JP3841151B2 - 画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像入力信号の色空間を画像出力装置の色空間に変換する場合の画像入力信号に対する画像処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ、モニタ、プリンタ、プロジェクタなどのデバイス毎に色再現領域が異なる。したがって、色再現領域の相違をどのようにして吸収して色再現を行うかが問題となる。
【0003】
例えば、液晶プロジェクタの色特性をsRGBなどの色規格に合わせる場合、まず、両者の色域を比較して、液晶プロジェクタの色域内でどのように目標色特性を再現するかに関する方法(カラーマッチング方法)を考える必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、sRGBなどの色規格は、一般的にCRTディスプレイの色特性を元に作られているため、緑がかった色特性を有するプロジェクタとその色域を比較すると、白から黒にかけてのグレイの色合い(グレイ軸の向き)が異なる。このため、液晶プロジェクタの色域内で目標色特性を忠実に再現する場合(色再現優先のカラーマッチング)、液晶プロジェクタの色特性を目標色特性に正確にあわせることができるものの、白付近の高輝度領域はカラーマッチング後は使用されなくなり、出力画像が暗くなってしまうという問題点がある。一方、明るさ優先のカラーマッチングの場合、変換後も白付近の色は液晶プロジェクタの色をそのまま使用するので明るさを犠牲にすることはないが、その分色は合わなくなるという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、画像出力装置の高輝度色再現領域を有効に使用しつつ、全体的に目標色特性に近い色特性を再現可能な画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
さらに、上記課題に鑑み、請求項1に記載の発明は、色補正テーブルを用いて所望の色補正を行う画像処理装置であって、白の色変換量から、明度に応じて色変換量が求められる色補正テーブルを備えて構成される。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、明度が小さくなるにしたがって色変換量を小さくするように構成される。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置であって、明度が小さくなるにしたがって色変換量を2次関数に基づき小さくするように構成される。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいづれか一項に記載の画像処理装置であって、明度が所定値より小さくなると、色変換量をほぼゼロにするように構成される。
【0010】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像処理装置であって、白の明度を100とした場合に、前記所定値が50以下であるように構成される。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいづれか一項に記載の画像処理装置であって、前記色補正テーブルによる色補正が、明度が維持される方向に色点を移動させることによって行われるように構成される。
【0012】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいづれか一項に記載の画像処理装置であって、前記色補正テーブルによる色補正が、明度が増加する方向に色点を移動させることによって行われるように構成される。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、色補正テーブルを用いて所望の色補正を行う画像処理方法であって、白の色変換量から、明度に応じて色変換量が求められる色補正テーブルを用いるように構成される。
【0014】
さらに、請求項9に記載の発明は、色補正テーブルを用いて所望の色補正を行う画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、白の色変換量から、明度に応じて色変換量が求められる色補正テーブルを用いる画像処理をコンピュータに実行させるように構成される。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体である。
【0016】
さらに、請求項11に記載の発明は、白の色変換量から、明度に応じて色変換量が求められる色補正テーブルを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態にかかる色補正テーブル生成装置の機能ブロック図であり、図3は、本発明の一実施形態にかかる画像処理装置の機能ブロック図である。
【0019】
ハードウエア構成
図2は、これら色補正テ−ブル生成装置および画像処理装置の具体的ハードウエア構成例を概略ブロック図により示している。
