JP3832581B2 - Rc造用ブレースレス耐震補強工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はRC造用ブレースレス耐震補強工法に係り、詳しくは、窓等の開口部を備えた鉄筋コンクリート造に鉄骨を取りつけて一体化し、耐震性能の劣るRC建築物を強化するようにした鉄骨ラーメン外付け耐震補強工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐震性能の劣るRC建物を補強しようとする場合、柱サイズを大きくする方法がしばしば採用される。これは図12の(a)に示す既存RC柱50に対して、(b)のように鉄筋コンクリート51で取り巻いたり、(c)のように鉄板52を巻くという要領で行われる。しかし、これは橋脚のように全側面に対して施工できる場合に限られる。
【0003】
他の補強法として、すじかいを使用する方法が挙げられる。この補強法は、全側面取り巻き施工不可能な柱を有した校舎や集合住宅もしくはオフィスビルなどを外壁面から補強する場合に適用することができる。すなわち、柱と柱およびその間の左右に連なる梁で構成される格子構造をブレースで強化しようとするものである。
【0004】
しかし、既存のRC造では、RC柱とRC梁にブレースを直接掛け渡すことは不可能であるので、枠組構造が導入される。図13の(a)はブレース53の取りついた鉄骨枠組54を使用する内付けタイプであり、(b)は壁面外側に鉄骨枠組55を取りつける外付けタイプである。このような鉄骨ブレース型は工期が短いことや重量増加が少ないことなどの理由で、現在では主流となっている。そのうち、既設建物の窓、腰壁、たれ壁等の撤去を伴わない外付け工法が大幅な工期短縮を実現することもあって著しく増えてきている。
【0005】
特開平11−193639号公報にはその種の外付け工法が開示され、施工の便の図られることが説明されている。このような補強構造においては、ブレースを配することにより鉄骨枠組の安定を得ている。すなわち、RC柱とRC梁に鉄骨枠組を外側から当てがって一体化し、これにブレースを取りつけておいて、ブレースによる補強効果がRC造に及ぶようにしている。
【0006】
これによれば、居ながら施工も可能となる利点がある。また、外面が単調なことの多い古い集合住宅等では、H形鋼フレームが外壁面に現れ却ってシャープな印象を与えたり、施色により適度なアクセントを持たせることになって、デザイン改質に寄与する場合もある。さらに、外径を著しく小さくした二重管鋼管ブレース(例えば特開平11−193570号公報を参照)を採用するなどすれば、そのスマートな外観から建物に軽快感を発現させることもできる。
【0007】
このように鉄骨枠組にブレースを入れているのは、鉄骨がRC柱等よりも柔らかいため、ブレースのない枠組ではRC造の補強として効き目が極めて弱いとの認識に立っているからに外ならない。すなわち、現在の建築業界では、RC造の補強にブレースは絶対に欠かせないという思想が広く行き渡っている。
【0008】
ところで、ブレースを使用するなら枠組を形成する鉄骨は強いものである必要がなく、従って敢えて小断面としておいても差し支えない。その一方で、組み込むべきブレースの性能を如何に上げるかということが重要となり、その点の工夫や開発に力が注がれているのが現状であると言える。
【0009】
これから分かるように、枠組はブレースを取りつけるための足掛かり的なものであり、強いて言えばブレースを取りつけるための補助材として機能しているに過ぎない。鉄骨骨組はRC骨組に比べれば柔らかいものであり、その鉄骨骨組ではRC造を補強するというようなことはできず、上記したように、補強のためにブレースを介在させることは欠かせないとするのが常識となっている。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−193639号公報(第4−5頁、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ブレース構造とした場合、ブレースの応力はそれが取りつけられている鉄骨の柱や梁へと移っていくが、ブレース構造は水平剛性がラーメン型構造に比べて例えば50ないし100倍と極めて高い。ところで、通常、建物では床スラブが梁を拘束しているので、水平荷重を受けたRC造56の変形は、図14の(a)に示すように、主としてRC柱57で起こる。
【0012】
しかし、図13の(b)に示すように、そのRC造56に鉄骨枠組55を取りつけた場合、鉄骨枠組の方がRC造より剛性が高いため、RC造より多くの水平力を負担することになる。ちなみに、図15から分かるように、柱・梁交差部以外の箇所、例えば鉄骨梁58にのみに固定されたガセットプレート59aのところでは集中的に水平力をRC梁60に伝達することになる。この場合、鉄骨枠組55からRC梁60への応力伝達はそのガセットプレート59aを基点に矢印Bのような分布になり、次に述べるスタッドジベル等の負担が局部的に大きくなることが分かる。
