JP3845495B2 - 非揮発性メモリ・アレイを消去する方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は全般的に集積回路の分野、更に具体的に言えば、電気的に消去可能なフラッシュ固定メモリ(フラッシュEPROM)を消去する改良された手順に関する。この発明が関係する種類のフラッシュEPROMは、単一トランジスタで形成された非揮発性メモリ・セルを持ち、この単一トランジスタは分割制御ゲートなしに形成されている。
【0002】
従来の初期の手順を使うと、非揮発性フラッシュEPROMアレイの全てのメモリ・セルは同時に消去される。多くの場合、同時に消去すると、過大な数のメモリ・セルの過消去が起こる。過大な数のメモリ・セルの過消去に対する1つの解決策は、アレイ全体のサブアレイを別々に消去する従来のそれより後期の手順である。
【0003】
この従来の後期の手順では、非揮発性フラッシュEPROMアレイの全てのサブアレイにある全てのセルに消去パルスが同時に印加される。各々の消去パルスを印加した後、各々のサブアレイにある対応するセル、又は対応するセル群を検査して、そのセル又はセル群が消去されているかどうかを調べる。セル又はセル群が消去されていると分かったとき、全てのサブアレイにある全てのセルにこれ以上の消去パルスが同時に自動的に印加されることはない。各々のサブアレイにある対応する個別のセル又はセル群が消去されているかどうかを判断するまで、この試験が続けられる。何れかの対応するセル又はセル群が消去されていないと分かると、消去されていないセルを含むサブアレイだけに、少なくとも1つの消去パルスが印加される。各々の工程で、各々のサブアレイの過消去されたセルを補正し、全てのセルが消去されたが、過消去がされなくなるまで、又はあるカウントを越えるまで、この消去手順が続けられる。
【0004】
この従来の後期の手順を使って、多数の遅いメモリ・セルを持つ非揮発性フラッシュEPROMを消去するとき、問題が起こる。この場合、従来の後期の手順では、消去動作が完了するまでには長すぎる時間を必要とする。
【0005】
個別のサブアレイを消去する融通性を持つが、消去動作の完了に必要な時間の長さを短縮し、しかも閾値電圧の分布範囲が狭くなるような改良された消去手順の必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
この発明では、改良された消去手順を提供する。改良された消去手順は、個別のサブアレイを消去する融通性を持ち、その結果、閾値電圧の分布範囲が狭くなる。ほとんどあらゆる場合に、この発明の手順は全体的な消去時間を短縮する。
【0007】
改良された消去手順は、フラッシュEPROMアレイの全てのサブアレイに最初に一連の消去パルスを同時に印加することを含む。各々の消去パルスの合間に、各々のサブアレイにあるメモリ・セルを一度に1列ずつ同時に検査して、何れかのセルが過消去されているかどうかを調べる。この手順の間の任意の時に、セルが過消去されたら、この過消去状態を補正し、その後、従来と同じように消去手順を続ける。すなわち、従来のように消去状態が起こるまでという代りに、過消去状態が起こるまで、全てのサブアレイにある全てのセルに消去パルスを同時に印加する。過消去状態が最初に発生した後、明細書のこれまでの部分で述べたように、従来の手順に従う。すなわち、各々のサブアレイにある対応する個別のセル又はセル群が消去されているかどうかを判定するために、試験を続ける。何れかの対応するセル又はセル群が消去されていないと分かった場合、消去されていないセルを含むサブアレイだけに、少なくとも1つの消去パルスを印加する。各々の工程で、各々のサブアレイの過消去セルが補正され、全てのセルが消去されているが、過消去がされていない状態になるまで、又はあるカウントを越えるまで、消去手順が続けられる。前と同じく、各々の消去パルスの後、各々の個別のサブアレイのセルを検査して、そのサブアレイのセルが過消去されているかどうかを調べる。各々の工程で、各々のサブアレイの過消去されたセルを補正し、全てのセルが消去されているが、過消去はされていない状態になるまで、又はあるカウントを越えるまで、消去手順を続ける。
【0008】
ここに説明した方法の技術的な利点は、従来の手順で必要とする時間の1/3という短い時間内に、消去閾値電圧が狭い範囲に達することである。
【0009】
【実施例】
この発明の好ましい実施例およびその利点は、図1ないし5を参照すれば最もよく理解される。図面全体にわたり、対応する部分には同じ参照数字を用いている。しかし、この発明は広く応用しうる発明概念を持ち、これは種々の特定の場合に実施することができることを承知されたい。特定の実施例は、この発明の範囲を制限することなく、この発明の構成の仕方並びに使い方を具体的に例示するものである。
