JP3835981B2 - 地図表示装置及び記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は地図表示装置に関し、特に道路地図上に住所や施設名などの文字あるいは施設を示す記号等で構成される表示アイテムを重ねて画面に表示する際の技術に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
自動車の走行に伴ってGPS等により位置を検出して、その位置をディスプレイ上に道路地図と共に表示することにより、円滑に目的地に到達させるナビゲーションシステムが知られている。このように現在地を示すだけでなく、例えばガソリンスタンドやレストランなどの所定の施設を示すマークを地図上に表示するナビゲーションシステムも知られており、それらの施設に寄りたいと思った場合に有効である。
【0003】
このような地図の表示に際しては、単に道路形状や敷地、湖沼海(背景)を示す地図(道路地図)を表示するだけでなく、住所や施設名などの文字あるいは施設を示す記号等で構成される表示アイテムを道路地図上に重ねて表示することが一般的である。その際、住所等の文字サイズが固定であると、ユーザの年齢によっては適切でない場合も生じてくることに鑑み、住所等を表す文字サイズを選択できるようにし、視認性を向上させる技術が知られている(例えば特開平10−319940号、特開平11−183181号参照)。これは、視覚特性が年齢と共に低下するため、高齢者の場合には文字サイズを大きくして視認性を良くしようというものである。なお、文字サイズを大きくした場合には、文字列同士が重なる場合も生じるが、その場合は、重なった一方の表示アイテムを重ならない位置に移動させたり、表示しないようにしたり、小さな文字サイズに変更したりする工夫も考えられている。
【0004】
このように文字サイズを変更する技術は存在するが、文字サイズそのものが拡大あるいは縮小するだけであり、表示される文字情報の総量は、上述した重なりのために表示させないようにすることで減ることはあっても増えることはない。つまり、標準サイズの文字で表示アイテムを表示する場合に表示アイテム同士が重ならないように、表示させる表示アイテムを予め選んでいるのである。例えば都心部において、交差点間隔が狭く、また施設が乱立しているような場合には、全ての表示アイテム(例えば住所や施設等)を表示すると背景が見えなくなる可能性もある。そのため、例えば住所であれば都道府県・市町村レベルまで、あるいはさらに広げるとしても大字レベルまでにとどめたり、施設であれば交差点付近に存在するものや大規模なものにとどめる、といったように、代表的な住所や施設を選択してそれらだけを表示するようにしていた。
【0005】
しかしながら、実際には、表示スペースを考慮しなければ表示させた方がよい住所等の情報も存在し、それらの情報が必要なユーザも存在する。つまり、上述の文字サイズの拡大は、たとえ表示できる情報の総量が減っても視認性の確保を優先するという主に高齢者の観点での工夫であったが、逆に、視認性はある程度犠牲にしてもよいので情報性を優先したいというユーザも存在する。このようなユーザは、たとえ文字サイズが小さく視認性が悪くても、視認「可能」であればよく、それよりも自分が必要とする情報の存在を希望する。また、ユーザの違いだけでなく、同じユーザでも利用状況に応じて視認性を優先したい場合もあれば、情報性を優先したい場合もあると考えられる。また、ある種類の住所・施設などに関しては視認性を優先させたいが、別の種類の住所・施設などに関しては情報性を優先させたい場合もある。従来手法では、このようなユーザの要求には答えられなかった。
【0006】
そこで、本発明は、道路地図上に表示される文字や記号に関し、視認性と情報性を加味して状況に応じた適切な表示態様を実現可能な地図表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
請求項1の地図表示装置は、道路地図の縮尺を変更して表示可能であり、その縮尺を変更せず表示アイテムの文字・記号サイズのみを変更可能であり、道路地図上に表示されていた表示アイテムの文字・記号サイズが小さくされることによって生じたスペースに、それまで表示されていなかった表示アイテムを表示させるため、情報量豊かな表示内容とすることができる。そのため、情報性を優先したいユーザにとって好ましい表示態様となる。例えば車載ナビゲーション装置に適用した場合を考える。ある目的地への走行中であれば、大まかな住所・交差点・交差点付近に存在して目印となり易い施設程度が分かればよく、表示を凝視せずに一瞥しただけで表示内容が把握できる程度の文字・記号サイズが好ましい。しかし、目的地近くに来た場合、目的地を正確に探すためには、細かな住所や交差点付近以外であっても何らかの目印となり得るものがあれば表示するのが好ましい。そして、停車して表示を凝視できるのであれば文字記号サイズを小さくしても構わない。
