JP3878842B2 - 多数個取り配線基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や水晶振動子等の電子部品を搭載するための小型の配線基板となる多数の配線基板領域を広面積のセラミック母基板中に縦横の並びに一体的に配列形成して成る多数個取り配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子や水晶振動子等の電子部品を収容するための電子部品収納用パッケージに用いられる小型の配線基板は、例えば酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックス材料から成り、上面中央部に電子部品を搭載するための凹状の搭載部を有するとともにこの搭載部内から下面にかけて導出する複数のメタライズ配線導体を有する略四角箱状の絶縁基体と、この絶縁基体の上面外周部に搭載部を取り囲むようにして接合された略四角枠状の封止用の金属枠体とから主に構成されている。そして、絶縁基体の搭載部内に電子部品を接合固定するとともに電子部品の電極をメタライズ配線導体にボンディングワイヤや半田バンプ等の電気的接続手段を介して電気的に接続し、しかる後、封止用の金属枠体に略平板状の金属蓋体をシーム溶接等の溶接法を採用して接合させ、配線基板と金属蓋体とから成る容器の内部に電子部品を気密に収容することによって製品としての電子装置となる。
【0003】
ところで、このような配線基板は近時の電子装置の小型化の要求に伴い、その大きさが数mm角程度の極めて小さなものとなってきており、多数個の配線基板の取り扱いを容易とするために、また配線基板および電子装置の製作を効率よくするために、1枚の広面積のセラミック母基板中から多数個の配線基板を同時集約的に得るようになした、いわゆる多数個取り配列基板の形態で製作されている。
【0004】
この多数個取り配線基板は、広面積のセラミック母基板中に各々が上述の配線基板となる多数の配線基板領域を縦横の並びに一体的に配列形成して成る。各配線基板領域は、上面中央部に凹状の搭載部を有するとともに搭載部内から下面にかけて複数のメタライズ配線導体を有しており、その上面に封止用の金属枠体がろう付けにより接合されている。さらに、セラミック母基板の上面には各配線基板領域を区切る所定深さの分割溝が縦横に形成されており、この分割溝に沿ってセラミック母基板を分割することによって多数個の小型の配線基板を同時集約的に得ることができる。
【0005】
なお、この多数個取り配線基板において、各配線基板領域上に金属枠体を接合させるには、セラミック母基板における各配線基板領域の上面外周部に搭載部を取り囲むようにして略四角枠状のろう付け用メタライズ層を被着形成しておくとともに、このろう付け用メタライズ層上に金属枠体を間にろう材箔を挟んで位置決めし、しかる後、ろう材を加熱溶融させてろう付け用メタライズ層と金属枠体とをろう付けする方法が採用される。また、セラミック母基板の各配線基板領域の上面外周部に被着されたろう付け用メタライズ層に金属枠体を位置決めするには、セラミック母基板の外周部に枠状の捨て代領域を設けておくとともにこの捨て代領域に位置決め用の切欠きや貫通孔を設けておき、この位置決め用の切欠きや貫通孔を基準にして位置決めする方法が採用されている。さらに、このような切欠きや貫通孔は、各配線基板領域に電子部品を搭載したりする際等における位置決め用の基準としても使用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の多数個取り配線基板におけるセラミック母基板は、これを焼成する際に不均一な焼成収縮が発生して、その寸法にばらつきが生じる。したがって、各配線基板領域上に金属枠体や電子部品等を位置決めする際に、セラミック母基板の外周部に設けた切欠きや貫通孔を位置決め用の基準として用いると、その寸法ばらつきの影響を大きく受けて金属枠体や電子部品の位置決めの精度が大きく低下し、そのため金属枠体や電子部品を正確に接合することが困難であるという問題点を有していた。
【0007】
そこで、例えばセラミック母基板の外周部と中心部との間に位置する各配線基板領域の並びの中に位置決め用の貫通孔を有するダミー領域を複数箇所設け、このダミー領域に設けた貫通孔を位置決めの基準として用いることにより各配線基板領域上に金属枠体や電子部品を位置決めして接合することが考えられる。これによれば、セラミック母基板の外周部に設けた切欠きや貫通孔を位置決めの基準にする場合と比較して、位置決め用の貫通孔から各配線基板領域までの距離が短くなるのでセラミック母基板の寸法ばらつきの影響を小さいものとすることができ、したがって金属枠体や電子部品の位置決めの精度を向上させることができる。しかしながら、この場合、セラミック母基板をその上面に形成した分割溝に沿って撓折することにより個々の配線基板に分割する際に、各配線基板領域の並びの中に設けたダミー領域において位置決め用の貫通孔から割れやすく、その結果、ダミー領域に隣接する配線基板領域を分割溝に沿って正確に分割することが困難であるという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、セラミック母基板に設けた各配線基板領域上に金属枠体や電子部品を正確に位置決めして接合することができるとともに、セラミック母基板をその上面に設けた分割溝に沿って正確に分割することが可能な多数個取り配線基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、略平板状のセラミック母基板の上面に、上面中央部に電子部品が搭載される搭載部を有するとともに、上面外周部に前記搭載部を取り囲む封止用の金属枠体が接合された略四角形状の配線基板領域を、縦横の並びに一体的に多数個配列形成し、前記各配線基板領域を区切る分割溝を形成して成る多数個取り配線基板であって、前記配線基板領域の並びの中のいずれかの領域を、中央部に貫通孔が形成された位置決め用のダミー領域と成すとともに、前記金属枠体が、前記ダミー領域の上面外周部に接合されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記多数個取り配線基板を分割して得られる配線基板の製造方法であって、前記配線基板領域に接合された金属枠体と、前記ダミー領域に接合された金属枠体との間に設けられた前記分割溝に沿って分割されることを特徴とする。
