JP3844894B2 - スライドドアの戻り機構取付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアの戻り機構取付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、曲面ドア式のトイレブースのドアの戻り機構の取付は、特願平9ー297498号(特開平11−131899号公報 ) の明細書に記載されているように、定荷重ばねをドアの上端に直接取り付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の取付方法では、閉塞しているドアを非常時に外側方向に回転させて開放する際、戸当たり側の吊支部材の他に、定荷重ばねもドアから取り外さなければならず、手間がかかる。
【0004】
本発明は、上述の問題点を解消するため、定荷重ばねを、ドアが非常開放し易いように取り付ける機構を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) ドアの上方にレールを設置し、このレールに、前記ドアを移動可能に吊支したスライドドアにおいて、前記レールを円弧状のものとし、かつドアをレールに沿う円弧状のものとして、前記ドアの上端に、前記レール内を移動する吊支部材を複数取り付け、前記ドアの戻り機構をなす定荷重ばねを取り付けたブラケットを、いずれかの前記吊支部材における吊支軸回りに回転可能に取り付け、かつ前記定荷重ばねの端部を、前記レールの端部に止着する。
【0006】
(2) 上記(1)項において、閉鎖したときのドア収納部に最も近い吊支部材を、ドアに対して前記吊支部材における吊支軸回りに回転可能とするとともに、定荷重ばねを取り付けたブラケットを、前記吊支軸回りに回転可能に取り付け、さらに、その他の吊支部材を 、ドアに着脱可能に取り付ける。
【0007】
(3) ドアの上方にレールを設置し、このレールに、前記ドアを、複数の吊支部材をもって移動可能に吊支したスライドドアにおいて、閉鎖したときのドア収納部に最も近い吊支部材を、ドアに対して該吊支部材における吊支軸回りに回転可能とするとともに、ドアの戻り機構をなす定荷重ばねを取り付けたブラケットを、前記ドアの上方に配置するとともに、前記ドア収納部に最も近い吊支部材の吊支軸回りに回転可能に取り付け、かつ前記定荷重ばねの端部を、前記レールの端部に止着し、さらに、その他の吊支部材を、ドアに着脱可能に取り付ける。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図5は、本発明の戻り機構取付装置を、トイレにおける吊り下げ式の円弧状のドアに適用した一実施形態を示す。
この例は、半円形のドア(10)が、常時は、その開放位置に自動的に移動させられる型式のものである。
【0009】
図1に示すように、並設されている2つのトイレのそれぞれは、両側の側壁(1)及び後壁(2)により仕切られ、前方は大きく開放されて、前面開口部(3)となっている。
【0010】
前面開口部(3)には、図1の左方の側壁(1)の前端から、右方の側壁(1)の方向に延びる前面板(4)が、左方の側壁(1)に取り付けられている。
右方の側壁(1)の前端からは、左方の側壁(1)の方向に延びる狭幅の前面板(4a)が、右方の側壁(1)に取り付けられている。この前面板(4a)は、トイレ間では、前面板(4)の延長部分とされている。
【0011】
左方の側壁(1)の上部には、前後方向を向く円弧状の収納レール(5a)が、前面板(4)の上端に、支持金具(6)により、また、その後方の支持金具(13)により、水平に取り付けられている。
【0012】
前面板(4)(4a)の上端には、支持金具(6)(14)により、収納レール(5a)と同一曲率の円弧状の水平の間仕切レール(5b)が掛け渡されている。
収納レール(5a)と間仕切レール(5b)とは、その中心を同じくし、連続してほぼ半円を形成している。
【0013】
収納レール(5a)及び間仕切レール(5b)により形成される半円形のレール(5)には、2つの吊支部材(11)を介して、このレール(5)とほぼ同一の曲率をもつ板状のドア(10)(図2〜図5参照)が吊支されている。
図1に示すように、2つの吊支部材(11)は、ドア(10)の上端の左右端部近くに配設されている。
【0014】
同じく図1に示すように、ドア(10)は、おおよそ1/4円弧状をなし、前面開口部(3)を覆うに充分の長さのものである。
図1の左側のトイレは、ドア(10)が開放された状態(「空き」状態)、右側のトイレは、ドア(10)が前面開口部(3)を閉鎖または閉止した状態(「使用中」状態)を示している。