【0010】
図1について説明すると、この発明の方法の使い方を例示するために、メモリ・チップの必須の一部分である一例としてのメモリ・セルのアレイが示されている。各々のセルが、ソース11、ドレイン12、浮動ゲート13及び制御ゲート14を持つ浮動ゲート・トランジスタ10である。1行のセル10内にある各々の制御ゲート14がワード線15に接続され、各々のワード線15がワード線復号器16に接続される。1行のセル10内にある各々のソース11がソース線17に接続される。1列のセル10内にある各々のドレイン12がドレイン−列線18に接続される。各々のソース線17が列共通線17aによって列復号器19に接続され、各々のドレイン−列線18が列復号器19に接続される。
【0011】
読取モードでは、ワード線復号器16が、線20r上のワード線アドレス信号並びに読取/書込み/消去制御回路21(又はマイクロプロセッサ21)からの信号に応答して、選ばれたワード線15に予め選ばれた正の電圧Vcc(約+5V)を印加すると共に、選ばれなかったワード線15に低電圧(アース又はVSUB )を印加する。列復号器19は、少なくとも選ばれたドレイン−列線18に予め選ばれた正の電圧VSEN (約+1V)を印加すると共に、低電圧(0V)をソース線17に印加するように作用する。列復号器19は、アドレス線20dの信号に応答して、選ばれたセル10の選ばれたドレイン−列線18をデータ入力/出力端子に接続するようにも作用する。選ばれたドレイン−列線18及び選ばれたワード線15に接続されたセルの導電又は非導電状態が、データ入力/出力端子22に接続されたセンスアンプ(図面に示してない)によって検出される。
【0012】
フラッシュ消去モードの間、列復号器19は、全てのドレイン−列線18を浮動状態(オフ状態にバイアスされた電界効果トランジスタのような高インピーダンスに接続された状態)に残すように作用しうる。ワード線復号器16は、全てのワード線15を基準電位VSUB に接続するように作用する。この電位はアースであって良い。列復号器19は、消去しようとするセル(アレイ全体又はサブアレイのセル)のソース線17に一連の高い正の電圧VEE(約+10Vないし+15V)パルスを印加するようにも作用する。これらの消去パルスが、浮動ゲート13からの電荷をソース11に移転するファウラー・ノルドハイム・トンネル電流を発生するくらいの電界強度をゲート酸化物領域にわたって作り出し、メモリ・セル10を消去する。消去手順について更に詳しいことは、後で説明する。
【0013】
書込み又はプログラム・モードでは、ワード線復号器16が、線20r上のワード線アドレス信号並びに読取/書込み/消去制御回路21(又はマイクロプロセッサ21)からの信号に応答して、選ばれた制御ゲート14を含む選ばれたワード線15に予め選ばれた第1のプログラミング電圧VP1(約+12V)を印加するように作用し得る。列復号器19も、選ばれたドレイン−列線18、従って選ばれたセル10のドレイン12に第2のプログラミング電圧VP2(約+5ないし+10V)を加えるように作用する。ソース線17が基準電位VSUB に接続されるが、この電位はアースであって良い。全ての選ばれなかったドレイン−列線18が基準電位VSUB に接続されるか、あるいは浮動になる。これらのプログラミング電圧が、選ばれたメモリ・セル10のチャンネルに大電流(ドレイン12からソース11へ)状態を作り、その結果、ドレイン−チャンネル接合の近くに、チャンネルの熱い電子及びなだれ降伏電子を発生し、それらの電子がチャンネル酸化物を介して、選ばれたセル10の浮動ゲート13に注入される。プログラミング時間は、チャンネル領域に対し(VP1が0Vの状態で)約−2Vないし−6Vの負のプログラム電荷を浮動ゲート13にプログラムするのに十分な長さに選ばれる。この実施例に従って作られたメモリ・セル10では、制御ゲート14/ワード線15及び浮動ゲート13の間の結合係数は約0.6である。従って、例えば、選ばれた制御ゲート14を含めて、選ばれたワード線15に12Vのプログラミング電圧VP1があると、選ばれた浮動ゲート13に約+7.2Vの電圧が加えられる。浮動ゲート13(約+7.2Vにある)とアースされた(約0V)ソース線17の間の電圧の差は、選ばれた又は選ばれなかったセル10の浮動ゲート13を充電するファウラー・ノルドハイム・トンネル電流をソース11及び浮動ゲート13の間のゲート酸化物を横切って生じさせるには不十分である。選ばれたセル10の浮動ゲート13は、プログラミングの間に注入された熱い電子で充電され、これらの電子が、制御ゲート14に正の読取電圧がある状態で、選ばれたセル10の浮動ゲート13の下にあるソース‐ドレイン通路を非導電にし、これが‘0’ビットとして読取られる状態である。選ばれなかったセル10の浮動ゲート13の下にあるソース‐ドレイン通路は導電状態のままであり、これらのセル10は‘1’ビットとして読取られる。
