JP3824287B2 - Catv用増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CATVシステムの通信線路に接続されるCATV用増幅器に関し、特にCATV用増幅器内部の前置増幅部に対する入力レベルの調整に特徴を有するCATV用増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、CATVシステムにおいては、センター装置側から送出されるCATV信号(映像信号及び音声信号を総称して「CATV信号」とする。以下同じ)を同軸ケーブル等の通信線路を通して各住戸等の端末へ出力している。そして通信線路には所定間隔でCATV用増幅器が接続されており、伝送される信号は利得調整されて損失することなく端末に伝送されるようにしている(なお単に「CATV用増幅器」とある場合には、下り信号用のCATV用増幅器、上り信号用のCATV用増幅器、及び上り下り信号用のCATV用増幅器を含み、任意の周波数帯域のCATV信号を増幅可能なものとする。以下同じ。但し、以下においては、CATV信号の周波数帯域を70〜770MHzとして説明する)。
【0003】
図2にこのような従来のCATV用増幅器の一例を示す。この図2において、1は入力端子、2は出力端子、3及び10はHPF(ハイパスフィルタ、以下同じ)又はLPF(ローパスフィルタ、以下同じ)、4は標準入力調整部、51は前置増幅部、60は利得調整部(AGC部)、7はTILT部、8は終段増幅部、9は分岐部である。
【0004】
入力端子1から入力されたCATV信号はHPF又はLPF(下り信号増幅においてはHPF、上り信号増幅においてはLPF)にて所定の周波数範囲に絞られ、標準入力調整部4の疑似線路41及び等価器(又はアッテネータ)42を介して擬似的に標準入力レベルに減衰される。そして前置増幅部51及び終段増幅部8によって所定レベルに増幅され、またその間のTILT部7によってスロープ補正される。そして再びHPF又はLPF10(下り信号増幅においてはHPF、上り信号増幅においてはLPF)にて所定の周波数範囲に絞られ、出力端子2から出力される。
【0005】
ここで利得調整部60は、入力側の通信線路のレベルが温度特性等により変化した場合、又は前置増幅部51や終段増幅部8の固定利得が温度変化等により変化した場合、その変化を調整して出力レベルを一定に保つものである。このため、利得調整部60には分岐部9にて分岐されたCATV信号が入力され、該CATV信号のうち損失変化の大きい高周波部分たる770MHz付近の信号のみがBPF(バンドパスフィルタ、以下同じ)61によってパイロット信号として抽出され、該パイロット信号が固定利得を有するパイロット信号増幅部62にて増幅される。増幅されたパイロット信号は検波部63にて検波し、信号を直流電圧に変換された後、制御部640に入力される。
【0006】
制御部640では前置増幅部51から終段増幅部8に至るCATV信号を調整するため、まず所定の基準レベルに対するパイロット信号の高低を判断し、この判断に応じて可変等価器660を制御する。図5は可変等価器660の特性図である。この図5に示すように従来の可変等価器660は、標準減衰量を−6dB(図5におけるSTD)、最大減衰量を−12dB(図5におけるMIN)、最小減衰量を0dB(図5におけるMAX)とし、パイロット信号のレベルが基準レベルと同じであればCATV信号を標準減衰量−6dBだけ減衰していた。
【0007】
またパイロット信号のレベルが基準レベルより高ければその程度に応じてCATV信号を標準減衰量よりさらに減衰させ(パイロット信号のレベルが基準レベルに対して+6dBの場合に最大減衰量−12dB)、基準レベルより低ければその程度に応じてCATV信号を標準減衰量より少なく減衰させていた(パイロット信号のレベルが基準レベルに対して−6dBの場合に最小減衰量0dB)。このことによりCATV用増幅器から出力されるCATV信号の出力レベルを標準レベルに維持していた。
なお可変等価器の特性説明において、単に「減衰量」とある場合には最高周波数すなわち770MHzにおける減衰量を説明し、全体の特性をケーブル損失√f特性とする。また、可変等価器においては約−1.5dBの標準入力損失が生じるものとする。なおdBはデシベルである。以下同じ。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述したような従来のCATV用増幅器では、前置増幅部51と後段増幅部8との間にのみ可変等価器660が配置されており、入力側の通信線路のレベルが温度特性等により変化したことによりCATV信号の入力レベルが標準レベルよりも高い場合であっても、前置増幅部51にはレベル未調整のCATV信号がそのまま入力する。ここで前置増幅部51は固定利得であるため、標準レベルよりも高いCATV信号が入力されると、その時に生じる歪みは、標準レベルのCATV信号が入力された場合に生じる歪みに比べて悪化する。しかしこのような場合であっても、規定の歪み値を得る必要があるため、前置増幅部51の歪み特性を上げておくこと、すなわち高出力の前置増幅部51を設けておく必要があった。このことはCATV用増幅器全体のコストを向上させる一因となっていた。
