JP3842378B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気記録媒体の製造方法に係り、特に耐久性に優れ高い電磁変換特性を備えた磁気記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用、ビデオ用等の磁気記録媒体は、長時間化、コンパクト化、高密度化等の性能向上が要求され、例えば、ビデオ用の磁気記録媒体では、短波長記録について高い再生出力が要求されると同時に、耐久性においても従来の数倍のスチル耐久性が要求されている。特に、放送等の業務用のビデオデッキに使用される磁気記録媒体では、より長時間のスチル耐久性が要求されるまでになっている。
【0003】
このような要求に対応するために、磁気記録媒体の磁性層に用いられる強磁性金属粉末を微粒子化するとともに、磁性層の表面を更に平滑なものとして、S/N等の電磁変換特性を高めることが行われている。しかし、強磁性金属粉末を微粒子化すると、結合剤中に強磁性金属粉末が均一に分散した磁性塗料を作成することが極めて困難になり、磁気記録媒体の磁性層内における強磁性金属粉末の均一性、配向性が低下するとともに、磁性層の表面性も低下し、その結果、S/N等の電磁変換特性に優れた磁気記録媒体が得られないという問題がある。
【0004】
また、磁気記録媒体の耐久性を向上させるために、磁性層を構成する結合剤、研磨剤および潤滑剤等の選択、添加量の設定等について種々の提案がなされている。例えば、ポリウレタン樹脂、繊維素系樹脂およびフェノキシ樹脂からなる結合剤100重量部に対して硬化剤を30〜90重量部添加した磁性塗料を使用して磁性層を形成すること(特開昭60−160019号)、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体およびフェノキシ樹脂からなる結合剤100重量部に対して硬化剤を30〜90重量部添加した磁性塗料を使用して磁性層を形成すること(特開昭60−160018号)が提案されている。このような磁性層は、スチル耐久性と繰り返し使用時の耐久性が高く、かつ電磁変換特性および物理的特性等のバランスに優れた磁気記録媒体を可能にする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭60−160018号、特開昭60−160019号のように結合剤に対して多量の硬化剤を添加しても、磁性粉末と結合剤の混合比率が適当でない場合や、結合剤が樹脂混合物であってガラス転移温度(Tg)が低いポリウレタン樹脂の割合が多い場合には、結合剤中での磁性粉末の分散性が悪くなり電磁変換特性および耐久性が急激に低下するという問題がある。この問題は、特に強磁性金属粉末を用いた場合に顕著である。これは、強磁性金属粉末に対する硬化剤の吸着力が結合剤の吸着力に比べて数倍強いことに原因がある。すなわち、上述のように微粒子化された強磁性金属粉末が結合剤に対して分散性が低いことに対処するために、予め多量の結合剤で強磁性金属粉末の分散を行い、その後、硬化剤を添加すると、結合剤よりも強磁性金属粉末に対する吸着力が強い硬化剤が結合剤と置き換わる現象が生じ、その結果、遊離した結合剤が磁性層中に粘着成分として存在することになり、安定した電磁変換特性と耐久性を備えた磁気記録媒体を得ることが困難になる。
【0006】
現在、ビデオ用の磁気記録媒体、特に、放送等の業務用のビデオデッキに使用される磁気記録媒体では、短波長記録での再生出力を維持しながらスチル耐久性を長時間化すること、および、再生出力をわずか(基準テープに対して0.2〜0.3dB程度)でも向上することが重要な課題となっており、優れた電磁変換特性と耐久性を備えた磁気記録媒体を安定して製造できる製造方法の確立が急務となっている。
【0007】
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、耐久性に優れ高い電磁変換特性を備えた磁気記録媒体を、強磁性金属粉末と結合剤と硬化剤との適切な比率を設定することにより可能とした磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明は、強磁性金属粉末を結合剤中に均一に分散させた磁性層が非磁性支持体上に設けられている磁気記録媒体の製造方法において、強磁性金属粉末を式(1)および式(2)を満足する条件で塩化ビニル系共重合体およびガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂からなる結合剤中に分散する第1の工程と、
10≦(Vc+PU)×100/MP≦14.3 式(1)
40≦Vc×100/(Vc+PU)≦80 式(2)
16.2<(Vc+PU+H)×100/MP≦23.8 式(3)
6≦H×100/MP≦11 式(4)
但し、Vcは塩化ビニル系共重合体の重量
PUはポリウレタン樹脂の重量
MPは強磁性金属粉末の重量
Hは硬化剤の重量である
第1の工程で作成した分散液に硬化剤を式(3)および式(4)を満足する条件で混合して磁性塗料とし、該磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する第2の工程と、を有するような構成とした。
【0010】
