JP3845931B2 - 時限放出制御型被覆農薬粒剤 - Google Patents

時限放出制御型被覆農薬粒剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨潤力が1〜30mL/2gである農薬粒剤の表面が、熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜材料で被覆されている時限放出制御型被覆農薬粒剤とその放出期間制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
就農人口が減少且つ高齢化している近年の農業環境において、作物の栽培管理における省力化は焦眉の急と云われて久しい。栽培管理において最も重要な作業の一つである防除は、対象が病害虫のものと雑草のものとに大別できるが、栽培期間を通じてその対象病害・雑草に適合する農薬を適時に散布・施用する必要があり、数回にわたる散布・施用によって防除体系を形成している。農薬散布はその回数と薬剤の種類が多いため多くの労力を必要としており、例えば水稲の場合、播種発芽期に種子消毒に用いる薬剤、苗立枯病用の薬剤、育苗〜幼穂形成期〜穂揃期にかけてのイモチ病、ヨコバイ・ウンカ類、紋枯病、カメムシ等があり、雑草に対してはヒエ用、広葉雑草用等の除草剤をそれぞれ散布・施用を行っている。このように防除作業の種類と回数は非常に多く、省力化栽培体系構築の障害となっている。
【0003】
このような現状から本発明者らは、栽培期間中に行っていた数回にわたる各種農薬の散布・施用を、ただ一度、それも播種時若しくは苗の移植時の散布・施用で済ませる防除法が薬剤を用いる場合の理想の省力化防除法であると考えた。その実現のためには種類の異なる農薬がそれぞれ必要な時期までは放出されず、適切な時期が来た時点で始めて農薬成分を放出し、更に必要な期間放出が持続する機能を有する農薬粒剤が必要である。云い方を変えれば、施用後一定期間農薬成分を放出しない期間と、一定期間経過の後に農薬成分の放出を開始する機能、云うなれば時限放出制御機能を有する農薬粒剤が必要である。
【0004】
これまで農薬の徐放化は農薬を造粒し農薬粒剤とすることが行われてきた。農薬粒剤を製造する方法としては、一般的に、(1)鉱物質微粉に農薬活性成分、バインダーおよび必要に応じて各種の補助剤を加え、水で練り合わせ細孔より押し出し、乾燥して造粒する押出造粒法、(2)鉱物質等よりなる無活性粒体に対し、液体状の農薬活性成分を含浸させる含浸法、(3)鉱物質等よりなる無活性粒体の表面に、農薬活性成分をバインダーで付着させる被覆法の3種類の製造法が知られており、利用分野によって上記の方法が適宜選択されている。しかしながら、これらの農薬粒剤は短時間で農薬活性成分が溶出してしまう。このような放出制御機能では施用時における薬害発生により前述のような理想の省力化防除法の確立は不可能である。
【0005】
また近年、農薬粒剤を樹脂を有効成分とする被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤が各種提案されている。この被覆農薬粒剤としては特公昭64−5002号に開示の熱可塑性樹脂で水溶性又は蒸散性の農薬活性成分からなる粒子を被覆した被覆農薬粒剤や、特開昭54−89034号に開示のポリスチレン、5%に至るまでの単量体を含有するスチレン共重合体、ポリスチレン/ポリエステル、エチレン/酢酸ビニル共重合体および尿素/ホルムアルデヒド樹脂の中から選ばれた樹脂の被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤が挙げられるが、これら被覆農薬粒剤の溶出機能は何れも施用直後から放出を開始するものであり、これら先行文献に開示の被覆農薬粒剤を用いても、やはり施用時の薬害が発生するため前述の理想の省力化防除法の実現は不可能である。
【0006】
一方、時限放出制御機能を有する被覆農薬粒剤としては、特開平6−9303号に開示の高吸水膨潤性物質層とオレフィン系重合体層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤や、特開平6−9304号に開示のアルカリ物質層とオレフィン系樹脂およびアルカリ水可溶性重合体との混合物層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤や、特開平6−72805号に開示のアルカリ物質層と縮合系重合体およびアルカリ水可溶性重合体との混合物層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤や、特開平6−80514号に開示の高吸水膨潤性物質層と縮合系重合体層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆粒状農薬粒剤や、更には特開平5−163091号に開示のガラス転移温度の異なる複数の高分子ラテックス層からなる多層被膜で農薬粒剤を被覆した被覆農薬粒剤等が知られている。