【0013】
鉄骨枠組55とRC柱57やRC梁60とは、その対面する接合空間にケミカルアンカーやスタッドジベルが配された後に、モルタルやコンクリートを打設して一体化が図られる。ブレース53で補強された鉄骨枠組55の鉄骨柱61とRC造56のRC柱57の水平剛性差により負担する水平力の差が大きいと、接合空間を埋めるコンクリートなどに無理な力が掛かる。すなわち、ケミカルアンカー等による力のやり取りが大きくなって接合部位が損傷し、それが損壊すれば枠組による補強機能は減殺されてしまう。
【0014】
そのブレース自体は、集合住宅の補強のために使用される場合、工業的には洗練されたように仕上げられていても、窓の直ぐ外にあれば目障りとなり開放感が阻害されることは言うまでもない。一つの建物の中でブレースが取りつかない区画の戸との間に不公平が出るのは避けられず、集合住宅の耐震補強がほとんどの場合手つかずとなっているのはこの点にもあると言われている。
【0015】
ちなみに、ブレースを鉄骨枠組に組み込む場合、ガセットプレート59の使用は避けられない。その際、鉄骨梁58に対するガセットプレート59aの取付部近傍は、交差部のガセットプレート59bより多くの鋼材を使用するなどしてより強く補強しておかなければならない。耐震補強を必要とするのは古い建物でスパンの短いものが多いために枠組は小さくなることが多い。その場合鉄骨の使用量の割りにはガセットプレートや補強プレート等の鋼材の二次的使用率が増大するという不経済な面もあることは否定できない。
【0016】
本発明は上記した問題に鑑みなされたもので、その目的は、鉄骨枠組によって外付け補強した場合でも、ブレースの取りつけを避けて窓等の開放感を阻害しなく、建物の外観もすっきりしたものにできること、地震等によって大きな水平荷重が繰り返して作用した場合でも、既存RC造と鉄骨枠組とが一体化した状態を可及的に長く維持させ、それによって倒壊に到るまで鉄骨枠組による補強効果で水平耐力を倍加し、大地震時の早期倒壊を回避すると共に二次的な鋼材の使用を可及的に少なくし、耐震補強工事の簡便化や低廉化を促すことができるようにしたRC造用ブレースレス耐震補強工法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、窓等の開口部を備えた鉄筋コンクリート造の外面に鉄骨を取りつけて一体化し、これによって鉄筋コンクリート造を爾後的に強化する耐震補強工法に適用される。その特徴とするところは、図1を参照して、鉄骨が外壁面に位置する既存RC柱5およびその左右方向に延び鉛直荷重を支持する既存RC梁8に取りつけられるH形鋼フレーム3であって、それに形成された枠組にはブレースが設けられない。既存RC柱5に取りつけられるH形鋼柱4には、ブレース構造が持つ曲げ剛性に比べれば既存RC柱5と略同等の大きさとみなすことができる曲げ剛性を有するものが選定される。これによって、地震などにより既存RC梁8やH形鋼梁6から水平荷重を受けたとき既存RC柱5とH形鋼柱4とを同程度に変形させ、両者の接合部位9(図2を参照)で付加的に発生する応力を可及的に小さく抑えると共に、RC柱5が降伏してもその後の変形を抑制しつつ、RC柱・H形鋼柱複合体10の擬弾性変形域をH形鋼柱4のそれに匹敵するまで確保し、かつ水平耐力を増大させておくようにしたことである。
【0018】
図2の(a)に示すように、H形鋼柱4は、そのウエブ4wがRC柱側へ寄せられた溶接H形材としておくことが好ましい。また、(b)に示すように、RC柱5に取りつけられるH形鋼柱4にはそのウエブ4wの外面側にフープ筋22が溶接され、主筋23を組んでモルタルまたはコンクリート24を打設することにより、曲げ剛性を増強しておく。
【0019】
H形鋼柱4には低降伏点鋼が採用され、補強柱の曲げ剛性を低下させることなく降伏曲げ耐力のみを低減し、既存RC柱5の2ないし4倍程度で降伏を開始させることにより、大地震時の塑性化を促して応答応力を小さくできるように配慮しておくこともできる。
【0020】
図9に示すように、H形鋼柱4のウエブ4wの外面側には、このH形鋼柱4が取りつけられる既存RC柱5に連なり外壁面に直交して前後方向へ延びる室内RC梁26Aもしくは耐震壁26Bと芯合わせされる位置で、平面矢視T形をしたT形鋼材25の脚25aの端が全階上下に連なるように接続され、建物の三次元的補強をできるようにしておく。
【0021】
T形鋼材25Aは各戸のベランダ27の幅と同じ長さの張り出し量を有したものとしておく。
【0022】
