JP3830677B2 - 光学活性ポリチオフェン誘導体とその製造方法 - Google Patents

光学活性ポリチオフェン誘導体とその製造方法 Download PDF

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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、光学活性ポリチオフェン誘導体とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、光学活性を有し、機能性の導電性高分子等として有用な、新しい光学活性ポリチオフェン誘導体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
ポリチオフェン等のπ電子系共役高分子は、コンデンサー、バッテリー、非線形光学素子、有機エレクトロルミネッセンス素子としての応用が期待されている興味深い有機電導性材料であり、近年活発に研究されている。一方、高分子材料の機能は、その構造と密接にかかわっており、次世代の分子素子やより高度の機能を有する電導性材料を設計・開発するためには、ポリチオフェン等の場合にも高分子の構造を精密に制御する技術の開発と機能性の付与が必要不可欠である。
【0003】
また、非線形光学材料や、液晶、光学分割剤等の機能材料として利用されている高分子物質が従来より数多く知られている。たとえば、らせん構造を有し、高い旋光性を示して光学分割剤として有用な、光学活性なメタクリル酸トリフェニルメチルの重合体や、光学活性なアクリル酸アミドの重合体、光学活性な高分子物質を用いた液晶組成物等が提案されている。
【0004】
しかしながら、ポリチオフェン系高分子の場合には、その導電性については注目されているものの、そのものを実用的に利用していくためには欠かせない光機能性、光学活性等の実現についてはほとんど検討されていないのが実情である。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの背景を踏まえてなされたものであって、導電性高分子として注目されているポリチオフェン系高分子に関し、光学活性で、新しい機能性高分子としての技術展開が期待される、新しい光学活性ポリチオフェン誘導体とその製造方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、次式
【0006】
【化5】
Figure 0003830677
【0007】
で表わされる構成単位を主体とすることを特徴とする光学活性ポリチオフェン誘導体を提供する。
また、この出願の発明は、第2には、次式
【0008】
【化6】
Figure 0003830677
【0009】
(式中のRは、−MgXまたは−Sn(R′)3 を示し、Xはハロゲン原子を、R′はアルキル基を示す)
で表わされるチオフェン化合物を重合させることを特徴とする前記の光学活性ポリチオフェン誘導体の製造方法を提供する。そしてまた、第3には、次式
【0010】
【化7】
Figure 0003830677
【0011】
(式中のXはハロゲン原子を示す)
で表わされる化合物より前記のチオフェン化合物を導き、次いで重合反応させることを特徴とする光学活性ポリチオフェン誘導体の製造方法をも提供する。
以上のとおりのこの出願の発明は、光学活性をも付与した、構造制御された導電性ポリチオフェン誘導体とその合成法に係わるものであって、構造が明確で、かつ、分子の形・キラリティーや酸などの刺激等に応答する新規な分子素子(デバイス)の開発の過程より導かれたものである。光学活性を有する前記の構成単位を主とするポリチオフェン誘導体は、特殊な化学構造に基づくユニークな物性を発現するものであり、次世代の機能性有機フォトニクス、エレクトロニクス材料としてだけでなく、さらに、ラングミュラー・ブロジェット法を用いた薄膜を電極上に作製することにより、分子の認識過程・情報を外部へ電流応答の形で取り出せる知能電極システムの構築も可能である。また、光学活性ポリマーとしての利用の観点から、HPLC用のキラル固定相、金属を配位可能な部位を有することから、高分子不斉触媒としての応用も可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明の実施の形態について以下に説明する。
まず、前記の式で表わされる構成単位を主体とするポリチオフェン誘導体は光学活性高分子化合物として特徴づけられるものである。
