JP2004293869A - 熱回収型換気システム - Google Patents
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Abstract
【課題】非居室の排気の熱回収を行うに際し、熱回収の要否を確実に判断することができる熱回収型換気システムを提供すること。
【解決手段】排気を屋外に排出する排気通路10と、室内に給気する給気通路12と、排気通路10を流れる排気の熱を回収して給気通路に導く熱交換器30と、を備え、排気通路10は、浴室暖房乾燥機38を備えた浴室からの排気が導かれるように構成されている熱回収型換気システム。浴室暖房乾燥機38の使用状態に基づいて冬季を判定する冬季判定手段と、浴室の温度状態が所定温暖状態であるかを検知する温暖検知手段100と、が設けられ、冬季判定手段により冬季と判定され、且つ温暖検知手段100により所定温暖状態であることが検知されると、熱回収モードになって浴室からの排気の熱が回収される。
【選択図】 図1
【解決手段】排気を屋外に排出する排気通路10と、室内に給気する給気通路12と、排気通路10を流れる排気の熱を回収して給気通路に導く熱交換器30と、を備え、排気通路10は、浴室暖房乾燥機38を備えた浴室からの排気が導かれるように構成されている熱回収型換気システム。浴室暖房乾燥機38の使用状態に基づいて冬季を判定する冬季判定手段と、浴室の温度状態が所定温暖状態であるかを検知する温暖検知手段100と、が設けられ、冬季判定手段により冬季と判定され、且つ温暖検知手段100により所定温暖状態であることが検知されると、熱回収モードになって浴室からの排気の熱が回収される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱回収型換気システム、特に、非居室から排出される排気の熱を回収する熱回収型換気システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、家庭のリビングやダイニングなどの居室では、冬季は暖房が多用されているが、換気を行うと、居室からの排気と共に居室の熱が屋外に放出されてしまい、居室の温度が低下して暖房効率が低下する。この不都合を防止するため、居室用の換気システムとして、排気の熱を回収するようにした熱回収型の換気システムが採用されるようになっている。
【0003】
この熱回収型換気システムは、居室からの排気を屋外に排出する排気通路と、屋外の新鮮な外気を居室に給気する給気通路と、排気通路の排気の熱を回収して給気通路に導く熱伝導手段とを備えている。この熱回収型換気システムでは、居室を換気すると、居室からの排気が排気通路を通して屋外に排出され、屋外の空気が吸気通路を通して居室に送給され、熱伝導手段は排気の熱を給気に伝導し、排気の熱で暖められた給気が居室に供給される。これによって、居室の温度低下が抑制され、暖房効率の向上を図ることができる。
【0004】
一方、浴室、脱衣室やトイレなどの非居室では、普段は暖房を行わないから、非居室からの排気を上述した熱回収型換気システムを通して熱回収を行っても回収される熱量が少なく、システム運転に必要なエネルギーを考慮すると、熱回収を行わない方が全体的なエネルギー効率が良好なものとなる。
【0005】
このようなことから、この熱回収型換気システムを非居室にも適用するためには、排気通路で熱回収を行う場合と熱回収を行わない場合の2つのモードに切り換える必要がある。特に、浴室では、通常冬場のみ浴室暖房乾燥機などで浴室を暖房したり、給湯やシャワーなどで暖めたりするものの、夏場は暖房されず、熱回収を行うとすれば冬季限定となることから、熱回収を行うかどうかを随時判断する必要が生じる。
【0006】
このような要望を満足するために、2モード(熱回収モード及び非回収モード)に切換可能な熱回収型換気システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この熱回収型換気システムでは、室外と屋内の温度差でもって熱伝導手段で熱回収を行うか否かを決定するように構成されている。
【0007】
また、換気するのに季節を判断するようにした空調換気装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この空調換気装置では、外光照度から日照時間を計測し、日照時間に基づいて季節を判断している。
【0008】
【特許文献1】
特公昭62−14744号公報
【特許文献2】
特開平8−5114号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の換気システムでは、外気温度と屋内温度との温度差により熱回収モードと非回収モードを判断しており、それ故に、この熱回収を判断する外気温度と屋内温度を検知するセンサの配設位置に大きな影響を受け、これらの配設位置が異なると温度差が大きく変化し、設置される建築物ごとに適切な温度差設定を行う必要がある。更に、熱回収モード及び非回収モードの切換えの精度を向上させるためには、外気温度と屋内温度との正確な温度差が必要となり、この場合、年間を通した屋内、屋外の温度データが必要となる。
【0010】
また、特許文献2の換気装置では、上述したように、外光照度から日照時間を計測して季節を判断しており、それ故に、外光照度による日照時間の計測は、センサの設置位置、天候などの影響を大きく受け、更に地域差もあり、センサの設置位置ごとに通年の日照時間データが必要となる。
【0011】
尚、ユーザーが手動操作で熱回収するかどうかを切り換えるようにすることも可能であるが、この場合、ユーザーが冬季かどうかを判断することになる。ところが、熱回収型換気システムは、一般にかなり複雑な機能をもつシステムであることから、ユーザーには、システムに関するかなりの理解度が要求され、どのタイミングで切り換えを行うべきか判断が難しく、ユーザーの切換え忘れが発生するおそれが高いという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、非居室の排気の熱回収を行うに際し、熱回収の要否を確実に判断することができる熱回収型換気システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の熱回収型換気システムは、室内の排気を屋外に排出する排気通路と、屋外から室内に給気する給気通路と、前記排気通路を流れる排気の熱を回収して前記給気通路に導く熱伝導手段と、を備え、前記排気通路は、暖房機を備えた非居室からの排気が導かれるように構成され、更に、前記非居室からの排気の熱を前記熱伝導手段で回収する熱回収モードとこの排気の熱を回収しない非回収モードとに切り換えるためのモード切換手段と、前記モード切換手段を制御する制御手段とが設けられている熱回収型換気システムであって、
前記非居室の前記暖房機の使用状態に基づいて冬季を判定する冬季判定手段と、前記非居室の温度状態が所定温暖状態であるかを検知する温暖検知手段と、が設けられており、
前記制御手段は、前記冬季判定手段により冬季と判定され、且つ前記温暖検知手段により前記非居室の温度状態が前記所定温暖状態であることが検知されたときに、前記モード切換手段を制御して前記非回収モードから前記熱回収モードに切り換えることを特徴とする。
【0014】
この熱回収型換気システムにおいては、冬季判定手段は浴室やトイレなどの非居室の暖房機の使用状態に基づいて冬季かを判定し、また温暖検知手段は非居室の温度状態により所定温暖状態であるかを検知する。冬季判定手段により冬季と判定され、且つ温暖検知手段が所定温暖状態であると検知すると、制御手段はモード切換手段を制御し、非居室からの排気の熱を熱伝導手段で回収しない非回収モードからこの排気の熱を回収する熱回収モードに切り換わる。これによって、非居室から排気通路を通して排出される排気の熱が、熱伝導手段の作用によって、給気通路を通して室内に導かれる給気に伝達され、暖められた給気が室内に導かれ、かくして、排気の熱を回収して室内の暖房効率を高めることができる。このように、冬季に非居室が暖まって所定温暖状態になってはじめて熱回収モードに切り換えられるため、非居室の換気を行う場合、熱回収の要否を確実に判断することができる。
【0015】
特に、非居室が浴室である場合、その他の非居室に比較し空気が十分に暖められるため、この空気の熱を回収することによって、省エネルギーに大きな寄与を果たす。
【0016】
尚、非居室の温度状態が所定温暖状態であるとは、非居室が暖房機で暖められた場合の他、暖房機などの暖房を行わずに暖められた場合を含む。非居室を暖房していなくても、冬季と判定し、且つ所定温暖状態であると検知したときには、排気の熱を回収した方が省エネルギー性が増すからである。特に、非居室が浴室である場合、浴室暖房機で浴室内が暖められ、またシャワーや湯張りなどによって浴室内が暖められ、これらによって所定温暖状態になることを含んでいる。
【0017】
また、暖房機とは、非居室を暖房するための暖房機や、非居室が浴室である場合に浴室内を暖房、換気、乾燥するための浴室暖房乾燥機などであり、この浴室暖房乾燥機である場合、それ自体が換気機能をも有しているので、この熱回収型換気システムの浴室ユニットとして簡単に且つ容易に適用することができる。また、浴室暖房乾燥機である場合、浴室暖房運転だけでなく、換気と温風吹出しを同時に行って浴室の乾燥を行う乾燥運転のときにも排気の熱を回収することによって、更に省エネルギー性を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項2に記載の熱回収型換気システムは、請求項1において、前記制御手段は、前記熱回収モードの状態において前記温暖検知手段により前記非居室の温度状態が所定温暖状態でないと検知されたときに、前記モード切換手段を制御して前記熱回収モードから前記非回収モードに切り換えることを特徴とする。
【0019】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室が所定温暖状態でなくなると、熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。換気により非居室から排気していくと、非居室の温度が次第に低下していくために、熱回収はある程度で停止する必要がある。熱回収モードの状態において、温暖検知手段により非居室の温度状態が所定温暖状態でないと検知されると、熱回収モードから非回収モードに切り換わり、これによって、熱回収が過度に行われて、居室への供給空気の温度が不必要に低下して居室の快適性が損なわれる不都合が防止される。特に、非居室が浴室である場合、温度低下の抑制による快適性の維持効果が顕著なものとなる。
【0020】
本発明の請求項3に記載の熱回収型換気システムは、請求項1又は2において、前記冬季判定手段は、前記非居室の前記暖房機が所定日数連続して運転されたときに冬季であると判定するとともに、前記暖房機が所定日数連続して運転されなかったときに冬季でないと判定することを特徴とする。
【0021】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室の暖房機の稼働状況によって季節の変化を検知し、冬季判定手段はこの稼働状況によって冬季を判定する。外気が寒くなると、暖房機の使用が次第に多くなることから、全く使用しない状態から使用日数が次第に増え、連続して使用するようになり、所定日数連続して使用することは、外気が寒くなったということであり、このように所定日数連続使用すると、冬季と判定する。一方、外気が暖かくなると、暖房機の使用が次第に少なくなることから、連続して暖房使用する状態から暖房機の使用が次第に減少し、連続して使用しなくなり、所定日数連続して暖房機を使用しないということは、外気が暖かくなったということであり、このように所定日数連続不使用であると、冬季が終了したと判定する。尚、連続使用、連続不使用に加えて、暖房の使用時間や温度設定など稼働状況をも考慮するようにしてもよく、これらも考慮することによって、冬季をより正確に判定することができる。
【0022】
排気の熱を回収するのは冬季だけであり、非居室が浴室である場合、浴室の暖房の使用状況でもって季節の判断を行う。浴室の暖房は外気が寒くなってきたときに行うことから、冬季を判定する際の目安となる。暖房機の使用頻度が多くなってきたことを判断して冬季と判定すれば、仮に夏場に操作ミスをして暖房機を稼働させても、その使用頻度が高くならず、冬季を間違いなく判定することができる。
【0023】
また、冬季でないことの判定の条件も、使用頻度を考慮したものとする。例えば、タイマなどで期間を設定して冬期間運転モードとすることも可能であるが、冬の期間は毎年変化するので、このように期間設定するのは適切でなく、暖房する、暖房しないという暖房機の実使用に沿って冬季を判定する方がより適切に判定することができる。
【0024】
本発明の請求項4の熱回収型換気システムは、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記温暖検知手段は、前記非居室の前記暖房機による温暖状態が所定温暖状態に達したかを検知することを特徴とする。
【0025】
この熱回収型換気システムにおいては、温暖検知手段として暖房機に装備された検知手段が利用され、この検知手段により非居室の所定温暖状態を検知することによって、比較的簡単な構成で所定温暖状態を検知することができる。
【0026】
本発明の請求項5に記載の熱回収型換気システムは、請求項4において、前記温暖検知手段は、前記非居室の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基づいて温暖状態を判定する温暖判定手段とを含み、前記温暖判定手段は、前記温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を超えたときに前記所定温暖状態に達したと判定し、また前記温度検知手段の検知温度が設定下限温度よりも低下したときに前記所定温暖状態でないと判定することを特徴とする。
【0027】
この熱回収型換気システムにおいては、温暖状態を検知する手段として、暖房機に装備された温度検知手段が利用され、この温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を越えたときに所定温暖状態と判定され、熱回収が行われる。また、この温度検知手段の検知温度が設定下限温度(熱回収を行う下限温度)よりも低くなると、所定温暖状態でないと判定され、効率的な熱回収ができないとして、熱回収が停止する。暖房機には温度検知手段が装備されているため、暖房機の温度検知手段を利用することで新たな温度検知手段の追加を必要とせず、温度検知手段についてのコストアップをなしにすることができる。
【0028】
この設定下限温度は、例えば、非居室の暖房開始時の温度とすることができ、非居室の暖房を行う前の定常温度とするのが望ましい。この場合、設定下限温度値はできるだけ外気空気温度近くなるが、外気空気温度よりも幾分高い方が、熱回収効率を低下させずに熱回収モードを切り換えることができる。
【0029】
非居室の空気温度は暖房開始時の居室の状態により居室の空気温度を反映していないことがある。非居室が浴室である場合、暖房開始時が浴槽のお湯張り後であったとき、浴室の温度は外気よりも著しく高くなっている。従って、暖房開始時の非居室の温度を設定下限温度にすると、浴室の熱を十分に回収しないうちに熱回収モードから非回収モードに切り換わってしまう。これを防止するために、非居室の温度をモニターしておき、暖房機運転開始時から所定時間さかのぼったときの定常温度を設定下限温度に設定するとか、或いはこの定常温度に数度(deg)加えた温度を設定下限温度に設定するのが望ましく、このようにすることによって、非居室が外気に近い温度になるまで排気の熱回収を行うことができ、より多くの熱エネルギーの回収が可能となる。
【0030】
尚、熱回収モードから非回収モードへ切り換える設定下限温度は、浴室温度を検知する浴室温度検知手段の検知温度を利用してもよく、この場合、暖房運転開始時の浴室温度検知手段の検知温度を用いてもよいし、暖房開始時から所定時間さかのぼったときの定常状態における浴室温度検知手段の検知温度(即ち、浴室定常温度)を用いるようにしてもよい。前者の場合、浴槽への給湯やシャワーの散水後に暖房開始を行うときと、それらの前に暖房運転を開始するときとでと設定下限温度が変わってくる可能性があるが、後者の場合、浴室が温められていない温度を用いるので、上述したような不都合が生じることが少なくなる。
【0031】
本発明の請求項6に記載の熱回収型換気システムでは、請求項4において、前記温暖検知手段は、更に、前記非居室の温度変化率を検知する温度変化率演算手段と、前記温度変化率演算手段により演算された温度変化率に基づいて温暖状態を判定する第2温暖判定手段とを含み、前記第2温暖判定手段は、前記温度変化率演算手段により演算された温度変化率が所定増加変化率値よりも小さくなると前記所定温暖状態に達したと判定し、前記温度変化率が所定下降変化率値よりも小さくなると所定温暖状態から外れたと判定することを特徴とする。
