JP3830637B2 - 自動二輪車のメータケース取付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車のメータケース取付け構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車では、ハンドルポストの近傍に、速度計や回転計を納めたメータケースを配置しするが、メータケースの取付け構造には、例えば▲1▼特開昭56−90779号公報「自動二輪車のヘッドランプ支持装置」や▲2▼実開昭58−68341号公報「ヘッドライトカバーの取付構造」に示されるものがある。
即ち、上記▲1▼は、同公報の第2図に示される通り、トップブリッジに相当するアッパブラケット5に固定片23をボルト・ナット21,22で固定し、固定片23の先端に速度計13を取付けた構造のものである。
【0003】
上記▲2▼は、同公報の第2図によればヘッドライトを支える支持パイプ5A,5Bを上に延長し、支持パイプ5A,5Bの上端にメータ支持ステー4を掛け渡し、このメータ支持ステー4に、第1図のごとくメータアセンブリ10を取付けるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲1▼は、固定片23が片持ち梁となっているため、速度計13が上下に振れ易い。しかし、速度計13は精密計器の一種であって振動を嫌う。そこで、固定片23を曲げ剛性及び撓み剛性に富んだ丈夫な部材としなければならない。この結果、固定片23の形状や素材に制約を生じることとなり、例えばメータアセンブリ10の軽量化を目的として樹脂化を検討する際、固定片23を含めて単純に樹脂で一体成形しようとすれば、その剛性を保つに固定片23を大型化しなければならず外観商品性が低下する虞れがある。
また、固定片23のみを金属製として固定片23の大型化を避けつつ剛性を保とうとすると、樹脂化したメータケースに対して固定片23のみが金属製別部品となってしまうので、部品点数と組付け工数の増加を招いてしまう。
【0005】
上記▲2▼では、メータ支持ステー4が支持パイプ5A,5Bの上部に「やじろべえ」の如く載っており、メータアセンブリ10が支持パイプ5A,5B廻りに振れ易い構造となっている。そこで、振れ抑える為に支持パイプ5A,5Bの剛性を一層高める必要がある。
そこで、本発明の目的は構造が簡単で振動に強いメータケース取付け構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、少なくとも速度計を収納するメータケースを、前照灯を支える前照灯ブラケットと自動二輪車のトップブリッジとに掛け渡し、前照灯ブラケット側の取付部に後方に開いたU溝を設け、メータケースの前部をU溝に差し込み、メータケースの後部をトップブリッジに取付けたことを特徴とする。
メータケースの一端を前照灯ブラケットに持たせ、他端をトップブリッジに持たせる。両端支持構造であるから、メータケースを良好に支えることができると共に、個々の支持点における負担が軽くなるため、その箇所の薄肉化、軽量化、樹脂化などが可能となる。
即ち、メータケース取付けステーが不要となるので、部品数の削減が図れると共に、片持ち梁の様な振れ易い部材を介さないので、取付け剛性を高めることができる。
【0007】
請求項2は、メータケースは弾性部材を介して前照灯ブラケット並びにトップブリッジに取付け、且つその取付け箇所は前照灯ブラケットに少なくとも1ヶ所、トップブリッジに少なくとも1ヶ所、全部で少なくとも3ヶ所としたことを特徴とする。
介在させた弾性部材で振動を遮断することができ、しかも取付け時の寸法誤差を吸収させることができる。従って、計器の傷みを防止し、しかも取付け工数の削減が図れる。
【0008】
請求項3は、メータケースを樹脂製の上ケースと下ケースとで形成し、上ケースと下ケースとの互いの合せ部からメータケースに対して一側方へそれぞれケースを張出して取付け部を形成し、この取付け部をトップブリッジに直接取付けたことを特徴とする。
樹脂の上・下ケースの合せ部から張出し形成した取付け部を、直接トップブリッジに取付ける。取付け部を含めてメータケース全体が樹脂化できたので、メータケースの軽量化が図れる。そして、メータケース取付けステーが不要となるので、部品数の削減が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、説明文中、「左」,「右」,「前」,「後」は乗員を基準としたものである。
図1は本発明に係る自動二輪車のメータケース取付け構造の分解斜視図であり、メータケース取付け構造は、自動二輪車のヘッドパイプ上部に取付けるトップブリッジ11と、このトップブリッジ11並びに下部のボトムブリッジ12とに掛け渡たす左右の前照灯ブラケット13L,13R(Lは左、Rは右を示す。以下同様。)とを巧みに利用し、メータケース(詳細構造は後述する。)30の底部の一端をトップブリッジ11の受け座14L,14Rに取付け、メータケース30の底部の他端を前照灯ブラケット13L,13R側のU溝15,15に取付けることを特徴とする。
【0010】
