JP3824109B2 - 感熱孔版印刷用マスタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱孔版印刷用マスタに係るものであり、詳しくは、熱可塑性樹脂フィルムに接して設けられる支持体の構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂フィルム(以降単に「フィルム」ということがある)に、インキ透過性支持体(以降単に「支持体」ということがある)として多孔性薄葉紙などを接着剤で貼りあわせ、且つフィルム表面にサ−マルヘッドとのスティック防止のためのスティック防止層を設けた感熱孔版印刷用マスタが知られている。実際上、多孔性薄葉紙としての麻繊維又は麻繊維と合成繊維、木材繊維とを混抄したものにフィルムを接着剤で貼りあわせ、且つフィルム表面にスティック防止層を設けた感熱孔版印刷用マスタが広く用いられている。
【0003】
しかし、こうした従来の感熱孔版印刷用マスタでは、フィルムのすぐ上面に繊維からなる支持体が存在するため、繊維自体がインキの通過を妨げ、印刷むらを発生する等の問題点が残されている。
【0004】
こうした点を配慮して幾つかの感熱孔版印刷用マスタが提案されている。例えば、特開平3−193445号公報には、繊度1デニール以下の極細繊維を用いた多孔性薄葉紙からなる支持体が開示されている。これによれば前記問題点は解決されるが、繊維自体のコストが高く、高価なマスタになる。
【0005】
もっとも、特開昭54−33117号公報には、支持体を用いない実質的にフィルムのみからなる印刷用マスタが開示されており、これによれば前記の問題点は解決されるが、その一方で新たな問題を生じさせている。その一つは、フィルムが10μm以下の厚さの場合、その「コシ」(stiffness)が弱く、搬送が困難になることである。これの解決方法として、特公平5−70595号公報では、印刷機の版胴周壁部にフィルムが切断されることなく長尺状のまま巻装され、印刷時には版胴の回転とともにフィルム全体も回転する考えが提示されている。しかし、この方法ではフィルム及び着排版ユニットが印刷時には版胴の回転と共に回転するため、回転のモーメントが大きくなり、また重力中心の回転軸からの変位が大きく、これらの解決のために印刷機は重く、大きくしなければならない。
また、フィルムが5μm以上の厚さの場合、その熱感度が小さくなり、サーマルヘッドによる穿孔が行われにくくなり、また加熱手段からの印加エネルギーがマスタを通してプラテンへ損失する比率が高くなり、その為穿孔に使われるエネルギーが少なく、穿孔されにくくなる。
更には、製版時に、熱可塑性樹脂フィルムが収縮し、画像の寸法再現性が悪くなったり、高温で(例えば、真夏の自動車の中)で保管した場合、マスタが収縮し、シワシワになる等の問題もある。
【0006】
なお、特開平7−314936号公報、特開平7−1852号公報には、ドラム上にインキで溶ける接着剤でラミネートされたマスタを巻装し、印刷時にインキで接着剤が溶けて、フィルムより多孔性繊維膜を剥離させるマスタが提案されているが、実際には接着剤がインキで溶けるには、数枚印刷しないと溶けないので、最初からは剥離が行えない。このため最初の数枚では、繊維目を発生するという問題点を有している。また、特開平7−9752号公報、特開平5−309932号公報、特開平5−318900号公報には、支持体をフィルムから剥がして、フィルムをドラムに巻装して印刷を行う孔版印刷装置が開示されているが、コシの弱いフィルムのみを版胴に巻装するので、シワ、スキューを発生しやすく、巻きつけにくいという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、第一の目的は、マスタの熱収縮を防止し、製版時に、マスタが収縮するのを防止する支持体を有する感熱孔版印刷用マスタを提供することにある。また、第二の目的は、熱可塑性樹脂フィルムのコシ(stiffness)を強くし、断熱効果によりフィルムの穿孔感度を向上させる支持体を有する感熱孔版印刷用マスタを提供することにある。