しかしながら、これら多層被覆によって被膜が形成されているものは、単層被膜で被覆する場合と比べて多くの製造工程を必要とするため明らかにコスト高であった。例え高度な時限放出制御機能の実現とそれによる防除の省力化が達成されたとしても、価格が高く経済的負担が大きくなるような資材であっては実用化は難しい。従って、該時限農薬の実用化においては比較的安価で、施用後一定期間農薬成分を放出しない期間と、一定期間経過後放出をする期間の任意の制御が可能な時限放出制御機能を有する農薬粒剤が多くの農業従事者から切望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上述のように容易且つ低コストで製造が可能であり、前述の理想の省力化防除法を可能ならしめる被覆農薬粒剤を開発すべく鋭意研究を行った。その結果、吸水時の膨潤力が1〜30mL/2gである農薬粒剤を熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜で被覆した時限放出型被覆農薬粒剤であれば、容易且つ単純な被覆方法で被覆可能な単層被膜であっても、圃場に施用後一定期間農薬成分を放出しない期間と一定期間経過後農薬成分を放出する期間とを有し、更に該放出抑制期間と成分放出期間のそれぞれを任意に且つ独立に制御することが可能であることを知見し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の(1)ないし(7)から構成される。
(1)吸水時の膨潤力が1〜30ml/2gである農薬粒剤を、熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜材料で単層被覆した時限放出型被覆農薬粒剤。
(2)農薬粒剤が少なくとも1種以上の農薬活性成分と少なくとも1種以上の水膨潤性物質とからなることを特徴とする前記第1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
(3)水膨潤性物質がモンモリロナイトを主体とする粘土鉱物であることを特徴とする前記第2項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
(4)熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂であることを特徴とする前記第1項〜第3こうの何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
(5)被膜材料中のエチレン・酢酸ビニル共重合体の含有量が15重量%以下であることを特徴とする前記第1項〜第4項の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
(6)水不溶性および/または水難溶性粉体を被膜に分散させることを特徴とする前記第1項〜第5項の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
(7)流動状態にある、吸水時の膨潤力が1〜30ml/2gである農薬粒剤に対し、熱可塑性樹脂を主成分とする被膜材料が溶媒により溶解された混合溶解液を噴霧する一方、高速熱風流により、該農薬粒剤表面の溶媒を除去乾燥し、該農薬粒剤の表面に被膜材料を被覆する、前記第1項〜第5項の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤の製造方法。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で云うところの「時限放出」とは圃場に施用後一定期間放出が抑制され、一定期間経過後速やかに放出する性能を意味する。時限放出型被覆農薬粒剤は、圃場に施用後一定期間放出が抑制される期間(以下放出抑制期間と記載する)と放出開始から終了までの期間(以下成分放出期間と記載する)とからなる。本発明の圃場に施用後一定期間放出が抑制される抑制期間と一定期間経過後速やかに放出を行う放出期間とからなる放出パターンを示す時限放出制御型被覆農薬粒剤とは、具体的には圃場に施用後からカプセル内農薬活性成分の20重量%の農薬活性成分が放出されるまでの放出抑制期間と、20重量%から80重量%までの成分放出期間とを有し、放出抑制期間/成分放出期間の比率が0.1以上である放出パターンの農薬粒剤と規定することができる。
【0010】
本発明の時限放出制御型被覆農薬粒剤は、吸水時の膨潤力が1〜30mL/2gである農薬粒剤(以下芯材と記載する)を熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜材料で被覆したものである。