詳しくは、トップブリッジ11は、ステアリングステム用孔11aと、フロントフォーク用孔11b,11bとを開けた略三角形の部材であり、その前縁中央にコンビネーションキー用孔11c、その脇に前照灯ブラケット13L,13Rの上端を止める雌ねじ16,16、その外に受け座14L,14Rを設けたものである。
【0011】
ボトムブリッジ12は、ステアリングステム17と一体の略三角形の部材であり、フロントフォーク用孔12a,12aと、前照灯ブラケット13L,13Rの下端をラバーマウント18,18を介して差込む差込み孔19,19とを開けた部材である。
【0012】
図2は本発明に係る左の前照灯ブラケットの側面図であり、左右の前照灯ブラケット13L,13Rは対称形部材であるから、左の前照灯ブラケット13Lを説明し、右の前照灯ブラケット13Rの説明は省略する。
左の前照灯ブラケット13Lは、前照灯固定ボルト用孔21,22を有する略三角形の中央部23から、上に2本の枝(前ブランチ24と後ブランチ25)を出し、下に1本の枝を出し、この下ブランチ26の下端に差込み用ピン27を形成したものである。
【0013】
図3は本発明に係る左の前照灯ブラケットの平面図であり、前ブランチ24の先端を車体センター側へ折り曲げ、そこに後方へ開いたU溝15を設け、また、後ブラケット25の先端に丸孔28を開けたことを示す。
【0014】
図4は本発明に係るメータケースの正面図であり、メータケース30は少なくとも速度計31を収納し、その他、回転計32、各種表示灯33・・・(・・・は複数個を示す。以下同様。)を収納するものである。34はキー用孔である。
【0015】
図5は図4の5−5線断面図であり、この図だけは左が「後」、右が「前」である。
メータケース30は、樹脂成形した前面側の上ケース35に、樹脂成形したバック側の下ケース36を重ねて一体化するものであり、上ケース35と下ケース36との互いの合せ部からメータケース30に対して一側方へ上ケース35から取付け部37を延ばし、下ケース36から取付け部38を延ばし、これらの取付け部37,38に丸孔39,39(図4も参照)を開け、各丸孔39にラバーマウント41を嵌合し、このラバーマウント41に予めボルト42を取付けておく。
また、下ケース36の下部にスタッドボルト43,43(図4も参照)を樹脂に一体取付け、各スタッドボルト43にラバーマウント44を嵌めたのち、座金45を介してナット46を締め付けておく。
【0016】
上記の通り、ラバーマウント41,44、ボルト42及びナット46を予め取付けておくことで、これら小物部品の個数管理が容易となる。組立現場でこれらの小物部品をメータケース30に取付けるのでは、小物部品の落下、紛失を心配しなければならないが、本実施例ではその心配が無い。加えて、組立現場で小物部品を取付ける必要が無いので、組立工数の削減が図れ、生産能率を高めることができる。
ただし、前記小物部品の一部若しくは全部を、組立現場でメータケース30に取付けることは差支えない。
【0017】
以上に述べた自動二輪車のメータケースの取付け手順を次に説明する。
図6は本発明に係る前照灯ブラケット及びメータケースの取付要領図である。前照灯ブラケット13Lの下ブランチ26のピン27を、ラバーマウント18を介してボトムブリッジ12の差込み孔19に差込み(矢印▲1▼)、後ブランチ25の上部をトップブリッジ11の前縁に合せてボルト48で締める(矢印▲2▼)ことにより、前照灯ブラケット13Lを強固に車体側に取付ける。
【0018】
次に、メータケース30を矢印▲3▼の如くスライドさせることで、U溝15にラバーマウント44の溝を押込む。ナット46は締っているがラバーマウント44は弾性部材であるから、良好に変形し、押込みは円滑に行うことができる。
続いてトップブリッジ11の受け座14Lへ矢印▲4▼のごとくラバーマウント41を載せ、ボルト42を廻すことで、固定する。
従って、メータケース取付け作業に限れば、作業者はメータケース30を矢印▲3▼の如く差込み、矢印▲4▼の如くボルト42(2本)を捩じ込むだけで、作業は完了する。作業は簡単であり、部品を紛失する心配も無い。
【0019】
なお、前記ラバーマウント41,44は、厚手の軟質樹脂座金、ゴム板、皿ばねなどの弾性部材であればよい。この様な弾性部材を介在させることにより、製作誤差、組付誤差(ボルト42−ボルト43間隔の誤差、ボルト42,43の相手部材に対する倒れ、ずれなど)を吸収させることができ、組付けが容易になる。
弾性部材を介在させたので、トップブリッジ11や前照灯ブラケット13L,13Rからの車体振動を弾性部材で遮断することができ、メータ類を保護することができる。
【0020】
更に、図6に示したとおりに、一端をトップブリッジ11に持たせ、他端を前照灯ブラケット13L(及び13R)に持たせるという両端支持構造にしたため、メータブラケット30の取付け部37,38などに無理が掛らず、結果として実施例の様にメータケース30をオール樹脂製にしてトップブリッジ11に直接取付けることができた。
【0021】
実施例では、トップブリッジ11に2点、前照灯ブラケット13L,13Rに2点の合計4点で、メータケース30を取付けた。従って、1点当りの負担が軽くなり、この点からもメータケース30のオール樹脂化が可能となった。