更に、第三の目的は、少ないインキ付着量で、印刷むらがなく、印刷物の裏汚れが少ない感熱孔版印刷用マスタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、感熱孔版印刷用マスタをいろいろな角度から検討してきた結果、(イ)インキの通過を妨げ、且つサーマルヘッドによる穿孔を妨げる繊維状物質のみからなる支持体は、フィルムの直上になるべくなら存在しないほうが望ましい、(ロ)繊維状物質を有しない支持体であると、マスタ製版時に、マスタが熱収縮し、寸法再現性が悪い、(ハ)支持体は望ましくはフィルムとは比較的小さな接点を有しながら、インキの通過を阻害せず、且つ印刷機上での搬送に十分なコシ及び引張り強度を与えるものが望ましい、との研究結果から、(1)感熱孔版印刷用マスタはフィルムの一方の面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を有し、印刷時には、画像部では剪断力によって多孔性繊維膜がフィルムより剥離し、フィルムと多孔性繊維膜との間に、インキ層が介在したもの、(2)感熱孔版印刷用マスタはフィルムの一方の面に樹脂からなる多孔性樹脂膜及びその表面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を有し、印刷時には、多孔性繊維膜が多孔性樹脂膜より剥離し、多孔性樹脂膜と多孔性繊維膜との間に、インキ層が介在したもの、が望ましことを確かめた。本発明はそれによりなされたものである。
【0009】
ここで言う「多孔性樹脂膜」とは、溶剤に溶かした樹脂を析出させ凝結させる等により形成する多孔性の膜で、図5の連泡状セルの集合体からなる泡状皮膜、図6の粒形状あるいは繊維状の樹脂がくっつきあってできている集合体状皮膜などによって形成される膜を意味している。
また、多孔性繊維膜とは、綿、麻などの植物繊維、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどの合成繊維等の繊維物質からなる薄葉紙、スクリーンなどによって形成されている膜を意味している。
なお、図3〜図8において、20は熱可塑性樹脂フィルム、25は多孔性樹脂膜、25a、25bは多孔性樹脂膜を構成する構成要素、21、26は多孔性繊維膜を、それぞれ示す。
【0010】
本発明によれば、(1)熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂膜とその表面に多孔性繊維膜を接着してなる感熱孔版印刷用マスタにおいて、該多孔性繊維膜は穿孔処理後ドラム巻装前に少なくとも画像と対応する部分が多孔性樹脂膜表面より剥離され、該状態でドラムに巻装され、印刷時に多孔性樹脂膜と剥離した多孔性繊維膜との間にインキ層が介在することを特徴とする感熱孔版印刷用マスタ、()前記多孔性繊維膜と前記多孔性樹脂膜との接着力が1〜10g/25mmの範囲であることを特徴とする上記()の感熱孔版印刷用マスタ、()サーマルヘッドにより穿孔したとき、その孔1個につき前記多孔性繊維膜を構成する繊維が2本以上7本以下横切っているようにしてなることを特徴とする上記(1)の感熱孔版印刷用マスタ、が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明の説明上、「熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性繊維膜を接着してなる感熱孔版印刷用マスタにおいて、該多孔性繊維膜は穿孔処理後ドラム巻装前に少なくとも画像と対応する部分が熱可塑性樹脂フィルム表面より剥離され、該状態でドラムに巻装され、印刷時に熱可塑性樹脂フィルムと剥離した多孔性繊維膜との間にインキ層が介在することを特徴とする感熱孔版印刷用マスタ。」を“参考例”とする。図1は、参考例に用いられる孔版印刷装置の要部を示している。同図において、回転自在に支持され、図示しない版胴駆動手段で回転駆動される版胴(ドラム)1は、インキパイプ2、インキローラ3、ドクターローラ4をその内部に有している。版胴1は、図2に示されるように、開口部1aを有する多孔性支持板1bと、多孔性支持板1bの外表面に巻装されたインキ保持部材23とから構成されている。版胴1の外周面には、図3に示されるように、熱可塑性樹脂フィルム20と多孔性繊維膜21とを具備してなるマスタ8が巻装される。インキ保持部材23は、テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維でインキを通過させるためのインキ通路を形成したメッシュシートによって構成されている。
【0012】