該被覆農薬粒剤における農薬成分の放出機構は現在のところ不明であるが、本発明者らは以下のように推測している。先ず被膜外部に存在する水蒸気が被膜内部に浸透・凝結し、この凝結水によって芯材が膨潤を始める。この芯材の膨潤力により被膜に膜の限界を超える内部応力がかかり被膜に亀裂が発生する。この被膜に生じた亀裂から急激に水が浸入することにより被膜が速やかに破壊する。この被膜の崩壊によって被膜内部の農薬成分を外部に放出させることができると考えている。つまり、この水蒸気の浸透開始から被膜の崩壊が始まるまでの期間が放出抑制期間に相当し、崩壊開始後全ての粒子の崩壊が終了するまでの期間が成分放出期間に相当すると考えられる。
【0011】
本発明においてこのような時限放出制御機能を実現するためには、核となる芯材を熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜材料で完全に被覆し、水蒸気は透過させるが水は通過させない被覆にすることが必要である。つまり、ピンホールや亀裂の無い被膜を形成することが必須である。
被膜にピンホールや亀裂のある被覆農薬粒材においては、水田等の圃場に施用した場合、施用直後からこのピンホールや亀裂から急激に水が被膜内に浸入するため、その放出機能は放出抑制期間の無いものになってしまう。つまり、被膜にピンホールや亀裂があると、本発明で云うところの時限放出制御機能は実現不可能となる。
従って、長い放出抑制期間が必要な場合には、該芯材の表面に透湿性の小さい被膜材料を被覆することが有効である。透湿性の小さい被膜材料を被覆することにより、外部に存在する水蒸気を徐々に時間をかけて被膜内部の芯材にまで浸透させることができる。一方、成分放出期間を変動させる主要な要因は芯材の膨潤力であり、被膜強度が一定であれば芯材の膨潤力が大きいほど成分放出期間が短くなり、芯材の膨潤力が小さいほど成分放出期間が長くなる傾向にある。このように時限放出制御機能、つまり放出抑制期間及び成分放出期間の調節は、芯材の膨潤力、被膜材料の透湿性及び被膜強度等の要因によって決定され一義的に決定されるものではない。
【0012】
芯材の膨潤力の調節方法は特に限定されるものではないが、芯材に用いる水膨潤性物質の種類及び含有率の選択によって調節することができる。
本発明の水膨潤性物質とは吸水してその体積が大きくなるあらゆる物質のことであり、本発明においては特に限定されるものではないが、具体的にはモンモリロナイトを主体とする粘土鉱物、澱粉、吸水性高分子等が挙げられる。
【0013】
これらの中では、費用と製造等の面からみてモンモリロナイトを主体とする粘土鉱物が最も好ましい。
本発明のモンモリロナイトとは、その構造が1枚のアルミナ八面体シートを2枚の珪酸四面体シートで挟み込んだサンドウィッチ状の三層構造(2:1型)を有し、この八面体シートの3価のアルミニウムが、それよりも原子価の低いマグネシウムや鉄で一部置換された結晶格子からなっている。粘土鉱物モンモリロナイトを主成分とするスメクタイト粘土の代表的なものとしてベントナイトが挙げられ、各種粘土の中でも最も微粒子であり且つ活性度が高いことから、本発明の水膨潤性物質として最も好ましい物質である。
ベントナイトは、膨張型結晶格子を持つ粘土鉱物を主成分とし、石英、長石、クリストバライト、ふっ石、雲母及び土類金属炭酸塩、硫酸塩などを随伴する粘土鉱物の名称であり、膨潤性粘土鉱物であるスメクタイトを主成分とする鉱床粘土である。
ベントナイトには、ナトリウムイオンに富み、多量の水を吸収して高い膨潤性を示すナトリウム系ベントナイト、カルシウムイオンとマグネシウムイオンに富んだ膨潤性の低いカルシウム系ベントナイト、ソーダ処理により膨潤活性を人工的に付与した活性化ベントナイトの3種がある。ベントナイトの膨潤力はモンモリロナイト含有率によって増減し、また、産地、製品により性質、品質が異なっており、さらには、粒径によって膨潤度が異なっていたりするので、特性を考慮し適宜選択し使用する必要がある。
【0014】
澱粉としては、コーンスターチ、バレイショ澱粉の他、酸化澱粉、α化澱粉、無機酸や脂肪酸エステル澱粉およびアルキルやヒドロアルキルエーテル澱粉等の加工澱粉や澱粉誘導体を用いることができる。エステル型の澱粉には、酢酸澱粉、リン酸澱粉、硝酸澱粉、コハク酸澱粉、キサントゲン酸澱粉等を例示することができ、エーテル型の澱粉としては、カルボキシメチル澱粉、メチル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、アリルエーテル澱粉、カチオン澱粉等を例示することができるが、これらに限るものではない。
【0015】
吸水性高分子としては、水を吸って体積膨張する物質であり、天然高分子としては澱粉、セルロ−ス、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲンやその他タンパク質を例示することができ、合成高分子としてはポリビニルアルコ−ル系重合体、アクリル系重合体、その他の無水マレイン酸系重合体、ビニルピロリドン系重合体、ポリエーテル系重合体、縮合系ポリマー等を例示することができるがこれらに限定されるものではない。
【0016】
