JP3838776B2 - トイレ装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温水洗浄便座を有するトイレ装置において、空調手段を備えてなるトイレ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、特公昭６１−３８９７４号公報（特開昭５８−２６９４１号公報）や実開昭５８−１５５５２３号公報に開示されているように、トイレ装置に空調手段を設けたものは知られている。その空調手段において、凝縮器が便器の洗浄水を貯めるタンクの水と熱交換するようにしたものや、タンク中の高温になった洗浄水を便器に排出するようにしたものが開示されている。
【０００３】
また、実開昭６１−１０２６７３号公報には、トイレ室への人の出入りを赤外線検出器で検出し、その出力によって空調手段を自動的にオン・オフ制御することが開示されている。
【０００４】
なお、温水洗浄便座を備えたトイレ装置において空調手段を設けるための技術手段に関する従来技術を開示したものは見当たらない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トイレ室全体を常時空調するものは消費エネルギーが大きく、また高温になった水を排出してしまうので水の消費量も大となり、トイレの使用時間に比してエネルギーコスト及び水の消費量が大きくなるという問題があり、またトイレ室への人の出入りを赤外線検出器で検出して空調手段をオン・オフするものでは赤外線検出器の配置構成及び空調手段の制御部との接続にコストがかかり、コスト高になるという問題があった。
【０００６】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、トイレ装置に空調手段を設けるについて人体を検出して空調手段を運転制御することによりエネルギーコストの低廉化を図るとともに、人体検知手段の配置接続構成の低コスト化を図ったトイレ装置を提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
請求項１記載の発明は、トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成したことを特徴とする。
【００１０】
上記構成によれば、トイレ室に使用者が入ってきた空調手段が運転を開始する前に洗浄水を交換して低温の洗浄水を用いることにより空調効率を向上することができる。
【００１１】
請求項２記載の発明は、トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段と、便器を水洗する洗浄水の水温を検出する手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水温度が設定範囲内のときはそのまま空調手段が運転され、洗浄水温度が設定範囲外のときは洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成したことを特徴とする。この発明によれば、洗浄水を無駄に流すことなく、空調効率を向上することができる。
【００１２】
請求項３記載の発明は、トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段と、便器を水洗する洗浄水の水温を検出する手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出した場合は洗浄水を便器に流した後空調手段を運転開始又は運転継続し、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出していない場合は洗浄水を便器に流さず、空調手段の運転を休止するようにしたことを特徴とする。この発明によれば、空調手段を常時運転してトイレ室を空調する場合に、人体を検知した場合にも洗浄水の水温に応じて洗浄水を交換することにより無駄に洗浄水を流してしまうことがなく、人がいない場合は洗浄水の水温に応じて空調手段を運転制御することにより洗浄水を無駄にせずかつ効率的に空調手段を運転することができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトイレ装置の一実施形態について、図１〜図４を参照して説明する。
【００１４】