【0012】
また、請求項のように、表示アイテムの文字・記号サイズを優先順位に応じて変更設定できるようにすれば、優先順位の高い情報に対する視認性を確保しながら、情報性に関してもそれなりに確保できる。
なお、上述した地図表示装置における表示アイテムの文字・記号サイズの変更及び表示制御に係る処理をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0014】
本実施例では地図表示装置をナビゲーションシステムに適用しているので、そのナビゲーションシステム1の概略構成を図1を参照して説明する。
本実施例のナビゲーションシステム1は、車両に搭載されたいわゆるカーナビゲーションシステムとして構成されており、車両の現在位置を検出する位置検出器12と、各種道路交通情報を収集するため、無線電話回線を介して情報配信センタ4との間でデータ通信を行う通信装置18と、外部情報入出力装置19と、当該装置へ各種指令を入力するための操作スイッチ群20と、その操作スイッチ群20と同様の各種指令を入力可能な図示しないリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す)からの信号を入力するリモコンセンサ21と、地図データ入力器22と、外部メモリ24と、計器板(インパネ)に表示画面が埋め込まれ、スピードメータやタコメータ等の表示の他、地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示装置26と、位置検出器12、操作スイッチ群20、地図データ入力器22及び図示しないリモコンからの入力に応じて各種処理を実行し、通信装置18、外部情報入出力装置19、外部メモリ24、表示装置26を制御するナビ制御回路30とを備えている。
【0015】
位置検出器12は、GPS(Global Positioning System) 用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機12aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ12bと、車速センサや車輪センサ等からなり車両の走行距離を検出するための車速センサ12cと、地磁気に基づいて絶対方位を検出するための地磁気センサ12dとを備えている。そして、これら各センサ等12a〜12dは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したセンサ等12a〜12dの中の一部のみを用いて構成してもよく、また、左右操舵輪の回転差などから得られる車両のステアリング角を累積して方向を求めるセンサ等を用いてもよい。
【0016】
また通信装置18は、公衆電話網との接続が可能な携帯電話又は自動車電話からなる無線電話装置18aと、ナビ制御回路30からの指令に従って、無線電話装置18aを介して決められた手順で外部情報源である情報配信センタ4との接続を行うと共に、ナビ制御回路30からのデータを無線電話装置18aを介して送信可能な形態に符号化し、また無線電話装置18aを介して入力されるデータを制御回路30にて処理可能な形態に復号化するモデム18bとを備えている。
【0017】
一方、外部情報入出力装置19は、図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を受信したり、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)サービス用の固定局から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。この受信した情報はナビ制御回路30へ送られて処理される。また、外部へ情報を発信できるようにもされている。
【0018】
次に、操作スイッチ群20としては、表示装置26と一体に構成され表示画面上に設定されるタッチスイッチもしくは表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。
