等とアジピン酸等から得られる分子量1500〜3000程度のポリエステルグリコールが用いられ、ジイソシアナートとしてはトリレンジイソシアナート〔TDI〕等が用いられる。
【0004】
ポリウレタンは、ポリエステルグリコール又はポリエーテルグリコールに過剰のジイソシアナートを反応させて分子の両末端にイソシアナート基を有する分子量の高いプレポリマーを合成し、更にジアミン、アミノアルコール、グリコール等を加えて鎖長を伸ばすとともに分子間橋かけ反応を行うことによって製造することもできる。
【0005】
ポリウレタンは、原料の種類、橋かけ条件等によって物性が異なるが、一般に、耐油性、耐磨耗性は優れており、かつフィルム形成能を有するものの、収縮率が比較的大きく、また、低温領域において脆く強度が低くくなるため、低温材料として好適なものはあまり知られていない。
【0006】
現在、あらゆる分野において低温条件下においても使用可能な材料への要望が高まっている。特にLNGの保存やパイプラインによる輸送の分野では、このような低温で使用可能な材料に対する要望が強い。
【0007】
高分子材料のシートやフィルムは室温付近において柔軟性を有するために、極めて多種多様な用途に使用されている。しかし、例えば、−100℃以下の低温領域においては、通常の高分子材料は極めて脆いものに変化するという問題があった。
【0008】
通常の高分子材料が低温において柔軟性を消失する理由は、低温領域では高分子材料のガラス転移温度以下になってしまうため、高分子材料の非晶領域における分子の運動が完全に停止するためと考えられる。
【0009】
高分子材料の低温における脆さが特に問題となるのは、シート状又はフィルム状に成形した場合である。例えば、通常の高分子材料をフィルム状に成形し、−100℃以下に冷却した場合、フィルムはガラスシートのように脆くなってしまう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、−100℃以下の低温領域でも高強度、低収縮率を有する強度材料として有用なポリウレタンを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の単量体を用いたポリウレタンが、低温領域でも高強度且つ低収縮率を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のポリウレタン及びその製造方法に係わるものである。
【0012】
1.(1)1種又は2種以上のポリイソシアナートと(2)9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン〔BPEF〕及び(3)式1:H-(-O-R-)m-OHで表される1種又は2種以上のジヒドロキシ化合物とを反応させることにより得られるポリウレタン。
【0013】
式1中、Rは炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレン基を示し、mは自然数(例えば2以上、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、通常は100以下、好ましくは80以下、更に好ましくは60以下、特に好ましくは50以下の自然数)を示す。
【0014】
2.(2)BPEFと(3)ジヒドロキシ化合物とのモル比が5:95〜95:5である項1に記載のポリウレタン。
【0015】
3.(1)ポリイソシアナートが式2:OCN-X-NCOで表される有機ジイソシアナートである項1又は2に記載のポリウレタン。
【0016】
式2中、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示す。
【0017】
4.式3で表される繰り返し単位及び式4で表される繰り返し単位を有するポリウレタン。
【0018】
式3及び式4中、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示し、Rは炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレン基を示し、mは自然数(例えば2以上、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、通常は100以下、好ましくは80以下、更に好ましくは60以下、特に好ましくは50以下の自然数)を示す。
【0019】
【化3】
【0020】
5.式3で表される繰り返し単位と式4で表される繰り返し単位とのモル分率が5:95〜95:5である項4に記載のポリウレタン。
【0021】
6.式5で表される構造を有するポリウレタンであって、Yが式6で表されるBPEF残基である繰り返し単位及びYが式7:-(-O-R-)m-O-で表されるアルキレンオキシド残基である繰り返し単位をそれぞれ少なくとも1個有するポリウレタン。
【0022】
式5中、nは重合度を示す2以上の整数を示し、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示し、YはBPEF残基又はアルキレンオキシド残基を示す。
【0023】
【化4】
【0024】
7.YがBPEF残基である繰り返し単位とYがアルキレンオキシド残基である繰り返し単位とのモル分率が5:95〜95:5である項6に記載のポリウレタン。
【0025】
8.Xがヘキサメチレン基である項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
【0026】
9.Xがトリレン基である項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