このような本発明では、式(1)および式(2)を満足する条件で強磁性金属粉末と混合された結合剤は、その後に式(3)および式(4)あるいは式(4´)を満足する条件で添加混合される硬化剤によって置換されることが極めて少なく、強磁性金属粉末に確実に吸着しているので、磁性塗料における強磁性金属粉末の分散性が良好であり、かつ、遊離した結合剤はほとんど存在しないことになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、強磁性金属粉末と結合剤と硬化剤を含有した磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成することにより磁気記録媒体とするものである。本発明では、強磁性金属粉末を下記式(1)および式(2)を満足する条件で塩化ビニル系共重合体およびガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂からなる結合剤中に分散する第1の工程と、第1の工程で作成した分散液に硬化剤を下記式(3)および式(4)を満足する条件で混合して磁性塗料とし、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布して磁性層を形成する第2の工程とを有する。
【0012】
10≦(Vc+PU)×100/MP≦14.3 式(1)
40≦Vc×100/(Vc+PU)≦80 式(2)
16.2<(Vc+PU+H)×100/MP≦23.8 式(3)
3.5≦H×100/MP≦12 式(4)
但し、Vcは塩化ビニル系共重合体の重量
PUはポリウレタン樹脂の重量
MPは強磁性金属粉末の重量
Hは硬化剤の重量である
上記の式(1)は、強磁性金属粉末と結合剤との混合比率を規定するものである。
【0013】
塩化ビニル系共重合体およびガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂からなる結合剤の比率が小さく、式(1)が満足されない場合((Vc+PU)×100/MPが10未満となる場合)、強磁性金属粉末の分散が不十分となり易く電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となり、また、磁性層に含有される強磁性金属粉末が脱落し易く良好な耐久性が得られない。一方、結合剤の比率が大きく、式(1)が満足されない場合((Vc+PU)×100/MPが14.3を超える場合)、結合剤の遊離が多くなって磁性層の粘着性が高くなり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。
【0014】
また、上記の式(2)は、塩化ビニル系共重合体およびガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂からなる結合剤における塩化ビニル系共重合体の比率を規定するものである。
【0015】
結合剤における塩化ビニル系共重合体の比率が小さく、式(2)が満足されない場合(Vc×100/(Vc+PU)が40未満となる場合)、強磁性金属粉末に対する結合剤の吸着力が不十分となり、結合剤の遊離が多くなって磁性層の粘着性が高くなり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。一方、結合剤における塩化ビニル系共重合体の比率が大きく、式(2)が満足されない場合(Vc×100/(Vc+PU)が80を超える場合)、磁性層の表面性が低下し易く電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となり、また、非磁性支持体に対する磁性層の接着性が低下し易く良好な耐久性が得られない。
【0016】
また、使用するポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上、好ましくは40〜80℃の範囲であり、ガラス転移温度(Tg)が40℃未満であると、スチル耐久性が不十分となり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。
【0017】
第1の工程において、上記の式(1)および式(2)を満足する条件で強磁性金属粉末と混合された結合剤は、遊離結合剤を生じることなく強磁性金属粉末に吸着し、結合剤が吸着していない強磁性金属粉末の吸着点は、第2の工程において混合される硬化剤が吸着するための吸着点として残存している。
【0018】
強磁性金属粉末と結合剤その他の添加剤との混練は、連続ニーダ、加圧ニーダ、高速ミキサー、二本ロールミル等の強い混練力をもつものを使用することができる。また、強磁性金属粉末の分散には、ジルコニア、ガラスビーズ等を使用することができ、徐々に固形分濃度が低下していくような希釈分散を併用して分散することができる。
【0019】
次に、上記の式(3)は、強磁性金属粉末に対する硬化剤と結合剤の総量の比率を規定するものである。
【0020】
硬化剤と結合剤の総量の比率が小さく、式(3)が満足されない場合((Vc+PU+H)×100/MPが16.2以下となる場合)、磁性層に含有される強磁性金属粉末が脱落し易くなり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。一方、硬化剤と結合剤の総量の比率が大きく、式(3)が満足されない場合((Vc+PU+H)×100/MPが23.8を超える場合)、結合剤の遊離が多くなって磁性層の粘着性が高くなり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。
【0021】
上記の式(4)は、強磁性金属粉末と硬化剤との混合比率を規定するものである。
【0022】