【0014】
図2について説明すると、この発明のフラッシュEPROM又はフラッシュ・アレイARは非揮発性メモリ・セル10を有する。各々のセル10は単一トランジスタで形成されており、この単一トランジスタは分割制御ゲート14なしに形成される。セル10が基板23の上に形成される。チャンネル24が拡散されたソース11を拡散されたドレイン12から隔てている。ゲート絶縁体25がチャンネル24並びに基板23を浮動ゲート13から分離している。レベル間絶縁体26が浮動ゲート13を制御ゲート14から分離している。この形式のメモリ・アレイARは、フラッシュ消去の後、再びプログラミングする前に、閾値電圧VT の比較的狭い分布を必要とする。すなわち、閾値電圧VT は狭い範囲に分布しているべきであり、その範囲は、小さな正の値である下限から、読取電圧Vccより低い一層大きな正の値である上限までに及ぶ。読取電圧Vcc(大体約+5V)が、アレイARの読取動作中、セル10の制御ゲート14に印加される電圧である。前に述べたように、読取電圧がメモり・セル10の制御ゲート14に印加されると、ソース‐ドレイン通路の導電度が測定される。消去されたセル10のソース‐ドレイン通路又はチャンネル24は、読取電圧が印加された状態で導電するが、プログラムされたセル10のソース‐ドレイン通路24は導電しない。ここで説明している形式のメモリでは、消去されたセル10の浮動ゲート13は、中立の充電状態、あるいは場合によって若干正に充電された状態であるのが普通である。プログラムされたセル10の浮動ゲート13は負に充電される。
【0015】
あるフラッシュ・メモリARは、フラッシュ消去の後の閾値電圧VT が幅広く分布している。この幅広い分布は、例えば、フラッシュ・メモリARのセル10の間の酸化物の厚さの違いによって起こることがある。消去が最も遅いメモリ・セル10(最高の消去閾値電圧VT を持つメモリ・セル10)は、メモリ・セル10並びにそれに並列接続された任意のメモリ・セル10を正しく読取ろうとすれば、最終的な閾値電圧VT が読取電圧より低くならなければならない。消去が最も速いメモリ・セル10(最低の消去閾値電圧VT を持つメモリ・セル10)は、メモリ・セル10をターンオフすることができないように、(負の値を含めて)あまり低い閾値電圧VT まで消去してはならない。この場合も、過消去(又は空乏状態)のメモリ・セル10は、アレイAR内の並列接続されたメモリ・セル10の列全体を正しく読取るのを妨げる。図3は、遅いメモリ・セル10(曲線A)及び速いメモリ・セル(曲線B)に対する消去閾値電圧VT 対時間の関係を示す。
【0016】
初期の従来技術では、非揮発性アレイARの全てのメモリ・セル10が同時に消去されている。同時に消去すると、過大な数のメモリ・セル10の過消去を招き、この結果、従来技術も、その後期ではアレイAR全体の別々に消去しうるサブアレイを使うようになった。
【0017】
図1に戻って説明すると、非揮発性メモリ・セル10の例として示したアレイARは、少なくとも第1のサブアレイS1及び第2のサブアレイS2に分割されている。第1の消去入力I1が第1のサブアレイS1に接続され、第2の消去入力I2が第2のサブアレイS2に接続される。第1及び第2のサブアレイS1及びS2の各々は、夫々の消去入力I1又はI2に一連の消去パルスを印加することにより、別々にフラッシュ消去が可能である。典型的なアレイARは、例えばこのような16個のサブアレイS1、S2等で構成することができ、これらのサブアレイが16個の消去入力I1、I2等に接続されている。
【0018】
アドレスA0‐A6は列アドレスである。各々の列アドレスA0‐A6が、第1及び第2のサブアレイS1及びS2の中をのびる列をアドレスする。すなわち、第1のサブアレイS1にある列のセル10のドレイン12が第2のサブアレイS2にある列のセル10のドレイン12に接続される。
【0019】
