JP4605945B2 - 多数個取り配線基板、電子装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、広面積の母基板中に各々が半導体素子や水晶振動子等の電子部品を搭載するための小型の配線基板となる多数の配線基板領域を縦横の並びに一体的に配列形成して成る多数個取り配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば半導体素子や水晶振動子等の電子部品を収容するための電子部品収納用パッケージに用いられる小型の配線基板は、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミックスから成る略四角平板状の絶縁基体の上面に電子部品を収容するための凹部が形成されているとともに、この凹部の内側から絶縁基体の下面にかけて複数の配線導体を配設して成る。そして、絶縁基体の凹部の底面に電子部品を搭載固定するとともに電子部品の電極をボンディングワイヤや半田等の電気的接続手段を介して凹部内の配線導体に電気的に接続し、しかる後、絶縁基体の上面に凹部を塞ぐようにして金属やガラス等から成る蓋体やエポキシ樹脂等から成る樹脂製充填材を接合させ、凹部の内部に電子部品を気密に収容することによって製品としての電子装置となる。
【0003】
ところで、このような配線基板は近時の電子装置の小型化の要求に伴い、その大きさが数mm角程度の極めて小さなものとなってきており、多数個の配線基板の取り扱いを容易とするために、また配線基板および電子装置の製作を効率よくするために1枚の広面積の母基板中から多数個の配線基板を同時集約的に得るようになした、いわゆる多数個取り配線基板の形態で製作されている。
【0004】
この多数個取り配線基板は、複数の絶縁層を積層して成る略平板状の母基板の中央部に各々がその上面側に電子部品を収容するための凹部およびこの凹部内から下面にかけて複数の配線導体を有する略四角形の多数の配線基板領域を縦横の並びに一体的に配列形成して成る。そして、例えば各配線基板領域の凹部内に電子部品を収容した後、母基板を各配線基板領域毎に分割することによって多数個の電子装置が同時集約的に製作される。
【0005】
ところで一般的に、このような多数個取り配線基板においては、配線導体が酸化腐食するのを防止するとともに配線導体と電子部品の電極との電気的な接続を良好なものとするために、各配線導体の露出表面には例えば厚みが1〜10μm程度のニッケルめっき層と厚みが0.1〜3μm程度の金めっき層とが電解めっき法により順次被着されている。
【0006】
従来、このような多数個取り配線基板において各配線導体に電解めっき法によりニッケルめっき層や金めっき層を被着させるには、母基板を構成する絶縁層間に隣接する配線導体同士を各配線基板領域の境界を越えて電気的に接続するめっき導通用の複数の接続導体を設けることにより全ての配線導体を電気的に共通に接続しておくとともにこの接続用導体を介して電解めっきのための電荷を供給することによって各配線導体の露出表面に電解めっきを行なう方法が採用されていた。
【0007】
なお、各配線導体同士は各配線基板領域の境界を越えてめっき導通用の接続導体により電気的に接続されていることから、母基板を各配線基板領域毎に分割した後、それぞれが電気的に独立することとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の多数個取り配線基板によると、各配線基板領域の配線導体同士がめっき導通用の接続導体で電気的に共通に接続されていることから、母基板を個々の配線基板領域毎に分割した後でなければ、各配線基板領域の電気的なチェックを行なうことができず、そのため電気的チェックが煩雑となってしまうという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、各配線基板領域を母基板に配列させたままで各配線基板領域の電気チェックを効率良く行なうことが可能な多数個取り配線基板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の多数個取り配線基板は、複数の絶縁層を積層して成る母基板中に、各々が上面側に電子部品を収容するための第1の凹部および前記電子部品の電極が電気的に接続される複数の配線導体を有する多数の配線基板領域を配列形成するとともに前記絶縁層間に前記配線導体同士を前記各配線基板領域の境界を越えて電気的に接続するめっき導通用の複数の接続導体を設けて成る多数個取り配線基板において、前記母基板の上面に前記各接続導体を切断するために前記各接続導体の一部を露出させる第2の凹部を設けるとともに、該第2の凹部が前記各配線基板領域を区切る分割溝に重なるように配置されたことを特徴とするものである。また、本発明の電子装置の製造方法は、本発明の多数個取り配線基板に電子部品を搭載する電子装置の製造方法であって、前記接続導体を介して前記各配線基板領域の前記配線導体にめっき金属層を被着する工程と、前記接続導体の一部が露出した第2の凹部内の前記接続導体の一部を切断し各配線基板領域を電気的に分離する工程と、前記電子部品を収容するための第1の凹部内に電子部品を搭載する工程と、前記電子部品を搭載した後前記母基板を前記分割溝に沿って前記各配線基板領域毎に分割する工程と、を含み、さらに、前記各配線基板領域を電気的に分離した後および前記電子部品を搭載した後の少なくとも一方の時点で前記各配線基板領域を電気チェックする工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の多数個取り配線基板によれば、母基板の上面に各接続導体の一部を露出させる凹部を設けたことから、この多数個取り配線基板の各配線導体にめっき金属層を被着させた後、母基板の上面の凹部内に露出した接続導体の一部を例えばレーザ光を照射して切断することにより、母基板を各配線基板領域毎に分割することなく各配線導体を電気的に独立させることができる。したがって、各配線基板領域を母基板に配列させたままで各配線基板領域の電気チェックを効率良く行なうことが可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の多数個取り配線基板について添付の図面を基に説明する。