硬化剤の比率が小さく、式(4)が満足されない場合(H×100/MPが3.5未満となる場合)、磁性層に含有される強磁性金属粉末が脱落し易くなり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。一方、硬化剤の比率が大きく、式(4)が満足されない場合(H×100/MPが12を超える場合)、結合剤の遊離が多くなって磁性層の粘着性が高くなり、耐久性および電磁変換特性に優れた磁性層の形成が困難となる。
【0023】
第2の工程において、第1の工程で作成した分散液に上記の式(3)および式(4)を満足する条件で添加混合された硬化剤は、第1の工程後にも残存してる強磁性金属粉末の吸着点に吸着する。これにより、硬化剤による結合剤の置き換えはほとんど発生せず、遊離の結合剤がほとんど存在しない磁性塗料を得ることができ、硬化剤は本来の硬化剤としての作用に加えて結合剤としての作用もなすことになる。したがって、磁性塗料における強磁性金属粉末の分散性は極めて良好であり、非磁性支持体上に塗布形成された磁性層中には遊離した結合剤はほとんど存在しないので、結合剤が磁性層中で粘着成分として作用することがなく、12時間以上の優れたスチル耐久性と高い電磁変換特性を備えた磁気記録媒体の製造が可能となる。さらに、強磁性金属粉末と硬化剤との混合比率を下記の式(4´)を満足するように制御することにより、磁気記録媒体のスチル耐久性を24時間以上とすることが可能となる。
【0024】
6≦H×100/MP≦11 式(4´)
但し、MPは強磁性金属粉末の重量
Hは硬化剤の重量である
非磁性支持体上に磁性塗料を塗布する方法としては、押出しノズル塗布法、リバースロール塗布法、グラビアロール塗布法、ナイフコーター塗布法、ドクターブレード塗布法、キスコート塗布法、カラーコート塗布法、スライドビード塗布法等が利用できる。これらの中でも、特に、グラビアロール塗布法は生産性に優れ、リバースロール塗布法は塗布に使用できる塗料の範囲が広く好ましい。また、押出しノズル塗布法は、塗膜厚の制御性において優れる。
【0025】
このような方法により非磁性支持体上に塗設された磁性塗料(磁性層)は、磁場配向処理、乾燥処理、平滑化処理等が施される。磁性層の平滑化処理として、カレンダ処理を行うが、カレンダ処理ロールとしてはエポキシ、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロール(カーボン、金属やその他の無機化合物を練り込んであるものでもよい)と金属ロールの組合わせ(3段ないし7段の組合わせ)、または金属ロール同士で処理することもでき、その処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上、その線圧力は好ましくは200kg/cm以上、さらに好ましくは300kg/cm以上、その速度は20m/分〜700m/分の範囲である。しかる後、例えば、所望の形態に裁断等されて磁気記録媒体が形成される。
【0026】
磁性塗料が塗布される非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等のフィルムを使用でき、好ましくは、PET、PEN、芳香族ポリアミドである。非磁性支持体は、上記樹脂の1種からなるフィルム、または、2種以上の多層共押出しによる複合フィルムであってよく、さらに、予めコロナ放電処理、プラズマ放電および/または重合処理、易接着剤塗布処理、除塵処理、熱および/または調湿による緩和処理等を行ってもよい。
【0027】
本発明の磁気記録媒体の製造方法において使用できる強磁性金属粉末としては、Fe、Ni、Coおよびこれらの合金が例示され、α−Fe、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、Co、Co−Ni等の強磁性金属元素を主成分とするものを用いる場合、金属(Fe、Co、Ni等)または合金を70wt%以上含むことが好ましく、さらには75wt%以上含むことが好ましい。また、Feを主成分とし、さらに少なくともCoを含有する強磁性金属粉末においては、そのFe原子に対するCo原子の量は5〜40wt%、好ましくは6〜35wt%である。また、Feおよび/またはCoを主成分とする強磁性金属粉末においては、さらにYを含む希土類元素を含有するものが好ましい。
【0028】
これらの強磁性金属粉末をBET法による比表面積で表せば45〜80m2 /gであり、好ましくは45〜60m2 /gであり、45m2 /g未満ではノイズが高くなり、80m2 /gを超えると磁性層の表面性が悪くなり好ましくない。
【0029】
これらの強磁性金属粉末の形状は、針状、紡錘状(ここでは針状の中心部が太い形状をいう)、粒状、球状等のいずれであってもよく、磁気記録媒体の用途によって適宜選択することができ、特に磁気テープでは球状、粒状等の形状よりも、磁場配向処理の効果がより高く期待でき、磁性層自体の長手方向の強度が高まること等から、針状または紡錘状の強磁性金属粉末が好ましく、この場合の強磁性金属粉末の長軸/短軸の軸比は任意であるが、通常3〜10程度の軸比をもつものに効果がある。
【0030】