従来、圧縮と呼ばれる方法を使って、空乏状態のメモリ・セル10の閾値電圧VT を高めている。メモリ・セルの閾値電圧を圧縮する1つの手順が、1992年6月16日にジョバンニ・サンティンに付与され、テキサス・インストゥルメンツ・インコーポレーテッド社に譲渡された米国特許第5,122,985号に記載されている。アレイARが一層小さい部分(サブアレイS1、S2等)に分割される。1つのサブアレイにある少なくとも1つの対応するメモリ・セル10が消去されるまで、個別の消去パルスが全てのサブアレイに最初に同時に印加される。少なくとも1つのセルが消去された時点で、消去検証試験に合格しなかった任意のサブアレイ(場合によってS1又はS2)だけに、個別の消去パルスが印加される。この方法を使うと、一番遅いメモリ・セル10及び一番速いメモリ・セル10の両方が同じサブアレイS1又はS2内で発生して、空乏状態を招く確率が低くなる。消去検証試験に合格しなかったサブアレイS1又はS2が更に消去された場合にだけ、小さい方のサブアレイS1及びS2が全体的な消去分布を改善する。この消去手順が図4に示されており、「従来の消去手順のフローチャート」と記されている。従来の後期に生まれたこの方式は、単独の遅いメモリ・セル10を持つメモリ・アレイARに対してよく作用する。
【0020】
しかし、閾値電圧VT の消去分布が非常に大幅になるような多数の遅いメモリ・セル10を持つアレイARを消去するのに、この従来の後期の手順を使うことにより、問題が起こる。従来のこの後期の手順を使うと、全ての消去検証試験が、サブアレイS1、S2等の各行に逐次的にかつ同時に実施される。行の各組の中で、消去検証試験は、一度に1列又は1つのアドレスで実施される。最初の消去検証試験によって、消去の必要が分かった場合、全てのサブアレイS1、S2にある全てのメモリ・セル10が少なくとも1つの同時の消去パルスを受け取る。消去検証試験が再び行われ、場合によってメモリ・セル10のある群内のあるメモリ・セル10が消去の必要を示す場合、消去されていないセル10を持つ個別のサブアレイS1、S2だけに、消去パルスが印加される。すなわち、この従来の後期の手順では、ある列内の(全てのサブアレイS1、S2等を含む)セルは、アレイとしてではなく、サブアレイとして消去される。各々のサブアレイの列が消去された後、そのサブアレイの列内にあるセルが、消去されたかどうか又は過消去されたか検証され、その後、過消去されていれば圧縮される。この過程が、アレイAR内の全てのセル10が消去され、検証され、もし過消去であれば圧縮されるまで、又は消去/圧縮工程の数があるカウントを越えるまで、この過程が各々の行に対して列ごとに繰り返される。
表Iの例は、例えば、図1の2つのサブアレイS1及びS2の各々の第1行にあるメモ・セル10を消去するのに必要な個別に印加される多数の個別の消去パルスの必要な数を示している。
【0021】
【表1】
しかし、表Iの例並びに図1のアレイに従来の後期の手順を適用することは、別の問題の例示になる。従来の後期の手順は、全般的に図4のフローチャートに示されている。前に述べたように、図1のアレイARが第1及び第2のサブアレイS1及びS2に分割され、第1のサブアレイS1が第1の消去入力I1に接続され、第2のサブアレイS2が第2の消去入力I2に接続される。(図4及び図5の手順では、I/Oという符号は図1の入力I1及び入力I2に対応する。)消去入力I1に印加された消去パルスは、第1のサブアレイS1にあることごとくのセル10をフラッシュ消去する傾向を持つ。同様に、消去入力I2に印加された消去パルスは、第2のサブアレイS2にあることごとくのセル10をフラッシュ消去する傾向を持つ。消去入力I1及びI2に印加される各々の消去パルスは、アレイARにある最も速いセルを過消去しないくらいに短い。各々のサブアレイS1及びS2は、アドレス入力A0‐A6に接続された共通の7列を持っている。従来の後期の手順を使うと、短い消去パルスがサブアレイS1にあるセル10に印加される。この列のうち、第1のサブアレイS1のアドレスA0に対応する部分が、この後、列のこの部分にあるセル10が消去されたかどうかを調べるために検査される。消去されていなければ、第2の消去パルスが印加され、検査が繰り返される。
【0022】
従来の初期の手順が使われ、従って、第1の消去入力I1及び第2の消去入力I2の両方に消去パルスが同時に印加された場合、20個のパルスしか必要としないことに注意されたい。しかし、その後、第2の消去入力I2が不必要な5個の消去パルスを受け取り、こういうパルスは、サブアレイS1又はS2にある他のメモリ・セル10の内の1つ又は更に多くを空乏状態に駆動することがある。
【0023】