【0013】
図1は本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す上面図であり、図2は図1に示す多数個取り配線基板のA−A線における断面図である。図中、1は母基板、2は配線基板領域である。
【0014】
母基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体・ムライト質焼結体・ガラスセラミックス等のセラミックス材料から成る2層の絶縁層1a・1bが積層されて成る略四角形の平板であり、その中央部に多数の配線基板領域2が縦横の並びに配列形成されている。
【0015】
このような母基板1は、セラミックグリーンシート積層法によって製作される。具体的には、絶縁層1a・1b用のセラミックグリーンシートをそれぞれ準備するとともに、これらのセラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施した後に積層し、それを高温で焼成することによって製作される。
【0016】
母基板1の中央部に配列形成された各配線基板領域2は、それぞれが小型の配線基板となる領域であり、それぞれの上面中央部に電子部品を収容するための略四角形の凹部2aを有しており、凹部2aの底面から各配線基板領域2の下面にかけてはタングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成る配線導体3を有している。そして、凹部2a内には半導体素子や水晶振動子等の電子部品が収容されるとともに、配線導体3には電子部品の各電極が例えばボンディングワイヤや半田バンプ等の電気的接続手段を介して電気的に接続され、しかる後、各配線基板領域2の上面に蓋体や樹脂充填材を電子部品を覆うようにして接合することによって電子部品が封止される。
【0017】
なお、このような凹部2aは、絶縁層1b用のセラミックグリーンシートに凹部2a用の略四角形の貫通孔を打ち抜いておくことによって形成され、配線導体3は、絶縁層1a用のセラミックグリーンシートに配線導体3用のメタライズペーストを所定のパターンに印刷塗布しておくことによって形成される。
【0018】
また、各配線基板領域2に形成された各配線導体3同士は、各配線基板領域2の境界を越えて延在するめっき導通用の接続導体4によって互いに電気的に接続されており、この接続用導体4を介して電解めっきのための電荷を供給することにより各配線導体3の表面にめっき金属層を被着することが可能となっている。
【0019】
このような接続導体4は、タングステンやモリブデン・銅・銀等の金属粉末メタライズから成り、絶縁層1a用のセラミックグリーンシートに接続導体4用のメタライズペーストを所定のパターンに印刷塗布しておくことによって形成される。
【0020】
さらに、母基板1の外周部には、その絶縁層1a・1b間に接続導体4が電気的に接続された略四角枠状のめっき導通用の共通導体5が形成されており、さらにその側面にはめっき導通用の共通導体5が電気的に接続された端子導体6が被着されている。
【0021】
これらのめっき導通用の共通導体5および端子導体6は、タングステンやモリブデン・銀・銅等の金属粉末メタライズから成り、各配線基板領域2の配線導体3に接続導体4を介して電解めっきのための電荷を供給するための供給路の一部として機能する。そして、母基板1を電解めっき液中に浸漬するとともに端子導体6からめっき導通用の共通導体5および接続導体4を介して各配線基板領域2の配線導体3に電解めっきのための電荷を供給することにより、各配線基板領域2の配線導体3の露出表面にニッケルめっき層や金めっき層等のめっき金属層が被着される。このようなめっき導通用の共通導体5および端子導体6は絶縁層1a・1b用のセラミックグリーンシートに共通導体5用および端子電極6用のメタライズペーストを所定のパターンに印刷塗布しておくことによって形成される。
【0022】
さらに、母基板1の上面には、めっき導通用の接続導体4の一部を露出させる複数の凹部2bが設けられている。これらの凹部2bは、各配線導体3にめっき金属層を被着させた後にその接続導体4の一部を例えばレーザ光により切断するための窓として機能し、この凹部2b内に露出した接続導体4の一部を各配線導体3にめっき金属層を被着させた後にレーザ光により切断することによって、各配線導体3が電気的に独立される。そして、その状態で電気チェックを行なうと、母基板1を各配線基板領域2毎に分割することなく、各配線基板領域2の電気チェックを行なうことができる。したがって、本発明の多数個取り配線基板によれば、各配線基板領域2を母基板1に配列形成させたままの状態で各配線基板領域2の電気チェックを極めて効率良く行なうことができる。
【0023】
このような凹部2bは、絶縁層1b用のセラミックグリーンシートに凹部2b用の貫通孔を打ち抜いておくことによって形成される。この凹部2bを設ける位置は、例えば図1に示すように各配線基板基板領域2を区切る分割溝7に重なるような配置、あるいは分割線7の近傍に位置するような配置としておくとよい。凹部2bを分割線7に重なるようにあるいは分割線7の近傍に配置することにより、各配線基板領域2の境界を越えて設けられる接続導体4の一部を、その一部を切断することによって各配線基板領域2毎に分離し独立させることができるようにして凹部2b内に露出させることが容易となる。