【0032】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室の温度変化率も用いて所定温暖状態であるかの判定が行われる。非居室が暖房されて室温が上昇するときには、暖房開始時には温度上昇率が大きいが、室温が温められるとその温度上昇率が小さくなる。このような温度増加変化率の変化を利用し、温度増加変化率が小さくなったことを検知して、非居室が充分に暖められて温暖状態にあると判定し、非回収モードから熱回収モードに切り換えられる。また、非居室が換気されて室温が下がるときには、換気開始時には温度下降率が大きいが、換気時間が長くなるとその温度下降率が小さくなる。このような温度下降変化率の変化を利用し、温度下降変化率が小さくなったことを検知して、非居室の温度が低下して温暖状態でないと判定し、熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。
【0033】
所定温暖状態を検知するのに所定暖房温度のように一定のしきい値を用いる場合、建築の特性によってそのしきい値を超えないことが生じるおそれがある。従って、到達温度付近に達していることを非居室の暖房機の温度検知手段を用いて検知し、非居室の温度増加変化率が小さくなったときに非回収モードから熱回収モードに切り換える。
【0034】
非居室が浴室である場合、浴室に適用する暖房機として、浴室の温度が上昇してくるとその放熱器の放熱効率が変化するタイプのものがある。暖房時の浴室の温度上昇値(到達値)は、浴室の熱負荷(浴室を単位温度上昇させるのに必要な熱量で、浴室の熱容量と放熱量のバランスから決定される)によることになるが、到達温度付近での放熱器の放熱効率の変化は一定の挙動を示す。従って、この形態の暖房機では、放熱効率の変化率をモニターすることで、建築の特性によらずに浴室が充分に暖まっているのかを検知することができる。
【0035】
本発明の請求項7に記載の熱回収型換気システムは、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記排気通路には、暖房機が設置された複数の非居室からの排気が導かれるように構成され、前記冬季判定手段は、前記複数の非居室の前記暖房機のうちいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行うことを特徴とする。
【0036】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室の暖房機の使用頻度は、そのユーザーの生活習慣や建物の特性により変わり、複数の非居室の各々の暖房機のいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行い、この判定結果を利用して熱回収の要否を行うので、熱回収の要否の判断が確実なものとなる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う熱回収型換気システムの実施形態について説明する。
第1の実施形態
まず、図1〜図6を参照して、第1の実施形態の熱回収型換気システムについて説明する。図1は、第1の実施形態の熱回収型換気システムを簡略的に示す図であり、図2は、図1の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図3は、図1の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートであり、図4は、図2の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートであり、図5は、図2の制御系において、冬季判定手段による冬季判定の流れを示すフローチャートであり、図6は、図2の制御系において、設定下限温度の設定の流れを示すフローチャートである。
【0038】
図1及び図2において、図示の熱回収型換気システムは、住人の居る時間が長い居室2(例えば、リビング、ダイニングなど)内の空気を屋外4に換気するための換気装置本体6を備え、この換気装置本体6の装置ハウジング8内に、居室2内の空気を屋外4に排気するための排気通路10と、屋外4の空気を居室4内に給気するための給気通路12が設けられている。排気通路10の吸入側には第1排気ダクト14が接続され、その排出側には第2排気ダクト16が接続されている。また、給気通路12の吸入側には第1給気ダクト18が接続され、その排出側には第2給気ダクト20が接続されている。
【0039】
この実施形態では、排気通路10の下流側部には換気ファン22が配設され、この換気ファン22は換気用モータ24によって所定方向に回転駆動される。また、給気通路12の上流側部には給気ファン26が配設され、この給気ファン26は給気用モータ28によって所定方向に回転駆動される。更に、排気流路10から給気流路12にわたって換気用熱交換器30が設けられている。熱交換器30は、排気の熱を給気に伝導するための熱伝導手段を構成する。
【0040】
居室2を換気するときには、換気用モータ24及び給気用モータ28が作動し、換気ファン22の作用によって、居室2内の空気が第1排気ダクト14、装置ハウジング8の排気通路10及び第2排気ダクト16を通して矢印32で示すように屋外4に排出されるとともに、給気ファン26の作用によって、屋外4の空気が第1給気ダクト18、装置ハウジング8の給気通路12及び第2給気ダクト20を通して居室2内に供給される。このとき、排気通路10を流れる排気と給気通路12を流れる給気との間で熱交換が行われ、この熱交換により排気の熱が回収されて給気が暖められ、暖められた給気が居室2に供給される。
【0041】
この第1の形態では、非居室である浴室36内を換気する際、換気する空気が換気装置本体6の排気通路10に導かれるように構成されている。浴室36には、暖房するための暖房機である浴室暖房乾燥機38が取り付けられている。浴室暖房乾燥機38は、循環用モータによって回動される循環ファン(いずれも図示せず)、換気用モータ40によって回転される換気ファン41及び暖房用熱交換器42を備えており、暖房用熱交換器42が供給ライン44及び戻りライン46を介して熱源機48に接続されている。
【0042】
浴室を暖房するときには熱源機48及び循環用モータが作動され、熱源機48にて生成された温水が供給ライン44、熱源機48及び戻りライン46を通して循環されるとともに、循環ファンの作用によって浴室36内の空気が暖房用熱交換器42の周囲を通して循環され、熱交換器42において温水と空気との間で熱交換されて空気が暖められ、この暖められた空気が吹出し口50から吹き出すことによって、浴室36内が暖房される。また、換気のときには換気用モータ40が作動され、換気用ファン40の作用によって、浴室36内の空気が後述する如くして屋外4に排出される。
【0043】
浴室暖房乾燥機38と換気装置本体6との間には、中間接続部材52と第1及び第2接続ダクト54,56が設けられている。中間接続部材52は中空箱状であり、浴室暖房乾燥機38の背面側に取り付けられ、浴室暖房乾燥機38の排気部58が中空接続部材52に接続されている。第1接続ダクト54は、中間接続部材52及び換気装置本体6の一端部側(図1において左端部側)に設けられ、中間接続部材52内と装置ハウジング8の排気通路10の上流側部とを連通し、第2接続ダクト56は、中間接続部材52及び換気装置本体6の他端部側(図1において右端部側)に設けられ、中間接続部材52内と装置ハウジング8の排気通路10の下流側部とを連通する。
【0044】
この形態では、浴室暖房乾燥機38の排気部58には第1ダンパ60が設けられ、第1接続ダクト54には第2ダンパ62が設けられ、また第2接続ダクト56には第3ダンパ64が設けられている。第1(又は第2、第3)ダンパ60(又は62,64)にはダンパモータなどから構成される第1(又は第2、第3)駆動源66(又は68,70)が設けられ、第1(又は第2、第3)駆動源66によって、第1(又は第2、第3)ダンパ60(又は62,64)が開閉される。第1ダンパ60は、実線で示す開状態のときに浴室暖房乾燥機38の排気部58を開放し、二点鎖線で示す閉状態のときにこの排気部58を閉塞する。第2ダンパ62は、実線で示す開状態のときに第1接続ダクト54を開放し、二点鎖線で示す閉状態のときに第1接続ダクト54を閉塞する。また、第3ダンパ64は、実線で示す開状態のときに第2接続ダクト56を開放し、二点鎖線で示す閉状態のときに第2接続ダクト56を閉塞する。
【0045】
尚、図1から理解される如く、第1接続ダクト54を流れる空気は排気通路10の上流側部に送給されるので、換気用熱交換器30の周囲を流れて排気されるので、この換気用熱交換器30にて給気通路12を流れる給気との間で熱交換が行われる。一方、第2接続ダクト56を流れる空気は排気通路10の下流側部に送給されるので、換気用熱交換器30をバイパスして排気され、給気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることはない。
【0046】
主として図2を参照して、この換気システムは、居室2などに設置されるリモコン72によって運転される。リモコン72は運転スイッチ74、停止スイッチ76及び運転モード設定手段としての運転モードスイッチ78を備えている。運転スイッチ74は換気システムを運転するためのスイッチであり、停止スイッチ76は換気システムの運転を停止するためのスイッチであり、また運転モードスイッチ78は運転モードを設定するためのスイッチであり、この実施形態では、浴室36内の空気を排気する際に熱回収を行う熱回収運転モードと、熱回収を行わない非熱回収運転モードとに設定することができ、熱回収運転モードにおいては、浴室36から排出される排気の熱回収が後述するように行われる。
【0047】
第1〜第3ダンパ60〜64などは、例えばマイクロコンピュータなどから構成されるコントローラ80によって制御される。図示のコントローラ80は、制御手段82、モード切換手段84、冬季判定手段86、温暖判定手段88、利用回数演算手段90、温度変化率演算手段92及び第2温暖判定手段94を含んでいる。制御手段82は第1〜第3駆動源66,68,70などを後述する如く制御し、モード切換手段84は、熱を回収する熱回収モードと熱の回収を行わない非回収モードとに切り換え、制御手段82がモード切換手段84の切換えを制御する。また、冬季判定手段86は後述する如くして冬季を判定し、温暖判定手段88は後述するようにして所定温暖状態であることを判定する。利用回数演算手段90は浴室暖房乾燥機38の利用の回数を後述するように演算する。
【0048】
コントローラ80は、更に、計時手段96及びメモリ98を含んでいる。計時手段96は時刻を計時し、メモリ98には、所定温暖状態と判定する設定暖房温度、熱回収モードから非回収モードに切り換わる設定下限温度、浴室36内を暖房したと判定する暖房判定温度、浴室暖房乾燥機38を利用した利用回数などが記憶される。
【0049】
この実施形態では、浴室36の温暖状態を検知するための温暖検知手段が設けられ、この温暖検知手段は浴室36内の温度を検知する浴室温度検知センサ100を含み、この浴室温度検知センサ100及びコントローラ80の温暖判定手段88が温暖検知手段を構成する。この実施形態では、浴室暖房乾燥機100に装備された室温検知センサが浴室温度検知センサ100として機能し、このように構成することによって専用の温度検知センサを省略することができるが、浴室36内の温度を検知する専用の温度検知センサを設けるようにしてもよい。
【0050】
次に、図1及び図2とともに図3〜図6を参照して、上述した換気システムによる浴室36の換気運転について説明する。運転モードスイッチ78により熱回収運転モードを設定した場合において、リモコン72の運転スイッチ74を操作すると、浴室36の換気は次のようにして行われる。運転スイッチ74を操作して浴室36の換気を行うと(ステップS1)、制御手段82は第1駆動源66を作動して第1ダンパ60を閉状態から開状態にし(ステップS2)、浴室暖房乾燥機38の排出部58が開放される。尚、浴室36の換気は、浴室暖房乾燥機38の換気用モータ40が作動して換気ファン41が回動され、この換気ファン41の作用により行われる。
【0051】
次に、排気の熱を回収するのに充分な温暖状態であるかが判定される(ステップS3)。即ち、浴室温度検知センサ100の検知信号がコントローラ80に送られ、温暖判定手段88はこの浴室温度センサ100の検知温度に基づいて判定を行い、検知温度が設定暖房温度、例えば25℃を超えると浴室36内が所定温暖状態であると判定し、このように判定すると、ステップS3からステップS4に進むが、所定温暖状態でないと判定すると、ステップS3からステップS9に移る。
【0052】
次いで、季節が冬季であるかの判定が行われる(ステップS4)。利用回数演算手段90は、浴室暖房乾燥機38の利用回数を図4に示すフローチャートに沿って演算し、冬季判定手段88は、利用回数演算手段90により演算された利用回数に基づいて図5に示すフローチャートに沿って冬季か否かの判定を行い、冬季判定手段88が冬季と判定するとステップS5に進むが、冬季でないと判定するとステップS9に移る。
【0053】
図4を参照して、利用回収演算手段90による利用回数の演算について説明すると、浴室暖房乾燥機38が浴室暖房運転される(ステップS11)と、その暖房運転が12時間以内の運転か否かが判断され(ステップS12)、暖房運転終了から12時間以内の運転であると、一日において複数回の暖房運転が行われたと判断し、利用回数演算手段90は現在の利用回数をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS13)、ステップS11に戻る。
【0054】
一方、暖房運転終了から12時間経過後の運転であると、前の暖房運転の運転日と異なる日の暖房運転であると判断し、ステップS14に進む。ステップS14では、浴室36の温度が所定温度、例えば30℃に達したか、換言すると浴室暖房運転により浴室36内が充分に暖房されたかが判断され、浴室温度が所定温度に達すると、ステップS15に進み、この運転日においても暖房運転が遂行されたとして利用回数演算手段90は現在の利用回数に「1」を加算し(利用回数N=n+1)、加算演算された利用回数値がメモリ98に記憶され、暖房運転終了後に浴室暖房乾燥機38が運転停止する(ステップS16)。暖房が使われたかを判断するために30分以上の連続運転の検知でもよい。
【0055】
ステップS14において、浴室温度が所定温度に達しないときには、ステップS17に移り、運転停止かが判断され、運転停止していないときにはステップS14に戻る。一方、運転停止したときにはステップS18に進む。浴室暖房乾燥機38が暖房運転されたが、浴室36内の温度が所定温度に上昇しないということは、浴室暖房乾燥機38が誤操作により暖房運転された可能性が高く、このような場合、利用回数演算手段90は現在の利用回数値をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS18)、浴室暖房乾燥機38の運転が停止する(ステップS19)。利用回数演算手段90は上述したようにして利用回数を演算するので、浴室暖房乾燥機38が暖房運転された日であるか暖房運転されなかった日であるか、即ち暖房運転された日数を正確に演算することできる。
【0056】
図5を参照して、冬季判定手段86による判定の流れについて説明すると、浴室暖房乾燥機38の暖房運転が行われる(ステップS21)と、所定期間、例えば本日を含む過去5日以内に浴室暖房乾燥機38の暖房運転が行われたかが判断され(ステップS22)、この5日以内に暖房運転が行われた場合、ステップS22からステップS23に進むが、5日以内に暖房運転が一度も行われなかった場合、ステップS22からステップS24に移り、浴室暖房利用回数がゼロとなり(N=0)、ステップS26に移る。
【0057】
ステップS23に進むと、浴室暖房乾燥機38の利用回数Nが所定回数、例えば4回以上であるかが判断され、4回以上である、即ち浴室暖房乾燥機38が5日連続して、又は5日間のうち4日暖房運転されると、ステップS25に進み、冬季判定手段86は、外気が寒くて浴室暖房乾燥機38の暖房運転の利用回数が増えたとして冬季であると判定する。一方、浴室暖房乾燥機38の利用回数が所定回数未満(例えば、4回未満)であるときには、ステップS23からステップS26に移る。このようにしてステップS24からステップS26に、又はステップS23からステップS26に移ると、冬季判定手段86は、外気がそれほど寒くなくて浴室暖房乾燥機38を暖房運転の利用回数が少ないとして冬季でないと判定する。
【0058】
ステップS3において浴室36内が所定温暖状態であり、且つステップS4において冬季であると判定されると、ステップS5に進み、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードに制御し、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、この熱回収モード信号に基づいて第2及び第3駆動手段68,70が作用され、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持される。
【0059】
この熱回収モードにおいては、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第1接続ダクト54を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出される。このとき、換気用モータ24は換気ファン22を作動し、排気通路10の空気は矢印32で示す方向に流れるとともに、吸気用モータ28は吸気ファン26を作動し、屋外4の空気は吸気通路12を通して矢印34で示すように居室2に流れる。従って、浴室36からの排気及び居室2からの排気の熱が、熱交換器30の作用によって屋外4からの給気に伝導され、これら排気の熱が給気に回収され、熱交換により温められた給気が居室2に供給され、熱が屋外に無駄に排出されるのを少なくし、居室2の暖房効率を高めることができる。
