JP2000063205A - 被覆農薬粒剤用農薬粒子、被覆農薬粒剤とその製造方法、及び被覆農薬粒剤を用いた農作物の栽培方法 - Google Patents

被覆農薬粒剤用農薬粒子、被覆農薬粒剤とその製造方法、及び被覆農薬粒剤を用いた農作物の栽培方法

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JP2000063205A
JP2000063205A JP10232720A JP23272098A JP2000063205A JP 2000063205 A JP2000063205 A JP 2000063205A JP 10232720 A JP10232720 A JP 10232720A JP 23272098 A JP23272098 A JP 23272098A JP 2000063205 A JP2000063205 A JP 2000063205A
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particles
coating
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Shigetoshi Kimoto
成年 木元
Atsushi Takahashi
厚志 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被覆農薬粒剤の芯材に用いた場合に、農薬粒
子がリニア型被覆農薬の場合においては安定した放出が
得られるようになり、時限放出型被覆農薬においては放
出抑制期間中の洩れ出しが少ない時限放出型の徐放機能
が達成される、被覆農薬粒子用の農薬粒子を提供するこ
と。 【解決手段】振とう破壊処理を受けた後の崩壊率が0.
001〜2%の範囲である農薬粒子、該粒子の表面に樹
脂を主成分とする被膜材を被覆することにより得られる
被覆農薬粒剤。 【効果】 極めて優れた放出抑制機能を有する農薬が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は被覆農薬粒剤用農薬
粒子、被覆農薬粒剤とその製造方法、及び被覆農薬粒剤
を用いた農作物の栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】就農人口が減少し、且つ就農者が高齢化
している近年の農業環境においては、農薬散布作業の省
力化・効率化が求められている。農作業の省力化・効率
化のための農薬とは、薬効が高く、長い徐放期間を有す
る薬剤であり、このような薬剤として、農薬粒子の表面
を被膜材で被覆した被覆農薬粒剤が開発されている。こ
のような被覆農薬粒剤は、先ず農薬成分を含有する粒子
(芯材)をつくり、この粒子を転動状態、若しくは流動
状態に維持しつつ被膜材を噴霧するか、予め粒子表面に
被膜材を付着させた後に転動状態、若しくは流動状態を
維持して粒子表面に被膜を形成させるのが通常である。
施用直後からほぼ一定の放出速度で農薬成分の放出を開
始する被覆農薬粒剤(以下「リニア型被覆農薬」と記述
する。)や、施用後一定期間農薬成分の放出が抑制さ
れ、該一定期間経過後、農薬成分の放出が開始する時限
放出型の放出機能を有する被覆農薬粒剤(以下「時限放
出型被覆農薬」と記述する。)の何れも、前述の製膜方
法で粒子表面に被膜が形成されている。この時限放出型
被覆農薬は、施用後一定期間農薬成分の放出が抑制され
る放出抑制期間と、一定期間経過後、ほぼ一定の放出速
度で農薬成分が放出される放出期間を有する。この時限
放出型被覆農薬を用いれば、薬害を起こすことなく育苗
開始時、若しくは移植時に、これまで以上に大量の農薬
成分を施用することが出来ることから、農作業の省力化
・効率化が可能になった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
での時限放出型被覆農薬においては、放出抑制期間にお
ける農薬成分の洩れを完全に抑えることが出来ないこと
から、薬害を起こすことなく育苗開始時、若しくは移植
時に一度に施用することが出来る量には限度があった。
また、リニア型被覆農薬であっても、従来のものでは農
薬の放出速度が一定化せず不安定であり、その使用にお
いて薬効の発現や作物への薬害の発生において問題が起
こる場合もあった。
【0004】本発明者らは、時限放出型被覆農薬の初期
放出抑制期間における農薬成分の洩れを抑え、更にリニ
ア型被覆農薬の農薬成分の放出速度を一定化させる技術
を開発すべく鋭意研究を行った。その結果、振とう破壊
処理を受けた後の粒子の崩壊率が0.001〜2%の範
囲である農薬粒子の表面を、樹脂を含有する被膜材で被
覆した被覆農薬粒剤であれば、時限放出型被覆農薬にお
いては、放出抑制期間における農薬成分の洩れを良好に
抑えることが可能となり、一方、リニア型被覆農薬にお
いては、農薬の放出速度が一定化することを見いだし、
この知見に基づき本発明を完成させた。更に、該農薬粒
子を用いた被覆農薬粒剤を作物の栽培に用いることによ
り、農薬の散布・施用における作業を著しく軽減できる
ことを見いだし、この知見に基づき本発明を完成させ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の(1)〜
(9)の構成を有する。 (1)1種以上の農薬成分を含有する粒子であって、振
とう破壊処理を受けた後の粒子の崩壊率が0.001〜
2%の範囲である被覆農薬粒剤用農薬粒子。 (2)ベントナイトを含有する請求項1に記載の被覆農
薬粒剤用農薬粒子。 (3)ベントナイト及び親水性結合剤を含有する請求項
