JPWO2003072615A1 - 吸光・発光スペクトルが可逆的に変化するアセチレンポリマー - Google Patents

吸光・発光スペクトルが可逆的に変化するアセチレンポリマー Download PDF

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Abstract

構造式(式中のnは30以上の整数であり、Rは、−C6H4−OCxH2x+1、−C6H4−N=NCOCxH2x+1、−C6H4−NHCOCxH2x+1、o−トリフルオロメチルフェニルまたはo−(2−チエニル)フェニルであり、Xは正の整数、−C6H4−はo−,m−またはp−フェニレン基である)で表されるポリマーであって、分子鎖が規則的ならせん構造を有し、刺激の付与、溶媒処理またはその変化によりらせん構造のピッチが可逆的に変化することにより、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が可逆的に変化するポリマーを提供する。

Description

技術分野
本発明は、吸光・発光スペクトルが可逆的に変化する新規なポリマー、より詳細には、置換アセチレンの鎖状重合体からなり、ポリマー分子鎖のシス−トランス構造の変化及びポリマー分子鎖の凝集構造の変化により、吸光・発光スペクトルが可逆的に変化するポリマーに関するものである。
背景技術
従来、置換アセチレンを重合してなる置換ポリアセチレンは、シス体とトランス体との間で二重結合の構造変化を生じることが知られている。しかしながら、ポリアセチレンは空気中の酸素により酸化され易く、かつポリマー分子鎖の凝集構造を制御することが困難であるという問題があった。
「高分子加工」第50巻、第5号(2001)、第221頁〜第223頁には、
Figure 2003072615
の構造を有するポリアセチレンが開示されている。ここで、Rとしては、p−ニトロフェニル基、p−(3−メチルブトキシ)フェニル基が示されている。
置換基Rが、p−ニトロフェニル基の場合、シス−トランソイド構造のポリマー分子が、圧力を加えられることにより、トランス−トランソイド構造の分子に変化し、吸光スペクトルのピーク波長が430nmから460nmにシフトすること、他方、加熱された場合には430nmから440nmにシフトすることが知られている。
また、「Macromolecules」、第34巻、第11号、第3776頁〜第3782頁(2001)には、上記構造式において、Rがp−(3−メチルブトキシ)フェニル基である場合、加圧によりシス−トランス構造変化を生じ、吸光ピーク波長が430nmから460nmにシフトすることが報告されている。シス構造の上記ポリマーが凝集構造を形成し、加圧によりこの凝集構造に構造変化が生じ、その結果として490nmから450nmに吸光スペクトルのピーク波長がシフトすることも報告されている。
しかしながら、これらの先行技術文献では、上記ポリマーがシス−トランソイド構造からトランス−トランソイド構造に変化することにより吸光スペクトルが変化することは述べられているものの、トランス−トランソイド構造に変化させた後、シス−トランソイド構造に復帰させる方法、すなわちシス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との間で可逆的にスペクトルを変化させる方法については述べられていない。
上記のようなポリマーは、構造変化により吸光スペクトル及び発光スペクトルが変化するので、シス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との間の構造変化が可逆的に行われれば、上記ポリマーは、この性質を利用して様々な色材や光学材料などに用いることができるものと期待される。
発明の開示
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、シス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との間で可逆的に変化することができ、それによって吸光・発光スペクトルの形状やピーク波長が可逆的に変化する新規なポリマーを提供することである。
本発明の第1の態様では、構造式(1)
Figure 2003072615
(式中のnは、望ましくは30以上である、正の整数であり、Rは、−C−OC2x+1、−C−N=NCOC2x+1、−C−NHCOC2x+1、o−トリフルオロメチルフェニルまたはo−(2−チエニル)フェニルであり、xは正の整数、−C−はo−,m−またはp−フェニレン基である)
で表されるポリマーであって、分子鎖が規則的ならせん構造を有し、刺激の付与またはその変化によりらせん構造のピッチが可逆的に変化する、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が可逆的に変化するポリマーが提供される。