【0060】
そして、浴室36の換気によりその温度が低下して所定温暖状態でなくなる、即ち設定下限温度(例えば、浴室暖房乾燥機38の暖房運転開始時の浴室温度に設定される)以下になると、ステップS6からステップS7に進み、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードから非回収モードに制御し、モード切換手段84が非回収モード信号を生成し、この非回収モード信号に基づいて第2及び第3駆動手段68,70が作用され、第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられる。
【0061】
この非回収モードにおいては、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出される。このとき、換気ファン22により排気通路10の空気は矢印32で示す方向に流れ、吸気ファン26により屋外4の空気が吸気通路12を通して矢印34で示すように居室2に流れるが、浴室36の排気は排気通路10の熱交換器30をバイパスして流れるので、浴室36の排気と給気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることはない。
【0062】
一方、ステップS3において浴室が温暖状態でないと判定される、又はステップS4において冬季でないと判定されると、ステップS9に進み、制御手段82はモード切換手段84を非回収モードに制御し、上述したと同様に、モード切換手段84からの非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持される。従って、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気は空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0063】
浴室36の上述した換気は、浴室暖房乾燥機38の運転が終了するまで行われ、その運転が終了すると、ステップS8からステップS10に進み、制御手段82は第1駆動源66を作動して第1ダンパ60を閉状態にし、これによって、浴室暖房乾燥機38の排気部58が閉塞される。
【0064】
浴室36の換気は、上述したようにして行われ、冬季で且つ排気が温暖状態にあるときには、その熱の回収が行われる。尚、浴室暖房乾燥機38は浴室36内を乾燥する乾燥運転も行うことが可能であるが、この乾燥運転においても浴室36内の空気が換気運転と同様にして屋外4に排出されるので、換気運転のときと同様に、排気の熱を回収するようにすることができる。
【0065】
この実施形態では、浴室36内の温度が上昇して設定暖房温度を超えたときに温暖状態でありと判定し、また温度が下降して設定下限温度より下がったときに温暖状態でないと判定し、設定下限温度として、浴室暖房乾燥機38の暖房運転開始時の温度を用いているが、暖房運転開始前に浴槽のお湯張りなどを行うと、この設定下限温度が高くなって熱の回収効率が低下するようになり、このような回収効率の低下を防止するために、この設定下限温度を図6に示すようにして設定するのが望ましい。
【0066】
図6において、浴室温度検知センサ100により浴室36内の温度の検知が行われ(ステップS31)、この浴室温度の測定が行われると、現在の測定浴室温度と所定時間(例えば6時間程度の適宜の時間が設定される)前の浴室温度との比較が行われる(ステップS32)。そして、現在の測定浴室温度が所定時間前の浴室温度よりも高いときには、ステップS33からステップS34に進み、低い温度である所定時間前の浴室温度が設定下限温度として設定され、この浴室温度がメモリ98に記憶され、この設定下限温度を用いて熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。一方、現在の測定浴室温度が所定時間前の浴室温度よりも低いときには、ステップS33からステップS35に移り、現在の測定浴室温度が設定下限温度として設定され、現測定浴室温度がメモリ98に記憶され、この測定浴室温度を用いて熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。このようにすることによって、設定下限温度を浴室の定常温度に設定することができ、浴室の換気の際の熱回収を無駄なく効率的に行うことができる。
【0067】
上述した形態では、浴室の温暖状態を設定暖房温度及び設定下限温度を用いて判定しているが、このような判定方法に代えて、又はこのような判定方法と組み合わせて次のようにすることもできる。即ち、浴室36内の温度を検知する浴室温度検知センサ100の検知温度の温度変化率を演算する温度変化率演算手段と、温度変化率演算手段により演算された変化率に基づいて温暖状態であるかを判定する第2温暖判定手段をコントローラ80に含めるようにしてもよい。このように構成した場合、温度変化率演算手段は浴室温度検知センサ100の検知温度に基づいて温度変化率を演算するが、この温度変化率は、温度が上昇するときの温度増加変化率と、温度が下降するときの温度下降変化率とがある。温度が上昇するときの温度増加変化率が大きいということは浴室36内の温度が低く、その温度増加変化率が小さくなるということは浴室36内が暖房されて温められたということであり、第2温暖判定手段は、この温度増加変化率が所定増加変化率値より小さくなると所定温暖状態に達したと判定する。また、温度が下降するときの温度下降変化率が大きいということは浴室36内の温度が高く、その温度増加変化率が小さくなるということは浴室36内の温度が次第に低下するということであり、第2温暖判定手段は、この温度下降変化率が所定下降変化率値より小さくなると所定温暖状態でないと判定する。このようにしても浴室36が温暖状態であるか否かを所要の通りに判定することができる。
【0068】
第2の実施形態
次に、図7〜図9を参照して、熱回収型換気システムの第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図8は、図7の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートであり、図9は、図8の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートである。
尚、以下の実施形態の説明において、第1の実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図7において、この第2の実施形態では、熱源機48の戻り温水の温度変化率を用いて浴室36の温暖状態を判定しており、このことに関連して、コントローラ80Aは、戻り温水温度差演算手段112及び戻り温水温度変化率演算手段114を備えている。また、浴室36の温度を検知する浴室温度検知手段100に加えて、温水温度検知手段116が熱源機48の戻りライン46に配設され、この温水温度検知手段116の検知信号がコントローラ80Aに送給される。戻り温水温度差演算手段116は現時点の戻り温水の温度と所定時間(5〜30秒程度の適宜に時間、例えば10秒程度に設定される)前の戻り温水の温度とを演算し、温水温度変化率演算手段114は、現時点の戻り温水の温度と所定時間前の戻り温水の温度との温度変化率を演算する。第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0070】
次に、図7とともに図8及び図9を参照して、第2の実施形態の換気システムによる浴室36の換気運転について説明する。運転モードスイッチ78により熱回収運転モードを設定した場合において、運転スイッチ74を操作して浴室36の換気を行うと(ステップS41)、第1ダンパ60が開状態になり(ステップS42)、浴室暖房乾燥機38の排出部58が開放される。
【0071】
次に、戻り温水の温度変化率が所定値以下であるかが判断される(ステップS43)。即ち、温水温度検知センサ116の検知信号がコントローラ80Aに送られ、戻り温水温度演算手段112は戻り温水の温度変化率を演算する。浴室36内の温度が上昇して温暖状態になると、熱源機48からの温水の熱が浴室の暖房にあまり消費されなく、戻り温水の温度変化率が小さくなり、このようなことから、戻り温水の温度変化率が小さくなると、温暖状態であると判定する一つの条件が満たされ、ステップS43からステップS44に進むが、この戻り温水の温度変化率が所定値よりも大きいと、浴室36内が温暖状態でないとしてステップS50に移る。
【0072】
次いで、戻り温水の温度が上昇中であるかが判断される(ステップS44)。
即ち、戻り温水温度差演算手段112が戻り温水の温度差を演算し、この演算値が正(プラス)であるかが判断される。戻り温水の温度差が正であるということは、浴室36内が暖房されて温度が上昇中であるということであり、このことから、戻り温水の温度差が正であると、温暖状態であると判定する他の一つの条件が満たされ、ステップS44からステップS45に進むが、この戻り温水の温度差が負(マイナス)であると、ステップS44からステップS50に移る。
【0073】
次に、浴室36内の温度が設定下限温度(例えば、浴室暖房乾燥機38の暖房開始時の浴室温度に設定される)以上であるかが判断される(ステップS45)。浴室温度検知センサ100からの検知信号がコントローラ80Aに送られ、この検知温度が設定下限温度以上であるかが判断される。浴室36が浴室暖房乾燥機38によって暖房されると、浴室温度が設定下限温度よりも上昇して高くなって温暖状態にあるということであり、このようなことから、浴室温度が設定下限温度以上であると、温暖状態であると判定する更に他の一つの条件が満たされ、ステップS45からステップS46に進むが、浴室温度が設定下限温度よりも低いと、ステップS45からステップS50に移る。
【0074】
更に、季節が冬季であるかの判定が行われる(ステップS46)。第2の実施形態では、利用回数演算手段90は、浴室暖房乾燥機38の利用回数を図9に示すフローチャートに沿って演算し、冬季判定手段86は、利用回数演算手段90により演算された利用回数に基づいて第1の実施形態と同様にして冬季か否かの判定を行い、冬季判定手段86が冬季と判定するとステップS47に進むが、冬季でないと判定するとステップS50に移る。
【0075】
図9を参照して、利用回収演算手段90による利用回数の演算について説明すると、浴室暖房乾燥機38が浴室暖房運転される(ステップS61)と、その暖房運転が12時間以内の運転か否かが判断され(ステップS62)、暖房運転終了から12時間以内の運転であると、利用回数演算手段90は現在の利用回数をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS63)、ステップS61に戻る。
【0076】
一方、暖房運転終了から12時間経過後の運転であると、前の暖房運転の運転日と異なる日の暖房運転であると判断し、ステップS64に進む。ステップS64では、温水温度検知センサ116の検知温度が利用され、戻り温水の温度変化率が所定値以下か、換言すると浴室の温度状態が所定の温度状態に達してきたかが判断され、続いてステップS65において、温水温度検知センサ116の検知温度が上昇中である、換言すると、浴室36内を暖房中であるかが判断される。
上記温度変化率が所定値以下で、且つ戻り温水の温度が上昇中であると、ステップS66に進み、この運転日においても暖房運転が遂行されたとして利用回数演算手段90は現在の利用回数に「1」を加算し(利用回数N=n+1)、加算演算された利用回数値がメモリ98に記憶され、暖房運転終了後に浴室暖房乾燥機38が運転停止する(ステップS67)。
【0077】
ステップS64において、戻り温水の温度変化率が所定値より大きいときにはステップS68に移り、またステップS65において戻り温水の温度が下降しているときにもステップS68に移り、運転停止かが判断され、運転停止していないときにはステップS64に戻る。一方、運転停止したときにはステップS69に進む。浴室暖房乾燥機38が暖房運転されたが、戻り温水の温度変化率が所定値以下にならない、又は戻り温水の温度が下降中であるとは、浴室暖房乾燥機38が誤操作などにより暖房運転された可能性が高く、このような場合、利用回数演算手段90は現在の利用回数値をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS69)、浴室暖房乾燥機38の運転が停止する(ステップS70)。このようにして利用回数を演算しても、浴室暖房乾燥機38が暖房運転された日であるか否か、即ち暖房運転された日数を正確に演算することでき、このように演算された利用回数を用いて冬季判定手段86は、上述したと同様にして冬季であるかの判定を行う。
【0078】
ステップS43、ステップS44、ステップS45及びステップS46を経てステップS47に進むと、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードに制御し、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、熱回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持される。
【0079】
この熱回収モードにおいては、第1の実施形態と同様に、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52、第1接続ダクト54、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、浴室36からの排気及び居室2からの排気の熱が、熱交換器30の作用によって屋外4から給気通路12を通して居室2に供給される給気に伝導され、これら排気の熱が給気に回収され、熱が屋外に無駄に排出されるのを少なくし、居室2の暖房効率を高めることができる。
【0080】
そして、浴室36の換気によりその温度が低下して所定温暖状態でなくなる、即ち浴室温度が設定下限温度以下になると、ステップS48からステップS49に進み、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードから非回収モードに制御し、モード切換手段84が非回収モード信号を生成し、この非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられる。
【0081】
この非回収モードにおいては、第1の実施形態と同様に、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、浴室36の排気と給気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることはない。
【0082】
一方、ステップS43において戻り温水の温度変化率が所定値より大きい、ステップS44において戻り温水の温度が上昇中でない、ステップS45において浴室温度が設定下限値より低い、又はステップS46において冬季でないと判定された場合、ステップS50に進み、制御手段82はモード切換手段84を非回収モードに制御し、上述したと同様に、モード切換手段84からの非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持される。従って、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気は空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0083】
浴室36の上述した換気は、浴室暖房乾燥機38の運転が終了するまで行われ、その運転が終了すると、ステップS51からステップS52に進み、第1ダンパ60が閉状態になり、浴室暖房乾燥機38の排気部58が閉塞される。
【0084】
第3の実施形態
次に、図10〜図13を参照して、熱回収型換気システムの第3の実施形態について説明する。図10は、第3の実施形態の熱回収型換気システムを簡略的に示す図であり、図11は、図10の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図12は、図10の熱回収型換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートであり、図13は非居室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートである。
【0085】
図10及び図11において、この第3の実施形態では、非居室として浴室36に加えて第1部屋132及び第2部屋134が設けられ、三つの非居室36,132,134の排気が換気装置本体6の排気通路10を通して屋外4に排出されるように構成されている。そして、このことに関連して、中間接続部材52Bの片側(図10において左側)には、第1部屋132内の空気を換気するための第1換気ダクト136が接続され、この第1換気ダクト136には第4駆動源138によって開閉される第4ダンパ140が設けられている。また、中間接続部材52Bの他側(図10において右側)には、第2部屋134内の空気を換気するための第2換気ダクト142が接続され、この第2換気ダクト142には第5駆動源144によって開閉される第5ダンパ146が設けられている。
【0086】