【0015】
左端部の吊支部材(11)の右側では、巻取装置として、コンストンばねと称される、巻取ドラム(20)に、薄板状すなわち帯状の卷ばね(21)をぜんまい式に巻き付けた1軸式の定荷重ばね(22)が設けられている。
【0016】
定荷重ばね(22)の軸(24)は、水平板状のブラケット(25)の一端部に立設されており、卷取ドラム(20)を回転自在に支持している。
【0017】
図2に示すように、定荷重ばね(22)の卷ばね(21)の端部は、上下方向での位置がフリーの状態で軸支されている卷取ドラム(20)から、レール(5a)(5b)の内側面に沿って引き出され、収納レール(5a)の端部にボルト(23)により固着されている。
【0018】
ブラケット(25)の他端部には、吊支部材(11)の吊支軸(26)を回転自在に嵌合する孔(27)が穿設されており、孔(27)を貫通する吊支軸(26)は、ドア(10)の頂面に埋め込んで固定した支持部材に螺合している。吊支軸(26)は、ナット部材(28)を回転することにより、露出長さを調節したり、ドア(10)から外したりすることができる。
ブラケット(25)は、レール(5)の下方、かつドア(10)の上方に配置されている。
【0019】
(16)は、コイルばね付きのストッパで、収納レール(5a)内に取り付けられ、コイルばねが、2対の走行車輪を有する吊支部材(11)に、緩衝作用を伴って衝突してドア(10)の移動を停止させるものである。
【0020】
このような構成であるので、収納位置からドア(10)が閉鎖位置へと引き出されるにつれ、定荷重ばね(22)の卷取ドラム(20)自身が回転しながら、卷ばね(21)は引き出され、レール(5a)(5b)の内側面に密接して展開する。
【0021】
さらにドア(10)の移動を進めると、戸先側の吊支部材(11)がストッパ(図示略)(16)に衝突して止まり、ドア全閉の状態となり、使用者がドア(10)を施錠することが可能となる。
【0022】
ドア(10)を、その全閉状態、すなわち閉鎖位置における施錠状態から解錠すると、巻ばね(21)の定荷重定トルクの力により、ドア(10)は、自動的に全開状態すなわち収納位置へ引き戻される。
【0023】
トイレ使用者が、トイレ使用中に具合が悪くなったりした非常時には、外部からドア(10)を開ける必要があるが、ドア収納位置に荷物のような障害物があったりして、たとえトイレ内部から掛けた錠を外したとしても、ドア(10)を通常の収納位置に引き込むことができないことがある。
【0024】
この場合、図5に示すように、戸当たり側、すなわち図面右側の吊支軸(26)を、ナット部材(28)を回転させることにより、ドア(10)から外し、ドア(10)の戸当たり側の端部を、図5に矢印により示すように前側に引き出す。
ドア(10)は、想像線により示すように、左側の走行装置の吊支軸(26)を中心として前側に回動して開放される。この際、定荷重ばね(22)は、その軸(24)がブラケット(25)に取り付けられており、ドア(10)には取り付けられていないので、ドア(10)の前側への回動を妨げることはない。
【0025】
上述の実施形態においては、収納レール(5a)を円弧状のものとして示したが、収納レール(5a)を直線状とし、ドア(10)を、横断面が浅い円弧状をなし、上下方向に長い板材を複数個屈曲可能に連結したものととすることもできる。
【0026】
図6に示す別の実施例は、本発明装置を、直線状のレール(5)から、2つの吊支部材(11)を介して吊り下げた直線状のドア(10)に適用したものである。
【0027】
この実施例においても、定荷重ばね(22)は、その軸(24)をブラケット(25)の一端に立設してあり、ブラケット(25)の他端は、ドア収納側の吊支部材(11)の吊支軸(26)に吊支している。
【0028】
このような構成であるので、この場合にも、戸当たり側の吊支部材(11)をドア(10)から外して、ドア(10)の戸当たり側(右側)を奥側に押し込むと、ドア(10)は収納側(左側)の吊支部材(11)を中心として奥側に回動して非常開放することができる。
【0029】
なお、第1及び第2の実施形態において、ブラケット(25)を、吊支軸(26)に固着するように取り付け、吊支軸(26)をドア(10)に対して回転しうるように取り付けても、ドア(10)を上記と同様に非常開放することができる。
【0030】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、定荷重ばねをドアに直接取り付ける必要がないので、レールへの組付け作業が簡単になるとともに、ドアの加工が減り、コストダウンとなる。
