JP3833108B2 - 車両用ドアサッシュ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアサッシュに関するものであり、特に、一枚の金属片を基礎に、ロール成形手段にて一体的に成形するようにするとともに、ドアサッシュの曲げ加工の際に、溝部の先端部のところが内側に倒れ込むのを抑止するようにした、特殊な横断面形状を有する車両用ドアサッシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用ドアサッシュは、例えば図3に示すように、その横断面形状がガラスランチャンネルを保持する溝部30と、当該溝部30の背面側に設けられるものであってウェザストリップの収容されるリテーナ部50と、車体側のウェザストリップと接触するように形成されたフレーム部20と、からなるものであって、これらが一枚の板材を基礎にロール成形手段等にて一体的に形成されるようになっているものである。そして、このような構成からなる各部20、30、50が、それぞれの底面部において結合されるとともに、上記溝部30及びリテーナ部50の外側には意匠面を形成することとなるフランジ部40が一体的に形成されるようになっているものである。そして更に、このように一体化されたドアサッシュ型材10が、図4に示すように曲げ加工等が施されることによって、ドアサッシュ100が形成されるようになっているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなドアサッシュ型材10が、図4に示すような曲げ加工を施されると、図3に示す溝部30の先端部320、340のところが内側に倒れてガラスランチャンネルの収容される溝部30の開口幅(A)が狭くなってしまうと言う問題点がある。このような問題点を解決するために、一枚の短冊状板材を基礎に、ロール成形手段にて一体的に成形するようにするとともに、ドアサッシュ型材の曲げ加工の際に、上記のような溝部の開口部が内側に倒れ変形するのを抑止するようにした特殊な横断面形態からなるドアサッシュを提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、ガラスランチャンネルの収納される溝部と、当該溝部の背面側に設けられるウェザストリップ保持用のリテーナ部と、これらリテーナ部及び溝部の側壁の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部と、上記溝部の上記フランジ部とは反対側の側壁側に設けられるフレーム部と、からなる車両用ドアサッシュに関して、上記溝部のフランジ部側の内壁のところであってその先端部のところに上記フランジ部の幅方向に所定の幅を有するとともに上記溝部内側に膨出するように形成された平面部を有し、更に、上記溝部のフレーム部側の内壁のところであってその先端部のところに上記フランジ部側に設けられた平面部と対向するように形成されるものであって上記溝部の内側に膨出するように形成された膨出部を有し、このようなフレーム部の横断面形態に関して、上記溝部側とは反対の面側のところに、外側に凸状に張出すように形成されるものであって円弧状の形態からなる突出部を有するようにし、このような横断面形状を有するものが一枚の短冊状板材を基礎にロール成形手段にて一体的に成形されるようにした構成を採ることとした。
【0005】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては次のような作用を呈することとなる。すなわち、本車両用ドアサッシュを形成する、その基本となるサッシュ型材は、一枚の短冊状板材を基礎にして、ロール成形手段にて一体的に形成されるとともに、ガラスランチャンネルの収納される溝部の両側に形成されるフランジ部側及びフレーム部側の両側壁のところには平面部及び膨出部が設けられるようになっていることより、ドアサッシュを曲げ加工した場合に、曲げ部の断面形状に大きな変形を生じさせないようにすることができるようになる。すなわち、閉断面形態からなる膨出部及び平面部を設けるようにしたことによって溝部周りの剛性が高められ、ドアサッシュの曲げ部のところにおいて、溝部の開口部が内側に倒れ込むように変形するのを抑止することができるようになる。その結果、断面形状を一定状態に保ったまま、円滑に曲げ加工を施すことができるようになる。
【0006】