また次に、地図データ入力器22は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む各種データを記憶媒体から入力するための装置である。記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMを用いるのが一般的であるが、例えばDVDやメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
【0019】
道路データは、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したものであって、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)のデータからなるリンク情報を記憶している。
【0020】
また、地図データには、このような道路データ以外に、住所や交差点、施設を示す文字・記号等で構成される表示アイテムデータも含まれている。この表示アイテムデータは対応する位置情報を有しており、道路地図上の該当位置にこれら表示アイテム(を構成する文字・記号)を重ねて表示させることができる。またここで言うところの施設は、地図上に表示可能な施設であって、施設ジャンル及び地図上に表示する場合の施設位置等を含んでいる。施設のジャンルとしては、公共施設と一般施設という大まかな分類をはじめとして、さらに種別毎の分類もされている。例えば空港やゴルフコース、あるいは公園のように建物も含むある程度広いエリアを示すものや、ホテル、病院、市役所、図書館等のように主に建物自体を指すもの、さらにはATM(Automatic Teller Machine)のように主に小型の装置を指すような施設種別も存在する。比較的その数が多いと思われるのは、コンビニエンスストア、レストラン、ATM、ガソリンスタンド、ホテルなどが挙げられる。また、これら種別単位での分類に加え、さらに同種の施設同士を区別可能な情報まで設定されている。それは例えばコンビニエンスストアであれば、その会社名などである。
【0021】
表示装置26はカラー表示装置であり、その画面には、位置検出器12にて検出した車両の現在地を示すマークと、地図データ入力器22より入力された道路データと、更に地図上に表示する案内経路、名称、目印等の付加データとを重ねて表示することができる。
【0022】
次に、ナビ制御回路30は、CPU,ROM,RAMからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、位置検出器12からの各検出信号に基づいた車両の現在位置、及び地図データ入力器22を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示画面上に表示する処理や、地図データ入力器22に格納された施設索引データに基づき、操作スイッチ群20やリモコンの操作に従って目的地となる施設を選択する目的地選択処理、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に選択し、この選択された経路に従って案内を行う経路案内処理等のいわゆるナビゲーション処理を実行する。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0023】
また、ナビ制御回路30は、所定の処理を実行することにより、通信装置18を介して、外部の情報配信センタ4へ情報の配信要求をすることができ、その要求に応じて情報配信センタ4から配信された施設情報を受信し、外部メモリ24へ格納する。上述した住所などは基本的に変更されないデータであるが、施設の場合は変更される頻度が相対的に高いので、施設データに関しては、更新あるいは追加されたデータを取得して外部メモリ24に記憶させるようにした。そのため、この外部メモリ24には不揮発性メモリを用い、また書換可能なメモリを用いる。
【0024】
続いて、ナビ制御回路30が実行する文字拡大/縮小に係る処理について、図2のフローチャートに従い、図3、図4も参照して説明する。
図2の処理は、表示装置26に地図が表示されていることが前提となる。この場合の「表示対象の地図」の指示は、例えば利用者が自ら表示させたい地域の地図を指示してもよいし、あるいは現在地周辺地図を自動的に表示する処理に委ねてもよい。現在地周辺地図を自動的に表示する場合には、位置検出器12からの信号により車両の現在地を算出し、現在地周辺地図を地図データ入力器22を介して記憶媒体(例えばCD−ROMやDVD)から読み出す。そして、道路地図に重ねて表示アイテムを表示する。もちろん、更新された施設に関しては、外部メモリ24内のデータも加味して表示する。なお、表示アイテムは文字や記号で構成されると説明したが、以下の説明では理解を簡単にするため記号は扱わず、文字についてのみ考えることとする。そして本実施例では、文字サイズのデフォルト状態として標準サイズを採用する。文字サイズを標準で表示した例を図3(b)に示す。なお、図中に表示される文字列(昭和町、交差点、GS、銀行、郵便局など)が表示アイテムである。
