JP3840116B2 - 多数個取り配線基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、略四角平板状のセラミック母基板の中央部に、上面に電子部品が搭載される略四角形状の多数の配線基板領域を、セラミック母基板の上面および/または下面に形成された分割溝により区切られた縦横の並びに配列して成る多数個取り配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば半導体素子や水晶振動子等の電子部品を収容するための電子部品収納用パッケージに用いられる小型のセラミック配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス材料から成る略四角平板状の絶縁基体の上面に電子部品を収容するための凹部が形成されているとともに、この凹部の内側から絶縁基体の下面にかけて複数の配線導体を配設して成る。そして、絶縁基体の凹部の底面に電子部品を搭載固定するとともに電子部品の電極をボンディングワイヤや半田等の電気的接続手段を介して凹部内の配線導体に電気的に接続し、しかる後、絶縁基体の上面に凹部を塞ぐようにして金属やガラス等から成る蓋体やエポキシ樹脂等から成る樹脂製充填材を接合させ、凹部の内部に電子部品を気密に収容することによって製品としての電子装置となる。
【0003】
ところで、このような配線基板は近時の電子装置の小型化の要求に伴い、その大きさが数mm角程度の極めて小さなものとなってきており、多数個の配線基板の取り扱いを容易とするために、また配線基板および電子装置の製作を効率よくするために1枚の広面積のセラミック母基板中から多数個の配線基板を同時集約的に得るようになした、いわゆる多数個取り配線基板の形態で製作されている。
【0004】
この多数個取り配線基板は、複数のセラミック層を積層して成る略平板状のセラミック母基板の中央部に、各々がその上面側に電子部品を収容するための凹部およびこの凹部内から下面にかけて複数の配線導体を有する略四角形の多数の配線基板領域を、セラミック母基板の上下面に形成した分割溝により区切られた縦横の並びに配列して成るとともに、このセラミック母基板の外周部にこれらの配線基板領域を取り囲むようにして略四角枠状の捨て代領域を形成して成る。そして、例えば各配線基板領域の凹部内に電子部品を収容する前、あるいは収容した後、セラミック母基板を分割溝に沿って配線基板領域毎に撓折して分割することによって多数個の配線基板または電子装置が同時集約的に製作される。
【0005】
なお、セラミック母基板を分割するには、例えばセラミック母基板を上下から押圧するための、互いに平行に上下に配置された複数のローラー間にセラミック母基板を通してローラーの圧力により分割する方法が採用されている。その際、まずセラミック母基板を分割線に沿って縦横いずれか一方の並び毎に分割した後、次にその各並びを再度ローラー間に通して各個辺の配線基板に分割している。そして、分割された各配線基板は、これを個々に多数個収容するためのトレイに並べて収容される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして得られる小型の配線基板は、一般的にその上面に電子部品を搭載する際や配線基板を外部電気回路基板に実装する際に、それらの電子部品の搭載や外部電気回路基板への実装における方向性を有している。そして、分割された各配線基板は、そのような電子部品の搭載や外部電気回路基板への実装を容易とするために、これを収容するトレイの中でその方向性が揃っていることが要求される。
【0007】
しかしながら、従来の多数個取り配線基板では、各配線基板領域が小さく、例えば目視では各配線基板領域の方向性を認識しにくいことから、特にセラミック母基板を各並び毎に分割した後、各並びを再度ローラー間に通す際に、ローラー間を通す方向を間違えて逆向きに通すことがあり、そのような場合、分割された各配線基板の方向性が揃わずに、そのため、分割された配線基板をトレイの中に方向性を揃えて収容することが困難であった。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、分割された各並びの配線基板領域の方向性を容易かつ確実に認識することができ、それにより分割された各並びをローラー間に正確な方向で通して各配線基板毎に常に方向性を揃えて分割することが可能な多数個取り配線基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平板状の母基板の中央部に、略四角形状の多数の配線基板領域が、前記母基板の上面および/または下面に形成した分割溝により第1の方向及び第2の方向に沿って縦横に配列され、前記母基板の前記多数の配線基板領域の外側に捨て代領域を形成して成るとともに、分割用の複数のローラー間を、前記第1の方向及び第2の方向に沿って通過させる多数個取り配線基板であって、前記捨て代領域のうち、前記第1の方向に沿って配列された配線基板の外側に位置する捨て代領域に、前記第1の方向を示す認識マークが形成され、前記第2の方向に沿って配列された配線基板の外側に位置する捨て代領域に、前記第2の方向を示す認識マークが形成されていることを特徴とする。