【0027】
10.Xがキシリレン基である項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
【0028】
11.Xがジフェニルメタン基である項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
【0029】
12.重量平均分子量が5000以上である項1〜11のいずれかに記載のポリウレタン。
【0030】
13.(1)1種又は2種以上のポリイソシアナートと(2)9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン及び(3)式1:H-(-O-R-)m-OHで表される1種又は2種以上のジヒドロキシ化合物とを反応させることを特徴とするポリウレタンの製造方法。
【0031】
式1中、Rは炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレン基を示し、mは自然数(例えば2以上、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、通常は100以下、好ましくは80以下、更に好ましくは60以下、特に好ましくは50以下の自然数)を示す。
【0032】
14.(1)ポリイソシアナートが式2:OCN-X-NCOで表される有機ジイソシアナートである項13に記載のポリウレタンの製造方法。
【0033】
式1中、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示す。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに説明する。
【0035】
ポリウレタン
〔A〕 本発明のポリウレタンは、例えば、式3で表される繰り返し単位及び式4で表される繰り返し単位を有する。好ましい実施の形態では、式3で表される繰り返し単位と式4で表される繰り返し単位とのモル分率が5:95〜95:5の範囲内にある。
【0036】
本発明のポリウレタンは、式3又は式4で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有することがでる。式3又は式4で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位の割合は、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
【0037】
〔B〕 本発明のポリウレタンは、例えば、式5で表される構造を有する。式5中、nは重合度を示す2以上の整数であり、例えば5以上、更には10以上、特には20以上で、通常は100以下、更には90以下、特には80以下の整数を示す。
【0038】
式5中、Yは式6で表されるBPEF残基又は式7:-(-O-R-)m-O-で表されるアルキレンオキシド残基を示す。本発明のポリウレタンは、YがBPEF残基である繰り返し単位及びYがアルキレンオキシド残基である繰り返し単位をそれぞれ少なくとも1個有する。
【0039】
好ましい実施の形態では、YがBPEF残基である繰り返し単位とYがアルキレンオキシド残基である繰り返し単位とのモル分率が5:95〜95:5の範囲内にある。本発明のポリウレタンは、式5で表される構造に含まれる繰り返し単位以外の繰り返し単位を有することができる。式5で表される構造に含まれる繰り返し単位以外の繰り返し単位の割合は、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
【0040】
〔C〕 式3及び式4又は式5中、Xは2価の有機基であり、例えば、脂肪族炭化水素残基、脂環式炭化水素残基、芳香族炭化水素残基を示す。
【0041】
脂肪族炭化水素残基としては、直鎖の又は分岐を有するアルキレン基(例えば炭素数1〜20、好ましくは3〜10のアルキレン基)がある。
【0042】
脂環式炭化水素残基としては、例えば、1個又は2個以上の;アルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)を有することができるシクロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基、デカリン基等);1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をシクロヘキシレン基上又はメチレン基上に有することができるジシクロヘキシルメタン基;1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をシクロヘキシレン基上又はメチレン基上に有することができる水素化キシリレン基がある。
【0043】
芳香族炭化水素残基としては、例えば、1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)を有することができるフェニレン基(例えばフェニレン基、トリレン基);1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をフェニレン基上又はメチレン基上に有することができるキシリレン基;1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をフェニレン基上又はメチレン基上に有することができるジフェニルメタン基;1個又は2個以上のアルキル基(例えば、炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)を有することができるナフタレン基がある。