図11の(c)に示すように、室内RC梁26Aもしくは既存耐震壁上のRC梁には、その両側に高強度流動化コンクリート30またはモルタルが打設され、アンボンドPC鋼棒31によりポストテンションを与えて所望する梁端曲げモーメントを確保し、結果として必要な水平耐力が得られるようにしておく。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るRC造用ブレースレス耐震補強工法を、その実施の形態に基づて詳細に説明する。これは、窓等の開口部を備えた鉄筋コンクリート造の外壁面に鉄骨を取りつけて一体化し、これによってRC造を爾後的に強化するようにしたものである。この工法によれば、居ながら施工が可能となることは言うまでもないが、本発明において特筆すべきは、H形鋼フレームのH形鋼柱にコンクリート造のRC柱と略同等の大きさの曲げ剛性を有するものが選定される。
【0024】
すなわち、0%として基準にしたRC柱と同じもしくはその−70%ないし+200%内の大きさの曲げ剛性を持たせ、曲げ剛性がRC柱の50ないし100倍にも当たる極端に大きいブレース構造を採用しなくてよいようにしたことである。従って、既存RC柱に取りつけられるH形鋼柱には、ブレース構造が持つ曲げ剛性に比べれば既存RC柱と略同等の大きさとみなすことができる曲げ剛性を有するに過ぎない。
【0025】
図1はRC造1の中間の或る階における窓2の存在する区画の外壁面にH形鋼フレーム3を取りつけた状態を示す。これには、上記したごとくブレースが配されていない。そのH形鋼フレーム3のうち柱を形成する鉄骨4は外壁面に位置する既存RC柱5に取りつけられ、梁を形成する鉄骨6はRC柱5の左右方向に延び外壁7などからの鉛直荷重を含めて支持する既存RC梁8に取りつけられているのみである。
【0026】
このH形鋼柱4とH形鋼梁6とからなるH形鋼フレーム3は、ブレースを備えないからと言って、ブレースで補強されたのと同じくらいの強さを備えた剛強な鉄骨枠にしようとするものではない。既存RC柱5に取りつけられるH形鋼柱4は、既存RC柱と略同等の大きさの曲げ剛性を有する程度のものが選定されるという特異な配慮が払われているのであり、RC柱と同程度の変形を呈する鉄骨柱(これはブレース骨組に比べれば格段に柔らかい)でRC造を補強しようとしている点に注目すべきである。
【0027】
概要を述べれば、地震などにより既存RC梁8やH形鋼梁6から水平荷重を受けたとき既存RC柱5とH形鋼柱4とを同程度に変形させ、すなわち、既存RC柱5に生じる曲げ変形とH形鋼柱4に生じる曲げ変形との差を小さくして、図2の(a)に示す両者の接合部位9で付加的に発生する応力を可及的に小さく抑えることができるようにしている。
【0028】
それのみならず、RC柱5が図3の(a)に表したδRCなる水平変位量で降伏してもその後の変形を抑え、H形鋼柱4の弾性水平変形δH に匹敵するまでRC柱・H形鋼柱複合体10の折れ線とはなっているがほぼ直線とみなすことができる擬弾性変形域Sを大きく確保させている。加えて、水平耐力を後で述べるように飛躍的に増大させようにしているのである。
【0029】
すなわち、曲げ剛性の同じRC柱5と鉄骨柱4とでは、降伏曲げ応力は鉄骨の方がかなり大きいので、補強後の耐震性能を少なくとも3ないし4倍に上げることができる。通常の補強では既存RC柱の水平耐力が2倍近くにも上がれば良い方であるが、本発明においてはそれを遙かに凌ぎ、なおかつブレースを省いて開口部を従前通り確保する。H形鋼フレームは既存のコンクリートの柱と梁の各幅内に納められ、それ以外はほとんど何もないというスッキリとした纏め方ができるという実用性の極めて優れたものとなる。
【0030】
図2の(a)を参照して、H形鋼フレーム3は、ケミカルアンカー11、スタッドジベル12、スパイラルフープ13や高強度無収縮モルタル14を用いてRC柱5やRC梁8と一体化される。ところで、通常の建物では、床スラブが梁を拘束しているので、水平荷重を受けたときの変形は、図14の(a)で述べたように主として柱で起こる。
【0031】
H形鋼梁6がRC梁8と一体化され、上記したようにH形鋼柱4の曲げ剛性がRC柱5のそれに合わされるか近づけられていれば、図14の(b)に示すように、H形鋼柱4もRC柱5と同様に変形し、両者の変形量の差を極小化しておくことができる。このようになっていれば、接合部位9(図2を参照)でのケミカルアンカーやスタッドジベルを介してやり取りされる応力は最小値にとどめられる。
【0032】
すなわち、地震などにより水平荷重を受けてもこの接合部位に付加的な応力が大きく発生することは避けられ、鉄骨フレームとRC枠組との間で一方に作用する水平荷重が他方へ、またその逆へと無理なく伝達されることになる。このようなラーメン鉄骨であると、従来技術で述べたブレース構造とは違って梁全長にわたり剪断力をやりとりすることができるからで、スタッドジベル等への負荷は均されたものとなる。
【0033】