また、本発明のものにおいては、次のような作用を呈することとなる。すなわち、ドアサッシュのフレーム部の全体剛性を向上させることができるようになり、このような型材の曲げ加工時に、フレーム部のところにへこみやヒケを生じさせないようにすることができるようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1及び図2を基に説明する。本発明の実施の形態に関するものの、その構成は、図1に示す如く、ガラスランチャンネルの収納される溝部3と、当該溝部3の背面側に設けられるものであってウェザストリップの装着(取付)に供せられるリテーナ部5と、これら溝部3とリテーナ部5との間に設けられるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部4と、上記溝部3の上記フランジ部4側とは反対の側に形成されるものであって車体側に設けられるウェザストリップ等と接触するフレーム部2と、からなることを基本とするものである。そして、このような構成からなる各部2、3、5が、一枚の短冊状板材を基礎に、ロール成形手段にて一体的に成形され、更には、上記溝部3の底面部39とリテーナ部5の底面部59とがスポット溶接手段9にて接合されることによって、一定横断面形態からなるサッシュ型材1が形成されるようになっているものである。なお、このようなサッシュ型材1を形成する素材としては冷間圧延鋼板が採用されるようになっている。
【0008】
このような構成からなる溝部3は、その内側の側面部に側壁32a、34aを有するとともに、全体が略コ字状の形態を有するようになっているものである。そして、この溝部3のフランジ部4側の内壁34a側のその先端部のところには上記フランジ部4の幅方向に所定の幅を有するように形成された平面部34が設けられるとともに、フレーム部2側の内壁32aのところには、上記平面部34に対向するように形成されるものであって溝部3の内側に突出するように形成された膨出部32が設けられるようになっている。このような所定の幅を有する平面部34及び膨出部32を設けることによって、本サッシュ型材1の曲げ加工時に上記溝部3の開口先端部のところが内側に倒れるのを抑止するようにしているものである。
【0009】
次に、フレーム部2は、このような構成からなる上記溝部3の内壁32a側に設けられるものであって、所定の断面形状を有するように形成されるとともに、本フランジ部2を形成するのに寄与した後の余りの部分である短冊状板材の端末部25が上記溝部3の底面部39とリテーナ部5の底面部59との間に挟まれるようになっているものである。そして、このような断面形状からなるものにおいて、上記溝部3側とは反対側のところには、略円弧状の形態からなる円弧状突出部21が形成されるようになっている。なお、この円弧状突出部21は、図1に示すように全体が大きな円弧となるように形成されるようなものであってもよいが、この他に、例えば図2に示す如く、中央にわずかな平面部211を有し、その両側のところが所定の曲率半径を有する円弧状突出部21に連結されることによって形成されるようなものであってもよい。このような構成からなるフレーム部2が、本サッシュ型材1の内側に形成されることによって、ドアサッシュ全体の剛性が確保されるようになる。従って、車体側に設けられたウェザストリップと本フレーム部2の上記円弧状突出部21とが接触(戸当り)した場合に、当該ウェザストリップ側からの戸当り力は本フレーム部2の突出部(円弧状突出部)21に入力するようになる。そして、その力(荷重)はフレーム部2の全体へと分散されるようになり、戸当たり面がへこんだりするようなことがない。また、後に述べる曲げ加工時において上記円弧状突出部21が内側にへこんだりするようなこともない。
【0010】
また、上記溝部3とリテーナ部5との間には、溝部3の外側及びリテーナ部5の外壁を形成するようにフランジ部4が設けられるようになっている。そして、このフランジ部4は、ドア外板面の一部をなすようになっているものである。従って、その外表面部は、見栄えのよい面を形成するものであることが要求され、本サッシュ型材1が曲げ加工を受ける際に、最も仕上げ面加工度が要求される部分である。
【0011】
また、リテーナ部5は、上記溝部3の底面部39と接合される底面部59の一方側(フランジ部4側)に側壁54aが設けられるとともに、他方側には、先端部を折り返すように形成されたフック部51が設けられるようになっているものである。そして、側壁54aに設けられた突出部52と、上記フック部51にてドア側ウェザストリップが保持されるようになっているものである。
【0012】
次に、このような構成からなる本サッシュ型材1を用いた車両用ドアサッシュの製造工程(方法)について説明する。まず、一枚の短冊状板材(金属製ストリップ材)を所定のロール駒等の設置されたロール成形機に投入し、図1に示すような一定の横断面形状を有する溝部3、リテーナ部5、及びフランジ部4、更にはフレーム部2からなるサッシュ型材1を一体成形する。
【0013】