また、第1部屋132には、その室温を検知するための第1部屋温度検知センサ148が設けられ、第2部屋134には、その室温を検知するための第2部屋温度検知センサ150が設けられ、これら温度検知センサ148,150の検知信号はコントローラ80Bに送給される。第1部屋132及び第2部屋134には、それぞれ、部屋を暖房するための暖房機(図示せず)、例えばエアコン、ストーブなどが設置され、この暖房機によって室内が暖房される。また、リモコン72Bは、運転スイッチ74、停止スイッチ76及び運転モードスイッチ78に加えて、換気設定スイッチ152が設けられている。この換気設定スイッチ152は、換気の行う非居室、即ち第1部屋132及び第2部屋134を設定するためのスイッチであり、第1部屋132(又は第2部屋134)を設定すると第1部屋132(又は第2部屋134)の換気が後述するように行われる。
【0087】
更に、コントローラ80Bは、第1部屋132が温暖状態にあるかを判定する第1部屋温暖判定手段154と、第2部屋134が温暖状態にあるかを判定する第2部屋温暖判定手段156を含んでいる。第1部屋温暖判定手段154は、第1部屋温度検知センサ148の検知温度を利用し、第1部屋132内の温度が第2下限温度以上であると温暖状態であると判定し、また第2部屋温暖判定手段156は、第2部屋温度検知センサ150の検知温度を利用し、第2部屋134内の温度が第3下限温度以上であると温暖状態であると判定する。第3の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0088】
次に、図10及び図11とともに図12を参照して、第3の実施形態の換気システムによる浴室36の換気運転について説明する。浴室36の換気を行うと(ステップS71)、第1ダンパ60が開状態になる(ステップS72)。そして、浴室温度(浴室温度検知センサ100の検知温度)が第1下限温度以上か、即ち浴室36が温暖状態かが判断され(ステップS73)、次いで冬季であるかが判断される(ステップS74)。即ち、浴室温度が第1下限温度以上で温暖判定手段88が温暖状態であると判定し、且つ冬季判定手段86が上述したようにして冬季と判定すると、ステップS73からステップS74を経てステップS75に進むが、ステップS73において浴室温度が第1下限温度よりも低いと判断される、又はステップS74において冬季でないと判定されると、ステップS76に移る。
【0089】
このようにしてステップS75に進むと、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードに制御し、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、この熱回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、浴室36内から換気された空気は、中間接続部材52B及び第1接続ダクト54、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、このとき、浴室36の排気と給気通路12を通して流れる空気とが熱交換器30にて熱交換され、熱回収により温められた空気が居室2に供給される。
【0090】
一方、ステップS73又はステップS74からステップ76に移ると、制御手段82はモード切換手段84を非回収モードに制御し、モード切換手段84からの非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持され、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52B、第2接続ダクト56、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外2に排出され、空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0091】
このような換気状態において、例えば第1部屋132の換気を行うと、ステップS77からステップS78に進み、第4ダンパ140が開状態となり、第1部屋132内の空気が中間接続部材52Bに流れる。尚、第1部屋132の換気を行わないときにはステップS77からステップS79を経てステップS73に戻り、第4ダンパ140は閉状態に保たれる(ステップS79)。
【0092】
第1部屋132の換気が行われると、第1部屋132の室温(第1部屋温度検知センサ148の検知温度)が第2下限温度以上であるか、即ち第1部屋132が温暖状態かが判断され(ステップS80)、この室温が第2下限温度以上であると、ステップS80からステップS81に進み、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、浴室36の排気及び第1部屋132の排気は第1接続ダクト54及び排気通路10を通して屋外2に排出され、浴室36及び第1部屋132の排気の熱回収が上述したように行われる。一方、この室温が第2下限温度より低いと、ステップS80からステップS82に進み、第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられ、浴室36の排気及び第1部屋132の排気は第2接続ダクト56及び排気通路10を通して屋外2に排出され、浴室36及び第1部屋132の排気の熱回収は行われない。
【0093】
このような換気は第1部屋132の換気が終了するまで行われ、この換気が終了すると、ステップS83からステップS84に進み、第4ダンパ140が閉状態となり、第1部屋132の換気が終了する。かくすると、非居室の換気は浴室36のみとなるので、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態になり(ステップS85)、浴室36の排気の熱回収が行われる。
【0094】
上述した制御は浴室6の換気が終了するまで行われ、その換気運転が終了すると、ステップS86からステップS87に進み、第1ダンパ60が閉状態になって浴室暖房乾燥機38の排気部58が閉塞され、浴室36の換気が終了する。
【0095】
次いで、図10及び図11とともに図13を参照して、第3の実施形態の換気システムによる第1部屋132の換気運転について説明する。第1部屋132の換気を行うと(ステップS91)、第4ダンパ140が開状態になる(ステップS92)。そして、第1部屋132の室温が第2下限温度以上かが判断され(ステップS93)、次いで冬季であるかが判断される(ステップS94)。第1部屋132の室度が第2下限温度以上で、且つ冬季であると判定されると、ステップS95に進むが、ステップS93において浴室温度が第1下限温度よりも低いと判断される、又はステップS94において冬季でないと判定されると、ステップS96に移る。
【0096】
ステップS95に進むと、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、この熱回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、第1部屋132内から換気された空気は、中間接続部材52B及び第1接続ダクト54、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、このとき、浴室36の排気と給気通路12を通して流れる空気とが熱交換器30にて熱交換され、熱回収により温められた空気が居室2に供給される。
【0097】
一方、ステップS93又はステップS94からステップ96に移ると、モード切換手段84が非回収モード信号を生成し、この非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持され、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52B、第2接続ダクト56、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外2に排出され、空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0098】
このような第1部屋132の換気状態において、例えば浴室36の換気を行うと、ステップS97からステップS98に進み、第1ダンパ60が開状態となり、浴室36内の空気が中間接続部材52Bに流れる。尚、浴室36の換気を行わないときにはステップS97からステップS99を経てステップS93に戻り、第1ダンパ60は閉状態に保たれる(ステップS99)。
【0099】
浴室36の換気が行われると、浴室温度が第1下限温度以上であるかが判断され(ステップS100)、この浴室温度が第1下限温度以上であると、ステップS100からステップS101に進み、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、第1部屋132の排気及び浴室36の排気は第1接続ダクト54及び排気通路10を通して屋外2に排出され、第1部屋132及び浴室36の排気の熱回収が上述したように行われる。一方、この浴室温度が第1下限温度より低いと、ステップS100からステップS102に進み、第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられ、第1部屋132の排気及び浴室36の排気は第2接続ダクト56及び排気通路10を通して屋外2に排出され、浴室36及び第1部屋132の排気の熱回収は行われない。
【0100】
このような換気は浴室36の換気が終了するまで行われ、この換気が終了すると、ステップS103からステップS104に進み、第1ダンパ60が閉状態となり、浴室36の換気が終了する。かくすると、非居室の換気は第1部屋132のみとなるので、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態になり(ステップS105)、第1部屋132の排気の熱回収が行われる。
【0101】
上述した制御は第1部屋132の換気が終了するまで行われ、その換気運転が終了すると、ステップS106からステップS107に進み、第4ダンパ140が閉状態になって第1換気ダクト136が閉塞され、第1部屋142の換気が終了する。
【0102】
上述した説明では、浴室36を換気する場合、また第1部屋132を換気する場合について説明したが、第2部屋134を換気する場合も、上述したと同様に行われる。また、このような換気システムでは、冬季の判定に用いる暖房機は浴室暖房乾燥機38でもよいが、第1部屋132又は第2部屋134に設置された暖房機などでもよく、非居室に設置される暖房機のいずれかの使用状況を利用して判定することができる。
【0103】
以上、本発明に従う熱回収型換気システムの実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0104】
上述した実施形態では、暖房機として換気機能を有する浴室暖房乾燥機38を用いているが、暖房機として専用の暖房機を用い、この専用暖房機と専用の換気装置とを組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0105】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の熱回収型換気システムによれば、冬季判定手段は非居室の暖房機の使用状態に基づいて冬季かを判定し、また温暖検知手段は非居室の温度状態により所定温暖状態であるかを検知し、冬季判定手段が冬季と判定し、且つ温暖検知手段が所定温暖状態であると検知すると、非回収モードから熱回収モードに切り換わるので、非居室から排気通路を通して排出される排気の熱が、熱伝導手段の作用によって、給気通路を通して室内に導かれる給気に伝達され、暖められた給気が室内に導かれ、かくして、排気の熱を回収して室内の暖房効率を高めることができる。また、冬季に非居室が暖まって所定温暖状態になってはじめて熱回収モードに切り換えられるため、非居室の換気を行う場合、熱回収の要否を確実に判断することができる。
【0106】
また、本発明の請求項2に記載の熱回収型換気システムによれば、非居室が所定温暖状態でなくなると、熱回収モードから非回収モードに切り換えられるので、熱回収が過度に行われて、居室への供給空気の温度が不必要に低下して居室の快適性が損なわれる不都合が防止される。
【0107】
また、本発明の請求項3に記載の熱回収型換気システムによれば、非居室の暖房機の稼働状況によって季節の変化が検知され、暖房機が所定日数連続して運転されると冬季と判定し、所定日数連続して運転されないと冬季でないと判定するので、比較的簡単に且つ確実に冬季であるか否かを判定することができる。
【0108】
また、本発明の請求項4の熱回収型換気システムによれば、温暖検知手段として暖房機に装備された検知手段を利用するので、比較的簡単な構成で所定温暖状態を検知することができる。
【0109】
また、本発明の請求項5に記載の熱回収型換気システムによれば、温暖状態を検知する手段として、暖房機に装備された温度検知手段が利用され、この温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を越えたときに所定温暖状態と判定し、その検知温度が設定下限温度よりも低くなると所定温暖状態でないと判定するので、非居室の排気の熱回収を効率的に行うことができるとともに、新たな温度検知手段の追加を必要とせず、温度検知手段についてのコストアップをなしにすることができる。
【0110】
また、本発明の請求項6に記載の熱回収型換気システムによれば、非居室の室温の温度増加変化率の変化を利用し、温度増加変化率が小さくなったことを検知して、非居室が充分に暖められて温暖状態にあると判定し、また温度下降変化率が小さくなったことを検知して、非居室の温度が低下して温暖状態でないと判定するので、このようにしても非居室の温暖状態を検知することができる。
【0111】
また、本発明の請求項7に記載の熱回収型換気システムによれば、複数の非居室の暖房機のいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行うので、熱回収の要否の判断を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う熱回収型換気システムの第1の実施形態を簡略的に示す図である。
【図2】図1の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図3】図1の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートである。
【図4】図2の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2の制御系において、冬季判定手段による冬季判定の流れを示すフローチャートである。
【図6】図2の制御系において、設定下限温度の設定の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明に従う熱回収型換気システムの第2の実施形態における制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図8】図7の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートである。
【図9】図8の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明に従う熱回収型換気システムの第3の実施形態を簡略的に示す図である。
【図11】図10の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図12】図10の熱回収型換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】非居室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 居室
4 屋外
6 換気装置本体
10 排気通路
12 給気通路
30 換気用熱交換器
36 浴室
38 浴室暖房乾燥機
48 熱源機
52,52B 中間接続部材
60,62,64,140,146 ダンパ
80,80A,80B コントローラ
82 制御手段
84 モード切換手段
86 冬季判定手段
88 温暖判定手段
90 利用回数判定手段
100 浴室温度検知センサ
112 戻り温水温度差演算手段
114 戻り温水温度変化率演算手段
116 温水温度検知センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱回収型換気システム、特に、非居室から排出される排気の熱を回収する熱回収型換気システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、家庭のリビングやダイニングなどの居室では、冬季は暖房が多用されているが、換気を行うと、居室からの排気と共に居室の熱が屋外に放出されてしまい、居室の温度が低下して暖房効率が低下する。この不都合を防止するため、居室用の換気システムとして、排気の熱を回収するようにした熱回収型の換気システムが採用されるようになっている。
【0003】
この熱回収型換気システムは、居室からの排気を屋外に排出する排気通路と、屋外の新鮮な外気を居室に給気する給気通路と、排気通路の排気の熱を回収して給気通路に導く熱伝導手段とを備えている。この熱回収型換気システムでは、居室を換気すると、居室からの排気が排気通路を通して屋外に排出され、屋外の空気が吸気通路を通して居室に送給され、熱伝導手段は排気の熱を給気に伝導し、排気の熱で暖められた給気が居室に供給される。これによって、居室の温度低下が抑制され、暖房効率の向上を図ることができる。