1に記載の被覆農薬粒剤用農薬粒子。 (4)親水性結合剤がポリビニルアルコール、澱粉、及
びセルロース誘導体から選ばれた1種以上である前記第
3項に記載の被覆農薬粒剤用農薬粒子。 (5)前記第1〜4項の何れか1項に記載の農薬粒子の
表面を、樹脂を含有する被膜材で被覆してなる被覆農薬
粒剤。 (6)樹脂がオレフィン系重合体である前記第5に記載
の被覆農薬粒剤。 (7)被覆農薬粒剤の徐放機能が、施用後一定期間農薬
成分の放出が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過
後農薬成分の放出が持続する放出期間とからなる時限放
出型の徐放機能を有する前記第5ないし第6項に記載の
被覆農薬粒剤。 (8)1種以上の農薬成分を含有し、且つ、振とう破壊
処理を受けた後の粒子の崩壊率が0.001〜2%の範
囲である農薬粒子を流動状態にし、該農薬粒子の表面に
樹脂を含有する被膜材を噴霧することにより粒子表面に
被膜を形成させることを特徴とする被覆農薬粒剤の製造
方法。 (9)前記第5〜7項の何れか1項に記載の被覆農薬粒
剤を施用する農作物の栽培方法。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
被覆農薬粒剤用農薬粒子(以下「農薬粒子」と表記す
る)は、1種以上の農薬成分を含有する粒子であって、
振とう破壊処理を受けた後の農薬粒子の崩壊率が0.0
01〜2%の範囲にある農薬粒子である。本発明の粒子
は1種以上の農薬成分を含有する。本発明において使用
できる農薬成分としては、主として殺虫、殺菌、除草お
よび植物成長調整のほか殺ダニ、殺線虫等の作用を有す
るものを挙げることができる。さらに、忌避剤や誘引剤
も挙げられ、これらであればその種類に制限なく適用さ
れ得る。好ましくは常温で固体の粉状であることが望ま
しいが常温で液体であっても許容される。また、農薬成
分の飽和蒸気圧が小さいものが製造上好ましいが、これ
に限定されるものではない。本発明品は農薬成分が浸透
移行性であると効果的であり、好ましく用いられる。本
発明に利用できる農薬成分としてはその具体例を下記に
挙げるがこれらはあくまでも例示であり限定されるもの
ではない。また、農薬成分は1種であっても、2種以上
の複合成分からなるものであっても良い。
【0007】例えば、1−(6−クロロ−3−ピリジル
メチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンア
ミン、O,O−ジエチル−S−2−(エチルチオ)エチ
ルホスホロジチオエート、1,3−ビス(カルバモイル
チオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸
塩、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ
〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチル
カルバマート、(2−イソプロピル−4−メチルピリミ
ジル−6)−ジエチルチオホスフェート、5−ジメチル
アミノ −1,2,3−トリチアンシュウ酸塩、O,O−
ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェー
ト、エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチ
ルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)
アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート、
1−ナフチル−N−メチルカーバメート、2−イソプロ
ポキシフェニル−N−メチルカーバメート、ジイソプロ
ピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネー
ト、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−
b〕ベンゾチアゾール、1,2,5,6−テトラヒドロ
ピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン、3−
アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1
−ジオキシド、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸のナト
リウム塩またはジメチルアミン塩、エチルエステル。2
−メチル−4−クロロフェノキシ酢酸のナトリウム塩ま
たはエチル、ブチルエステル。2−メチル−4−クロロ
フェノキシ酪酸のナトリウム塩またはエチルエステル。
【0008】α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリ
ド、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン
−1−カルボチオアート、S−(4−クロロベンジル)
−N,N−ジエチルチオカーバメート、5−ターシャリ
ーブチル−3−(2,4−ジクロル−5−イソプロポキ
シフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オ
ン、2−〔4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,
3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ〕アセトフェ