【0044】
式4又は式7中、Rは炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレン基を示す。
【0045】
本発明のポリウレタンは、例えば、重量平均分子量が10000以上、好ましくは20000以上、より好ましくは40000以上、通常は400000以下、更には300000以下、特には200000以下の範囲にある。重量平均分子量が高すぎるとフィルム形成能が低下する傾向がある。本発明のポリウレタンは、例えば、シート又はフィルムに成形して使用することができる。
【0046】
本発明のポリウレタンは、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、充填剤等の添加剤を配合した樹脂組成物として使用することができる。
【0047】
ポリウレタンの製造
本発明のポリウレタンは、各成分を溶融状態で反応させるバルク重合法、単独又は混合溶剤中で反応させる溶液重合法等のよく知られた方法によって製造することができる。
【0048】
本発明のポリウレタンは(1)1種又は2種以上のポリイソシアナート(例えば、式2で表される有機ジイソシアナート)と(2)BPEF及び(3)式1で表されるジヒドロキシ化合物とを反応(ウレタン重合)させることにより製造することができる。
【0049】
(1)ポリイソシアナートとして、例えば、式2で表される有機ジイソシアナートを使用する場合には、等モル程度の(1)ポリイソシアナートと(2)BPEF及び(3)ジヒドロキシ化合物(合計量)とを反応させることにより、本発明のポリウレタンを効率よく製造することができる。
【0050】
(2)BPEFと(3)ジヒドロキシ化合物との使用割合(モル比)は、例えば、5:95〜95:5とすることができる。
【0051】
(1)ポリイソシアナートと(2)BPEF及び(3)ジヒドロキシ化合物とは、溶媒の存在下又は不存在下において、必要に応じて撹拌しながら、温度50℃以上、好ましくは60℃以上、更に好ましくは70℃以上で、通常は200℃以下、好ましくは160℃以下において、0.5時間以上、好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上、通常は48時間以下、好ましくは36時間以下、更に好ましくは24時間以下加熱することにより、ウレタン重合させることができる。
【0052】
溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0053】
(1)ポリイソシアナート
ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、ポリウレタンの製造に従来から使用さえているポリイソシアネートをいずれも使用することができる。
【0054】
ポリイソシアナートとしては、特に限定されるものではないが、式2:OCN-X-NCOで表される有機ジイソシアナートを使用することができる。
【0055】
式2中、Xは2価の有機基であり、例えば、脂肪族炭化水素残基、脂環式炭化水素残基、芳香族炭化水素残基を示す。
【0056】
脂肪族炭化水素残基としては、直鎖の又は分岐を有するアルキレン基(例えば炭素数1〜20、好ましくは3〜10のアルキレン基)がある。
【0057】
脂環式炭化水素残基としては、例えば、1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)を有することができるシクロアルキレン基;1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をへキシレン基上又はメチレン基上に有することができるジシクロヘキシルメタン基;1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をへキシレン基上又はメチレン基上に有することができる水素化キシリレン基がある。
【0058】
芳香族炭化水素残基としては、例えば、1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)を有することができるフェニレン基(例えばフェニレン基、トリレン基);1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)をフェニレン基上又はメチレン基上に有することができるジフェニルメタン基;1個又は2個以上のアルキル基(例えば炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基)を有することができるナフタレン基がある。
【0059】
ジイソシアナートとしては、特に限定されるものではないが、例えば、直鎖又は分岐の脂肪族ジイソシアナート、脂環族ジイソシアナート、芳香族ジイソシアナート等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0060】
脂肪族ジイソシアナートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、テトラメチレンジイソシアナート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアナート等を使用することができる。
【0061】
脂環族ジイソシアナートとしては、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化キシリレンジイソシアナート等を使用することができる。
【0062】