【0004】
一方、浴室、脱衣室やトイレなどの非居室では、普段は暖房を行わないから、非居室からの排気を上述した熱回収型換気システムを通して熱回収を行っても回収される熱量が少なく、システム運転に必要なエネルギーを考慮すると、熱回収を行わない方が全体的なエネルギー効率が良好なものとなる。
【0005】
このようなことから、この熱回収型換気システムを非居室にも適用するためには、排気通路で熱回収を行う場合と熱回収を行わない場合の2つのモードに切り換える必要がある。特に、浴室では、通常冬場のみ浴室暖房乾燥機などで浴室を暖房したり、給湯やシャワーなどで暖めたりするものの、夏場は暖房されず、熱回収を行うとすれば冬季限定となることから、熱回収を行うかどうかを随時判断する必要が生じる。
【0006】
このような要望を満足するために、2モード(熱回収モード及び非回収モード)に切換可能な熱回収型換気システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この熱回収型換気システムでは、室外と屋内の温度差でもって熱伝導手段で熱回収を行うか否かを決定するように構成されている。
【0007】
また、換気するのに季節を判断するようにした空調換気装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この空調換気装置では、外光照度から日照時間を計測し、日照時間に基づいて季節を判断している。
【0008】
【特許文献1】
特公昭62−14744号公報
【特許文献2】
特開平8−5114号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1の換気システムでは、外気温度と屋内温度との温度差により熱回収モードと非回収モードを判断しており、それ故に、この熱回収を判断する外気温度と屋内温度を検知するセンサの配設位置に大きな影響を受け、これらの配設位置が異なると温度差が大きく変化し、設置される建築物ごとに適切な温度差設定を行う必要がある。更に、熱回収モード及び非回収モードの切換えの精度を向上させるためには、外気温度と屋内温度との正確な温度差が必要となり、この場合、年間を通した屋内、屋外の温度データが必要となる。
【0010】
また、特許文献2の換気装置では、上述したように、外光照度から日照時間を計測して季節を判断しており、それ故に、外光照度による日照時間の計測は、センサの設置位置、天候などの影響を大きく受け、更に地域差もあり、センサの設置位置ごとに通年の日照時間データが必要となる。
【0011】
尚、ユーザーが手動操作で熱回収するかどうかを切り換えるようにすることも可能であるが、この場合、ユーザーが冬季かどうかを判断することになる。ところが、熱回収型換気システムは、一般にかなり複雑な機能をもつシステムであることから、ユーザーには、システムに関するかなりの理解度が要求され、どのタイミングで切り換えを行うべきか判断が難しく、ユーザーの切換え忘れが発生するおそれが高いという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、非居室の排気の熱回収を行うに際し、熱回収の要否を確実に判断することができる熱回収型換気システムを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の熱回収型換気システムは、室内の排気を屋外に排出する排気通路と、屋外から室内に給気する給気通路と、前記排気通路を流れる排気の熱を回収して前記給気通路に導く熱伝導手段と、を備え、前記排気通路は、暖房機を備えた非居室からの排気が導かれるように構成され、更に、前記非居室からの排気の熱を前記熱伝導手段で回収する熱回収モードとこの排気の熱を回収しない非回収モードとに切り換えるためのモード切換手段と、前記モード切換手段を制御する制御手段とが設けられている熱回収型換気システムであって、
前記非居室の前記暖房機の使用状態に基づいて冬季を判定する冬季判定手段と、前記非居室の温度状態が所定温暖状態であるかを検知する温暖検知手段と、が設けられており、
前記制御手段は、前記冬季判定手段により冬季と判定され、且つ前記温暖検知手段により前記非居室の温度状態が前記所定温暖状態であることが検知されたときに、前記モード切換手段を制御して前記非回収モードから前記熱回収モードに切り換えることを特徴とする。
【0014】
この熱回収型換気システムにおいては、冬季判定手段は浴室やトイレなどの非居室の暖房機の使用状態に基づいて冬季かを判定し、また温暖検知手段は非居室の温度状態により所定温暖状態であるかを検知する。冬季判定手段により冬季と判定され、且つ温暖検知手段が所定温暖状態であると検知すると、制御手段はモード切換手段を制御し、非居室からの排気の熱を熱伝導手段で回収しない非回収モードからこの排気の熱を回収する熱回収モードに切り換わる。これによって、非居室から排気通路を通して排出される排気の熱が、熱伝導手段の作用によって、給気通路を通して室内に導かれる給気に伝達され、暖められた給気が室内に導かれ、かくして、排気の熱を回収して室内の暖房効率を高めることができる。このように、冬季に非居室が暖まって所定温暖状態になってはじめて熱回収モードに切り換えられるため、非居室の換気を行う場合、熱回収の要否を確実に判断することができる。
【0015】
特に、非居室が浴室である場合、その他の非居室に比較し空気が十分に暖められるため、この空気の熱を回収することによって、省エネルギーに大きな寄与を果たす。
【0016】
尚、非居室の温度状態が所定温暖状態であるとは、非居室が暖房機で暖められた場合の他、暖房機などの暖房を行わずに暖められた場合を含む。非居室を暖房していなくても、冬季と判定し、且つ所定温暖状態であると検知したときには、排気の熱を回収した方が省エネルギー性が増すからである。特に、非居室が浴室である場合、浴室暖房機で浴室内が暖められ、またシャワーや湯張りなどによって浴室内が暖められ、これらによって所定温暖状態になることを含んでいる。
【0017】
また、暖房機とは、非居室を暖房するための暖房機や、非居室が浴室である場合に浴室内を暖房、換気、乾燥するための浴室暖房乾燥機などであり、この浴室暖房乾燥機である場合、それ自体が換気機能をも有しているので、この熱回収型換気システムの浴室ユニットとして簡単に且つ容易に適用することができる。また、浴室暖房乾燥機である場合、浴室暖房運転だけでなく、換気と温風吹出しを同時に行って浴室の乾燥を行う乾燥運転のときにも排気の熱を回収することによって、更に省エネルギー性を図ることができる。
【0018】
本発明の請求項2に記載の熱回収型換気システムは、請求項1において、前記制御手段は、前記熱回収モードの状態において前記温暖検知手段により前記非居室の温度状態が所定温暖状態でないと検知されたときに、前記モード切換手段を制御して前記熱回収モードから前記非回収モードに切り換えることを特徴とする。
【0019】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室が所定温暖状態でなくなると、熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。換気により非居室から排気していくと、非居室の温度が次第に低下していくために、熱回収はある程度で停止する必要がある。熱回収モードの状態において、温暖検知手段により非居室の温度状態が所定温暖状態でないと検知されると、熱回収モードから非回収モードに切り換わり、これによって、熱回収が過度に行われて、居室への供給空気の温度が不必要に低下して居室の快適性が損なわれる不都合が防止される。特に、非居室が浴室である場合、温度低下の抑制による快適性の維持効果が顕著なものとなる。
【0020】
本発明の請求項3に記載の熱回収型換気システムは、請求項1又は2において、前記冬季判定手段は、前記非居室の前記暖房機が所定日数連続して運転されたときに冬季であると判定するとともに、前記暖房機が所定日数連続して運転されなかったときに冬季でないと判定することを特徴とする。
【0021】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室の暖房機の稼働状況によって季節の変化を検知し、冬季判定手段はこの稼働状況によって冬季を判定する。外気が寒くなると、暖房機の使用が次第に多くなることから、全く使用しない状態から使用日数が次第に増え、連続して使用するようになり、所定日数連続して使用することは、外気が寒くなったということであり、このように所定日数連続使用すると、冬季と判定する。一方、外気が暖かくなると、暖房機の使用が次第に少なくなることから、連続して暖房使用する状態から暖房機の使用が次第に減少し、連続して使用しなくなり、所定日数連続して暖房機を使用しないということは、外気が暖かくなったということであり、このように所定日数連続不使用であると、冬季が終了したと判定する。尚、連続使用、連続不使用に加えて、暖房の使用時間や温度設定など稼働状況をも考慮するようにしてもよく、これらも考慮することによって、冬季をより正確に判定することができる。
【0022】
排気の熱を回収するのは冬季だけであり、非居室が浴室である場合、浴室の暖房の使用状況でもって季節の判断を行う。浴室の暖房は外気が寒くなってきたときに行うことから、冬季を判定する際の目安となる。暖房機の使用頻度が多くなってきたことを判断して冬季と判定すれば、仮に夏場に操作ミスをして暖房機を稼働させても、その使用頻度が高くならず、冬季を間違いなく判定することができる。
【0023】
また、冬季でないことの判定の条件も、使用頻度を考慮したものとする。例えば、タイマなどで期間を設定して冬期間運転モードとすることも可能であるが、冬の期間は毎年変化するので、このように期間設定するのは適切でなく、暖房する、暖房しないという暖房機の実使用に沿って冬季を判定する方がより適切に判定することができる。
【0024】
本発明の請求項4の熱回収型換気システムは、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記温暖検知手段は、前記非居室の前記暖房機による温暖状態が所定温暖状態に達したかを検知することを特徴とする。
【0025】
この熱回収型換気システムにおいては、温暖検知手段として暖房機に装備された検知手段が利用され、この検知手段により非居室の所定温暖状態を検知することによって、比較的簡単な構成で所定温暖状態を検知することができる。
【0026】
本発明の請求項5に記載の熱回収型換気システムは、請求項4において、前記温暖検知手段は、前記非居室の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基づいて温暖状態を判定する温暖判定手段とを含み、前記温暖判定手段は、前記温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を超えたときに前記所定温暖状態に達したと判定し、また前記温度検知手段の検知温度が設定下限温度よりも低下したときに前記所定温暖状態でないと判定することを特徴とする。
【0027】
この熱回収型換気システムにおいては、温暖状態を検知する手段として、暖房機に装備された温度検知手段が利用され、この温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を越えたときに所定温暖状態と判定され、熱回収が行われる。また、この温度検知手段の検知温度が設定下限温度(熱回収を行う下限温度)よりも低くなると、所定温暖状態でないと判定され、効率的な熱回収ができないとして、熱回収が停止する。暖房機には温度検知手段が装備されているため、暖房機の温度検知手段を利用することで新たな温度検知手段の追加を必要とせず、温度検知手段についてのコストアップをなしにすることができる。
【0028】
この設定下限温度は、例えば、非居室の暖房開始時の温度とすることができ、非居室の暖房を行う前の定常温度とするのが望ましい。この場合、設定下限温度値はできるだけ外気空気温度近くなるが、外気空気温度よりも幾分高い方が、熱回収効率を低下させずに熱回収モードを切り換えることができる。
【0029】
非居室の空気温度は暖房開始時の居室の状態により居室の空気温度を反映していないことがある。非居室が浴室である場合、暖房開始時が浴槽のお湯張り後であったとき、浴室の温度は外気よりも著しく高くなっている。従って、暖房開始時の非居室の温度を設定下限温度にすると、浴室の熱を十分に回収しないうちに熱回収モードから非回収モードに切り換わってしまう。これを防止するために、非居室の温度をモニターしておき、暖房機運転開始時から所定時間さかのぼったときの定常温度を設定下限温度に設定するとか、或いはこの定常温度に数度(deg)加えた温度を設定下限温度に設定するのが望ましく、このようにすることによって、非居室が外気に近い温度になるまで排気の熱回収を行うことができ、より多くの熱エネルギーの回収が可能となる。
【0030】
尚、熱回収モードから非回収モードへ切り換える設定下限温度は、浴室温度を検知する浴室温度検知手段の検知温度を利用してもよく、この場合、暖房運転開始時の浴室温度検知手段の検知温度を用いてもよいし、暖房開始時から所定時間さかのぼったときの定常状態における浴室温度検知手段の検知温度(即ち、浴室定常温度)を用いるようにしてもよい。前者の場合、浴槽への給湯やシャワーの散水後に暖房開始を行うときと、それらの前に暖房運転を開始するときとでと設定下限温度が変わってくる可能性があるが、後者の場合、浴室が温められていない温度を用いるので、上述したような不都合が生じることが少なくなる。
【0031】
本発明の請求項6に記載の熱回収型換気システムでは、請求項4において、前記温暖検知手段は、更に、前記非居室の温度変化率を検知する温度変化率演算手段と、前記温度変化率演算手段により演算された温度変化率に基づいて温暖状態を判定する第2温暖判定手段とを含み、前記第2温暖判定手段は、前記温度変化率演算手段により演算された温度変化率が所定増加変化率値よりも小さくなると前記所定温暖状態に達したと判定し、前記温度変化率が所定下降変化率値よりも小さくなると所定温暖状態から外れたと判定することを特徴とする。
【0032】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室の温度変化率も用いて所定温暖状態であるかの判定が行われる。非居室が暖房されて室温が上昇するときには、暖房開始時には温度上昇率が大きいが、室温が温められるとその温度上昇率が小さくなる。このような温度増加変化率の変化を利用し、温度増加変化率が小さくなったことを検知して、非居室が充分に暖められて温暖状態にあると判定し、非回収モードから熱回収モードに切り換えられる。また、非居室が換気されて室温が下がるときには、換気開始時には温度下降率が大きいが、換気時間が長くなるとその温度下降率が小さくなる。このような温度下降変化率の変化を利用し、温度下降変化率が小さくなったことを検知して、非居室の温度が低下して温暖状態でないと判定し、熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。
【0033】
所定温暖状態を検知するのに所定暖房温度のように一定のしきい値を用いる場合、建築の特性によってそのしきい値を超えないことが生じるおそれがある。従って、到達温度付近に達していることを非居室の暖房機の温度検知手段を用いて検知し、非居室の温度増加変化率が小さくなったときに非回収モードから熱回収モードに切り換える。
【0034】
非居室が浴室である場合、浴室に適用する暖房機として、浴室の温度が上昇してくるとその放熱器の放熱効率が変化するタイプのものがある。暖房時の浴室の温度上昇値(到達値)は、浴室の熱負荷(浴室を単位温度上昇させるのに必要な熱量で、浴室の熱容量と放熱量のバランスから決定される)によることになるが、到達温度付近での放熱器の放熱効率の変化は一定の挙動を示す。従って、この形態の暖房機では、放熱効率の変化率をモニターすることで、建築の特性によらずに浴室が充分に暖まっているのかを検知することができる。
【0035】
本発明の請求項7に記載の熱回収型換気システムは、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記排気通路には、暖房機が設置された複数の非居室からの排気が導かれるように構成され、前記冬季判定手段は、前記複数の非居室の前記暖房機のうちいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行うことを特徴とする。
【0036】
この熱回収型換気システムにおいては、非居室の暖房機の使用頻度は、そのユーザーの生活習慣や建物の特性により変わり、複数の非居室の各々の暖房機のいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行い、この判定結果を利用して熱回収の要否を行うので、熱回収の要否の判断が確実なものとなる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う熱回収型換気システムの実施形態について説明する。
第1の実施形態