更に、このようにして形成されたサッシュ型材1を基礎に、例えば図4に示すような曲げ加工等を施すことによって、所定の形態からなる車両用ドアサッシュが形成されることとなる。すなわち、サッシュ型材1に曲げ加工を施すことによって、所定の横断面形状を有する車両用ドアサッシュが形成されることとなる。そして、上記溝部3の両側に設けられた膨出部32及び平面部34により、溝部3の両側壁32a、34aが補強されるようになっているので、本型材1の曲げ加工時に、溝部3の開口先端部が内側に倒れ込むのが抑止されるようになる。また、本サッシュ型材1の各断面部にはヒケ等が発生することもなく、正常な断面形状を維持することができるようになる。これによって、外観の見栄えが損なわれることもなく、また、ガラスランチャンネルの保持力が低下するようなこともない。
【0014】
また、フレーム部2のところにおいても、その断面形状において、つぶれやヒケ等が生じないようになり、見栄えの良い断面形状を維持した状態でドアサッシュが形成されることとなる。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラスランチャンネルの収納される溝部と、当該溝部の背面側に設けられるウェザストリップ保持用のリテーナ部と、これらリテーナ部及び溝部の側壁の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部と、上記溝部の上記フランジ部とは反対側の側壁側に設けられるフレーム部と、からなる車両用ドアサッシュに関して、上記溝部のフランジ部側の内壁のところであってその先端部のところに上記フランジ部の幅方向に所定の幅を有するとともに上記溝部内側に膨出するように形成された平面部を有し、更に上記溝部のフレーム部側の内壁のところであってその先端部のところに上記フランジ部側に設けられた平面部と対向するように形成されるものであって上記溝部の内側に膨出するように形成された膨出部を有する横断面形状からなり、このような横断面形状を有するものが一枚の短冊状板材を基礎にロール成形手段にて一体的に成形されるようにした構成を採ることとしたので、ドアサッシュとしてサッシュ型材を曲げ加工を施したときに、溝部の、その開口端部のところが内側に倒れるのを抑止することができるようになった。その結果、正常な横断面形状を有するドアサッシュを効率良く形成(製造)することができるようになった。
【0016】
また、フレーム部の断面形態を、その横断面形態において上記溝部側とは反対の面側のところに、外側に凸状に張出すように形成されるものであって円弧状の形態からなる突出部を有するようにしたので、ドアサッシュを形成させるために曲げ加工を施したときに、上記フレーム部のところに、ヒケやへこみ等が生じないようになり、見栄えの良いドアサッシュを形成させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるドアサッシュ型材の横断面形状を示す図である。
【図2】本発明にかかるドアサッシュ型材についての他の例を示す横断面図である。
【図3】従来例にかかるドアサッシュ型材の横断面形状を示す図である。
【図4】ドアサッシュ型材に曲げ加工を施してドアサッシュを形成するその手順を示す図である。
【符号の説明】
1 サッシュ型材
2 フレーム部
21 円弧状突出部
211 平面部
25 端末部
3 溝部
32 膨出部
32a 側壁
34 平面部
34a 側壁
39 底面部
4 フランジ部
5 リテーナ部
51 フック部
52 突出部
54a 側壁
59 底面部
9 スポット溶接手段
Claims (1)
- ガラスランチャンネルの収納される溝部と、当該溝部の背面側に設けられるウェザストリップ保持用のリテーナ部と、これらリテーナ部及び溝部の側壁の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部と、上記溝部の上記フランジ部とは反対側の側壁側に設けられるフレーム部と、からなる車両用ドアサッシュにおいて、上記溝部のフランジ部側の内壁のところであってその先端部のところに上記フランジ部の幅方向に所定の幅を有するとともに上記溝部内側に膨出するように形成された平面部を有し、更に、上記溝部のフレーム部側の内壁のところであってその先端部のところに上記フランジ部側に設けられた平面部と対向するように形成されるものであって上記溝部の内側に膨出するように形成された膨出部を有し、このようなフレーム部の横断面形態に関して、上記溝部側とは反対の面側のところに、外側に凸状に張出すように形成されるものであって円弧状の形態からなる突出部を有するようにし、このような横断面形状を有するものが一枚の短冊状板材を基礎にロール成形手段にて一体的に成形されるようにしたことを特徴とする車両用ドアサッシュ。
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