【0009】
本発明は、従来のこのようなCATV用増幅器における問題点に鑑みてなされたもので、高出力の前置増幅部を設けなくとも、CATV信号の入力レベルが変動した場合に、歪みを劣化させることなく安定した出力が得られるよう調整することができるCATV用増幅器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために請求項1に記載の発明は、CATVの通信線路に接続され、
CATV信号の入力レベルを固定的に減衰し調整する標準入力調整部と、
前記標準入力調整部にて調整されたCATV信号を増幅する前置増幅部と、
前記前置増幅部にて増幅されたCATV信号を増幅する終段増幅部と、
を備えるCATV用増幅器であって、
前記標準入力調整部と前記前置増幅部との間に配置され、前記標準入力調整部にて調整されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第1可変等価器と、
前記前置増幅部と前記終段増幅部との間に配置され、前記前置増幅部にて増幅されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第2可変等価部と、
前記終段増幅部にて増幅されたCATV信号から所定周波数のパイロット信号を抽出する信号抽出部と、
前記信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルに基づいて、第1可変等価器及び又は第2可変等価部を制御する制御部と、
を有する利得調整部を備え、
前記利得調整部の制御部は、
前記信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルが所定の基準レベルより高い場合には、前記第1可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量以上とすると共に、前記第2可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量とし、かつ、前記信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルが所定の基準レベルより低い場合には、前記第1可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量とすると共に、前記第2可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量以下とすること、
を特徴とするCATV用増幅器である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のCATV用増幅器において、前記第1可変等価部における所定の標準減衰量は0dBであることを特徴とする。
【0012】
上記した本発明により、標準入力調整部と前置増幅部との間に配置され、前記標準入力調整部にて調整されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第1可変等価器と、前置増幅部と終段増幅部との間に配置され、前置増幅部にて増幅されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第2可変等価部と、信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルに基づいて、第1可変等価器及び又は第2可変等価部を制御する制御部とを設けたこと等により、パイロット信号のレベルが基準レベル以上である場合であっても、前置増幅器に送出されるCATV信号のレベルを予め調整でき、前置増幅器における歪みを悪化させることなく安定した出力を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態におけるCATV用増幅器の全体回路図であり、図3は第1可変等価器65の特性図、図4は第2可変等価器66の特性図である。なお本実施形態の説明においては、図2の従来のCATV用増幅器と同じ構成を同符号にて示す。
【0014】
図1に示すように本実施形態のCATV用増幅器は、入力端子1、出力端子2、HPF又はLPF3、10、標準入力調整部4、前置増幅部5、利得調整部6、TILT部7、終段増幅部8及び分岐部9を備えて構成されている。
【0015】
そして入力端子1から入力されたCATV信号はHPF又はLPF3にて所定の周波数範囲に絞られ、標準入力調整部4の疑似線路41及び等価器(又はアッテネータ)42を介して擬似的に標準入力レベルに減衰される。そして前置増幅器5及び又は終段増幅器8によって所定レベルに増幅され、またその間のTILT部7によってスロープ補正される。そして再びHPF又はLPF10にて所定の周波数範囲に絞られ、出力端子2から出力される。
