JP3845296B2 - 内視鏡用汚れ除去具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡の汚れを除去するようにした内視鏡用汚れ除去具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、内視鏡の対物レンズ面に付着した汚れを除去する手段として、内視鏡に付設したノズルから流体を噴射して汚れを洗い落とすことが知られている。これにより、内視鏡の挿入部を体内に挿入した状態で、対物レンズ面に付着した汚物を洗い落とす事が出来る。つまり、内視鏡の挿入部を体内から体外に取り出す事なく、対物レンズ面に付着した汚れを除去出来る。従って、観察もしくは処置中に対物レンズ面が汚れた場合でも、手技を中断して内視鏡を体外に取り出す必要がなく、かつ、意図しない出血等の自体にも迅速に対処可能で、しかも、術者および内視鏡操作者のストレスを軽減するという利点がある。
【0003】
一方、内視鏡下外科手術において、汚れを除去する前述以外の従来技術としては、例えば、USP第5400767号に示されるように、内視鏡の挿入部を洗浄用シース内に差し込み、洗浄用シース内に手元側から洗浄液としての生理食塩水等を注入し、生理食塩水等を対物レンズ面まで導き、対物レンズ面に付着した汚物を洗い流すようにしたものが提案されている。
【0004】
また、液体を使用しないで、対物レンズ面に付着した汚物を除去する技術としては、例えば、実開昭62−176817号公報や特開平8−29699号公報のように、対物レンズの表面をワイパーで拭くようにしたものもある。この2つの公報にあっては、いずれも、対物レンズの表面をワイパーで拭いて汚れを機械的に除去するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
内視鏡の対物レンズ面に付着した汚れをノズルから噴射させた流体で洗い落とす場合や、内視鏡の挿入部を洗浄用シース内に差し込んで使用するUSP第5400767号等では、体液や血液等の軽い汚れを除去出来ても組織片等の硬い汚れまでは簡単に除去する事が出来ない。また、汚れを除去できたとしても、対物レンズの表面上に洗浄液が残る、所謂、水切れが良くない状態となり、視野を妨げることが多々ある。よって、結局、内視鏡を体腔から外へ取り出し、対物レンズの外表面を拭く作業を必要とする場合がある。
【0006】
一方、実開昭62−176817号公報や特開平8−29699号公報の場合は、対物レンズ面に拭取り部材を当接させ、拭取り部材を対物レンズ面にある程度強く押さえ付ける必要がある。前案に示される拭取り部材はその一端のみを一本の軸で支えられる構造となっている。よって、軸に支えられていない拭取り部材の側では、対物レンズ面に対して押圧力を均一に且つ十分に加えることが難しい。したがって、対物レンズ面上の汚れを均一に除去することが難しい。さらに、内視鏡自体にワイパー機構を設けているので、その機構を組み込む分、内視鏡の構成が複雑になり、かつ機器自体が高価なものになる。また、既に施設などで用いられている内視鏡に、この機構を後付けして使用出来ない。
【0007】
本発明は前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、内視鏡の対物レンズの汚れを除去する事が出来る内視鏡用汚れ除去具を提供する事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る内視鏡用汚れ除去具は、対物レンズを有する内視鏡の挿入部が挿入されるチューブと、前記チューブに連結された弾性変形可能な弾性部材と、前記弾性部材に連結され、前記対物レンズ上をスライドさせて前記対物レンズから汚れを拭取る拭取り部材とを具備し、前記弾性部材、前記チューブに対して前記内視鏡の挿入部を移動させながら前記対物レンズの汚れを拭取る際に、前記拭取り部材を、前記対物レンズ上に押圧させた状態でスライドさせるものであり、前記チューブおよび前記弾性部材は、それぞれ、中空に形成されているとともに第1および第2の開口を備え、前記チューブの前記第1の開口は、前記弾性部材の前記第1の開口に接続され、前記内視鏡の挿入部は、前記チューブの前記第2の開口から前記チューブに挿入されることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1および図2は本発明の第1実施形態を示している。図1に示されるように、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1は直管状の部材で形成されたシース(チューブ)2を備えてなり、シース2の先端には先端部3が設けられ、シース2の基端には手元部としての把持部4が設けられている。内視鏡用汚れ除去具1は、内視鏡の挿入部を把持部4からシース2および先端部3まで差し込める管体として構成されている。
【0011】
シース2の基端に取り付けられている把持部4はシース2の外径よりも大きな外径を有しており、その把持部4の外周表面には滑り止め用の凹凸部5が形成されている。把持部4の内部にはシース2に連通する貫通孔(図示せず)が形成されている。また、把持部4の基端6は、汚れ除去具1の長手軸方向に直角な平坦な端面として形成されている。
【0012】
内視鏡用汚れ除去具1の先端部3は、内視鏡の挿入部(特に先端部)が挿通可能な内孔を有する管状部11を基体としている。管状部11の先端側開口には、その開口中央を横切って位置する帯状(ストリップ状)の部材である当接部(ワイパーブレード)12が配置されている。当接部12の両端はいずれも、陵部13(結合部)によって、管状部11の先端側開口端縁に結合されている。また、当接部12および陵部13は、管状部11と一体の部材として形成されている。図1の(c)に示すように、管状部11の基端部内面には嵌合段差部14が形成されている。このように構成される先端部3は、例えばシリコンやポリウレタンなどの適度な硬さを有する弾性素材により一体的に成形される。また、弾性素材の硬さが高い程、元の形状に戻ろうとする力量が強い事は言うまでもない。なお、ここでは、当接部12と陵部13の肉厚は同じであるが、当接部12の肉厚が陵部13よりも大きくても良い。また、先端部3を形成する素材は透明なものであっても良い。
【0013】
図1の(c)に示すように、シース2の先端部分の外周には嵌合段差15が形成されている。また、図1の(b)に示すように、この嵌合段差15には、先端部3の嵌合段差部14が密に嵌合して接着固定されている。なお、シース2と先端部3との接合方法は接着固定でなくても良く、例えば、嵌合段差部14と嵌合段差15が圧入固定されるだけでも良い。また、インサート成形によってシース2と先端部3とを一体に成形しても良い。
【0014】
以上の如く、シース2と先端部3は、互いに接続された時に、それぞれの内径と外径がいずれも略等しくなるように設計されている。そして、シース2の内部および先端部3の内部によって、内視鏡の挿入部を挿通可能な貫通孔16が形成される。
【0015】
内視鏡用汚れ除去具1の全長Lは、内視鏡20の挿入部21(図2参照)の有効長よりも短く設定される。また、内視鏡20の手元把持部22の先端23(図2参照)と、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4の基端6とが当接した状態で、内視鏡20の挿入部21の先端が内視鏡用汚れ除去具1の先端部3から突き出し過ぎないように、内視鏡用汚れ除去具1の全長Lは、丁度良い寸法に設定されている。また、本実施形態では、内視鏡20の挿入部21の先端が内視鏡用汚れ除去具1の先端から突出する量Xは、具体的には略5〜20mmである(図2の(c)参照)。なお、内視鏡用汚れ除去具1の全長Lが内視鏡案内管(図示せず)よりも長い事は言うまでもない。
【0016】
次に、図2を用いて、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を用いて術中に内視鏡の対物レンズ面上の汚れを除去する方法について説明する。
【0017】
内視鏡20は斜視型のものである。すなわち、内視鏡20の挿入部21の先端に配置された対物レンズ25の表面は、挿入部21の中心軸に対して垂直ではなく、挿入部21の中心軸に対して所定の角度を持っている。内視鏡20の手元把持部22にはライトガイドポスト26が設けられており、このライトガイドポスト26は、光源装置からの光を内視鏡側に伝える所謂ライトガイドケーブルに接続される。
【0018】
まず、術前に、図2の(a)に示すように、内視鏡20の挿入部21を、把持部4の孔から内視鏡用汚れ除去具1内に挿入する。この時、内視鏡20の対物レンズ25の表面が先端部3の当接部12に当接しない位置まで、挿入部21を除去具1内に押し込む。この状態で内視鏡用汚れ除去具1と組み合わされた内視鏡20は、内視鏡外科手術で良く使用される内視鏡案内管内に挿入されるとともに、この内視鏡案内管を通じて体腔内へ導入される。ここで、使用される内視鏡案内管は、内視鏡用汚れ除去具1の挿入部を挿通することができる寸法のものが使用される。
【0019】
図2の(a)の状態の時、術者および内視鏡操作者は、管状部11と当接部12との間の隙間から前記案内管内または体腔内の様子を内視鏡像により観察する事が出来る。よって、術者および内視鏡操作者は、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3が体腔内へと導入される事を内視鏡像で認識することができる。なお、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3が透明な素材で形成されている場合、術者および内視鏡操作者は、先端部3の部材を透して前記案内管内および体腔内の状況をより良く観察する事が出来る。
【0020】
図2の(a)の状態で内視鏡20および内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡案内管を通じて体腔内に導入する段階では、まず、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3が内視鏡案内管の先端から突き出される。そして、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3が体腔内に飛び出した事を内視鏡映像で確認出来たら、内視鏡用汚れ除去具1の把持部5を手に握って固定し、内視鏡20の挿入部21だけを前進(体腔内の方向へ)させる。すると、内視鏡20の挿入部21の対物レンズ25の表面に当接部12が突き当たる(第1の位置・・・図2の(b)参照)。この時、当接部12および陵部13は、弾性部材で作られているため、対物レンズ25の表面に押圧されて伸びる。したがって、対物レンズ25の表面が傾斜している場合でも、当接部12および陵部13は、対物レンズ25の表面と密に当接することができる。つまり、図2の(b)に示すように、当接部12は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して所定の角度を成しながら、斜めに伸びていく。ここで、シースの先端に先端部3が圧入固定される場合、圧入固定の力量は対物レンズの表面に押圧される当接部および陵部が伸びる力量よりも大きく設計されているので、先端部3がシース先端から外れることはない。
【0021】
この状態から、内視鏡20の挿入部21を更に押し進めていくと、当接部12にはその弾性素材の収縮作用によって元の位置に戻ろうとする力が発生するため、この力によって当接部12が対物レンズ25の表面に更に強く押し当たる。すなわち、内視鏡20の挿入部21を単に押し進めるだけで、当接部12は、図2の(b)(c)に示すように、傾斜した対物レンズ25の表面に沿って滑るように移動して、対物レンズ25の表面を擦って拭く。これにより、対物レンズ25の表面に付着していた汚れが確実に拭き取られる。その後、更に内視鏡20の挿入部21を押し進めていくと、最終的に、当接部12は、観察視野から外れて対物レンズ25の表面の横にずれ、内視鏡20の挿入部21の側面に退避する(第2の位置・・・図2の(c)参照)。このように、当接部12が対物レンズ25を通じた視野の外に完全に退避する事により、術中の体腔、例えば腹腔内を内視鏡20によって観察する事が可能となる。無論、以上の汚れ除去動作は、手術の途中において行なう事も出来る。
【0022】
前述したように、内視鏡用汚れ除去具1の全長Lは、内視鏡20の挿入部21の有効長よりも短く設定されている。また、内視鏡20の手元把持部22の先端23(図2参照)と、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4の基端6とが当接した状態で、内視鏡20の挿入部21の先端が内視鏡用汚れ除去具1の先端部3から突き出し過ぎないように、内視鏡用汚れ除去具1の全長Lは、丁度良い寸法に設定されている。そのため、当接部12は、内視鏡20の挿入部21によって押圧されて前述したように対物レンズ25を通じた視野の外に完全に退避した状態(対物レンズ25の横にずれた状態)では、内視鏡20の挿入部21の側方部位に位置し、対物レンズ25の表面の近傍で待機するようになる(図2の(c)参照)。
【0023】
内視鏡下外科手術は、図2の(c)に示される状態で開始される。この内視鏡下外科手術では、電気メスや超音波切開凝固装置などの処置器具を用いて、体組織の切離や出血の凝固等が行なわれる。この時、体腔内には、煙、焼けた組織の脂分、水蒸気などが飛散する。これらの飛散物は、内視鏡20の対物レンズ25の表面に付着し、対物レンズ25の表面の汚れとなって観察視野を妨げる。また、体腔内と内視鏡20自体の温度差により、対物レンズ25の表面に結露が発生し、観察視野が曇った状態になる事がある。このような状態になると、このまま手術を続行する事が不可能になるため、以下の手順で観察視野を回復させる清掃操作が行なわれる。
【0024】
まず、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を握って、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の挿入部21の先端側にスライド(前進)させる。これにより、内視鏡20の挿入部21の側面に退避していた当接部12が対物レンズ25の方向にスライドし始め、最終的には、図2の(a)に示すように、対物レンズ25の前方に当接部12が位置する状態に戻る。また、除去具1を操作する術者は、当接部12と内視鏡の挿入部との抵抗感により、このようなスライドを手元で感じる事が出来る。ここで、当接部12をスライドさせる際の抵抗感は、内視鏡20の挿入部21の側面に位置している当接部12と内視鏡20の挿入部21の側面との間の摩擦抵抗が大きく関係している。前述のように、当接部12は、対物レンズ25の表面近傍の挿入部21の側面で待機しているため、清掃のために当接部12をスライド操作する際には、対物レンズ25までの当接部12の移動距離が短くて済む。したがって、当接部12のスライド操作に要する力の作用時間を短くする事が出来、操作性を向上させることができる。
【0025】
図2の(a)に示されるように、対物レンズ25の前方に当接部12が位置した状態で、今度は、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を内視鏡20の挿入部21の基端側へスライド(後退)させる。これにより、当接部12は、図2の(b)に示すように、対物レンズ25の表面に突き当たり、その後、その弾性作用によって対物レンズ25の表面に押圧されるように伸び、傾斜した対物レンズ25の表面に密に当接するようになる。そして、前述したように、当接部12は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して所定の角度を成しながら更に斜めに伸び続け、最終的に、挿入部21の側方へと移動される。当接部12のこのような一連の移動過程では、当接部12と対物レンズ25の表面との間に摩擦が生じるため、この擦れ作用によって、対物レンズ25の表面に付着していた汚れは、当接部12が移動する方向すなわち挿入部21の側方へと移動される。なお、当接部12は、元の形状に戻ろうとする力量が強ければ強いほど、すなわち、対物レンズ25の表面に対する圧接力が強ければ強いほど、対物レンズ25との間の摩擦力が増大し、汚れの移動を促進させることができる。
【0026】
前述したように、当接部12が対物レンズ25を通じた視野外に完全に退避されて挿入部21の側方に位置する(図2の(c)参照)と、退避した当接部12と共に汚れも対物レンズ25の表面上から移動するため、内視鏡20による体腔内の観察視野が回復する。なお、以上説明した一連の汚れ除去操作において、視野復帰の程度が低い場合には、前述した汚れ除去操作を繰り返し行なえば良い。
【0027】
以上説明したように、本実施形態では、内視鏡用汚れ除去具1のみを内視鏡20に対して進退させるだけで、対物レンズ25の汚れを除去できる。すなわち、内視鏡20自体を移動させる必要がないため、それまで観察していた視野をずらすことなく、汚れを除去する事が可能となる。したがって、汚れ除去後も、内視鏡外科手術へスムーズに移行する事が出来る。また、体腔内に内視鏡20を挿入したままで、内視鏡20の対物レンズ25の表面の汚れを除去する事が出来るため、手術を中断しないで済む。さらに、簡単な構成で且つ汚れを機械的に除去出来るため、他の洗浄手段と異なり、安価で確実に内視鏡の汚れ除去を実現できる。
【0028】
また、本実施形態において、当接部12の肉厚を陵部13の肉厚よりも厚くすると、操作時における伸縮部分が陵部13に集中するため、当接部12の伸縮変化量が小さくなる。このように、当接部12の変化量が少なくなると、対物レンズ25の表面に対する当接部12の浮きが生じないため、当接部12を対物レンズ25の表面に均等に当接させることができる。また、本実施形態では、内視鏡20の位置を維持するスコープホルダ等(図示せず)によって内視鏡20が保持されていても良い。
【0029】
図3は本発明の第2実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1は、前述した第1実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1と基本的な構成が同じであるが、先端部3の構成が相違する。よって、以下、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0030】
図3の(a)に示すように、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1の弾性体としての先端部3は、内視鏡20が挿通可能な内孔を有する基体としての管状部11と、この管状部11の先端側に位置する当接部(ワイパーブレード)12と、管状部11と当接部12とを繋ぐ陵部13とから構成される。これらの点は、前述した第1実施形態と同様である。しかし、本実施形態では、当接部12の内側面に突起部30が一体に設けられている。この突起部30は、帯状(ストリップ状)の当接部12の幅よりも狭く、当接部12の幅方向の略中央部に位置している。また、突起部30は、当接部12の長手方向に沿って畝状に長く奥行きがある形態を成している。また、突起部30の断面形状は、台形状であるが、長方形状や三角形状等、他の形状であっても良い。また、図3の(c)に示すように、突起部30の頂部には、エッジ31が設けられている。
【0031】
突起部30は、内視鏡用汚れ除去具1に内視鏡20を装着した時に、内視鏡20の対物レンズ25の上方に位置するように設計されている。また、突起部30およびエッジ31の長さは、対物レンズ25を完全に横切ることが出来るように、対物レンズ25の径よりも長く設定されている。
【0032】
次に、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を用いて、術中に内視鏡20の対物レンズ25上の汚れを除去する操作方法について説明する。この操作方法は、前述の第1実施形態の操作方法と基本的に同じであるため、違う点のみ説明する。また、以下の説明は、内視鏡案内管を通じて体腔内に内視鏡用汚れ除去具1と内視鏡20とを導入した後、第1実施形態で説明したような汚れが内視鏡20の対物レンズ25に付着した後の手順である。
【0033】
まず、把持部4を手に持って、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の先端方向ヘスライド(前進)させる。これにより、体腔内において、内視鏡20の挿入部21の側面に退避していた当接部12は、それ自身の弾性復元力および陵部13や管状部11等の弾性復元力によって押されて、対物レンズ25の方へとスライドし始める。そして、当接部12は、最終的に、内視鏡20の対物レンズ25の前方に位置する。つまり、体腔内において、当接部12は図2の(a)に示す状態に戻る。
【0034】
当接部12のこのようなスライド操作時、操作者が手元で感じる操作抵抗感は、内視鏡20の挿入部21の側面に退避していた当接部12と、挿入部21の側面との間の摩擦抵抗に大きく依存する。しかし、本実施形態では、前述した第1実施形態のように、当接部12が対物レンズ25の近傍の挿入部21の側面に待機しているため、対物レンズ25までの当接部12の移動距離が短く、摩擦抵抗を軽減できる。
【0035】
当接部12が図2の(a)に示す状態に戻ったら、今度は、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を内視鏡20の基端側方向ヘスライド(後退)させる。これにより、突起部30のエッジ31は、その略全長で、対物レンズ25の表面と当接するようになる。その後、更に除去具1を内視鏡20の基端側に移動させると、弾性素材で出来ている当接部12は、対物レンズ25の表面に押圧されて伸び、傾斜した対物レンズ25にエッジ31が密に当接する。つまり、エッジ31は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して所定の角度を成しながら延びていく。この時、対物レンズ25とエッジ31との間に摩擦が生じ、対物レンズ25上に付着した汚れがエッジ31のスライド方向へと移動し始める。また、当接部12はそのエッジ31だけが対物レンズ25と接触するため、当接部12と対物レンズ25との接触面積が第1実施形態よりも小さく、したがって、対物レンズ25に対する当接部12の当接ムラを軽減する事ができ、付着した汚れの排除能力が向上する。
【0036】
以上のように、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の基端側方向へスライドさせると、当接部12は、それ自身の弾性力および陵部13の素材の収縮作用による力で、対物レンズ25に押し当たり、対物レンズ25の傾斜に沿って移動する。そして、最終的に、当接部12は、内視鏡20の挿入部21の側面に位置する。したがって、当接部12が対物レンズ25を通じた視野の外に退避し、結果的に、内視鏡20による体腔内の観察が可能となる。なお、以上説明した一連の汚れ除去操作において、視野復帰の程度が低い場合には、前述した汚れ除去操作(清掃操作)を繰り返し行なえば良い。ここで、本実施形態では、当接部12に突起部30が設けられているため、当接部12と挿入部21の側面との接触面積が前述した第1実施形態よりも少ない。したがって、第1実施形態に比べて当接部12と挿入部21との間の摩擦抵抗が小さく、当接部12の移動抵抗を低減できる。そのため、操作者は、前述の清掃操作をスムーズに行なう事が可能となる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態においても、第1実施形態と同様、内視鏡用汚れ除去具1のみを内視鏡20に対して進退させるだけで、対物レンズ25の汚れを除去できる。すなわち、内視鏡20自体を移動させる必要がないため、それまで観察していた視野をずらすことなく、汚れを除去する事が可能となる。したがって、汚れ除去後も、内視鏡外科手術へスムーズに移行する事が出来る。また、本実施形態では、当接部12に突起部30が設けられるとともに、突起部30にエッジ31が設けられているため、対物レンズ25の汚れ除去能力が第1実施形態よりも向上する。