図１において、３は便器１（図３参照）上に設置された温水洗浄便座、４はその本体部である。本実施形態の温水洗浄便座３ではその本体部４に便器の洗浄水を収容するロータンクと呼ばれる洗浄水タンク８や洗浄ノズルに供給する温水を収容する温水洗浄タンクが一体的に内蔵されている。本体部４の上部には、本体部４に内蔵して又はその上部に別体で空調手段１３が配設されている。なお、何れの配設状態でも、冷房運転時に凝縮器として機能する第１熱交換器１４は洗浄水タンク８に浸漬して配設されている。３１は温水洗浄便座３のリモコンで、図２に示すように、トイレ室３０の入口３０ａと対向する壁面に配設され、このリモコン３１には人体３３を検出する赤外線センサ３２が配設されている。これによって、使用者が入口３０ａのドア３０ｂを開けてトイレ室３０に入ろうとした時に、いち早く人体３３を検出できるように成されている。
【００１５】
図３において、温水洗浄便座３は、便座５とその上を覆う便蓋６を備え、それぞれ便器１上に設置された水平姿勢と本体部４前面に沿うように立てた起立姿勢との間で上下回動可能に構成されている。更に、便蓋６は赤外線センサ３２にて人体を検出したときに自動的に開くように構成されている。２は便器１の便槽、７は便槽２内の後部に出退可能に配設された洗浄ノズルである。
【００１６】
温水洗浄便座３の本体部４内の下部には、洗浄水タンク８が配設され、その底面に便器１内に向けて洗浄水を排出する排水弁９が設けられている。この排水弁９は本体部４の上部一側外面に配設された排水コック１０を操作することによって開弁するように連動手段１１と連結されている。
【００１７】
洗浄水タンク８の側部には比較的小容量の温水洗浄タンク１２が配設されている。この温水洗浄タンク１２内にはヒータ（図示せず）と温度検出器（図示せず）が配設されて収容されている洗浄水を４０℃程度の一定温度に加熱・保温し、所要時にこの洗浄水をポンプ（図示せず）にて洗浄ノズル７に向けて圧送するように構成されている。
【００１８】
空調手段１３は、上記のように冷房時に凝縮器となる第１熱交換器１４が洗浄水タンク８内に浸漬配置され、洗浄水タンク８の上部にはキャピラリチューブなどから成る膨張弁１５、その上部に冷房時に蒸発器となる第２熱交換器１６と圧縮機１７が配設され、これらが冷媒配管１８にて順次接続されている。第２熱交換器１６は上端部が本体部４の上端部前面に配設された送風口２０に接続された風洞１９内に配設されており、送風口２０の背部には送風ファン２１が配設されている。
【００１９】
なお、空気吸込口（図示せず）は本体部４の両側面や背面側に形成され、脱臭フィルタ（図示せず）が配設されている。また、第２熱交換器１６の下部にはドレイン受け２２が配設され、溜まったドレインを洗浄水タンク８内に排出する排水パイプ２３が設けられている。
【００２０】
空調手段１３の圧縮機１７及び送風ファン２１などのその他の付属機器は、図１に示すように、制御部２４にて運転制御され、制御部２４には赤外線センサ３２からの検出信号が入力されている。
【００２１】
次に、以上の構成の空調手段１３を有するトイレ装置の動作について、図４のフローチャートを参照して説明する。使用者がトイレ室３０に入ろうとして、図２に示すように入口３０ａのドア３０ｂを開けると、入口３０ａに対向する壁面に設置されたリモコン３１に設けられた赤外線センサ３２が人体３３から発する熱線を感知する。この赤外線センサ３２による人体３３の検出信号によって、便蓋６が開くとともに、制御部２４が洗浄水タンク８の洗浄水を排水して低温の洗浄水と交換した後直ちに空調手段１３を運転開始する。そして、数１０秒後には第２熱交換器１６において空調エアとの熱交換が可能な状態となって送風口２０から空調されたエアが吹き出される。かくして、使用者が便器１上の温水洗浄便座３上に座ったり、便器１の前に立って用便をする頃には使用者に対して送風口２０から空調エアが吹き出し、快適に用便することができる。また、上記のように空調手段１３の運転開始前に洗浄水を交換することによって空調手段１３の冷房効率が高く、効果的に冷房することができる。
【００２２】
また、特に本実施形態では本体部４の前面上端部の送風口２０から便座５に座っている使用者の首筋を中心にして頭部から背中にわたって空調されたエアが吹き出すように構成されており、夏期の冷房運転の場合は冷風が、冬期の暖房運転の場合は温風が首筋を中心にして当たることによって快適に用便することができる。
【００２３】