そして、前記の構成単位については、ポリチオフェン誘導体についての所要の特性を阻害しない限り、各種の置換基をさらにチオフェン環やベンゼン環に有していてもよい。そして前記構成単位を主とする重合度、平均分子量についても特段の限定はなく、一般的には、これら構成単位の重合度(繰り返し数)は、10〜1,000程度が例示される。
【0013】
なお、この発明のポリチオフェン誘導体は、前記の構成単位を主体とするものであるが、ここで、「主体とする」とのことは、少くとも半数以上がこの構成単位であることを意味している。より適当には全体の80%以上、またはほぼ全体がこの構成単位である。
ポリチオフェン誘導体の製造法についてはその反応条件等について各種の態様が可能とされるが、なかでも、この発明の製造法では、前記構成単位の主体とするポリチオフェン誘導体を重合反応により製造するための手段として、次の反応式に従っての方法が例示される。
【0014】
【化8】
Figure 0003830677
【0015】
すなわち、(R)−2−ブロモ−3−(4−(4−エチル−オキサゾリン−2−イル)フェニル)チオフェンのように、チオフェン環に臭素(Br)原子等のハロゲン原子を有するチオフェン化合物に、たとえば−MgBr等のマグネシウムハライド基や、−Sn(CH3 3 等のトリアルキルスズ基を導入し、次いで、触媒の存在下等において重合反応を行う。この重合反応は、たとえば金属錯体触媒を用いて、加熱、あるいは還流下において実施することができる。また溶媒として、THF、DMF、DMSO、ニトリル類等の有機溶媒が使用できる。
【0016】
触媒としては、Ni、Co、Pd、Rh、Ru、Pt等の遷移金属や貴金属の有機錯体化合物として挙げられる。なかでも、−MgX基を持つチオフェン化合物の重合には、Ni(dppp)Cl2 等が、また−Sn(R′)3 基を持つチオフェン化合物の場合には、Pd2 (dba)3 等が適当なものの一つとして例示される。
【0017】
この重合反応によって、光学活性で、立体規則性の高いポリチオフェン誘導体が得られることになる。
なお、原料としてのチオフェン環に臭素(Br)等のハロゲン原子を有する前記のチオフェン化合物については、各種の方法によって合成してよく、たとえば後述の実施例のように、4−ヨード安息香酸エチルエステル等を出発原料として合成することができる。
【0018】
重合反応により生成した前記の式で表わされる構成単位を主体とするこの発明の光学活性ポリチオフェン誘導体は、たとえば次の反応式
【0019】
【化9】
Figure 0003830677
【0020】
に沿って、トリフルオロ酢酸や鉱酸の存在下にポリマー側鎖を加水分解することによって、さらには、苛性アルカリの存在下に加水分解することによって、不斉識別機能をも有する、光学活性ポリチオフェン誘導体に導くことができる。なお、mおよびnはモル%を示し、合計は100である。mおよびnの部分単位は、その比率においてランダムに連結している。
【0021】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく実施の形態について説明する。
【0022】
【実施例】
<実施例1>
次の反応式に従って、側鎖にオキサゾリン残基を有する(R)−2−ブロモ−3−(4−(4−エチル−2−オキサゾリン−2−イル)フェニル)チオフェン(化合物8)を合成した。
【0023】
【化10】
Figure 0003830677
【0024】
すなわち、まず、0℃、窒素雰囲気下、乾燥トルエン(400ml)中で(R)−2−アミノ−1−ブタノール21ml(0.22mol)にトリメチルアルミニウム(1Mヘキサン溶液)380ml(0.38mol)をカヌラでゆっくり加え、添加終了後室温に戻した。その後、4−ヨード安息香酸エチルエステル50g(0.18mol)を滴下ろうとで加え、乾燥トルエン(150ml)でよく洗浄した後、41時間、還流して反応させた。反応溶液に20%ロッシェル塩水溶液(30ml)を加えて反応を停止させた後、トルエン不溶部をろ過回収し、そのエタノール可溶部を回収後、水でよく洗浄し、乾燥させて化合物5を得た。引き続いて、0℃、窒素雰囲気下この化合物5の49g(0.15mol)のトリエチルアミン60ml(0.43mol)−塩化メチレン(500ml)溶液に4−トルエン塩化スルホニル38g(0.20mol)の塩化メチレン(100ml)溶液を滴下ろうとで加えた後、室温に戻して70時間反応させた。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液で抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、その粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開液、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して化合物6を得た。