ノン、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−
ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネー
ト、3−イソプロピル−2,1,3−ベンゾ−チアジア
ジノン−(4)−2,2−ジオキシドまたはそのナトリ
ウム塩、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロ
ピルアミノ−s−トリアジン、2−メチルチオ−4−エ
チルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)
−s−トリアジン、2−メチルチオ−4,6−ビス(エ
チルアミノ)−s−トリアジン、2−メチルチオ−4,
6−ビス(イソプロピルアミノ)−s−トリアジン、1
−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)
尿素、メチル=α−(4,6−ジメトキシピリミジン−
2−イルカルバモイルスルファモイル)−ο−トルアー
ト、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチ
ルアセトアニリド、1−(2−クロロイミダゾ[1,2
−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6
−ジメトキシピリミジン−2−イル尿素、S−ベンジル
=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマー
ト、2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−
2´,6´−ジメチルアセトアニリド等を挙げることが
できる。更に、本発明における農薬成分としては植物に
よって合成され、植物体内に蓄積する低分子の抗菌性物
質であるファイトアレキシンを誘導する物質も含まれ
る。
【0009】本発明の農薬粒子は振とう破壊処理を受け
た後の崩壊率が前述の如く0.001〜2%の範囲にあ
る。この振とう破壊処理とは、供試農薬粒子100gを
300mlの三角フラスコに投入して栓をし、振とう器
(MK200D型、ヤマト科学)で回転数150r/m
in、1時間往復振とう処理することを云い、該処理
後、φ850μmの篩いを通過したものの重量を測定す
ることで粒子の崩壊率[=(φ850μm篩通過重量)
×100/(供試農薬粒子重量)]を算出する。また、
三角フラスコに微粉が付着し易いため、篩いを通過しな
いφ850μm篩い上を測定して粒子の崩壊率を算出す
ることもでき、この際の崩壊率の算出は粒子の崩壊率
[={(供試農薬粒子重量)−(φ850μm篩い上重
量)}×100/(供試農薬粒子重量)]によって求め
る。崩壊率が0.001%を下回る場合には被覆時の粒
子の流動条件としては理想であるが、それを得るには多
くのコストを要するため実用化が困難である。2%を上
回る場合には、放出機能のばらつきが大きくなる。より
好ましくは0.001〜1.0%の範囲である。
【0010】前述の崩壊率を達成する手段としては、農
薬粒子の構成成分に安価な結合剤であるベントナイトを
多く添加することが挙げられるが、これに限定されるも
のではない。さらに親水性結合剤の併用は少量の結合材
の添加で崩壊率を0.01〜2%の範囲に保つことが出
来ることから好ましく用いることができる。
【0011】被膜の崩壊により被膜内の農薬成分が土壌
中に放出される放出機構を有する本発明の被覆農薬粒剤
においては、単に製膜中に粒子が割れない機能だけでな
く、被膜の崩壊後、若しくは被膜を崩壊させるために水
中では容易に膨潤、崩壊する機能が必要である。この、
製膜中に粒子が割れない機能と水中では容易に膨潤、崩
壊する機能とを両立するには、被覆用農薬粒子が、農薬
成分のほかに、ベントナイトを含有する組成であること
が好ましい。ベントナイトは、粘土鉱物モンモリロナイ
トを主成分とするスメクタイト粘土の代表的な物質であ
り、各種粘土の中でも最も微粒子でありそれ自身農薬担
体として使用できることから最も好ましい物質である。
ベントナイトの含有量は、好ましくは農薬粒子の全成分
に対して5〜90重量%であり、更に好ましくは20〜
80重量%である。下限値未満であるとベントナイトの
結合剤としての効果が薄れ相対的に親水性結合剤の添加
量を増やして原材料間の結合力を確保するため結果的に
はコスト高となり、且つ水中崩壊性の維持が困難にな
る。上限値を超えると、例えば押し出し造粒機で製造す
る場合には摩擦抵抗等により製造能力が低下するので結
果的にはコスト高になる。
【0012】ベントナイトは粘結性があることから加水
混練で造粒可能であるが、押し出し造粒法でタルクやク
レイのような非膨潤性担体を用いる場合には結合剤とし
てベントナイトの他に親水性結合剤を配合させることが
有効である。本発明の農薬粒子に用いる親水性結合剤
は、それを用いた粒子が易水中崩壊性を有するように選
択されるべきであり、それには以下のような公知の水溶
性物質が挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、
澱粉類(例えば、澱粉、可溶性澱粉、デキストリン、α
化澱粉等)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメ
チルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース等)、糖類(廃糖蜜等)、アラビ