また、ドアの非常開放にあたり、いずれか一方の吊支部材をドアから外せば、ドアは他方の吊支部材を中心として回動して簡単に非常開放することができ、この際、定荷重ばねは、いずれか一方の吊支部材とともにレール内に残置することができるので、従来のように、定荷重ばねをドアから外す必要がなく、作業が簡単になる。
【0031】
さらに、施工時の諸々の誤差等により、レールと定荷重ばねとの間に狂いやゆがみが生じたとしても、定荷重ばねを取り付けたブラケットが一方の吊支部材を中心として自由に回動し、上記狂いやゆがみを吸収して、適正な位置に自動的に移動し、接触音の発生等を防止することができる。
【0032】
請求項2記載の発明によると、ブラケットを回転可能に取り付けた吊支部材を残して、他の吊支部材をドアから切り離すことにより、ドアを上記ブラケット付きの吊支部材を中心として回動させて、簡単に非常開放することができ、この際に、定荷重ばねが、ドアの回動を妨げることがない。
【0033】
請求項3記載の発明によると、ブラケットを回転可能に取り付けた吊支部材を残して、他の吊支部材をドアから切り離すことにより、ドアを上記ブラケット付きの吊支部材を中心として回動させて、簡単に非常開放することができ、この際に、定荷重ばねが、ドアの回動を妨げることがない。
また、定荷重ばねをドアに直接取り付ける必要がないので、レールへの組付け作業が簡単になるとともに、ドアの加工が減り、コストダウンとなる。
さらに、ドアの非常開放にあたり、いずれか一方の吊支部材をドアから外せば、ドアは他方の吊支部材を中心として回動して簡単に非常開放することができ、この際、定荷重ばねは、いずれか一方の吊支部材とともにレール内に残置することができるので、従来のように、定荷重ばねをドアから外す必要がなく、作業が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を備えるトイレを2つ並設したものの平面図である。
【図2】 図1のII−II線に沿う拡大断面図である。
【図3】 吊支部材と定荷重ばねの付近の詳細を示す部分拡大斜視図である。
【図4】 図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】 第1の実施例を非常開放する状況を説明するドア及びレールの斜視図である。
【図6】 本発明の第2の実施例の正面図で、レールは縦断面で示す図である。
【符号の説明】
(1)側壁
(2)後壁
(3)前面開口部
(4)(4a)前面板
(5)レール
(5a)収納レール
(5b)間仕切レール
(6)支持金具
(10)ドア
(11)吊支部材
(13)(14)支持金具
(16)ストッパ
(20)巻取ドラム
(21)巻きばね
(22)定荷重ばね
(23)ボルト
(24)軸
(25)ブラケット
(26)吊支軸
(27)孔
(28)ナット部材
Claims (3)
- ドアの上方にレールを設置し、このレールに、前記ドアを移動可能に吊支したスライドドアにおいて、前記レールを円弧状のものとし、かつドアをレールに沿う円弧状のものとして、前記ドアの上端に、前記レール内を移動する吊支部材を複数取り付け、前記ドアの戻り機構をなす定荷重ばねを取り付けたブラケットを、いずれかの前記吊支部材における吊支軸回りに回転可能に取り付け、かつ前記定荷重ばねの端部を、前記レールの端部に止着したことを特徴とするスライドドアの戻り機構取付装置。
- 閉鎖したときのドア収納部に最も近い吊支部材を、ドアに対して前記吊支部材における吊支軸回りに回転可能とするとともに、定荷重ばねを取り付けたブラケットを、前記吊支軸回りに回転可能に取り付け、さらに、その他の吊支部材を、ドアに着脱可能に取り付けた請求項1記載のスライドドアの戻り機構取付装置。
- ドアの上方にレールを設置し、このレールに、前記ドアを、複数の吊支部材をもって移動可能に吊支したスライドドアにおいて、閉鎖したときのドア収納部に最も近い吊支部材を、ドアに対して該吊支部材における吊支軸回りに回転可能とするとともに、ドアの戻り機構をなす定荷重ばねを取り付けたブラケットを、前記ドアの上方に配置するとともに、前記ドア収納部に最も近い吊支部材の吊支軸回りに回転可能に取り付け、かつ前記定荷重ばねの端部を、前記レールの端部に止着し、さらに、その他の吊支部材を、ドアに着脱可能に取り付けたことを特徴とするスライドドアの戻り機構取付装置。
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