更に、本発明は、上述の製造方法により得られた配線基板上に電子部品を備えていることを特徴する。
【0010】
本発明の多数個取りセラミック配線基板によれば、配線基板領域の並びの中に中央部に貫通孔が形成されたダミー領域(ダミーの配線基板領域)を備えていることから、このダミー領域に形成された貫通孔を位置決めの基準として用いることにより、各配線基板領域上に金属枠体や電子部品を正確に位置決めして接合することができる。さらに、ダミー領域の上面外周部には他の配線基板領域と同じく金属枠体が接合されていることから、セラミック母基板をその上面に形成された分割溝に沿って分割する際に、セラミック母基板がダミー領域の位置決め用の貫通孔から割れることが金属枠体により有効に防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多数個取り配線基板について添付の図面を基に説明する。
【0012】
図1は、本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、図2は図1に示す多数個取り配線基板の上面図である。これらの図において、1はセラミック母基板、2は配線基板領域、3は分割溝、6は金属枠体である。
【0013】
セラミック母基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・ガラスセラミックス等のセラミックス材料から成る複数層の絶縁層が積層されて成り、その中央部に各々が小型の配線基板となる略四角形の多数の配線基板領域2が、セラミック母基板1の上面に形成された分割溝3で区切られて縦横の並びに一体的に多数個が配列形成されている。
【0014】
セラミック母基板1の中央部に配列形成された各配線基板領域2は、その上面中央部に電子部品を搭載するための略四角凹状の搭載部2aを有しており、この搭載部2a内に電子部品がろう材やガラス・樹脂等の接着材を介して接合される。また、搭載部2aの内部から下面にかけてはタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成る複数のメタライズ配線導体4が被着形成されており、このメタライズ配線導体4には搭載部2a内に搭載される電子部品の電極が例えば半田バンプやボンディングワイヤ等の電気的接続手段を介して電気的に接続される。
【0015】
さらに、各配線基板領域2の上面には、搭載部2aを取り囲むようにしてタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成るろう付け用メタライズ層5が被着されている。ろう付け用メタライズ層5は、各配線基板領域2の上面に封止用の金属枠体6を接合するための下地金属層として機能し、その上面には封止用の金属枠体6が銀−銅合金等のろう材を介して接合されている。
【0016】
各配線基板領域2の上面に接合された金属枠体6は、例えば鉄−ニッケル−コバルト合金等の金属から成り、搭載部2a内に搭載された電子部品を封止するための金属蓋体を溶接するための下地金属部材として機能する。そして、搭載部2a内に電子部品を搭載するとともに電子部品の電極とメタライズ配線導体4とを電気的に接続した後、セラミック母基板1を分割溝3に沿って分割して電子部品が搭載された小型の配線基板を得るとともに、この小型の配線基板の金属枠体6上に金属蓋体をシームウエルド法等の溶接法を採用して溶接することにより、電子部品が気密に封止されて製品としての電子装置が完成する。
【0017】
なお、ろう付け用メタライズ層5に金属枠体6を接合するには、ろう付け用メタライズ層5の表面に1〜10μm程度の厚みのニッケルめっき層を被着させるとともに、その上に金属枠体6を、後述するダミー領域7の貫通孔7aを位置決めの基準として間に銀−銅合金等のろう材を挟んで位置決めして載置し、しかる後、ろう材を加熱溶融させることにより接合する方法が採用される。
【0018】
さらに、本発明の多数個取り配線基板においては、セラミック母基板1に配列形成した各配線基板領域2の並びの中に中央部に位置決め用となる貫通孔7aを有するダミー領域7が複数箇所配設されている。これらのダミー領域7は、配線基板領域2の並びの中央部と外周部との中間部に形成されている。そのため、その中央部に形成された貫通孔7aから各配線基板領域2までの距離を短いものとすることができる。したがって、貫通孔7aを基準とした位置決めの際にセラミック母基板1の寸法ばらつきの影響を小さいものとすることができる。このように、配線基板領域2の並びの中に中央部に貫通孔7aが形成されたダミー領域7を備えていることから、この貫通孔7aを位置決めの基準として各配線基板領域2に金属枠体6や電子部品を正確に位置決めして接合させることができる。
【0019】