【0020】
当該実施形態においては、色補正テーブル生成装置および画像処理装置を実現するハードウェアの一例としてコンピュータシステムを採用している。図2は、同コンピュータシステムをブロック図により示している。本コンピュータシステムは、画像入力デバイスとして、スキャナ11aとデジタルスチルカメラ11bとビデオカメラ11cとを備えており、コンピュータ本体12に接続されている。それぞれの入力デバイスは画像をドットマトリクス状の画素で表現した画像データを生成してコンピュータ本体12に出力可能となっており、ここで同画像データはRGBの三原色においてそれぞれ256階調表示することにより、約1670万色を表現可能となっている。
【0021】
コンピュータ本体12には、外部補助記憶装置としてのフロッピーディスクドライブ13aとハードディスク13bとCD−ROMドライブ13cとが接続されており、ハードディスク13bにはシステム関連の主要プログラムが記録されており、フロッピーディスクやCD−ROMなどから適宜必要なプログラムなどを読み込み可能となっている。また、コンピュータ本体12を外部のネットワークなどに接続するための通信デバイスとしてモデム14aが接続されており、外部のネットワークに同公衆通信回線を介して接続し、ソフトウェアやデータをダウンロードして導入可能となっている。この例ではモデム14aにて電話回線を介して外部にアクセスするようにしているが、LANアダプタを介してネットワークに対してアクセスする構成とすることも可能である。この他、コンピュータ本体12の操作用にキーボード15aやマウス15bも接続されている。
【0022】
さらに、画像出力デバイスとして、ディスプレイ17a、カラープリンタ17bおよびプロジェクタ17cを備えている。ディスプレイ17aについては水平方向に800画素と垂直方向に600画素の表示エリアを備えており、各画素毎に上述した1670万色の表示が可能となっている。この解像度は一例に過ぎず、640×480画素であったり、1024×768画素であるなど、適宜、変更可能である。
【0023】
また、カラープリンタ17bはインクジェットプリンタであり、CMYKの四色の色インクを用いてメディアたる印刷用紙上にドットを付して画像を印刷可能となっている。画像密度は360×360dpiや720×720dpiといった高密度印刷が可能となっているが、階調表現については色インクを付すか否かといった2階調表現となっている。一方、このような画像入力デバイスを使用して画像を入力しつつ、画像出力デバイスに表示あるいは出力するため、コンピュータ本体12内では所定のプログラムが実行されることになる。そのうち、基本プログラムとして稼働しているのはオペレーティングシステム(OS)12aであり、このオペレーティングシステム12aには、ディスプレイ17aでの表示を行わせるディスプレイドライバ(DSP DRV)12bと、カラープリンタ17bに印刷出力を行わせるプリンタドライバ(PRT DRV)12cと、プロジェクタ17cでの表示を行わせるプロジェクタドライバ12d(図示せず)が組み込まれている。これらのドライバ12b、12cおよび12dはディスプレイ17a、カラープリンタ17bおよびプロジェクタ17cの機種に依存しており、それぞれの機種に応じてオペレーティングシステム12aに対して追加変更可能である。また、機種に依存して標準処理以上の付加機能を実現することもできるようになっている。すなわち、オペレーティングシステム12aという標準システム上で共通化した処理体系を維持しつつ、許容される範囲内での各種の追加的処理を実現できる。
【0024】
このようなプログラムを実行する前提として、コンピュータ本体12は、CPU12e、RAM12f、ROM12gおよびI/O12hなどを備え、演算処理を実行するCPU12eがRAM12fを一時的なワークエリアや設定記憶領域として使用したりプログラム領域として使用しながら、ROM12gに書き込まれた基本プログラムを適宜実行し、I/O12hを介して接続されている外部機器及び内部機器などを制御している。
【0025】
ここで、基本プログラムとしてのオペレーティングシステム12a上でアプリケーション12dが実行される。アプリケーション12dの処理内容は様々であり、操作デバイスとしてのキーボード15aやマウス15bの操作を監視し、操作された場合には各種の外部機器を適切に制御して対応する演算処理などを実行し、さらには、処理結果をディスプレイ17aに表示したり、カラープリンタ17bに出力したりすることになる。
【0026】
かかるコンピュータシステムでは、画像入力デバイスであるスキャナ11aなどで画像データを取得し、アプリケーション12dによる所定の画像処理を実行した後、画像出力デバイスとしてのディスプレイ17a、カラープリンタ17bやプロジェクタ17cに表示出力することが可能である。
【0027】