【0025】
図2の最初のステップでは、文字の拡大あるいは縮小が指示されたか否かを判定する(S10)。なお、この文字の拡大/縮小は、操作スイッチ群20やリモコンを操作することでユーザが指示できるようにされている。いずれの指示もない場合は、そのまま本処理を終了するが、文字の拡大が指示された場合には、既に表示されている表示アイテムを構成する文字の拡大表示準備をする(S20)。つまり、図3(b)に示した全てのアイテムについて、文字サイズを拡大して表示するための準備を行う。
【0026】
そして、文字重なりが発生するか否かを判断する(S30)。文字重なりの判定手法は種々のものが考えられるが、例えば表示アイテムを構成する文字列に外接する矩形領域を計算し、その矩形同士が重なるかどうかで判定する手法が考えられる。図3(a)に示した「昭和町」などの表示アイテムは文字サイズが拡大された状態であるが、このS30では、例えば図3(b)に矢印b1で示した「交差点」という表示アイテムについても拡大表示した場合の矩形領域を想定し、それが拡大表示した「昭和町」の表示アイテムの矩形領域と重ならないか否かを判定するのである。なお、この場合の両者は文字重なりが発生している状態である。このような判定を、全ての表示アイテムに関して行う。
【0027】
そして、文字重なりが発生している場合には(S30:YES)、優先すべき表示アイテムの表示準備を行う(S40)。いずれを優先すべきかについては、図4(a)に示すテーブルを参照して判断する。図4(a)のテーブルは、表示アイテムの種別とそのランクとの対応関係を示すものであり、ここでは、表示アイテムの種別である住所・交差点・公共施設・一般施設に対して、それぞれランクが1・2・3・4と設定されている。ここではランクの優先順位が1>2>3>4となっており、例えば図3(b)に示す「昭和町」という表示アイテムは住所であるためランク1であり、矢印b1で示す「交差点」という表示アイテムはランク2である。そのため、文字拡大した両者に文字重なりが生じた場合には、ランク1の「昭和町」を優先して表示する(図3(a)参照)。
【0028】
同様に、図3(b)に矢印b4,b6で示す「交差点」という表示アイテムは、文字拡大した場合に「相生町」「桜町」という表示アイテムとそれぞれ文字重なりが生じるので、ランク1の「相生町」「桜町」を優先して表示する(図3(a)参照)。また、図3(b)に矢印b2で示す「銀行」という表示アイテムは一般施設でランク4、矢印b3で示す「郵便局」という表示アイテムは公共施設でランク3である。そのため、文字拡大した場合にそれら両者と文字重なりが生じるランク1の「中山町」を優先して表示する(図3(a)参照)。また、図3(b)に矢印b5で示す「GS(ガソリンスタンド)」という表示アイテムは一般施設でランク4である。そのため、文字拡大した場合にランク1の「相生町」あるいはランク2の「交差点」のいずれかと文字重なりが生じるため、いずれにしてもそちらが優先表示される(図3(a)参照)。
【0029】
一方、文字重なりが発生しない場合には(S30:NO)、既表示文字を全て拡大表示できるので、S40のような、いずれの表示アイテムを優先するかという判断はせず、全表示アイテムの表示準備を行う(S50)。S40又はS50の処理後はS110へ移行し、表示すべき表示アイテムを指定の文字サイズで描画する。
【0030】
次に、文字縮小の指示がされた場合について説明する。文字縮小指示がされると、既に表示されている表示アイテムを構成する文字の縮小表示準備をする(S60)。つまり、図3(b)に示した全ての表示アイテムについて、文字サイズを縮小して表示するための準備を行う。
【0031】
文字サイズを縮小して表示することでスペースが生じるが、そのスペースに表示する表示アイテムがあるか否かを判断する(S70)。表示する表示アイテムがなければ(S70:NO)、そのままS110へ移行するが、表示する表示アイテムがあれば(S70:YES)、S80へ移行して、文字重なりが発生するか否かを判断する。そして、文字重なりが発生する場合は(S80:YES)、優先すべき表示アイテムの表示準備を行い(S90)、文字重なりが発生しない場合には(S80:NO)、全て拡大表示できるので、縮小表示で生じたスペースに新規に表示するものも含め、全ての表示アイテムの表示準備を行う(S100)。S90での優先すべき表示アイテムの判定手法は、S40の場合と同様である。