また、上記多数個取り配線基板を、前記第1の方向に沿った列ごとに分割して、中間分割体を作成する第1の工程と、該中間分割体の全てを前記第2の方向に沿うように配列することにより前記配線基板領域ごとに分割して、配線基板を得る第2の工程と、を備えることを特徴とする。
更に上記記載の分割方法により分割された多数の配線基板を、該配線基板同士の配列の方向が揃った状態で、トレイに収容することを特徴とする。
【0010】
本発明の多数個取り配線基板によれば、配線基板領域を取り囲む捨て代領域で配線領域の各並びの延長領域に、該各並びの配線基板領域の方向性を認識するための認識マークが形成されていることから、セラミック母基板を縦横のいずれかの並び毎に分割した際に、各並び毎に各配線基板領域の方向性を示す認識マークを有することとなり、分割された各並びをその並びの認識マークを基にしてローラー間に正確な方向で通して各配線基板領域毎に常に方向性を揃えて分割することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多数個取り配線基板について添付の図面を基に説明する。
図1は、本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す上面図であり、図2は図1に示す多数個取り配線基板のA−A線における断面図である。図中、1はセラミック母基板、2は配線基板領域、3は捨て代領域である。
【0012】
セラミック母基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・ガラス−セラミックス等のセラミックス材料から成る2層の絶縁層1a・1bが積層されて成る略四角形の平板であり、その中央部に縦横の並びに配列形成された多数の配線基板領域2と、その外周部にこれらの配線基板領域2を取り囲むようにして形成された略四角枠状の捨て代領域3とで構成されている。そして、各配線基板領域2の角部に対応して複数の貫通孔1cが形成されており、またその上下面には各配線基板領域2を区切る分割溝4が縦横に形成されている。
【0013】
このようなセラミック母基板1は、セラミックグリーンシート積層法によって製作され、具体的には、絶縁層1a・1b用のセラミックグリーンシートをそれぞれ準備するとともに、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施した後に積層し、その上下面に分割溝4用の切り込みを入れた後、それを高温で焼成することによって製作される。
【0014】
セラミック母基板1の中央部に配列形成された各配線基板領域2は、それぞれが小型の配線基板となる領域であり、それぞれの上面中央部に電子部品5を収容するための略四角形の凹部2aを有しており、凹部2aの底面から貫通孔1cを介して下面にかけてはタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成る配線導体6を有している。そして、凹部2a内には半導体素子や水晶振動子等の電子部品5が収容されるとともに、配線導体6にはこの電子部品5の各電極が例えばボンディングワイヤ7や半田バンプ等の電気的接続手段を介して電気的に接続され、しかる後、各配線基板領域2の上面に図示しない蓋体や樹脂充填材を電子部品5を覆うようにして接合することによって電子部品5が封止される。なお、凹部2aは、絶縁層1b用のセラミックグリーンシートに凹部2a用の略四角形の貫通孔を打ち抜いておくことによって形成され、配線導体6は、絶縁層1a用のセラミックグリーンシートに配線導体6用のメタライズペーストを所定のパターンに印刷塗布しておくことによって形成される。
【0015】
さらに、セラミック母基板1の上下面に形成された分割溝4は、その断面形状が略V字状であり、セラミック母基板1の厚さや材質などにより異なるが、その深さが0.05〜1.5mm程度、その開口幅が0.01〜0.3mm程度である。そして、各配線基板領域2の凹部2a内に電子部品5を収容した後、セラミック母基板1を分割溝4に沿って縦横いずれかの並び毎に分割した後、分割された各並びを各配線基板領域2毎に分割することにより、多数の電子装置が同時集約的に製造される。なお、セラミック母基板1を分割するには、例えばセラミック母基板1を上下から押圧するように互いに平行に配置された複数のローラー間にセラミック母基板1を通して、それらのローラーの圧力により分割する方法が採用されている。
【0016】