アゴム、リグニンスルホン酸塩類(例えばリグニンスル
ホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム
等)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸塩の重合体また
は共重合体(例えばポリアクリル酸ナトリウム等)、界
面活性剤類(例えば、ノニオン系界面活性剤等)、ガゼ
イン類(例えば、カゼイン、カゼインナトリウム等)、
ゼラチン類(例えば、にかわ等)、ガム類(例えば、グ
アガム、アラビアガム等)が挙げられる。ポリビニルア
ルコールやセルロース誘導体の合成または半合成高分子
化合物は、低重合品が水溶性の点で有利である。これら
の中で造粒中に粒子が崩壊しない性質の他に、水溶解度
が大きく比較的安価な材料が好ましく、具体的にはポリ
ビニルアルコール、澱粉類、及びセルロース誘導体の中
から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。
【0013】粒子中の親水性結合剤の含有量は0.8〜
20重量%、好ましくは1〜5重量%である。これは、
下限値未満であるとその結合効果が発現しにくく、上限
値を超えると明らかにコスト高となる。親水性結合剤は
一般的に農薬担体と比べて高価であることからできるだ
けその使用量は少量であることが好ましいが、使用量及
び割合は、農薬成分、ベントナイト、各種添加剤等の組
み合わせに応じて上記の範囲内で任意に設定すればよ
い。ベントナイトを用いると、それ単独でも水中崩壊性
と放出抑制期間における洩れの抑制された農薬粒子が得
られるが、粒子中のベントナイトの含有率が少量の場合
には、放出抑制期間における洩れの抑制が効かなくなる
傾向にあることから、結合剤の併用が望ましい。
【0014】本発明の農薬粒子は、上記のようなベント
ナイト、親水性結合剤、農薬成分の他にあらゆる補助成
分、例えば、造粒助剤、薬害軽減剤、安定剤、の潤滑剤
等を使用することができる。該造粒助剤としてはクレ
ー、ゼオライト、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、
珪砂、ケイソウ土、ホワイトカーボン、合成ケイ酸カル
シウムおよび肥料等を挙げることができるがこれらに限
定されるものではない。該造粒助剤も必要に応じて2種
以上を混合して用いることができる。
【0015】本発明農薬粒子の造粒法としては、押出し
造粒法、被覆造粒法、吸着造粒法等を用いることができ
る。本発明においては、これらの造粒法のいずれを使用
しても良いが、押し出し造粒法が最も簡易である。
【0016】本発明農薬粒子の粒径は、使用目的により
任意の粒径を選択することができる。被覆農薬粒剤用と
して好ましい粒径は0.3mm以上、好ましくは0.7
〜5.0mmである。粒径0.3mm未満では被覆が困
難となることがある。
【0017】本発明の農薬粒子の表面を被覆する被膜材
は特に限定されるものではく、有機材料、無機材料の何
れの材料を選択してもよく、無機被膜材としては硫黄を
有効成分とした被膜材料を挙げることができ、有機被膜
材としては樹脂を有効成分とした被膜材を挙げることが
できる。
【0018】該樹脂としてはオレフィン系重合体、塩化
ビニリデン系重合体、ジエン系重合体、ワックス類、ポ
リエステル、石油樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性
物から選ばれた1種または2種以上の物質ならびにアル
キド樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0019】オレフィン系重合体としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−一酸化炭素共重合体、ポリブテン、ブテン−
エチレン共重合体、ブテン−プロピレン共重合体、ポリ
スチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−アクリル
酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸エステル共重合
体等が例示でき、塩化ビニリデン系重合体としては、塩
化ビニリデン−塩化ビニル共重合体が例示でき、ジエン
系重合体としては、ブタジエン重合体、イソプレン重合
体、クロロプレン重合体、ブタジエン−スチレン共重合
体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合
体、スチレン−イソプレン共重合体等が例示でき、ワッ
クス類としては、密ロウ、木ロウ、パラフィン等が例示
でき、ポリエステルとしてはポリ乳酸、ポリカプロラク
トンが例示でき、天然樹脂としては、天然ゴム、ロジン
等が例示でき、油脂及びその変性物としては、硬化物、
固形脂肪酸および金属塩等を例示することができる。
【0020】農薬粒子の被覆は徐放性の長期化を目的と
したものであり、より長期間にわたる制御が必要な場合
には有機被膜材、特に樹脂被膜材を用いることが好まし
い。樹脂被膜であればカプセルの内部に浸入する水、若
しくは水蒸気を微量に押さえることが可能である。更に
放出期間を長くする場合や、後述の時限放出型徐放機能
を達成するためには、農薬粒子の表面に樹脂を有効成分
とする被膜材で完全に被覆し、水分が通過しにくくする
ことが必要である。つまり、ピンホールや亀裂の無い被
膜を形成することが重要である。また、長い放出抑制期
間が必要な場合には、農薬粒子の表面に透湿性の小さい
樹脂被膜材で被覆することが有効である。透湿性の小さ