尚、上記の強磁性金属粉末には、Al、Si、Cr、Mn、Co、Ni、Zn、Cu、Zr、Ti、Bi、Ag、Pt、B、C、P、N、Y、S、Sc、V、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ca、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、La、Sr、希土類等の元素を少量添加してもよく、これらの元素の中でも特に、Al、Si、P、Y、希土類元素を添加することによって粒度分布を向上させ、焼結を防止する等の効果がある。また、強磁性金属粉末の製造時に表面をAl、Si、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったり、強磁性金属粉末の製造後にSi、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面活性剤等で表面処理したものでもよい。
【0031】
本発明の磁気記録媒体の製造方法において結合剤として使用する塩化ビニル系共重合体としては、塩化ビニル含有量60〜100wt%、特に70〜95wt%のものが好ましい。このような塩化ビニル系共重合体としては、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられるが、特に、塩化ビニルと、酢酸ビニル、ビニルアルコール、エポキシ基を含有する単量体、酸性極性基を含有する単量体、アミン変性ビニル基を含有する単量体からなる群の中の1種単独もしくは2種以上の組み合わせとによる共重合体が好ましい。
【0032】
上記の酸性極性基としては、S含有極性基の他に、−OPO2 Y基、−PO3 Y基、−COOY基等を含有することが好ましい。特に、硫酸基および/またはスルホ基が好ましい。硫酸基およびスルホ基としては、−SO4 Y、−SO3 Yにおいて、YがH、アルカリ金属のいずれかであってもよいが、Y=Kで−SO4 K、−SO3 Kであることが更に好ましい。S含有極性基は、これらの硫酸基、スルホ基のいずれか一方、あるいは、両者を含有するものであってもよく、両者を含む場合には、その比は任意である。また、これらのS含有極性基は、S原子として分子中に0.01〜10wt%、特に0.1〜5wt%含まれていることが好ましい。
【0033】
塩化ビニル共重合体の平均重合度は100〜900、特に200〜500程度であることが好ましい。平均重合度が100未満であると磁気記録媒体の走行耐久性が悪化し、900を超えると磁性塗料の分散性が低下して磁性層の機械的強度特性が低下してしまう。
【0034】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法において結合剤として使用するガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール等のヒドロキシ基含有樹脂とポリイソシアネート含有化合物との反応により得られる樹脂の総称であって、このような合成原料を数平均分子量で500〜200000程度に重合したもので、そのQ値(重量平均分子量/数平均分子量)は1.5〜4程度であることが好ましい。また、ポリウレタン樹脂は、側鎖に極性基、水酸基等を有するものであってもよく、特にSおよび/またはPを含有する極性基を含有しているものが好ましい。
【0035】
本発明では、ガラス転移温度Tgが40℃以上の1種のポリウレタン樹脂を結合剤として使用するが、2種以上のポリウレタン樹脂の混合物を結合剤として使用してもよい。ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定は、粘弾性スペクトルメーターを用いて、厚み37mmのサンプル片(4mm×15mm)に引っ張り力を付与した状態で周波数110Hzにて0℃から100℃に昇温し、サンプル片の引っ張り強度の変曲点を検出して、この変曲点を与えた温度をガラス転移温度(Tg)とするものである。
【0036】
そして、1種のポリウレタン樹脂を結合剤として使用する場合、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂とは、上記の測定方法により測定したガラス転移温度(Tg)が40℃以上であるポリウレタン樹脂のことである。
【0037】
また、結合剤として2種以上のポリウレタン樹脂の混合物を使用する場合、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂とは、使用する各ポリウレタン樹脂の測定したガラス転移温度(Tg)と混合比率とから下記式(5)により算出されるガラス転移温度(Tg´)が40℃以上となるポリウレタン樹脂混合物のことである。このように、2種以上のポリウレタン樹脂の混合物を使用する場合、ガラス転移温度Tgが40℃以上、好ましくは40〜80℃の範囲で異なるポリウレタン樹脂を併用してもよく、また、ガラス転移温度Tgが40℃以上のポリウレタン樹脂とガラス転移温度Tgが40℃未満のポリウレタン樹脂とを併用してもよい。このようなポリウレタン樹脂の混合物は、混合物を構成するポリウレタン樹脂がn種であり、全ポリウレタン樹脂量に対する各ポリウレタン樹脂の比率がwi (i=1〜nの整数、Σwi =100)、各ポリウレタン樹脂のガラス転移温度がTgi (i=1〜nの整数)であるとき、下記式(5)を満足することが必要である。
【0038】
Tg´=Σ(Tgi ×wi /100)≧40 式(5)
このようにガラス転移温度Tgが異なる複数のポリウレタン樹脂を含有することで、高温度環境下での走行安定性とカレンダ加工性、電磁変換特性のバランスが得られる。
【0039】
本発明の磁気記録媒体の製造方法において使用できる硬化剤としては、各種ポリイソシアナートを用いることができ、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、メチレンジイソシアナート等の1種以上を、トリメチロールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性した硬化剤、またはジイソシアネート化合物3分子が結合したイソシアヌレート型の硬化剤を用いることができる。この硬化剤により結合剤に含有される水酸基等は三次元的に結合し、塗膜層(磁性層)の耐久性が向上する。