これを図で示せば、柔らかいとされる鉄骨枠組フレーム3といえども、図14の(b)のようにRC枠組1とほとんど同じ変形をする。接合構造の簡素化が可能となり、設計から施工に到る工事全般にわたっての合理化を図りやすくなる。なお、既存RC柱5に取りつけられるH形鋼柱4には、0%として基準にした既存RC柱5と同じもしくはその−70%ないし200%内の大きさ、好ましくは−60%ないし+150%の曲げ剛性を持たせておけば、上記したごとくほとんど同じ変形を与えられることが、発明者の研究において確認することができた。
【0034】
鉄骨のように柔らかいものではコンクリート構造物を補強することがでず、従って現在ではブレースは絶対に欠かせないという考えが建設業界には浸透している。しかし、本発明は敢えてそのブレースを無くそうとするものである。ブレースは二重鋼管形などの採用によりスマートに仕上げることができるようになってきているとはいえ、目障りであることに変わりがない。そういう意味では、ブレースが無くなれば耐震補強も世に受け容れられやすくなり、手つかずな建物における耐震補強工事が促進されることになる。
【0035】
ブレースが無くなれば、それを取りつけるためのガセットプレートは必要でない。見た目のスマートなブレースはしばしばピン結合形式を採用しているが、ピン支持構造とした場合に使用されるガセットプレートは勢い厚いものとなる。また、そのようなガセットプレートが取りつけられるH形鋼側のウエブには当て板形式にしろ補強が余儀なくされる。ブレースが無ければ、そのような補強材も不要となる。
【0036】
ましてや、古い建物、特に図4の(a)に平面的に示した旧式の集合住宅15などでは一般にスパンが短く、耐震用鉄骨枠組も小さいので、それを幾つも採用することになる。その耐震補強にブレース構造が適用されると、主補強材であるH形鋼に対して上記した補強材の使用比率が無視し得なくなるほど高くなる。
【0037】
すなわち、至る処に二次的手だての跡が現れることになるが、ブレースレス構造であれば、そのような補強材の使用比率は極端に言って限りなく0に近づき、構造がシンプルで見栄えは向上する。場合によっては、補強を施したものであるかどうかの見極めもつかないほどに外観をまとめあげることができる。
【0038】
本発明は、RC造・鉄骨枠組複合体の一体変形・一体挙動を実現し、接合部位に無用な力が作用しないようにしつつ、結果として既存RC柱の変形を抑制しながら弾性変形域を大きく確保する。そして、元来大きい耐力を有する鉄骨によって補強構造物の水平耐力を飛躍的に増大させる。このような鉄骨枠組にはもはやブレースを介在させておく意味がなく、この知見が得られたことによって初めてRC造のブレースレス補強が達成されるのである。
【0039】
ここで、上に述べた既存RC柱に等しい曲げ剛性を持つH形鋼柱の実現の裏づけならびに耐力の増強程度について、図5のモデル16を基にしてその一計算例を示す。RC柱5の断面を60cm×60cmとすると、その断面二次モーメントIは、次のようになる。
【数1】
【0040】
地震時設計では、小さなクラックの発生により、許容耐力(弾性限)時でも断面二次モーメントはIの70%程度を確保できることが知られている。従って、そのIRCは次のようになる。
【数2】
【0041】
これを基にRC柱の降伏曲げ耐力(降伏モーメント)を求めると、以下のようになる。使用されている鉄筋は、その総断面積at が17.02cm2 であり、許容応力度ft は2.4t/cm2 とする。この場合の応力中心距離jおよび降伏曲げ耐力RCMy は、次のようになる。
【数3】
【0042】
次に、H形鋼柱4について求める。縦横は40cm×40cm、フランジ厚みtf =2.5cm、ウエブ厚みtw =1.6cmとすると、断面二次モーメントIS は以下のようになる。
【数4】
鋼とコンクリートのヤング係数比を10とすると、コンクリートに等価な断面二次モーメントeqIS は、次のようになる。
【数5】
これは、上で求めたIRC=756,000cm4 に略等しい。
【0043】
これからH形鋼柱4の降伏曲げ耐力を求める。断面係数Zs および降伏曲げ耐力 SMy さらには SMy /RCMy は、次のとおりとなる。
【数6】
従って、このH形鋼柱の耐力を伝えるに十分なスタッドジベルやケミカルアンカーを設置すれば、柱の水平耐力をRC柱の1.0に上記の5.4を加えた6.4倍にも上げることが理論上可能となるのである。
【0044】
鉄のヤング係数はコンクリートの約10倍あるから、算定例から分かるようにコンクリートと同じ曲げ剛性の柱を得ることに特に問題は生じない。コンクリートとH形鋼とは資質が大いに異なるが、弾性範囲においての挙動は同じである。曲げ剛性を同じにするとH形鋼の方がRCよりも降伏曲げ耐力が高いから、基本的にほとんど弾性強度ということになる。
【0045】
図3の(a)から分かるように、RC柱5の水平耐力を1とすれば、補強フレームのH形鋼柱4を普通鋼として5.6くらいになる。そこまでは少なくとも弾性である。それに対応する水平変位量δH まで鉄が負担することになり、コンクリートの損傷はその範囲にとどまる。この降伏曲げ耐力が低いとコンクリートが力を分担しなければならなくなるので、変位が大きくRC柱の損傷は酷くなる。本発明においては、鉄骨がコンクリートの損傷をコンクリートの降伏後も進みにくくなるように抑える。