本発明で云うところの「吸水時の膨潤力」は以下の方法で測定した値である。それは、芯材2gを25℃の精製水100mLを入れた共栓付きメスシリンダー(100mL)に該芯材が内壁に付着しないように加え、スムーズにシリンダー底に沈着するようにする。全量加え終わったら栓をして24時間静置後、メスシリンダーの底部に堆積した容積を読みとり膨潤力(mL/2g)とする。芯材としての試料は原料粉体でも造粒物でも良いが、何れの場合でも乾燥したものを試験に用いる。
【0017】
吸水時の膨潤力が小さすぎると成分放出期間の長いものとなる反面、被膜にかかる内部応力が小さくなり、その膨潤力で亀裂を生じさせることの出来る被膜は膜強度の小さいものとならざるを得ない。膜強度の小さい被膜にすると製造、保管、運搬、使用時に被膜が損傷する確率が高くなり、品質の維持が困難になるので好ましくない。反対に吸水時の膨潤力が大きすぎる場合には、被膜を厚くする、若しくは被膜内の樹脂成分の比率を上げるなどして被膜強度を上げないと実質的な成分放出期間が得られない。芯材粒子への樹脂溶液の噴霧乾燥を行う場合には、樹脂成分が高くなると被覆操作にかかる時間が長くなり、更に被膜が厚くなると結果的にコスト高となり好ましくない。
以上のような理由から、本発明における芯材の吸水時の膨潤力は、好ましくは1〜30(mL/2g)であり、更に好ましくは5〜20(mL/2g)である。
【0018】
本発明の時限放出制御型被覆農薬粒剤は、農薬活性成分の累積放出率が20から80%に至るまでの成分放出期間を1〜120日の範囲で制御したものである。この成分放出期間の制御を行うには、被膜強度に応じて適切な膨潤力を有する芯材を選択すればよく、被膜強度が一定であれば膨潤力が大きいほど放出開始後の期間が短時間で完了し、小さいほど長期にわたって持続的に放出制御できる。速効性が求められる用途においては膨潤力を大きめにし、ある一定濃度を持続的に保つには膨潤力を小さくするとよい。
【0019】
本発明では、農薬活性成分と水膨潤性物質の他に、芯材にあらゆる補助成分、例えば、造粒助剤(モンモリロナイトを主体としない粘土鉱物含む)、結合剤、界面活性剤、薬害軽減剤等を使用することができる。
本発明の芯材に用いられる造粒助剤としては公知の物質を使用することができ、鉱物質担体、植物性担体、消石灰、尿素、硫安、塩安、化成肥料、プラスチック発泡体等を添加混合することができる。例えば、鉱物質担体とはクレ−、カオリン、セリサイト、タルク、酸性白土、軽石、珪砂、珪石、炭酸カルシウム、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト等であり、植物性担体とはモミガラ、オガクズ、木質粉、パルプフロック、大豆粉、トウモロコシ茎等である。
また、芯材に用いられる結合剤としては公知物質を用いることができ、例えば、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、リグニンスルホン酸塩類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、界面活性剤類、流動パラフィン等を使用することができる。
【0020】
一方の時限放出機能制御因子である被膜材料の透湿性及び被膜強度は、主として該材料の構成成分と被膜の厚みに依存している。厚みの均一性が高く、透湿性の小さい被膜材料を用い、被膜を厚くすることにより、確実に放出抑制期間を延ばすことができる。限界強度が高すぎると亀裂が起こり難くなる。また、被膜が厚すぎると被膜材料の量が増し、更に相対的に農薬成分の含有率が低くなるためコスト高となり好ましくない。
【0021】
被膜の膜厚は要求する放出機能や用いる樹脂の種類及び組成によって異なり、更に粒子径によっても異なる。粒子径は特に限定されるものではないが、被覆のし易さや使用時のハンドリングのし易さなどの点から0.1〜10mmの範囲であることが望ましく、この範囲であれば、放出機能や被膜組成によって異なり一概には云えないものの、膜厚は1〜100μmの範囲であることが望ましい。
【0022】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・一酸化炭素共重合体、ポリブテン、ブテン・エチレン共重合体、ブテン・プロピレン共重合体、ポリスチレン等のオレフィン重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタアクリル酸エステル共重合体等のオレフィン系樹脂、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合体等の塩化ビニリデン系樹脂、ブタジエン重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、ブタジエン・スチレン共重合体、EPDM重合体、スチレン・イソプレン共重合体等のジエン系樹脂、密ロウ、木ロウ、パラフィン等のワックス類、天然ゴム、ロジン等の天然樹脂、硬化物、固形脂肪酸および金属塩等の油脂及びその変性物、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の高分子、脂肪族ポリエステル等を挙げることができる。この中でも好ましくは透湿性の小さなオレフィン系樹脂である。