【0032】
例えば、図3(c)に矢印c1〜c5で示す表示アイテムは、図3(b)の状態では未表示であったものであるが、S90あるいはS100の処理を経てS110にて描画されたものである。例えば、矢印c1で示す「交番」という表示アイテムは公共施設でランク3であり、ランク2の「交差点」よりも優先順位が低いために未表示であったが、文字が縮小されたため、表示しても「交差点」と重なることがないために、新規に表示されている。同様に、矢印c2で示す「銀行」、矢印c3及びc4で示す「コンビニ」、矢印c5で示す「交差点」は、それぞれランクの高い他の表示アイテムが存在していたために未表示であったが、文字の縮小に伴って新規に表示されている。なお、図3(c)においては表示されていない表示アイテムも存在する可能性はある。つまり、文字サイズを縮小したとしても、文字重なりが発生し、且つ重なる相手よりもランクの低い表示アイテムの場合には、表示されない。その場合、さらに文字サイズを縮小すると、表示アイテム同士の重なりがなく、新規に表示される可能性がある。
【0033】
以上説明したように、本実施例のナビゲーションシステム1によれば、図3(b)→図3(a)の遷移に示すように、道路地図上に表示されていた表示アイテムの文字サイズが大きくされることによって表示アイテム(を構成する文字)同士の重なりが生じる場合には、表示アイテムのランク(図4(a)参照)に基づいて優先順位の高い表示アイテムを優先して表示する。そのため、優先度の高い表示アイテムの視認性が向上し、視認性を優先したいユーザにとって好ましい表示態様となる。例えば高齢者などの視覚特性が低下しているユーザにとっては、たとえ情報量は犠牲にしても文字サイズが大きい方がよい場合もあるので、そのようにして視認性を良くできる。
【0034】
一方、図3(b)→図3(c)の遷移に示すように、表示アイテムの文字サイズが小さくされることによって生じたスペースに、それまで表示されていなかった表示アイテムを表示させ、情報量豊かな表示内容とすることができるため、情報性を優先したいユーザにとって好ましい表示態様となる。例えば、本ナビゲーションシステム1を用いて経路案内をしている場合を想定する。目的地への走行中であれば、大まかな住所・交差点・交差点付近に存在して目印となり易い施設ぐらいが分かればよく、表示を凝視せずに一瞥しただけで表示内容が把握できる程度の文字等サイズが好ましい。そのため、例えば図3(b)のような標準サイズの文字による表示アイテム表示がよい。しかし、目的地近くに来た場合、目的地を正確に探すためには、細かな住所や交差点付近以外であっても何らかの目印となり得るものがあれば表示するのが好ましいと考えられる。そして、一旦停車して確認するのであれば、表示を凝視できるため文字サイズを小さくしても構わない。そのため、例えば図3(c)のような小さな文字サイズによる表示アイテム表示がよい。
【0035】
このように、道路地図上に表示される表示アイテムに関し、視認性と情報性を加味して状況に応じた適切な表示態様を実現することができる。
なお、以上の説明においては、記号は扱わず、文字についてのみ考えた。しかし、記号に関しても文字と同様に表示アイテムとして扱ってもよい。例えば郵便局と文字の代わりに「〒」という記号を表示したり、交差点という文字の代わりに信号機のマークを表示したり、あるいはランドマークやロゴマークと呼ばれるマーク類を表示したりするなどである。なお、文字と記号の両方を表示できる物の場合には、両者を併用しても良いし、いずれか一方のみでもよい。
【0036】
[別実施例]
(1)上記実施例においては、優先順位の高い表示アイテムを優先して表示するため、優先順位の低い表示アイテムを表示しないようにした。しかし、なるべく情報量を多くしたい場合には、優先順位の高い表示アイテムの方を優先順位の低いものに重ねて表示するようにしてもよい。但し、視認性は相対的に低下するので、自動的にそのような表示態様にするのではなく、操作スイッチ群20やリモコンを操作することでユーザが指示できるようにすればよい。
【0037】
また、優先順位の高い表示アイテムを優先して表示する手法としては、優先順位の低い表示アイテ優先順位の低い表示アイテムの表示位置を移動させたり、文字サイズを小さくすることも考えられる。