第1の態様の特定の局面では、二重結合部位がシス−トランソイド構造を有しており、熱、圧力、電磁波(波長10nm以上)、高エネルギー放射線及び磁場からなる群から選択された刺激の付与により、シス−トランソイド構造と、トランス−トランソイド構造との間で可逆的に変化される。従って、本発明によればこれらの刺激を上記ポリマーに与えることにより、シス−トランソイドとトランス−トランソイドとの間の構造変化を可逆的に行わせる方法が得られる。
本発明の第2の態様によれば、上記構造式(1)で表されるポリマーであって、分子鎖が規則的ならせん構造を有し、熱、圧力、電磁波、光、放射線及び磁場からなる群から選択された刺激の付与により分子鎖のらせん構造のピッチが可逆的に変化し、らせん構造のピッチが変化することにより、ポリマー分子の凝集構造を変えることなく、あるいはポリマーの凝集構造を変えつつ、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が可逆的に変化するポリマーが提供される。
本発明の第3の態様によれば、上記構造式(1)で表され、分子鎖が規則的ならせん構造を有するポリマーであって、隣り合うポリマー分子が凝集構造を形成しており、凝集構造が刺激により他の凝集構造に可逆的に変化することができ、凝集構造の変化により、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が可逆的に変化するポリマーが提供される。この場合に用いられる刺激源は、熱、圧力、電磁波、光、放射線、磁場及び媒体からなる群から選ばれる。
本発明のある特定の局面では、前記凝集構造が擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造であり、該結晶構造とアモルファス構造との間で可逆的に構造変化が行われる。
本発明の別の局面では、前記擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造が、直径1〜100nmのらせん状の上記ポリマー分子鎖の凝集構造により形成される。
本発明のさらに他の特定の局面では、前記擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造が、らせんのピッチが0.2〜0.5nmであるらせん状の前記ポリマー分子鎖が凝集して構成される。
本発明のさらに他の特定の局面では、前記擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造において、前記らせん状のポリマーの分子鎖の中心軸間距離は0.5〜200nmである。
本発明のポリマーのさらに他の特定の局面では、吸光・発光スペクトルの190〜2500nmの波長領域で吸収波形及び強度の変化が可逆的に生じる。
本発明のポリマーのさらに他の特定の局面では、前記吸光・発光スペクトルのピーク極大波長のシフトは、190〜2500nmの波長範囲で生じる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
上記のように、本発明の第1〜第3の態様では、構造式(1)で示されるポリマーが用いられる。このポリマーにおいて、置換基Rとしては、上記のように、−C−OC2x+1、−C−N=NCOC2x+1、−C−NHCOC2x+1、o−トリフルオロメチルフェニルまたはo−(2−チエニル)フェニルなどが挙げられる。上記において、xは正の整数、−C−はo−,m−またはp−フェニレン基である。
シス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造の可逆的変化は、置換基Rをこれらの特定の置換基としたことにより達成される。すなわち、置換基R同士が、π−π結合、水素結合、またはファンデルワールス力による結合などにより結合もしくは相互作用できるように、接近可能な置換基Rが用いられることにより、上記構造変化が達成される。
中でも、シス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との変化の可逆性に優れている点において、Rとしては、p−C13O−フェニル、p−C13CONH−フェニルなどが好適である。
さらに、上記ポリマーでは、隣接するポリマー分子鎖同士が相互作用により凝集し、凝集構造を形成するが、この凝集構造形成の可逆性に優れている点においては、置換基Rとしては、p−C13O−フェニル、p−C13CONH−フェニルが特に好適である。
上記ポリマーの平均分子量は特に限定されないが、好ましくは、数平均分子量Mnで千〜数千万の範囲内、より好ましくは一万〜数百万の範囲内である。
本発明のポリマーは、下記の構造式(2)で示されるシス−トランソイド構造と、下記の構造式(3)で示されるトランス−トランソイド構造との間で可逆的に変化する。この可逆的変化は、後述するように、熱、光、電磁波、放射線、圧力、磁場などから選ばれた刺激の付与により行われる。例えば、加熱あるいは圧力の付与により、らせん構造を有するシス−トランソイド構造から、直線状のトランス−トランソイド構造への変化が起こる。
Figure 2003072615