【0040】
本発明の磁気記録媒体の製造方法においては、磁性塗料中に研磨剤を含有させることができる。使用できる研磨剤としては、例えば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機質粉末が挙げられる。具体的には、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、δーアルミナ、三酸化二クロム、α−酸化鉄、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、窒化珪素、窒化硼素、炭化珪素、炭化チタン、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、人造ダイアモンド等を単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0041】
これらの研磨剤の粒子の形状、サイズ等は任意に設定することができるが、粒子形状は球状または多面体が好ましい。粒子サイズは0.01〜0.8μm程度が好ましく、粒子サイズが0.01μm未満であると、ヘッドクリーニング作用が低下し、0.8μmを超えると磁気ヘッドの偏摩耗を引き起こしたり、研磨剤自身が磁性塗膜から脱落し易くなる。磁気記録媒体に要求される耐久性とヘッド摩耗および最短記録波長における出力のバランスから粒子サイズを適宜設定すればよく、単一系でも混合系でもよいが、研磨剤の合計量は強磁性金属粉末に対して1〜20wt%の範囲が好ましい。研磨剤含有量が1wt%未満であると、ヘッドクリーニング作用が低下し、20wt%を超えると出力低下や磁気ヘッド摩耗の増加が著しくなり好ましくない。
【0042】
磁性塗料に含有される溶剤としては、とくに制限はないが、結合剤の溶解性、相溶性および乾燥効率等を考慮して適宜選択され、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、ジオキサン、テトヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、塩素置換炭化水素類等の希釈剤ないし溶剤を単一溶剤またはこれらの任意比率の混合溶剤として用いる。
【0043】
磁性塗料中には、通常、潤滑剤が含有される。用いる潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中で、とくに脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用いるのが好ましく、炭素数12〜24(不飽和結合を含んでも、また分枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪酸、炭素数10〜24(不飽和結合を含んでも、また分枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜22(不飽和結合を含んでも、また分枝していてもかまわない)の一価から六価までのアルコール、ソルビタン、ソルビトール等の環状もしくは多糖類還元アルコール等のいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステル、これらの混合物、または2種類以上を併用してもよい。
【0044】
これらの脂肪酸および/または脂肪酸エステルの潤滑剤、分散剤としての効果は、強磁性金属粉末に対して、その合計量として0. 1wt%以上含有させることによって発現する。そして、含有率を増加させることにより、その効果は顕著になるが、その含有率が強磁性金属粉末に対して20wt%を超えると、磁性層中に留まりきれずに塗膜表面に吐出し、磁気ヘッドを汚したり、出力を低下させる等の悪影響を及ぼすので、脂肪酸および/または脂肪酸エステルの磁性層中における含有量は、強磁性金属粉末に対してその合計量として0. 1〜20wt%がよく、1〜15wt%が好ましく、1〜12wt%がより好ましい。
【0045】
磁性塗料中には、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果等を発現させるための添加剤を含有することができる。例えば、シリコーンオイル類、フッ素オイル、フッ素置換炭化水素基含有のアルコール、脂肪酸、エステル、エーテル類、パラフィン類、前記一塩基性脂肪酸類の金属(Li、Na、K、Ca、Ba、Cu、Pb等)塩類、前記脂肪酸エステル製造用アルコール類、アルコキシアルコール類、ポリエチレンオキシド付加モノアルキルエーテルの脂肪酸エステル類、脂肪族または環状アミン類、脂肪酸アミド類、第四級アンモニウム塩類、ポリオレフィン類、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、ホスホニウムまたはスルホニウム等のカチオン系界面活性剤およびそのアルカリ金属塩、カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤およびそのアルカリ金属塩、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。
【0046】