芳香族ジイソシアナートとしては、トリレンジイソシアナート(TDI)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、3,3'-メチレンジトリレン-4,4'-ジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート(例えば、1,5-ナフタレンジイソシアナート)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、フェニレンジイソシアナート、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート等を使用することができる。
【0063】
(2)BPEF
BPEFは、剛直なフルオレン環と2つのベンゼン環を有することにより、フルオレン環の平面とベンゼン環の平面とが互いに直交する立体配座に起因する低温脆性抑制効果を付与する単量体として極めて有効なものである。
【0064】
BPEFは、例えば、フルオレンとフェノキシエタノールとを反応させることによって製造することができる。フルオレンとフェノキシエタノールとは、例えば、硫酸及びチオールを触媒として使用することにより反応させることができる。
【0065】
(3)ジヒドロキシ化合物
ジヒドロキシ化合物としては、炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレングリコール(例えば、1,2-エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール)、炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレングリコールの脱水縮合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)等を使用することができる。
【0066】
アルキレングリコールの脱水縮合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)としては、例えば、数平均分子量が200以上、好ましくは500以上、更に好ましくは800以上、通常は5000以下、更には4000以下、特には3000以下の縮合体を使用することができる。
【0067】
ジヒドロキシ化合物としては、例えば、式1:H-(-O-R-)m-OHで表される1種又は2種以上のジヒドロキシ化合物を使用することができる。式1中、Rは炭素数1〜3(好ましくは2又は3)のアルキレン基を示し、mは自然数(例えば2以上、好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、通常は100以下、好ましくは80以下、更に好ましくは60以下、特に好ましくは50以下の自然数)を示す。
【0068】
【発明の効果】
本発明のポリウレタンは、低温領域(例えば−100℃以下)においても高強度及び低収縮率を示すので、低温用素材、例えば、低温流体(例えば、LNG、液体窒素)の輸送用材料又は貯蔵用材料(例えば、輸送配管用パッキン、貯蔵容器)、超伝導ケーブル、リニアモーターカー等の素材として有用である。
【0069】
【実施例】
【0070】
【ポリウレタンの製造】
実施例1(BPEF - MDI - PEG)
窒素雰囲気下の2L丸底フラスコにBPEF87.6g(0.2mol)とポリエチレングリコール(分子量1000)200g(0.2mol)を仕込み、撹拌しながら130℃に加温した。この状態でMDI101.2g(0.4mol)を滴下漏斗により滴下して撹拌を行った。均一にした後、130℃で4時間反応を行った。反応混合物を室温まで冷却した後、得られた粗生成物を5Lのヘキサンで3回洗浄し、精製した。
【0071】
生成物は赤外分光分析(IR)によりウレタンの生成を確認した。結果を以下に示す(単位は波数cm-1)。
【0072】
750.7(フルオレン骨格CH面外変角振動)、824.6(パラ置換ベンゼンCH面外変角振動)、1074.0(脂肪族エーテルC-O-C伸縮)、1219.8(芳香族C-O-C伸縮)、1534.6、1602.2(ベンゼン環)、1726.9(ウレタンC=O伸縮)、2870.3(脂肪族炭化水素)、3295.8(ウレタンN-H伸縮)。
【0073】
得られたポリウレタンのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は120000、分散度は2.91であり、示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移点は−7.0℃であった。
【0074】
実施例2(BPEF - TDI - PEG)
窒素雰囲気下の2L丸底フラスコにBPEF87.6g(0.2mol)とポリエチレングリコール(分子量1000)200g(0.2mol)を仕込み、撹拌しながら120℃に加温した。この状態でTDI69.6g(0.4mol)を滴下漏斗により滴下して撹拌を行った。均一にした後、120℃で10時間反応を行った。反応混合物を室温まで冷却した後、得られた粗生成物を5Lのヘキサンで3回洗浄し、ポリウレタンを得た。
【0075】
得られたポリウレタンのGPCにより測定した重量平均分子量は93000、分散度は2.61であり、DSCにより測定したガラス転移点は−2.3℃であった。
【0076】
実施例3(BPEF - XDI - PPG)
窒素雰囲気下の2L丸底フラスコにBPEF87.6g(0.2mol)とポリプロピレングリコール(分子量1000)200g(0.2mol)を仕込み、撹拌しながら160℃に加温した。この状態でXDI75.2g(0.4mol)を滴下漏斗により滴下して撹拌を行った。均一にした後、160℃で0.5時間反応を行った。反応混合物を室温まで冷却した後、得られた粗生成物を5Lのヘキサンで3回洗浄し、ポリウレタンを得た。