【0038】
図4は本発明の第3実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1は、前述した第1実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1と基本的な構成が同じであるが、先端部3の構成が相違する。よって、以下、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0039】
図4に示すように、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1の先端部3は、内視鏡20が挿通可能な内孔を有する基体としての管状部11と、この管状部11の先端側に位置する当接部12と、管状部11と当接部12とを繋ぐ陵部13とから構成されるが、これらは前述した第1実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態において、当接部12の内面には、シース2の内側に向けて突出する突起部40が設けられている。この突起部40は、当接部12に形成された取付け用孔41に嵌め込まれる別体の部材によって形成されている。この別体の部材は、弾性を有する多孔質材料等によって形成されており、具体的には、例えばポリウレタンやシリコンなどの硬度を変化させた素材や、これらと同質の素材を発泡させた発泡素材、あるいは、水分を吸収する水分吸収性素材によって形成されている。
【0041】
突起部40は、帯状(ストリップ状)の当接部12の幅よりも狭く、当接部12の幅の略中央部に位置している。また、突起部40は、当接部12の長手方向に沿って畝状に長く奥行きがある形態を成していることが望ましい。つまり、突起部40の断面形状は、長方形状であるが、台形状や三角形状等、他の形状であっても良い。
【0042】
また、本実施形態において、当接部12と管状部11と陵部13は一体に形成されているが、突起部40は、これらの部分11,12,13と別体に形成されるとともに、これらの部分11,12,13とその表面性状および硬度が異なっている。無論、突起部40と一体形成部分11,12,13との相異は、表面性状のみであっても良く、また、硬度のみであっても良い。
【0043】
また、本実施形態において、突起部40は、前述した第2実施形態と同様、エッジ42を有している。具体的には、突起部40は、対物レンズ25に当接するエッジ42と、当接部12の取付け用孔41に嵌め込まれる小径部43と、取付け用孔41からの小径部43の抜けを防止する引掛かり部44とを有している。当接部12の取付け用孔41に突起部40の小径部43を嵌め込むと、突起部40と引掛り部44とによって当接部12が挟み込まれ、当接部12に対して突起部40が抜け止め固定される。
【0044】
なお、突起部40は、内視鏡用汚れ除去具1に内視鏡20を装着した時に、内視鏡20の対物レンズ25の上方に位置するように設計されている。また、突起部30およびエッジ31の長さは、対物レンズ25を完全に横切ることが出来るように(エッジ31が略全長にわたって対物レンズ25と当接できるように)、対物レンズ25の径よりも長く設定されている。また、当接部12の取付け用孔41の内径は引掛かり部44の外径よりも小さく設定されているが、当接部12が弾性体によって形成されているため、取付け用孔41の内径を弾性的に拡径することができ、引掛かり部44を取付け用孔41内に挿入することは可能である。また、本実施形態において、突起部40は、当接部12に対して接着によって固定されている事が好ましい。この場合、接着剤(例えばシリコン系)は、乾燥しても弾性力を維持出来る性質を有していることが望ましい。
【0045】
次に、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を用いて、術中に内視鏡20の対物レンズ25上の汚れを除去する操作方法について説明する。この操作方法は、前述の第2実施形態の操作方法と基本的に同じであるため、違う点のみ説明する。また、以下の説明は、内視鏡案内管を通じて体腔内に内視鏡用汚れ除去具1と内視鏡20とを導入した後、第1実施形態で説明したような汚れが内視鏡20の対物レンズ25に付着した後の手順である。
【0046】
まず、把持部4を手に持って、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の先端方向ヘスライド(前進)させる。これにより、体腔内において、内視鏡20の挿入部21の側面に退避していた当接部12は、それ自身の弾性復元力および陵部13や管状部11等の弾性復元力によって押されて、対物レンズ25の方へとスライドし始める。そして、当接部12は、最終的に、内視鏡20の対物レンズ25の前方に位置する。つまり、体腔内において、当接部12は図2の(a)に示す状態に戻る。
【0047】
当接部12が図2の(a)に示す状態に戻ったら、今度は、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を内視鏡20の基端側方向ヘスライド(後退)させる。これにより、突起部40のエッジ42は、その略全長で、対物レンズ25の表面と当接するようになる。その後、更に除去具1を内視鏡20の基端側に移動させると、弾性素材で出来ている当接部12は、対物レンズ25の表面に押圧されて伸び、傾斜した対物レンズ25にエッジ42が密に当接する。つまり、エッジ42は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して所定の角度を成しながら延びていく。この時、対物レンズ25とエッジ42との間に摩擦が生じ、対物レンズ25上に付着した汚れがエッジ42のスライド方向へと移動し始める。この時、突起部40は、多孔質部材として形成されているため、視野を阻害している対物レンズ25上の液体や汚れを吸収する事が出来る(対物レンズ25上に付着した汚れの排除能力がより向上する。)。因みに、突起部40が水分吸収性樹脂によって形成されている場合には、液体や汚れの吸収力がより向上する。また、突起部40の硬度が低い場合には、突起部40が対物レンズ25に当接した際にエッジ42が変形し易くなり、突起部40を対物レンズ25に密に当接させる事が出来る。このように突起部40の硬度がその他の部分の硬度と異なっていれば、具体的には、突起部40の硬度が低く、その他の部分の硬度が高ければ、突起部40を対物レンズ25に密に当接させる事が出来るため、対物レンズ25と当接部12との当接ムラを更に軽減する事が出来る。なお、当接部12が対物レンズ25に押し付けられる方向や力量は、前述の実施形態と同様である。
【0048】
以上の状態から、更に内視鏡用汚れ除去具1を基端側にスライド(後退)させると、当接部12は、その素材の収縮作用により、元の位置に戻ろうとする。その結果、当接部12は、対物レンズ25上の傾斜に沿って移動し、対物レンズ25を通じた視野から外れ、内視鏡20の側部に退避する。この時、退避した当接部12および突起部40と一緒に汚れが対物レンズ25上から排除され、視野が回復する。当接部12が対物レンズ25を通じた視野外に完全に退避すると、内視鏡20による体腔内の観察が可能となる。
【0049】
また、突起部40は、内視鏡20の側部に移動して退避すると、当接部12と内視鏡20の側面との間で適度に潰れる。このように、多孔質部材である突起部40が潰れると、その中に含まれた液体が突起部40の外に押し出される。したがって、突起部40が対物レンズ25上に再び移動した時には、常に突起部40内に液体が残っていない状態となる。そのため、視野を阻害している対物レンズ25上の液体を、常に良好な吸収率をもって、突起部40に吸収させることができる。
【0050】
なお、前述したように、乾燥しても弾性力を維持出来る性質の接着剤によって突起部40と当接部12とを固定すれば、前述の汚れ除去操作において当接部12および突起部40が適度に伸縮するため、接着部の割れなどを防止する事ができるとともに、両者12,40本来の機能を維持させる事が出来る。
【0051】
このように、本実施形態において、突起部40は、一体形成部分11,12,13とその表面性状および硬度が異なっているため、対物レンズ25の汚れ除去能力を格段に向上させる事が出来る。
【0052】
図5および図6は本発明の第4実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1は、前述した第1実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1と基本的な構成が同じであるが、先端部3の構成が相違する。よって、以下、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0053】
図5に示すように、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3の管状部11の先端面は、先端壁部51によって覆われており、この先端壁部51には貫通した孔52が形成されている。また、孔52は先端壁部51の上側に偏って配設されている。図5の(b)に示すように、貫通孔16側に位置する孔52の端縁の全周には、突起部分53が設けられており、この突起部分53の突出先端にはエッジ54が形成されている。
【0054】
図6に示すように、内視鏡20の挿入部21の先端面は、対物レンズ25を含めて傾斜している。ここで、挿入部21の先端面の最も突き出した先端部分56は、内視鏡が内視鏡用汚れ除去具1内に挿通された時、先端部3に形成された孔52に対応して位置する。つまり、孔52は、突出した先端部分56に略対応して位置するように先端壁部51に形成されている。従って、内視鏡用汚れ除去具1内に内視鏡20の挿入部21を差し込むと、その挿入部21の突出した先端部分56は、内視鏡用汚れ除去具1の孔52に向き合って位置する。
【0055】
内視鏡用汚れ除去具1の先端部3は、先端壁部51の部分を含め、透明な素材で一体に形成されていても良い。また、適度な硬さを有する弾性素材で作られている事は言うまでもない。無論、先端壁部51の部分のみを透明なものとして構成しても良い。
【0056】
次に、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を用いて、術中に内視鏡20の対物レンズ25上の汚れを除去する操作方法について説明する。この操作方法は、前述の第3実施形態の操作方法と基本的に同じであるため、違う点のみ説明する。術前に内視鏡20の挿入部21を把持部4の孔から内視鏡用汚れ除去具1内に挿入する。ここで、内視鏡の先端部分56は先端壁部51に接触しない状態にしておく(図示せず)。この状態で、内視鏡案内管へ挿入し腹腔内へ導入する。ここで、先端壁部51が透明な材質であると、内視鏡案内管内および腹腔内を前記壁部51を透かして内視鏡20で観察することが可能である。
【0057】
まず、内視鏡20を体腔内に導入した後、体腔内を明瞭に観察するため、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を持って、内視鏡20のみを腹腔内の方向に押し進めると、図6の(a)に示すように、内視鏡20の挿入部21の突出した先端部分56が孔52の周囲の突起部分53に押し当たる。内視鏡20のみを更に押し進めると、図6の(b)および図6の(c)に示すように、先端部分56は、孔52と突起部分53とを拡張しながら内視鏡用汚れ除去具1の先端部3から体腔内に露出する。したがって、内視鏡20により体腔内を観察可能な状態になる。
【0058】
内視鏡20の先端部分56は弾性部材で一体的に成形されている。そのため、先端部分56が孔52を突き抜ける時、孔52や突起部分53は裂ける事なく拡張する。また、拡張された孔52の周縁部分は、図6の(c)に示すように、内視鏡20の挿入部21の外周面に略密着する。この状態で、内視鏡下外科処置が行なわれる。
【0059】
術中、第1の実施形態で説明したような汚れが対物レンズ25に付着した後の手順を以下に説明する。
【0060】
まず、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を持って、内視鏡20の先端方向に内視鏡用汚れ除去具1をスライド(前進)させる。これにより、図6の(b)に示すように、内視鏡20の先端側部位にある先端壁部51や管状部11が対物レンズ25の方に移動し始める。内視鏡用汚れ除去具1を更に先端方向に押し進めていくと、図6の(a)に示すように、対物レンズ25の前方に突起部分53が位置するとともに、孔52および突起部分53は、それ自身の弾性力で元の大きさに戻る。この状態で、今度は、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の基端方向ヘスライド(後退)させる。これにより、図6の(a)および図6の(b)に示すように、内視鏡20の突出した先端部分56が孔52の縁に当接し、更にスライドを進めると、孔52が拡張されて、内視鏡20の先端部分56が体腔内へ露出していく。この時、孔52の内側全周に設けられている突起部分53のエッジ54は、孔52の拡張に伴って、対物レンズ25との当接状態が密になっていく。つまり、エッジ54は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して所定の角度を成して伸びていく。また、この間、対物レンズ25とエッジ54との間に生じる摩擦によって、対物レンズ25上に付着した汚れは、エッジ54のスライド方向へと移動し始める。そして、更に内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の基端方向ヘスライド(後退)していくと、孔52の径は内視鏡20の先端部56の外径と略同径まで拡張され、図6の(c)に示すように、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3が対物レンズ面25を通じた視野から外れて内視鏡20の側部に退避する。この時、退避する突起部分53と一緒に汚れも対物レンズ25上から内視鏡20の挿入部21の側方部位に排除され、内視鏡20の視野が復帰し、再び、内視鏡20で体腔内を観察する事が可能となる。また、この1回の汚れ除去操作で視野復帰の程度が低い場合には、前述の実施形態と同様に、汚れ除去操作を繰り返し行なう。
【0061】
このように、本実施形態によれば、内視鏡用汚れ除去具1の先端部3の形状を簡略化できるため、内視鏡用汚れ除去具1を安価に提供する事が出来る。
【0062】
図7は本発明の第5実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1は、前述した第1実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1と基本的な構成が同じであるが、把持部4の構成が相違する。よって、以下、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0063】
図7に示されるように、本実施形態の内視鏡用汚れ除去具1の把持部4にはハンドル60が付設されている。ハンドル60は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して略直角を成して下方へ延びている。しかしながら、内視鏡挿通時において、内視鏡20とハンドル60とが干渉しなければ、図中に矢印Aで示される方向に向かってハンドル60が延びていても良く、また、患者の体部とハンドル60とが干渉しなければ、図中に矢印Bで示される方向にハンドル60が延びていても良い。また、ハンドル60は、先端部3の当接部12の長手方向Xに対して略直角を成して延びている。しかしながら、この形に特定されるものではない。また、ハンドル60の先端部分には指掛け穴61が形成されている。
【0064】
次に、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を用いて、内視鏡の対物レンズ面上の汚れを除去する操作方法について説明する。本実施形態の操作方法は、前述した第1実施形態の操作方法と同様であり、ハンドル60を設けてある点でのみ相違が生じる。この関連においてのみ説明する。
【0065】
術中に内視鏡20の対物レンズ25に汚れが付着した場合、操作者は、内視鏡20を把持している手の指をハンドル60に引掛ける。その後、ハンドル60に引掛けた指を内視鏡20の先端方向もしくは基端方向へ動かす事によって、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の軸方向へ進退させることができる。このようにハンドル60を設けると、内視鏡用汚れ除去具1を片手で操作する事が可能となり、内視鏡用汚れ除去具1および内視鏡20の操作性が向上する。
【0066】
図8および図9は本発明の第6実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1は、前述した第1実施形態または第2実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1と基本的な構成が同じであるが、先端部3の構成が相違する。更に、組み合わせ可能な内視鏡68が加わる。ここで、内視鏡68について説明する。内視鏡68はその対物レンズ69の表面が、内視鏡68の挿入部の中心軸に対して直交している、所謂、直視鏡と呼ばれるものである。他の構成は内視鏡20と同様である。以下、第1または第2の実施形態との違いを中心に説明する。
【0067】
図8は本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1の先端部3の構成を示している。本実施形態において、先端部3は、第2実施形態と同様に、管状部11と、管状部11の中心軸に対して直交する面を有する帯状(ストリップ状)の当接部12と、当接部12を管状部11に連結する陵部13とを備えている。これらの部分11,12,13の材質や硬さ等は、第1実施形態または第2実施形態と同じである。無論、これらの部分11,12,13の少なくとも一部が透明な弾性部材で形成されていても良い。
【0068】
当接部12の上端縁には、内視鏡68の対物レンズ69側に向けて突き出すように突起部65が一体で設けられている。この突起部65は、図8の(a)に示すように、断面が長方形状を成している。しかし、突起部65の断面形状は、台形状であっても、また、三角形状であっても良い。また、突起部65は、図8の(c)に示すように、奥行きがあり、当接部12の長手方向Yに沿って長い。更に、突起部65の突出先端にはエッジ部66が形成されている。また、突起部65は、内視鏡68の対物レンズ69の上方に位置し且つそのエッジ部66が対物レンズ69の全幅にわたって当接し得るように形成されている。なお、当接部12は、陵部13および補助板67よりも肉厚であることが望ましい。
【0069】
当接部12の下縁には、これに連接して、補助板67が設けられている。この補助板67は、図8の(a)に示すように、当接部12の長手方向に対して直交する方向に延びるとともに、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して任意の角度αを成して斜め下方に延びている。また、補助板67は、当接部12の下縁から管状部11の開口下端縁にわたって配設されており、先端部3に一体に連結されている。なお、補助板67は、図8の(d)に示すように、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して直角を成して延びていても良い。また、この補助板67を含め、先端部3は透明な材質で作られていても良い。
【0070】
次に、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を使用する方法について説明する。
【0071】
内視鏡案内管を通じて内視鏡用汚れ除去具1と内視鏡68とを体腔内に導入するまでの手順は、第1実施形態または第2実施形態の場合と同じである。
【0072】
内視鏡用汚れ除去具1の先端部3が内視鏡案内管の先端から完全に体腔内へ導入されたことを確認したら、内視鏡用汚れ除去具1の把持部4を持って、内視鏡68だけを体腔内に押し込む。なお、体腔内に先端が導入されたかどうかの確認は、透明な材質であるとより容易である。内視鏡68のみを押し込むと、図9の(a)に示すように、対物レンズ69の上方部位が突起部65のエッジ部66に突き当たる。その後、更に内視鏡68だけを体腔内へ押し進めると、突起部65、当接部12、陵部13、補助板57が内視鏡68によって押圧されて変形し、突起部65のエッジ部66を含めた当接部12と補助板57は、図9の(b)に示す矢印方向(図中の下方)に沿って対物レンズ69上を滑り、内視鏡68の側方へと移動する。そして、最終的に、突起部65、当接部12、補助板57の全てが内視鏡68の対物レンズ69上から完全に退避し、内視鏡68の側面に位置し、体腔内の観察が可能になる。なお、当接部12は補助板の作用によって図9の(b)に示す矢印方向へ移動するが、この説明に関しては詳しく後述する。
【0073】
術中、内視鏡68の対物レンズ69の表面が汚れ、この汚れを除去する場合には、第1実施形態または第2実施形態と同様にして行なう。すなわち、まず、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡68に対して先端側へとスライド(前進)させる。これにより、突起部65、当接部12、補助板57は、内視鏡68の側面から先端部方向へ移動する。これらの部分(65,12,67)は、先に述べた順序とは逆に変形して、図9の(a)に示す最初の状態に戻る。この時、内視鏡用汚れ除去具1の突起部65のエッジ部66が対物レンズ69の表面を充分に擦るため、内視鏡68の対物レンズ69の汚れが掻き落とされる(つまり、汚れが対物レンズ69の表面外に移動する)。この場合、エッジ部66をゆっくりと動かせば、清掃効果が向上する。
【0074】
次に、内視鏡用汚れ除去具1のみを内視鏡68の挿入部21の基端側に引く。これにより、図9の(a)に示すように、突起部65が対物レンズ69の上方部位に強く押し当てられるとともに、補助板67が引き伸ばされる。この時、補助板67の収縮作用も働くが、この収縮作用は、図9の(b)に矢印で示される方向に強く働く。そのため、当接部12は、対物レンズ69上から退避する方向(図9の(b)の矢印の方向)に移動する。この一連の動作によって、突起部65のエッジ部66は、対物レンズ69上を移動して、残った汚れを掻き落として除去する。ここで、当接部12は。陵部13および補助板67よりも肉厚であれば、変形しにくく、突起部を均一に対物レンズ面に当接でき、清掃効果が向上する。最終的に当接部12や突起部65が対物レンズ69から退避した位置(つまり、内視鏡の側面)まで移動すると、再び内視鏡68による体腔内の観察が可能になる。なお、本実施形態の除去具を先端が傾斜している内視鏡20と組み合わせても。問題なく対物レンズ面の汚れを除去できることは言うまでもない。