【0025】
次に、Suzukiカップリング反応を用いて化合物7の合成を行った。すなわち、窒素雰囲気下で、化合物6の10.7g(35.4mmol)を乾燥トルエン(140ml)中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)(Pd(PPh3 4 )1.23g(1.07mmol)とリン酸カリウム25g(118mmol)の存在下、3−チオフェンボロン酸5.02g(39.3mmol)と27時間還流して反応させた。反応溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、その粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開液、ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して化合物7を得た。
【0026】
この化合物7の物性値等は次の表1のとおりであった。
【0027】
【表1】
Figure 0003830677
【0028】
さらに、化合物7の6.23g(24.2mmol)を乾燥ジエチルホルムアミド(DMF)(38.8ml)中、室温、窒素雰囲気、遮光下で、N−ブロモコハク酸イミド(NBS)4.52g(25.4mmol)と120時間反応させた。反応溶液を飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、その粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開液、ヘキサン:ジエチルエーテル=10:1)で精製して化合物8を得た。淡黄色オイル。収量7.3g(収率90%)。
【0029】
その物性値は次の表2のとおりであった。
【0030】
【表2】
Figure 0003830677
【0031】
<実施例2>
次の反応式に従って、実施例1において合成した化合物8を原料としてチオフェン化合物の重合を行い、光学活性なポリチオフェン誘導体としてのポリマー1(poly−1)およびポリマー2(poly−2)を得た。
【0032】
【化11】
Figure 0003830677
【0033】
▲1▼ ポリマー1(poly−1)の製造
−78℃、乾燥窒素雰囲気下で、真空蒸留したテトラヒドロフラン(THF)(5ml)中、リチウムジイソプロピルアミン0.78ml(5.57mmol)とn−ブチルリチウム(1.61Mヘキサン溶液)2.50ml(4.03mmol)を1時間反応させて、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液を調整した。別のフラスコに、室温、乾燥窒素雰囲気下で、真空蒸留したTHF(26ml)中、化合物8の1.18g(3.50mmol)と臭化マグネシウム−ジエチルエーテル錯体1.06g(4.09mmol)を加えて完全に溶かした後、−98℃まで冷やした。予め調整したLDA溶液を−98℃まで冷却してからカヌラで化合物8の溶液に移し、モノマー1の化合物を調製した。LDA溶液を加えた直後に冷浴を外し、室温に戻し始め、10分後と40分後、90分後の3回に分けて触媒にビス(ジフェニルホスフィノプロパン)塩化ニッケル(II)(Ni(dppp)Cl2 )30.6mg(56.5μmol)を加えて重合を開始した。2時間後に還流し始め、さらに38時間重合させた。その後、大部分のTHFを除いてから大量の弱酸性メタノールに落とし、ポリマーをメタノールでよく洗浄した後、室温で真空乾燥させ、メタノール不溶のポリマー1(poly−1)を得た。収量0.62g(収率69%)。メタノール不溶のポリマーをさらに、THFで洗浄することにより、THF不溶のポリマーを得た。収量0.30g(収率34%)。poly−1の平均分子量は5,100であった。
【0034】
図1にこのポリマー1(poly−1)の 1H NMRスペクトルを示した。poly−1の 1H NMRにより、6.9ppm付近に見えるシグナルは、チオフェンの4位のプロトンに由来する吸収で、このようにシャープであることから、このポリマーは高い立体規則性を有していると考えられる。