本実施形態においては、画像処理装置をコンピュータシステムとして実現しているが、必ずしもかかるコンピュータシステムを必要とするわけではなく、同様の画像データに対して本発明による画像処理が必要なシステムであればよい。例えば、デジタルスチルカメラ内に本発明による画像処理を行う画像処理装置を組み込み、画像処理された画像データを用いてカラープリンタに印字させるようなシステムであっても良い。また、コンピュータシステムを介することなく画像データを入力して印刷するカラープリンタにおいては、スキャナやデジタルスチルカメラまたはモデム等を介して入力される画像データに対して自動的に本発明による画像処理を行って印刷処理するように構成することも可能である。
【0028】
この他、カラーファクシミリ装置、カラーコピー装置、プロジェクタといった画像データを扱う各種の装置においても当然に適用可能である。
【0029】
画像処理制御プログラム
本発明による画像処理制御プログラムは、通常、コンピュータ12が読取可能な形態でフロッピーディスク、CD−ROMなどの記録媒体に記録されて流通する。当該プログラムは、メディア読取装置(CD−ROMドライブ13c、フロッピーディスクドライブ13aなど)によって読み取られてハードディスク13bにインストールされる。そして、CPUが所望のプログラムを適宜ハードディスク13bから読み出して所望の処理を実行するように構成されている。なお、本発明による画像処理制御プログラム自体も本願発明の一部を構成する。
【0030】
色補正テーブル生成装置
図1に示す色補正テーブル生成装置20Aは、画像出力装置の高輝度色再現領域を有効に使用しつつ、全体的に目標色特性に近い色特性を再現可能な色補正テーブルを生成する。
【0031】
図1において、色補正テーブル生成装置20Aは、目標色空間および各パラメータ決定部20eと、基準白色点計算部20fと、第1変換部20gと、色変換量計算部20hと、第2変換部20iと、を備えている。これら各構成部分の処理の詳細に関しては後述する。
【0032】
以下、図5乃至図9を参照して、図1に示す色補正テーブル生成装置20Aによって行われる色補正テーブル生成処理プログラムを説明する。当該実施形態では、画像出力装置がプロジェクタの場合について説明する。
【0033】
当該色補正テーブル生成処理プログラムの実行にあたっては、前提として、以下に示すプロジェクタの色特性データを予め測定しておく必要がある。
【0034】
すなわち、
白(Rd,Gd,Bd)=(255,255,255)の三刺激値Xwp、Ywp、Zwp
赤(Rd,Gd,Bd)=(255, 0, 0)の三刺激値Xrp、Yrp、Zrp
緑(Rd,Gd,Bd)=( 0,255, 0)の三刺激値Xgp、Ygp、Zgp
青(Rd,Gd,Bd)=( 0, 0,255)の三刺激値Xbp、Ybp、Zbp
黒(Rd,Gd,Bd)=( 0, 0, 0)の三刺激値Xkp、Ykp、Zkp
の各色特性データを予め測定しておく必要がある。各測定データは、以下に示す式(1)
【0035】
【数1】
を用いて白の輝度(Ywd)で規格化し、黒におけるオフセットを差し引いておく。式は、白のデータについて示すが、RGBについても同様の変換を行う。黒については(Xkd,Ykd,Zkd)=(0,0,0)となる。
【0036】
図6に、第1色補正テーブル生成装置20Aによって行われる色補正テーブル生成処理プログラムを説明するためのフローチャートを示す。
【0037】
目標色空間および各パラメータの決定処理(S20)
図6に示すように、第1色補正テーブル生成装置20Aの目標色空間および各パラメータ決定部20eは、まず、目標色空間および変換用行列の各パラメータを決定する(S20)。
【0038】
当該実施形態では、目標色空間をsRGBとする。この場合、目標色空間の各色度座標はsRGBの定義より
白(R,G,B)=(255,255,255)の色度座標 xwt=0.313、ywt=0.329
赤(R,G,B)=(255, 0, 0)の色度座標 xrt=0.640、yrt=0.330
緑(R,G,B)=( 0,255, 0)の色度座標 xgt=0.300、ygt=0.600
青(R,G,B)=( 0, 0,255)の色度座標 xbt=0.150、ybt=0.060
となる。
【0039】
次に、目標色空間および各パラメータ決定部20eは、RtGtBtからXtYtZtへの変換に用いる行列Mtを計算する(S20)。この変換もsRGBの定義に基づくものであり、Mtは以下の式(2)に示すような行列になる。
【0040】
【数2】
次に、目標色空間および各パラメータ決定部20eは、RdGdBdからXdYdZdへの変換に用いる行列Mdを計算する(S20)。この変換は、プロジェクタの色特性に基づくものであり、Mdは以下の式(3)に示すような行列になる。
【0041】
【数3】
基準白色点の計算処理(S22)
また、基準白色点計算部20fは、CIELUV空間において、目標色空間とプロジェクタの色との対応付けを行う際、基本的に明度L*が維持されるように、基準白色点の計算を行う(S22)。このため、プロジェクタの色再現域をCIELUV空間で表す際の基準の白色点は、その明度がプロジェクタの白の明度とほぼ等しく、色度がほぼ目標色温度となるように選択する。当該実施形態による色補正テーブル生成装置20Aによって生成される基準白色点X0、Y0、Z0は、以下の式(4):