その後、用便が済んで使用者がトイレ室３０から出ると、赤外線センサ３２による人体検知がオフされ、空調手段１３の作動が直ちに停止する。このように使用者が必要とするときにのみ空調手段１３が作動し、しかも最も必要とする部分に対して部分空調するので、空調手段１３を低廉なランニングコストで運転しながら使用者に対して効果的に空調することができる。特に、温水洗浄便座３の本体部４内に空調手段１３を配設し、本体部４の前面上端部の送風口２０から空調エアを吹き出すようにすると、コンパクトな構成で使用者に対して効果的に冷房、又は暖房することができる。また、赤外線センサ３２を温水洗浄便座３のリモコン３１に設けたことにより制御部品や接続構成の共用化を図れるため人体検知手段の配置接続構成の低コスト化を図ることができるとともに、配置位置等の自由度が高くなる。
【００２４】
以上の説明では送風口２０から使用者の首筋を中心にして頭部から背中にわたって空調エアが吹き出すように構成した例を示したが、必要に応じて送風口２０からの送風方向を、首筋を向く方向とトイレ室全体に向かう方向とに切替え可能に構成し、制御部２４にタイマを設けて、便座５上に人が座ったことを検知してから一定時間は首筋に向けて空調エアを吹き出し、その後トイレ室全体に向かう方向に吹き出すようにしたり、断続的に交互に吹き出すようにすることができ、そうすると空調エアが長時間吹き付けられて不快に感じるようなことを無くすことができる。
【００２５】
上記第１実施形態では、トイレ室３０に入る使用者を検出すると空調手段１３を運転する例を示したが、次にトイレ室３０を常時空調する場合の第２実施形態について、図１、図５を参照して説明する。
【００２６】
本実施形態では、図１に示すように、制御部２４に赤外線センサ３２の検出信号だけでなく、洗浄水タンク８に水温センサ２５を配設してこの水温センサ２５からの検出信号も入力されている。
【００２７】
本実施形態のトイレ装置における動作について、図５のフローチャートを参照して説明する。トイレ室３０に入ろうとする使用者を赤外線センサ３２が検知したか否かを判別し、使用者がいない場合は水温センサ２５からの検出信号を参照して洗浄水温度が例えば４０℃以下の所定温度範囲に対して範囲外であるか否かを判定し、所定範囲内である場合は空調手段１３の運転を継続する。一方、４０℃以上で所定温度範囲外となった場合には空調手段１３の運転を停止する。使用者がいない間は、洗浄水温度が低下するまで空調手段１３の停止を継続するとともに、所定温度範囲内になると運転を開始するという動作を繰り返す。
【００２８】
その状態で使用者がトイレ室３０に入ろうとすると、リモコン３１に設けられた赤外線センサ３２が人体３３から発する熱線を感知する。この赤外線センサ３２により人体３３を検出すると、次に水温センサ２５からの検出信号にて洗浄水温度を検出し、洗浄水温度が例えば４０℃以下の所定温度範囲に対して範囲外であるか否かを判定し、所定範囲内である場合はそのまま空調手段１３の運転を開始又は継続し、所定範囲外である場合は制御部２４が洗浄水タンク８の洗浄水を排水して低温の洗浄水と交換した後直ちに空調手段１３の運転を開始又は継続する。かくして、第２熱交換器１６において空調エアが熱交換されて送風口２０から空調されたエアが吹き出される。
【００２９】
本実施形態によれば、空調手段１３を常時運転してトイレ室３０を空調する場合に、人体を検出しない場合は洗浄水の水温に応じて空調手段１３を運転制御することにより洗浄水を無駄にせずかつ効率的に空調手段を運転することができ、人体３３を検知した場合には必ず空調手段１３を運転するため快適に用便することができるとともに、洗浄水の水温に応じて洗浄水を交換することにより無駄に洗浄水を流してしまうこともない。
【００３０】
なお、上記第１実施形態ではトレイ室３０に人が入ってくると、必ず洗浄水タンク８の洗浄水を交換して空調手段１３を作動させるようにしたが、第２実施形態と同様に洗浄水タンク８に水温センサ２５を設けて洗浄水タンク８内の洗浄水温度が所定の範囲内か否かを判定し、範囲外のときのみ洗浄水を交換し、範囲内のときは洗浄水を交換せずに空調手段１３を作動させるようにしてもよい。
【００３１】
また、以上の実施形態では、温水洗浄便座３のリモコン３１に人体を検出する赤外線センサ３２を配設した例を示したが、図６に示す第３実施形態のように、温水洗浄便座３の本体部４に赤外線センサ３２を配設してもよい。この場合、温水洗浄便座３の本体部４に一体化できてコンパクトに構成できる。さらに、その赤外線センサ３２を人体３３が近接したときにのみ検出信号を出力するものを用いると、便座５に使用者が座ったときのみ空調手段１３を強運転するように制御することもできる。さらに、上記第１実施形態と複合してリモコン３１に設けた赤外線センサ３２から検出信号が出力された状態ではトイレ室３０全体を空調するように運転状態を変えるようにしてもよい。