【0016】
ここでCATV信号のレベルを調整するための利得調整部6は、BPF61、パイロット信号増幅部62、検波部63、制御部64、第1可変等価部65及び第2可変等価部66を備えて構成されている。このうちBPF61、パイロット信号増幅部62、検波部63は従来のCATV増幅器の利得調整部におけるのと同様のものである。すなわちBPF61は、終段増幅部66にて増幅されたCATV信号から所定周波数のパイロット信号を抽出する信号抽出部であり、またパイロット信号増幅部62はBPF61にて抽出されたパイロット信号を所定レベルの信号に増幅し、検波部63はパイロット信号増幅部62にて増幅されたパイロット信号を検波する。
【0017】
一方、制御部64は従来のCATV増幅器の利得調整部の制御部と異なる制御内容をなし、また第2可変等価部66は従来の利得調整部の可変等価部と異なる特性を有し、また第1可変等価部65は従来の利得調整部には設けられていなかったものである。
以下、これら第1可変等価部65及び第2可変等価部66の特性、制御部64の制御内容等について説明する。
【0018】
制御部64は、まずBPF61にて抽出され検波部63にて検波されたパイロット信号のレベルを所定の基準レベルと比較し(なおこの基準レベルは従来と同様に図示の可変抵抗を介して任意に変更可能である)、この比較結果に応じて、第1可変等価部65及び又は第2可変等価部66を制御する。この制御内容については後述する。
【0019】
第1可変等価部65は、図1に示すように、標準入力調整部4と前置増幅部5との間に配置され、標準入力調整部4にて調整されたCATV信号のレベルを所定レベルに調整して次段に向け出力する。この第1可変等価部65の特性は、図3に示すように、標準減衰量を0dB(同図におけるSTD)、最大減衰量を−6dB(同図におけるMIN)とする。そしてパイロット信号のレベルが基準レベルと同じかそれ以下であれば後述する制御部64の制御によって標準減衰量0dBが適用され、標準入力損失分を除いてはCATV信号を減衰させることなく通過させる。一方、基準レベルより高ければ後述する制御部64の制御によって、レベルが高い程度に応じた標準減衰量以上の減衰量が適用され、パイロット信号のレベルが基準レベルに対して+6dBである場合には最大減衰量−6dBが適用されてCATV信号を−6dB減衰して通過させる。
【0020】
また第2可変等価部66は、図1に示すように、前置増幅部5と終段増幅部8との間(より詳細には前置増幅部5とTILT部7との間)に配置され、前置増幅部5にて増幅されたCATV信号のレベルを所定レベルに調整して次段に向け送出する。この第2可変等価部66の特性は、図4に示すように、標準減衰量を−6dB(同図におけるSTD)、最小減衰量を0dB(同図におけるMAX)とする。そしてパイロット信号のレベルが基準レベルと同じかそれ以上であれば後述する制御部64の制御によって標準減衰量が適用され、CATV信号を−6dB減衰して通過させる。一方、基準レベルより低ければ後述する制御部64の制御によって、レベルが低い程度に応じた標準減衰量以下の減衰量が適用され、パイロット信号のレベルが基準レベルに対して−6dBである場合には最小減衰量0dBが適用されて、標準入力損失分を除いてはCATV信号を減衰させることなく通過させる。
【0021】
これらの構成により、本増幅器に入力されたCATV信号は以下のように調整される。
まず入力端子1から入力されたCATV信号はHPF又はLPF3及び標準入力調整部4を経て、第1可変等価器65〜終段増幅器8に順次入力される。入力初期時においては、第1可変等価器65及び第2可変等価器66において標準減衰量による減衰が行われる。
【0022】
そしてCATV信号が分岐器9に入力されると、上述のようにパイロット信号の抽出及び検波等が行われ、制御部64において、パイロット信号のレベルが所定の基準レベルと比較される。ここで、パイロット信号のレベルが基準レベルと同じかそれ以下である場合には、CATV信号を減衰しないように第1可変等価部65を制御する。すなわち第1可変等価部65の減衰量として標準減衰量0dBを適用する。またこの場合、パイロット信号のレベルの低い程度に応じて第2可変等価部66の減衰量を少なくし、パイロット信号が基準レベルに対して−6dBである場合には最小減衰量0dBを適用する。
このような制御によれば、パイロット信号のレベルが基準レベルかそれ以下である場合、CATV信号は第1可変等価部65では減衰されず、従来と同様に第2可変等価部66でのみ減衰される。
【0023】
一方、パイロット信号のレベルが基準レベル以上である場合には、CATV信号を減衰するように第1可変等価部65を制御する。すなわち第1可変等価部65の減衰量として、パイロット信号のレベルの高さに応じて第1可変等価部65の減衰量を大きくし、パイロット信号が基準レベルに対して+6dBである場合には最大減衰量−6dBを適用する。またこの場合、第2可変等価部66の減衰量として標準減衰量−6dBを適用する。