【0042】
【数4】
によって求められる。
【0043】
3次元色補正テーブルの出力値の計算処理(S24)
次に、色補正テーブル生成装置20Aの第1変換部20g、色変換量計算部20hおよび第2変換部20iは、3次元色補正テーブル(3D−LUT)の各入力値RtGtBtに対する出力値RdGdBdを計算する(S24)。3次元色補正テーブル(3D−LUT)の出力値計算処理に関しては、図7を参照して、さらに詳細に説明する。図7において、S30およびS32における処理は第1変換部20gによって行われ、S34およびS36における処理は色変換量計算部20hによって行われ、S38およびS40における処理は第2変換部20iにおいて行われる。
【0044】
まず、第1変換部20gは、以下の式(5)、式(6)および式(2):
【0045】
【数5】
を用いて、RtGtBtからXtYtZtへの変換を行う(S30)。この変換は、sRGBの定義に基づくものである。
【0046】
そして、第1変換部20gは、以下の式(7):
【0047】
【数6】
を用いて、XtYtZtからLt*ut*vt*への変換を行う(S32)。
【0048】
次に、色変換量計算部20hは、低明度の時は目標色特性と液晶プロジェクタの色特性とを合わせて、高明度になるにしたがって液晶プロジェクタの出力する白を出力できる色補正テーブルを生成できるように、Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換を行う(S34)。図5および図8に、Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換を説明するための図を示す。Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換の前後を、以下の説明において、単に「変換前」および「変換後」と称する。
【0049】
図5に示すように、明度LがLminよりも小さい色域では、変換前から変換後への色変換量(ΔL,Δu,Δv)をゼロとして目標色特性と液晶プロジェクタの色特性とを合わせる。一方、明度LがLminよりも大きい色域では、変換前から変換後への色変換量(ΔL,Δu,Δv)を高明度になるにしたがって徐々に大きくする。ここで、液晶プロジェクタの白の明度を100とした場合、0≦Lmin≦50とすることが好ましい。
【0050】
このようにして、画像出力装置であるプロジェクタの高輝度色再現領域を有効に使用しつつ、全体的に目標色特性に近い色特性を再現可能な色補正テーブルを生成することができる。
【0051】
変換前から変換後への色変換量(ΔL,Δu,Δv)は、
【0052】
【数7】
によって表される。ここで、(ΔLw,Δuw,Δvw)は白の色変換量であり、
ΔL=Lwd−Lwt
Δu=uwd−uwt
Δv=vwd−vwt
から求められる。
【0053】
(Lwd,uwd,vwd)および(Lwt,uwt,vwt)は、それぞれプロジェクタと目標色空間の白色点における(Ld,ud,vd)および(Lt,ut,vt)の値である。このように、式(8)より、白の色変換量(ΔLw,Δuw,Δvw)から、明度に応じて他の色の色変換量(ΔL,Δu,Δv)が求められる。
【0054】
当該実施形態では、式(8)の関数F(L)を
【0055】
【数8】
と定義する。関数F(L)は式(9)に限定されるものではなく、図8に示すように、点(Lmin,0)と点(100,1)とを通る任意の関数(例えば、2次関数)とすることができる。
【0056】
また、ここでは、図5に示すように、明るさが等しくなるように全ての色点を移動させているが、図9に示すように、明るさが増加する方向に変換後の色点を移動させることもできる。このように、用途に応じてこれら2つの場合を使い分けることができる。
【0057】
以上に示したように、Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換では、白の変換量(ΔLw*,Δuw*,Δvw*)を基準にして全ての色の変換量を決めているので、白以外の、特に彩度の高い色については、変換後の色が液晶プロジェクタの色域外になる場合がある。そこで、色変換量計算部では、さらに、L*u*v*からLd*ud*vd*への変換を行う。この変換は、図10に示すように、変換後の色が液晶プロジェクタの色域外の場合に、その色に対してプロジェクタが表示できる色のうち比較的近い色(例えば、色相が同じで座標上の距離が最も小さい色)を対応付けるような変換である。
【0058】
第2変換部20iは、
【0059】
【数9】
を用いて、Ld*ud*vd*からXdYdZdへの変換を行う(S38)。ここで、Xn,Yn,Znの値は、式(4)で求めた基準白色点の値(X0,Y0,Z0)である。
【0060】
最後に、第2変換部20iは、プロジェクタの色特性に基づいてXdYdZdをRdGdBdに変換する(S40)。変換式は、以下の式(14)および式(15):