版胴1の支持軸を兼ねたインキパイプ2は、図示しない筺体側板に固着されており、その表面には、版胴1の内部にインキを供給するための複数の小さな孔が穿孔されている。インキパイプ2は、版胴1の外部に配設された図示しないインキパック内から図示しないポンプによって汲上げられたインキを、版胴1の内部に供給する。インキパック2の下方には、インキローラ3とドクターローラ4とが配設されている。
版胴1内の図示しない側板に回転自在に支持されたインキローラ3は、その外周面が版胴1の内周面と近接するように配置されており、インキパイプ2より供給されたインキを版胴1に供給する。インキローラ3は、図示しないギヤあるいはベルト等の駆動力伝達手段によって版胴駆動手段からの回転力を伝達されて、版胴1と同期して図の時計回り方向に回転駆動される。
インキローラ3の近傍には、回転自在なドクターローラ4が配設されている。ドクターローラ4は、その外周面とインキローラ3の外周面との間に僅かな間隙が生じるように配設されており、インキローラ3の外周面との近接部において楔状のインキ溜まり5を形成している。
【0013】
インキパイプ2よりインキ溜まり5へと供給されたインキは、インキローラ3とドクターローラ4との間隙を通過することにより均一な層状となりつつインキローラ3の表面に供給される。
版胴1の非開孔部表面には、軸方向に延在するステージ部6が設けられている。磁性体で形成されたステージ部6上には、ステージ部6に対して接離自在に設置されたマグネットを有するクランパー7が配設されており、クランパー7は図示しない開閉手段によって回動される。
版胴1の左上方には、マスタ8をロール状に巻成してなるマスタロール9と、サーマルヘッド10及びプラテンローラ11と、マスタ搬送ローラ12a、12bと、切段手段13と、マスタガイド板14とが配設されている。
【0014】
マスタ8は、図3に示されるように、熱可塑性樹脂フィルム20と繊維からなる多孔性繊維膜21とを有し、多孔性繊維膜21は、熱可塑性樹脂フィルム20の一方の面上に接着剤等で貼りあわせられている。更に、熱可塑性樹脂フィルム20のもう片方の表面に、サーマルヘッド10とのスティック防止のためのスティック防止層を設けることもできる。
【0015】
熱可塑性樹脂フィルム20としては、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム等の従来より感熱孔版印刷用マスタに使用されているものが使用できるが、融解エネルギーが3〜11cal/gのポリエステルフィルム(特開昭62−149496号公報参照)、結晶化度が30%以下のポリエステルフィルム(特開昭62−282983号公報参照)、ブチレンテレフタレート単位を50mol%以上含むポリエステルフィルム(特開平2−158391号公報参照)等の低エネルギーで穿孔可能なポリエステルフィルムが好ましい。フィルムの厚さは、0.5〜10μm、更に好ましくは1.0〜7.0μmである。0.5μm未満では薄すぎて製造時にフィルムの搬送が困難になり、10μmを越えるとサーマルヘッド10での穿孔が困難となる。
【0016】
この感熱孔版印刷用マスタにおいて、フィルムの片方の表面にスティック防止層を設けた場合、使用されるスティック防止剤としては、従来の感熱孔版印刷用マスタで一般的に使用されているものが使用出来る。例えばシリコーン系離型剤、フッ素離型剤、リン酸エステル系界面活性剤等が例示できる。
【0017】
多孔性繊維膜21としては、羊毛、絹などの動物繊維:綿、麻などの植物繊維:レーヨンなどの再生繊維:ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成繊維などの薄葉紙が挙げられる。この場合の繊維状物質の太さは穿孔直径、フィルムの厚さなどにより適当なものを選択する必要があるが、直径20μm以下、好ましくは1〜10μmである。直径が1μmより小さいとコシが弱く、20μmより大きいとマスタの平滑性が悪くなり、製版時の穿孔性が悪くなる。繊維の直径はデニールと比重から円直径に換算してもよい。また、繊維の長さは0.1〜20mmが適当であり、0.1mmより短かいとコシが弱くなり、逆に20mmより長いと分散が均一に行ないずらくなる。
また、多孔性繊維膜21としては、合成繊維からなる格子状に編製されたスクリーンを用いることもできる。
【0018】
