JP3824339B2 - スピロビインダン誘導体及びその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフッ化アルカン系冷媒との相溶性に優れた潤滑油に関する。さらに詳しくは、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)やクロロジフルオロメタン(HCFC-22) 等の塩素原子含有冷媒の代替品として有望なフッ化アルカン、好ましくはハイドロフルオロエタン等のハイドロフルオロアルカン、さらに好ましくは1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC-134a)を冷媒として使用する冷凍システムに適したフッ化アルカン系冷媒との相溶性に優れた潤滑油に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、主にCFC-12がカーエアコン用や冷蔵庫用の冷凍機の冷媒として、また、HCFC-22 がルームエアコン用の冷凍機の冷媒として使用されているが、オゾン層保護の立場から、CFC-12やHCFC-22 等の塩素含有冷媒に代替しうる冷媒の開発が望まれていた。
代替冷媒としては、低級フッ化アルカンが有望であるが、特に、ハイドロフルオロエタン等のハイドロフルオロアルカンが好ましい。その中でも、HFC-134aは、冷媒としてCFC-12に近い物性を有しており、装置面での最小限の変更でCFC-12の代替品として使用することができるので特に有望である。また、HFC-134aの異性体である1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC-134) 、1,1−ジフルオロエタン(HFC-152),HCFC-22 の代替候補であるジフルオロメタン(HFC-32)、ペンタフルオロエタン(HFC-125) 、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC-143a)等のフッ化アルカンも同様に使用可能と考えられる。
【0003】
CFC-12を使用する冷凍システムでは、コンプレッサー用の潤滑油として鉱油が使用されている。CFC-12は塩素原子を含むため高い親油性を有し、鉱油と広い温度範囲で相溶性を示すので、冷媒が蒸発と凝縮を繰り返す冷凍システムにおいて冷媒と潤滑油が分離することはない。しかし、HFC-134aに代表される各種フッ化アルカン系冷媒は、塩素原子を含まないため鉱油と十分な相溶性がなく、潤滑油として鉱油を使用すると、例えば、コンプレッサーで冷媒により潤滑油が置換されてしまい、潤滑が不十分になったり、熱交換率が悪くなったり、数々の重大な問題が発生する。
HFC-134a等のフッ化アルカンを冷媒として用いる冷凍機用の潤滑油としては、少なくとも0℃〜50℃の範囲、好ましくは−20℃〜70℃の範囲、特に好ましくは、−40℃〜90℃の範囲、あるいは、更にそれよりも広い温度範囲でHFC-134a等のフッ化アルカンと相溶性を示す必要がある。
これまでにHFC-134aと共に用いるためHFC-134aと相溶性の良好な潤滑油として、各種のポリアルキレングリコール系化合物やポリエステル系化合物が提案されている。例えば、米国特許第4,755,316 号明細書に開示されている、2 つ以上の水酸基を有するポリアルキレングリコール、特にポリオキシプロピレングリコールは、相溶性を示す温度範囲が広いとされている。しかしながら、その相溶性を示す温度範囲は、潤滑油としてはまだ十分とは言えず、特に高温領域での相溶性の改良が必要である。
【0004】
また、ポリオキシアルキレングリコールは、潤滑油使用条件下での潤滑性が不十分であるし、また、更に吸湿性が大きいために、水分の凍結、金属の腐食、体積固有抵抗の低下( 冷蔵庫等の密閉型冷凍機で問題となる) 等の問題が起こり易く、実用的に優れた冷凍システム用潤滑油とは言えない。
また、特開平3-128991号公報、特開平3-179091号公報等に開示されているポリエステル系化合物もHFC-134aとの相溶性に優れているとされているが、エステル基を含有するため吸湿性が高く、また、加水分解性等の分解を起こし易く、耐久性に問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低温領域から高温領域まで幅広い温度範囲で、HFC-134a等のフッ化アルカンと良好な相溶性を示し、かつ安定性、低吸湿性等の面で優れた特性を有する潤滑油を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記の目的を達成すべく、鋭意検討した結果、HFC-134a等のフッ化アルカンとの相溶性が良好で、HFC-134a等のフッ化アルカンを含有する冷媒を使用する冷凍システムの潤滑油として適した新規なスピロビインダン誘導体を見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は、一般式(I)(化2)で表される新規なスピロビインダン誘導体、及び該誘導体を含有する潤滑油に関するものである。
【0007】
【化2】