【0023】
但し、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体及びジエン系重合体のようなゴム状物質は、被膜材料に亀裂が生じるまでの時間の調節に有効であるが、これらの重合体が被膜材料中に多量に存在すると、放出抑制期間が極端に短くなったり、亀裂が生じなくなる恐れがあるため、これらの重合体の被膜材料中の配合量は、20重量%未満であることが好ましく、特にエチレン・酢酸ビニル共重合体の場合には15重量%以下であることが好ましい。
【0024】
本発明では、被膜中に水不溶性または水難溶性粉体を分散させても良い。これらの一例として、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、白雲母、金雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化物、珪酸質、ガラス及びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、澱粉等が挙げられる。好ましくは平板状の微粉体であり、タルク、白雲母、セリタイト等が代表例である。これらの形状は薄片状のものであるが、より具体的には粒径/厚みは2以上であり、さらに好ましくは10以上である。
水不溶性又は難溶性無機粉体微粉体の粒径は、上記の形状であれば特に制限はないが、その目安としては0.5μm以上50μm以下であり、好ましくは20μm以下である。これら粒径に関しては、被膜の中に完全に包含されていれば、特に粒径の制限を受けるものではなく、被膜の厚み等を考慮して選択し、被膜中に均一に分布していれば完全被覆の上で好ましい。添加量は特に制限はないが被膜材料組成物中の含有率で5重量%以上95重量%以下、好ましくは50重量%以上90重量%以下であるとよい。
該微粉体の添加量の増減により被膜材料の主成分である熱可塑性樹脂を節約できることからコスト的に有利である。
【0025】
上記の他に被膜中には熱可塑性樹脂に由来する性能を著しく損なわない範囲であらゆる物質を添加することができるが、特に、界面活性剤は、被膜材料の透湿性を向上させることができるので、透湿性の調整剤として有効である。
【0026】
本発明品は芯材表面を被覆した形態のものであるため供用する農薬活性成分の担持形態は好ましくは球状の粒剤である。これら造粒方法は公知方法に準じて行うことができるが、押し出し造粒法が最も簡易である。
【0027】
本発明で用いられる農薬活性成分としては、特に制限はないが、主として殺虫、殺菌、除草および植物成長調整のほか殺ダニ、殺線虫等の作用を有するものである。さらに、これらには忌避剤や誘引剤も含まれ、これらであればその種類に制限なく適用できる。好ましくは常温で固体の粉状であることが望ましいが常温で液体であっても良い。また、本発明においては用いる農薬成分が水溶性であっても、水難溶性であっても、水不溶性のものであっても用いることができ、特に限定されるものではない。本発明に利用できる農薬活性成分としてはその具体例を下記に挙げるがこれらはあくまでも例示であり限定されるものではない。
【0028】
例えば、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン、O,O−ジエチル−S−2−(エチルチオ)エチルホスホロジチオエート、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート、5−ジメチルアミノ −1,2,3−トリチアンシュウ酸塩、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート、エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート、1−ナフチル−N−メチルカーバメート、2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール、1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸のナトリウム塩またはジメチルアミン塩、エチルエステル。2−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸のナトリウム塩またはエチル、ブチルエステル。2−メチル−4−クロロフェノキシ酪酸のナトリウム塩またはエチルエステル。