【0077】
得られたポリウレタンのGPCにより測定した重量平均分子量は52000、分散度は2.24であり、DSCにより測定したガラス転移点は16.9℃であった。
【0078】
実施例4(BPEF - HDI - PEG)
窒素雰囲気下の2L丸底フラスコにBPEF87.6g(0.2mol)とポリエチレングリコール(分子量2000)400g(0.2mol)を仕込み、撹拌しながら130℃に加温した。この状態でHDI67.2g(0.4mol)を滴下漏斗により滴下して撹拌を行った。均一にした後、130℃で3時間反応を行った。反応混合物を室温まで冷却した後、得られた粗生成物を5Lのヘキサンで3回洗浄し、ポリウレタンを得た。
【0079】
得られたポリウレタンのGPCにより測定した重量平均分子量は100000、分散度は2.76であり、DSCにより測定したガラス転移点は1.1℃であった。
【0080】
【低温強度の測定】
実施例1〜4で合成したポリウレタンのシャルピー衝撃強度(JIS7111に準拠)を−150℃で測定した。
【0081】
比較例としてBPEFを使用していないポリウレタン(ポリプロピレングリコールとMDIからなるポリウレタン)の測定結果を示す。
【0082】
【表1】
【0083】
【低温収縮率の測定】
実施例1〜4で合成したポリウレタンの収縮率(JIS7197に準拠)を圧縮荷重法により−150℃〜+30℃で測定した。比較例としてBPEFを使用していないポリウレタン(ポリプロピレングリコールとMDIからなるポリウレタン)の測定結果を示す。
【0084】
【表2】
Claims (14)
- (1)1種又は2種以上のポリイソシアナートと(2)9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン及び(3)式1:H-(-O-R-)m-OHで表される1種又は2種以上のジヒドロキシ化合物とを反応させることにより得られるポリウレタン〔式1中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、mは自然数を示す〕。
- (2)9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンと(3)ジヒドロキシ化合物とのモル比が5:95〜95:5である請求項1に記載のポリウレタン。
- (1)ポリイソシアナートが式2:OCN-X-NCOで表される有機ジイソシアナートである請求項1又は2に記載のポリウレタン〔式2中、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示す〕。
- 式3で表される繰り返し単位と式4で表される繰り返し単位とのモル分率が5:95〜95:5である請求項4に記載のポリウレタン。
- 式5で表される構造を有するポリウレタン〔式5中、nは重合度を示す2以上の整数を示し、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示し、Yは式6で表されるBPEF残基又は式7:-(-O-R-)m-O-で表されるアルキレンオキシド残基を示す〕であって、YがBPEF残基である繰り返し単位及びYがアルキレンオキシド残基である繰り返し単位をそれぞれ少なくとも1個有するポリウレタン〔式7中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、mは自然数を示す〕。
- YがBPEF残基である繰り返し単位とYがアルキレンオキシド残基である繰り返し単位とのモル分率が5:95〜95:5である請求項6に記載のポリウレタン。
- Xがヘキサメチレン基である請求項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
- Xがトリレン基である請求項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
- Xがキシリレン基である請求項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
- Xがジフェニルメタン基である請求項3〜7のいずれかに記載のポリウレタン。
- 重量平均分子量が5000以上である請求項1〜11のいずれかに記載のポリウレタン。
- (1)1種又は2種以上のポリイソシアナートと(2)9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン及び(3)式1:H-(-O-R-)m-OHで表される1種又は2種以上のジヒドロキシ化合物とを反応させることを特徴とするポリウレタンの製造方法〔式1中、Rは炭素数1〜3のアルキレン基を示し、mは自然数を示す〕。
- (1)ポリイソシアナートが式2:OCN-X-NCOで表される有機ジイソシアナートである請求項13に記載のポリウレタンの製造方法〔式2中、Xはアルキレン基、アルキル基を有することができるシクロアルキレン基、アルキル基を有することができるジシクロヘキシルメタン基、アルキル基を有することができる水素化キシリレン基、アルキル基を有することができるフェニレン基、アルキル基を有することができるキシリレン基、アルキル基を有することができるジフェニルメタン基又はアルキル基を有することができるナフタレン基を示す〕。
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