い樹脂被膜材で被覆することにより、外部に存在する水
分を徐々に時間をかけて被膜内部の農薬粒子にまで浸透
させることができる。
【0021】このためには、オレフィン系重合体、塩化
ビニリデン系重合体を用いることが有効である。中でも
全放出期間の長さ及び放出パターンの選択できる範囲の
広さから、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合
体が最も好ましい樹脂材料として挙げることができる。
これらの材料はピンホールや亀裂のない被膜が形成され
れば、水分を浸入させず、水分子であってもその透過量
は極僅かである。
【0022】この際、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体及びジエン
系重合体のようなゴム状物質を被膜材に用いる場合に
は、時限放出型徐放の際に被膜に亀裂が生じるまでの時
間の調節に有効であるが、これらの重合体が被膜材中に
多量に存在すると、放出抑制期間が極端に短くなった
り、亀裂が生じなくなる恐れがあるため、これら重合体
の被膜材中の配合量は、20重量%未満であることが好
ましく、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体の場合には
15重量%以下であることが好ましい。
【0023】更に本発明においては本発明の効果を損な
わない範囲で、被膜材中にフィラーや親水性付与のため
の界面活性剤などを添加してもよい。フィラーの一例と
してはタルク、クレー、カオリン、ベントナイト、白雲
母、金雲母、雲母状酸化鉄、金属酸化物、珪酸質、ガラ
ス及びアルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、澱粉等を挙
げることができる。
【0024】本発明被覆農薬粒剤の徐放機能は、施用直
後から放出を開始するタイプの放出であってもよいが、
施用後一定期間農薬成分の放出が抑制される放出抑制期
間と、一定期間経過後、ほぼ一定の放出速度で農薬成分
が放出される放出期間を有する時限放出型の徐放機能を
有する時限放出型被覆農薬であれば、省力栽培、例えば
播種と同時施用が可能となり、施用回数を減らすことが
可能となるとともに、種子の近傍に施用しても発芽障害
等の薬害が発生せず、ある程度生長した後に必要な量だ
け放出させることで農薬成分の利用効率の向上が期待で
きる。
【0025】本発明で云うところの時限放出型の徐放機
能とは、施用後一定期間放出が抑制される放出抑制期間
と一定期間経過後速やかな放出を開始する成分放出期間
とからなる放出パターンを意味し、具体的には施用後か
ら農薬粒子中の農薬成分が10重量%放出するまでの期
間を放出抑制期間とし、10重量%放出日から90重量
%放出日までの期間を成分放出期間とした場合、放出抑
制期間/成分放出期間の比率が0.2以上である放出パ
ターンを意味する。
【0026】本発明の時限放出型の徐放機能は、何れの
被膜組成によって得られるものであってもよい。具体的
に例を挙げれば、特開平6−9303号公報に開示の架
橋されたイソブチレン系重合体の粉末とポリエチレング
リコールからなる第1被覆層とエチレン−エチルアクリ
レート共重合体からなる第2被覆層の二層被膜、特開平
6−9304号公報に開示の水酸化カルシウムとポリエ
チレングリコールからなる第1被覆層とエチレン−エチ
ルアクリレート共重合体とイソブチレン−無水マレイン
酸共重合体のマレイミド化変性体からなる第2被覆層の
二層被膜、特開平6−72805号公報に開示の水酸化
カルシウムとポリエチレングリコールからなる第1被覆
層とナイロン6−ナイロン66−ナイロン12三元共重
合体とイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のマレイ
ミド化変性体からなる第2被覆層の二層被膜、特開平6
−80514号公報に開示のイソブチレン系重合体の粉
末とポリエチレングリコールからなる第1被覆層とナイ
ロン6−ナイロン66−ナイロン12三元共重合体から
なる第2被覆層の二層被膜などで時限放出機能を達成し
たものであってもよいが、これらの被膜は何れも二層の
被覆層から構成されており、被覆操作の煩雑さや製造設
備にかかる設備投資等の費用の点などから、被膜は一層
であることが好ましい。
【0027】一層からなる被膜で時限放出型の徐放機能
を達成している被覆農薬粒剤としては、例えば特開平9
−77608号公報に開示のように、少なくとも1種以
上の農薬成分と少なくとも1種以上の水膨潤性物質から
なる農薬粒子の表面に樹脂を主成分とする被膜材で被覆
した被覆農薬粒剤を挙げることができる。この組成の被
覆農薬粒剤は圃場等に施用後、被膜の透湿性により圃場
に供給された水分が内部の水膨潤性物質に作用し、農薬
粒子が膨潤を開始する。この水膨潤性物質の膨潤によっ
て生じる応力により一定期間経過後被膜が崩壊し、被膜
内部の農薬粒子が被膜外部の環境(土壌、水など)に直
接曝されることになる。
【0028】本発明の農薬粒子の粒形は、時限放出型の
徐放機能を好適に発現させるために球状のものが好まし
い。例えば、一般的な粒子の円形度合いを知るための尺
度である円形度係数を用いると、式{(4π×粒子の投
影面積)/(粒子投影図の輪郭の長さ)2}によって求めら
れた値が0.7以上のものであり、好ましくは0.75
以上、より好ましくは0.8以上である。円形度係数の
最大値は1であり、1に近づけるほど粒子が完全な真円
の場合1となる。粒子形状が真円から崩れるに従って円
形度係数が小さくなる。円形度係数が0.7未満の農薬
粒子が増えると、時限放出型被覆農薬においては、放出