このようなシス−トランソイド構造からトランス−トランソイド構造への変化により、前述したように、吸光・発光スペクトルの形状及びピークの波長が変化する。さらに、上記加圧及び加熱条件を制御することにより、本発明のポリマーは、トランス−トランソイド構造からシス−トランソイド構造にも変化する。すなわち、シス−トランス構造変化が可逆的に進行する。
上記構造変化を可逆的に引き起こす刺激源としては、上述したように、熱、光、電磁波、放射線、圧力、磁場などの様々なタイプのエネルギーが挙げられるが、好ましくは、室温から200℃までの範囲の温度、紫外線から赤外線までの光、5〜500kg/cm程度の圧力が用いられる。
本発明のポリマーの分子は、上記シス−トランソイド構造を有し、らせん状の分子形状を有する。このらせん状の形状のポリマー分子は、図1に示されているように、隣接するポリマー分子鎖同士が凝集し、凝集構造を形成する。この凝集構造は、図1に示されているように、擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造である。
図1に示したような結晶構造が形成されている場合において、前述したようにシス−トランソイド構造からトランス−トランソイド構造へ各ポリマー分子鎖の立体構造が変化した場合、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が変化するが、さらに、この凝集構造を変化させた場合においても、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が変化する。凝集構造の変化とは、上記結晶構造からアモルファス構造への変化であり、この凝集構造の変化も可逆的に行われる。凝集構造の変化は、例えば、溶媒の極性もしくはポリマーとの親和性または溶媒の種類を変化させるなど、媒体を変化させる方法、あるいは前述した熱、光、電磁波、放射線、圧力、磁場などの刺激の付与により行われる。
上記結晶構造を有するように凝集している場合、各ポリマー分子鎖におけるらせん構造の直径は0.5〜100nm、らせんのピッチは0.2〜0.5nm、ポリマー分子鎖の中心軸間距離は1〜200nmの範囲にあることが適当とされる。
本発明のポリマーの製造方法は特に限定されないが、構造式(4)
Figure 2003072615
(式中のRは前記と同じ意味を持つ)
で表される構造を有する置換アセチレンを、既知の重合方法に従って重合することにより得ることができる。置換アセチレンの重合方法については、「Polymer Journal」、第22巻、第1105頁(1990)、「Macromole−cules」、第34巻第11号、第3776頁(2001)、特開昭63−275614、特開昭63−275613などに記載があるが、好ましくは、重合に際し、ロジウム錯体を重合触媒として添加したモノマー混合物を20℃以上の温度に保持することが望ましい。ロジウム錯体としては、[Rh(norbornadiene)Cl]、[Rh(cyclooctadiene)Cl]、[Rh(bis−cycloctene)Cl]などが挙げられ、特に、[Rh(norbornadiene)Cl]が好ましい。
上記シス−トランソイド構造のポリマーを得るには、重合に際し、重合溶媒として該ポリマーを溶かさない貧溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、水あるいはトリエチルアミンを、またはこれらの混合溶媒を用いることが望ましい。一般的にいえば、重合溶媒としてはローンペア電子を分子構造中に有する溶剤が好ましい。
上記構造式(4)で示される置換アセチレンの合成方法についても特に限定されず、例えば、R.D.Amatoらの「Macromolecules」、第31巻、第8660頁(1998)に記載の方法により得ることができる。
本発明の新規なポリマーは、上記のように、ポリマー分子鎖におけるシス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との間の可逆的な変化により、吸光・発光スペクトルのピーク波長及び形状が可逆的に変化する。上記のように、凝集構造の変化によっても、吸光・発光スペクトルのピーク波長及び形状が可逆的に変化する。
従って、本発明のポリマーは、色可変材料、有機EL装置の電子供給層を構成する材料、非線形光学材料、有機磁性材料、有機導電性材料などの様々な光学用途及びエレクトロニクス用途に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
実施例1
(モノマー化合物の合成)
300mlのアセトンに14.8gの水酸化ナトリウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)50ml、p−ヨードフェノール22.0gを添加、溶解して得られた反応混合物に、28.1g(0.17モル)の臭化ヘキシルを添加し、24時間還流下で加熱反応させた。その後、多量の蒸留水を加えて2相分離させ、これに、100mlのジエチルエーテルを添加して生成物をエーテル層に抽出した後、ジエチルエーテル層を蒸留水で洗浄した。その後、エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、脱溶剤後、128℃で真空乾燥した。得られた中間生成物の収率は90%であった。