(式中、Aはエチレン基またはイソプロピレン基を、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子または水酸基を、Rfは炭素原子数1〜25で、かつ、フッ素原子の数/炭素原子の数の比が0.6〜3であるフルオロカーボン基またはその部分置換体を表し、l、s はそれぞれ1〜3の整数を、n、mはそれぞれ0〜100の整数を表し、n+mは0ではない)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、CFC-12や HCFC-22等の塩素原子含有冷媒の代替品として有望な冷媒であるHFC-134aなどのフッ化アルカンと、低温領域から高温領域まで幅広い温度で良好な相溶性を示し、かつ、冷凍システム用潤滑油として適した特性を示す新規なスピロビインダン誘導体、およびその用途を提供するものである。
本発明の一般式(I)で表される新規なスピロビインダン誘導体は、フッ素原子を含有する化合物であるが、フッ素原子の含有率が低いので、含フッ素潤滑剤としては、製造コストが安いというメリットがある。また、該スピロビインダン誘導体は、フッ素原子含有率が低いにも関わらず、各種のフッ化アルカン系冷媒と良好な相溶性を示すという驚くべき特性を有している。それ故、本発明の一般式(I)で表される新規なスピロビインダン誘導体を含有する潤滑油は、フッ化アルカン系冷媒との相溶性に極めて優れたものである。
【0009】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体において、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子または水酸基を表す。無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert- ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4-tert- ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、テトラヒドロフルフリル基等が挙げられ、置換アルキル基としては、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-ブトキシエチル基、3-メトキシプロピル基、3-エトキシプロピル基、3-n−プロポキシプロピル基、3-n-ブトキシプロピル基、3-n-ヘキシルオキシプロピル基、2-メトキシエトキシエチル基、2-エトキシエトキシエチル基、2-フェノキシメチル基、2-フェノキシエトキシエチル基、クロロメチル基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、2 、2 、2-トリクロロエチル基等が挙げられる。
【0010】
無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-オキチルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、4-tert- ブチルシクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、置換のアルコキシ基としては、2-メトキシエトキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-n-ブトキシエトキシ基、3-メトキシプロポキシ基、3-エトキシプロポキシ基、3-n-プロポキシプロポキシ基、3-n-ブトキシプロポキシ基、3-n-ヘキシルオキシプロポキシ基、2-メトキシエトキシエトキシ基、2-フェノキシメトキシ基、2-フェノキシエトキシエトキシ基、クロロメトキシ基、2-クロロエトキシ基、3-クロロプロポキシ基、2 、2 、2-トリクロロエトキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0011】
Aはエチレン基またはイソプロピレン基を表し、l、s は、1〜3の整数を表し、n、mは0〜100の整数を表す。但し、n+mは0ではない。
Rfは炭素原子数1〜25で、且つ、Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の比が0.6〜3である無置換または部分置換フルオロカーボン基を表す。
該フルオロカーボン残基とは、各種炭化水素基の水素原子の一部あるいは全てがフッ素原子で置換された構造の置換基を意味しており、例えば、フロオロアルキル基、フロオロアルケニル基、或いは芳香核を有するフルオロアリール基等が挙げられるが、特にフロオロアルキル基及びフロオロアルケニル基は合成が容易で有用である。
【0012】
また、Rfとしては、上記フロオロカーボン基のフッ素原子または水素原子の1部が塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、あるいは、アミド基、アシル基、カルボキシル基等のカルボニル含有基等、冷凍機油の使用条件下で安定な各種置換基で更に置換された部分置換フルオロカーボン残基でもよい。該部分置換フルオロカーボン残基のフッ素原子以外の置換基数は、該置換フロオロカーボン残基のフッ素原子、または、フッ素原子及び水素原子の総数の150%以下、好ましくは100%以下である。上記部分置換フルオロカーボン残基の中でも、フルオロクロロアルキル基は合成が容易で、かつ良好な潤滑性を示すので好ましい。
【0013】