【0075】
このように、本実施形態では、対物レンズ69上の汚れを除去する先端部3の作用が第2実施形態と略同じであるが、補助板67の収縮力が当接部12の退避移動に寄与する点が第2の実施形態と相異する。すなわち、本実施形態の内視鏡用汚れ除去具1は、当接部12と管状部11とが陵部13に加え、補助板67によっても連結されており、内視鏡の対物レンズの傾き度合いの助けを借りなくても、補助板67の収縮作用によって突起部65が対物レンズ69上の第1の位置から側方の第2の位置へと退避移動できるため、対物レンズ69が内視鏡の中心軸に対して直交するいわゆる直視タイプの内視鏡68にも適用できる。
【0076】
図10〜図12は本発明の第7実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具は、前述した第2実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具と基本的構成が同じである。
【0077】
図10は本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1を示している。図示のように、内視鏡用汚れ除去具1は、前述した第2実施形態と同様、直線状の管体によって形成されたシース2と、先端部3と、把持部4とを備えている。第2実施形態と異なる点は、先端部3の先端に返し部70が設けられている点と、把持部4を形成する手元部75の構造のみである。その他の構成、材質、硬さは、第2実施形態と同じ事は言うまでもない。よって、以下、異なる構成を中心に説明する。
【0078】
先端部3の当接部12の下方には、内視鏡の先端面と対向するように、汚れ除去具1の中心軸に直交する返し部70が設けられている。この返し部70は、管状部11の先端側に位置する当接部12の下方領域の周囲を略覆うように形成されている。また、返し部70の上端は、当接部12の下端から離れており、当接部12との間に隙間71を形成している。図10の(b)および図11に示すように、返し部70の内面および突起部30の突出先端は、略同じ垂直平面上にある。また、返し部70は、管状部11の先端下縁に一体に連接して形成されている。
【0079】
一方、把持部4を形成する手元部75は、内視鏡が挿通可能な内孔76を有している。この内孔76は、内視鏡の挿入部が挿入可能な第1の内径D1を有する小径部分76aと、内視鏡の太い胴体部(手元把持部22)が挿入可能な第2の内径D2を有する大径部分76bとから成る。シース2の内径は第1の内径D1と等しく、シース2の内孔と手元部75の内孔76は同軸上に連なっている。なお、手元部75の嵌合部79はシース2の端部と嵌合可能であり、この部分でシース2と手元部75は接着固定されている。
【0080】
手元部75の内孔76の小径部分76aと大径部分76bとの間には、溝状の固定用段差部77が形成されている。この固定用段差部77には、気密用リング78が嵌め込まれている。固定用段差部77の内径は、小径部分76aの第1の内径D1および大径部分76bの第2の内径D2のいずれよりも大きい。気密用リング78は、先端部3で使用された材料と同様な弾性部材によって形成されており、その中央部の内径がD1よりも僅かに小さく(つまり、内視鏡挿入部外径より小さく)設計されている。また、気密用リング78の外径は固定用段差部77の内径と同寸法に設定されており、気密用リング78の外周部分は、固定用段差77内に嵌め込まれた状態で接着固定されている。そして、この気密用リング78は、内視鏡用汚れ除去具1に差し込まれる内視鏡の挿入部21の外周面を圧接して摩擦係合するようになっている。
【0081】
また、手元部75には注水部81が設けられている。この注水部81は、図10の(c)に示されるように、内孔76に連通する注水路82を有している。注水路82は、気密用リング78よりも先端側に位置する内孔76の領域部分、すなわち、小径部分76aに連通している。なお、注水部81は、手術で一般的に使用されるシリンジ(図示せず)を接続できる形状を有している。
【0082】
手元部75の周壁部には、大径部分76bと連通する内視鏡位置決め用の切欠き部85が形成されている。この切欠き部85の切り欠き幅は、内視鏡20のライトガイドポスト26(図2参照)が挿通可能な寸法に設定されている。また、切欠き部85は、先端側が閉じられ、基端側が開放されている。また、切欠き部85は、手元部75の上部に設けられており、先端部3の当接部12の長手方向に対して直交する向きに延びている。切欠き部85の長さLは、切欠き部85の先端側奥の閉じられた突き当て端88に内視鏡20のライトガイドポスト26が当接した時(図12の(a)の破線位置a)に、内視鏡20の先端部を先端部3から突出させて、内視鏡20による観察を許容するとともに、切欠き部85の開放端89に内視鏡のライトガイドポスト26が位置した時(図12の(a)の破線位置b)に、図11に示されるように内視鏡20の対物レンズ25が先端部3の内側に位置し且つ先端部3の突起部30が対物レンズ25と接触しないで隣接対向するように設定されている。
【0083】
なお、図12の(b)に示すように、切欠き部85の開放端89において内視鏡20のライトガイドポスト26の位置を規制する突起91が、切欠き部85に設けられていても良い。この突起91の切欠き部85内への突出量は、突起91がライトガイドポスト26に接触でき且つライトガイドポスト26がその突起91を乗り越えて切欠き部85の奥まで挿通できる量に設定されている。
【0084】
次に、図11および図12を参照しながら、本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具1によって術中に内視鏡20の対物レンズ25上の汚れを除去する方法について説明する。なお、本実施形態で使用される内視鏡20は、対物レンズ25が内視鏡20の中心軸に対して所定の角度を成すいわゆる斜視鏡である。
【0085】
まず、術前に、内視鏡用汚れ除去具1の手元部75に設けられた内孔76の大径部分76bから、シース2内に内視鏡20の挿入部を差し込み挿入する。この時、先端部3の当接部12に内視鏡20の対物レンズ25が当接しないように、内視鏡20を押し進める。すなわち、内視鏡20のライトガイドポスト26を、内視鏡位置決め用の切欠き部85の切り欠き幅に合わせるとともに、切欠き部85の開放端89に位置させる(図12の破線位置b)。この際、内視鏡の挿入部21は気密用リング78を通過する。前記リング78の中央内径は内視鏡の挿入部21の外径よりも小さく設計されているので、挿入部はリング内径と略密に挿通される。
【0086】
手術を行なう場合には、内視鏡20に装着された汚れ除去具1を、多くの内視鏡外科手術で良く使用される内視鏡案内管に挿入して、体腔内へ導入する。ここで、内視鏡用汚れ除去具1の挿入部の外径は、内視鏡案内管に挿通可能な寸法に設定されている。また、この場合、当接部12と管状部11との間の隙間を通じて、体腔内の様子を観察する事が出来るとともに、先端部3が確実に体腔内へ導入された事を認識できる。先端部3が透明な弾性部材で形成されていれば、この際、体腔内をより良く観察する事が出来る。
【0087】
次に、先端部3が内視鏡案内管から完全に体腔内側へ飛び出した事を確認したら、内視鏡用汚れ除去具1の手元部75を持って、内視鏡20だけを先端側に押し込む。これにより、第2実施形態の場合と同様に、内視鏡20の対物レンズ25が当接部12の突起部30に突き当たる。この状態から更に内視鏡20を先端側に押し込むと、対物レンズ25が返し部70、次いで突起部30に突き当たり、当接部12や返し部70を含めた先端部3は、その弾性素材の特性によって、内視鏡20の対物レンズ25の面に押圧されながら伸びていく。これにより、突起部30のエッジ部分は、対物レンズ25の傾斜に沿って移動し、対物レンズ25と密に当接するようになる。つまり、当接部12と返し部70は、内視鏡用汚れ除去具1の中心軸に対して所定の角度を成して伸びていく。
【0088】
この状態から更に内視鏡20を先端側に押し進めていくと、当接部12や返し部70は、その弾性素材の収縮作用により、元の位置に戻ろうとする力が強くなる。そのため、第2実施形態の場合と同じように、当接部12や返し部70は、内視鏡20の側方に向かって移動して退避する。この時、図12に示すように、内視鏡20のライトガイドポスト26は、位置決め用切欠き部85の突当て端88に当たる(図12の破線位置a)
内視鏡20の使用中、当接部12や返し部70は、対物レンズ25から退避して、内視鏡20の側方に位置しているが、その位置は対物レンズ25から非常に近い。このような位置は、図12に示すように、位置決め用切欠き部85の長さLによって決定される。このような位置設定によれば、内視鏡20を先端部3から突き出し過ぎて操作性の抵抗感が大きくなってしまうことを防止できる。
【0089】
術中、内視鏡20の対物レンズ25に汚れが付着した場合には、第2実施形態で説明したように、内視鏡用汚れ除去具1を内視鏡20の対物レンズ25に対して進退させれば良い。しかしながら、内視鏡用汚れ除去具1を進退しただけで汚れが完全に除去出来ない場合には、以下の手順にしたがって汚れを完全に落とすことができる。
【0090】
まず、内視鏡20のライトガイドポスト26が図12の破線位置bに位置するように、内視鏡用汚れ除去具1を設定する(洗浄位置)。この時、内視鏡20の対物レンズ面25は、図11に示されるように、先端部3の内側に位置するとともに、先端部3の突起部30と接触することなくこれと隣接対向する。この位置は、前述したように、切欠き部85の距離Lによって予め決められているため、適切な位置にライトガイドポスト26を移動させれば、内視鏡20の対物レンズ25を適切な位置に設定することができる。また、前述したように、位置決め用の切欠き部85の一部に突起91を設けた場合には、ライトガイドポスト26が突起91を乗り越える際に、その感触が操作している手に伝わるため、手元側のライトガイドポスト26の位置を目視確認しなくても、対物レンズ25を適切な位置に設定することができ、操作性がより向上する。
【0091】
図11に示されるように内視鏡用汚れ除去具1を洗浄位置に設定したら、手術で良く使用されるシリンジ(図示せず)によって、内視鏡用汚れ除去具1に生理食塩水を注入する。具体的には、注水部81にシリンジを接続する。注水部81はシリンジが接続可能な形状となっているため、シリンジと注水部81の接続は容易に行なわれる。注水部81にシリンジを接続したら、シリンジから生理食塩水を注水部81を通じて内視鏡用汚れ除去具1の内孔76に送り込む。なお、シリンジの操作は、通常手術などで行なわれるような注水操作である事は言うまでもない。
【0092】
シリンジから送水された生理食塩水は、注水路82を通って手元部75の内孔76の小径部分76a内に送られる。この時、気密用リング78が内視鏡挿入部の側面に密着して液体の漏れを防止しているため、生理食塩水は、先端部3の方向へ流れる。先端部3の方向へと向かった生理食塩水は、内視鏡用汚れ除去具1の内孔と内視鏡20の挿入部との間の僅かな隙間を通って、内視鏡20の対物レンズ25まで到達する。この時、返し部70が先端部3に設けられているため、図11に矢印で示されるように、生理食塩水は、先端部3の壁面に当たって、先端部3と対物レンズ25との間で対流を起こし、対物レンズ25を洗浄する。なお、余分な生理食塩水は、付着した汚れと一緒に、当接部12の周囲の例えば隙間71から体腔内に流れ出る。
【0093】
以上の操作が終了したら、内視鏡用汚れ除去具1を基端側に動かして、内視鏡20の対物レンズ25を体腔内に露出させる。無論、このような操作を行なうと、当接部12の突起部30が対物レンズ面25に当接して移動し、視野外に退避するようになるが、この操作によって、対物レンズ25上に残った生理食塩水を速やかに除去することできるため、洗浄後に対物レンズ25上に残った生理食塩水によって視野が妨げられるといった不都合を回避できる。なお、以上の操作は、対物レンズ25上の汚れが完全に除去されるまで繰り返し行なわれる。
【0094】
このように、本実施形態では、液体による洗浄手段を併用する事が出来るため、洗浄効果が飛躍的に向上し、対物レンズ25に付着した強固な汚れを簡単に除去することができる。
【0095】
図13〜図28は本発明の第8の実施例を示している。本実施形態は、内視鏡案内管を兼ねた内視鏡用汚れ除去具(汚れ除去機能付き内視鏡案内管)の実施形態である。
【0096】
図13に示されるように、本実施形態の内視鏡用汚れ除去具は、先端挿入部101と、基端部102と、内針A(図22参照)とから構成されている。図22に示されるように、内針Aは挿入部A1と把持部A2とからなる。この場合、挿入部A1の先端は、図22の(a)に示されるように鈍な形状であっても良いが、図22の(b)に示されるように鋭利な形状であっても良い。なお、挿入部A1の外径は、先端挿入部101内に略密に挿入できる寸法に設定されている。また、挿入部A1の長さは、先端挿入部101と基端部102とを組み合わせた長さよりも十分に長くなっている。
【0097】
図13に示されるように、先端挿入部101は、経皮的に生体内に挿入される管部101aと、接合部101bと、内視鏡107(図15参照)が挿通可能な内孔101cと、内孔101cの基端側の段差に配された弾性リング101dと、内孔101cに連通する送気管路104aが形成された送気部104とを有している。送気部104をレバー104bを有しており、このレバー104bによって、送気管路104aは、外部に対して遮断もしくは開放される。なお、弾性リング101dはシリコン等の弾性素材から成る。
【0098】
図13および図14の(a)に示されるように、基端部102は、内視鏡107が挿通可能な内孔を有する管状の弁胴体部102aと、その先端側に位置する弁部103と、接合突起部102bと、挿入キャップ105とを有している。弁胴体部102aの先端には、弁部103と当接する接触面102cが形成されている。図13に示されるように、接合突起部102bの径は、先端挿入部101の接合部101bに挿通可能な寸法に設定されている。また、接合突起部102bは、基端部102の密着面102dで弾性リング101dを十分に押圧密着できる位置に配されている。弁胴体部102aの外径は、弾性リング101dの内径よりも小さく、内孔101cに挿通可能な寸法に設定されている。
【0099】
挿入キャップ105は、例えばシリコンなどの弾性体によって形成されており、基端部102と密に接続されている。挿入キャップ105は、基端部102に接着固定されていても良いが、挿入キャップ105に突設された突起105aが基端部102の凹部に密に嵌まり込む構成であっても良い(図14の(a))。この際、基端部102に突起105aと対応する凹部を設けた構成が加わる。挿入キャップ105の基端側の面には、貫通した孔106が設けられている。この孔106の径は、内視鏡107の挿入部および内針Aの挿入部A1の外径よりも小さい。
【0100】
弁部103は、その一端の接続部103aで、基端部102に接着固定されている。弁部103は、シリコンなどの弾性体によって形成されている。弁部103の内面側(基端側)には、ワイパー突起部100が設けられている。ワイパー突起部100は、弁部103が閉じた状態すなわち基端部102の傾斜した接触面102cに弁部103が当接した状態で、弁胴体部102a内に位置するように配されている。また、ワイパー突起部100と弁部103の内面とが成す角度はθ1に設定されている。好ましくは、この角度θ1は、ワイパー突起部100とワイパー突起部100に当接する内視鏡107の先端面(レンズ面)107aとが成す角度θ2(図15の(a)参照)が30°〜90°の範囲となるように設定される。なお、図14の(c)に示されるように、ワイパー突起部100の幅Hは、弁胴体部102aの内孔に収まり且つ内視鏡107のレンズ面107aの幅よりも大きく設定されている。
【0101】
ワイパー突起部の形状の変形例が図14の(b)に示されている。図14の(b)に示されるワイパー突起部100Aは段状部199を有している。段状部199は、内視鏡107のレンズ面107aと当接する第1の当接部199aと第2の当接部199bとから成る。なお、ワイパー突起部100Aの弁部103上における位置は、前述と同様である。
【0102】
ワイパー突起部100,100Aは弁部103と一体的に成形されるが、図14の(d)に示されるように、ワイパー突起部100Bを弁部103と別体で形成し、止め具103によってワイパー突起部100Bを弁部103に固定して接着しても良い。
【0103】
図16には、弁部103の変形例が示されている。この弁部103は、硬質の樹脂によって形成されており、弁胴体部102aに設けられた支点198を中心に回動できる。また、弁部103は、一端が弁胴体部102aに取り付けられた板バネ197によって閉じられる方向に常時付勢されている。
【0104】
図24には、図22の(b)に示される内針Aの挿入部A1の鋭利な先端部に着脱自在に取付けられる保護キャップBが示されている。保護キャップBは、その先端が鈍形状を成しており、基端が内針Aの先端形状と類似の形状を成す先細りの内形状B2として形成されている。保護キャップBの外径は内針Aの外径よりも若干小さい。保護キャップBの表面性状は梨地であることが好ましい。内形状B2の先細り形状のテーパ角度α(図24の(b)参照)は、内針Aの鋭利な先端の先細り形状のテーパ角度β(図24の(a)参照)よりも小さい(α<β)。保護キャップBは、弾性力のある柔軟な材料によって形成されており、引裂き強度が高いことが好ましい。なお、保護キャップBの先端側は、図24の(c)に示されるように先細る鈍形状であっても良い。
【0105】
一般に、内視鏡案内管の弁構造には、前述したように、弁の一端が固定され、弁自体の弾性力によって開閉する構造と、硬質な弁をバネによって開閉する構造とがある。一方、図28に示されるダックビル弁119のように、弾性部材の一部に切り欠き119aを設けた部品のみを用いる弁構造もある。この弁構造の内視鏡案内管を兼ねた内視鏡用汚れ除去具(汚れ除去機能付き内視鏡案内管)が図25に示されている。
【0106】
この内視鏡用汚れ除去具は、図13に示された内視鏡用汚れ除去具のリング101dをダックビル弁110で置き換えた構成を成している。また、この内視鏡用汚れ除去具の基端部113は、図13に示された基端部102から弁部103および弁胴体部102aを取り除いた構造を成している。なお、基端部113の他の構成は基端部102と同様である。
【0107】
図27の(a)に示されるように、ダックビル弁110は、基端側のリブ部111と、先端側の傾斜部114a,114bと、ワイパー突起部112と、内視鏡107が挿通可能な内孔115と、スリット116(図27の(b)参照)と、胴体部117とから構成されている。リブ部111の外径は、先端挿入部101の内孔101cの基端側の段差にほぼ密に引っ掛かる寸法に設定されている。また、胴体部117は、先端挿入部101の内孔101cに収まる外形状を有している。ワイパー突起部112の根元側は傾斜部114bと繋がっている。また、傾斜部114aの先端側とワイパー突起部112の根元側とが密に当接し、スリット116を形成している。胴体部117の内孔において、ワイパー突起部112は、胴体部117から傾斜部114a,114bへと移行する移行ライン118よりも基端側に位置して延びていることが好ましい。また、ワイパー突起部112は、ダックビル弁110の中心線Oに対して斜面部114a側方向に延びており、中心線Oと所定の角度θ3を成している。この角度θ3は、ワイパー突起部112とワイパー突起部112に当接する内視鏡107の先端面(レンズ面)107a間の成す角度θ4(図26の(b)参照)が30°〜90°の範囲となるように設定される。
【0108】
次に、図13の内視鏡用汚れ除去具を用いて、内視鏡下外科術中に内視鏡107のレンズ面上の汚れを除去する方法について説明する。
【0109】
まず、挿入先端部101に基端部102を取り付ける。挿入先端部101と基端部102との接続は、接合突起部102bを先端挿入部101の接合部101bに嵌め込むことによって成される。接合突起部102bを接合部101bの切り欠きに合わせて基端部102を先端方向に押し込み、その後、接合部101bの形状に沿って基端部102を回転させると、接合突起部102bが接合部101bに沿って移動するとともに、弾性リング101dが基端部102の密着面102dで押圧され、内孔101c内の気密が保たれる。
【0110】
次に、内針Aを基端部102の孔106に挿入する。この時、内針Aの挿入部A1の先端が鈍形状である場合には、把持部A2と挿入キャップ105とが突き当たるまで、内針Aを先端挿入部101内へと挿入していく。しかし、内針Aの挿入部A1の先端が鋭利な形状である場合には、以下の手順によって内針Aを挿入していく。
【0111】
まず、内針Aを挿入する前に、保護キャップBを内針Aの先端に装着する。この時、保護キャップBは、柔軟で且つ内孔B2のテーパ角度αが内針Aの先端のテーパ角度βよりも小さいため、内針Aの先端形状に合わせて変形していく。したがって、保護キャップBは、元の形状に戻ろうとするその弾性復元力によって、内針Aに対して略密に取り付けられる。また、保護キャップBは、引裂き強度が高いため、内針Aの鋭利な部分で切れて壊れてしまうといったことがない。また、保護キャップBは、内針Aの先端に取り付けられる際、その外径が内針Aの外径よりも大きくならないように配される。
【0112】
以上の状態で、保護キャップ付きの内針Aは、挿入キャップ105の孔106内へ挿入される。この時、挿入キャップ105は弾性素材で出来ているため、孔106の径は内針Aの挿入に応じて変形していく。また、この時、保護キャップBの外表面は梨地であるため、挿入キャップと保護キャップ間の表面抵抗を減ずることができ、内針Aが孔106を通過する際の抵抗を非常に小さくできる(なお、保護キャップBの先端形状が先細りの鈍形状(図24の(c)参照)であれば、内針Aが孔106を通過する際の抵抗は更に小さく、挿入性が一段と向上する)。また、保護キャップBを内針Aに装着した際、その外径は内針Aの外径よりも大きくなることがないため、内針Aの挿入部を基端部102の管部(弁胴体部)102a内へとスムーズに挿入することが出来る。
【0113】
内針Aは、基端部102の内孔を通過すると、まず、弁部103のワイパー突起部100に突き当たる。これにより、ワイパー突起部100が変形し、弁部103が接続部103aを軸にして先端側へ変形する。その結果、弁部103が弁胴体部102との接触面102cから離れて弁が開放し、内針Aは、開いた弁の隙間から先端方向へと通過して、管部101aの先端から外部に露出する。このように、内針Aの鋭利な先端部に保護キャップBが取り付けられていると、内針Aの挿通時に鋭利部でワイパー突起部100を傷付けたり破壊したりすることがない。
【0114】
内針Aの挿入部A1の長さは先端挿入部101と基端部102とを組み合わせた長さよりも十分に長いので、挿入キャップ105に把持部A2が突き当たった時、内針Aの鋭利な先端が確実に先端挿入部101の先端から外部に露出する。内針Aの先端が先端挿入部101の先端から外部に露出したら、保護キャップBを内針Aの鋭利な先端部から取り外す。先端挿入部101と基端部102と内針Aとを組み合わせた状態で、これらを患者の体表から生体内部へと刺入し、その後、内針Aを先端挿入部101および基端部102から引き抜く。この時、弁部103は、その弾性力によって変形状態から元の状態に復帰し、弁胴体部102aの当接面102cと密着する。これにより、先端挿入部101の内孔は弁部103によって気密が保たれ、生体内腔に送気された加圧ガスが外部に漏れ出すことはない。無論、先端挿入部101の内孔が弁部103により気密保持された後に、送気部に送気ガス管路を接続して、生体内腔へ送気するようにしてもよい。