α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオアート、S−(4−クロロベンジル)−N,N−ジエチルチオカーバメート、5−ターシャリーブチル−3−(2,4−ジクロル−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン、2−〔4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕アセトフェノン、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート、3−イソプロピル−2,1,3−ベンゾ−チアジアジノン−(4)−2,2−ジオキシドまたはそのナトリウム塩、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−ο−トルアート、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド、1−(2−クロロイミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル尿素、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2´,6´−ジメチルアセトアニリド等を挙げることができる。
【0029】
さらに、本発明における農薬活性成分としては植物が微生物に接触した後に、植物によって合成され、植物体内に蓄積する低分子の抗菌性物質であるファイトアレキシンも含まれる。
【0030】
また、病原菌の繁殖抑制効果のある菌も用いることができ、例えばトリコデルマ属(トリコデルマ リグノーラム、トリコデルマ ビィリディなど)、グリオクラディウム属(グリオクラディウム ビレンスなど)、セファロスポリウム属、コニオシリウム属、スポリデスミウム属、ラエティサリア属などの糸状菌、アグロバクテリウム属(アグロバクテリウム ラディオバクター)、バチルス属(バチルス ズブチリス)、シュードモナス属(シュードモナス セパシア、シュードモナス グルメ、シュードモナス グラディオリ、シュードモナス フロルエッセンス、シュードモナス アウレオファシエンス、シュードモナス プチダ、シュードモナス ソラナセアラムなど)、キサントモナス属、エルビニア属、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、エンテロバクター属、アゾトバクター属、フラボバクテリウム属、ストレプトマイセス属(ストレプトマイセス アクロモゲナス、ストレプトマイセス ファエオパーピュレンス、ストレプトマイセス ヒグロスコピカス、ストレプトマイセス ニトロスポレンス、ストレプトマイセス バーネンシスなど)、アクチノプラネス属、アルカリゲネス属、アモルフォスポランギウム属、セルロモナス属、マイクロモノスポラ属、パスチュリア属、ハフニア属、リゾビウム属、ブラディリゾビウム属、セラティア属などの細菌および放線菌を挙げることができる。これらの中で好ましくは抗菌活性物質産生菌である。具体的には抗菌物質生産能の高いシュードモナス属細菌であり、例えば抗生物質を生産する菌株としては抗生物質ピロールニトリン(対ダイコン苗立枯病菌)を生産するシュードモナス セパシア、抗生物質フェナジンカルボン酸(対コムギ立枯病菌)やピロールニトリン、ピオルテオリン(対ワタ苗立枯病菌、キュウリ苗立枯病菌)、オオミシンA(対ワタ苗立枯病菌)、シアン化物(タバコ黒根病菌)、ディアセチルフロログルシノール(対コムギ立枯病菌)などを生産するシュードモナス フロルエッセンスおよび土壌中の鉄を病原菌に利用されず植物にのみ利用できるようにする鉄キレート物質シデロフォア(シュードバクチン、蛍光性シデロフォア:ピオベルディン)などを生産する蛍光性シュードモナス属菌(シュードモナス プチダ、シュードモナス フロルエッセンス、蛍光性シュードモナスなど)がある。その他バクテリオシンのアグロシン84(対根頭がんしゅ病菌)を生産するアグロバクテリウム ラディオバクターや植物ホルモンなどの生育増進物質を生産する生育増進性根圏細菌(PGPR)として蛍光性シュードモナス、シュードモナス プチダ、シュードモナス フロルエッセンスやバチルス属などが挙げられる。
特にCDU分解菌群(シュードモナス属、アースロバクター属、コリネバクテリウム属、アグロバクテリウム属など)やストレプトマイセス属の菌株(特公平5−26462号公報)は土壌伝染性の病原性糸状菌に対し顕著な抑止力を有するため好ましく用いられる。
【0031】
本発明品の製造方法は特に限定されるものではないが、具体的に一例を挙げるならば、流動状態の芯材に対し熱可塑性樹脂を主成分とする被膜材料が溶媒により溶解された混合溶解液を噴霧する一方、高速熱風流により、該芯材表面の溶媒を除去乾燥し、芯材の表面に被膜材料を被覆する製造方法を挙げることができる。
【0032】