また、Rfはパーフルオロポリエーテル構造でもよい。なお、Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の比は、通常は、0.6〜3、好ましくは1.0〜3のものが使用される。Rf中のフッ素原子の数/炭素原子の数の比が低すぎる場合は、フッ化アルカンとの相溶性が低くなるので好ましくない。
Rf中の炭素数は、通常1〜25の範囲であり、好ましくは1〜10の範囲であり、より好ましくは1〜6の範囲である。
Rf基を例示すれば、-CF3、-C2F5 、-C3F7 、-C6F13、 -C7F15 、-(CF2)6H、
-(CF2)10H 、-(CF2)3C6H5 、-C(CF3)2C6H5、-CH2F 、-CHF2 、-CF2CH3 、
-CH2CHF2、-CH2CF3 、-CF2CH2F、-CHFCF3 、-CF2CHF2、-CHFCF3 、-CF=CF2 、
-CH2CH2CF3、-CClF2、 -CCl2F 、-CHF2 、-CHClF、-CCl2CClF2、-CClFCClF2、
-CF2CCl2F 、-CClFCCl2F、-CClFCClF2、-CF2CClF2 等が挙げられる。
【0014】
次に、本発明において、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体の合成法を例示するがこれらの方法に限定されるものではない。
一般式(I)で表される新規スピロビインダン誘導体は、一般式(II)(化3)で表されるジヒドロキシ化合物を、例えば、反応式(1)〜(3)(化4)に示すように、ハロゲン化合物、アルコール類またはトシレート類と反応させることにより得られる。
【0015】
【化3】
〔式中、R1 、R2 、A、l、m、n、sは式(I)の場合と同じ意味を表す〕
【0016】
【化4】
【0017】
反応式(1)及び(3)において、アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素化物、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の酸化物が挙げられ、反応式(2)において、酸とは、例えば、硫酸、塩酸等の鉱酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸が挙げられる。
また、反応式(1)〜(3)の反応では、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、オクタン、デカン、ドデカン等の炭化水素、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、スルホラン、N,N-ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン等の含硫溶媒、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
【0018】
一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、単独で、または複数を混合して、フッ化アルカンを含有する冷媒を使用した冷凍システム用の潤滑油として使用することができる。さらに一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、他の潤滑オイルと混合して使用することもできる。混合して使用できる他の潤滑オイルとしては、通常、フッ化アルカン系冷媒にある程度溶解性を示すものから選ばれ、例えば、パーフルオロポリエーテルオイル、あるいはカルボキシル基、カルボキシレート基、アミド基、ケトン基またはエステル基等のカルボニル含有基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、エーテル基、ベンゾイミダゾール基、亜リン酸エステル基、ホスフィン酸、ニトリル基、ホスホトリアジン基あるいはトリアジン基等の極性置換基を含有するパーフルオロエーテルオイル、クロロフルオロカーボン系オイル、フッ素化シリコーンオイル等が挙げられる。これらの中から、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体との相溶性や得られる潤滑油組成物の粘度あるいは潤滑特性等を考慮して適当な種類のものが選択される。
一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体を他の潤滑オイルと混合して使用する場合、スピロビインダン誘導体の量は、得られる潤滑油組成物の冷媒との相溶性や該組成物の粘度等を考慮して選択されるが、通常は、該潤滑油組成物に対して、少なくとも0.1重量%以上、好ましくは25重量%以上、更に好ましくは、50重量%以上の範囲である。
【0019】
本発明の一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体を単独でフッ化アルカンを含有する冷媒を使用した冷凍機用の潤滑油として使用する場合、スピロビインダン誘導体としては、その40℃における動粘度が、通常、2〜500 センチストークス(cst) の範囲のもの、好ましくは、3〜300cstの範囲のものが、さらに好ましくは、5〜170cstの範囲のもの、特に好ましくは10〜150cstの範囲のものが使用される。また、100 ℃における動粘度は、通常、0.5 〜100cst、好ましくは、1〜50cst 、特に好ましくは、2〜30cst の範囲のものが使用される。粘度が余り低すぎるとコンプレッサー部の回転トルクが高くなり好ましくない。