表Iの例並びに図4に示した従来の手順を使うと、第1のサブアレイS1の列A0の部分にある第1行のセルを消去するために、相次ぐ20個の消去パルスが第1の消去入力I1に印加される。アドレスA0に対応する同じ列にあるが、第2のサブアレイS2にある第1行のメモリ・セル10を消去するために、2つの相次ぐ消去パルスが第2の消去入力I2に印加される。第1の消去入力I1に20個の消去パルスを、そして第2の消去入力I2に2つの相次ぐ消去パルスを印加した後、消去検証試験によって、アドレスA0によって定められた列にあるサブアレイの第1行のセルが首尾良く消去されたことが示される。その後、消去検証試験はアドレスA1にインクレメントし、その後アドレスA2へというようにインクレメントする。アドレスA1及びA3は、第1又は第2の消去入力が、第1及び第2の消去入力I1及びI2に前に印加された消去パルスの数以下の数の消去パルスを印加することしか必要としないので、アドレスA1及びA3は、余分の消去パルスの印加を必要としない。アドレスA3は、第1の消去入力I1に対する消去パルスの印加を必要としない。しかし、アドレスA3は、第2の消去入力I2に別の13個の消去パルスを印加することを必要とする。残りのアドレスA4‐A6は余分の消去パルスを必要としない。この方法で、サブアレイS1及びS2の最初の行を消去するのに必要な消去パルスの累算数は33(20及び13の和)である。
【0024】
サブアレイの行を並列に試験し、サブアレイに消去パルスを個別に印加する過程は、全てのサブアレイS1、S2等の全ての行が検証試験に合格するまで続けられる。
【0025】
従来の後期の手順の改良が、図4の消去手順を、「改良された消去手順のフローチャート」と記した図5に示す消去手順に変更することによって示されている。図5の手順は、図4の一部分ではないフラグFLを含む。フラグFLは、最初はクリアされており、どれかの空乏試験が合格しなかった場合にセットされる。この手順の消去パルス・セグメントは、このフラグFL次第である。フラグFLがセットされていなければ、全てのサブアレイS1、S2等が並列に消去される。一旦何れかのサブアレイS1、S2等が空乏検査に合格しなくなると、フラグFLがセットされる。この後の消去パルスは、消去検証試験に合格しなかった特定のサブアレイS1、S2等にだけ印加される。表Iの前に述べた例では、第2の消去入力I2に印加された20個のパルスによって、サブアレイS1又はS2の何れの第1行にあるどのセル10も空乏状態にならなかった場合、累算的な消去時間は合計で僅かパルス20個である。しかし、第1の消去入力I1及び第2の消去入力I2の両方に印加された13番目のパルスで、サブアレイS1のアドレスA1又はA2又はサブアレイS2のアドレスA2‐A6の内のどこかのアドレスにあるセル10が空乏試験に合格しなかった場合、その時、サブアレイS1のアドレスA0にあるセル10を消去するには、更に7個のパルスが入力I1に必要である。更に、アドレスA3にあるセル10を消去して消去を完了するには、入力I2に更に2つのパルスが必要である。これによって、サブアレイS1及びS2の第1行を消去するための合計はパルス22個になる。この解決策は、過大な過消去なしに、アレイARに対する消去時間を改善する。
【0026】
表Iの例を消去するために図5の手順を使うとき、第1及び第2の両方のサブアレイS1及びS2に印加された20個の消去パルスが、アレイARのどのセル10をも過消去しないことがあり得る。そういう場合、直前の例で述べた22個の代りに、20個のパルスしか必要としない。
【0027】
この発明の手順を使うと、アレイARがサブアレイS1、S2等の群に分割され、過消去状態(空乏状態)が起こるか、あるいは全てのセルが消去されるか、そのどちらかが最初に起こるまで、全てのサブアレイS1、S2等に対して並列に消去動作が実施される。この発明の手順の独特の特徴は、過消去状態が起こった場合、消去動作はサブアレイS1、S2等に対して個別に続けられ、消去検証試験に合格しなかったサブアレイS1、S2等だけが消去パルスを受け取ることになっていることである。
【0028】
前段では、空乏状態検査工程は、制御ゲート14に小さい電圧を印加して、空乏状態になったメモリ・セル10のソース11及びドレイン12の間の実質的な電流の導通を検査するのが普通である。希望によっては、空乏状態の検査が、制御ゲート14に小さい電圧を印加した状態で、空乏状態になったメモリ・セル10のソース11及びドレイン12の間の極く小さい電流の導通を検査することができる。小さい電流の基準を使うことにより、実際の過消去又は空乏状態が防止される。従って、過消去状態を補正するのに必要な時間が節約されるが、別の問題が発生する。
【0029】
この発明の手順の利点は、過消去の余裕を保ちながら、消去時間が一層短くなることである。
この代りに、メモリ・セルは、過消去の検査をする前に、消去されているかどうかを調べるために検査することができる。この逆の順序の手順の欠点は、過消去されたセルが、並列接続されたセルが消去されているかどうかを試験する能力に悪影響を及ぼすことである。
【0030】