【0115】
次に、生体内を観察するために、内視鏡107を挿入キャップ105から先端挿入部101内に挿入する。内視鏡107は、弁部103を経て、先端挿入部101の先端から生体内へ導入される。挿入キャップ105の孔106は、内視鏡107の挿入部よりも小さいので、その挿入によって押し広げられ、内視鏡107の挿入部外周と密着する。これにより、弁部通過時に生体内に送気されたガスが体外へ排出されることを防止する。生体内を内視鏡で観察することができたら、後は、通常の内視鏡下外科手術の手順に沿って作業が行なわれる。
【0116】
続いて、手術中に内視鏡107のレンズ面107aが曇ったり第1の実施形態のような汚れが付着した場合の視野復帰方法について説明する。
【0117】
視野を復帰させたい場合には、弁部103が閉じるまで内視鏡107を基端部102側にスライドさせる。その後、再び、内視鏡107を先端方向にスライドさせる。この時、内視鏡107にワイパー突起部100が当接する。この際の当接位置は接続部103aの位置よりも基端側であるため、ワイパー突起部100がまず初めに内視鏡107の先端面に押されることになり、弁部103が変形する。つまり、レンズ面107aの上方にワイパー突起部100のみが必ず内視鏡107に当接するので、確実に内視鏡の先端面に前記突起部100を当接させることができ、拭きムラを少なくする事ができる(図15の(a)参照)。さらに、内視鏡107を先端側に押し進めると、ワイパー突起部100が変形し、弁部103が接続部103aを軸にして先端側へ変形する(弁部103が当接面102cから離れる)。この時、ワイパー突起部と弁部とがθ1の角度で当たり、ワイパー突起部100とレンズ面107aとがθ2(30°〜90°)の角度で当たるように設計されている。ここで、θ2について補足説明する。経験的にθ2の角度間でワイパー突起部とレンズ面とが当接すると、良好に汚れを除去できることが分かっている。更に内視鏡107を押し進めていくと、ワイパー突起部100はレンズ面107a上を移動し、図15の(b)に示される状態となる。最終的に、内視鏡107は、ワイパー突起部100を乗り越え、先端挿入部101側へ挿入されて、生体内へと導入される。ワイパー突起部100はθ2の角度でレンズ面107aに当接するので、レンズ上の汚れを良好に除去でき、油膜を均一にすることができ、視野を復帰させることができる。なお、前述した一連の汚れ除去操作を1回行なっただけでは視野復帰の程度が低い場合には、前記操作を繰り返し行なう。なお、図16に示されるように弁部103が板ばね197によって開閉する構造においても、同様な操作方法により汚れを除去できる。
【0118】
弁部103が図25に示される構成を成す場合の汚れ除去操作は、以下の通りである。
【0119】
まず、内視鏡107のレンズ面107aが汚れたら、前述と同様に、弁部103が閉じるまで内視鏡107を基端部102側にスライドさせる。その後、再び、内視鏡107を先端方向にスライドさせる。この時、ダックビル弁110上にあるワイパー突起部112は移行ライン118よりも基端側に位置しているので、ワイパー突起部112が内視鏡107のレンズ面107aに最初に当接する(図26の(a)参照)。その後、内視鏡107を押し進めていくと、傾斜部114a,114bが変形し、その結果、傾斜部114a,114bの端部同士が密に当接することによって形成されるスリットも変形して開口する。内視鏡107はこの開口を通じて先端挿入部101内へと挿入される。ここで、ワイパー突起部112がレンズ面107aに当接する角度θ4は、前述のθ2と同様の角度間であることは言うまでもない。つまり、θ3は最適な当接角度であるθ4(前述ではθ2)となるように設計されている。
【0120】
ワイパー突起部112がレンズ面107aに当接する角度θ4、および、レンズ面107aの上方でワイパー突起部112が最初に内視鏡107に当接する事は前述した通りである。したがって、内視鏡107が押し進められるにつれて、ワイパー突起部112がレンズ面107a上を移動し、最終的に、内視鏡107は、ワイパー突起部112を乗り越えて、先端側へ移動(内視鏡の挿入部側面)し、視野が復帰される。前述2種類の弁の作用を説明時、図面上では斜視鏡、直視鏡の内視鏡をそれぞれ示しているが、両方の弁構造とも斜視鏡および直視鏡が使用でき、且つ、ワイパー突起部(100もしくは112)は問題なく機能する。以上、弁部103に汚れ除去機能(ワイパー突起部)を設けた場合について説明したが、以下では、先端挿入部101の管部101aの先端に汚れ除去機能を設けた場合について説明する。
【0121】
そのような内視鏡用汚れ除去具150が図17〜図20に示されている。図17の(a)に示されるように、内視鏡用汚れ除去具150は、基端部151と、先端挿入部166と、内針159(図18参照)とから構成される。基端部151は、その弁部165の構成が前述した基端部102の弁部103の構成と異なる。すなわち、弁部165にはワイパー突起部が設けられていない。それ以外の基端部151の構成は前述の基端部102と同様である。
【0122】
前述の先端挿入部101と先端挿入部166との相異点は、体内に挿入される管部152の構成、および、先端挿入部166の胴体部171上に設けられた指標(マーキング)170である。その他の構成は前述の先端挿入部1と同様である。管部152の先端側には、ワイパー突起部158を有する先端部153が設けられている。管部152の先端側の詳細が図17の(b)の断面図に示されている。図17の(b)に示されるように、管部152の先端の両側には逃げ部154が設けられている。これらの逃げ部154は、中心軸Oに対して片側(図17の(b)では上側)に位置し対向する。つまり、図示されていない側にも同様な逃げ部が設けられている。また、管部152の先端部の内面および外面にはそれぞれ段差155が形成されている。すなわち、管部152の先端部の肉厚t1は、その他の管部152の部位の肉厚tよりも薄くなっている。
【0123】
図17の(c)は、管部152の先端側に先端部153を設けた状態を示している。先端部153は、例えばシリコンやポリウレタン系の弾性素材によって形成されている。また、先端部153は、管部152の段差155が設けられている部分にインサート成形(一体的に成形)されている。先端部153には陵部157とワイパー突起部158とが設けられている。先端部153を上側から見た図17の(d)に示されるように、ワイパー突起部158は、所定の幅を有する帯状(ストリップ状)に形成されており、先端部153をその軸方向と垂直に横切るように延びている。また、ワイパー突起部158の両側に陵部157が形成されている。また、図17の(c)に示されるように、陵部157は管部152の各逃げ部154内に配置されている。また、ワイパー突起部158の内側部位(管部152の内孔と対向する側)は、突形状となっており、エッジ167を形成している。先端挿入部166の胴体部171上に設けられている指標170は、先端部153のワイパー突起部158が配されている方向に設けられる。なお、図17の(a)および図17の(d)に示されるLは、基端部151と先端挿入部166とを組み合わせた時の基端部151の基端面からワイパー突起部158のエッジ部167までの距離を示している。
【0124】
図18には内針159の全体が示されている。内針159と前述の内針Aとの相異点は、先端の構成および把持部A2上に設けられる指標163のみである(他の構成は前述の内針Aと同様)。内針159の先端部160は、半球形状であり、挿入部A1へとつながる。この半球形状の一部には退避部161が設けられている。退避部161は、内針159の軸方向に対して垂直に設けられた切り欠きによって形成されている。なお、この切り欠き形状は、ワイパー突起部158の形状とほぼ一致しており、ワイパー突起部158が移動するスライド面168を有している。スライド面168は中心軸Oに対してほぼ平行である。退避部161は、内針159を基端部151と先端挿入部166との部組に組み合わせた時に退避部61内にワイパー突起部158が収まるように設計されている。なお、退避部161に隣接する稜線部はわずかにR形状とした方が好ましい。また、把持部A2上に設けられた指標163は、内針159の先端部に設けられた退避部161が配されている方向に設けられている。
【0125】
一方、内針159の先端が三角錐形状を成す変形例が図20に示されている。この内針159の先端部160を形作る三角錐は、頂点169を最先端とする3つの面156によって構成されている。互いに隣接する面156の稜線164は、協働して刃形状を形作っている。また、面156と挿入部A1との稜線は、互いに刃形状を形作っていない。
【0126】
この例では、面156上に退避部162が設けられているが、退避部162は、面156と挿入部A1とで形成される陵部172にまで達する。退避部162は、切り欠き構造であり、ワイパー突起部158の形状とほぼ一致する。また、退避部162内に形成されたスライド面168’は、中心軸Oに対して僅かに角度を成している。無論、スライド面168’が中心軸Oと平行であっても良い。また、退避部162は、中心軸Oに対して略垂直な方向に延び且つ面156に対して平行な面162aを有している。また、退避部162に隣接する稜線部はわずかにR形状とした方が好ましい。また、内針159において、基端部151と突き当たる把持部A2の面から、ワイパー突起部158のエッジ167と当接する退避部162の部位までの距離L1(図20の(a)参照)は、距離Lよりも僅かに長い。
【0127】
次に、上記構成の内視鏡用汚れ除去具150を用いた内視鏡下外科手術について説明する。
【0128】
まず、基端部151を先端挿入部166に組み付ける。この組み付けは、図13の内視鏡用汚れ除去具と同じ方法で行なわれる。次に、内針159をこの部組み(基端部151と先端挿入部166との組立体)に組み付ける。まず、内針の先端が半円形状(鈍状)のものを組み付けた場合について説明する。
【0129】
内針159を基端部151内に挿入する。これにより、内針159は、その先端によって基端部151内の弁部165を開き、先端挿入部166内に挿入される。その後、図19に示されるように、内針159の先端が管部152の先端部153内を介して外部に露出される。具体的には、図19の(a)に示されるように、内針159の先端部160がワイパー突起部158の近傍に位置される。この時、内針159の中心は管部152の中心と略一致している。また、ワイパー突起部158は、中心軸Oよりも片側にシフトした位置に配されている。内針159を先端側に押し進める時、把持部A2上に設けられている指標163の向きと先端挿入部166の胴体部171上に設けられている指標170の向きとを合わせれば、内針159の先端の退避部161とワイパー突起部158とがほぼ同方向に位置し、確実に退避部161内にワイパー突起部158を導入できる。
【0130】
図19の(a)の状態から更に内針159を押し進めると、前述のように、ワイパー突起部158が退避部161内に位置する(図19の(b)参照)。この時、退避部161内のスライド面168は中心軸Oに対して平行であるため、ワイパー突起部158が退避部161内に導入される際の抵抗はほとんど無い。ここで、ワイパー突起部158が退避部161と組み合わせられた際に生じる隙間173の度合いを軽減するため、前述したように、中心軸Oに対して僅かに傾斜するスライド面168’が採用されても良い(図19の(e)参照)。スライド面168’によって生じる隙間173’は、先の隙間173よりも小さい。この場合、ワイパー突起部158(および陵部157)は、弾性体であるため、それ自身弾性変形してスライド面168’を乗り越え、退避部161へ浸入することができる。
【0131】
図19の(d)は、ワイパー突起部158と退避部161とが組み合わされた状態を上側から見た平面図である。この状態では、陵部157と先端部160との間に隙間が生じている。この状態から、内針159の把持部A2が基端部151に突き当たるまで、内針159を押し進めると、ワイパー突起部158が先端方向に僅かに押し進められる(突起部158にテンションが加えられる)(図19の(c)および図19の(f)参照)。これは、内針159の距離L1が、基端部151からワイパー突起部158のエッジ167までの距離Lよりもわずかに長いからである。
【0132】
図19の(c)および図19の(f)の状態において、陵部157は、伸びて変形した状態で先端部160に当接することになる(図19の(f)参照)。つまり、陵部157と先端部160との間に生じていた前記隙間が無くなり、内針159および管部152を体内へ挿入する際の抵抗を軽減することができる。なお、退避部161に隣接する稜線部がR形状を有していれば、前記テンションが加わっても、ワイパー突起部158および陵部157を傷つけたり破壊したりする事がない。
【0133】
ここで、本実施形態の先端部153が第2の実施形態の先端部3の構成(つまり、図3の(a)のようにシース2側に逃げ部が無い場合)であっても良いが、逃げ部があることによる作用と効果を以下に説明する。
【0134】
先端部153は経皮的に体腔内に導入されるが、その際、体組織に強く押し付けられる。先端部153は逃げ部154を設け、その中に陵部を配置するので、ワイパー突起部が汚れを除去するのに必要な陵部の長さと、且つ、先端側の弾性素材のみの部分を少なくすることが可能となる。したがって、先端部が体組織に強く押し付けられた時、この弾性素材のみの部分は全然動かない。よって、先端部153と管部152の接着剥がれをより防止することができる。
【0135】
図19の(c)の状態が得られたら、内視鏡用汚れ除去具を生体内へ挿入する。この挿入時においても、ワイパー突起部158および退避部161の周囲に力が加わるが、退避部161に隣接する稜線部がR形状であるので、ワイパー突起部158が破壊したりすることは無い。先端挿入部166の管部152を生体内に挿入できたら、先端挿入部166から内針159を引き抜き、先端挿入部166と基端部151との部組みを留置する。
【0136】
なお、このように内針159のみを引き抜く際の抵抗力は、中心軸Oと平行なスライド面168を有する退避部161の場合、非常に小さい。また、中心軸Oに対して僅かな角度を有するスライド面168’の場合であっても、ワイパー突起部158(および陵部157)が弾性変形して退避部162から離脱できるため、内針159を容易に引き抜くことができる。
【0137】
次に、先端が三角錐形状を成す内針159(図20の(a)参照)を使用する場合について述べる。なお、基端部151および先端挿入部166に対する内針159の組み付けは、前述したと同様の方法によって行なわれる。
【0138】
図20の(b)は図20の(a)の内針159の先端部60がワイパー突起部158の近傍に位置した状態を示している。内針159の中心は管部152の中心とほぼ一致している。また、ワイパー突起部158は中心軸Oよりも片側にシフトした位置に配されている。この状態から内針159を押し進める場合には、把持部A2上に設けられている指標163の方向と先端挿入部166の胴体部171上に設けられている指標170の方向とを合わせる。これにより、内針159の先端の退避部162とワイパー突起部158とがほぼ同方向に位置し、確実に退避部162内にワイパー突起部158を導入できる。
【0139】
なお、内針の最先端69が管部152の中心軸上に位置し且つワイパー突起部158が管部152の中心軸から片側にシフトして配されているため、内針159を押し進めても、最先端169でワイパー突起部158を破壊したりすることはない。また、指標163,170同士を合わせて内針159が挿入されるので、ワイパー突起部158は先端部の面156上を移動する(刃部上を移動することは無い)。すなわち、面156の稜線164で形成される刃部に対してワイパー突起部158(および陵部157)が当接することはない。よって、刃部によってワイパー突起部158が破壊されることも無い。また、ワイパー突起部158が当接して移動する面156上の部位は、その大部分が刃の無い稜線172であるので、ワイパー当接部158が傷ついたり破壊されたりすることは無い。
【0140】
図20の(b)の状態から内針159を更に押し進めると、ワイパー突起部158が退避部162内に配される(図20の(c)参照)。この時、退避部162内のスライド面168’は中心軸Oに対してわずかに傾斜しているため、ワイパー突起部158が退避部162と組み合わせられた際に生じる隙間173’の度合いは少なく、挿入抵抗を軽減することができる。なお、図20の(c)の状態においても、前述したと同様に、陵部157と先端部160との間に隙間が生じる(図19の(d)参照)。
【0141】
内針159の把持部A2が基端部151に突き当たるまで内針159を更に先端側に押し進めると、ワイパー突起部158が先端方向に僅かに押し進められる(突起部158にテンションが加えられる)(図20の(d)参照)。これは、内針159の距離L1が、基端部151からワイパー突起部158のエッジ167までの距離Lよりもわずかに長いからである。
【0142】
図20の(d)の状態において、陵部157は、伸びて変形した状態で先端部160に当接することになる。つまり、陵部157と先端部160との間に生じていた前記隙間が無くなり、内針159および管部152を体内へ挿入する際の抵抗を軽減することができる。なお、退避部161に隣接する稜線部がR形状を有していれば、前記テンションが加わっても、ワイパー突起部158および陵部157を傷つけたり破壊したりする事がない。
【0143】
図20の(d)の状態が得られたら、内視鏡用汚れ除去具を生体内へ挿入する。この挿入時においても、ワイパー突起部158および退避部162の周囲に力が加わるが、退避部162に隣接する稜線部がR形状であるので、ワイパー突起部158が破壊したりすることは無い。先端挿入部166の管部152を生体内に挿入できたら、先端挿入部166から内針159を引き抜き、先端挿入部166と基端部151との部組みを留置する。
【0144】
なお、このように内針159のみを引き抜く際の抵抗力は、中心軸Oと平行なスライド面168を有する退避部161の場合の方が小さいが、中心軸Oに対して僅かな角度を有するスライド面168’の場合であっても、ワイパー突起部158(および陵部157)が弾性変形して退避部162から離脱できるため、内針159を容易に引き抜くことができる。
【0145】
以上のようにして内針159を抜去したら、内視鏡107を先端挿入部166内に挿入して、体内を観察する。なお、図21の(d)に示されるように、ここで用いる内視鏡107は、その先端のレンズ面107aが垂直面Pに対して所定の角度θを成す斜視鏡である。内視鏡107を体内に導入した後の操作は、通常の内視鏡下外科手術に準ずる。
【0146】
先端挿入部166の胴体部171には、ワイパー突起部158の位置が分かる指標170があるので、この指標170側に内視鏡107のレンズ面107aの上縁部を向けて内視鏡107を先端挿入部166内に挿入すると、管部152内に導入された内視鏡107が先端部153内を通過する時、ワイパー突起部158が内視鏡107のレンズ面107aの上縁部に配される。この状態から更に内視鏡107を押し進めていくと、ワイパー突起部158のエッジ167が内視鏡107のレンズ面107aの上面に当接する。ワイパー突起部158(および陵部157)は、弾性部材であるので、内視鏡107が押し進められるにしたがって、先端方向に伸びていく(図21の(b)参照)。この状態から内視鏡107を更に押し進めると、ワイパー突起部158の弾性復元力(元の状態に戻ろうとする力)とレンズ面107aの傾斜とによって、レンズ面107aの下方へとワイパー突起部158が移動する。そして、最終的に、ワイパー突起部158は、内視鏡107の側面に配され、内視鏡107の視野外に退く。これにより、内視鏡107で体内を観察することができる。その後は、一般的に行われている内視鏡下外科手術の各術式にしたがう。
【0147】
手術が進行していくと、内視鏡107のレンズ面107aに、結露、電気メスなどの曇、血液や体液などの様々な汚れが付着する。内視鏡107の先端にこのような汚れが付着したら、内視鏡107を基端側方向にスライドさせ、内視鏡107の先端レンズ面107aを先端部153内まで移動させる。先端部153内に内視鏡107の先端レンズ面107aが位置すると、ワイパー突起部158は、その弾性復元力(元の状態に戻ろうとする力)によって、内視鏡107の側面から前面に移動してくる(内視鏡107の視野内に入ってくる)。したがって、この状態で、再度、内視鏡107を先端方向にスライドさせると、ワイパー突起部158のエッジ167が内視鏡107の汚れたレンズ面107aに当接しながら移動し、汚れが拭き取られる。エッジ167は、レンズ面107a上の汚れを下方へと掻いて移動させるため、掻いた後の視野はクリアーになる。ワイパー突起部158は、最終的に、視野外(内視鏡の側面)に退避するため、その後の内視鏡観察が可能となる。
【0148】
なお、エッジ167は、レンズ面107aから内視鏡107の側面に移動するとき、レンズ面107a上の汚れも内視鏡107の側面に移動させる。この時、汚れの一部は、ワイパー突起部158の弾性力によって弾き飛ばされる。このような1回の清掃操作で汚れが取れない場合には、ワイパー突起部158に対して内視鏡107を進退させる前記操作を繰り返す。
【0149】
図29〜図33は本発明の第9の実施形態を示している。本実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具は、図30に示されるような内視鏡235とともに使用される。内視鏡235は、先端側の一部に湾曲部237を有しており、先端面がフラットな直視内視鏡である。内視鏡235の湾曲部237の長さはβに設定されており、内視鏡235の挿入部の長さはL1に設定されている。また、挿入部の基端側にはその外径が大きくなっている折れ止め部材を有している。
【0150】
図29に示されるように、本実施形態の内視鏡用汚れ除去具230は、先端部231と、把持部234と、挿入管部233と、湾曲部232とから構成される。なお、先端部231の構成は、第2の実施形態の先端部3と以下の点が異なる。
【0151】
内視鏡235の先端のレンズ面と当接する突起を有する当接部238には陵部231a,231bが連なっており、これらの陵部231a,231bは互いにその幅が異なっている。具体的には、陵部231aの幅は、陵部231bの幅よりも小さく設定されている(図31参照)。また、陵部231a,231bは互いにその肉厚が異なっていても良い(その場合には、陵部231bの肉厚が陵部231aのそれよりも厚い方が望ましい)が、本実施形態では、これらの肉厚は同じである。また、当接部238は中心線Oに対してやや片側(図29では上側)にシフトしている。つまり、2つの結合部、陵部231a,231bは、同一荷重が加わった時の弾性変形量が異なるように構成されている。
【0152】
湾曲部232は、いわゆる蛇腹管構造を成している。蛇腹管は、波形状が連続した構造体であり、圧縮・ねじれ方向にある程度の強度を有し、任意の方向に湾曲することができる。蛇腹管は、テフロンやウレタン系など、形状が適度に変形する材料によって形成されていることが好ましい。湾曲部232は先端部231および挿入管部233に接着固定されている。湾曲部232の長さαは、内視鏡235の湾曲部237の長さβよりも長い。したがって、内視鏡用汚れ除去具230を内視鏡235と組み合わせた時、内視鏡235の湾曲部237は、常に、内視鏡用汚れ除去具230の湾曲部232内に配されるように設計されている。