感熱孔版印刷用マスタ8においては、フィルム20と繊維との関係では、フィルムをサーマルヘッドで穿孔したとき、その孔1個について繊維が2〜7本横切っているようになっていることがより好ましい。穿孔部分を横切る繊維が2本より少ないとインキの通過を妨げる効果が少なく裏移り防止効果が小さくなり、7本より多いとインキの通過を妨げる効果が大きくなり過ぎ、印刷画像がかすれたりするトラブルが発生する。繊維の2本以上7本以下が横切る穿孔数の割合は穿孔部分の80%以上が望ましく、顕微鏡写真より無作為に選んだ100個の穿孔で判定する。繊維の一部分でも穿孔にかかっていれば1本と判定する。
【0019】
感熱孔版印刷用マスタ8においては、前述のように、熱可塑性樹脂フィルム20の表面に公知の方法で製造された繊維で形成された多孔性繊維膜21がラミネートされ、そのとき、前記多孔性繊維膜21と熱可塑性樹脂フィルム20との接着力は、1〜10g/25mmの範囲である。
【0020】
接着力の測定方法は、図9に示す装置を使用し、以下の条件及び方法で行った。
<条件>
計測器:SHIMPO社製DIGITAL FORCE GAUGE(DFG−0.2K)
剥離速度:10mm/s
サンプルサイズ:25mm×120mm
補強テープ:PLUS社製パッキングテープ(PP)
<方法>
(1)マスタベース面を試験台に固定する
(2)フィルム面に補強テープを貼る
(3)補強テープ先端をクランプし、フィルムを引き剥がす(先端から70mm剥がす)
(4)連続的にデータを取り、10POINTの平均を取る
【0021】
マスタロール9は、その芯部9aを図示しないホルダー手段に回転可能に支持されている。
サーマルヘッド10とプラテンローラ11とは、図示しない孔版印刷装置の側板に取り付けられている。多数の発熱素子を有するサーマルヘッド10は、図示しない付勢手段によってプラテンローラ11に付勢されている。プラテンローラ11は回転自在に設けられており、図示しないステッピングモータによって、図において時計回り方向に回転駆動される。マスタ8は、サーマルヘッド10に押圧されて熱溶融穿孔製版されつつ、プラテンローラ11の回転によってマスタロール9より繰り出される。
【0022】
サーマルヘッド10とプラテンローラ11とが配設された位置よりもマスタ搬送方向下流側には、マスタ搬送ローラ12a、12bが配設されている。図示しない孔版印刷装置の側板に回転自在に支持されたマスタ搬送ローラ12a、12bは、図示しない駆動手段によってプラテンローラ11の周速度よりも僅かに速い周速度で回転駆動され、更にマスタ搬送ローラ12bの周速は、マスタ搬送ローラ12aより速い速度に設定され、マスタ8のフィルム20と多孔性繊維膜21との接着部に対し、剪断力を生じさせる。なお、ローラ12aの周速をローラ12bの周速より速くしてもよい。
【0023】
また、マスタ搬送ローラ12aには図示しないトルクリミッターが取り付けられており、プラテンローラ11とマスタ搬送ローラ12a、12bとの間で搬送されるマスタ8に対して、予め設定された張力が一定に作用するように構成されている。
【0024】
マスタ搬送ローラ12a、12bの配設位置よりもマスタ搬送方向下流側には、可動刃13aと固定刃13bとからなる切断手段13及びマスタガイド板14が配設されている。切断手段13は、可動刃13aが固定刃13bに対して回転移動又は上下動してマスタ8を切断する周知の構成である。マスタガイド板14は図示しない孔版印刷装置の側板に固着されており、搬送されるマスタ8をガイドする。
【0025】
版胴1の下方には、押圧手段としてのプレスローラ16が配設されている。回転自在に支持されたプレスローラ16は、図示しない揺動手段によって、その外周面が版胴1の外周面より離間する位置と版胴1の外周面と当接する位置とに選択的に揺動される。
プレスローラ16の右方には、レジストローラ対17が配設されている。レジストローラ対17は、図示しない給紙手段より供給される印刷用紙18の先端をくわえ込み、プレスローラ16が版胴1と当接するタイミングと同期して、印刷用紙18を版胴1とプレスローラ16との間に向けて供給する。なお、押圧手段として、プレスローラの代わりに版胴1と略同径の圧胴を設けてもよい。
【0026】
上記構成に基づき、以下に動作を説明する。
図示しない原稿読取部に原稿がセットされ、図示しない製版スタートキーが押されると、版胴1が回転し、図示しない排版装置によって版胴1の外周面に巻装されている使用済みマスタが剥離・破棄され、版胴1はクランパー7が略真上に位置する給版待機位置で停止する。版胴1の回転が停止すると、図示しない開閉手段が作動してクランパー7が解放され、版胴1は図1に示す給版待機状態となる。
【0027】