上記中間生成物0.09モルを300mlのトリエチルアミンに溶解し、0.1119のジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)と0.0999のヨー化銅(I)CuIを添加した後、還流下で3時間加熱して反応させた。エバポレーターで脱溶剤後、ジエチルエーテルを反応混合物に添加し、生成した化合物を抽出した。このエーテル溶液を蒸留水300mlで3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥後、ろ過し脱溶剤した。こうして得られた化合物に50mlのトルエン、1.68g(0.03モル)の水酸化カリウムを加え、4時間還流下で撹拌し、エバポレーターで脱溶剤後、300mlの蒸留水で洗浄し、有機層を取り出し、生成物をジエチルエーテルで抽出した。このエーテル層を、無水硫酸マグネシウムで24時間乾燥、ろ過、脱溶剤し、89℃で真空乾燥した。このようにして得られた化合物の収率は43%であった。
上記のようにして得られた化合物のH−NMRスペクトルを測定したところ、下記の[ ]中に示した構造を含むことがわかった。
H−NMR δ(ppm)=0.8[CH,3H]、1.4[(CH,8H]、1.6[CH,2H]、3.0[≡C−H,1H]、3.6[OCH,2H]、6.5[phenyl,4H]
(ポリマーの合成)
逆U字型のガラスチューブ反応器の一方の脚部に、上記の方法で合成されたモノマーの2.1×10−3モル及び乾燥されたトリエチルアミン50mlを、上記の逆U字型ガラスチューブの他方の脚部に、上記モノマーのモル量に対して1/150モル量の触媒[Rh(norbornadiene)Cl]及び乾燥されたトリエチルアミン50mlをそれぞれ入れ、ガラスチューブをひっくり返すことにより内容物を混合して反応を開始させた。反応は20℃で、4時間行った。過剰量のメタノールを添加して反応を停止し、沈殿してきた黄色のポリマーをろ過により採取し、メタノールで洗浄した後、24時間真空乾燥した。得られたポリマーの数平均分子量Mn、元素分析による組成及びH−NMRスペクトルの測定を行った。この化合物のH−NMRスペクトルのチャートを図2に示す。測定の結果はMn=65000、元素組成C1418H−NMRスペクトル、δ(ppm)=0.8[CH,3H]、1.4[(CH,8H]、1.6[CH,2H]、3.6[OCH,2H]、5.7[=C−H,1H]、6.5[phenyl,4H]であった。
上記した重合方法において重合溶媒として使用したトリエチルアミンをエタノールに代えて重合反応を行った結果も満足すべきものであった。トリエチルアミンとエタノールの混合溶媒が使用できることはもちろんである。
(吸光・発光スペクトルの可逆変化)
上記重合方法で得られたポリマーの吸光及び発光スペクトルを、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリマー濃度を約10−5から10−7モル/リットルとして測定したところ、吸光ピーク波長265nm、発光ピーク波長320nmであった。
上記ポリマーを200kg/cmの圧力で加圧した後、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリマー濃度を約10−5から10−7モル/リットルとして、再度、吸光・発光スペクトルを測定したところ、吸光ピーク波長が約330nm、発光ピーク波長が380nmにシフトしていた。
次に、上記のように吸光ピーク波長及び発光ピーク波長がシフトしたポリマーについて、さらに120℃、60分間の加熱による刺激を加え、しかる後、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリマー濃度を10−5から10−7モル/リットルの溶液として、再度、吸光・発光スペクトルを測定したところ、発光ピーク波長は320nmに戻った。
実施例2
(溶媒処理による固体ポリマーの反射スペクトルの変化)
モノマーとして構造式(4)におけるRがp−(3−メチルブトキシ)基であるアセチレン化合物を使用した以外は実施例1と同じ重合法で得られた黄色ポリマーをクロロホルムの蒸気に短時間曝した場合、黒色に変色した。この黄色固体と黒色固体の反射スペクトルを図3Aと図3Bにそれぞれ示した。
このとき、黄色ポリマーの450nmの吸収極大が、黒色ポリマーでは500nmに移動し、400nmから1800nmの範囲における吸収強度が増大した。
(溶媒からの再沈澱による黒色ポリマーから黄色ポリマーへの転換)
前記の黄色ポリマーはクロロホルムの蒸気に短時間曝すことによって黒色に変色したが、この黒色ポリマーを多量のクロロホルムに溶解し、この溶液にポリマーの貧溶媒であるメタノールを添加してポリマーを沈殿させたところ、黄色固体が得られた。この黄色固体ポリマーの反射スペクトルは、図3Aのスペクトルと同じであった。