【0024】
また、特に凹部2bを分割溝7に重なるような位置に設けると、分割時に凹部2bがクラックの発生源になって分割不良が発生するようなことがなく各配線基板領域2を分割線7に沿って容易にかつ確実に分割することができるとともに、分割後の各配線基板の上面に蓋体を接合する面積を十分確保できるものとなり、信頼性の高い電子装置が得られる点で有利となる。
【0025】
なお、凹部2bの位置や形状・大きさ等は、図1に示す例に限定されるものではなく、この内部に接続導体4の一部を露出させ、その一部を切断することによって各配線基板領域2毎に分離し独立させることができるように形成すれば、その位置や形状・大きさ等については特に制限はなく、配線基板や電子装置の仕様に応じて適切な位置・形状・大きさに設ければよい。
【0026】
さらに、母基板1の上下面には、各配線基板領域2を区切る分割溝7が縦横に形成されており、各配線基板領域2の凹部2a内に電子部品を収容した後、母基板1を分割溝7に沿って分割することにより、多数の電子装置が同時集約的に製造される。分割溝7は、その断面形状が略V字状であり、母基板1の厚さや材質などにより異なるが、その深さが0.05〜1.5mm程度、その開口幅が0.01〜0.3mm程度である。このような分割溝7は、絶縁層1a・1b用のセラミックグリーンシートを積層した後、この積層体の上下面にカッター刃や金型により切り込みを入れておくことによって形成される。
【0027】
かくして、本発明の多数個取り配線基板によれば、母基板1をニッケルめっきや金めっきのための電解めっき液中に浸漬するとともに、端子導体6から共通導体5および接続導体4を介して各配線基板領域2の配線導体3に電解めっきのための電荷を供給することによって各配線基板領域2の配線導体3に電解めっきによるめっき金属層を略均一な厚みに被着させ、しかる後、凹部2bから露出した接続導体4の一部をレーザ光により切断して各配線導体3を電気的に独立させた後および/またはさらに各配線基板領域2の凹部2a内に電子部品を搭載固定するとともにこの電子部品の電極と配線導体3とを電気的に接続した後に各配線基板領域2の電気チェックを行ない、最後に各配線基板領域2の上に金属やセラミックスから成る蓋体やエポキシ樹脂等から成る樹脂製充填材を接合するとともに母基板1を分割溝7に沿って分割することにより、多数個の電子装置が同時集約的に製作される。
【0028】
なお、本発明は上述の実施の形態の一例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々の変更は可能である。例えば、上述の実施の形態の一例では母基板1は2層の絶縁層1a・1bを積層して形成されていたが、母基板1は3層以上の絶縁層を積層することにより形成されていてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明の多数個取り配線基板によれば、母基板の上面に各接続導体の一部を露出させる凹部を設けたことから、この多数個取り配線基板の各配線導体にめっき金属層を被着させた後、母基板の上面の凹部内に露出した接続導体の一部を例えばレーザ光を照射して切断することにより、母基板を各配線基板領域毎に分割することなく各配線導体を電気的に独立させることができる。したがって、各配線基板領域を母基板に配列したままで各配線基板領域の電気チェックを極めて効率良く行なうことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多数個取り配線基板の実施の形態の一例を示す上面図である。
【図2】図1に示した多数個取り配線基板のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・母基板
2・・・・・・・配線基板領域
2a・・・・・・電子部品を収容するための凹部
2b・・・・・・接続導体4を露出させるための凹部
3・・・・・・・配線導体
4・・・・・・・接続導体
Claims (2)
- 複数の絶縁層を積層して成る母基板中に、各々が上面側に電子部品を収容するための第1の凹部および前記電子部品の電極が電気的に接続される複数の配線導体を有する多数の配線基板領域を配列形成するとともに前記絶縁層間に前記配線導体同士を前記各配線基板領域の境界を越えて電気的に接続するめっき導通用の複数の接続導体を設けて成る多数個取り配線基板において、前記母基板の上面に前記各接続導体を切断するために前記各接続導体の一部を露出させる第2の凹部を設けるとともに、該第2の凹部が前記各配線基板領域を区切る分割溝に重なるように配置されたことを特徴とする多数個取り配線基板。
- 請求項1に記載の多数個取り配線基板に電子部品を搭載する電子装置の製造方法であって、前記接続導体を介して前記各配線基板領域の前記配線導体にめっき金属層を被着する工程と、前記接続導体の一部が露出した第2の凹部内の前記接続導体の一部を切断し各配線基板領域を電気的に分離する工程と、前記電子部品を収容するための第1の凹部内に電子部品を搭載する工程と、前記電子部品を搭載した後前記母基板を前記分割溝に沿って前記各配線基板領域毎に分割する工程と、を含み、さらに、前記各配線基板領域を電気的に分離した後および前記電子部品を搭載した後の少なくとも一方の時点で前記各配線基板領域を電気チェックする工程と、を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
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