【0046】
逆に言うと、H形鋼は弾性挙動であるから、これにつられてコンクリートの破壊が進みにくくなるという大きなメリットが出る。従来の構造ではコンクリートも含めて損傷を受けながら地震エネルギを吸収していたが、本発明ではコンクリートの損傷が可及的に抑制され、従ってその後の補修も楽なものになる。
【0047】
上記したように、既存RC柱に取りつけられるH形鋼柱の曲げ剛性は、0%として基準にした既存RC柱の−70%ないし+200%(=0.3ないし3.0倍)内の大きさとしておけばよい。とりわけ、既存RC柱の曲げ剛性よりも大きい方がよいが、鋼材消費の抑制を考慮すれば+150%(=2.5倍)でも十分である。このようにプラス側にしておけば、RC柱5の弾性限界を超えてからでも、コンクリートにひび割れの発生することを抑制できる効果が発揮される。
【0048】
一方、マイナス側はその%の絶対値を100に近づけると補強していないことになるので、精々−70%に止めておく必要がある。既存RC柱の30%程度の曲げ剛性しか有しない鉄骨による補強であっても、RC造の老朽化が軽い場合には十分なこともあるからである。いずれにしても、鉄骨の曲げ耐力はコンクリートより著しく大きいのでRC柱の補強に大きく貢献する。これによって、コンクリートの損傷を軽減して荷重を基礎にまで導くことができ、建物の早期不安定化の抑止が図られる。
【0049】
ところで、H形鋼柱4に低降伏点鋼(σy =1.5t/cm2 )を用いれば、補強柱の曲げ剛性を低下させることなく、図3の(b)のように降伏曲げ耐力のみを1/2程度に下げることができる。上記した計算例による降伏モーメントをRC柱5の5.4倍から2.7倍程度に落とすことができる。
【0050】
そうなれば、既存RC柱の2ないし4倍程度で降伏を開始させることができ、大地震時の塑性化は促され、地震に対する応答応力を小さくすることができる。すなわち、過大な力に対しては大きな塑性変形で地震エネルギを吸収し、その際に耐力を急激に低下させないようにして、一気に倒壊することを可及的に少なくしておくことができる。
【0051】
と言うのは、H形鋼柱の降伏曲げ耐力が過度に高い場合、多くの中低層建物に適用される強度形補強では何ら問題が生じないが、高層建物を対象とした靱性形補強では問題となることが多い。後者の場合の問題をクリヤする意味で、上記したごとく降伏曲げ耐力を減らしておくことは意義のあることである。
【0052】
図3は、RC柱と補強H形柱の曲げ剛性が同じ場合の水平方向における荷重−変位の関係を表しているが、上の説明からも分かるように、普通鋼のH形鋼柱4では(a)のごとく弾性的挙動を示す範囲が著しく大きく、大地震を受けて塑性化するまでには大きい変位を要する。
【0053】
これに比べて、(b)では既存RC柱の3倍程度で降伏し始め、大地震時には比較的早期に塑性化を促すことができる。地震に対する応答は適切に塑性化させることにより著しく小さくなることが知られており、応答応力が小さいということは建物の基礎をはじめ構造各部の設計が容易となり、経済性の高い設計を推進するうえで大きなプラス要因となる。
【0054】
前述したように曲げ剛性を等価にすることは本発明の根幹をなすところであるが、これが接合部位の合理化をも促す。図6はH形鋼柱4の曲げ剛性をRC柱5のそれとは極端に違えた場合の図3に相当する水平方向における荷重−変位の関係を参考までに、但し線4とNとは軸スケールを大きく圧縮して表している。この場合、RC柱・H形鋼柱複合体は形成されず、それぞれが独立して変位・変形することを表している。従って、図3の破線に似せてRC柱の荷重−変位にH形鋼柱の荷重−変位を被せて描いた二点鎖線Nのようなものは得られるはずもない。
【0055】
ところで、本発明の思想をさらに延長して考える。図7のように、RC柱5にケミカルアンカー11を打ち込んでおき、そのケミカルアンカーにH形鋼柱4を取りつける。(a)のごとくRC柱5の出ている部分をH形鋼柱で覆うように、または(b)のごとく表面にH形鋼柱4を対面させることもできる。H形鋼柱の出っ張りが最小限にくい止められ、狭い対面空間9Aだけに高強度無収縮モルタルが充填される。
【0056】
このようにH形鋼柱4をRC柱5に接近させる場合、スタッドジベルは必要でない。張り出し量が僅かな補強構造でも曲げ剛性を等価にできることがあり、その場合には、ラーメン構造に多くの資材を費やすことになるが二次的な資材の消費量が著しく抑えられる。しかも、鉄骨構造がシンプルになるから工事費は半減し、極めて安価な施工を実現する。
【0057】