なお、この例ではダミー領域7の貫通孔7aは、配線基板領域2の搭載部2aの開口と略同じ形状・大きさで形成されている。このように貫通孔7aを搭載部2aの開口と略同じ形状・大きさとすることにより、ダミー領域7とこれに隣接する配線基板領域2とで分割溝3を挟んだ上面側の剛性が近似したものとなるので、セラミック母基板1を分割溝3に沿って撓折して分割する際にセラミック母基板1が分割溝3に沿って正確かつ良好に分割されやすくなる。
【0020】
なお、この例では貫通孔7aを、搭載部2aの開口と同じ形状・大きさとしたが、貫通孔7aは搭載部2aの開口と異なる形状・大きさであってもよい。そのような例としては、例えば円形や長円形が挙げられる。さらには、上面側では搭載部2aの開口と同じ形状・大きさで、下面側ではそれよりも小さくなった段付きの貫通孔であってもよい。
【0021】
またさらに、本発明の多数個取り配線基板においては、多数の配線基板領域2と同じく、ダミー領域7の上面外周部にはろう付け用メタライズ層5と同じろう付け用メタライズ層8が被着されており、このろう付け用メタライズ層8の上面には、金属枠体6と同じ金属枠体9が銀−銅合金等のろう材を介して接合されている。このように、ダミー領域7の上面外周部にも金属枠体6と同じ金属枠体9が接合されていることから、セラミック母基板1を分割溝3に沿って分割する際に、セラミック母基板1がダミー領域7の貫通孔7aから割れることが、この金属枠体9により有効に防止され、その結果、セラミック母基板1が分割溝3に沿って正確に分割され、多数個の配線基板領域2から正確な寸法・形状の小型の配線基板および電子装置を多数個得ることができる。
【0022】
なお、上述のようなセラミック母基板1は、例えば、酸化アルミニウム・酸化珪素・酸化カルシウム・酸化マグネシウム等のセラミック原料粉末に適当な有機バインダおよび溶剤を添加混合して泥漿状となすとともにこれを従来周知のドクタブレード法を採用してシート状に形成し、これに例えば打ち抜き金型を用いて打ち抜き加工を施すことによりセラミック母基板1用の複数枚のセラミックグリーンシートを準備するとともに、これらのセラミックグリーンシートにメタライズ配線導体4用およびろう付け用メタライズ層5・8用のタングステンペーストをスクリーン印刷法により所定のパターンに印刷塗布し、しかる後、これらのセラミックグリーンシートを上下に積層してセラミックグリーンシート積層体となすとともに、このセラミックグリーンシート積層体の上面に分割溝3用の切込みを金型により形成し、これを還元雰囲気中にて約1600℃の温度で焼成することによって形成される。
【0023】
かくして、本発明の多数個取りセラミック配線基板によれば、各配線基板領域2の搭載部2a上に電子部品を搭載した後、セラミック母基板1を分割溝3に沿って分割することにより正確な形状・寸法の電子装置を多数個得ることができる。
【0024】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能である。例えば、上述の実施の形態の例では、分割溝3はセラミック母基板1の上面にのみ形成したが、分割溝3はセラミック母基板1の上下両面に形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の多数個取り配線基板によれば、配線基板領域の並びの中に中央部に貫通孔が形成されたダミー領域を備えていることから、このダミー領域に設けた貫通孔を位置決めの基準として用いることにより、各配線基板領域上に金属枠体や電子部品を正確に位置決めして接合することができる。さらに、ダミー領域の上面外周部には配線基板領域と同じく金属枠体が接合されていることから、セラミック母基板をその上面に形成された分割溝に沿って分割する際に、セラミック母基板がダミー領域の位置決め用の貫通孔から割れることが金属枠体により有効に防止される。したがって、セラミック母基板が分割溝に沿って正確に分割されて、多数個の配線基板領域から正確な形状・寸法の小型の配線基板および電子装置を多数個得ることが可能な多数個取り配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示す多数個取り配線基板の上面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・セラミック母基板
2・・・・・・配線基板領域
3・・・・・・分割溝
6・・・・・・金属枠体
7・・・・・・ダミー領域
7a・・・・・貫通孔
9・・・・・・金属枠体
Claims (3)
- 略平板状のセラミック母基板の上面に、上面中央部に電子部品が搭載される搭載部を有するとともに、上面外周部に前記搭載部を取り囲む封止用の金属枠体が接合された略四角形状の配線基板領域を、縦横の並びに一体的に多数個配列形成し、
前記各配線基板領域を区切る分割溝を形成して成る多数個取り配線基板であって、
前記配線基板領域の並びの中のいずれかの領域を、中央部に貫通孔が形成された位置決め用のダミー領域と成すとともに、前記金属枠体が、前記ダミー領域の上面外周部に接合されていることを特徴とする多数個取り配線基板。 - 請求項 1 に記載の多数個取り配線基板を分割して得られる配線基板の製造方法であって、前記配線基板領域に接合された金属枠体と、前記ダミー領域に接合された金属枠体との間に設けられた前記分割溝に沿って分割されることを特徴とする配線基板の製造方法。
- 請求項2に記載の製造方法により得られた配線基板上に電子部品を備えていることを特徴する電子装置。
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