【0061】
【数10】
【0062】
【数11】
のようになる。式(14)において、Md-1は式(3)に示す行列Mdの逆行列である。計算の結果、Rd,Gd,Bd<0となったときはRd,Gd,Bdをゼロとし、Rd,Gd,Bd>255となったときには255とする。ここで得られたRd,Gd,Bdの値が最終的な3次元色補正テーブルのデータとなる。
【0063】
そして、図6のS26に戻り、当該最終的な3次元色補正テーブルのデータに基づき、3次元色補正テーブルが生成され(S26)、当該生成された3次元色補正テーブルが色補正LUT格納部20bに格納される(S28)。
【0064】
以上のようにして、画像出力装置であるプロジェクタの高輝度色再現領域を有効に使用しつつ、全体的に目標色特性に近い色特性を再現可能な色補正テーブルを生成することができる。
【0065】
画像処理装置
図3において、画像処理装置20Bは、RGB画像入力データに対して所望の画像処理を施し、当該画像処理された画像データを画像出力装置30に出力する。ここで、画像データはカラー画像を所定の要素色毎に色分解しつつ、その要素色毎に強弱を表したものであり、有彩色であって所定の比で混合したときにはグレイに代表される無彩色と黒色とからなる。当該実施形態では、ディスプレイなどの画像出力装置30がRGBデータに基づき色再現を行う場合について説明する。
【0066】
画像処理装置20Bは、色補正テーブル生成装置20Aによって生成された色補正テーブルを少なくとも格納している色補正LUT格納部20bと;色補正LUT選択部20cによって選択された色補正テーブル(LUT)を色補正LUT格納部20bから読み出し、当該読み出された色補正LUTを参照してRGBデータをR’G’B’データに変換するための色補正部20aと;を備えている。
【0067】
次に、図4を参照して、画像処理装置20Bの動作について説明する。
【0068】
図4に示すように、ユーザによって画像出力開始(ステップ70)が指示されるとともに、所定の3次元色補正LUTが選択されると(ステップ72、Yes)、当該所定の3次元色補正LUTが色補正LUT格納部20bから読み出され、RAM内に読み込まれる(ステップ74)。そして、当該3次元色補正LUTを色補正部20aに組み込み(ステップ76)、3次元色補正LUTを参照して補間演算によって画像処理を行い、画像出力処理を行う(ステップ78)。
【0069】
当該実施形態では、ステップ72において、ユーザが好みまたは用途などに応じて、色補正LUT選択部20iを用いて所望のLUTを選択できるように構成している。
【0070】
当該実施形態による画像処理装置によれば、画像出力装置であるプロジェクタの高輝度色再現領域を有効に使用しつつ、全体的に目標色特性に近い色特性を再現可能な色補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる色補正テーブル生成装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明による色補正テ−ブル生成装置および画像処理装置の具体的ハードウエア構成例を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる画像処理装置の機能ブロック図である。
【図4】画像処理装置20Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換を説明するための図(1)である。
【図6】第1色補正テーブル生成装置20Aによって行われる色補正テーブル生成処理プログラムを説明するためのフローチャートである。
【図7】3次元色補正テーブル(3D−LUT)の出力値計算処理プログラムを説明するためのフローチャートである。
【図8】Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換を説明するための図(2)である。
【図9】Lt*ut*vt*からL*u*v*への変換を説明するための図(3)である。
【図10】L*u*v*からLd*ud*vd*への変換を説明するための図である。
【符号の説明】
10 画像入力装置
11a スキャナ
11b デジタルスチルカメラ
11c ビデオカメラ
12 コンピュータ本体
12a オペレーティングシステム
12b ディスプレイドライバ
12c プリンタドライバ
12d アプリケーション
13a フロッピーディスクドライブ
13b ハードディスク
13c CD−ROMドライブ
14a モデム
15a キーボード
15b マウス
17a ディスプレイ
17b カラープリンタ
17c プロジェクタ
20A 第1色補正テーブル生成装置
20B 画像処理装置
20a 色補正部
20b 色補正LUT格納部
20c 色補正LUT選択部
20e 目標色空間および各パラメータ決定部
20f 基準白色点計算部
20g 第1変換部
20h 色変換量計算部
20i 第2変換部
Claims (14)