ちなみに、H形鋼柱4の材軸方向の接続は、図8に示すRC柱5の曲げモーメントM5 が0となる位置(反曲点位置)で行えばよい。すなわち、上の梁6uと下の梁6dとの中間の位置は曲げモーメントがRC柱5と同じくH形鋼柱4にとってもM4 =0となるからである。H形鋼柱4の下端部に溶接止めされた板材17が他のH形鋼柱の上端部に取りつけられた板材17と対面され、両板材が高張力ボルト18で締結される。
【0058】
図7に戻って、RC柱5に固定したケミカルアンカー11にH形鋼柱4を固定しようとする場合、例えば(c)に示すように、H形鋼柱4のウエブ4wに馬鹿穴19があけられ、H形鋼柱に対するケミカルアンカーの相対的な位置ずれを吸収できる隙間19aを確保しておく。H形鋼柱4をRC柱に対して位置決めし、ナット20で締めつけた後に外側のワッシャ21をウエブ4wに溶接してH形鋼柱4のずれを防ぐようにしておけばよい。
【0059】
今まで説明した構造においては、H形鋼フレーム3が図2の(a)中に二点鎖線で描いたウエブ4Wを持つ圧延ロール成形のH形鋼でも、3枚の長い鋼板をH形に溶接した組み立て材のいずれであっても差し支えはない。しかし、後者の場合にはウエブ4wの位置や長さを自由に選定することができるので、圧延H形鋼の規格外品の形も容易に得ることができる。
【0060】
そこで、H形鋼梁に大量生産される圧延H形鋼の規格品を採用するとしても、H形鋼柱には溶接H形材を使用してウエブ選定の自由度を上げれば、取りつけの対象となるRC柱5と等価な曲げ剛性をもったH形鋼柱が得られやすくなる。図2の(a)に示すように、ウエブ4wをRC柱側へ寄せれば対面空間9Aは狭くなり、高価な高強度無収縮モルタル14の消費量を抑えることができる。
【0061】
RC柱5とH形鋼柱4との対面距離が小さくなるほど接合部位の耐力も曲げ剛性も大きく発揮され、極めて都合がよい。それだけでなく、H形鋼梁6のウエブ6wとの芯合わせもでき、無用な剪断力やモーメントを伴うことなく他のH形鋼に水平力を伝達することができる。しかし、曲げ剛性に不足の生じるおそれがあれば、図2の(b)のように、ウエブ4wの外面側にフープ筋22を溶接し、主筋23を組んでモルタルまたはコンクリート24を打設することにより、曲げ剛性を増強する余地も確保できる。
【0062】
以上の補強は、図4の(a)に示すように水平力が建物のx方向から作用する場合が対象である。しかし、補強の対象となる古い建物では、内部がy方向に延びる壁で区切られ、居住空間としての広さが十分でない場合が多い。y方向すなわち建物の前後方向は、室内RC梁もしくは耐震壁により水平力に対抗するように設計されている例が多いので、壁を撤去して部屋を大きくすることはできないことが多い。
【0063】
前後方向の補強は通常耐震壁を増設したり既存の壁を増厚することによって行われるが、そうすれば部屋がますます小さくなる。そこで、本発明においては、図9のように、H形鋼柱4のウエブ4wの外面側に、平面矢視T形をした鋼材25を全階上下に連なるように設ける。そのT形鋼材は、脚25aが既存RC柱5に連なり外壁面に直交した室内RC梁26Aもしくは耐震壁26Bと芯合わせされる位置でH形鋼柱4に溶接される。
【0064】
このT形鋼材25が設けられると、H形鋼柱4のウエブ4wとT形鋼材25で形成されるH形が前後方向(図4の(a)中のy方向)の耐震補強柱として機能するようになる。H形鋼柱4自体は左右方向(x方向)の耐震補強柱として機能していること、T形鋼材25は継ぎ足し構造となるとはいえ地上から最上階まで通されることから、結局建物のx,y,zの三方向をカバーした三次元的補強が達成される。なお、T形鋼材25は、図4の(b)に示すように、建物の前面外壁のみならず後面外壁にも取りつけられる。
【0065】
集合住宅等の各階で連続したベランダが備わっている場合には、各戸の仕切り部などにおいて、前後方向の補強をベランダの空間幅を利用して行うことができる。すなわち、図4の(b)に示すように、T形鋼材25Aの脚25aをベランダ27の幅と同じ長さにして、T形鋼材25Aを耐震壁等の延長線上に手摺り27a(図9も参照)まで張り出させておけばよい。
【0066】
この場合、RC柱5の外面にH形鋼柱4を張りつけるだけでは十分でないことが多く、室内RC梁26Aや耐震壁26Bも補強しておくことが望ましい。図10は、一つの階における居住空間28に対して、前(図の左側)と後(図の右側)にT形鋼材25がそれぞれ取りつけられていることを示している。このような場合に、図11の(c)に示すように、床スラブ29を支持する室内RC梁26Aに対して補強が必要に応じて施される。
【0067】