【００３２】
また、上記実施形態では温水洗浄便座３の本体部４内に洗浄水タンク８を内蔵したロータンク一体型温水洗浄便座３を用いた例を示したが、温水洗浄便座とロータンクが別体の場合にロータンク上に空調手段１３を配設してもよい。
【００３３】
さらに、上記実施形態では空調手段１３を温水洗浄便座３の本体部４内に一体に又はその上部に配設した例や、ロータンクの上部に配設した例を示したが、図７に示す第４実施形態のように、トイレ室３０の壁面に少なくとも膨張弁１５と第２熱交換器１６と送風ファン２１を配設した送風ユニット３５を配設し、圧縮機１７と第１の熱交換器１４を、温水洗浄便座３の本体部４内や本体部４の上部やロータンクの上部に配設してもよい。
【００３４】
【発明の効果】
本発明のトイレ装置によれば、以上の説明から明らかなように、人体を検出して空調手段を運転制御することにより常時運転する場合に比してエネルギーコストの低廉化を図ることができる。
【００３７】
そして請求項１記載の発明は、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成しているので、トイレ室に使用者が入ってきた空調手段が運転を開始する前に洗浄水を交換して低温の洗浄水を用いることにより熱効率を向上することができる。
【００３８】
また請求項２記載の発明は、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水温度が設定範囲内のときはそのまま空調手段が運転され、洗浄水温度が設定範囲外のときは洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成しているので、洗浄水を無駄に流すことなく、熱効率を向上することができる。
【００３９】
また請求項３記載の発明は、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出した場合は洗浄水を便器に流した後空調手段を運転開始又は運転継続し、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出していない場合は洗浄水を便器に流さず、空調手段の運転を休止するように構成しているので、空調手段を常時運転してトイレ室を空調する場合に、人体を検知した場合にも洗浄水の水温に応じて洗浄水を交換することにより無駄に洗浄水を流してしまうことがなく、人がいない場合は洗浄水の水温に応じて空調手段を運転制御することにより洗浄水を無駄にせずかつ効率的に空調手段を運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のトイレ装置の第１実施形態の概略構成図である。
【図２】同実施形態の全体概略平面図である。
【図３】同実施形態の便座と温水洗浄便座の一部破断斜視図である。
【図４】同実施形態の空調手段の制御部の制御フローチャートである。
【図５】本発明のトイレ装置の第２実施形態における空調手段の制御部の制御フローチャートである。
【図６】本発明のトイレ装置の第３実施形態の概略構成図である。
【図７】本発明のトイレ装置の第４実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
１ 便器
３ 温水洗浄便座
４ 本体部
８ 洗浄水タンク
１３ 空調手段
１４ 第１熱交換器
１５ 膨張弁
１６ 第２熱交換器
１７ 圧縮機
２０ 送風口
２１ 送風ファン
２４ 制御部
２５ 水温センサ
３０ トイレ室
３１ リモコン
３２ 赤外線センサ（人体検出手段）
【発明の属する技術分野】
本発明は、温水洗浄便座を有するトイレ装置において、空調手段を備えてなるトイレ装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から、特公昭６１−３８９７４号公報（特開昭５８−２６９４１号公報）や実開昭５８−１５５５２３号公報に開示されているように、トイレ装置に空調手段を設けたものは知られている。その空調手段において、凝縮器が便器の洗浄水を貯めるタンクの水と熱交換するようにしたものや、タンク中の高温になった洗浄水を便器に排出するようにしたものが開示されている。
【０００３】