排版動作が完了すると、これに続いて製版動作が行われる。読み取られた原稿画像は、原稿読取部のCCD等で電気信号に変換され、A/D変換器を経由して製版制御装置に画像データとして送られる。製版制御装置は、送られた画像データに基づいてサーマルヘッド10の発熱素子に対してパルス状の通電を行い、サーマルヘッド10はマスタ8に対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド10の作動に先立って、プラテンローラー11が図示しないステッピングモータによって回転駆動され、マスタロール9よりマスタ8が引き出される。
【0028】
製版画像を形成されたマスタ8は、マスタガイド板14にガイドされつつ、前述のように、周速が、マスタ搬送ローラ12aよりも、マスタ搬送ローラ12bのほうが速い速度に設定され、マスタ搬送ローラ12a、12bにより、マスタ8のフィルム20と多孔性繊維膜21との接着部に対し、剪段力(ずり)を生じさせ、多孔性繊維膜21を穿孔部と対応する部分をフィルム面より剥離させつつ、空間層22を形成しつつ(図4参照)、マスタ搬送ローラ12a、12bによってクランパー7へと搬送される。
【0029】
なお、感熱孔版印刷用マスタ8は、前述のように、多孔性繊維膜21と熱可塑性樹脂フィルム20との接着力は、1〜10g/25mmの範囲に設定されており、接着力が、10g/25mm超過であると、剥離するときに、穿孔されたフィルムが壊れてしまい、印刷画像が壊れる。また、1g/25mm未満では、製版するときに、プラテンローラ10とサーマルヘッド11とのずりにより多孔性繊維膜21が剥離し、フィルム20の熱収縮を発生する。
【0030】
前述したように、特開平7−314936号公報等に提案されているドラム上にインキで溶ける接着剤を用いてラミネートさせたマスタを巻装して印刷する場合には、数枚印刷しないと接着剤が溶けないので、最初の数枚では繊維目を発生するが、参考例の発明では、ドラム(版胴1)へマスタ8を巻装する前に、フィルム20と多孔性繊維膜21とを剥離するので、一枚目の印刷画像から良好な画像が得られる。また、参考例の発明では、製版時にサーマルヘッドの熱で、接着剤が軟化しているうちに剥離するので、少なくとも、穿孔部に対応する多孔性繊維膜を剥離することができる。これにより、穿孔部上では、フィルムと繊維との間に空間層22が形成され、そこでインキの拡散を行うので、繊維目発生を防止できる。更に、製版時にサーマルヘッドの熱で、接着剤が軟化しているうちに剥離するので、多孔性繊維膜を剥離するときに、フィルムの破損を確実に防止できる。
【0031】
プラテンローラ11を駆動するステッピングモータのステップ数より、マスタ8の先端がクランパー7とステージ部6との間の所定位置まで達したと判断されると、図示しない開閉手段が動作してクランパー7を反時計回り方向に回動させ、ステージ部6とクランパー7とでマスタ8の先端を挟持した後、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で時計回り方向に回転を開始し、マスタ8の版胴1への巻装が開始される。
そして、プラテンローラ11を駆動するステッピングモータのステップ数より、1版分の製版が完了したと判断されると、プラテンローラ11とマスタ搬送ローラ12a、12bの回転動作がそれぞれ停止され、切断手段13によってマスタ8が切断される。切断されたマスタ8は、版胴1の回転によって引き出されて巻装動作が完了する。
【0032】
巻装動作に引き続き、版付け動作が行われる。
図示しない給紙手段より給送された印刷用紙18は、レジストローラ対17にくわえ込まれる。レジストローラ対17は、低速で回転している版胴1に巻装されたマスタ8の画像領域がプレスローラ16と対応する位置に達するタイミングで、印刷用紙18を版胴1とプレスローラ16との間に向けて給送する。給送された印刷用紙18は、プレスローラ16によって版胴1に巻装されたマスタ8に押圧される。この押圧動作により、プレスローラ16と印刷用紙18とマスタ8と版胴1の外周面とが圧接し、インキローラ3によって版胴1の内周面に供給されたインキが、版胴1の開口部、インキ保持部材23、多孔性繊維膜21の空隙、及びマスタ搬送ローラ12a、12bの剥離作用によって形成された熱可塑性樹脂フィルム20と多孔性繊維膜21との間の空間層22に充填された後、フィルム20の穿孔部を通過して印刷用紙18に転移される。