まず、図1〜図6を参照して、第1の実施形態の熱回収型換気システムについて説明する。図1は、第1の実施形態の熱回収型換気システムを簡略的に示す図であり、図2は、図1の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図3は、図1の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートであり、図4は、図2の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートであり、図5は、図2の制御系において、冬季判定手段による冬季判定の流れを示すフローチャートであり、図6は、図2の制御系において、設定下限温度の設定の流れを示すフローチャートである。
【0038】
図1及び図2において、図示の熱回収型換気システムは、住人の居る時間が長い居室2(例えば、リビング、ダイニングなど)内の空気を屋外4に換気するための換気装置本体6を備え、この換気装置本体6の装置ハウジング8内に、居室2内の空気を屋外4に排気するための排気通路10と、屋外4の空気を居室4内に給気するための給気通路12が設けられている。排気通路10の吸入側には第1排気ダクト14が接続され、その排出側には第2排気ダクト16が接続されている。また、給気通路12の吸入側には第1給気ダクト18が接続され、その排出側には第2給気ダクト20が接続されている。
【0039】
この実施形態では、排気通路10の下流側部には換気ファン22が配設され、この換気ファン22は換気用モータ24によって所定方向に回転駆動される。また、給気通路12の上流側部には給気ファン26が配設され、この給気ファン26は給気用モータ28によって所定方向に回転駆動される。更に、排気流路10から給気流路12にわたって換気用熱交換器30が設けられている。熱交換器30は、排気の熱を給気に伝導するための熱伝導手段を構成する。
【0040】
居室2を換気するときには、換気用モータ24及び給気用モータ28が作動し、換気ファン22の作用によって、居室2内の空気が第1排気ダクト14、装置ハウジング8の排気通路10及び第2排気ダクト16を通して矢印32で示すように屋外4に排出されるとともに、給気ファン26の作用によって、屋外4の空気が第1給気ダクト18、装置ハウジング8の給気通路12及び第2給気ダクト20を通して居室2内に供給される。このとき、排気通路10を流れる排気と給気通路12を流れる給気との間で熱交換が行われ、この熱交換により排気の熱が回収されて給気が暖められ、暖められた給気が居室2に供給される。
【0041】
この第1の形態では、非居室である浴室36内を換気する際、換気する空気が換気装置本体6の排気通路10に導かれるように構成されている。浴室36には、暖房するための暖房機である浴室暖房乾燥機38が取り付けられている。浴室暖房乾燥機38は、循環用モータによって回動される循環ファン(いずれも図示せず)、換気用モータ40によって回転される換気ファン41及び暖房用熱交換器42を備えており、暖房用熱交換器42が供給ライン44及び戻りライン46を介して熱源機48に接続されている。
【0042】
浴室を暖房するときには熱源機48及び循環用モータが作動され、熱源機48にて生成された温水が供給ライン44、熱源機48及び戻りライン46を通して循環されるとともに、循環ファンの作用によって浴室36内の空気が暖房用熱交換器42の周囲を通して循環され、熱交換器42において温水と空気との間で熱交換されて空気が暖められ、この暖められた空気が吹出し口50から吹き出すことによって、浴室36内が暖房される。また、換気のときには換気用モータ40が作動され、換気用ファン40の作用によって、浴室36内の空気が後述する如くして屋外4に排出される。
【0043】
浴室暖房乾燥機38と換気装置本体6との間には、中間接続部材52と第1及び第2接続ダクト54,56が設けられている。中間接続部材52は中空箱状であり、浴室暖房乾燥機38の背面側に取り付けられ、浴室暖房乾燥機38の排気部58が中空接続部材52に接続されている。第1接続ダクト54は、中間接続部材52及び換気装置本体6の一端部側(図1において左端部側)に設けられ、中間接続部材52内と装置ハウジング8の排気通路10の上流側部とを連通し、第2接続ダクト56は、中間接続部材52及び換気装置本体6の他端部側(図1において右端部側)に設けられ、中間接続部材52内と装置ハウジング8の排気通路10の下流側部とを連通する。
【0044】
この形態では、浴室暖房乾燥機38の排気部58には第1ダンパ60が設けられ、第1接続ダクト54には第2ダンパ62が設けられ、また第2接続ダクト56には第3ダンパ64が設けられている。第1(又は第2、第3)ダンパ60(又は62,64)にはダンパモータなどから構成される第1(又は第2、第3)駆動源66(又は68,70)が設けられ、第1(又は第2、第3)駆動源66によって、第1(又は第2、第3)ダンパ60(又は62,64)が開閉される。第1ダンパ60は、実線で示す開状態のときに浴室暖房乾燥機38の排気部58を開放し、二点鎖線で示す閉状態のときにこの排気部58を閉塞する。第2ダンパ62は、実線で示す開状態のときに第1接続ダクト54を開放し、二点鎖線で示す閉状態のときに第1接続ダクト54を閉塞する。また、第3ダンパ64は、実線で示す開状態のときに第2接続ダクト56を開放し、二点鎖線で示す閉状態のときに第2接続ダクト56を閉塞する。
【0045】
尚、図1から理解される如く、第1接続ダクト54を流れる空気は排気通路10の上流側部に送給されるので、換気用熱交換器30の周囲を流れて排気されるので、この換気用熱交換器30にて給気通路12を流れる給気との間で熱交換が行われる。一方、第2接続ダクト56を流れる空気は排気通路10の下流側部に送給されるので、換気用熱交換器30をバイパスして排気され、給気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることはない。
【0046】
主として図2を参照して、この換気システムは、居室2などに設置されるリモコン72によって運転される。リモコン72は運転スイッチ74、停止スイッチ76及び運転モード設定手段としての運転モードスイッチ78を備えている。運転スイッチ74は換気システムを運転するためのスイッチであり、停止スイッチ76は換気システムの運転を停止するためのスイッチであり、また運転モードスイッチ78は運転モードを設定するためのスイッチであり、この実施形態では、浴室36内の空気を排気する際に熱回収を行う熱回収運転モードと、熱回収を行わない非熱回収運転モードとに設定することができ、熱回収運転モードにおいては、浴室36から排出される排気の熱回収が後述するように行われる。
【0047】
第1〜第3ダンパ60〜64などは、例えばマイクロコンピュータなどから構成されるコントローラ80によって制御される。図示のコントローラ80は、制御手段82、モード切換手段84、冬季判定手段86、温暖判定手段88、利用回数演算手段90、温度変化率演算手段92及び第2温暖判定手段94を含んでいる。制御手段82は第1〜第3駆動源66,68,70などを後述する如く制御し、モード切換手段84は、熱を回収する熱回収モードと熱の回収を行わない非回収モードとに切り換え、制御手段82がモード切換手段84の切換えを制御する。また、冬季判定手段86は後述する如くして冬季を判定し、温暖判定手段88は後述するようにして所定温暖状態であることを判定する。利用回数演算手段90は浴室暖房乾燥機38の利用の回数を後述するように演算する。
【0048】
コントローラ80は、更に、計時手段96及びメモリ98を含んでいる。計時手段96は時刻を計時し、メモリ98には、所定温暖状態と判定する設定暖房温度、熱回収モードから非回収モードに切り換わる設定下限温度、浴室36内を暖房したと判定する暖房判定温度、浴室暖房乾燥機38を利用した利用回数などが記憶される。
【0049】
この実施形態では、浴室36の温暖状態を検知するための温暖検知手段が設けられ、この温暖検知手段は浴室36内の温度を検知する浴室温度検知センサ100を含み、この浴室温度検知センサ100及びコントローラ80の温暖判定手段88が温暖検知手段を構成する。この実施形態では、浴室暖房乾燥機100に装備された室温検知センサが浴室温度検知センサ100として機能し、このように構成することによって専用の温度検知センサを省略することができるが、浴室36内の温度を検知する専用の温度検知センサを設けるようにしてもよい。
【0050】
次に、図1及び図2とともに図3〜図6を参照して、上述した換気システムによる浴室36の換気運転について説明する。運転モードスイッチ78により熱回収運転モードを設定した場合において、リモコン72の運転スイッチ74を操作すると、浴室36の換気は次のようにして行われる。運転スイッチ74を操作して浴室36の換気を行うと(ステップS1)、制御手段82は第1駆動源66を作動して第1ダンパ60を閉状態から開状態にし(ステップS2)、浴室暖房乾燥機38の排出部58が開放される。尚、浴室36の換気は、浴室暖房乾燥機38の換気用モータ40が作動して換気ファン41が回動され、この換気ファン41の作用により行われる。
【0051】
次に、排気の熱を回収するのに充分な温暖状態であるかが判定される(ステップS3)。即ち、浴室温度検知センサ100の検知信号がコントローラ80に送られ、温暖判定手段88はこの浴室温度センサ100の検知温度に基づいて判定を行い、検知温度が設定暖房温度、例えば25℃を超えると浴室36内が所定温暖状態であると判定し、このように判定すると、ステップS3からステップS4に進むが、所定温暖状態でないと判定すると、ステップS3からステップS9に移る。
【0052】
次いで、季節が冬季であるかの判定が行われる(ステップS4)。利用回数演算手段90は、浴室暖房乾燥機38の利用回数を図4に示すフローチャートに沿って演算し、冬季判定手段88は、利用回数演算手段90により演算された利用回数に基づいて図5に示すフローチャートに沿って冬季か否かの判定を行い、冬季判定手段88が冬季と判定するとステップS5に進むが、冬季でないと判定するとステップS9に移る。
【0053】
図4を参照して、利用回収演算手段90による利用回数の演算について説明すると、浴室暖房乾燥機38が浴室暖房運転される(ステップS11)と、その暖房運転が12時間以内の運転か否かが判断され(ステップS12)、暖房運転終了から12時間以内の運転であると、一日において複数回の暖房運転が行われたと判断し、利用回数演算手段90は現在の利用回数をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS13)、ステップS11に戻る。
【0054】
一方、暖房運転終了から12時間経過後の運転であると、前の暖房運転の運転日と異なる日の暖房運転であると判断し、ステップS14に進む。ステップS14では、浴室36の温度が所定温度、例えば30℃に達したか、換言すると浴室暖房運転により浴室36内が充分に暖房されたかが判断され、浴室温度が所定温度に達すると、ステップS15に進み、この運転日においても暖房運転が遂行されたとして利用回数演算手段90は現在の利用回数に「1」を加算し(利用回数N=n+1)、加算演算された利用回数値がメモリ98に記憶され、暖房運転終了後に浴室暖房乾燥機38が運転停止する(ステップS16)。暖房が使われたかを判断するために30分以上の連続運転の検知でもよい。
【0055】
ステップS14において、浴室温度が所定温度に達しないときには、ステップS17に移り、運転停止かが判断され、運転停止していないときにはステップS14に戻る。一方、運転停止したときにはステップS18に進む。浴室暖房乾燥機38が暖房運転されたが、浴室36内の温度が所定温度に上昇しないということは、浴室暖房乾燥機38が誤操作により暖房運転された可能性が高く、このような場合、利用回数演算手段90は現在の利用回数値をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS18)、浴室暖房乾燥機38の運転が停止する(ステップS19)。利用回数演算手段90は上述したようにして利用回数を演算するので、浴室暖房乾燥機38が暖房運転された日であるか暖房運転されなかった日であるか、即ち暖房運転された日数を正確に演算することできる。
【0056】
図5を参照して、冬季判定手段86による判定の流れについて説明すると、浴室暖房乾燥機38の暖房運転が行われる(ステップS21)と、所定期間、例えば本日を含む過去5日以内に浴室暖房乾燥機38の暖房運転が行われたかが判断され(ステップS22)、この5日以内に暖房運転が行われた場合、ステップS22からステップS23に進むが、5日以内に暖房運転が一度も行われなかった場合、ステップS22からステップS24に移り、浴室暖房利用回数がゼロとなり(N=0)、ステップS26に移る。
【0057】
ステップS23に進むと、浴室暖房乾燥機38の利用回数Nが所定回数、例えば4回以上であるかが判断され、4回以上である、即ち浴室暖房乾燥機38が5日連続して、又は5日間のうち4日暖房運転されると、ステップS25に進み、冬季判定手段86は、外気が寒くて浴室暖房乾燥機38の暖房運転の利用回数が増えたとして冬季であると判定する。一方、浴室暖房乾燥機38の利用回数が所定回数未満(例えば、4回未満)であるときには、ステップS23からステップS26に移る。このようにしてステップS24からステップS26に、又はステップS23からステップS26に移ると、冬季判定手段86は、外気がそれほど寒くなくて浴室暖房乾燥機38を暖房運転の利用回数が少ないとして冬季でないと判定する。
【0058】
ステップS3において浴室36内が所定温暖状態であり、且つステップS4において冬季であると判定されると、ステップS5に進み、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードに制御し、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、この熱回収モード信号に基づいて第2及び第3駆動手段68,70が作用され、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持される。
【0059】
この熱回収モードにおいては、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第1接続ダクト54を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出される。このとき、換気用モータ24は換気ファン22を作動し、排気通路10の空気は矢印32で示す方向に流れるとともに、吸気用モータ28は吸気ファン26を作動し、屋外4の空気は吸気通路12を通して矢印34で示すように居室2に流れる。従って、浴室36からの排気及び居室2からの排気の熱が、熱交換器30の作用によって屋外4からの給気に伝導され、これら排気の熱が給気に回収され、熱交換により温められた給気が居室2に供給され、熱が屋外に無駄に排出されるのを少なくし、居室2の暖房効率を高めることができる。
【0060】
そして、浴室36の換気によりその温度が低下して所定温暖状態でなくなる、即ち設定下限温度(例えば、浴室暖房乾燥機38の暖房運転開始時の浴室温度に設定される)以下になると、ステップS6からステップS7に進み、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードから非回収モードに制御し、モード切換手段84が非回収モード信号を生成し、この非回収モード信号に基づいて第2及び第3駆動手段68,70が作用され、第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられる。
【0061】
この非回収モードにおいては、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出される。このとき、換気ファン22により排気通路10の空気は矢印32で示す方向に流れ、吸気ファン26により屋外4の空気が吸気通路12を通して矢印34で示すように居室2に流れるが、浴室36の排気は排気通路10の熱交換器30をバイパスして流れるので、浴室36の排気と給気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることはない。
【0062】
一方、ステップS3において浴室が温暖状態でないと判定される、又はステップS4において冬季でないと判定されると、ステップS9に進み、制御手段82はモード切換手段84を非回収モードに制御し、上述したと同様に、モード切換手段84からの非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持される。従って、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気は空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0063】
浴室36の上述した換気は、浴室暖房乾燥機38の運転が終了するまで行われ、その運転が終了すると、ステップS8からステップS10に進み、制御手段82は第1駆動源66を作動して第1ダンパ60を閉状態にし、これによって、浴室暖房乾燥機38の排気部58が閉塞される。
【0064】
浴室36の換気は、上述したようにして行われ、冬季で且つ排気が温暖状態にあるときには、その熱の回収が行われる。尚、浴室暖房乾燥機38は浴室36内を乾燥する乾燥運転も行うことが可能であるが、この乾燥運転においても浴室36内の空気が換気運転と同様にして屋外4に排出されるので、換気運転のときと同様に、排気の熱を回収するようにすることができる。
【0065】