抑制期間における農薬成分の洩れを良好に抑えることが
困難となり、一方、リニア型被覆農薬においては、農薬
の放出速度が不安定となるため、本発明の農薬粒子にお
いては、全てが0.7以上のものであることが好ましい
が、本発明の効果を大きく損なわない限りにおいて、下
限値未満のものが若干量存在していても差し支えない。
なお該円形度係数は、PIAS−IV(株式会社ピアス
製)等の市販の測定機器を用いることにより測定するこ
とができる。前記粒形の農薬粒子を用いた被覆農薬粒剤
は、放出抑制期間における農薬成分の洩れを著しく抑え
ることができ特に有効である。
【0029】本発明の被覆農薬粒剤の製造方法は、本発
明の農薬粒子を流動状態とし、該農薬粒子の表面に樹脂
を含有する被膜材を噴霧することにより被膜を形成させ
る製造方法である。噴霧する被膜材は溶解若しくは溶融
した液状であることが好ましく、被覆に際し、被膜材溶
液若しくは溶融液の取扱易さ、スプレーし易さを考慮す
ると有機溶剤に被膜材(樹脂)を溶解させた溶液状であ
ることが好ましい。流動状態の中でも、噴流状態であれ
ば噴霧された被覆液が安定的に粒子表面へ到達し、完全
被覆を達成し易いので好ましい。
【0030】好ましい一例を挙げるならば、樹脂を有効
成分とする被膜材を有機溶媒で溶解させた混合溶解液を
噴流状態の粒子に噴霧する一方、高速熱風流により該粒
子表面の溶媒を除去乾燥し、該農薬粒子の表面に被膜材
を被覆する方法を挙げることができる。該製造方法に使
用し得る被覆装置の一例について添付の図1を参照しな
がら説明するが、本発明の製造方法は、図1に示される
噴流層を用いて行うのが最も好ましい。該被覆方法にお
いては、本発明にかかわる被膜材を均一に分散させるた
めに特に被覆液の撹拌を強力に行う必要がある。この噴
流層は、転動または流動状態にある農薬粒子3に対し、
被膜材の溶解液(被覆液)は配管5経由で輸送され、ス
プレーノズル2により噴霧され、農薬粒子3の表面に吹
き付けられて、該表面を被覆すると同時並行的に、高温
気体を噴流塔1の下部からガイド管6へ向けて流入さ
せ、該高速熱風流によって、該粒体表面に付着している
混合溶解液中の溶媒を瞬時に蒸発乾燥させるものであ
る。
【0031】本発明の農作物の栽培方法は、本発明の被
覆農薬粒剤を施用することを特徴とするものである。該
粒剤を用いる作物の栽培方法であれば、いかなる形態で
あっても本発明の効果を得ることができ、特に限定され
るものではない。作物の栽培の際に、直接土壌に施用す
る方法であっても良く、また育苗培土の組成物の一つと
して本発明の被覆農薬粒剤を添加すると云った方法であ
っても良い。
【0032】栽培方法の具体例としては、前述のような
育苗開始時若しくは本圃への播種、移植時に、栽培期間
中に散布・施用する農薬成分の全量若しくはその内の大
部分を施用する方法が挙げられる。使用する本発明の被
覆農薬粒剤は1種類でも良く、時限放出機能(放出パタ
ーンや放出抑制期間の長さ)や農薬成分の異なる被覆農
薬粒剤を2種以上混合したものであっても構わない。ま
た、施用する時期も限定されるものではなく、育苗開始
時に育苗箱や育苗ポットなどの育苗容器に施用してもよ
く、本圃へ播種若しくは移植すると同時に施用してもよ
い。
【0033】また、本発明の被覆農薬粒剤の使用に際し
て作物は特に限定されるものではなく、キャベツ、レタ
ス、ホウレンソウなどの葉菜類、ダイコン、ニンジン等
の根菜類、トマト、キュウリ、カボチャ等の果菜類のほ
か、麦類、トウモロコシ、いも類、マメ類、工芸作物、
花卉類に用いることができる。
【0034】本発明の作物の栽培方法であれば、施用し
た農薬成分の利用効率が向上するため、病害虫による被
害が軽減され、省力で商品価値の高い農作物を得ること
ができる。
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない限り
「重量%」である。
【0035】<実施例1〜10、比較例1〜3> (1)被覆用農薬粒子の製造 表1に示す重量比率の各成分原料をミキサーで均一に混
合し、ニーダーで加水混練した。この混合物をスクリュ
ー押し出し式造粒機(スクリーンダイス径φ0.8m
m)で押し出し造粒し、円柱状の農薬成形体を得た。該
農薬を長径1mmとなるように切断し、回転皿型造粒機
(直径600mm)を用いて、傾斜角度50゜、回転数
10r/min、20minの運転条件で整粒し、農薬
粒子を製造した。整粒後、熱風循環乾燥機を用い80℃
の条件下で乾燥後、振動篩で分級し0.8〜1.4mm
の被覆農薬粒剤用農薬粒子(実施例1〜10、比較例
1、2)を得た。また、表1に示す重量比率の各成分原
料をミキサーで均一に混合し、ニーダーで加水混練して
混合物を得、該混合物で回転皿型造粒機を用いて、傾斜
角度50゜、回転数10r/minの運転条件で農薬粒
子を製造した。親水性結合剤は水に溶解後添加した。該
粒子は熱風循環乾燥機を用い80℃の条件下で乾燥後、
振動篩で分級し0.8〜1.4mmの被覆農薬粒剤用農
薬粒子(比較例3)を得た。
【0036】(2)振とう破壊処理 該農薬粒子100gを300mlの三角フラスコに投入
し、振とう機(MK200D型、ヤマト科学)で回転数
150r/min、1時間往復振とうした後、φ850
μmの篩を通過したものの重量を測定し、崩壊率を算出
した。結果を表2に示す。 崩壊率(%)=(φ850μm篩通過重量)×100/
(供試農薬粒子重量)
【0037】(3)水中崩壊性試験 300mlのビーカーに蒸留水200mlを入れ、試料
0.2gを水面にばらまくようにして落とし、そのまま
静置し、5分後の水中における崩壊状態を観察した。結