また、実開昭６１−１０２６７３号公報には、トイレ室への人の出入りを赤外線検出器で検出し、その出力によって空調手段を自動的にオン・オフ制御することが開示されている。
【０００４】
なお、温水洗浄便座を備えたトイレ装置において空調手段を設けるための技術手段に関する従来技術を開示したものは見当たらない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トイレ室全体を常時空調するものは消費エネルギーが大きく、また高温になった水を排出してしまうので水の消費量も大となり、トイレの使用時間に比してエネルギーコスト及び水の消費量が大きくなるという問題があり、またトイレ室への人の出入りを赤外線検出器で検出して空調手段をオン・オフするものでは赤外線検出器の配置構成及び空調手段の制御部との接続にコストがかかり、コスト高になるという問題があった。
【０００６】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、トイレ装置に空調手段を設けるについて人体を検出して空調手段を運転制御することによりエネルギーコストの低廉化を図るとともに、人体検知手段の配置接続構成の低コスト化を図ったトイレ装置を提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
請求項１記載の発明は、トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成したことを特徴とする。
【００１０】
上記構成によれば、トイレ室に使用者が入ってきた空調手段が運転を開始する前に洗浄水を交換して低温の洗浄水を用いることにより空調効率を向上することができる。
【００１１】
請求項２記載の発明は、トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段と、便器を水洗する洗浄水の水温を検出する手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水温度が設定範囲内のときはそのまま空調手段が運転され、洗浄水温度が設定範囲外のときは洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成したことを特徴とする。この発明によれば、洗浄水を無駄に流すことなく、空調効率を向上することができる。
【００１２】
請求項３記載の発明は、トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段と、便器を水洗する洗浄水の水温を検出する手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出した場合は洗浄水を便器に流した後空調手段を運転開始又は運転継続し、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出していない場合は洗浄水を便器に流さず、空調手段の運転を休止するようにしたことを特徴とする。この発明によれば、空調手段を常時運転してトイレ室を空調する場合に、人体を検知した場合にも洗浄水の水温に応じて洗浄水を交換することにより無駄に洗浄水を流してしまうことがなく、人がいない場合は洗浄水の水温に応じて空調手段を運転制御することにより洗浄水を無駄にせずかつ効率的に空調手段を運転することができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトイレ装置の一実施形態について、図１〜図４を参照して説明する。
【００１４】
図１において、３は便器１（図３参照）上に設置された温水洗浄便座、４はその本体部である。本実施形態の温水洗浄便座３ではその本体部４に便器の洗浄水を収容するロータンクと呼ばれる洗浄水タンク８や洗浄ノズルに供給する温水を収容する温水洗浄タンクが一体的に内蔵されている。本体部４の上部には、本体部４に内蔵して又はその上部に別体で空調手段１３が配設されている。なお、何れの配設状態でも、冷房運転時に凝縮器として機能する第１熱交換器１４は洗浄水タンク８に浸漬して配設されている。３１は温水洗浄便座３のリモコンで、図２に示すように、トイレ室３０の入口３０ａと対向する壁面に配設され、このリモコン３１には人体３３を検出する赤外線センサ３２が配設されている。これによって、使用者が入口３０ａのドア３０ｂを開けてトイレ室３０に入ろうとした時に、いち早く人体３３を検出できるように成されている。
【００１５】