この空間層22により、インキの均一拡散を行い、繊維目の発生を防止する。
【0033】
インキを転移された印刷用紙18は、図示しない剥離爪によって版胴1の外周面より剥離され、図示しない排紙手段によって機外に排出されて版付動作が完了する。
版付動作完了後、図示しない印刷スタートキーが押されると、図示しない給紙手段より印刷用紙18が連続的に給送され、版胴1が高速で回転駆動されて印刷動作が行われる。
【0034】
以下、本発明について説明する。前記の参考例と異なる点は、マスタ8の代わりにマスタ30を用いた点のみが異なる。マスタ30は、熱可塑性樹脂フィルム20の上に、樹脂からなる多孔性樹脂膜25を有し、その表面に繊維からなる多孔性繊維膜26を有する。本発明の多孔性樹脂膜25及び多孔性繊維膜26を有してなる支持体を具備した感熱孔版印刷用マスタ30の模式断面は、例えば図5で示される。図5において、25は多孔性樹脂膜、20は熱可塑性樹脂フィルム、26は多孔性繊維膜を、それぞれ示す。
【0035】
既述のとおり、本発明における「多孔性樹脂膜」とは溶剤に溶かした樹脂を析出し、凝結等をすることで形成する多孔性の膜で、連泡状セルの集合体からなる泡状皮膜や、粒形状あるいは繊維状等の樹脂による集合体からなる集合体状皮膜などによって形成される膜である。
【0036】
セルは閉じた状態でもよいし、その一部が開口していてもよい。開口は乾燥過程での泡の皮膜の破裂などで達成できる。図5、6で点線のところは開口を表わしている。また、図5及び図6において、多孔性樹脂膜25をそれぞれ構成する各構成要素、即ち連泡状セル25a、粒形状あるいは繊維状等の樹脂25bは互いに結合しており、このように多孔性樹脂膜25の構成要素が互いに結合していると、多孔性樹脂膜の引張り強度及びコシが強く、マスタの引張り強度及び搬送性が向上する。
【0037】
多孔性樹脂膜25の平均孔径は一般に1μm以上50μm以下、望ましくは2μm以上30μm以下である。平均孔径が1μmに満たない場合には、インキの通過性が悪く、十分なインキ通過量を得るために低粘度インキを用いれば、画像にじみや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されているマスタの後端から印刷インキがしみ出す現象が発生する。また、多孔性樹脂膜25内の空隙率が低くなることが多く、サーマルヘッド10による穿孔を阻害しやすくなる。平均孔径が50μmを越える場合には多孔性樹脂膜25によるインキの抑制効果が低くなり、印刷時にマスタ30からインキが過剰に押し出され、裏汚れやにじみ等の不具合が発生し、平均孔径は小さすぎても大きすぎても良好な印刷品質が得られない。
【0038】
多孔性樹脂膜25は、膜の内部及び表面に多数の空隙を持つ構造を有するものであれば良く、該空隙がインキの通過性の点から多孔性膜内において厚さ方向に連続構造であり、且つフィルムを床とした場合に天井方向に貫通しているものが望ましい。但し、多孔性樹脂膜25とフィルム20との境界においては、サーマルヘッド10による穿孔を阻害しない範囲で、多孔性樹脂膜25がフィルム20を覆って閉鎖していても良い。サーマルヘッド10による穿孔を阻害しない、フィルム20を覆う多孔性樹脂膜25を構成する樹脂の厚さは、この膜を構成する樹脂の種類、フィルム20の熱感度等によって異なるが、一般にはフィルム20と合わせた厚みが7μm以下である。
【0039】
多孔性樹脂膜表面において、真円換算時の直径が5μm以上の孔の開口面積の合計は全表面積の4〜80%、望ましくは10〜60%である。該割合が4%未満である場合にはサーマルヘッドによる穿孔やインキの通過が阻害されやすい。また、該割合が80%を超える場合には、多孔性樹脂膜の引張り強度及びコシの強さが低下する。
多孔性樹脂膜25は今までの感熱孔版印刷用マスタの多孔性部分とは全く異なる構造を有する。構造体を形成する個体部分は不定形の棒状、球状、枝状体の集合接合体より成り、どのような構造となるかは該樹脂膜の製造条件、例えば樹脂の種類、液の固形分濃度、溶媒の種類、樹脂液付着量、樹脂液乾燥温度、塗布雰囲気温度、同じく湿度等により異なる。
【0040】
特に、樹脂液温度、塗布雰囲気温度、同じく湿度の影響は大きい。樹脂液の温度が10℃未満であると、本発明の樹脂液はゲル化が発生し易くなり溶液の塗布がしにくく、逆に、30℃を超えると多孔性樹脂膜の形成が難しくなる。従って、塗布雰囲気温度も10℃以上、30℃以下が好ましい。また、雰囲気の湿度が50%RHを超えるとフィルム表面の水分の吸着量が多くなり、その結果塗布液との濡れ性が低下することによって、多孔性樹脂膜とフィルムの接着性に劣るようになる。