この発明を実施例について説明したが、この説明はこの発明を制限する意味に解してはならない。以上の説明から、当業者には、実施例の種々の変更並びにこの発明のその他の実施例が容易に考えられよう。従って、特許請求の範囲には、この発明の範囲内に属するこのような全ての変更又は実施例を包括することを承知されたい。
【0031】
以上の説明に関し、更に以下の項目を開示する。
(1) 少なくとも第1及び第2のサブアレイのメモリ・セルを持ち、該第1のサブアレイのメモリ・セルが別々にフラッシュ消去可能であり、前記第2のサブアレイのメモリ・セルが別々にフラッシュ消去可能であるような非揮発性メモリ・アレイを消去する方法に於いて、
(イ)前記第1のサブアレイ及び第2のサブアレイに少なくともフラッシュ消去パルスを同時に印加し、
(ロ)前記メモリを試験して、該メモリ内の何れかのメモリ・セルの空乏状態を判定し、該空乏状態の試験が、一度にサブアレイあたり1列のメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ハ)前記メモリ内の何れかのメモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正し、
(ニ)前記メモリ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために試験し、該試験は一度にサブアレイあたり1つのメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ホ)前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが過消去されて補正されており、前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていない場合、前記第1のサブアレイだけに別のフラッシュ消去パルスを印加し、
(ヘ)前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが空乏状態であって補正されており、前記第2のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていない場合、前記第2のサブアレイだけに別のフラッシュ消去パルスを印加する工程を含む方法。
【0032】
(2) (1)記載の方法に於いて、更に、工程(ニ)より後、そして工程(ホ)及び(ヘ)の前に、前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが空乏状態で補正されていて、前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されておらず、前記第2のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていない場合、前記第1及び第2のサブアレイに別のフラッシュ消去パルスを同時に印加する工程を含む方法。
【0033】
(3) (1)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスを印加した後、前記サブアレイ内のメモリ・セルの空乏状態を検査する工程を含む方法。
(4) (1)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内のメモリ・セルの空乏状態を検査し、メモリ・セルが空乏状態にあれば、該空乏状態を補正することを含む方法。
(5) (1)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内のメモリ・セルの空乏状態を検査し、メモリ・セルが空乏状態にあれば、該空乏状態を補正し、更に、前記サブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために検査することを含む方法。
(6) (1)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内のメモリ・セルの空乏状態を検査し、更に、前記サブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために検査することを含む方法。
(7) (1)記載の方法に於いて、前記空乏状態の検査が、メモリ・セルの制御ゲートに小さい電圧を印加した状態で、該メモリ・セルのソース及びドレインの間に極く小さい電流の導通があることであり、この小さい電流は、メモリ・セルに実際に空乏状態がないことを示す方法。
(8) (1)記載の方法に於いて、前記非揮発性メモリ・アレイが、分割制御ゲートを持たない1トランジスタ・メモリ・セルを含む方法。