図３において、温水洗浄便座３は、便座５とその上を覆う便蓋６を備え、それぞれ便器１上に設置された水平姿勢と本体部４前面に沿うように立てた起立姿勢との間で上下回動可能に構成されている。更に、便蓋６は赤外線センサ３２にて人体を検出したときに自動的に開くように構成されている。２は便器１の便槽、７は便槽２内の後部に出退可能に配設された洗浄ノズルである。
【００１６】
温水洗浄便座３の本体部４内の下部には、洗浄水タンク８が配設され、その底面に便器１内に向けて洗浄水を排出する排水弁９が設けられている。この排水弁９は本体部４の上部一側外面に配設された排水コック１０を操作することによって開弁するように連動手段１１と連結されている。
【００１７】
洗浄水タンク８の側部には比較的小容量の温水洗浄タンク１２が配設されている。この温水洗浄タンク１２内にはヒータ（図示せず）と温度検出器（図示せず）が配設されて収容されている洗浄水を４０℃程度の一定温度に加熱・保温し、所要時にこの洗浄水をポンプ（図示せず）にて洗浄ノズル７に向けて圧送するように構成されている。
【００１８】
空調手段１３は、上記のように冷房時に凝縮器となる第１熱交換器１４が洗浄水タンク８内に浸漬配置され、洗浄水タンク８の上部にはキャピラリチューブなどから成る膨張弁１５、その上部に冷房時に蒸発器となる第２熱交換器１６と圧縮機１７が配設され、これらが冷媒配管１８にて順次接続されている。第２熱交換器１６は上端部が本体部４の上端部前面に配設された送風口２０に接続された風洞１９内に配設されており、送風口２０の背部には送風ファン２１が配設されている。
【００１９】
なお、空気吸込口（図示せず）は本体部４の両側面や背面側に形成され、脱臭フィルタ（図示せず）が配設されている。また、第２熱交換器１６の下部にはドレイン受け２２が配設され、溜まったドレインを洗浄水タンク８内に排出する排水パイプ２３が設けられている。
【００２０】
空調手段１３の圧縮機１７及び送風ファン２１などのその他の付属機器は、図１に示すように、制御部２４にて運転制御され、制御部２４には赤外線センサ３２からの検出信号が入力されている。
【００２１】
次に、以上の構成の空調手段１３を有するトイレ装置の動作について、図４のフローチャートを参照して説明する。使用者がトイレ室３０に入ろうとして、図２に示すように入口３０ａのドア３０ｂを開けると、入口３０ａに対向する壁面に設置されたリモコン３１に設けられた赤外線センサ３２が人体３３から発する熱線を感知する。この赤外線センサ３２による人体３３の検出信号によって、便蓋６が開くとともに、制御部２４が洗浄水タンク８の洗浄水を排水して低温の洗浄水と交換した後直ちに空調手段１３を運転開始する。そして、数１０秒後には第２熱交換器１６において空調エアとの熱交換が可能な状態となって送風口２０から空調されたエアが吹き出される。かくして、使用者が便器１上の温水洗浄便座３上に座ったり、便器１の前に立って用便をする頃には使用者に対して送風口２０から空調エアが吹き出し、快適に用便することができる。また、上記のように空調手段１３の運転開始前に洗浄水を交換することによって空調手段１３の冷房効率が高く、効果的に冷房することができる。
【００２２】
また、特に本実施形態では本体部４の前面上端部の送風口２０から便座５に座っている使用者の首筋を中心にして頭部から背中にわたって空調されたエアが吹き出すように構成されており、夏期の冷房運転の場合は冷風が、冬期の暖房運転の場合は温風が首筋を中心にして当たることによって快適に用便することができる。
【００２３】
その後、用便が済んで使用者がトイレ室３０から出ると、赤外線センサ３２による人体検知がオフされ、空調手段１３の作動が直ちに停止する。このように使用者が必要とするときにのみ空調手段１３が作動し、しかも最も必要とする部分に対して部分空調するので、空調手段１３を低廉なランニングコストで運転しながら使用者に対して効果的に空調することができる。特に、温水洗浄便座３の本体部４内に空調手段１３を配設し、本体部４の前面上端部の送風口２０から空調エアを吹き出すようにすると、コンパクトな構成で使用者に対して効果的に冷房、又は暖房することができる。また、赤外線センサ３２を温水洗浄便座３のリモコン３１に設けたことにより制御部品や接続構成の共用化を図れるため人体検知手段の配置接続構成の低コスト化を図ることができるとともに、配置位置等の自由度が高くなる。
【００２４】