【0041】
本発明の多孔性樹脂膜25及び多孔性繊維膜26を有してなる支持体を用いた感熱孔版印刷用マスタ30は、孔版印刷機プリポートVT3820〔(株)リコー製〕とそのインキ(VT600 II、lot no.960604−22)を用いて印加パルス幅を7%標準状態より長く設定して20℃、60%RH環境中で製版印刷(印刷速度3速)したときに、良好な画像〔印刷画像濃度が0.7〜1.3、望ましくは0.9〜1.25(Macbeth社製 RD914濃度計にて測定)〕が得られるものである。
【0042】
なお、VT600 IIインキ(lot no.960604−22)の粘度は、粘度計HAAKE CV20でローターPK30−4.0を用いシェアレート20(1/S)で測定した場合に、20℃で150Poiseであった。
【0043】
また、同じく多孔性樹脂膜表面において、真円換算時の直径が5μm以上の孔の開口面積の合計は全開口面積の50%以上、望ましくは70%以上である。該割合が50%未満である場合には、サーマルヘッドによる穿孔やインキの通過が阻害されやすい。
【0044】
支持体としての多孔性樹脂膜25の厚さは、5μm以上、100μm以下、望ましくは6μm以上、50μm以下である。5μmに満たない場合は、十分な膜強度が得られにくい上、サーマルヘッド10による穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜が残りにくく、インキ転写量が制御されずに印刷物の裏汚れが悪くなりやすい。逆に、100μmを超える場合には、インキの通過性が阻害されやすい。また、多孔性樹脂膜25のインキ転写量抑制効果は膜が厚いほど大きく、印刷時の印刷用紙へのインキ転写量は多孔性樹脂膜25の厚みによっても調節できる。
【0045】
多孔性樹脂膜25の平均孔径が20μm以下である場合、多孔性樹脂膜層が厚い程印刷インキが通りにくくなるので、この層の厚みによってインキの印刷用紙への転写量を制御することができる。層の厚さが不均一であると印刷ムラを生じることがあるので、厚みは均一であることが望ましい。厚さの測定は実質的に荷重をかけないで、又は極く小さな荷重で行う。
【0046】
多孔性樹脂膜25の支持体としての付着量は、0.5〜25g/m2、望ましくは2g/m2〜15g/m2、特に2〜7g/m2が望ましい。付着量が25g/m2を越えるとインキの通過を妨げて画質を悪くし、逆に0.5g/m2未満では十分な膜強度を得られにくい。
【0047】
多孔性樹脂膜25の密度は、通常0.01g/cm3以上、1g/cm3以下で、望ましくは0.1g/cm3以上、0.5g/cm3以下である。密度が0.01g/cm3未満だと膜の強度が不足し、また膜自体も壊れやすい。逆に、密度が1g/cm3を超えると、インキの通過を妨げて画質を悪くする。
【0048】
本発明の感熱孔版印刷用マスタ30のコシは、曲げ剛度5mN以上(ローレンツェンスティフネステスターによる)であることが望ましい。曲げ剛度が5mN未満の場合、感熱孔版印刷用マスタの印刷機上での搬送が困難になることがある。
【0049】
本発明において、感熱孔版印刷用マスタの熱可塑性樹脂フィルム面が開口面積率で20%以上となるように穿孔されたとき、通気性試験機における測定値は1.0cm3/cm2・秒〜157cm3/cm2・秒の範囲である。
ここでいう、開口面積率とは、感熱孔版印刷用マスタがサーマルヘッド、レーザー、フラッシュランプなどによりベタの製版を施されたときの感熱孔版印刷用マスタのフィルム面での貫通孔の合計面積が、ベタ部の単位面積当たりで占める割合のことである。
【0050】
開口面積率が20%を下回ると、画像濃度を確保するためには非常に粘度の低いインキを使用する必要があり、この様なインキでは孔版印刷システムにおいてはベタ部の均一性、或いは細線の再現性が良くない。
【0051】