該製造方法に使用し得る被覆装置の一例を、添付図面を参照しながら説明する。本発明の製造方法は、図1に示される噴流層を用いて行うのが最も好ましい。この噴流層は、転動または流動状態にある芯材5に対し、被膜材料の混合溶解液12をポンプ6によって、スプレーノズル4により噴霧し、芯材5の表面に吹き付けて、該表面を被覆すると同時並行的に、熱交換器8で加熱された高温気体をブロアー10によって噴流塔1に下部から流入させ、該高速熱風流によって、該粒体表面に付着している混合溶解液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させるものである。
【0033】
【実施例】
以下、芯材の調整、製造例および実施例を用い詳細を説明する。なお、本実施例は本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の実施例における「%」は特にことわりがない限り「重量%」である。
【0034】
「本発明品の製造」
(芯材の造粒)
表1に示す組成の原料をミキサーで均一に混合し、ニーダーで加水混練した。該混合物をスクリュー押し出し式造粒機(スクリーン径0.8mmφ)で押し出し造粒した後、整粒機で該造粒物を球形整粒した。続いて、流動乾燥を行い、篩い分けすることによって粒径0.8〜1.4mmφの芯材を得た。尚、比較例1で用いたポリビニルアルコールは水溶液状で添加した。芯材の膨潤力は別途測定し、その結果を表2に示す。
【0035】
(芯材膨潤力の測定)
上記方法で試作した芯材を、それぞれ2gずつ25℃の精製水100mLを入れた共栓付きメスシリンダー(100mL)に該芯材が内壁に付着しないように加え、スムーズにシリンダー底に沈着するようにする。全量加え終わったら栓をして24時間静置後、メスシリンダーの底部に堆積した容積を読みとり膨潤力(mL/2g)とした。
【0036】
(被覆農薬粒剤の製造)
図1に示される噴流層被覆装置を用いて、表2記載の被膜材料組成で被覆率20%となるよう被覆し、本発明品の被覆農薬粒剤を得た。
被覆方法は、以下の方法に準拠して行った。
また、被覆率は、芯材の重量(a)と被膜の重量(b)との和を100重量%とした被覆粒剤に対する被膜の重量(b)の比率であり、算式[b×100/(a+b)]で求めた値である。
本発明品の製造を図1のフローシートにより説明する。
塔径250mm、高さ2000mm、窒素ガス噴出口径50mm、円錘角50度の形状を有する噴流塔1内へ、噴流用高温熱風(窒素ガス)を下部から上部に向けて流入する。高温熱風は、ブロアー10から送風され、オリフィス流量計9を通り、熱交換器8によって高温に加熱されて、噴流塔1に流入され、噴流塔1の上部に設置されている排ガス用出口3から排出される。この高温熱風が循環している噴流塔1の内部に、前記によって得られた芯材(農薬粒剤)5を、噴流塔1の側面に設置されている芯材投入口2から3kg投入し、図1に示されるように芯材5を流動させる。この際、流量および熱風温度は、各サンプル毎に適宜調節する必要があり、流量はオリフィス流量計で測定しながら調節し、熱風温度は、T1の熱風温度、T2の芯材温度、T3の排気温度を測定しながら調節する。本実施各例においては、流量(オリフィス流量計9)4m3 /min、熱風温度(熱風温度T1)80℃±2℃で実施した。
他方、溶解槽11に、表2に示される被膜材料組成の各成分と溶媒としてトルエンを投入し、混合撹拌することによって、2.5重量%の均一な被膜材料溶解液を得る。該溶解液は、ポンプ6によって噴流塔1の下部に設置されている開口0.6mmフルコーン型一流体ノズルであるスプレーノズル4に、流速0.2kg/minで輸送され、流動中の芯材5に、噴霧され、吹き付けられる。
該吹き付け工程は、流動中の芯材5の芯材温度T2が所定の温度に達した時点から開始し、所定時間スプレーした後、所定時間の乾燥を実施し、乾燥が終了した時点で、ブロアー10を止め、被覆された芯材5を、噴流塔1の最下部にある抜き出し口7より排出し、実施例1〜8、比較例1及び2の被覆農薬粒剤を得た。
【0037】
「放出確認試験」
前記製造例によって得られた各被覆農薬粒剤の放出確認試験を実施した。放出確認試験は、該被覆農薬粒剤に亀裂が入り、被膜が破壊されることにより、内部の芯材が外部に放出されるまでの時間(放出開始時間)を測定したものである。
試験方法は以下の記載に準じて行った。
前記製造例によって得られた各被覆農薬粒剤を用い、キャップ付試験管(12mm×72mm)に水を1.5mL入れ、試験管1本当たり1粒投入後キャップをした。これを各試験区当たり100管(粒)用いて、水温20℃一定の条件下でそれぞれ被覆農薬粒剤の崩壊の個数をカウントした。観察は試験開始から1週間までは毎日行い、その後は1週間ごとに行った。累積放出率は供試粒剤の崩壊数である。観察結果を縦軸に累積放出率、横軸に経過日数をとり、それぞれのデータをプロットしたグラフを作成した(図2、図3)。
【0038】
実施例1〜8はいずれも放出抑制期間/成分放出期間=0.1以上であり、典型的な時限放出型であることが明らかとなった。実施例1〜4、7、8においては、芯材の膨潤力が大きくなるに従って成分放出期間が短くなり、速やかに農薬活性成分が放出される傾向が確認できた。更に、実施例4〜6から熱可塑性樹脂成分を増やしたことにより放出抑制期間が長くなった。