【0034】
(9) 別々にフラッシュ消去可能な多数のサブアレイのメモリ・セルを持つフラッシュEPROMを消去する方法に於いて、
(イ)各々のフラッシュ消去可能なサブアレイに少なくともフラッシュ消去パルスを同時に印加し、
(ロ)前記フラッシュEPROMを試験して、該フラッシュEPROM内の何れかのメモリ・セルが空乏状態であるかどうかを判定し、該空乏状態の試験が、一度にサブアレイあたり1列のメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ハ)前記フラッシュEPROM内の何れかのメモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正し、
(ニ)前記フラッシュEPROMを試験して、前記フラッシュEPROM内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定し、この試験が一度にサブアレイあたり1つのメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ホ)前記フラッシュEPROM内のメモリ・セルが消去されていない場合、消去されていないメモリ・セルがあるサブアレイだけに別のフラッシュ消去パルスを印加する工程を含む方法。
【0035】
(10) (9)記載の方法に於いて、更に、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態かどうかを検査することを含む方法。
(11) (9)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、該サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態かどうかを検査し、メモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正することを含む方法。
(12) (9)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態かどうかを検査し、メモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正し、更に、前記サブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために検査することを含む方法。
(13) (9)記載の方法に於いて、更に、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態かどうかを検査し、前記サブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために検査することを含む方法。
(14) (9)記載の方法に於いて、前記空乏状態の検査は、メモリ・セルの制御ゲートに小さい電圧を印加した状態で、該メモリ・セルのソース及びドレインの間の極く小さい電流の導通を検査し、該小さい電流はメモリ・セルが実際に空乏状態ではないことを表す方法。
(15) (9)記載の方法に於いて、前記非揮発性メモリ・アレイが、分割制御ゲートを持たない1トランジスタ・メモリ・セルを含む方法。
【0036】
(16) 別々にフラッシュ消去可能な多数のサブアレイのメモリ・セルを持つフラッシュEPROMを消去する方法に於いて、
(イ)フラッシュ消去可能な各々のサブアレイに少なくともフラッシュ消去パルスを同時に印加し、
(ロ)前記フラッシュEPROMを試験して、該フラッシュEPROM内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定し、該試験は一度にサブアレイあたり1つのメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ハ)前記フラッシュEPROMを試験して、該EPROM内の何れかのメモリ・セルが過消去されているかどうかを判定し、該試験は一度にサブアレイあたり1列のメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ニ)前記フラッシュEPROM内の何れかのメモリ・セルが過消去されている場合、該過消去状態を補正し、
(ホ)前記フラッシュEPROM内の何れかのメモリ・セルが消去されていない場合、消去されていないメモリ・セルがあるサブアレイにだけ、別のフラッシュ消去パルスを印加する工程を含む方法。
【0037】
(17) (16)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルの空乏状態を判定するために検査することを含む方法。