▲2▼ ポリマー2(poly−2)の製造
−78℃、乾燥窒素雰囲気下で、真空蒸留したテトラヒドロフラン(THF)(0.6ml)中、リチウムジイソプロピルアミン0.17ml(1.21mmol)とn−ブチルリチウム(1.61Mヘキサン溶液)0.55ml(0.88mmol)を1時間反応させて、LDA溶液を調整した。別のフラスコに、室温、乾燥窒素雰囲気下で、真空蒸留したTHF(5ml)中、化合物8の0.19g(0.57mmol)とトリメチル塩化スズ0.23g(1.16mmol)を加えて完全に溶かした後、−98℃まで冷やした。予め調整したLDA溶液を−98℃まで冷却してからカヌラで化合物8の溶液に移した直後に冷浴を外し、室温に戻した。反応溶液をジエチルエーテルで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、その粗生成物をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(展開液、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1)で精製してモノマー2の化合物を得た。淡黄色オイル。収量0.29g(収率100%)。
【0035】
このモノマー2化合物の物性値は次の表3のとおりである。
【0036】
【表3】
Figure 0003830677
【0037】
次に、窒素雰囲気、乾燥DMF中、酸化銅0.13g(1.61mmol)とトリフェニルホスフィン0.17g(0.65mmol)の存在下、モノマー2の化合物0.80(1.6mmol)を触媒にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(O)(Pd2 (dba)3 )7.3mg(79μmol)を用いて、100℃で24時間重合させ、メタノール不溶のポリマー2(poly−2)を得た。収量0.37g(収率91%)。メタノール不溶のポリマーをさらに、クロロホルムからメタノールへ再沈殿してメタノール不溶のポリマー2(poly−2)を得た。収量90mg(収率22%)。poly−2の平均分子量は4,400であった。
<参考例>
実施例2により得られた光学活性なポリマー1(poly−1)およびポリマー2(poly−2)の側鎖を、次の反応式に従って加水分解し、光学活性なポリチオフェン誘導体としてのポリマー3(poly−3)およびポリマー4(poly−4)を得た。
【0038】
【化12】
Figure 0003830677
【0039】
すなわち、まず、poly−1(またはpoly−2)(70mg)をトリフルオロ酢酸と水の混合溶媒(トリフルオロ酢酸:水=1:1)(12ml)に溶かし、65℃で48時間反応させ、poly−3を得た。収量106mg(収率95%)。次に、poly−1とpoly−2より合成したpoly−3を40%水酸化ナトリウム水溶液とメタノールの混合溶媒(40%水酸化ナトリウム水溶液:メタノール=1:1)でさらに加水分解を行った。その結果を表4に示した。poly−3の平均分子量は7,700であり、poly−4の平均分子量は4,800であった。
【0040】
【表4】
Figure 0003830677
【0041】
<試験例1>
実施例2において製造したポリチオフェン誘導体としてのpoly−1のCD測定を行った。
poly−1は青紫色の固体で、クロロホルムのような良溶媒に溶かすと黄橙色を呈し、紫外−可視領域に吸収を示すが、この領域に誘起円偏光二色性(誘起CD)を示さなかった。しかし、そこに貧溶媒であるメタノールを体積比で、50%以上加えると、紫外−可視領域に強い誘起CDが観測された(図2(A))。ポリマーの溶液は、メタノールの添加に伴い、黄橙色から青紫色へと変化し、吸収スペクトルも長波長領域に大きくシフトした(図2(B))。これは、ポリチオフェンが、貧溶媒の影響でアグリゲーションし、その結果、主鎖に何らかのキラリティー、例えば、らせんのような構造が誘起されたことを示している。図3にメタノールの代りに様々なアルコールを用いて、同様の測定を行った結果を示す。この図の縦軸は、610nmでのポリマーの誘起CDの強度、横軸は、加えたアルコールのボリュームパーセントである。用いるアルコールをメタノール、エタノール、1−ブタノールと炭素数が増加するに従い、ポリマーがアグリゲーションし、誘起CDを示すのに必要なアルコールの量が増加した。炭素数の多い1−ブタノールの場合では、誘起CDが発現するのに、体積比でおよそ70%のアルコールが必要であった。一方、光学活性な(R)体もしくは(S)体の2−ブタノールを用いても、CDは誘起されたが、両異性体間に大きな差は見られなかった。いずれのアルコールを用いた場合でも、CDが誘起されるには、ポリマーがアグリゲーションすることが必要であると考えられる。