果を表2に示す。
【0038】
【表1】 ベントナイト:日本ベントナイト社製 PVA:ポリビニルアルコール、重合度約500(和光
純薬工業社製) α澱粉:α化デンプン(アミコールK、日澱化学社製) CMC:カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光
純薬工業社製) HEG:ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社
製) ポリアクリル酸ナトリウム:重合度22,000〜7
0,000(和光純薬工業社製) PEO:ポリエチレンオキサイド、平均分子量150,
000〜400,000 グアガム:カチオン化グアガム(キプロガムNGK、日
澱化学社製) デキストリン:デキストリンND−S、日澱化学社製 クレー:はくとう土、和光純薬工業社製 炭カル:炭酸カルシウム 農薬成分:1,2,5,6−テトラヒドロピロロ〔3,
2,1−ij〕キノリン−4−オン(純度98%)
【0039】
【表2】 表2の結果より、実施例1〜10、比較例3は水中崩壊
性が有り、比較例1〜2は非崩壊である様子が観察され
た。崩壊率の結果は各実施例で良好であったが、ベント
ナイトが無く親水性結合剤の添加量が比較例1と比べて
少ない比較例2〜3は原材料間の結合力が弱く崩壊しや
すかった。
【0040】<実施例11〜20、比較例4〜6> (1)農薬粒剤の被覆 図1に示される噴流層被覆装置(塔径250mm、高さ
3000mm)を用いて、前記の「被覆用農薬粒子の製
造」によって得られた農薬粒を、表3記載の被膜材組成
のもので、所定の被覆率になるまで被覆し被覆農薬粒剤
を得た。製造方法は、以下の方法に準拠して行った。ま
た、被覆率は、農薬粒子の重量(a)と被膜の重量
(b)との和を100重量%とした被覆農薬粒剤に対す
る被膜の重量(b)の比率であり、算式[b×100/
(a+b)]で求めた値である。被覆は被膜材をテトラ
クロロエチレンに溶解して2.5重量部の均一な被膜材
溶解液を用いた。 一流体ノズル:開口0.4mmフルコーン型 未被覆の農薬粒剤:3kg 熱風温度:100±2℃ 熱風風量:4m3/min スプレー流速:0.2kg/min 被覆工程は流動中の農薬粒子温度が70℃に達した時点
から開始し、表2の被覆率になるまでスプレーして被覆
農薬粒剤を得た。尚、被膜が第1および第2被覆層から
形成されているものについては、まず第1被覆層の被膜
材溶液を噴霧・吹き付けし、第1被覆層の噴霧・吹き付
けが終了次第、第2被覆層の被膜材溶液の噴霧・吹き付
けを行い、乾燥は第2被覆層の吹き付けが終了した後に
行った。
【0041】(2)放出機能確認試験 前記製造例によって得られた各被覆農薬粒剤の放出機能
確認試験を実施した。各実施例、比較例6の放出確認試
験は、該被覆農薬粒剤に亀裂が入り、被膜が破壊される
ことにより、内部の農薬粒子から農薬成分が外部に放出
されるまでの時間(放出開始時間)を測定したものであ
る。試験方法は以下の記載に準じて行った。前記製造例
によって得られた実施例11〜20、比較例6の被覆農
薬粒剤を用い、キャップ付試験管(12mm×72m
m)に水を1.5ml入れ、試験管1本当たり1粒投入
後キャップをした。これを各試験区当たり100管
(粒)用いて、水温25℃一定の条件下でそれぞれ被覆
農薬粒剤の崩壊の個数をカウントした。観察は試験開始
から1週間までは毎日行い、その後は1週間ごとに行っ
た。累積放出率は供試粒剤の累積崩壊数である。観察結
果を縦軸に累積放出率、横軸に経過日数をとり、それぞ
れのデータをプロットしたグラフを作成した。また、試
験開始から10%放出に至るまでの日数(放出抑制期
間)を「D1」とし、それ以降90%放出に至るまでの
日数(放出期間)を「D2」とし、放出抑制期間の1/
2にあたる時点での放出率を「1/2・D1」とした。
その結果を表3に示す。
【0042】これとは別に、被覆農薬粒剤1gを250
mlポリ瓶に200mlの水を入れたあとで投入し、水
温25℃一定の条件下水中に浸漬し、一定期間経過後に
粒剤を取り出し、被覆農薬粒剤と水溶液を分別し、水中
に溶け出た農薬成分を定量した。水溶液中の農薬成分の
濃度は、高速液体クロマトグラフ(ウォーターズ社製48
6チューナブルUV/VIS検出器)を用いて測定した。その
結果、被覆農薬粒剤の被膜が崩壊していない、換言すれ
ば放出率が0%の時は農薬成分が検出されなかったた
め、農薬成分が被膜を通過して放出していないことを確
認した。比較例4、5については250mlポリ瓶に2
00mlの水を入れ供試被覆農薬粒剤1gを入れた後2
5℃一定条件下で農薬成分の放出を測定するが、定期的
に該粒剤を取り出して別の同様の容器に新しい水を入れ
て取り出した該粒剤を入れ替える方法で放出(溶出)水
のサンプリングを行う。測定は上記記載の方法(高速液
体クロマトグラフ)により水中の農薬成分を定量した。
最初は試験開始から1週間は毎日サンプリングをし、以
後は1週間おきにサンプリングした。分析結果をもとに
縦軸に累積放出率、横軸に経過日数をとり、それぞれの
データをプロットしたグラフを作成した。また、試験開
始から10%放出に至るまでの日数(放出抑制期間)を
「D1」とし、それ以降90%放出に至るまでの日数
(放出期間)を「D2」とし、放出抑制期間の1/2に
あたる時点での放出率を「1/2・D1」とした。その
結果を表3に示す。試験は80日で打ち切った。
【0043】表4より明らかなように、実施例11〜2
0の試験区はすべて時限放出型の徐放機能を有してお
り、特に1/2・D1が1%以下と優れた放出抑制機能