図11の(a)は同図(c)中のA−A線矢視断面に相当し、(b)はB−B線矢視断面に相当する。(c)のように室内RC梁26Aの側面に高強度流動化コンクリート30またはモルタルを増し打ちする。養生後にアンボンドPC鋼棒31で締め上げて室内RC梁26Aにポストテンションを与えれば、所望する梁端曲げモーメントが確保され、結果として必要な水平耐力も得られる。このような補強により耐震壁の一つでも除去することができれば、内部空間の拡大も可能となる。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、既存RC柱に取りつけられるH形鋼柱として既存RC柱と略同等の大きさの曲げ剛性を有するものを選定しているので、両者を同程度に水平変形させることができる。RC柱とH形鋼柱との接合空間で相互の変形の違いに伴う付加的な応力の発生が可及的に抑えられ、ケミカルアンカー等を介してやり取りされる力は最小限にとどめられる。
【0069】
これによって、既存RC造と鉄骨枠組とを一体化した状態を可及的に長く維持させ、建物倒壊に到るまで鉄骨枠組による補強作用で水平耐力を倍加しておき、大地震時の早期倒壊を回避することができる。付け加えて言うなら、H形鋼柱は弾性挙動を呈する変形範囲がRC柱より大きく、このH形鋼が降伏するまでは既に降伏しているはずのRC柱の損傷の進行も抑制される。このようにして、コンクリート側の壊れながらの地震エネルギ吸収を遅らせることができればRC造の破損は少なくでき、その補修程度も軽減される。
【0070】
ブレースの使用を回避できるので目障りなものが窓に現れることはなくなり、また既存の柱と梁の各幅内にH形鋼フレームを納めて建物の外観もすっきりしたものにしておくことができる。フレームの存否による不公平感は取り払われ、集合住宅やテナントビルの耐震補強工事に対する賛同が得られやすくなり、その着工を早めることができる。
【0071】
ブレースをガセットプレートにピン接合している場合には、ガセットプレートにかなりの厚みが要求されるが、ブレースが無くなるので、そのようなガセットプレートは必要でなくなる。ガセットプレートがなければ、それを取りつけていたH形鋼梁のウエブの補強も不要となる。スパンの短い古い建物からは、高比率に使用されていたこの種二次的な鋼材は排除され、耐震補強の低廉化を促すことにもなる。
【0072】
H形鋼柱のウエブをRC柱側へ寄せて配置すれば、RC柱の曲げ剛性に合わせやすくなる。これによって接合空間が狭くなれば、断面がH形鋼柱より小さいものが選定されることの多いH形鋼梁のウエブとの芯合わせも容易となり、H形鋼フレームに作用する水平力の伝達のためにも優れた構造となる。
【0073】
接合空間の対面距離が小さくなるほど接合部位での力のやり取りの距離は短くなり、接合部位の構造材に過分な力が作用しにくくなる。力の負担が減れば接合用のアンカー等二次的な資材の使用量も節減できる。また極めて高価な高強度無収縮モルタルの打設量も大幅に抑えられ、この部分での構造の簡素化、投入資材の節減といった工事遂行上欠かせない合理化やコストダンが図られる。
【0074】
H形鋼柱のウエブ外面側にフープ筋を溶接し、主筋を組んでモルタルまたはコンクリートを打設すれば、ウエブをRC柱側へ寄せたことによって曲げ剛性が不足気味になる場合でも、それを補ってRC柱に合わせることができる。
【0075】
H形鋼柱に低降伏点鋼を採用すれば、H形鋼柱の曲げ剛性を低下させることなく降伏曲げ耐力のみを低減し、既存RC柱の例えば2ないし4倍程度で降伏を開始させることができる。その結果、大地震時の塑性化を促して応答応力を小さくすることができる。
【0076】
H形鋼柱のウエブの外面側中央にT形鋼材の脚端を溶接し、これを全階上下に連なるように設ければ、前後方向に対しての耐震補強、ならびに上下方向の補強もなされ、外壁面に沿った水平方向の補強とあいまってx,y,z三軸方向に対する補強が一挙に達成される。
【0077】
T形鋼材の脚長を集合住宅等の階ごとに連続するベランダ等の張り出し量に合わせておけば、ベランダの空間を利用して建物前後方向により一層強力な耐震補強を施すことができる。
【0078】
耐震壁に連なる既存RC梁の両側に高強度流動化コンクリートまたはモルタルを打設し、アンボンドPC鋼棒によりポストテンションを与えれば、所望する梁端曲げモーメントを確保することができ、建物の前後方向における水平耐力を倍加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るRC造用ブレースレス耐震補強工法を適用したH形鋼フレームによる鉄骨枠組を建物の外壁に適用した施工完成図。
【図2】 H形鋼フレームの取付構造を示し、(a)は溶接H形鋼を鉄骨柱とした断面図、(b)はその鉄骨柱の曲げ剛性を増強した場合の断面図。
【図3】 柱の水平変形を水平荷重に対して表したもので、(a)はH形鋼柱として普通鋼を使用した場合の荷重−変位図、(b)はH形鋼柱に低降伏点鋼を使用した場合の荷重−変位図。
【図4】 耐震壁で仕切られた幾つもの部屋を備える既存集合住宅の平面矢視であって、(a)は、左右方向の水平荷重に対処させたRC造用ブレースレス耐震補強構造例、(b)はT形鋼材を用いて前後方向の水平荷重にも対処したRC造用ブレースレス耐震補強構造例。
【図5】 RC造用ブレースレス耐震補強構造による強度計算モデル。