- 色補正テーブルを用いて補正対象の色に所望の色補正を行った結果である補正色を出力する画像処理装置であって、
前記補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた前記補正色を出力する色補正テーブルを備え、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が小さくなるにしたがって前記色変換量を小さくする、
画像処理装置。 - 請求項1に記載の画像処理装置であって、
明度が小さくなるにしたがって色変換量を2次関数に基づき小さくする、画像処理装置。 - 色補正テーブルを用いて補正対象の色に所望の色補正を行った結果である補正色を出力する画像処理装置であって、
前記補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた前記補正色を出力する色補正テーブルを備え、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が所定値より小さくなると、前記色変換量をほぼゼロにする、
画像処理装置。 - 請求項3に記載の画像処理装置であって、
白の明度を100とした場合に、前記所定値が50以下である、画像処理装置。 - 請求項1乃至4のいづれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記色補正テーブルによる色補正が、明度が維持される方向に色点を移動させることによって行われる、画像処理装置。 - 請求項1乃至4のいづれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記色補正テーブルによる色補正が、明度が増加する方向に色点を移動させることによって行われる、画像処理装置。 - 色補正テーブルを用いて補正対象の色に所望の色補正を行った結果である補正色を出力する画像処理方法であって、
前記補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた前記補正色を出力する色補正テーブルを用い、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が小さくなるにしたがって前記色変換量を小さくする、
画像処理方法。 - 色補正テーブルを用いて補正対象の色に所望の色補正を行った結果である補正色を出力する画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた前記補正色を出力する色補正テーブルを用いる画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が小さくなるにしたがって前記色変換量を小さくする、
プログラム。 - 請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体。
- 補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた補正色を出力する色補正テーブルを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体であって、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が小さくなるにしたがって前記色変換量を小さくする、
記録媒体。 - 色補正テーブルを用いて補正対象の色に所望の色補正を行った結果である補正色を出力する画像処理方法であって、
前記補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた前記補正色を出力する色補正テーブルを用い、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が所定値より小さくなると、前記色変換量をほぼゼロにする、
画像処理方法。 - 色補正テーブルを用いて補正対象の色に所望の色補正を行った結果である補正色を出力する画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた前記補正色を出力する色補正テーブルを用いる画像処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が所定値より小さくなると、前記色変換量をほぼゼロにする、
プログラム。 - 請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体。
- 補正対象の色に、白の色変換量から前記補正対象の色の明度に応じて求められた色変換量を加えた補正色を出力する色補正テーブルを記録したコンピュータによって読取可能な記録媒体であって、
前記白の色変換量は、色補正前の白色点と、色補正後の白色点との差分であり、
前記補正対象の色の明度が所定値より小さくなると、前記色変換量をほぼゼロにする、
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