を示した。比較例に関しては、比較例4〜5は水中に投
与後直ちに放出が開始し、時限放出型の徐放機能は無か
った。被覆後の表面は着色しており、被膜中へ崩壊した
粒子の原材料が混入したものと推察される。放出は速か
った。比較例6は時限放出型の徐放機能を有していた
が、実施例1と比較して1/2・D1が大きく、放出抑
制機能は不充分であり、該抑制期間も短縮しており、実
用性がないことがわかった。
【0044】
【表3】 PE:低密度ポリエチレン MI=23 d=0.91
6g/cm3 タルク:平均粒径 5μm WAX:ポリエチレンワックス Mn=2,000 PEO:ポリエチレンオキサイド Mw=300,000 PEG:ポリエチレングリコール(日本油脂社製、商品
名:ポリエチレングリコール20000) KI:エチレン・無水マレイン酸共重合体マレイミド変
性体(クラレ社製、商品名:KIゲル−201K−F
2) ECO:エチレン−一酸化炭素共重合体 MI=0.7
5 CO=0.95重量% EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体 VAc=15
重量% MI=7.0
【0045】
【表4】
【0046】(3)栽培試験 実施例15および比較例6で得られた被覆農薬粒剤を用
いて栽培試験を行った。育苗用の床土としてくみあい黒
粒培土((株)くみあい協友社製)を用い、該培土30
00gを前記水稲用育苗箱に入れ、表面を平らにし、実
施例15と比較例6を各々100gと水稲の催芽種籾
(品種:ヒノヒカリ)150gを均一かつ層状に播種施
用した。さらに、該培土1000gを用いて覆土した。
以後該育苗箱はグロースキャビネットで、明期12時間
暗期12時間、20℃の一定温度条件下で積算温度が4
20℃まで、21日間苗を育成した。光源として蛍光灯
を用い、光源から育苗箱表層までの距離は30cmであ
った。尚、このときの相対湿度は80〜90%であっ
た。栽培管理は、培土表層が乾燥しないように適宜潅水
を行った。その他の育苗管理は慣行法に準じて行った。
育苗3週間後に苗の様子を観察した。観察結果を表5に
示す。表5の結果から、実施例15の試験区は薬害の発
生は見られなかったが、比較例6の試験区は薬害の兆候
が見られた。比較例6は育苗期間中の洩れ出しが多く、
薬害の兆候を示したものと思われる。実施例15の試験
区に関し、育苗終了後に熊本県水俣市の水田において栽
培を行ったが、薬効が長期間持続したことを確認した。
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】本発明の被覆農薬粒剤は以下のような優
れた効果を達成することができる。本発明の被覆農薬粒
剤用農薬粒子を被覆農薬粒剤の芯材に用いた場合には、
農薬粒子がリニア型被覆農薬の場合においては、農薬の
放出速度が安定した放出が得られるようになり、時限放
出型被覆農薬においては放出抑制期間中の洩れ出しが良
好に抑えられた時限放出型の徐放機能が達成される。本
発明の栽培方法であれば、種籾と同時施用しても農薬成
分の洩れ出しが少ないため薬害を起こすことがなく、施
用した農薬成分が種籾に近いためその利用効率が高くな
ることから、省力で長期間の薬効を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴流層被覆装置を示す。
【符号の説明】
噴流塔 スプレーノズル 被覆用農薬粒剤(被覆用農薬粒子) 熱風温度 被膜材導入管 6. ガイド管

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1種以上の農薬成分を含有する粒子であ
    って、振とう破壊処理を受けた後の粒子の崩壊率が0.
    001〜2%の範囲である被覆農薬粒剤用農薬粒子。
  2. 【請求項2】 ベントナイトを含有する請求項1に記載
    の被覆農薬粒剤用農薬粒子。
  3. 【請求項3】 ベントナイト及び親水性結合剤を含有す
    る請求項1に記載の被覆農薬粒剤用農薬粒子。
  4. 【請求項4】 親水性結合剤がポリビニルアルコール、
    澱粉、及びセルロース誘導体から選ばれた1種以上であ
    る請求項3に記載の被覆農薬粒剤用農薬粒子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載の農薬
    粒子の表面を、樹脂を含有する被膜材で被覆してなる被
    覆農薬粒剤。
  6. 【請求項6】 樹脂がオレフィン系重合体である請求項
    5に記載の被覆農薬粒剤。
  7. 【請求項7】 被覆農薬粒剤が、施用後一定期間農薬成
    分の放出が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過後
    農薬成分の放出が持続する放出期間とからなる時限放出
    型の徐放機能を有する請求項5若しくは請求項6記載の
    被覆農薬粒剤。
  8. 【請求項8】 1種以上の農薬成分を含有し、且つ、振
    とう破壊処理を受けた後の粒子の崩壊率が0.001〜
    2%の範囲である農薬粒子を流動状態とし、該農薬粒子
    の表面に樹脂を含有する被膜材を噴霧することにより粒
    子表面に被膜を形成させることを特徴とする被覆農薬粒
    剤の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項5〜7項の何れか1項に記載の被
    覆農薬粒剤を施用する農作物の栽培方法。
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