【0153】
一方、挿入管部233は、硬質な管状部材であり、その内孔が把持部234に連通するとともに、把持部234に接着固定されている。把持部234はその外周に、これを容易に回転させることができるように窪み39を複数有しており、これによって、持ち易い形状になっている。また、把持部234の略中央には、内視鏡235が挿通可能な挿入孔240が形成されている。この挿入孔240は、挿入管部233の内孔、湾曲部232の内孔、先端部231の内孔に連通している。また、内視鏡用汚れ除去具230の全長L2は、内視鏡235の挿入部の長さL1よりも短い。
【0154】
次に、本実施形態の内視鏡用汚れ除去具230を用いて内視鏡235のレンズ面の汚れを除去する方法について説明する。
【0155】
まず、汚れ除去具230の挿入孔240側から内視鏡235を挿入する。この場合、内視鏡235の先端部236が汚れ除去具130の当接部238に突き当たるまで、内視鏡235を挿入する(図31の(b)参照)。また、この時、汚れ除去具230の全長L2は内視鏡235の挿入部の全長L1よりも短いので、汚れ除去具230の基端部から内視鏡235の挿入部の折れ止め241までの距離L3分だけ、汚れ除去具230を内視鏡235に対して軸方向にスライドさせることができる。この図31の(b)の状態で、汚れ除去具230および内視鏡235を、一般的に外科手術で用いられる内視鏡案内管に挿入し、内視鏡235の先端部を体内に挿入する。
【0156】
内視鏡235を体内に挿入したら、以下の手順で当接部238を視野外に退避させる。すなわち、汚れ除去具230の把持部234を持って、汚れ除去具230を内視鏡235の挿入部に対して距離L3分だけ基端方向にスライドさせる。これにより、当接部238が内視鏡2325の先端部236によって先端側に押し出されるため、陵部231a,231bが先端側へ伸びる。汚れ除去具230を距離L3分だけ基端側にスライドさせたら、その後、把持部234を回転させる。この場合の回転方向は、基端側から見て時計周りである。この回転力は、把持部234から管部233、湾曲部232へと伝わる。この時、湾曲部234は、ねじれ方向に強いため、回転力を先端部231へと伝えることができる。
【0157】
汚れ除去具230の先端部231が回転すると、当接部238は、内視鏡235の先端部236に対して図33に示されるような動きをする。すなわち、まず、図33の(a)に示される矢印方向に先端部231が回転する。そして、陵部231bが矢印方向に移動するに伴ない、それに続く当接部238も矢印方向に移動する。一方、陵部231aはその幅が小さいので、陵部231aの動きに当接部238はそれほど従わず、陵部231aだけが回転方向に伸びてゆく(図33の(b)参照)。これにより、当接部238は内視鏡235の先端に対して偏った位置に配される。ここで、陵部231a,231bには距離L3分だけスライドした引っ張り力が加わっているので、当接部238は汚れ除去具230の基端側へと移動しようとする。したがって、この状態から更に先端部231を回転させると、内視鏡235の先端に対して偏って位置された当接部238は、引っ張り力によって基端側に移動され、最終的に、内視鏡235の先端部236の側面に退避することになる。2つの陵部の肉厚に差を持たせ、回転を加えることで、先端が直視タイプの内視鏡でも汚れを除去することが可能である。
【0158】
内視鏡235は先端側が湾曲可能であるため、湾曲部237を任意に湾曲させた視野下で内視鏡外科手術を行なうことができる。この時、内視鏡235の湾曲部237は汚れ除去具230の湾曲部232内に配されているため、内視鏡235を湾曲させたとき、湾曲部232は内視鏡235の湾曲動作に追従して湾曲する。湾曲部232の蛇腹管の湾曲形態では、湾曲内側(図32の(b)のA部)の波形状が圧縮され、反対側に位置する湾曲外側(図32の(b)のB部)の波形状が伸びる。これによって、内視鏡235の湾曲を損なうことなく、汚れ除去具230も湾曲できる。
【0159】
内視鏡235のレンズ面に汚れが付着した場合には、把持部234を持って、内視鏡235の先端方向に汚れ除去具230を押し進める。この時、把持部234に働いた押進力は、管部233と湾曲部232とを伝わって、汚れ除去具230の先端部231を先端方向に移動させる。前述の通り、蛇腹形状を有する湾曲部232は、圧縮方向の力に強いため、確実に先端部231を先端方向へと移動させることができる。このような動作によって先端部231の当接部238を内視鏡235の先端部236の前面に位置させることができたら、前述のように、距離L3分だけ、汚れ除去具230を基端側にスライドさせた後に回転させて、当接部238を内視鏡235の先端のレンズ面に当てながら移動させて退避させる。この操作を繰り返し行い、レンズ面の汚れを除去する。
【0160】
図34の(a)〜図34の(c)には、汚れ除去具230の先端部231の変形例が示されている。この変形例に係る先端部231は、第6の実施形態とほぼ同じ構成であるが、以下の点が異なる。
【0161】
当接238の肉厚Aは、陵部244の肉厚Bよりも厚い。また、補助板243の肉厚Cも陵部244の肉厚Bよりも厚い。また、補助板243の幅Eは、陵部244の幅Dよりも十分厚い。内視鏡235のレンズに当たる当接部238上の突起部242は、図34の(c)に詳しく示されるように、任意の曲率Rを持つアーチ形状を成す。また、突起部242の長さFは、当接部238の先端部からの突出長さGよりも長い。
【0162】
次に、上記構成の先端部231の作用について説明する。
【0163】
汚れ除去具230を内視鏡235へ挿入する手順は、前述の通りである。内視鏡235の先端部236が当接部238の突起部242に突き当たるまで、内視鏡235を汚れ除去具230内に挿入したら、一般的に外科手術で用いられる内視鏡案内管を介して、汚れ除去具230を内視鏡235とともに体内に導く。
【0164】
汚れ除去具230を体内に挿入したら、以下の手順で当接部238を視野外に退避させる。すなわち、把持部234をもって、汚れ除去具230のみを基端側方向にスライドさせる。これにより、突起部242が、まず、内視鏡235のレンズ面の上方に当たる。そして、この状態から汚れ除去具230を更に基端側に移動させると、補助板243の一部が内視鏡235のレンズ面の下方と当接する。この場合、突起部242の長さFが当接部238の先端部からの突出長さGよりも長いので、突起部242が内視鏡235のレンズ面に当接した後に、補助板243の一部が内視鏡235のレンズ面と接することになる。よって、陵部244や補助板243の変形による突起部242の下方へのズレへと影響する前に、レンズ面の上方に突起部242を当接する事ができる。また、突起部242は、図34の(c)に示されるように、任意の曲率Rをもつ形状を成しているため、最も拭きたいレンズの中央において、突起部242をレンズのより上方に当接させることができる。したがって拭き残し(もしくは拭きムラ)を防止することができる。
【0165】
前記状態から汚れ除去具230を更に基端側に移動させると、先端部231および当接部238が変形していく。陵部244は、補助板243よりも肉厚が薄く且つ幅が薄いので、積極的に先端方向に伸びていく。一方、補助板243は、陵部244よりも形状的に伸びにくいので、先端方向にはそれほど伸びず、図34の(b)中において下方へと変形する。これにより、補助板243に連なる当接部238は、補助板243に引っ張られて、下方へと移動する。最終的に、補助板243の下方への引っ張り力と陵部244の弾性力とにより、当接部238は、内視鏡235の先端の側面に移動する。また、このように当接部238が下方へと移動する過程において、突起部242は、内視鏡235のレンズ面上を上方から下方へと移動する。当接部238の肉厚Aは陵部244のそれよりも厚いので、当接部238は変形しにくい。つまり、当接部238の移動過程において、突起部242の形状は変形せず、レンズ面に対する突起部242の当接状態を安定して維持できる。その後は、前述と同様に、内視鏡下外科手術を行う。内視鏡235の先端を湾曲させて、操作を行なうと、これに追従して汚れ除去具230の湾曲部232が湾曲する。
【0166】
内視鏡235を湾曲させた状態で、汚れを除去する手順を以下に述べる。
【0167】
まず、把持部234を持って、汚れ除去具230を先端方向にスライドさせる。把持部234に加えた力の先端部への伝わり方は前述の通りである。よって、当接部238は、内視鏡235の先端部の側面から前面へと移動する。次に、把持部234を内視鏡235に対して基端側にスライドさせる。これにより、前述したように、当接部238の突起部242は、内視鏡235のレンズ面を上下に移動し、汚れを拭き取る。すなわち、汚れ除去具230を前後動するだけで、フラットな面を有する内視鏡235のレンズ面の汚れを突起部242で拭き取ることができる。
【0168】
図35の(a)〜図35の(d)には、本発明の第10の実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具300が示されている。この内視鏡用汚れ除去具300は、内孔を有する先端部301と、内視鏡が挿入可能な内孔を有するパイプ部302と、基端側の把持部303とから成る。先端部301は、弾性部材で成形されており、パイプ部302の先端側と一体的に成形される。パイプ部302と一体的に成形される先端部301の部分は変形しないが、それ以外の先端部301の部分は変形可能であり、この部分を、以下、退避部319と称する。また、先端部301は、内孔を有す略管形状を成している。なお、先端部301の材質はシリコン系やウレタン系などの弾性部材である。また、退避部319の先端外面にはテーパ部310が設けられている。
【0169】
先端部301は、その内部に貫通孔である観察孔304を有している。また、退避部319には、その側面に、開口部309が設けられている。この開口部309は、パイプ部302の中心軸Oに対して、垂直な方向(図36の矢印A方向)に延びている。なお、開口部309の開口形状は、図37の(a)に示されるように矩形状(開口幅はF1)であっても良く、また、図37の(b)に示されるように三角形状(開口幅はF2)であっても良い。
【0170】
退避部319の肉厚は、開口部309の側と、これと相対する側とで異なる。すなわち、図36の(b)に示されるように、開口部309側に位置する退避部319の上側部位の肉厚はt1に設定され、それ以外の退避部319の部位(図35の(a)の角度θ6の周方向範囲)の肉厚はt2に設定されており、t1とt2との関係はt1>t2となっている。なお、パイプ部302と一体的に成形されている部分から開口部までの間に位置している内径D’は、内視鏡の外径と同等もしくはそれよりも大きく設定されても良いが、僅かに小さくても良い。
【0171】
図36の(a)(b)に示されるように、退避部319は、肉厚がt1の部位から径方向内側(内孔方向)に突出するアーム305を有している。アーム305は、開口部309から中心軸Oに対し所定の角度をもって内側に延びており、幅がt3に設定されている。つまり、アーム305の一端は退避部319の側面に連結され、アーム305の他端はパイプ部302の中心軸O方向へと所定の角度を持って延びている。なお、以下、中心軸O側に位置するアーム305の端部を「先端」と称する。また、アーム305の先端の中心が図36の(b)にCで示されている。アーム305の先端には、ワイパーブレード、すなわち、パイプ部302の中心軸Oと略平行に延びる第1の突起306と、第1の突起306に対して時計周りに所定の角度をもって延びる第2の突起307と、アーム305の先端の中心Cを基準に第1の突起306と略180°反対側に位置する規制部308とが成形されている。第1の突起306の先端のうち、最初に内視鏡の先端と当接する部分が図36の(b)にP1で示されている。この部分P1は、パイプ部302の中心軸Oから所定距離γだけ離間されている。なお、第1の突起306、第2の突起307、規制部308は、その幅が共にt4に設定されており、その幅が開口部309内で中心軸Oに対し垂直方向に延びている。また、第1の突起306、第2の突起307、規制部308は、一体の構造物であり、アーム305よりも剛性がある。また、アーム305および退避部319の開口部309側に位置する部位は、その肉厚がt1に設定されているため、肉厚がt2の退避部319の他の部分よりも剛性がある。t3とt4との関係はt3=t4でもよいが、t3<t4の方が好ましい。
【0172】
突起306,307、規制部308の変形例が図38の(a)および図38の(b)に示されている。突起306,307、規制部308は、図38の(a)に示されるように、一体となって断面が円弧状を成す突起322を形成しても良く、また、図38の(b)に示されるように、一体となって断面が円弧状を成すとともにその円弧上に凹凸を有する突起322’を形成しても良い。なお、これらの円弧の中心は、何れも、アーム305の先端の中心Cと一致しているが、中心Cと一致していなくても良い。また、両方の突起322,322’は、最初に内視鏡の先端と当接する部分P1と、中心Cを基準とし部分P1と略180°反対側に位置する規制部108とを有している。この場合も、部分P1は、パイプ部302の中心軸Oからγの距離に位置している。
【0173】
内視鏡用汚れ除去具300と共に使用される内視鏡400が図39に示されている。図示のように、内視鏡400は、体腔内に挿入される挿入部424と、体腔内を観察するためのレンズ面を先端に有する先端部425と、挿入部424の基端に設けられた本体部426と、本体部426上に位置し且つ外部光源からの光を内視鏡400の先端側へ導光するためのライトガイドポスト(以下、LGポストと称す)423とを有している。なお、LGポスト423は、内視鏡400の本体部426から垂直に突設されている。また、内視鏡400の本体部426の基端には、接眼レンズ部426’が設けられている。
【0174】
図40の(a)には、直視タイプ の内視鏡400の先端部425が示されている。また、図40の(b)には斜視タイプの内視鏡400の先端部425が示されている。図40の(a)に示されるように、直視タイプの内視鏡400の先端部425の先端面は、内視鏡挿入部424の中心軸O’に対して垂直な面として形成されている。先端部425には、観察するためのレンズ面428と、LGポスト423から導光された光を外部へ照射するためのライト面427とが設けられている。内視鏡挿入部424の中心軸O’からライト面427の上縁までの距離はαに設定されている。一方、図40の(b)に示されるように、斜視タイプの内視鏡400の先端部425の先端面は、内視鏡挿入部424の中心軸O’に対して垂直以外の所定の角度を成す傾斜面として形成されている。直視タイプと同様、先端部425には、レンズ面428と、ライト面427とが設けられている。内視鏡挿入部424の中心軸O’からライト面427の上縁までの距離はβに設定されている。距離αと距離βは一般的に異なる場合が多い。本実施形態におては、距離αが距離βよりも大きく設定されている。なお、本実施形態において、ライト面427は、LGポスト423と同じ側(図中上側)に設けられている。
【0175】
また、本実施形態では、内視鏡挿入部424がパイプ部302内に配された時、パイプ部302の中心軸Oと挿入部の中心軸O’とが略一致するように設計されている。また、パイプ部302の中心軸Oから部分P1までの距離γは、距離αもしくは距離βのうちの大きい方と一致するように設計される(すなわち、本実施形態では、距離γは距離αと一致する)。
【0176】
図35の(a)〜図35の(d)に示されるように、内視鏡用汚れ除去具300の把持部303の先端側には、パイプ部302を挿入して組み付けることができる組み付け部303’が設けられている。また、把持部303の基端側には、内視鏡400の本体部426を収容可能なスペースを有する収納部314が設けられている。また、収納部314の先端側には、内視鏡挿入部424が挿通可能な内視鏡挿入孔315が設けられている。更に、把持部303の側面には、内視鏡400のLGポスト423が挿通可能なガイド部313(切り欠き形状)が形成されている。なお、把持部303は、硬質な弾性素材によって一体的に形成されている。また、この硬質な弾性素材は、肉厚が薄くなると外力によって変形し且つ肉厚が厚い場合には殆ど変形しないという性質を有している。そのような弾性素材としては、例えば、シリコン素材、ウレタン素材やその合成物を挙げることができる。
【0177】
図35の(a)におけるY方向矢視図が図35の(c)に示されている。この図35の(c)に示されるように、ガイド部313には、その内側に突出する第1のストッパ311および第2のストッパ312が設けられている。これらのストッパ311,312は、ガイド部313の中心軸Oの両側に対を成して設けられている。なお、基端側の第1のストッパ311の突出量は、先端側の第2のストッパ312の突出量よりも大きい。また、図35の(a)に示されるように、第1のストッパ311の肉厚はt6に設定され、第2のストッパ312の肉厚はt5に設定されている。この場合、t5とt6との関係はt5≦t6となっている。また、ストッパ311,312の肉厚t5,t6は、ガイド部313に外力Fが加わった時にストッパ311,312が変形できるように設定されている。また、ガイド部313は、その周囲が外力Fの方向に僅かに変形できるようになっている。なお、ガイド部313の幅は、LGポスト423の外径よりも僅かに大きく設定され、第1のストッパ311間および第2のストッパ312間の距離はLGポストの外径よりも僅かに小さい。
【0178】
第1のストッパ311は、把持部303の基端(つまり、ガイド部313の開放側)から距離Lの位置に配されている。また、第2のストッパ312は、第1のストッパ311から距離L2の位置に配されている。なお、第2のストッパ312からガイド部313の先端までの距離はL1に設定されている。距離L1,L2,Lのそれぞれは、これらの各距離の範囲内にLGポスト423が収まるように設計されている。また、第1のストッパから部分P1間の距離は内視鏡の先端からストッパに当接するLGポストまでの距離よりも僅かに長い。なお、これらの距離L1,L2,Lは、内視鏡400と除去具300とを組み合わせた状態で、LGポスト423が最適な位置に配されるように設計されている。その詳細に関しては、後述の使用方法で説明する。
【0179】
図35の(d)に示されるように、内視鏡挿入孔315の基端側には、シーリング部318と、シーリング部318に隣接する逃げ部317と、逃げ部317に隣接し且つパイプ部302との組み付け部303’へと繋がる位置決め部316とが設けられている。なお、これらの部分316,317,318は把持部303の全周にわたって設けられている。位置決め部316の内径は、パイプ部302の内径よりも僅かに大きく、パイプ部302の外径よりも小さい。また、シーリング部318の内径Dは、内視鏡挿入部424の外径よりも小さい。位置決め部316とシーリング部318との間に配される逃げ部317の内径は、シーリング部318および位置決め部316の内径よりも大きい。位置決め部316の構成にすれば、パイプ部302と把持部303とを接着固定する際、盲目的にパイプ部302を組み付け部303’内に挿入しても、位置決め部316でその挿入深さが決められるので、組立て性が向上する。なお、シーリング部の形状は片側(基端側)が傾斜しており、中心軸に向かって肉薄となる。この最大肉厚部をt7とし、外力によって変形可能な肉厚である。
【0180】
本実施形態の内視鏡用汚れ除去具300と組み合せて使用される内視鏡案内管500が図41の(a)および図41の(b)に示されている。図示のように、内視鏡案内管500は、体壁を貫通して体腔内に導入される挿入部501と、挿入部501の先端に形成された先端部502と、挿入部501の基端側に連設し且つ体外に位置する本体504と、本体部504内に設けられる気密弁503と、本体部504の基端側に設けられ且つ汚れ除去具300が挿通可能な孔505と、孔505内に固定され且つ弾性素材からなる密着部510とを備えている。内視鏡案内管500は、基端側の孔505から挿入部501の先端側まで、除去具300が挿通可能な一貫した孔(途中、気密弁503により通常は遮断されている)を有している。気密弁503は、外力が加わると変形する弾性素材によって形成されている。気密弁503の中央部にはスリット506が設けられており、気密弁503の周端部は本体部504に接着固定されている。つまり、スリット506に外力が加わると、スリット506が変形して開くが、外力が加わっていないと、スリット506が閉じた状態に保たれる。なお、外力が加わっても、気密弁503の周端部は変形しない。なお、 図41において、挿入部501の先端は、中心軸Oに対して傾斜しているが、中心軸Oに対して垂直であっても良い。
【0181】
図41に示される気密弁503は、所謂、ダックビル弁であるが、図42に示されるような構成を成していても良い。すなわち、図42に示される気密弁503Aは、支点508を中心に回動する押さえ板509と、押さえ板509を閉じる方向に付勢する板バネ507とを備えている。図42の(a)では、押さえ板509が板バネ507の付勢力を受けて孔505を塞いでいるが、外力が押さえ板509に加わると、支点508を中心にA方向に押さえ板509が回動し、挿入部501の内孔が全長にわたって通じるようになる。また、一般的に、孔505の周囲には、図42の(b)に示されるように、弾性素材で成形された密着部510が設けられている。この密着部510は、孔505の周囲に固定されている。密着部510の中心には、孔505よりも小さな小孔511が形成されている。この小孔511は、案内管500に挿入される器材の外径よりも小さい。よって、器材が挿入されたとき、小孔511は、略密に器材の外面と密着する。
【0182】
次に、上記構成の作用について説明する。なお、ここでは、主として、直視タイプの内視鏡400およびダックビル弁構造の内視鏡案内管500について説明する。
【0183】
内視鏡外科手術が開始される前に、内視鏡汚れ除去具300と内視鏡400とを組み合わせ、術前の準備を行なう。まず、除去具300の内視鏡挿入孔315から内視鏡400の挿入部424を挿入する。因みに、接眼レンズ部426’の基端には、外部テレビ装置につながる所謂カメラヘッドが接続されている。内視鏡400の先端部425のレンズ面を通じて得られた像は、接眼レンズ部426’へ伝達される。この伝達された像(所謂、内視鏡像)は、前記カメラヘッドへ伝達され、外部テレビ装置に映し出される。この挿入時、シーリング部318は、その内径Dが内視鏡400の挿入部424の外径よりも小さいので、挿入部424の外面に略密に接触する。すなわち、内視鏡400と除去具300は、互いにシール状態で組み合わされる。
【0184】
シーリング部318は前述のように把持部303の内部に一体的設けられている。把持部303およびシーリング部318は、硬質な弾性素材によって形成されている。シーリング部318は、その最大肉厚t7が薄く、また、シーリング部318は、先端側にいくほど内径が小さくなる傾斜形状を成しているため、先端側ほど肉厚が薄い。シーリング部318を形成する硬質な弾性素材は、肉厚が薄いと変形し易くなる性質を持つため、シーリング部318は加わった外力によって変形する事になる。また、シーリング部318に隣接している逃げ部317は、シーリング部318の内径よりも大きいため、シーリング部318が先端方向に変形する際のスペースとなっている。従って、シーリング部318は先端側へ更に変形しやすくなるので、内視鏡挿入部の径に追従してシーリング部の内径が変化し、シール状態を維持することができる。ここで、シーリング部318を通過する内視鏡400の挿通抵抗をR1とする。