また、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体を数種類混合して使用するか、他の潤滑オイルと混合して使用する場合には、スピロビインダン誘導体の粘度は特に制限はなく、混合系の粘度がスピロビインダン誘導体を単独で使用する上記の場合と同じ範囲に入ればよい。
また、スピロビインダン誘導体が固体である場合でも、フッ化アルカン系冷媒と当該物質よりなる冷媒組成物の粘度が、上記範囲の動粘度を有するスピロビインダン誘導体を含む潤滑油を用いた冷媒組成物と同程度ならば、使用可能である。
【0020】
本発明において、冷凍システムにおける冷媒全量/潤滑油全量の重量比は、通常、99/1〜1/99の範囲、好ましくは、95/5〜10/90の範囲、特に好ましくは90/10〜20/80の範囲である。
一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、HFC-134a等のフッ化アルカン系冷媒と、広範な温度範囲で良好な相溶性を示す。即ち、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、HFC-134a等のフッ化アルカンと−78℃以下においても相溶することが可能である。また、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体では、HFC-134a等のフッ化アルカン系冷媒との相溶性の上限温度90℃以上のものが容易に得られる。
また、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、各種フッ化アルカン系冷媒や、塩素含有フッ化アルカン系冷媒との混合溶媒とも同様に良好な相溶性を示す。
【0021】
本発明におけるフッ化アルカン系冷媒は、冷媒として使用可能な低級フッ化アルカン( 例えば、炭素数1〜5程度のフッ化アルカン) 、特に炭素数1〜4のハイドロフルオロアルカンを含有するのが好ましい。例えば、 CH2CF2 [HFC-32]、CHF3 [HFC-23] 、CF3CH2F [HFC-134a]、CHF2CHF2 [HFC-134]、CF3CH3[HFC-143a]、CH3CHF2 [HFC-152a]、CF3CHF2 [HFC-125] 、CF3CHF2 [HFC-125] 、CF3CHFCF3 [HFC-227ea] 、CHF2CF2CF3 [HFC-227ca]、CF3CH2CF3 、CF3CHFCHF2、CF3CF2CH2F、CHF2CF2CHF2 、CF3CH2CHF2、CF3CF2CH3 、CHF2CF2CH2F 、CF3CF2CF2CH3、CF3CHFCHFCF3、CF3CHFCHFCF2CF3 等のフッ化メタン、フッ化エタン、フッ化プロパン、フッ化ブタン等の各種の低級フッ化アルカンを例示することが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0022】
また、塩素含有フッ化アルカン系冷媒としては、冷媒として使用可能な低級塩素含有フッ化アルカン( 例えば、炭素数1〜5程度の塩素含有フッ化アルカン) 、好ましくは、炭素数1〜3の塩素含有フッ化アルカンである。例えば、CHClF2 [HCFH-22]、CCl2F2 [CFC-12] 、CClF2CH3 [HCFC-142b]、CCl2FCH3[HCFC-141b] 、CClF2CHF2 [HCFC-124a] 、CF3CHClF [HCFC-124] 、CHClFCClF2 [HCFC-123a]、CF3CHCl2 [HCFC-123] 、CHF2CF2CHCl2[HCFC-235ca]、CF3CF2CH2Cl [HCFC-235cd]、CClF2CF2CH2F [HCFC-235cc] 等の各種の低級塩素含有フッ化アルカンを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
さらに、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体を銅、真鍮、アルミニウムまたは炭素鋼のような金属、水およびHFC-134aのようなフッ化アルカン共存下、あるいはHFC-134aのようなフッ化アルカンとCFC-12のような塩素含有フッ素アルカンの混合冷媒共存下で加熱する安定性試験( 所謂、シールドチューブテスト) にかけた場合、175 ℃でも、一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体および混合溶媒は安定であり、金属表面もほとんど変化しない。
通常、エステル系オイルは共存する水で加水分解し、その全酸価は増加する。さらに、塩素含有フッ化アルカン系冷媒が共存すると、この加水分解がさらに加速され、試験後のオイルのIRスペクトルにはカルボン酸に帰属される吸収が現れる。しかし、本発明の一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、吸湿性が極めて低く、吸湿性の大きなエステル系オイルのように、水によるオイルの電気特性の低下やHFC-134a等のフッ化アルカンの分解等の問題もない。
【0024】