(2)優先して表示させたい表示アイテムがユーザの特性によって異なることが考えられる。例えば一般的には、図4(a)に示すように住所→交差点→公共施設→一般施設といった優先順位の設定が考えられるが、ユーザによっては公共施設よりも一般施設を優先して表示させた方がよいと考える場合もある。そのため、図4(a)に示す種別とランクとの対応をユーザが変更設定可能にしておけば、ユーザは自分にとって都合のよい順位を付けられるので、より使い勝手がよくなる。この変更操作に際しては、例えば図4(a)に示すようなテーブルを表示装置26に表示し、ランクの数値をユーザが変更設定できるような仕様にしておくことが考えられる。
【0038】
(3)表示アイテムに関しては、上記実施例では施設の種別として公共施設と一般施設という大まかな分類しかしなかったが、もっと細かな分類をしてもよい。例えば一般施設を構成するコンビニエンスストアやガソリンスタンドといった中程度の分類、さらにコンビニエンスストアを構成する各会社名による細かな分類にすることなどが考えられる。この場合のランク付けに関しては、例えば中程度の分類を基準として、コンビニエンスストアであればどの会社のものかを問わずに同じランクを設定してもよいし、さらに細かな分類を基準として、特定の会社のコンビニエンスストア単位でランク付けしてもよい。あるいは、さらに特定の会社のコンビニエンスストアであっても、特定の場所に存在するもののランクだけを他よりも高くすることも考えられる。つまり、目印としていつも利用する固有の施設があれば、そのランクは高くしておくことが好ましいからである。
【0039】
(4)また、文字のサイズを優先順位に応じて変更設定できるようにすれば、優先順位の高い情報に対する視認性を確保しながら、情報性に関してもそれなりに確保できる。例えば図4(c)に示すような表示アイテムの種別と文字サイズの対応関係を示すテーブルを準備しておく。この例では住所の文字サイズは「大」、交差点の文字サイズは「中」、GSと銀行の文字サイズは「小」とした。その場合の表示例を図4(b)に示す。
【0040】
(5)上記実施例では、ナビゲーションシステム1に適用した例を挙げて説明したが、その用途に限定されることなく、例えば移動通信端末やパーソナルコンピュータなどにおいて地図を表示させる場合であっても適用することもできる。このような装置においてもユーザによっては文字サイズを変更させたい場合があるからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 実施例のナビ制御回路にて実行される文字拡大/縮小に係る処理を示すフローチャートである。
【図3】 文字サイズを大・標準・小で表示した例を示す図である。
【図4】 (a)は、表示アイテムの種別とそのランクとの対応関係を示すテーブル、(b)は表示アイテムの種別毎に文字サイズを変えた場合の表示例、(c)は(b)の場合の表示アイテムの種別とその文字サイズの対応関係を示すテーブルの説明図である。
【符号の説明】
1…ナビゲーションシステム、4…情報配信センタ、12…位置検出器、12a…GPS受信機、12b…ジャイロスコープ、12c…車速センサ、12d…地磁気センサ、18…通信装置、18a…無線電話装置、18b…モデム、19…外部情報入出力装置、20…操作スイッチ群、21…リモコンセンサ、22…地図データ入力器、24…外部メモリ、26…表示装置、30…ナビ制御回路

Claims (3)

  1. 道路地図上に文字・記号等から構成される表示アイテムを重ねて表示可能であり、且つ前記表示アイテムの文字・記号サイズを変更可能な地図表示装置であって、
    前記道路地図の縮尺を変更して表示可能であり、その縮尺を変更せず前記表示アイテムの文字・記号サイズのみを変更可能であり、
    それまで表示されていた表示アイテムの文字・記号サイズが小さくされた場合、そのことによって生じたスペースに、それまで表示されておらず且つ当該スペースに表示可能な表示アイテムを表示させること
    を特徴とする地図表示装置。
  2. 請求項1記載の地図表示装置において、
    前記表示アイテムの文字・記号サイズは、前記優先順位に応じて変更設定可能であること
    を特徴とする地図表示装置。
  3. 請求項1又は2に記載の地図表示装置における前記表示アイテムの文字・記号サイズの変更及び表示制御に係る処理をコンピュータシステムにて機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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