この実施形態では、浴室36内の温度が上昇して設定暖房温度を超えたときに温暖状態でありと判定し、また温度が下降して設定下限温度より下がったときに温暖状態でないと判定し、設定下限温度として、浴室暖房乾燥機38の暖房運転開始時の温度を用いているが、暖房運転開始前に浴槽のお湯張りなどを行うと、この設定下限温度が高くなって熱の回収効率が低下するようになり、このような回収効率の低下を防止するために、この設定下限温度を図6に示すようにして設定するのが望ましい。
【0066】
図6において、浴室温度検知センサ100により浴室36内の温度の検知が行われ(ステップS31)、この浴室温度の測定が行われると、現在の測定浴室温度と所定時間(例えば6時間程度の適宜の時間が設定される)前の浴室温度との比較が行われる(ステップS32)。そして、現在の測定浴室温度が所定時間前の浴室温度よりも高いときには、ステップS33からステップS34に進み、低い温度である所定時間前の浴室温度が設定下限温度として設定され、この浴室温度がメモリ98に記憶され、この設定下限温度を用いて熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。一方、現在の測定浴室温度が所定時間前の浴室温度よりも低いときには、ステップS33からステップS35に移り、現在の測定浴室温度が設定下限温度として設定され、現測定浴室温度がメモリ98に記憶され、この測定浴室温度を用いて熱回収モードから非回収モードに切り換えられる。このようにすることによって、設定下限温度を浴室の定常温度に設定することができ、浴室の換気の際の熱回収を無駄なく効率的に行うことができる。
【0067】
上述した形態では、浴室の温暖状態を設定暖房温度及び設定下限温度を用いて判定しているが、このような判定方法に代えて、又はこのような判定方法と組み合わせて次のようにすることもできる。即ち、浴室36内の温度を検知する浴室温度検知センサ100の検知温度の温度変化率を演算する温度変化率演算手段と、温度変化率演算手段により演算された変化率に基づいて温暖状態であるかを判定する第2温暖判定手段をコントローラ80に含めるようにしてもよい。このように構成した場合、温度変化率演算手段は浴室温度検知センサ100の検知温度に基づいて温度変化率を演算するが、この温度変化率は、温度が上昇するときの温度増加変化率と、温度が下降するときの温度下降変化率とがある。温度が上昇するときの温度増加変化率が大きいということは浴室36内の温度が低く、その温度増加変化率が小さくなるということは浴室36内が暖房されて温められたということであり、第2温暖判定手段は、この温度増加変化率が所定増加変化率値より小さくなると所定温暖状態に達したと判定する。また、温度が下降するときの温度下降変化率が大きいということは浴室36内の温度が高く、その温度増加変化率が小さくなるということは浴室36内の温度が次第に低下するということであり、第2温暖判定手段は、この温度下降変化率が所定下降変化率値より小さくなると所定温暖状態でないと判定する。このようにしても浴室36が温暖状態であるか否かを所要の通りに判定することができる。
【0068】
第2の実施形態
次に、図7〜図9を参照して、熱回収型換気システムの第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図8は、図7の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートであり、図9は、図8の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートである。
尚、以下の実施形態の説明において、第1の実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0069】
図7において、この第2の実施形態では、熱源機48の戻り温水の温度変化率を用いて浴室36の温暖状態を判定しており、このことに関連して、コントローラ80Aは、戻り温水温度差演算手段112及び戻り温水温度変化率演算手段114を備えている。また、浴室36の温度を検知する浴室温度検知手段100に加えて、温水温度検知手段116が熱源機48の戻りライン46に配設され、この温水温度検知手段116の検知信号がコントローラ80Aに送給される。戻り温水温度差演算手段116は現時点の戻り温水の温度と所定時間(5〜30秒程度の適宜に時間、例えば10秒程度に設定される)前の戻り温水の温度とを演算し、温水温度変化率演算手段114は、現時点の戻り温水の温度と所定時間前の戻り温水の温度との温度変化率を演算する。第2の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0070】
次に、図7とともに図8及び図9を参照して、第2の実施形態の換気システムによる浴室36の換気運転について説明する。運転モードスイッチ78により熱回収運転モードを設定した場合において、運転スイッチ74を操作して浴室36の換気を行うと(ステップS41)、第1ダンパ60が開状態になり(ステップS42)、浴室暖房乾燥機38の排出部58が開放される。
【0071】
次に、戻り温水の温度変化率が所定値以下であるかが判断される(ステップS43)。即ち、温水温度検知センサ116の検知信号がコントローラ80Aに送られ、戻り温水温度演算手段112は戻り温水の温度変化率を演算する。浴室36内の温度が上昇して温暖状態になると、熱源機48からの温水の熱が浴室の暖房にあまり消費されなく、戻り温水の温度変化率が小さくなり、このようなことから、戻り温水の温度変化率が小さくなると、温暖状態であると判定する一つの条件が満たされ、ステップS43からステップS44に進むが、この戻り温水の温度変化率が所定値よりも大きいと、浴室36内が温暖状態でないとしてステップS50に移る。
【0072】
次いで、戻り温水の温度が上昇中であるかが判断される(ステップS44)。
即ち、戻り温水温度差演算手段112が戻り温水の温度差を演算し、この演算値が正(プラス)であるかが判断される。戻り温水の温度差が正であるということは、浴室36内が暖房されて温度が上昇中であるということであり、このことから、戻り温水の温度差が正であると、温暖状態であると判定する他の一つの条件が満たされ、ステップS44からステップS45に進むが、この戻り温水の温度差が負(マイナス)であると、ステップS44からステップS50に移る。
【0073】
次に、浴室36内の温度が設定下限温度(例えば、浴室暖房乾燥機38の暖房開始時の浴室温度に設定される)以上であるかが判断される(ステップS45)。浴室温度検知センサ100からの検知信号がコントローラ80Aに送られ、この検知温度が設定下限温度以上であるかが判断される。浴室36が浴室暖房乾燥機38によって暖房されると、浴室温度が設定下限温度よりも上昇して高くなって温暖状態にあるということであり、このようなことから、浴室温度が設定下限温度以上であると、温暖状態であると判定する更に他の一つの条件が満たされ、ステップS45からステップS46に進むが、浴室温度が設定下限温度よりも低いと、ステップS45からステップS50に移る。
【0074】
更に、季節が冬季であるかの判定が行われる(ステップS46)。第2の実施形態では、利用回数演算手段90は、浴室暖房乾燥機38の利用回数を図9に示すフローチャートに沿って演算し、冬季判定手段86は、利用回数演算手段90により演算された利用回数に基づいて第1の実施形態と同様にして冬季か否かの判定を行い、冬季判定手段86が冬季と判定するとステップS47に進むが、冬季でないと判定するとステップS50に移る。
【0075】
図9を参照して、利用回収演算手段90による利用回数の演算について説明すると、浴室暖房乾燥機38が浴室暖房運転される(ステップS61)と、その暖房運転が12時間以内の運転か否かが判断され(ステップS62)、暖房運転終了から12時間以内の運転であると、利用回数演算手段90は現在の利用回数をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS63)、ステップS61に戻る。
【0076】
一方、暖房運転終了から12時間経過後の運転であると、前の暖房運転の運転日と異なる日の暖房運転であると判断し、ステップS64に進む。ステップS64では、温水温度検知センサ116の検知温度が利用され、戻り温水の温度変化率が所定値以下か、換言すると浴室の温度状態が所定の温度状態に達してきたかが判断され、続いてステップS65において、温水温度検知センサ116の検知温度が上昇中である、換言すると、浴室36内を暖房中であるかが判断される。
上記温度変化率が所定値以下で、且つ戻り温水の温度が上昇中であると、ステップS66に進み、この運転日においても暖房運転が遂行されたとして利用回数演算手段90は現在の利用回数に「1」を加算し(利用回数N=n+1)、加算演算された利用回数値がメモリ98に記憶され、暖房運転終了後に浴室暖房乾燥機38が運転停止する(ステップS67)。
【0077】
ステップS64において、戻り温水の温度変化率が所定値より大きいときにはステップS68に移り、またステップS65において戻り温水の温度が下降しているときにもステップS68に移り、運転停止かが判断され、運転停止していないときにはステップS64に戻る。一方、運転停止したときにはステップS69に進む。浴室暖房乾燥機38が暖房運転されたが、戻り温水の温度変化率が所定値以下にならない、又は戻り温水の温度が下降中であるとは、浴室暖房乾燥機38が誤操作などにより暖房運転された可能性が高く、このような場合、利用回数演算手段90は現在の利用回数値をそのまま維持し(利用回数N=n)(ステップS69)、浴室暖房乾燥機38の運転が停止する(ステップS70)。このようにして利用回数を演算しても、浴室暖房乾燥機38が暖房運転された日であるか否か、即ち暖房運転された日数を正確に演算することでき、このように演算された利用回数を用いて冬季判定手段86は、上述したと同様にして冬季であるかの判定を行う。
【0078】
ステップS43、ステップS44、ステップS45及びステップS46を経てステップS47に進むと、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードに制御し、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、熱回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持される。
【0079】
この熱回収モードにおいては、第1の実施形態と同様に、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52、第1接続ダクト54、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、浴室36からの排気及び居室2からの排気の熱が、熱交換器30の作用によって屋外4から給気通路12を通して居室2に供給される給気に伝導され、これら排気の熱が給気に回収され、熱が屋外に無駄に排出されるのを少なくし、居室2の暖房効率を高めることができる。
【0080】
そして、浴室36の換気によりその温度が低下して所定温暖状態でなくなる、即ち浴室温度が設定下限温度以下になると、ステップS48からステップS49に進み、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードから非回収モードに制御し、モード切換手段84が非回収モード信号を生成し、この非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられる。
【0081】
この非回収モードにおいては、第1の実施形態と同様に、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、浴室36の排気と給気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることはない。
【0082】
一方、ステップS43において戻り温水の温度変化率が所定値より大きい、ステップS44において戻り温水の温度が上昇中でない、ステップS45において浴室温度が設定下限値より低い、又はステップS46において冬季でないと判定された場合、ステップS50に進み、制御手段82はモード切換手段84を非回収モードに制御し、上述したと同様に、モード切換手段84からの非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持される。従って、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52及び第2接続ダクト56を通して装置ハウジング8の排気通路10に流れ、この排気は空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0083】
浴室36の上述した換気は、浴室暖房乾燥機38の運転が終了するまで行われ、その運転が終了すると、ステップS51からステップS52に進み、第1ダンパ60が閉状態になり、浴室暖房乾燥機38の排気部58が閉塞される。
【0084】
第3の実施形態
次に、図10〜図13を参照して、熱回収型換気システムの第3の実施形態について説明する。図10は、第3の実施形態の熱回収型換気システムを簡略的に示す図であり、図11は、図10の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図であり、図12は、図10の熱回収型換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートであり、図13は非居室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートである。
【0085】
図10及び図11において、この第3の実施形態では、非居室として浴室36に加えて第1部屋132及び第2部屋134が設けられ、三つの非居室36,132,134の排気が換気装置本体6の排気通路10を通して屋外4に排出されるように構成されている。そして、このことに関連して、中間接続部材52Bの片側(図10において左側)には、第1部屋132内の空気を換気するための第1換気ダクト136が接続され、この第1換気ダクト136には第4駆動源138によって開閉される第4ダンパ140が設けられている。また、中間接続部材52Bの他側(図10において右側)には、第2部屋134内の空気を換気するための第2換気ダクト142が接続され、この第2換気ダクト142には第5駆動源144によって開閉される第5ダンパ146が設けられている。
【0086】
また、第1部屋132には、その室温を検知するための第1部屋温度検知センサ148が設けられ、第2部屋134には、その室温を検知するための第2部屋温度検知センサ150が設けられ、これら温度検知センサ148,150の検知信号はコントローラ80Bに送給される。第1部屋132及び第2部屋134には、それぞれ、部屋を暖房するための暖房機(図示せず)、例えばエアコン、ストーブなどが設置され、この暖房機によって室内が暖房される。また、リモコン72Bは、運転スイッチ74、停止スイッチ76及び運転モードスイッチ78に加えて、換気設定スイッチ152が設けられている。この換気設定スイッチ152は、換気の行う非居室、即ち第1部屋132及び第2部屋134を設定するためのスイッチであり、第1部屋132(又は第2部屋134)を設定すると第1部屋132(又は第2部屋134)の換気が後述するように行われる。
【0087】
更に、コントローラ80Bは、第1部屋132が温暖状態にあるかを判定する第1部屋温暖判定手段154と、第2部屋134が温暖状態にあるかを判定する第2部屋温暖判定手段156を含んでいる。第1部屋温暖判定手段154は、第1部屋温度検知センサ148の検知温度を利用し、第1部屋132内の温度が第2下限温度以上であると温暖状態であると判定し、また第2部屋温暖判定手段156は、第2部屋温度検知センサ150の検知温度を利用し、第2部屋134内の温度が第3下限温度以上であると温暖状態であると判定する。第3の実施形態のその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
【0088】
次に、図10及び図11とともに図12を参照して、第3の実施形態の換気システムによる浴室36の換気運転について説明する。浴室36の換気を行うと(ステップS71)、第1ダンパ60が開状態になる(ステップS72)。そして、浴室温度(浴室温度検知センサ100の検知温度)が第1下限温度以上か、即ち浴室36が温暖状態かが判断され(ステップS73)、次いで冬季であるかが判断される(ステップS74)。即ち、浴室温度が第1下限温度以上で温暖判定手段88が温暖状態であると判定し、且つ冬季判定手段86が上述したようにして冬季と判定すると、ステップS73からステップS74を経てステップS75に進むが、ステップS73において浴室温度が第1下限温度よりも低いと判断される、又はステップS74において冬季でないと判定されると、ステップS76に移る。
【0089】
このようにしてステップS75に進むと、制御手段82はモード切換手段84を熱回収モードに制御し、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、この熱回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、浴室36内から換気された空気は、中間接続部材52B及び第1接続ダクト54、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、このとき、浴室36の排気と給気通路12を通して流れる空気とが熱交換器30にて熱交換され、熱回収により温められた空気が居室2に供給される。