【0185】
内視鏡400の挿入部424を更に押し進めていくと、挿入部424がパイプ部302の内部に位置され、内視鏡400のLGポスト423が把持部303の基端側に位置する。この時、LGポスト423をガイド部313の開放側に合わせる。その状態で、内視鏡400を更に押し進めると、LGポスト423がガイド部313内に配され、最終的に、第1のストッパ311にLGポスト423が接する。この時のLGポスト423の位置が図43に破線で示されている。また、この時、内視鏡400の本体部426も把持部303の収納部314内に配される。ガイド部313の基端から距離Lの位置に第1のストッパ311が設けられ、LGポスト423がガイド部313内に収まるように設計されているので、LGポスト423がガイド部313から外れることはない。ここで、LGポスト423が第1のストッパ311を通過する時の通過抵抗をR2とする。
【0186】
なお、LGポスト423が第1のストッパ311と接した状態で、更に除去具300の先端方向へLGポスト423を移動させると、LGポスト423によってストッパ311に外力が加わることになる。前述のように、第1のストッパ311は、幅t6でガイド部313の中心軸O方向に突出しており、外力によって変形可能であるため、第1のストッパ311が変形したとき、ガイド部313も図35の(c)に矢印で示される外力Fの方向に変形する。つまり、通過抵抗R2は、第1のストッパ311の変形力量とガイド部313の周囲の変形力量とに依存している。
【0187】
LGポスト423が図43の破線で示される位置に配されると、内視鏡400の先端部425は、先端部301の内孔に配される(図44参照)。この時、内視鏡400の先端と最初に当接する第1の突起部306の部分P1は、内視鏡400の先端から距離t8だけ離れている。つまり、LGポスト423が図43の破線の位置に配されたとき、第1の突起部306は、内視鏡400の先端部425に僅かに接していない状態となる。また、この時、図45の(a)に示されるように、内視鏡400の視野角θの範囲内に観察孔304が位置する。その時の内視鏡像が図45の(b)に示されている。図45の(b)の上方に突起部306,307が、また、下方に観察孔304が確認できる。観察孔304は外部に通じる貫通孔であるので、このように観察孔304から外部の状況を内視鏡像で確認することが可能である。
【0188】
術前の準備は、第1のストッパ311とLGポスト423とが接した状態(図43の破線で示される状態)で完了する。この状態で、内視鏡外科手術が開始され、体壁に内視鏡案内管500の挿入部501が刺し込まれ、腹腔内、もしくは胸腔内に、先端部502が配されることになる。本実施形態では、腹腔内での内視鏡外科手術を例に説明する。なお、腹腔内での内視鏡外科手術は、気腹ガスによって腹腔内を膨らませた状態でおこなわれる。
【0189】
腹腔内に案内管500の先端部502が配されたら、除去具300と内視鏡400との組立体を案内管500に挿入する。この時、除去具300の先端部301を内視鏡案内管500の孔505に挿入する。この操作は、内視鏡400の本体部426もしくはその基端のカメラヘッドを持っておこなう。内視鏡400の挿入部424はシーリング部318と密に組み合わせられ、この時、挿通抵抗R1が作用し、且つ、第1のストッパ311とLGポスト423とが接し、LGポスト423がガイド部313の中に収まる。よって、わずかな力量で内視鏡400が汚れ除去具300に対して前後にずれたり回転したりしない。
【0190】
また、除去具300の先端部301の先端外面にはテーパ部310が設けられているので、案内管500の孔505に除去具300を挿入するとき、テーパ部310がガイドとなり、挿入が容易となる。ここで、孔505に設けられている密着部510は、その小孔511が変形して径が大きくなり、最終的に、汚れ除去具300の外径と略等しくなり密着するので、問題無く挿入でき、且つ、気密を保つことができる。さらに、汚れ除去具300を挿入していくと、案内管500の弁部503を通過することになる。前述のように弁部503は外力によって、その中央に位置するスリット506が変形する。スリット506の変形は汚れ除去具300の外形状まで変形し略密に組み合わさる。よって、汚れ除去具300が弁部503を通過可能となる。因みに、ばね構造の弁部503Aの場合、前述のように外力が押さえ板509に加わるとバネ507が変形して支点508を中心として板509が先端方向に動き、案内管500の挿入部の孔へとつながる。ここで、汚れ除去具300が案内管500に挿入するときの抵抗をR3とする。つまり、挿入抵抗R3は、孔505の密着部510を汚れ除去具300が通過する抵抗と、気密弁部503を通過する抵抗とに依存する。なお、ばね構造の弁部503Aの場合、挿入するときの抵抗をR3’とする。挿入抵抗R3(もしくはR3’)と前述の挿通抵抗R1、通過抵抗R2の関係は、R1+R2>R3(R3’)となっている。つまり、R1+R2の方が大きい。よって、汚れ除去具300が案内管500に挿入されるとき、内視鏡400の本体部426の基端(もしくはカメラヘッド)を持って挿入しても、LGポスト423が第1のストッパ311を意図せず先端方向に通過することはない。また、挿入時、意図せず内視鏡400の先端部425が突起部306に接触、もしくは、突起306を先端方向へ押すことはない。従って、この状態の時、内視鏡先端部が突起部に接触して退避部319を意図せず変形させることは無いので、汚れ除去具300はスムーズに案内管500へ挿入される。そのため、挿入性が向上する。加えて、意図せず、案内管500の中で内視鏡先端が前記突起部に接触し、退避部319を変形させてその内部で干渉・破損する事を防止できる。
【0191】
また、汚れ除去具300はそのパイプ部302の外径が密着部510で密に組み合わさっており、気密が保たれている。さらに、内視鏡400の外径は汚れ除去具300のシーリング部318で密に組み合わさっているので、気密が保たれている。従って、腹腔内を膨らませている気腹ガスが、汚れ除去具300を案内管500に挿入しても外部に漏れることは無い。
【0192】
案内管500の挿入部501内を汚れ除去具300の先端部301が通過し、最終的に腹腔内へ先端部301が配される。先端部301が腹腔内に配されたかどうかは、前述の通り観察孔304から内視鏡像で確認できる。よって、先端部301で腹腔内の臓器を意図せず触ることはない。
【0193】
先端部301が腹腔内に配されたことが観察孔304から確認できたら、内視鏡400のみを汚れ除去具300に対して腹腔方向にスライドさせ、内視鏡400の先端部425を先端部301内から腹腔内へと露出させる作業をおこなう。まず、内視鏡400の本体部426(もしくはカメラヘッド)と汚れ除去具300の把持部303をもって、LGポスト423を第1のストッパ311の先端方向に移動させる。このとき、第1のストッパ311を通過するときの抵抗R2だけスライド力量を加える。すると、このストッパ311は先端側へと変形し、加えて、ガイド部313は幅が広がる方向(前述のF方向)に変形するので、LGポスト423は第1のストッパ311を通過する。このときのLGポスト423の位置が図43に一点鎖線で示されている。LGポスト423が第1のストッパ311を通過した後は、第1のストッパ311、ガイド部313の幅とも素材の弾性力によって元の状態にもどる。ここで、第1のストッパ311と第2のストッパ312との間の距離L2は、LGポスト423が図43の破線で示される位置に配されたときの第1の突起部306の部分P1から内視鏡400の先端部までの距離t8と一致する。つまり、LGポスト423が一点鎖線の位置に配された場合、内視鏡400の先端は、図47に示されるように、第1の突起部306の部分P1に僅かに接触している位置となる。なお、LGポスト423が一点鎖線の位置に配されたときには、第2のストッパ312と接し且つ退避部は変形していない状態である。LGポスト423が第1のストッパ311を通過しても、第2のストッパ312に接触するため、さらにスライド力量を加えないと、先端側の位置(図46の実線で示される位置)にLGポスト423は移動しない。なお、第2のストッパ312をLGポスト423が通過する時の抵抗をR4とする。
【0194】
次に、抵抗R4のスライド力量を内視鏡400に加える。すると、LGポスト423は、第2のストッパ312を通過し、図46の実線位置に配される。抵抗R4は、第2のストッパ312の突出量が第1のストッパ311のそれよりも少ないので、R2よりも小さい。すなわち、抵抗R2よりも容易にLGポスト423を実線位置にスライド可能である。LGポスト423が第2のストッパ312を通過するとき、このストッパ312の変形は、第1のストッパ311と同じである(第2のストッパ312が先端側へ変形し、ガイド部313の幅が広がり、LGポスト423が通過する)。LGポスト423の通過後、第2のストッパ312が素材の弾性力によって元の状態に戻ることは言うまでもない。LGポスト423が実線位置に配されたとき、内視鏡400の先端は汚れ除去具300の先端部301の内部から腹腔内に露出する。
【0195】
次に、図48を参照しながら、内視鏡400の先端部425が汚れ除去具300の先端部301の内部から腹腔内に露出する過程を説明する。
【0196】
LGポスト423がガイド部313の第2のストッパ312から先端方向へ移動するとき、内視鏡400の先端部425の上方に位置していた第1の突起部306は下方へ移動する。このとき、突起部306が内視鏡400の先端部425に押され、アーム305は先端部301の中心軸O方向に折れ曲がるように変形する(図48の(a)参照)。同時に、開口部309の幅がH1からH2へと開く方向で変形する(図49参照)。これらの変化を少し詳しく説明する。
【0197】
内視鏡400の先端部425が先端部301の先端方向へ移動すると、まず、突起部306を先端方向に押す。すると、突起部306とつながっているアーム305に力量が加わる。アーム305に加わった力量は、開口部309の先端側上方を先端方向に押し、開口部309の変形(幅が開く方向の変形)に影響する。前述のように、開口部309の真ん中を先端中心軸に対して垂直な断面をとったとき、その断面上での肉厚はt2である。一方、アーム305、退避部319の先端側上方の肉厚はt1である。これら肉厚の関係はt1>t2であるので、t1の肉厚部でも変形するが、開口部309の肉厚t2の部分が積極的に変形する。よって、退避部319全体が積極的に下方へ移動することになる。
【0198】
また、内視鏡400の先端部425に突起部306が先端方向に押され、内視鏡400の先端と突起部306が接する接触角度は変化する(アーム305と突起部306との間の角度が開く方向)。しかし、この接触角度が変化すると同時にアーム305の折れ曲がり変化が始まるので、接触角度の変化は少なく、且つ、開口部309の変化で退避部319が下方へ移動するに伴ない、突起部306は内視鏡400の先端部425上を接しながら下方へ移動する。
【0199】
さらに、内視鏡400を押し進めると、アーム305、開口部309はさらに変形し、突起部306は内視鏡400の先端部425のさらに下方へ移動する。この時、突起部306の接触角度も変化している。アーム305と突起部306間の角度は開く方向で変化するが、その一方で、規制部308とアーム305との間の角度は閉じる(狭くなる)方向で変化する(突起部306と規制部308は一体的な構造物であるため)。あるところまで突起部306とアーム305との間の角度が変化すると、規制部308が開口部309の先端側の上面内側壁にあたる。このため、規制部308は殆ど変化しなくなり、この影響で突起部306とアーム305との間の開く方向の変形も殆ど起こらなくなる(突起部306と規制部308は一体的な構造物であるため)。よって、アーム305と突起部306との間の角度は180°(つまり、平坦)に至らなくなる。従って、アーム305と突起部306が見かけ上、平面になることを防止できる。つまり、大きな面で内視鏡400の先端部425と接触しない。突起部306の部分P1側でのみ内視鏡400の先端部425に当接し、先端面上を下方に移動する事になる(図48の(b)参照)。最終的に、突起部306は内視鏡400の側面に位置することになる(図48の(c)参照)。開口部309の幅が変形し、その間を内視鏡400の先端部425が突出する形となる。
【0200】
ここで、内視鏡案内管500の挿入部501内は血液や体液などで汚れている場合がある。先端部301がこの中を通過すると、先端部301の外部にこれら汚れが付着する。第1の突起部306や第2の突起部307はアーム305によって先端部の中に配されている。よって、これら突起部306,307に汚れが付着することは無い。従って、前述の内視鏡400先端部425を腹腔内に露出する操作を行い、第1の突起部306が先端部を移動しても汚れることが無い。つまり、案内管500を通して、汚れ除去具300と共に内視鏡400が体外から腹腔内へ挿入されたとき、この後説明する汚れ除去操作の必要が無く、すぐに腹腔内の視察が可能である。
【0201】
なお、以下、LGポスト423が実線位置にあるときを「内視鏡観察状態」、1一点鎖線位置にある時を「汚れ除去準備状態」、破線位置にある時を「案内管挿入状態」と呼ぶことにする。
【0202】
前述したが、開口部309は、図37のような形状であってもよい。開口部309それぞれの幅はF1,F2であるが、前述の操作により幅が広がる方向に変形し、内視鏡400の先端部425が開口部309から外部へ突出可能である。この状態で内視鏡外科手術が行われる。なお、案内管500の挿入抵抗R3と汚れ除去部300の挿通抵抗R1と、LGポスト423が第2のストッパ312を通過するときの通過抵抗R4において、その関係はR1+R4>R3(R3’)である。よって、内視鏡400のみをもって操作するとき、意図せずLGポスト423が第2のストッパ312を通過し、汚れ除去準備状態になることはない。
【0203】
「内視鏡観察状態」のときは、内視鏡400の先端近傍の側面に退避部319が存在する。退避部319は汚れ除去具300の先端から開口部309までGの距離がある。つまり、内視鏡400の側面から汚れ除去具300の先端部301までは距離Gだけ離れている。よって、内視鏡400の下面に臓器が存在した状態で内視鏡400を操作したとき、まず、退避部319の先端が臓器に接触することになる。このため、不用意に臓器が内視鏡400の先端部425に接触して視野が汚れることを軽減できる。また、退避部319は弾性素材でできているため、外力によって適度に変形する。従って、臓器に接触すると適度に変形するので、臓器をいためることは無い。更に、退避部319内に突起部306が存在するので、退避部319が臓器に接触しても突起部306が血液や体液によって汚れることは無い。
【0204】
内視鏡外科手術が進み、電気メスや超音波凝固切開具などで組織を処理したとき、煙やミストが発生し視野が汚れる。または、臓器を圧排したとき内視鏡400の先端部425へ不用意に臓器が接触し、視野が汚れることがある。このように視野が汚れ、明瞭な内視鏡像を得られず、観察不能となった場合は、以下の手順に従って視野の回復を行う。視野が汚れた場合、内視鏡400の本体部426の基端(もしくは、カメラヘッド)と汚れ除去具300の把持部303を持って、LGポスト423をガイド部313内の「汚れ除去準備状態」位置にスライドさせる。LGポスト423を実線位置から一点鎖線位置にスライドするとき、第2のストッパ312を通過することになる。このストッパ312をLGポスト423が通過するときは、前述のR4の力量が必要となる。R4の力量は前述のように、R2に比べ低いので容易にスライド可能である。
【0205】
LGポスト423が第2のストッパ312を通過するとき、まず、R4の抵抗を感じ、その後、この抵抗感がなくなり一点鎖線の位置に配される。この抵抗感が手元側で感じることができるので、感覚的にも「汚れ除去準備状態」になった事がわかる(内視鏡像で突起部が現れるので視覚的にも分かることは言うまでもない)。
【0206】
この操作と同時に内視鏡400の先端部425が開口部309より突出していた状態から、引っ込む方向へ移動する。内視鏡400の先端部425の近傍に位置していた退避部319は、内視鏡400の先端部425の前面に位置する元の状態に戻る。図50には、これら操作時の先端部301の一連の変化が示されている。矢印Aは、LGポスト423が一点鎖線位置から実線位置へ移動したときの状態の変化である。すなわち、「汚れ除去準備状態」から「内視鏡観察状態」へと内視鏡400の先端部425と汚れ除去具300の先端部301の関係が変化した状態を表している。一方、矢印Bは、LGポスト423が実線位置から一点鎖線位置へ移動したときの状態の変化である。すなわち、「内視鏡観察状態」から「汚れ除去準備状態」へと内視鏡400の先端部425と汚れ除去具300の先端部の関係が変化した状態を表す。
【0207】
前述したが、中心軸OからP1の距離γは、内視鏡400の中心軸O’からライト面427の上縁までの距離αと一致している。よって、LGポスト423が一点鎖線の位置に配されたとき(汚れ除去準備状態)、第1の突起部306の部分P1は内視鏡400の先端部425のライト面427を含めた上方に接する。次に、汚れを除去するために、LGポスト423を実線位置(内視鏡観察状態)へ移動する。すると、第1の突起部306はこの位置(中心軸から距離γの位置)から下方へと移動する。すると、突起部306はライト面427に接した状態で、下方に移動する。よって、この部分にある汚れを突起部306で下方へ拭き取り、移動することになる。これにより、突起部306がライト面427を含めた部分にまず当接し、接した状態で下方へ移動することで、ライト面427上の汚れを除去(下方へ移動)できる。すなわち、ライト面427に付いた汚れで光量が軽減したのを、元の光量の状態に復帰させることができる。加えて、ライト面427に付着した汚れで軽減光量した光量が熱量に変り内視鏡400の先端部425が高温になることを防ぐことができる。
【0208】
LGポスト423を実線位置へ移動すると、前述のように開口部309が変形し、第1の突起部306が接した状態で内視鏡400の先端のライト面427、レンズ面428上を移動する。この移動によって面427,428上に存在した汚れを下方移動し、拭き取る(除去する)ことになる。
【0209】
ここで、第1の突起部306の移動に関して、補足説明する。
【0210】
図48で汚れ除去準備状態から内視鏡観察状態ヘの先端側変化の説明をおこなった。第1の突起部306はアーム305が変形することによって、ライト面427、レンズ面428上を下方へ移動する時の接触角度の変化量が小さい。詳しく説明すると、第1の突起部306に内視鏡400の先端部425が先端方向へ移動したときの力量が加わると、それにつながるアーム305にも力量が加わる。次いでアーム305から、退避部319全体へと力量を伝える。開口部309の周囲の肉厚はt2であり、アーム305や退避部319上方の肉厚t1よりも薄い。よって、まず、開口部309の変形が積極的に起こり、次いでアーム305が変形することになる。これにより、退避部319全体が下方に移動する。この移動に伴って、突起部306は下方へ移動するが、退避部319全体が下方へ移動するに応じてアーム305が適度に変形し、且つ、アーム305の弾性力によって突起部306を前記面に押し付ける力が生じ続ける。このとき、アーム305と突起部306との間の角度は開く方向となる。つまり、突起部は前記面(427,428)上を接触した状態で下方に移動するが、その間、前記面と突起部間の接触角度の変化量を小さく抑えながら移動できる。これにより、ある決まった範囲の接触角度で常に前記面に接触し、汚れを拭き取ることになるので、意図しない角度による、所謂、突起部306のビビリがおきず、拭きムラを防止できる。また、アーム305の弾性力によって突起部306を前記面へ押し付ける作用により、突起部306が前記面に対して部分的に浮くことを防止できる(拭きムラ防止)。
【0211】
ここで、規制部308に関して説明する。前述のようにアーム305と突起部306の角度は広がる方向で変化するが、規制部308が開口部309の先端側の上面内側壁にあたることによって、アームと突起部間はある角度以上は変化しなくなる。つまり、この角度間が180°となることはないので、見かけ上“面”となることはない。従って、アーム305を含めた突起部306の周囲で内視鏡400の先端部425と一度に広範囲な接触をすることはない(突起部306の部分P1側でのみ接触する)。広範囲な面での接触をすると、力を均一に加えることが難しく、部分的に接触している部分が浮いたり波をうったりした状態で、内視鏡400の先端部425上を移動することになり、汚れの拭き取り効果を減ずることになる(にじみや、拭き残しが起こりやすい)。このように規制部308で前記角度を規制することにより、アーム305と突起部306との間が見かけ上“面”とならず、突起部306の部分P1側でのみ内視鏡400の先端部425と接触させることが可能である。よって、汚れの拭き取り効果を減ずる事無く、内視鏡400の先端部425の上方から下方へ突起部306が移動できる。
【0212】
最終的に、内視鏡400の先端部425の側面に突起部306が位置する。突起部306が図50にCで示す状態から、Dで示す状態へ移動するとき、突起部306によって下方に移動した汚れは、アーム305および突起部306の弾性力によって外部へはじき飛ぶことになる。よって、突起部306の周囲に付着した汚れの量は微量となる。上記操作によって、前記面上の血液や体液の汚れが拭き取られ、視野が復帰し、明瞭な内視鏡像を得ることができる。
【0213】
ここで、図36の(b)に示される内径D’の効果を説明する。内径D’は内視鏡400の外径に比べ小さいときに効果を発揮する。術中、突起部306に大量の汚れが付き、前述の汚れを“はじき飛ばす”だけでは上手く行かないとき、体外に汚れ除去具300を取り出して水洗いをしなければならない。外部で簡単に水洗いをしてパイプ部302の中に水が残っている状態で内視鏡400を挿入すると、内径D’を通過するとき、D’の方が小径であれば密に内視鏡400の外径が挿通されることになる。つまり、管路内の残った水が内視鏡400の先端方向に垂れることを防止する(所謂、水垂れ防止)。
【0214】
この1回の操作で汚れが十分に拭き取れないときは、この操作を複数回行うことによって汚れを除去する。すなわち、図50で示すB→A→B…の操作を繰り返すことになる(図46におけるLGポスト423の位置は実線位置→一点鎖線位置→実線位置…となる)。前述したが、汚れは外部に飛ばされるのでこの操作を繰り返すことによって、汚れの量は減ってゆき、最終的に明瞭な内視鏡像を得ることができる。また、突起部306に付いた量は微量であるので、一度除去した汚れを再度、前記面に付着し、汚すようなことはない。
【0215】
ここで、第2の突起部307に関して説明する。
【0216】