以上の説明では送風口２０から使用者の首筋を中心にして頭部から背中にわたって空調エアが吹き出すように構成した例を示したが、必要に応じて送風口２０からの送風方向を、首筋を向く方向とトイレ室全体に向かう方向とに切替え可能に構成し、制御部２４にタイマを設けて、便座５上に人が座ったことを検知してから一定時間は首筋に向けて空調エアを吹き出し、その後トイレ室全体に向かう方向に吹き出すようにしたり、断続的に交互に吹き出すようにすることができ、そうすると空調エアが長時間吹き付けられて不快に感じるようなことを無くすことができる。
【００２５】
上記第１実施形態では、トイレ室３０に入る使用者を検出すると空調手段１３を運転する例を示したが、次にトイレ室３０を常時空調する場合の第２実施形態について、図１、図５を参照して説明する。
【００２６】
本実施形態では、図１に示すように、制御部２４に赤外線センサ３２の検出信号だけでなく、洗浄水タンク８に水温センサ２５を配設してこの水温センサ２５からの検出信号も入力されている。
【００２７】
本実施形態のトイレ装置における動作について、図５のフローチャートを参照して説明する。トイレ室３０に入ろうとする使用者を赤外線センサ３２が検知したか否かを判別し、使用者がいない場合は水温センサ２５からの検出信号を参照して洗浄水温度が例えば４０℃以下の所定温度範囲に対して範囲外であるか否かを判定し、所定範囲内である場合は空調手段１３の運転を継続する。一方、４０℃以上で所定温度範囲外となった場合には空調手段１３の運転を停止する。使用者がいない間は、洗浄水温度が低下するまで空調手段１３の停止を継続するとともに、所定温度範囲内になると運転を開始するという動作を繰り返す。
【００２８】
その状態で使用者がトイレ室３０に入ろうとすると、リモコン３１に設けられた赤外線センサ３２が人体３３から発する熱線を感知する。この赤外線センサ３２により人体３３を検出すると、次に水温センサ２５からの検出信号にて洗浄水温度を検出し、洗浄水温度が例えば４０℃以下の所定温度範囲に対して範囲外であるか否かを判定し、所定範囲内である場合はそのまま空調手段１３の運転を開始又は継続し、所定範囲外である場合は制御部２４が洗浄水タンク８の洗浄水を排水して低温の洗浄水と交換した後直ちに空調手段１３の運転を開始又は継続する。かくして、第２熱交換器１６において空調エアが熱交換されて送風口２０から空調されたエアが吹き出される。
【００２９】
本実施形態によれば、空調手段１３を常時運転してトイレ室３０を空調する場合に、人体を検出しない場合は洗浄水の水温に応じて空調手段１３を運転制御することにより洗浄水を無駄にせずかつ効率的に空調手段を運転することができ、人体３３を検知した場合には必ず空調手段１３を運転するため快適に用便することができるとともに、洗浄水の水温に応じて洗浄水を交換することにより無駄に洗浄水を流してしまうこともない。
【００３０】
なお、上記第１実施形態ではトレイ室３０に人が入ってくると、必ず洗浄水タンク８の洗浄水を交換して空調手段１３を作動させるようにしたが、第２実施形態と同様に洗浄水タンク８に水温センサ２５を設けて洗浄水タンク８内の洗浄水温度が所定の範囲内か否かを判定し、範囲外のときのみ洗浄水を交換し、範囲内のときは洗浄水を交換せずに空調手段１３を作動させるようにしてもよい。
【００３１】
また、以上の実施形態では、温水洗浄便座３のリモコン３１に人体を検出する赤外線センサ３２を配設した例を示したが、図６に示す第３実施形態のように、温水洗浄便座３の本体部４に赤外線センサ３２を配設してもよい。この場合、温水洗浄便座３の本体部４に一体化できてコンパクトに構成できる。さらに、その赤外線センサ３２を人体３３が近接したときにのみ検出信号を出力するものを用いると、便座５に使用者が座ったときのみ空調手段１３を強運転するように制御することもできる。さらに、上記第１実施形態と複合してリモコン３１に設けた赤外線センサ３２から検出信号が出力された状態ではトイレ室３０全体を空調するように運転状態を変えるようにしてもよい。
【００３２】
また、上記実施形態では温水洗浄便座３の本体部４内に洗浄水タンク８を内蔵したロータンク一体型温水洗浄便座３を用いた例を示したが、温水洗浄便座とロータンクが別体の場合にロータンク上に空調手段１３を配設してもよい。
【００３３】
さらに、上記実施形態では空調手段１３を温水洗浄便座３の本体部４内に一体に又はその上部に配設した例や、ロータンクの上部に配設した例を示したが、図７に示す第４実施形態のように、トイレ室３０の壁面に少なくとも膨張弁１５と第２熱交換器１６と送風ファン２１を配設した送風ユニット３５を配設し、圧縮機１７と第１の熱交換器１４を、温水洗浄便座３の本体部４内や本体部４の上部やロータンクの上部に配設してもよい。