また、セラミック母基板1の外周部に形成された捨て代領域3は、セラミック母基板1の加工や取り扱いを容易とするための領域である。そして、配線基板領域2の縦横の各並びの延長領域に配線基板領域2の方向性を示す認識マーク8がそれぞれ被着形成されている。この認識マーク8は、例えば矢印形状であり、この認識マーク8の示す方向に従ってセラミック母基板1を縦横いずれかの並び毎に分割した後、分割された各並びをその並びに残った認識マーク8の示す方向に従って分割溝4に沿って分割することによって、各配線基板領域2毎に方向性を揃えて分割することができる。この場合、分割された配線基板は、その方向性が揃っていることから、これを収容するためのトレイに方向性を揃えて容易に収容することができる。
【0017】
このような認識マーク8は、例えばタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、セラミック母基板1用のセラミックグリーンシートに認識マーク8用のメタライズペーストを印刷塗布しておくことによって捨て代領域3で各配線基板領域2の並びの延長領域に所定の形状に被着される。
【0018】
なお、この例では、認識マーク8は矢印形状であったが、方向性を認識しやすい形状であれば、例えば各並びの延長方向に頂点を有する三角形状等の他の形状であってもよい。しかし、方向性の認識が容易であるという観点からは矢印形状であることが好ましい。
【0019】
かくして、本発明の多数個取り配線基板によれば、各配線基板領域2の凹部2a内に電子部品5を搭載固定するとともに、この電子部品5の電極と配線導体6とをボンディングワイヤ7や半田等の電気的接続手段を介して接続し、最後に、各配線基板領域2の上に金属やセラミックスから成る蓋体やエポキシ樹脂等から成る樹脂製充填材を接合するとともに、セラミック母基板1を認識マーク8の示す方向に従って分割溝4に沿って縦横のいずれかの並び毎に分割した後、分割された各並びをその並びに残った認識マーク8の示す方向に従って各配線基板領域2毎に分割することにより、多数個の電子装置が同時集約的に製作される。
【0020】
なお、本発明は上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能である。例えば上述の実施の形態の一例では、セラミック母基板1は2層の絶縁層1a・1bを積層して形成されていたが、セラミック母基板1は3層以上の絶縁層を積層することにより形成されていてもよい。
【0021】
また、上述の実施の形態の一例では、分割溝4はセラミック母基板1の上下面に形成されていたが、分割溝4はセラミック母基板1の上面または下面のいずれか一方のみに形成されていてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明の多数個取り配線基板によれば、セラミック母基板を縦横のいずれかの並び毎に分割した際に、各並び毎にその並びの各配線基板領域の方向性を示す認識マークを有することとなり、その認識マークを基にして各並びをローラー間に正確な方向で通して各配線基板領域を常に方向性を揃えて分割することができる。したがって、分割された配線基板は、その方向性が揃っていることから、これを収容するためのトレイに方向性を揃えて容易に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す上面図である。
【図2】図1に示した多数個取り配線基板のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・セラミック母基板
2・・・・・・・配線基板領域
3・・・・・・・捨て代領域
4・・・・・・・分割溝
5・・・・・・・電子部品
8・・・・・・・認識マーク

Claims (3)

  1. 平板状の母基板の中央部に、略四角形状の多数の配線基板領域、前記母基板の上面および/または下面に形成した分割溝により第1の方向及び第2の方向沿って縦横配列され
    前記母基板の前記多数の配線基板領域の外側に捨て代領域を形成して成るとともに、
    分割用の複数のローラー間を、前記第1の方向及び第2の方向に沿って通過させる多数個取り配線基板であって、
    前記捨て代領域のうち、前記第1の方向に沿って配列された配線基板の外側に位置する捨て代領域に、前記第1の方向を示す認識マークが形成され
    前記第2の方向に沿って配列された配線基板の外側に位置する捨て代領域に、前記第2の方向を示す認識マークが形成されていることを特徴とする多数個取り配線基板。
  2. 請求項1に記載の多数個取り配線基板を、前記第1の方向に沿った列ごとに分割して、中間分割体を作成する第1の工程と、
    該中間分割体の全てを前記第2の方向に沿うように配列することにより前記配線基板領域ごとに分割して、配線基板を得る第2の工程と、を備えることを特徴とする多数個取り配線基板の分割方法。
  3. 請求項2に記載の分割方法により分割された多数の配線基板を、該配線基板同士の配列の方向が揃った状態で、トレイに収容することを特徴とする多数の配線基板の収容方法。
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