産業上の利用可能性
本発明に係るアセチレンポリマーは、上記特定の置換基Rを有することにより、二重結合部分がシス−トランソイド構造を有し、分子鎖が規則的ならせん構造を有する。そのポリマーに熱、光、電磁波、X線、γ線、圧力、磁場、溶媒処理などの物理的または化学的刺激を付与すると、シス−トランソイド構造がトランス−トランソイド構造に変化し、かつ、この変化が可逆的に行われる。
従って、本発明によれば、シス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との間の可逆的な変化により、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が可逆的に変化するポリマーを得ることができる。
よって、本発明によれば、光学特性、電気的特性及び電磁的特性が可逆的に変化し得る新規な有機材料を提供することができ、光学用途やエレクトロニクス用途において有用な材料を提供することが可能となる。
また、本発明のポリマーは、複数のポリマー分子鎖が凝集した凝集構造を構成し、この凝集構造もまた、溶媒の極性などの媒体特性の変化を含む刺激の付与により変化し得る。従って、凝集構造の変化によっても、吸光・発光スペクトルの形状及びピーク波長が可逆的に変化するので、上記シス−トランソイド構造とトランス−トランソイド構造との間の可逆変化だけでなく、凝集構造の可逆的変化によっても、光学特性や電気特性などが可逆的に大きく変化する新規な材料を提供することができる。本発明で用いられたロジウム触媒によって重合したポリマーには、主鎖上のπ−電子密度が大幅に低下した芳香族基が側鎖として導入されており、従って、主鎖のπ−電子密度を低下させることにより、空気中の酸素による酸化反応を阻止する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明ポリマーの凝集構造の一形態である擬ヘキサゴナル結晶構造を説明するための模式的斜視図である。
図2は、実施例1で合成されたモノマーから得られた置換ポリアセチレンのNMRチャートを示す図である。
図3Aは、実施例1で重合されたポリアセチレンの溶媒処理前に観測された拡散反射可視−赤外スペクトルを示す図であり、図3Bはそのポリマーをクロロホルム蒸気に曝した後の拡散反射可視−赤外スペクトルを示す図である。

Claims (9)

  1. 構造式
    Figure 2003072615
    (式中の添数nは30以上の整数であり、置換基Rは、−C−OC2x+1、−C−N=NCOC2x+1、−C−NHCOC2x+1、o−トリフルオロメチルフェニルおよびo−(2−チエニル)フェニルからなる群から選ばれる基であり、xは正の整数、−C−はo−,m−またはp−フェニレン基である)
    で表されるポリマーであって、分子鎖が規則的ならせん構造を有し、刺激の付与またはその強度変化により、らせん構造のピッチが可逆的に変化し、吸光スペクトルまたは発光スペクトルの形状またはピーク波長が可逆的に変化する置換アセチレンポリマー。
  2. 刺激のない状態においてポリマー分子鎖の二重結合部位がシス−トランソイド構造を有しており、刺激の付与またはその強度変化により、シス−トランソイド構造がトランス−トランソイド構造に可逆的に変化する、請求の範囲第1項に記載のポリマー。
  3. 刺激のない状態においてポリマー分子鎖が凝集構造を形成し、刺激の付与またはその強度変化により分子鎖の凝集構造が可逆的に変化する、請求の範囲第1項に記載のポリマー。
  4. 前記凝集構造が擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造であり、凝集構造の可逆的変化が該結晶構造と、アモルファス構造との間で行われる、請求の範囲第3項に記載のポリマー。
  5. 前記擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造が、直径1nmないし100nmのらせん状のポリマー分子鎖の凝集により形成される、請求の範囲第6項に記載のポリマー。
  6. 前記擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造を形成する、らせん状ポリマー分子鎖のピッチが0.3nmないし0.5nmの範囲である、請求の範囲第7項に記載のポリマー。
  7. 前記擬ヘキサゴナルまたはオルソロンビック結晶構造を形成する、隣接するらせん状ポリマー分子鎖間のらせん軸間距離が1nmないし200nmの範囲である、請求の範囲第7項に記載のポリマー。
  8. 吸光スペクトルまたは発光スペクトルの形状または強度の可逆的変化が190nmないし2500nmの波長領域で行われる、請求の範囲第1項に記載のポリマー。
  9. 前記吸光スペクトルまたは発光スペクトルのピーク波長の可逆的変化が、190nmないし2500nmの波長領域で行われる、請求の範囲第1項に記載のポリマー。
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