これらの添加剤量は、強磁性金属粉末に対して総計10wt%以下、とくに0.01〜5wt%の範囲で用いることが好ましい。添加剤量が10wt%を超える場合、添加剤が過剰となって結合剤の遊離を引き起こしたり、添加剤自身が遊離して粘着成分となったり、また、磁性塗膜から吐出して付着の原因となることがある。
【0047】
さらに、無機化合物を添加する場合は、強磁性金属粉末との混練時または分散時に同時に添加しても良いし、あらかじめ結合剤で分散しておいて、磁性塗料の分散時に添加してもかまわない。
【0048】
さらに、磁性塗料中には、カーボンブラックを含有させてもよい。カーボンブラックとしてはファーネスカーボンブラック、サーマルカーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。これらのカーボンブラックの粒子サイズ等は任意に設定すれば良いが、媒体に要求される電気抵抗と摩擦特性および最短記録波長における出力のバランス(表面粗さ)から適宜選択すれば良く、単一系でも混合系でも良く、単独で粒度分布等を選択することもできる。また、これらのカーボンブラックを潤滑剤、分散剤等で表面処理したり、表面の一部をグラファイト化したもの等を使用しても構わない。
【0049】
また、磁性塗料中には、非強磁性有機質粉末(有機顔料)を含有させてもよい。用いられる非強磁性有機質粉末としては、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、フッ化炭化水素樹脂粉末、ジビニルベンゼン系樹脂粉末等が挙げられる。このような非強磁性有機質粉末は、結合剤に対して、重量比率で20wt%以下の範囲で用いられる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0051】
まず、第1の工程として、下記の磁性塗料用の材料を準備し、下記表1に示される組成で各材料をニーダにて十分に混練混合した後、サンドグラインドミルにて分散して5種の磁性塗料用混合分散液(a、b、c、d、e)を調製した。
【0052】
・強磁性金属粉末(同和鉱業(株)製DT−91T、Hc=1630Oe、BET法による比表面積=52m2 /g、長軸長0.17μm)
・分散剤(東邦化学(株)製フォスファノールRE610)
・塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン(株)製 MR110)
・スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)
(東洋紡績(株)製TS−9121、Tg=70℃)
・α−Al2 O3 (住友化学工業(株)製 HIT60A、平均粒径=0.2μm)
・カーボンブラック(平均粒径=300nm)
・ステアリン酸
・ステアリン酸ブチル
・溶剤(メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン)
【0053】
【表1】
次に、第2の工程として、上記の各磁性塗料用混合分散液(a、b、c、d、e)に硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製 C−3041)を上記表1に示される比率で添加混合して5種の磁性塗料(A、B、C、D、E)を調製した。
【0054】
また、下記の組成のバックコート層用塗料を調製した。
【0055】
バックコート層用塗料の組成
カーボンブラック(平均粒径25nm) … 100重量部
カーボンブラック(平均粒径300nm) … 0.8重量部
繊維系樹脂 …66.7重量部
ポリウレタン系樹脂 …44.4重量部
メチルエチルケトン … 619重量部
トルエン … 464重量部
シクロヘキサノン … 464重量部
硬化剤 …22.2重量部
(日本ポリウレタン工業(株)製 C−3041)
次に、上記の磁性塗料(A、B、C、D、E)およびバックコート層用塗料を用いて下記のように磁気記録媒体(実施例1〜16、比較例1〜10)を作製した。尚、各磁気記録媒体の磁性層を構成する含有成分についての下記の比率を算出して表2および表3に示した。
【0056】
▲1▼強磁性金属粉末に対する結合剤の比率
(Vc+PU)×100/MP
▲2▼結合剤中の塩化ビニル系共重合体の比率
Vc×100/(Vc+PU)
▲3▼強磁性金属粉末に対する結合剤と硬化剤の総量の比率
(Vc+PU+H)×100/MP
▲4▼強磁性金属粉末に対する硬化剤の比率
H×100/MP
(Vc:塩化ビニル系共重合体の重量,PU:ポリウレタン樹脂の重量)
(MP:強磁性金属粉末の重量,H:硬化剤の重量)
(実施例1)
厚さ10μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる非磁性支持体の一方の面にグラビアロール塗布法により上記の磁性塗料Aを塗布し、磁場配向処理をしながら乾燥して厚み3μmの磁性層を形成し、この磁性層にカレンダー処理を施した。次に、非磁性支持体の他方の面にグラビアロール塗布法により上記のバックコート層用塗料を塗布、乾燥し、さらにカレンダー処理を施してバックコート層を形成した。次いで、磁性層およびバックコート層に熱硬化処理を施した後、スリットして幅1/2インチ(12.7mm)の磁気記録媒体を作製した。
(実施例2)
磁性塗料Aの硬化剤の含有量を7.5重量部から3.75重量部に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例3)
磁性塗料Aに代えて磁性塗料Bを使用した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例4)