以上の結果から、本発明に開示の被覆農薬粒剤の組成であれば、放出抑制期間と成分放出期間が任意に設定でき、シャープな放出制御が可能であることが明らかになった。
比較例1では80日経過しても1粒も被膜の崩壊は見られなかった。比較例1のように水膨潤性物質を含まない芯材を用いると、水溶解度が僅か4ppm程度の典型的な難水溶性農薬を用いた本実施例のような場合には、農薬活性成分の被膜内への残留が特に懸念される。
吸水時の膨潤力が32mL/2gの芯材を用いた比較例2においては、樹脂100%の被膜であるにも係わらず、放出抑制期間、成分放出期間とも1時間足らずであった。これでは実質的に時限放出制御が出来たとは認められない。
【0039】
【表1】
Figure 0003845931
【0040】
【表2】
Figure 0003845931
【0041】
ベントナイト1:膨潤力28mL/2g
ベントナイト2:膨潤力14mL/2g
ベントナイト3:膨潤力48mL/2g
澱 粉 :コーンスターチ、膨潤力9mL/2g
ク レ ー :カオリン(はくとう土)
タ ル ク :平均粒径 5μm
P V A :ポリビニルアルコール 平均重合度400〜600、完全けん化 型
農 薬 :農薬活性成分2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチ ルアセトアニリド70重量%含有
ポリマー1 :エチレン・一酸化炭素共重合体 MI=0.75
CO=0.95重量%
ポリマー2 :低密度ポリエチレン MI=23 d=0.916g/cm3
ポリマー3 :パラフィン mp68〜70℃
界面活性剤 :ヘキサオキシエチレンノニルフェニルエーテル HLB=13
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明の被覆農薬粒剤は、農薬活性成分を任意に放出できるものであり、これにより、具体的に以下の効果が得られた。
(1)従来型の未被覆農薬は、施用すると同時に環境水と接するため施用後、直ちに放出が開始していたが、本発明の被覆農薬粒剤によって一定期間農薬活性成分の放出を抑制するような時限放出制御が可能となった。
(2)本発明の被覆農薬粒剤は被膜の崩壊によって農薬成分の放出を行うので、難水溶性の農薬粒剤であっても溶出制御が可能である。
(3)容易且つ単純な被覆方法で被覆可能な単層被膜であっても時限放出制御が可能であり、更に放出抑制期間と成分放出期間のそれぞれを任意且つ独立に制御することが可能となった。
(4)よって、本発明品により農作業の省力化をかなりの部分で達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層のフローシートの図
【図2】実施例1〜6の放出特性グラフ(水中20℃)
【図3】実施例7〜8の放出特性グラフ(水中20℃)
【符号の説明】
1.噴流塔
2.芯材投入口
3.排ガス出口
4.スプレーノズル
5.芯材(農薬粒剤)
6.ポンプ
7.抜き出し口
8.熱交換器
9.オリフィス流量計
10.ブロアー
11.溶解槽
12.被膜材料の混合溶解液
1 .熱風温度
2 .芯材温度
3 .排気温度
SL.スチーム

Claims (7)

  1. 吸水時の膨潤力が1〜30ml/2gである農薬粒剤を、熱可塑性樹脂を有効成分とする被膜材料で単層被覆した時限放出型被覆農薬粒剤。
  2. 農薬粒剤が少なくとも1種以上の農薬活性成分と少なくとも1種以上の水膨潤性物質とからなることを特徴とする請求項1記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  3. 水膨潤性物質がモンモリロナイトを主体とする粘土鉱物であることを特徴とする請求項2記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  4. 熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  5. 被膜材料中のエチレン・酢酸ビニル共重合体の含有量が15重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  6. 水不溶性および/または水難溶性粉体を被膜に分散させることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤。
  7. 流動状態にある、吸水時の膨潤力が1〜30ml/2gである農薬粒剤に対し、熱可塑性樹脂を主成分とする被膜材料が溶媒により溶解された混合溶解液を噴霧する一方、高速熱風流により、該農薬粒剤表面の溶媒を除去乾燥し、該農薬粒剤の表面に被膜材料を被覆する、請求項1〜5の何れか1項記載の時限放出型被覆農薬粒剤の製造方法。
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