しかし、「両端支持構造」と安定性とを条件とした場合、トップブリッジ11に2点、前照灯ブラケット13L又は13R(前照灯ブラケット13L,13Rを一体化した前照灯ブラケットなら尚良い)に1点の合計3点、又はトップブリッジ11に1点、前照灯ブラケット13L,13Rに2点の合計3点であれば、実施例と同等の作用を発揮させることができる。従って、メータケース30の取付け箇所は前照灯ブラケット13L(13R)に少なくとも1ヶ所、トップブリッジ11に少なくとも1ヶ所、全部で少なくとも3ヶ所とすればよい。
【0022】
また、速度計や回転計をデジタル表示化するなどして運転者から見て横長で、前後の幅のごく小さいメータケースを採用する場合が有り、このときにはメータケース30を直接トップブリッジ11に取付けることができ、前照灯ブラケット13L,13Rには必ずしも結合を要さない。従って、少なくとも速度計31を収納するメータケース30を、自動二輪車のトップブリッジ11に直接取付けたものであってもよい。
【0023】
尚、実施例のU溝15は丸孔であってもよい。U溝15であれば上述した通りに、メータケース30の取付けが極めて容易になる。丸孔であれば取付け工数はやや増加するが、取付け後の支持剛性のアップが期待できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、少なくとも速度計を収納するメータケースを、前照灯を支える前照灯ブラケットと自動二輪車のトップブリッジとに掛け渡し、前照灯ブラケット側の取付部に後方に開いたU溝を設け、メータケースの前部をU溝に差し込み、メータケースの後部をトップブリッジに取付けたことを特徴とし、メータケースの一端を前照灯ブラケットに持たせ、他端をトップブリッジに持たせる。両端支持構造であるから、メータケースを良好に支えることができると共に、個々の支持点における負担が軽くなるため、その箇所の薄肉化、軽量化、樹脂化などが可能となる。
即ち、メータケース取付けステーが不要となるので、部品数の削減が図れると共に、片持ち梁の様な振れ易い部材を介さないので、取付け剛性を高めることができる。
【0025】
請求項2は、メータケースは弾性部材を介して前照灯ブラケット並びにトップブリッジに取付け、且つその取付け箇所は前照灯ブラケットに少なくとも1ヶ所、トップブリッジに少なくとも1ヶ所、全部で少なくとも3ヶ所としたことを特徴とし、介在させた弾性部材で振動を遮断することができ、しかも取付け時の寸法誤差を吸収させることができる。従って、計器の傷みを防止し、しかも取付け工数の削減が図れる。
【0026】
請求項3では、取付け部を含めてメータケース全体が樹脂化できたので、メータケースの軽量化が図れる。そして、メータケース取付けステーが不要となるので、部品数の削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動二輪車のメータケース取付け構造の分解斜視図
【図2】本発明に係る左の前照灯ブラケットの側面図
【図3】本発明に係る左の前照灯ブラケットの平面図
【図4】本発明に係るメータケースの正面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】本発明に係る前照灯ブラケット及びメータケースの取付要領図
【符号の説明】
11…トップブリッジ、12…ボトムブリッジ、13L,13R…前照灯ブラケット、14L,14R…受け座、15…U溝、30…メータケース、31…速度計、32…回転計、33…表示灯、35…上ケース、36…下ケース、37…上ケースから延ばした取付け部、38…下ケースから延ばした取付け部、41,44…弾性部材(ラバーマウント)、42…ボルト、43…スタッドボルト、46…ナット。
Claims (3)
- 少なくとも速度計を収納するメータケースを、前照灯を支える前照灯ブラケットと自動二輪車のトップブリッジとに掛け渡し、
前記前照灯ブラケット側の取付部に後方に開いたU溝を設け、
前記メータケースの前部を前記U溝に差し込み、
前記メータケースの後部を前記トップブリッジに取付けたことを特徴とする自動二輪車のメータケース取付け構造。 - 前記メータケースは弾性部材を介して前照灯ブラケット並びにトップブリッジに取付け、且つその取付け箇所は前照灯ブラケットに少なくとも1ヶ所、トップブリッジに少なくとも1ヶ所、全部で少なくとも3ヶ所としたことを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のメータケース取付け構造。
- 前記メータケースを樹脂製の上ケースと下ケースとで形成し、上ケースと下ケースとの互いの合せ部からメータケースに対して一側方へそれぞれケースを張出して取付け部を形成し、この取付け部を前記トップブリッジに直接取付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のメータケース取付け構造。
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