磁性塗料Bの硬化剤の含有量を4.05重量部から5.4重量部に変更した他は、実施例3と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例5)
磁性塗料Bの硬化剤の含有量を4.05重量部から8.1重量部に変更した他は、実施例3と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例6)
磁性塗料Aに代えて磁性塗料Cを使用した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例7)
磁性塗料Cの硬化剤の含有量を4.28重量部から5.71重量部に変更した他は、実施例6と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例8)
磁性塗料Cの硬化剤の含有量を4.28重量部から7.14重量部に変更した他は、実施例6と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例9)
磁性塗料Aのスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(II)(東洋紡績(株)製TS−9121(Tg=70℃)と東洋紡績(株)製TS−9555(Tg=20℃)との混合比率40:60の混合物、Tg=40℃)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例10)
磁性塗料Aのスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(III)(東洋紡績(株)製TS−9121(Tg=70℃)と東洋紡績(株)製TS−9555(Tg=20℃)との混合比率80:20の混合物、Tg=60℃)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例11)
磁性塗料Aのスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(IV)(東洋紡績(株)製TS−9121(Tg=70℃)と東洋紡績(株)製TS−9555(Tg=20℃)との混合比率60:40の混合物、Tg=50℃)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例12)
磁性塗料Aに代えて磁性塗料Dを使用した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例13)
磁性塗料Dの硬化剤の含有量を6.26重量部から11.6重量部に変更した他は、実施例12と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例14)
磁性塗料Aの塩化ビニル系共重合体の含有量を7.5重量部から5.0重量部に変更し、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)の含有量を5.0重量部から7.5重量部に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例15)
磁性塗料Aの塩化ビニル系共重合体の含有量を7.5重量部から10重量部に変更し、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)の含有量を5.0重量部から2.5重量部に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(実施例16)
磁性塗料Aの硬化剤の含有量を7.5重量部から11.25重量部に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例1)
磁性塗料Aのスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(V)(東洋紡績(株)製TS−9121(Tg=70℃)と東洋紡績(株)製TS−9555(Tg=20℃)との混合比率20:80の混合物、Tg=30℃)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例2)
磁性塗料Bの硬化剤の含有量を4.05重量部から2.70重量部に変更した他は、実施例3と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例3)
磁性塗料Aに代えて磁性塗料Eを使用した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例4)
磁性塗料Eの硬化剤の含有量を5.01重量部から3.34重量部に変更し、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(III)(東洋紡績(株)製TS−9121(Tg=70℃)と東洋紡績(株)製TS−9555(Tg=20℃)との混合比率80:20の混合物、Tg=60℃)に変更した他は、比較例3と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例5)
磁性塗料Aの塩化ビニル系共重合体の含有量を7.5重量部から4.4重量部に変更し、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)の含有量を5.0重量部から8.1重量部に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例6)