【図6】 既存RC柱に曲げ剛性の異なるH形鋼柱を取りつけた場合の水平方向の荷重−変位図。
【図7】 H形鋼柱と既存RC柱とを接近させた場合の一体化構造で、(a)はH形鋼柱をRC柱に被せた場合の構造図、(b)はH形鋼柱をRC柱に対面させただけの場合の構造図、(c)はケミカルアンカーに対するH形鋼柱の固定要領図。
【図8】 反曲点にH形鋼柱の接続部分を配置することの説明図。
【図9】 T形鋼材をH形鋼柱のウエブ外面側に設けた取付構造断面図。
【図10】 T形鋼材を取りつけた場合の居住空間を取り囲む耐震壁補強構造図。
【図11】 (a)は室内RC梁における端部構造詳細であって(c)中のA−A線矢視断面図、(b)は(c)中のB−B線矢視断面図、(c)は床スラブを支持している室内RC梁の断面図。
【図12】 柱の補強形態を表し、(a)はRC柱の断面図、(b)はRC柱の周囲を鉄筋コンクリートで補強した断面図、(c)は鉄板巻き構造とした断面図。
【図13】 (a)は鉄骨枠組を内付けした場合の取付図、(b)は外付けした場合の取付図。
【図14】 既存RC造とそれに取りつけられた鉄骨枠組の水平荷重による変形を示し、(a)はRC造におけるRC柱とRC梁の挙動説明図、(b)は既存RC柱と鉄骨柱とが同じように変形した場合の挙動説明図。
【図15】 RC造にブレース付き鉄骨枠組を外付けしたときの応力伝達を表した挙動図。
【符号の説明】
1…RC造(RC枠組)、2…窓、3…H形鋼フレーム(鉄骨枠組フレーム)、4…柱を形成する鉄骨(H形鋼柱)、4W,4w…ウエブ、5…既存RC柱、6…梁を形成する鉄骨(H形鋼梁)、7…外壁、8…既存RC梁、9…接合部位、10…RC柱・H形鋼柱複合体、22…フープ筋、23…主筋、24…コンクリート、25,25A…T形鋼材、25a…脚、26A…室内RC梁、26B…耐震壁、27…ベランダ、30…高強度流動化コンクリート、31…アンボンドPC鋼棒。
Claims (7)
- 窓等の開口部を備えた鉄筋コンクリート造の外面に鉄骨を取りつけて一体化し、これによってRC造を爾後的に強化する耐震補強工法において、
前記鉄骨は外壁面に位置する既存RC柱およびその左右方向に延び鉛直荷重を支持する既存RC梁に取りつけられるH形鋼フレームであって、それに形成された枠組にはブレースが設けられず、
既存RC柱に取りつけられるH形鋼柱には、既存RC柱と略同等の大きさの曲げ剛性を有するものが選定され、
地震などにより既存RC梁やH形鋼梁から水平荷重を受けたとき既存RC柱とH形鋼柱とを同程度に変形させ、両者の接合部位で付加的に発生する応力を可及的に小さく抑えると共に、RC柱が降伏してもその後の変形を抑制しつつ、RC柱・H形鋼柱複合体の擬弾性変形域をH形鋼柱のそれに匹敵するまで確保し、かつその水平耐力を増大させておくことを特徴とするRC造用ブレースレス耐震補強工法。 - 前記H形鋼柱は、そのウエブがRC柱側へ寄せられた溶接H形材であることを特徴とする請求項1に記載されたRC造用ブレースレス耐震補強工法。
- 前記RC柱に取りつけられるH形鋼柱にはそのウエブの外面側にフープ筋が溶接され、主筋を組んでモルタルまたはコンクリートを打設することにより、曲げ剛性を増強しておくことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたRC造用ブレースレス耐震補強工法。
- 前記H形鋼柱には低降伏点鋼が採用され、補強柱の曲げ剛性を低下させることなく降伏曲げ耐力のみを低減し、既存RC柱の2ないし4倍程度で降伏を開始させることにより大地震時の塑性化を促して応答応力を小さくできるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載されたRC造用ブレースレス耐震補強工法。
- 前記H形鋼柱のウエブの外面側には、このH形鋼柱が取りつけられる既存RC柱に連なり外壁面に直交して前後方向へ延びる室内RC梁もしくは耐震壁と芯合わせされる位置で、平面矢視T形をしたT形鋼材の脚端が全階上下に連なるように接続され、建物の三次元的補強をできるようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載されたRC造用ブレースレス耐震補強工法。
- 前記T形鋼材は各戸のベランダ等の幅と同じ長さの張り出し量を有していることを特徴とする請求項5に記載されたRC造用ブレースレス耐震補強工法。
- 前記室内RC梁もしくは既存耐震壁上のRC梁には、その両側に高強度流動化コンクリートまたはモルタルが打設され、アンボンドPC鋼棒によりポストテンションを与えて所望する梁端曲げモーメントを確保し、結果として必要な水平耐力が得られるようにしたことを特徴とする請求項6に記載されたRC造用ブレースレス耐震補強工法。
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