内視鏡400の先端部425はその周囲によって、湿り気があったり、乾燥している場合がある。一般的に、腹腔内の温度と内視鏡400の先端部425の温度は異なる(手術最初、内視鏡400の先端部425の方が温度は低い)。すると、内視鏡400の先端部425の表面に結露が発生し、所謂、湿り気がある状態となる。この時、汚れ除去の操作を行うと、前述のように突起部306が移動する。しかし、手術が長時間におよぶと、内視鏡400の先端部425が乾燥する場合もある。内視鏡400の先端部425には外部から導光された光をライト面427で腹腔内へ照射する機能がある。ゆえに、長時間、ライト面427から光を腹腔内へ照射すると、この先端部周囲は腹腔内の温度よりも高くなり、乾燥した状態になる場合がある。この状態で前述の汚れを除去する操作を行うと、第1の突起部306と内視鏡400の先端部425との摩擦抵抗は大きくなる。すなわち、第1の突起部306はアーム305との間の角度を閉じる(狭くなる)方向に変化する。この変化が続くと、図51のA1状態のように、第2の突起部307が内視鏡400の先端部425と接触する。内視鏡の下側を基準として、第2の突起部307が内視鏡400の先端部425と接触するこの位置を距離C1とする。つまり、第1の突起部306と第2の突起部307が同時に内視鏡400の先端部425と接している状態となる。なお、汚れ除去状態から状態A1に移行する間は、第1の突起部306のみが、内視鏡400の先端部425と接触しながら下方へ移動している。
【0217】
さらに、内視鏡400の先端部425が先端方向に押し進められると、両突起部306,307はA1の状態からA2の状態に変化する。なお、このA1の状態からA2に移行する間は、第1の突起部306および第2の突起部307とも、内視鏡400の先端部425と接触しながら下方へ移動する。A2状態のとき、アーム305、退避部319が下方に変化するに応じて、第1の突起部306は内視鏡400の先端部425から離れはじめる(図51のB1参照)。ここで、内視鏡400の下側を基準として、第1の突起部306が内視鏡400の先端部425から離れはじめるこの位置までを距離D1とする。
【0218】
A2状態からさらに内視鏡400の先端部425が先端方向に押し進められると、第2の突起部307のみが先端部425に接触しながら下方へ移動し、最終的に内視鏡400の先端部425の近傍の側面に位置することになる。ここで、距離C1と距離D1との関係は距離C1>距離D1となっている。また、そのように第2の突起部307が位置するように設計されている。図52の(b)は第1の突起部306と第2の突起部307の前記移動に関して、簡単に表したものである。第1回の操作では、第1の突起部306は距離D1の位置で内視鏡400の先端部425から離れるので、この範囲の汚れを第1の突起部306で拭き取ることはできない。しかし、この操作をもう一度おこなうことによって、第2の突起部307が距離D1の部分の拭き残しを拭き取ることができる。これを複数回行うことによって、内視鏡400の先端面上の汚れを軽減でき、最終的には明瞭な視野へと復帰することができる。また、第1の突起部306が内視鏡400の先端面上の摩擦抵抗により、アーム305間の角度が閉じるような変化を起こしたとき、第2の突起部307が存在することで、第1の突起部306と規制部308の下面(つまり、“面接触”)で、内視鏡400の先端部425と接触することを防止できる。すなわち、内視鏡400の先端部425の湿気度合いが変っても、適切に突起部306を前記面に接触させることができる。
【0219】
また、前述の内視鏡400の先端部425の状態以外でも、アーム305と突起306間が狭くなるような挙動を起こす場合がある。このような場合でも確実に内視鏡400の先端部425の下側の汚れを拭き取ることが可能である。
【0220】
一方、図38に示されるように断面が円弧形状の突起部にした場合の汚れ除去形態を説明する。
【0221】
図38の突起形状は前述の突起形状と断面が円弧形状であること以外はすべて同じである。汚れ除去操作を行ったとき、内視鏡400の先端部425に突起322の部分P1が接触する。接した後は前述の突起部306のように内視鏡400の先端部425の上方から下方へ移動し、汚れを除去する。断面が円弧形状の突起部は、アーム305と突起部間の角度が狭くなるような汚れ除去動作で威力を発揮する。
前述のような挙動を示したとき、前記突起部は内視鏡400の先端部を上方から下方へと向かって移動し汚れを除去するが、ある位置になると突起部上の内視鏡先端部と接触している部分が移動する(図53参照)。つまり、円弧形状部で内視鏡先端部を転がり、突起部は移動する。このとき、突起部はアーム305で内視鏡先端部方向に力が加わっているので、突起部が浮いたりすることはない。よって、上方から移動してきた汚れも、下方へ移動する(図53の(b)の状態A1から状態A2参照)。以上より、断面が円弧形状の突起部を用いると、アームと突起部間の角度が狭くなるような挙動でも、一度の操作で汚れを除去する事が可能となる。また、突起部が常に内視鏡先端部に接している状態となり、浮く部分が無いので確実に汚れを除去可能である。
【0222】
断面が円弧形状であり、且つ、その表面に突起322’のような凹凸形状を設けていると、その凸部先端で汚れを効率よく下方向に拭き取り、移動させるのでより良い。今まで、内視鏡先端部が所謂、直視タイプのものを用いての汚れ除去の説明を行ったが、本案は内視鏡先端部が所謂、斜視鏡であっても同様の汚れ除去効果を発揮できる。図54はその挙動を図示したものである。前述のように、突起部306の部分P側で内視鏡先端部に接触する。突起部306の部分P1側は中心から距離γであり、直視鏡のライト面427を含む中心からの距離αと一致している。斜視鏡の場合の中心からライト面427を含めた距離はβであるが、α>βの関係であるので、突起部306は確実に斜視鏡のライト面427を含めた上方の位置に接触することになる。突起部306はこの位置から下方へ向かって汚れを拭き取る動作をする。これにより、斜視鏡であっても、確実にライト面上の汚れを拭き取ることが可能である。
【0223】
汚れ除去操作は前述同様、内視鏡先端を先端方向、もしくは、末端方面へ移動させる(LGポスト423は実線位置から一点鎖線位置へ、もしくは、一点鎖線位置から実線位置へ)。すると、アーム305と突起部306間の角度は開く方向に移動する。ここで、斜視の面に掛かる力量は直視タイプと異なる。当接する部分が斜面であると、突起部306に掛かる力量は、下方に加わる力が強くなる(図55の(b)参照)。なお、図55の(b)(c)中、F,F1,F2は反力(見かけ上の力)である。先端が傾斜しているとF2の反力が生じる。内視鏡は下方に動かないため、突起部が積極的に下方へ動くことになる。すなわち、突起部306が下方向へと変化させようとするが、アーム305が変化折れ曲がる方向で変化するので、さほど突起部306の位置が変わらず、下方向まで移動する事になる。
【0224】
また、斜視鏡は中心軸に対して、左右に回転してしまうと、その先端面と突起部306の接触する面間に浮が発生してしまう可能性があるが、先端部分が図55の(a)に矢印で示される方向に適度に変形するので、突起部306が内視鏡先端部と浮きを発生せずに接触させることが可能である。また、t3<t4であると、突起部306はアーム305より剛性があるので、アーム305が適度に曲がりやすく、先端部の形状に追従して変化しやすい。
【0225】
ここで、先端部の構成を図57のように変更した場合に関して説明する。
【0226】
前述の構成との変更点は退避部の先端側を肉厚(600)にし、加えて、第1の突起部306の位置を開口部上方へずらし、t1’部分を前述の構成より肉厚にした3点のみである。なお、中心軸Oから第1の突起部306までの距離γ’は前述の距離γよりも長い。その他の構成は前述と同様である。ここで、この構成で内視鏡先端に対して突起部を進退させた時の挙動に関して説明する。
【0227】
図58は直視タイプの内視鏡に対して、突起部306を進退する状態を示す。先端部が肉厚であると、その周囲部分の強度は向上し、進退動作によって退避部先端側の円筒形状が変形し難くなる。加えて、第1の突起部306の内視鏡先端面に当接する位置が、距離γ’と変更になった点、また、t1’の肉厚になった点で前述の構成とは突起部およびアームの挙動が異なる。
【0228】
突起部を内視鏡先端に対して後退する方向の動きを図58の矢印Aで示す。突起部を後退させると、まず、第1の突起部306がライト面の上方と当接する。其れに応じて退避部全体が先端方向に変形する。退避部はt1’の肉厚、および、肉厚600により、アームの変形よりも肉厚なt2の部分(※印部周囲)が積極的に変形する(図58の(1))。すると、アームは若干変形しながら下方に変形する退避部の挙動に従う。これにより、突起部306は上方へと移動し、第2の突起部307がライト面の上方と当接する(図58の(2))。更に突起部が後退すると、退避部、アームの挙動に従い、第2の突起部307も上方へと移動し、規制部308がライト面の上方に当接することになり(図58の(3))、規制部308が内視鏡の先端面上を当接しながら下方へと移動する(図58の(4))。この時、第1の突起部および第2の突起部は先端面に接触していない。つまり、規制部308は内視鏡の先端面を拭くことが可能な第3の突起となる。最終的にこれら突起部は開口部から外部に突出し内視鏡の側面に位置するが、退避部の先端側強度が増しているため、元の状態に戻ろうとし第1の突起部306と第2の突起部307のみが内視鏡の側面に接することになる(図58の(5))。
【0229】
一方、突起部を内視鏡に対して前進させると、第1の突起部306が内視鏡の先端下面に接触する(図58の(6))。更に前進させると、第2の突起部307も先端下面に接触することになる。退避部が元の状態に戻る挙動と同時に、第1の突起部および第2の突起部は先端面を下面から上面へと接触した状態で移動し(図58の(7))、退避部(および突起部)は元の状態に戻る。この時、規制部、すなわち、第3の突起部は先端面に接触しない。内視鏡先端面が汚れた場合、このように突起部を内視鏡の先端面に対して進退することで、レンズ面に付着した汚れを除去できる。図58の(5)の状態(観察状態)で汚れが付着することになるが、突起部を前進(B矢印)すると、第1および第2の突起部である程度汚れを除去する。次いで、突起部を後退(A矢印)すると、第3の突起部(すなわち規制部)で残った汚れを除去する。
【0230】
ここで、図59のように斜視鏡で使用した場合について説明する。斜視鏡の場合、図58の(2)の点のみ挙動が異なる。他は前述と同様である。図58の(2)の挙動は内視鏡の先端上部を突起部306と突起部307間で挟み込む状態となる。そのまま、突起部を後退すると、前述の通り第3の突起部である規制部308が先端面に接触し汚れを拭き取る。つまり、突起部306の中心Oからの距離はγ’であり、前述のγの位置よりも上位置であるので、突起部306は内視鏡の先端上部へ移動し易い。次いで、突起部307間と挟み込むことになり、後退操作により突起部307が返り、第3の突起部308が先端面の上部に接することになる。
【0231】
このように、必ずそれぞれの突起部は汚れを一方向(前進時は第1および第2の突起部で、後退時は第3の突起部)で除去するので、一度の操作で確実に汚れを除去することができ、且つ、内視鏡の先端形状が異なっても、突起部が同様の挙動を示すので、安定して汚れを除去できる。
【0232】
以上により、アーム305と突起部306により、内視鏡先端部の形状が変っても、適切に汚れを前記面上から除去でき明瞭な視野へと復帰させることができる。汚れが除去できたら、内視鏡を観察状態にして、外科手術を続行する。手術中の内視鏡の操作は内視鏡本体部の基端、もしくは、カメラヘッドを持って行っている。内視鏡を体外方向へ引いた、内視鏡像を得たいとき、あるところで、汚れ除去具300の先端の退避部319とトラカールの縁があたることになる。ここで、退避部319とトラカールの縁が当接したときの干渉抵抗Xとする。干渉抵抗Xは案内管500、内視鏡400、汚れ除去具300それぞれの間の抵抗(R1〜R4)にくらべて大きい。よって、干渉抵抗Xがおきると、案内管500と汚れ除去具300との抵抗R3、汚れ除去具300と内視鏡400間の抵抗R4(内視鏡観察状態なので)とシーリング部318の抵抗R1の関係は以下の通りである。
【0233】
X+R3>R1+R4(図56参照)
よって、内視鏡400のみが、基端方向へ移動する。すると、LGポスト423は実線位置から一点鎖線位置へ移動する。これにより、退避部319は元の状態にもどり、干渉抵抗Xは“0”になる。よって、内視鏡400がこれ以上体外方向へひけないことが視覚的に確認することができ、ぎりぎりいっぱいに引いた内視鏡像を得ることができる。また、内視鏡を抜去したい場合は、そのまま内視鏡を引けば、R1+R2>R3であるので、内視鏡と一緒に汚れ除去具300も抜去できるので、汚れ除去具300のみが案内管500に残ったまま内視鏡400がはずれ、腹腔内の気腹ガスが外部に漏れることを防止できる。加えて、退避部319が内視鏡400の抜去動作に応じて元の位置に戻るので、トラカールと干渉することなく、退避部319の破損を防止できる。このように、本案は内視鏡先端部周囲の環境が変っても、常に安定した汚れ除去能力を発揮できる。また、異なる先端形状の内視鏡に対しても、適切な位置で汚れを除去できる。加えて、内視鏡をいきなり抜去しても、自動的に退避部とトラカール先端部との干渉が解消され、且つ、腹腔内の気腹ガスを外部に漏らすことなく操作可能であるので、安全性が向上する。
【0234】
なお、以上説明した技術内容によれば、以下に示すような各種の構成が得られる。
【0235】
1.内視鏡の挿入部が挿通されるチューブと;
前記チューブに結合される弾性体と;
前記弾性体に結合され、その少なくとも一部が前記チューブ内に挿通される内視鏡の対物レンズに接触するとともに、前記弾性体の変形に伴って前記対物レンズ上を移動して対物レンズの汚れを拭き取るワイパーブレードとを具備することを特徴とする内視鏡用汚れ除去具。
【0236】
2.前記チューブおよび前記弾性体はそれぞれ、中空で且つ2つの第1および第2の開口を有し、
前記チューブの第1の開口と前記弾性体の第1の開口とが接続し、
前記ワイパーブレードは前記弾性体の第2の開口に形成され、
前記内視鏡の前記挿入部は前記チューブの第2の開口から前記チューブ内に挿入されることを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
3.前記ワイパーブレードは、ストリップ状を成しており、その両端部が前記弾性体と結合していることを特徴とする第2項に記載の内視鏡用汚れ除去具。 4.前記ワイパーブレードは少なくとも1つの突起を有し、この突起は、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第3項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
5.前記突起は、前記ワイパーブレードの長手方同に沿って延びていることを特徴とする第4項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0237】
6.前記突起は、前記内視鏡の対物レンズの直径よりも長いことを特徴とする第5項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
7.前記ワイパーブレードの長手方向は、前記チューブの中心軸と直交する軸と平行であることを特徴とする第3項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
8.前記ワイパーブレードは、T形状を成しており、その各端部が前記弾性体と結合していることを特徴とする第2項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
9.前記ワイパーブレードは少なくとも1つの突起を有し、この突起は、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第8項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0238】
10.前記突起は、前記チューブの中心軸から偏位して設けられていることを特徴とする第9項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
11.前記弾性体は、中空の円筒形状を成しており、その側面に前記第2の開口が形成されていることを特徴とする第2項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
12.前記ワイパーブレードは1つの第1の突起を有し、この突起は、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第11項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
13.前記ワイパーブレードは、前記第1の突起とは別の第2の突起を有することを特徴とする第12項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0239】
14.前記ワイパーブレードは、前記第2の開口内で、前記弾性体の側面から前記弾性体の内側へと延びていることを特徴とする第11項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
15.前記チューブを前記内視鏡の前記挿入部に対して進退させるために把持される把持部を更に備え、この把持部は前記チューブの前記第2の開口の近傍に設けられていることを特徴とする第2項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
16.前記把持部にはハンドルが接続されていることを特徴とする第15項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
17.前記把持部は凹部を有し、この凹部内には、前記内視鏡の手元把持部に設けられたライトガイドコネクタが移動可能に接続することを特徴とする第15項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0240】
18.前記凹部は前記ライトガイドコネクタの移動を規制する規制突起部を有することを特徴とする第17項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
19.前記内視鏡の挿入部が前記チューブに挿入された時に前記挿入部の外面と前記チューブの内面との間に形成される第1の流路と、
前記チューブに形成されるとともに、前記第1の流路に流体を注入するための第2の流路を有する流体注入部を更に備え、
前記弾性体は、前記第2の開口の少なくとも一部を閉塞するための壁を有することを特徴とする第2項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0241】
20.前記チューブはその内側に内針を挿入可能な案内管(トラカール)として形成され、前記内針は、前記チューブの前記第2の開口から挿入され、前記チューブの前記第1の開口から突出することを特徴とする第2項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
21.前記内針は、前記ワイパーブレードを前記内針の針を形成する面から退避させるための溝を有し、この溝は、前記チューブの第1の開口から突出する内針の部位に形成されることを特徴とする第20項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0242】
22.前記ワイパーブレードは、前記弾性体と結合する結合部と、前記内視鏡の対物レンズの汚れを拭き取る汚れ取り部とを有し、前記汚れ取り部と前記結合部はその厚さが互いに異なることを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
23.前記汚れ取り部は前記結合部よりも厚いことを特徴とする第22項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
24.前記ワイパーブレードは少なくとも1つの突起を有し、この突起は、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0243】
25.前記突起が多孔体から成ることを特徴とする第24項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
26.前記多孔体は水分吸収性のある素材から成ることを特徴とする第25項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
27.前記突起は前記ワイパーブレードと別体であり、前記突起は前記ワイパーブレードに固定されることを特徴とする第24項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0244】
28.前記突起は接着剤により前記ワイパーブレードに接着され、前記接着剤は乾燥した後も弾力性を有することを特徴とする第27項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
29.前記突起は前記ワイパーブレードと比較して軟らかい素材からなることを特徴とする第24項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
30.前記突起はエッジを有し、このエッジは、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第24項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0245】
31.前記突起の断面は、略台形、略四角形、略三角形から成るグループから選択される形状を成していることを特徴とする第30項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
32.前記突起は曲面を有し、この曲面は、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第24項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
33.前記突起は前記チューブの中心軸から偏位して設けられていることを特徴とする第24項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0246】
34.前記弾性体は前記チューブの内側に配置されることを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
35.前記チューブは、その内側に内針を挿入可能な案内管として形成されていることを特徴とする第34項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
36.前記ワイパーブレードは、前記案内管の内孔を開閉する弁として機能することを特徴とする第35項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
37.前記ワイパーブレードは、前記案内管の長手方向の軸に対して傾斜するとともに、ワイパーブレードの延在方向の軸に対して傾斜する少なくとも1つの突起を有していることを特徴とする第36項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0247】
38.前記案内管は、先端部と、前記先端部と別体の基端部とを有し、前記ワイパーブレードは前記基端部に設けられていることを特徴とする第35項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