このような制御によれば、パイロット信号のレベルが基準レベル以上である場合、CATV信号は前置増幅器5に送出される前に第1可変等価部65にて減衰される。したがって前置増幅器5における歪み悪化を防止することができる。
【0024】
さてこれまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記に示した実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいものである。例えば、本増幅器にて増幅する周波数範囲は任意の範囲であってよく、また上記実施形態においては第1及び第2可変等価器に対するCATV信号の入力レベルを±6dBとしたが、これに限られることなく任意範囲のレベルのCATV信号を入力可能としてよい。また第1可変等価器の標準減衰量は0dB以外でもよい。
【0025】
【発明の効果】
上記したように請求項1・2に記載の本発明は、標準入力調整部と前置増幅部との間に配置され、前記標準入力調整部にて調整されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第1可変等価器と、前置増幅部と終段増幅部との間に配置され、前置増幅部にて増幅されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第2可変等価部と、信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルに基づいて、第1可変等価器及び又は第2可変等価部を制御する制御部とを設けたこと等により、パイロット信号のレベルが基準レベル以上である場合であっても、前置増幅器に送出されるCATV信号のレベルを予め調整でき、前置増幅器における歪みを悪化させることなく安定した出力を得ることができる。したがって高出力の前置増幅器は不要となって増幅器全体の製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるCATV用増幅器の全体回路図である。
【図2】従来のCATV用増幅器の全体回路図である。
【図3】図1の第1可変等価器65の特性図である。
【図4】図1の第2可変等価器66の特性図である
【図5】図2の可変等価器660の特性図である
【符号の説明】
1 入力端子
2 出力端子
3、10 HPF又はLPF
4 標準入力調整部
5、51 前置増幅部
6、60 利得調整部
7 TILT部
8 終段増幅部
9 分岐部
41 疑似線路
42 等価器又はアッテネータ
64、640 制御部
65 第1可変等価器
66 第2可変等価器
660 可変等価器

Claims (2)

  1. CATVの通信線路に接続され、
    CATV信号の入力レベルを固定的に減衰し調整する標準入力調整部と、
    前記標準入力調整部にて調整されたCATV信号を増幅する前置増幅部と、
    前記前置増幅部にて増幅されたCATV信号を増幅する終段増幅部と、
    を備えるCATV用増幅器であって、
    前記標準入力調整部と前記前置増幅部との間に配置され、前記標準入力調整部にて調整されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第1可変等価器と、
    前記前置増幅部と前記終段増幅部との間に配置され、前記前置増幅部にて増幅されたCATV信号のレベルをさらに調整して送出する第2可変等価部と、
    前記終段増幅部にて増幅されたCATV信号から所定周波数のパイロット信号を抽出する信号抽出部と、
    前記信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルに基づいて、第1可変等価器及び又は第2可変等価部を制御する制御部と、
    を有する利得調整部を備え、
    前記利得調整部の制御部は、
    前記信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルが所定の基準レベルより高い場合には、前記第1可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量以上とすると共に、前記第2可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量とし、かつ、前記信号抽出部にて抽出されたパイロット信号のレベルが所定の基準レベルより低い場合には、前記第1可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量とすると共に、前記第2可変等価部におけるCATV信号の減衰量を所定の標準減衰量以下とすること、
    を特徴とするCATV用増幅器。
  2. 前記第1可変等価部における所定の標準減衰量は0dBであることを特徴とする請求項に記載のCATV用増幅器。
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