【0042】
なお、図2(A)(B)および図3の測定条件は次のとおりとした。
poly−1(0.20−0.89gL-1
溶媒 クロロホルム−各種アルコール混合溶媒系
セル長 0.1cm
温度 室温(約20−22℃)
CDスペクトル装置:日本分光(株) JASCOJ720L
<試験例2>
参考例において製造したポリチオフェン誘導体としてのpoly−4について不斉識別能を測定した。
【0043】
poly−1とpoly−2より変換したpoly−4はともに黒紫色の固体で、ジメチルスルホキシド(DMSO)中において紫外−可視領域に吸収を有し、この領域に弱いながらも誘起CDを示した。このDMSO溶液にメタノールを体積比で50%加えると、そのCD強度は著しく増加した(図4)。次にpoly−2より変換したpoly−4のDMSO溶液に、光学活性な(R)体及び(S)体のアミノアルコール存在下、CDスペクトルを測定したところ、CDパターンは、用いるアミノアルコールのキラリティーを反映して、大きく変化することがわかった。図5にDMSO中、(R)体及び(S)体のアミノアルコール存在下、poly−4のCDスペクトルを測定した結果を示す。(R)体及び(S)体を加えた場合、CDのパターンは、このようにほぼ鏡像関係になり、この結果は、これらアミンのキラリティーがこのポリマーによって識別されたことを示している。これまでにも、光学活性なポリチオフェンを用いて、キラル識別を行ったという報告はいくつかあるが、そのほとんどは、光学活性体存在下、ポリマーのサイクリックボルタンメトリーを測定し、そのボルタノグラムの違いを評価したものであり、本研究のようにCDスペクトルを用いて光学活性なポリチオフェンによるキラル識別を明確に示した例は、ほとんどない。
【0044】
なお、図4および図5の測定条件な次のとおりとした。
poly−4(2.5gL-1
溶媒 ジメチルスルホキシド(DMOS)−各種アルコール混合溶媒系
セル長 0.01cm
温度 室温(約20−22℃)
CDスペクトル装置:日本分光(株) JASCOJ720L
【0045】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、導電性高分子として知られているポリチオフェンについて、光学活性を付与し、機能性有機光学材料、光学分割剤や高分子不斉触媒等としての応用展開を可能とする、新しい光学活性ポリチオフェン誘導体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例としてのpoly−1の 1H−NMRスペクトル図である。
【図2】クロロホルム−メタノール混合溶媒におけるpoly−1のCD(A)と吸収(B)のスペクトル変化を示した図である。
【図3】クロロホルム−アルコール混合溶媒におけるpoly−1のCDスペクトルの変化を示した図である。
【図4】DMSOまたはDMSO−メタノール中でのpoly−4のCDスペクトルを示した図である。
【図5】(R)−または(S)−2−アミノ−1−ブタノール存在下でのpoly−4のCDスペクトルの変化を示した図である。

Claims (3)

  1. 次式
    Figure 0003830677
    で表わされる構成単位を主体とすることを特徴とする光学活性ポリチオフェン誘導体。
  2. 次式
    Figure 0003830677
    (式中のRは、−MgXまたは−Sn(R′)3 を示し、Xはハロゲン原子を、R′はアルキル基を示す)
    で表わされるチオフェン化合物を重合させることを特徴とする請求項1の光学活性ポリチオフェン誘導体の製造方法。
  3. 次式
    Figure 0003830677
    (式中のXはハロゲン原子を示す)
    で表わされる化合物より次式
    Figure 0003830677
    (式中のRは、−MgXまたは−Sn(R′)3 を示し、Xはハロゲン原子を、R′はアルキル基を示す)
    で表わされるチオフェン化合物を合成し、次いで重合させることを特徴とする請求項1の光学活性ポリチオフェン誘導体の製造方法。
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