以上のように、本発明の一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体は、フッ化アルカン系冷媒や塩素含有フッ化アルカン系冷媒と非常に広い温度範囲で良好な相溶性を示す。また、本発明のスピロビインダン誘導体は、吸湿性が極めて低く、水によるオイルの電気特性の低下やフッ化アルカンの分解の促進等の問題もない。さらにまた、本発明のスピロビインダン誘導体は、塩素含有フッ化アルカン共存下でも安定である。このため、本発明のスピロビインダン誘導体は、既存冷凍機の代替冷媒組成物の置換も可能である。
また、本発明のスピロビインダン誘導体の潤滑特性を、フッ化アルカンの存在下または不在下で評価したところ、いずれの場合も極圧性(焼き付け荷重) 、耐摩耗性、摩擦係数とも極めて良好な性能を示すことが確認された。
【0025】
従って、本発明のスピロビインダン誘導体または該誘導体を含有する潤滑剤組成物は、冷蔵庫、冷凍庫、あるいはカーエアコン等に使用する CFC-12 や HCFC-22等の冷媒の代替品として有望なフッ化アルカンを冷媒とする各種冷凍機用の潤滑油としてのみならず、一般潤滑油としても有用である。
尚、本発明の冷凍機用の潤滑オイルは、防錆剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、油性向上剤、流動点降下剤、耐荷重添加剤等の添加剤を、通常用いられる量添加して使用することもできる。
【0026】
【実施例】
以下に例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより何等制限されるものではない。
合成例1
攪拌機、温度計を装着した反応機に6,6'- ジヒドロキシエチルオキシ-3,3,3',3'- テトラメチル-1,1'-スピロビインダン 20g、パーフルオロ沃化ブチル36.7g 、炭酸ナトリウム10.5g 、テトラヒドロフラン200gを装入し、還流下3時間加熱攪拌した。その後、水2l中へ排出し、析出した固体を濾別し、水洗後、乾燥した。収量 41.9g。元素分析、質量分析の結果を以下に記した。
【0027】
合成例2
攪拌機、温度計を装着した反応機に6,6'- ジヒドロキシイソプロピルオキシ-3,3,3',3'- テトラメチル-1, 1'- スピロビインダン 30g、パーフルオロ沃化オクチル 81g、炭酸ナトリウム 7.9g 、トルエン100gを装入し、還流下、4時間加熱攪拌した。その後、水2l中へ排出し、析出した固体を濾別し、水洗後、乾燥した。収量 48.1g。元素分析、質量分析の結果を以下に記した。
合成例3〜12
合成例1と同様に表−1(表1)に示す化合物を合成した。構造確認は元素分析および質量分析により行った。
【0028】
実施例1〜12
合成例1〜12で合成した化合物の相溶性、吸水量及び耐熱性評価を、以下の方法に従って行った。評価結果を表−2(表2)にまとめて示した。
・相溶性
本発明の化合物 0.2g をガラスチューブに入れ、ガラスチューブを液体窒素で冷却したのち、減圧にし、HFC-134a約 1.5g を導入した。ガラスチューブを封管した後、温度調整した水層にいれ、温度が平衡に達した後、目視でオイルとHFC-134aとの相溶性を判断した。
また、40℃における動粘度を、E型回転粘度計(東京計器社製) を用いて測定した。
・吸水量
25℃、相対湿度 70 %の恒温恒湿中で静置した際の平衡吸水量を測定した。
・耐熱性
ガラスチューブに、精製した本発明の化合物 0.6ml、冷媒 HFC-134a 0.6ml 、水 0.01ml および鉄、銅、アルミニウムの試験片をいれて封管した冷媒組成物を、175 ℃で10日間加熱した後、色相の変化および金属片の表面を目視観察した。
【0029】
比較例1〜2
特開昭 3-179091 号公報の実施例に記載のエステル系オイル及びMn= 1500 のポリプロピレングリコールを用いて、実施例に記載の方法により評価した。
結果を表−2に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】
本発明のフッ素含有スピロビインダン誘導体は、冷凍システム用潤滑油として用いると、低温領域から高温領域までの幅広い温度範囲でHFC-134aに代表されるフッ化アルカン系冷媒と良好な相溶性を示す。また、該誘導体を含む潤滑油は、安定性、低吸収性等の物性が優れたものであり、優れた冷凍システム用潤滑油となりうるものである。更に、この潤滑油は非常に優れた潤滑特性を有しているため、冷凍機用のみならず、一般潤滑油としても有用である。
Claims (2)
- 一般式(I)で表されるスピロビインダン誘導体。
ハロゲン原子、水酸基、炭素数6以下のアルコキシ基、フェノキシ基またはフェノキシエトキシ基で置換されてよい総炭素数20以下のアルキル基、
ハロゲン原子、水酸基、炭素数6以下のアルコキシ基、フェノキシ基またはフェノキシエトキシ基で置換されてよい総炭素数20以下のアルコキシ基、
ハロゲン原子または水酸基を、
Rfは炭素原子数1〜25で、かつ、フッ素原子の数/炭素原子の数の比が0.6〜3であり、フッ素原子以外のハロゲン原子、アミノ基、ニトリル基、アミド基またはカルボキシル基で置換されていてもよいフルオロカーボン基を表し、l、s はそれぞれ1〜3の整数を、n、mはそれぞれ0〜100の整数を表し、n+mは0ではない) - 請求項1記載のスピロビインダン誘導体を含有する潤滑油。
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