39.前記ワイパーブレードが光学的に透明であることを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
40.前記チューブおよび前記弾性体はそれぞれ、中空で且つ2つの第1および第2の開口を有し、
前記チューブの第1の開口と前記弾性体の第1の開口とが接続され、
前記弾性体の第2の開口は、前記弾性体の第1の開口よりも小さく且つ前記ワイパーブレードを構成し、
前記内視鏡の前記挿入部は、前記チューブの第2の開口から前記チューブ内に挿入されることを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0248】
41.前記ワイパーブレードは、前記弾性体の前記第2の開口の縁に形成される突起を有し、この突起は前記弾性体の内側に突出していることを特徴とする第40項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
42.前記弾性体の第2の開口は、前記チューブの中心軸から偏位して設けられていることを特徴とする第41項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0249】
43.前記チューブは湾曲部を有することを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
44.前記ワイパーブレードは、前記チューブの長手軸方向に対して傾斜する面を有することを特徴とする第1項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
45.前記案内管は、前記内針が挿入される基端部と、前記内針が突出する先端部とを有し、前記弁は、前記案内管の前記基端部側に設けられていることを特徴とする第36項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0250】
46.前記ワイパーブレードは複数の突起を有し、これらの突起は、前記ワイパーブレードが前記内視鏡の対物レンズ上を移動する時に、前記対物レンズと接触することを特徴とする第11項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
47.前進する時に内視鏡の対物レンズ上を接触しながら移動する第1の突起と、後退する時に内視鏡の対物レンズ上を接触しながら移動する第2の突起からなることを特徴とする第46項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
48.前記突起が弾性体の第2の開口部から弾性体の内側に突出することを特徴とする第46項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0251】
49.弾性体は、チューブと接続する基端部と、側面の第2の開口部から遠位側の先端部を有することを特徴とする第11項または第46項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
50.先端部は基端部に対して肉厚であることを特徴とする第49項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
51.先端部に中空の内部と外部を通じる第3の開口部を有し、第3の開口部は内視鏡の対物レンズで外部を観察可能な観察窓であることを特徴とする第49項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
【0252】
52.前記ブレードと前記弾性体と結合する2つの結合部は、同一荷重時における(伸びの)弾性変形量が異なることを特徴とする第3項に記載の内視鏡用汚れ除去具。
付記1.内視鏡の挿入部に対して進退自在な進退部材と、
この進退部材に取り付けられ、弾性を有する拭き取り部材を具備し、
上記拭き取り部材は、上記進退部材と内視鏡の相対的な移動により内視鏡の対物レンズ面に当接する第1の位置と上記対物レンズ面の視野外の第2の位置に移動し、その移動により上記対物レンズ面の汚れを拭き取るようにした事を特徴とする内視鏡汚れ除去具。
付記1−a.付記1において、進退部材は管状体であるもの。
付記1−b.付記1において、弾性を有する拭き取り部材はシリコンもしくは、ウレタン系素材であるもの。
【0253】
付記2.付記1において、拭き取り部材は帯状(ストリップ状)の部材であるもの。
付記3.付記2において、上記拭き取り部材は、対物レンズ面に向く部分に対物レンズ面に当接し得る突起を設けたもの。
付記4.付記1〜3において、拭き取り部材は透明な素材であるもの。
付記5.付記2,3において、上記進退部材は内視鏡が挿通可能な管状体であり、その先端に、管状体の中心軸に対して直交するように拭き取り部材が配される、連結部材を有すもの。
【0254】
付記5−a.付記5において、拭き取り部材と管状体が少なくとも2個所で連結されたもの。
付記5−b.付記5,5−aにおいて、さらに帯状(ストリップ状)の拭き取り部材の少なくとも一部と進退部材外周を連結する連結部材を設ける。
付記5−c.付記5−a,bにおいて、連結部材は弾性体である。
付記6.付記3において、上記突起は多孔体であるもの。
【0255】
付記7.付記6において、上記多孔体は、水分吸収性の素材であるもの。
付記8.付記1において、第1の位置と第2の位置を決める位置決め手段を設けたもの。
付記9.付記1において、上記拭き取り部材の一部に、内視鏡が挿通可能な孔を設けたもの。
付記10.付記9において、上記孔の周囲に、対物レンズ面と当接する返し部を設けたもの。
【0256】
付記11.付記1〜10において、上記進退部材内に流体を注入する流路を設けたもの。
付記12.付記11において、さらに対物レンズ面に流体が当る第3の位置を設けたもの。
付記13.付記12において、対物レンズ面に対する返し部を設けたもの。
付記14.付記1において、拭き取り部材はT字形状であるもの。
【0257】
付記15.付記12において、さらに第3の位置になるように位置決め部を設けたもの。
付記16.付記15において、位置決め部に突起を設けたもの。
付記17.付記1において、内視鏡汚れ除去具は体腔内に内視鏡を導入する案内管を兼ねるものであり、案内管は体内に位置する挿入部と体外の末端部と、案内管を体内に導入する為の内套から構成される。
付記18.付記17において、末端部に気密を保つ弁部を有するもの。
付記19.付記18において、弁部に対物レンズ面に当接する突起部を設けたもの。
付記20.付記1−aにおいて、管状の進退部材の一部が湾曲可能な構造を有すもの。
【0258】
付記21.付記20において、湾曲可能な構造は蛇腹構造であるもの。
付記22.付記20において、進退部材を回転可能な構造を有すもの。
付記23.付記22おいて、拭き取り部材は帯状(ストリップ状)の部材であり、上記拭き取り部材は、対物レンズ面に向く部分に対物レンズ面に当接し得る突起を設けたもの。
付記24.付記23,5において、連結部材の各強度に差があるもの。
【0259】
付記25.付記24において、強度差は連結部材の肉厚によって成すもの。
付記26.付記23,3において、突起形状は任意の曲率を有す形状であるもの。
付記27.付記17において、挿入部の先端に拭き取り部材を配したもの。
付記28.付記27において、内套に拭き取り部材を避ける、退避手段を設けたもの。
付記29.付記28において、内套の先端が鋭利形状であるもの。
付記30.付記28において、内套の先端形状が鈍頭形状であるもの。
【0260】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の内視鏡用汚れ除去具によれば、内視鏡の対物レンズの汚れを除去出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の斜視図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の縦断面図、(c)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の分解縦断面図である。
【図2】(a)は図1の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態から内視鏡を先端側に押し込んだ状態を示す先端部の斜視図、(c)は(b)の状態から更に内視鏡を先端側に押し込んだ観察状態を示す先端部の斜視図である。
【図3】(a)は本発明の第2実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の先端部の縦断面図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部を縦に切断した状態を示す斜視図、(c)は(b)の要部拡大斜視図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の先端部の縦断面図である。
【図5】(a)は本発明の第4実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の先端部の斜視図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の縦断面図である。
【図6】(a)は図5の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態から内視鏡を先端側に押し込んだ状態を示す先端部の斜視図、(c)は(b)の状態から更に内視鏡を先端側に押し込んだ観察状態を示す先端部の斜視図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の斜視図である。
【図8】(a)は本発明の第6実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の先端部の縦断面図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の正面図、(c)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部を縦に切断した状態を示す斜視図、(d)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の変形先端部の縦断面図である。
【図9】(a)は図8の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態から内視鏡を先端側に押し込んだ状態を示す先端部の斜視図である。
【図10】(a)は本発明の第7実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の先端部の斜視図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の縦断面図、(c)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の把持部の縦断面図である。
【図11】図10の(a)の内視鏡用汚れ除去具における作用を示す先端部の縦断面図である。
【図12】(a)は図10の(a)の内視鏡用汚れ除去具の把持部の平面図、(b)は(a)の変形例に係る把持部の要部平面図である。
【図13】本発明の第8の実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の一部断面を有する側面図である。
【図14】(a)は図13の内視鏡用汚れ除去具の基端部の弁の構成を示す断面図、(b)は(a)の弁構成の第1の変形例を示す断面図、(c)は(a)の矢印14Cから見た正面図、(d)は(a)の弁構成の第2の変形例を示す断面図である。
【図15】(a)は図13の内視鏡用汚れ除去具の第1の作用状態を示す断面図、(b)は図13の内視鏡用汚れ除去具の第2の作用状態を示す断面図である。
【図16】図14の(a)の弁構成の第3の変形例を示す側面図である。
【図17】(a)は挿入部の先端に汚れ除去機能を有する内視鏡用汚れ除去具の一部断面を有する側面図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の管部に先端部を取付けていない状態における管部先端の断面図、(c)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の管部に先端部を取付けた状態の断面図、(d)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部を上側から見た平面図である。
【図18】内針の側面図である。
【図19】(a)は図18の内針を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第1の作用状態を示す断面図、(b)は図18の内針を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第2の作用状態を示す断面図、(c)は図18の内針を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第3の作用状態を示す断面図、(d)は(b)の作用状態における平面図、(e)は図18の内針に代えて図20の(a)の内針を用いた場合における第2の作用状態の先端側面図、(f)は図19の(c)の作用状態における平面図である。
【図20】(a)は図18の内針の変形例に係る内針の側面図および正面図、(b)は図20の(a)の内針を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第1の作用状態を示す断面図、(c)は(a)の内針を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第2の作用状態を示す断面図、(d)は(a)の内針を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第3の作用状態を示す断面図である。
【図21】(a)は内視鏡を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第1の作用状態を示す断面図、(b)は内視鏡を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第2の作用状態を示す断面図、(c)は内視鏡を図17の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に挿入した第3の作用状態を示す断面図、(d)は内視鏡の先端の側面図である。
【図22】(a)は内針の側面図、(b)は(a)の内針の変形例に係る内針の先端の側面図である。
【図23】図13の内視鏡用汚れ除去具内に図22の(a)の内針を挿入した状態を示す側面図である。
【図24】(a)は図22の(b)の内針の先端に保護キャップを装着した状態を示す断面図、(b)は(a)に示される保護キャップの断面図、(c)は(b)の保護キャップの変形例に係る保護キャップの断面図である。
【図25】 ダックビル弁を有する内視鏡用汚れ除去具の一部断面を有する側面図である。
【図26】(a)は図25のダックビル弁の第1の作用状態を示す断面図、(b)は図25のダックビル弁の第2の作用状態を示す断面図である。
【図27】(a)は図25のダックビル弁の断面図、(b)は(a)のダックビル弁の正面図である。
【図28】他のダックビル弁の斜視図である。
【図29】本発明の第9の実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の側面図である。
【図30】図29の内視鏡用汚れ除去具と組み合せて使用される内視鏡の側面図である。
【図31】(a)は図29の内視鏡用汚れ除去具の先端部の斜視図、(b)は図29の内視鏡汚れ除去具内に図30の内視鏡を挿入した状態を示す側面図である。
【図32】(a)は図31の(b)の状態で内視鏡の湾曲部を湾曲させた状態を示す斜視図、(b)は図31の(a)の状態で内視鏡用汚れ除去具を内視鏡に対して回転させた状態を示す斜視図である。
【図33】(a)は図32の(a)の状態における内視鏡用汚れ除去具の正面図、(b)は図32の(a)の状態と図32の(b)の状態との間の状態における内視鏡用汚れ除去具の正面図、(c)は図32の(b)の状態における内視鏡用汚れ除去具の正面図である。
【図34】(a)は図29の内視鏡用汚れ除去具の先端部の変形例に係る先端部の正面図、(b)は(a)の先端部の断面図、(c)は(b)の矢印34C方向から見た図である。
【図35】(a)は本発明の第10の実施形態に係る内視鏡用汚れ除去具の側断面図および正面図、(b)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の断面図、(c)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の把持部の平面図、(d)は(a)の内視鏡用汚れ除去具の把持部の先端側の要部拡大断面図である。
【図36】(a)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の拡大斜視図、(b)は(a)の先端部の断面図である。
【図37】(a)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の開口形状を示す概略図、(b)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の他の開口形状を示す概略図である。
【図38】(a)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部のワイパーブレードの第1の変形例に係る断面図、(b)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部のワイパーブレードの第2の変形例に係る断面図である。
【図39】内視鏡の側面図である。
【図40】(a)は直視内視鏡の側面図および正面図、(b)は斜視内視鏡の側面図および正面図である。
【図41】(a)は内視鏡案内管の側断面図、(b)は(a)の矢印41B方向から見た図である。
【図42】(a)は図41の(a)の内視鏡案内管の変形例に係る側断面図、(b)は(a)の矢印42B方向から見た図である。
【図43】図35の(c)の把持部に対するライトガイドポストの位置を示す平面図である。
【図44】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した状態を示す断面図である。
【図45】(a)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した際の内視鏡の視野を示す断面図、(b)は(a)の状態における内視鏡像を示す図である。
【図46】図35の(c)の把持部に対するライトガイドポストの位置を示す平面図である。
【図47】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入して内視鏡の先端に第1の突起部を当接させた状態を示す断面図である。
【図48】(a)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した第1の作用状態を示す断面図、(b)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した第2の作用状態を示す断面図、(c)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した第3の作用状態を示す断面図である。
【図49】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の開口部の変形状態を示す図である。
【図50】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す断面図である。
【図51】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す断面図である。
【図52】(a)は突起部の拡大断面図、(b)は(a)の突起部に対する内視鏡の当接状態を示す図である。
【図53】(a)は図38の(a)の突起部において、図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す断面図、(b)は図38の(a)の突起部に対する内視鏡の当接状態を示す図である。
【図54】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す断面図である。
【図55】(a)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の斜視図、(b)および(c)は図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具内に内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す断面図である。
【図56】内視鏡用汚れ除去具に対する内視鏡の挿通抵抗を説明するための図である。
【図57】図35の(a)の内視鏡用汚れ除去具の先端部の退避部の変形例に係る断面図である。
【図58】図57の内視鏡用汚れ除去具内に直視タイプの内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す図である。
【図59】図57の内視鏡用汚れ除去具内に斜視タイプの内視鏡を挿入した一連の作用状態を示す図である。
【符号の説明】
1…内視鏡用汚れ除去具、2…シース、3…先端部、4…把持部、
11…管状部、12…当接部、13…陵部、20…内視鏡、
21…挿入部、25…対物レンズ面。

Claims (3)

  1. 対物レンズを有する内視鏡の挿入部が挿入されるチューブと、
    前記チューブに連結された弾性変形可能な弾性部材と、
    前記弾性部材に連結され、前記対物レンズ上をスライドさせて前記対物レンズから汚れを拭取る拭取り部材と
    を具備し、
    前記弾性部材、前記チューブに対して前記内視鏡の挿入部を移動させながら前記対物レンズの汚れを拭取る際に、前記拭取り部材を、前記対物レンズ上に押圧させた状態でスライドさせる内視鏡用汚れ除去具において、
    前記チューブおよび前記弾性部材は、それぞれ、中空に形成されているとともに第1および第2の開口を備え、
    前記チューブの前記第1の開口は、前記弾性部材の前記第1の開口に接続され、
    前記内視鏡の挿入部は、前記チューブの前記第2の開口から前記チューブに挿入されることを特徴とする内視鏡用汚れ除去具。
  2. 前記弾性部材の第2の開口は、前記弾性部材の前記第1の開口よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用汚れ除去具。
  3. 前記拭取り部材は、前記拭取り部材が前記対物レンズ上を移動するときに、前記対物レンズに対して接触する、少なくとも1つの突出部を有し、
    前記突出部は、前記拭取り部材が前記対物レンズ上を接触しながら移動するときに、前記対物レンズの移動に合わせて変形するカーブ形状を有することを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の内視鏡用汚れ除去具。
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