【0090】
一方、ステップS73又はステップS74からステップ76に移ると、制御手段82はモード切換手段84を非回収モードに制御し、モード切換手段84からの非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持され、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52B、第2接続ダクト56、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外2に排出され、空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0091】
このような換気状態において、例えば第1部屋132の換気を行うと、ステップS77からステップS78に進み、第4ダンパ140が開状態となり、第1部屋132内の空気が中間接続部材52Bに流れる。尚、第1部屋132の換気を行わないときにはステップS77からステップS79を経てステップS73に戻り、第4ダンパ140は閉状態に保たれる(ステップS79)。
【0092】
第1部屋132の換気が行われると、第1部屋132の室温(第1部屋温度検知センサ148の検知温度)が第2下限温度以上であるか、即ち第1部屋132が温暖状態かが判断され(ステップS80)、この室温が第2下限温度以上であると、ステップS80からステップS81に進み、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、浴室36の排気及び第1部屋132の排気は第1接続ダクト54及び排気通路10を通して屋外2に排出され、浴室36及び第1部屋132の排気の熱回収が上述したように行われる。一方、この室温が第2下限温度より低いと、ステップS80からステップS82に進み、第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられ、浴室36の排気及び第1部屋132の排気は第2接続ダクト56及び排気通路10を通して屋外2に排出され、浴室36及び第1部屋132の排気の熱回収は行われない。
【0093】
このような換気は第1部屋132の換気が終了するまで行われ、この換気が終了すると、ステップS83からステップS84に進み、第4ダンパ140が閉状態となり、第1部屋132の換気が終了する。かくすると、非居室の換気は浴室36のみとなるので、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態になり(ステップS85)、浴室36の排気の熱回収が行われる。
【0094】
上述した制御は浴室6の換気が終了するまで行われ、その換気運転が終了すると、ステップS86からステップS87に進み、第1ダンパ60が閉状態になって浴室暖房乾燥機38の排気部58が閉塞され、浴室36の換気が終了する。
【0095】
次いで、図10及び図11とともに図13を参照して、第3の実施形態の換気システムによる第1部屋132の換気運転について説明する。第1部屋132の換気を行うと(ステップS91)、第4ダンパ140が開状態になる(ステップS92)。そして、第1部屋132の室温が第2下限温度以上かが判断され(ステップS93)、次いで冬季であるかが判断される(ステップS94)。第1部屋132の室度が第2下限温度以上で、且つ冬季であると判定されると、ステップS95に進むが、ステップS93において浴室温度が第1下限温度よりも低いと判断される、又はステップS94において冬季でないと判定されると、ステップS96に移る。
【0096】
ステップS95に進むと、モード切換手段84が熱回収モード信号を生成し、この熱回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、第1部屋132内から換気された空気は、中間接続部材52B及び第1接続ダクト54、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外4に排出され、このとき、浴室36の排気と給気通路12を通して流れる空気とが熱交換器30にて熱交換され、熱回収により温められた空気が居室2に供給される。
【0097】
一方、ステップS93又はステップS94からステップ96に移ると、モード切換手段84が非回収モード信号を生成し、この非回収モード信号に基づいて第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に保持され、浴室36内から換気された空気は、浴室暖房乾燥機38、中間接続部材52B、第2接続ダクト56、排気通路10及び第2排気ダクト16を通して屋外2に排出され、空気通路12を流れる空気との間で熱交換が行われることなく屋外4に排出される。
【0098】
このような第1部屋132の換気状態において、例えば浴室36の換気を行うと、ステップS97からステップS98に進み、第1ダンパ60が開状態となり、浴室36内の空気が中間接続部材52Bに流れる。尚、浴室36の換気を行わないときにはステップS97からステップS99を経てステップS93に戻り、第1ダンパ60は閉状態に保たれる(ステップS99)。
【0099】
浴室36の換気が行われると、浴室温度が第1下限温度以上であるかが判断され(ステップS100)、この浴室温度が第1下限温度以上であると、ステップS100からステップS101に進み、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態に保持され、第1部屋132の排気及び浴室36の排気は第1接続ダクト54及び排気通路10を通して屋外2に排出され、第1部屋132及び浴室36の排気の熱回収が上述したように行われる。一方、この浴室温度が第1下限温度より低いと、ステップS100からステップS102に進み、第2ダンパ62が閉状態に、第3ダンパ64が開状態に切り換えられ、第1部屋132の排気及び浴室36の排気は第2接続ダクト56及び排気通路10を通して屋外2に排出され、浴室36及び第1部屋132の排気の熱回収は行われない。
【0100】
このような換気は浴室36の換気が終了するまで行われ、この換気が終了すると、ステップS103からステップS104に進み、第1ダンパ60が閉状態となり、浴室36の換気が終了する。かくすると、非居室の換気は第1部屋132のみとなるので、第2ダンパ62が開状態に、第3ダンパ64が閉状態になり(ステップS105)、第1部屋132の排気の熱回収が行われる。
【0101】
上述した制御は第1部屋132の換気が終了するまで行われ、その換気運転が終了すると、ステップS106からステップS107に進み、第4ダンパ140が閉状態になって第1換気ダクト136が閉塞され、第1部屋142の換気が終了する。
【0102】
上述した説明では、浴室36を換気する場合、また第1部屋132を換気する場合について説明したが、第2部屋134を換気する場合も、上述したと同様に行われる。また、このような換気システムでは、冬季の判定に用いる暖房機は浴室暖房乾燥機38でもよいが、第1部屋132又は第2部屋134に設置された暖房機などでもよく、非居室に設置される暖房機のいずれかの使用状況を利用して判定することができる。
【0103】
以上、本発明に従う熱回収型換気システムの実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0104】
上述した実施形態では、暖房機として換気機能を有する浴室暖房乾燥機38を用いているが、暖房機として専用の暖房機を用い、この専用暖房機と専用の換気装置とを組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0105】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の熱回収型換気システムによれば、冬季判定手段は非居室の暖房機の使用状態に基づいて冬季かを判定し、また温暖検知手段は非居室の温度状態により所定温暖状態であるかを検知し、冬季判定手段が冬季と判定し、且つ温暖検知手段が所定温暖状態であると検知すると、非回収モードから熱回収モードに切り換わるので、非居室から排気通路を通して排出される排気の熱が、熱伝導手段の作用によって、給気通路を通して室内に導かれる給気に伝達され、暖められた給気が室内に導かれ、かくして、排気の熱を回収して室内の暖房効率を高めることができる。また、冬季に非居室が暖まって所定温暖状態になってはじめて熱回収モードに切り換えられるため、非居室の換気を行う場合、熱回収の要否を確実に判断することができる。
【0106】
また、本発明の請求項2に記載の熱回収型換気システムによれば、非居室が所定温暖状態でなくなると、熱回収モードから非回収モードに切り換えられるので、熱回収が過度に行われて、居室への供給空気の温度が不必要に低下して居室の快適性が損なわれる不都合が防止される。
【0107】
また、本発明の請求項3に記載の熱回収型換気システムによれば、非居室の暖房機の稼働状況によって季節の変化が検知され、暖房機が所定日数連続して運転されると冬季と判定し、所定日数連続して運転されないと冬季でないと判定するので、比較的簡単に且つ確実に冬季であるか否かを判定することができる。
【0108】
また、本発明の請求項4の熱回収型換気システムによれば、温暖検知手段として暖房機に装備された検知手段を利用するので、比較的簡単な構成で所定温暖状態を検知することができる。
【0109】
また、本発明の請求項5に記載の熱回収型換気システムによれば、温暖状態を検知する手段として、暖房機に装備された温度検知手段が利用され、この温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を越えたときに所定温暖状態と判定し、その検知温度が設定下限温度よりも低くなると所定温暖状態でないと判定するので、非居室の排気の熱回収を効率的に行うことができるとともに、新たな温度検知手段の追加を必要とせず、温度検知手段についてのコストアップをなしにすることができる。
【0110】
また、本発明の請求項6に記載の熱回収型換気システムによれば、非居室の室温の温度増加変化率の変化を利用し、温度増加変化率が小さくなったことを検知して、非居室が充分に暖められて温暖状態にあると判定し、また温度下降変化率が小さくなったことを検知して、非居室の温度が低下して温暖状態でないと判定するので、このようにしても非居室の温暖状態を検知することができる。
【0111】
また、本発明の請求項7に記載の熱回収型換気システムによれば、複数の非居室の暖房機のいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行うので、熱回収の要否の判断を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う熱回収型換気システムの第1の実施形態を簡略的に示す図である。
【図2】図1の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図3】図1の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートである。
【図4】図2の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2の制御系において、冬季判定手段による冬季判定の流れを示すフローチャートである。
【図6】図2の制御系において、設定下限温度の設定の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明に従う熱回収型換気システムの第2の実施形態における制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図8】図7の熱回収換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れを示すフローチャートである。
【図9】図8の制御系において、浴室の利用回数演算手段による演算の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明に従う熱回収型換気システムの第3の実施形態を簡略的に示す図である。
【図11】図10の熱回収型換気システムの制御系を簡略的に示すブロック図である。
【図12】図10の熱回収型換気システムにおいて、浴室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】非居室換気の場合の運転の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 居室
4 屋外
6 換気装置本体
10 排気通路
12 給気通路
30 換気用熱交換器
36 浴室
38 浴室暖房乾燥機
48 熱源機
52,52B 中間接続部材
60,62,64,140,146 ダンパ
80,80A,80B コントローラ
82 制御手段
84 モード切換手段
86 冬季判定手段
88 温暖判定手段
90 利用回数判定手段
100 浴室温度検知センサ
112 戻り温水温度差演算手段
114 戻り温水温度変化率演算手段
116 温水温度検知センサ
Claims (7)
- 室内の排気を屋外に排出する排気通路と、屋外から室内に給気する給気通路と、前記排気通路を流れる排気の熱を回収して前記給気通路に導く熱伝導手段と、を備え、前記排気通路は、暖房機を備えた非居室からの排気が導かれるように構成され、更に、前記非居室からの排気の熱を前記熱伝導手段で回収する熱回収モードとこの排気の熱を回収しない非回収モードとに切り換えるためのモード切換手段と、前記モード切換手段を制御する制御手段とが設けられている熱回収型換気システムであって、
前記非居室の前記暖房機の使用状態に基づいて冬季を判定する冬季判定手段と、前記非居室の温度状態が所定温暖状態であるかを検知する暖房検出手段と、が設けられており、
前記制御手段は、前記冬季判定手段により冬季と判定され、且つ前記温暖検知手段により前記非居室の温度状態が前記所定温暖状態であることが検知されたときに、前記モード切換手段を制御して前記非回収モードから前記熱回収モードに切り換えることを特徴とする熱回収型換気システム。 - 前記制御手段は、前記熱回収モードの状態において前記温暖検知手段により前記非居室の温度状態が所定温暖状態でないと検知されたときに、前記モード切換手段を制御して前記熱回収モードから前記非回収モードに切り換える請求項1に記載の熱回収型換気システム。
- 前記冬季判定手段は、前記非居室の前記暖房機が所定日数連続して運転されたときに冬季であると判定するとともに、前記暖房機が所定日数連続して運転されなかったときに冬季でないと判定する請求項1又は2に記載の熱回収型換気システム。
- 前記温暖検知手段は、前記非居室の前記暖房機による温暖状態が所定温暖状態に達したかを検知する請求項1〜3のいずれかに記載の熱回収型換気システム。
- 前記温暖検知手段は、前記非居室の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段の検知温度に基づいて温暖状態を判定する温暖判定手段とを含み、前記温暖判定手段は、前記温度検知手段の検知温度が設定暖房温度を超えたときに前記所定温暖状態に達したと判定し、また前記温度検知手段の検知温度が設定下限温度よりも低下したときに前記所定温暖状態でないと判定する請求項4に記載の熱回収型換気システム。
- 前記温暖検知手段は、更に、前記非居室の温度変化率を検知する温度変化率演算手段と、前記温度変化率演算手段により演算された温度変化率に基づいて温暖状態を判定する第2温暖判定手段とを含み、前記第2温暖判定手段は、前記温度変化率演算手段により演算された温度変化率が所定増加変化率値よりも小さくなると前記所定温暖状態に達したと判定し、前記温度変化率が所定下降変化率値よりも小さくなると所定温暖状態から外れたと判定する請求項4に記載の熱回収型換気システム。
- 前記排気通路には、暖房機が設置された複数の非居室からの排気が導かれるように構成され、前記冬季判定手段は、前記複数の非居室の前記暖房機のうちいずれか一つの使用状態に基づいて冬季の判定を行う請求項1〜6のいずれかに記載の熱回収型換気システム。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011069579A (ja) * | 2009-09-28 | 2011-04-07 | Toto Ltd | 浴室乾燥機 |
JP2018119731A (ja) * | 2017-01-25 | 2018-08-02 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 換気装置 |
WO2019035194A1 (ja) * | 2017-08-17 | 2019-02-21 | 三菱電機株式会社 | 熱交換換気装置 |
CN110578979A (zh) * | 2019-09-24 | 2019-12-17 | 珠海格力电器股份有限公司 | 全热交换新风机及包含其的房屋 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003085168A patent/JP2004293869A/ja active Pending
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