磁性塗料Aの塩化ビニル系共重合体の含有量を7.5重量部から11.25重量部に変更し、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)の含有量を5.0重量部から1.25重量部に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例7)
磁性塗料Dの硬化剤の含有量を6.26重量部から15.0重量部に変更した他は、実施例12と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例8)
磁性塗料Aの塩化ビニル系共重合体を繊維素系樹脂(旭化成(株)製セルノバBTH1/2)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例9)
磁性塗料Aのスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製バイロン200)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
(比較例10)
磁性塗料Aの塩化ビニル系共重合体を繊維素系樹脂(旭化成(株)製セルノバBTH1/2)に変更し、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(I)をポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製バイロン200)に変更した他は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0057】
以上のようにして作成した磁気記録媒体(実施例1〜16、比較例1〜10)について、RF−outと常温スチル耐久性を以下のようにして測定し、結果を下記の表2および表3に示した。
【0058】
(RF−out)
ビデオデッキ(松下電器産業(株)製 AJ−D350)を用いて
27.5MHzの再生出力を測定した。
【0059】
(常温スチル耐久性)
ビデオデッキ(松下電器産業(株)製 AJ−D350)を使用し、
常温環境下で静止画像を再生した状態でのRF出力が3dB低下するまでの時間を示した。
尚、上記のポリウレタン樹脂混合物であるスルホン酸基含有ポリウレタン樹脂(II)〜(V)の各ガラス転移温度(Tg)は、使用した東洋紡績(株)製TS−9121(Tg=70℃)と東洋紡績(株)製TS−9555(Tg=20℃)のガラス転移温度(Tgi )と混合比率wi を上記の式(5)Σ(Tgi ×wi /100)に代入して算出したガラス転移温度(Tg´)である。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
表2および表3に示されるように、本発明の磁気記録媒体(実施例1〜16)は、RF−out≧0.5dBであり、常温スチル耐久性が従来よりも長時間化されたが、比較例には上記特性を共に満足するものはなかった。特に、本発明の磁気記録媒体のうちで強磁性金属粉末に対する硬化剤の比率(H×100/MP)が6〜11重量%の範囲にあるものは、常温スチル耐久性が従来よりも大幅に長時間化されたものであった。
【0062】
本発明の磁気記録媒体のようにRF−out≧0.5dBを達成することにより、例えば、RF−out=0.0dBの磁気記録媒体に比べてビデオ再生画像の品質が良好になるとともに、器機設計の許容範囲が広がることになる。また、常温スチル耐久性を従来よりも長時間化することにより、放送等の業務用ビデオデッキにおいて要求される厳しいスチル耐久性を備えることになる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば強磁性金属粉末と結合剤と硬化剤との比率が適切な範囲に設定されており、強磁性金属粉末と混合された結合剤が、その後に添加混合される硬化剤によって置換されることが極めて少なく、強磁性金属粉末に確実に吸着しているので、磁性塗料における強磁性金属粉末の分散性は極めて良好であり、非磁性支持体上に塗布形成された磁性層中には遊離した結合剤はほとんど存在しないので、結合剤が磁性層中で粘着成分として作用することがなく、優れたスチル耐久性と高い電磁変換特性を備えた磁気記録媒体の製造が可能となる。
Claims (1)
- 強磁性金属粉末を結合剤中に均一に分散させた磁性層が非磁性支持体上に設けられている磁気記録媒体の製造方法において、
強磁性金属粉末を式(1)および式(2)を満足する条件で塩化ビニル系共重合体およびガラス転移温度(Tg)が40℃以上のポリウレタン樹脂からなる結合剤中に分散する第1の工程と、
10≦(Vc+PU)×100/MP≦14.3 式(1)
40≦Vc×100/(Vc+PU)≦80 式(2)
16.2<(Vc+PU+H)×100/MP≦23.8 式(3)
6≦H×100/MP≦11 式(4)
但し、Vcは塩化ビニル系共重合体の重量
PUはポリウレタン樹脂の重量
MPは強磁性金属粉末の重量
Hは硬化剤の重量である
第1の工程で作成した分散液に硬化剤を式(3)および式(4)を満足する条件で混合して磁性塗料とし、該磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する第2の工程と、を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
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