(18) (16)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態であるかどうかを調べるために検査することを含み、メモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正することを含む方法。
(19) (16)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態かどうかを調べるために検査し、メモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正し、更に、そのサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために検査することを含む方法。
(20) (16)記載の方法に於いて、前記別の消去パルスの印加後、前記サブアレイ内の1つ又は更に多くのメモリ・セルが空乏状態であるかどうかを調べるために検査することを含み、更に、該サブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために検査することを含む方法。
(21) (16)記載の方法に於いて、前記非揮発性メモリ・アレイが、分割制御ゲートを持たない1トランジスタ・メモリ・セルを含む方法。
【0038】
(22) フラッシュEPROMアレイ(AR)を消去する手順が、フラッシュEPROMアレイ(AR)の全てのサブアレイ(S1、S2等)に同時に一連の消去パルスを印加することを含む。各々の消去パルスの合間に、各々のサブアレイ(S1、S2等)のメモリ・セル10を一度に1行ずつ、そして一度に1つの列ずつ同時に検査し、任意のセル10が過消去されているかどうかを調べる。この手順の間の任意のときに、セル10が過消去されていると分かった場合、過消去状態を補正し、消去手順を続けるが、従来のサブアレイ消去手順と同じように、消去されていないメモリ・セル10を持つサブアレイ(S1、S2等)だけに、消去パルスが印加される。殆どあらゆる場合に、この発明の手順は全体的な消去時間を短縮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】非揮発性メモリ・セル・アレイの一部分をブロック図で示した回路図。
【図2】この発明の方法に用いられる形式の非分割ゲート型メモリ・セルの断面図。
【図3】時間に対して電圧閾値を示すグラフであって、消去の速いメモリ・セルの特性並びに消去の遅いメモリ・セルの特性を例示している。
【図4】従来の後期の消去手順を示すフローチャート。
【図5】この発明の消去手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
S1,S2 サブアレイ
10 セル
Claims (1)
- 少なくとも第1及び第2のサブアレイのメモリ・セルを持ち、該第1のサブアレイのメモリ・セルが別々にフラッシュ消去可能であり、前記第2のサブアレイのメモリ・セルが別々にフラッシュ消去可能であるような非揮発性メモリ・アレイを消去する方法に於いて、
(イ)前記第1のサブアレイ及び第2のサブアレイに少なくともフラッシュ消去パルスを同時に印加し、
(ロ)前記メモリを試験して、該メモリ内の何れかのメモリ・セルの空乏状態を判定し、該空乏状態の試験が、一度にサブアレイあたり1列のメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ハ)前記メモリ内の何れかのメモリ・セルが空乏状態であれば、該空乏状態を補正し、
(ニ)前記メモリ内の何れかのメモリ・セルが消去されていないかどうかを判定するために試験し、該試験は一度にサブアレイあたり1つのメモリ・セルを同時に検査することによって実施され、
(ホ)前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが過消去されて補正されており、前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていない場合、前記第1のサブアレイだけに別のフラッシュ消去パルスを印加し、
(ヘ)前記第1のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが空乏状態であって補正されており、前記第2のサブアレイ内の何れかのメモリ・セルが消去されていない場合、前記第2のサブアレイだけに別のフラッシュ消去パルスを印加する工程を含む方法。
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