【００３４】
【発明の効果】
本発明のトイレ装置によれば、以上の説明から明らかなように、人体を検出して空調手段を運転制御することにより常時運転する場合に比してエネルギーコストの低廉化を図ることができる。
【００３７】
そして請求項１記載の発明は、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成しているので、トイレ室に使用者が入ってきた空調手段が運転を開始する前に洗浄水を交換して低温の洗浄水を用いることにより熱効率を向上することができる。
【００３８】
また請求項２記載の発明は、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水温度が設定範囲内のときはそのまま空調手段が運転され、洗浄水温度が設定範囲外のときは洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成しているので、洗浄水を無駄に流すことなく、熱効率を向上することができる。
【００３９】
また請求項３記載の発明は、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出した場合は洗浄水を便器に流した後空調手段を運転開始又は運転継続し、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出していない場合は洗浄水を便器に流さず、空調手段の運転を休止するように構成しているので、空調手段を常時運転してトイレ室を空調する場合に、人体を検知した場合にも洗浄水の水温に応じて洗浄水を交換することにより無駄に洗浄水を流してしまうことがなく、人がいない場合は洗浄水の水温に応じて空調手段を運転制御することにより洗浄水を無駄にせずかつ効率的に空調手段を運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のトイレ装置の第１実施形態の概略構成図である。
【図２】同実施形態の全体概略平面図である。
【図３】同実施形態の便座と温水洗浄便座の一部破断斜視図である。
【図４】同実施形態の空調手段の制御部の制御フローチャートである。
【図５】本発明のトイレ装置の第２実施形態における空調手段の制御部の制御フローチャートである。
【図６】本発明のトイレ装置の第３実施形態の概略構成図である。
【図７】本発明のトイレ装置の第４実施形態の斜視図である。
【符号の説明】
１ 便器
３ 温水洗浄便座
４ 本体部
８ 洗浄水タンク
１３ 空調手段
１４ 第１熱交換器
１５ 膨張弁
１６ 第２熱交換器
１７ 圧縮機
２０ 送風口
２１ 送風ファン
２４ 制御部
２５ 水温センサ
３０ トイレ室
３１ リモコン
３２ 赤外線センサ（人体検出手段）
Claims (3)
- トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成したことを特徴とするトイレ装置。
- トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段と、便器を水洗する洗浄水の水温を検出する手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、人体検出手段が人体を検出した場合に洗浄水温度が設定範囲内のときはそのまま空調手段が運転され、洗浄水温度が設定範囲外のときは洗浄水を便器に流した後空調手段が運転されるように構成したことを特徴とするトイレ装置。
- トイレ室内を空調する空調手段と、トイレ室内に入ってきた人体を検出する人体検出手段と、人体検出手段からの出力によって空調手段の運転を制御する制御手段と、便器を水洗する洗浄水の水温を検出する手段とを備え、空調手段は、圧縮機と、便器を水洗する洗浄水と熱交換する第１熱交換器と、膨張弁と、空調エアと熱交換する第２熱交換器と、空調エアの送風手段とを備え、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出した場合は洗浄水を便器に流した後空調手段を運転開始又は運転継続し、洗浄水温度が設定範囲外でかつ人体検出手段が人体を検出していない場合は洗浄水を便器に流さず、空調手段の運転を休止するようにしたことを特徴とするトイレ装置。
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