この場合、通気性が1.0cm3/cm2・秒に満たない場合にはインキの通過性が悪く、十分なインキ通過量を得るために低粘度インキを用いれば、画像にじみや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されているマスタの後端から印刷インキがしみ出す現象が発生する。また、多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜内の空隙率が低くなると断熱効果が低下することが多く、サーマルヘッドによる穿孔を阻害しやすくなる。通気性が157cm3/cm2・秒を越える場合には、多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜によるインキの抑制効果が低くなり、印刷時に印刷ドラムから印刷用紙表面にインキが過剰に押し出され裏汚れやにじみ等の不具合が発生し、通気性は小さすぎても大きすぎても良好な印刷品質が得られない。
【0052】
多孔性樹脂膜は、サ−マルヘッドによるフィルムの穿孔をより効果的にするため、その少なくとも一部分、即ちフィルムと接触する多孔性樹脂膜の部分において、150℃以下の温度で軟化することが望ましい。
なお、膜の孔径、形状、強度、コシ等を調節するために、多孔性樹脂膜中に顔料を含んだものが好ましい。
【0053】
多孔性樹脂膜材料の主成分となるプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、 ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー等のようなビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸系プラスチック、ジエン系プラスチック、ポリブチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリカ−ボネ−ト、ポリアセタ−ル、フッソ系樹脂、ポリウレタン系プラスチック、各種天然プラスチック、天然ゴム系プラスチック、各種熱可塑性エラストマ−、アセチルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプロピルセルロース等のセルロース誘導体等、微生物プラスチックなどや、これらのポリマーを含むコポリマ−などが挙げられる。
その他、各種脂肪酸、ワックスなど各種炭水化物、各種タンパク質も使用できる。
【0054】
また、本発明の感熱孔版印刷用マスタは、サーマルヘッドによる穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜の少なくとも一部が残るものであることが好ましい。穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜が残ることによって、インキ転写量が制御され、印刷物の裏汚れが抑制される。
従って、本発明の感熱孔版印刷用マスタのサーマルヘッドによる穿孔後の模式断面は、例えば図8で示される。図8において、20は熱可塑性樹脂フィルム、25は多孔性樹脂膜、28は熱可塑性樹脂フィルム熱穿孔部、26は多孔性繊維膜を、それぞれ示す。
【0055】
本発明の感熱孔版印刷用マスタの多孔性樹脂膜の第1の形成方法は、フィルム上に樹脂溶液を塗布し、溶剤が揮発する際の蒸発潜熱により塗液上の雰囲気を冷却、凝結した貧溶媒を塗液中に取り込ませ、多孔性樹脂膜を形成させることによるものである。
即ち、まずフィルム上に樹脂溶液を塗布し、乾燥させる。このとき溶剤が揮発する際の蒸発熱により塗液が冷却され、これによって塗液上の雰囲気が冷却される。冷却されたことによって雰囲気中の貧溶媒が凝結し、塗液中に取り込まれる。その結果、樹脂溶液中に取り込まれた貧溶媒が樹脂を析出させることによって、多孔性樹脂膜が形成される。
【0056】
望ましい樹脂溶液の濃度は使用する材料によって異なるが、溶液中の樹脂濃度が低すぎると乾燥中に多孔性樹脂膜が壊れやすく、空隙の不足あるいは多孔性樹脂膜の厚みのムラが生じやすい。逆に、溶液中の樹脂濃度が高いと樹脂溶液中に貧溶媒を取り込みにくくなり、多孔性樹脂膜が形成されにくく、あるいは形成されても孔径が小さくなり所望の特性は得られにくい。
【0057】
多孔性樹脂膜の平均孔径は膜のフィルムに近い部分ほど小さくなり、またこの傾向は多孔性樹脂膜が厚いほど顕著になり、均一な孔径を得ることが困難になる。そこで孔径をより均一にするために、樹脂溶液中にあらかじめ樹脂に対する貧溶媒を添加しておいても良い。一般に貧溶媒の添加量が多いほど径が大きく、均一な多孔性樹脂膜が形成される。しかし、貧溶媒の添加量を過剰にした場合、塗布前に溶液中の樹脂が析出してしまうので、樹脂の溶解特性によって樹脂の析出しない範囲で貧溶媒の添加量を決める。このとき良溶媒は相対的に貧溶媒より低温で蒸発しやすい組み合わせが必要である。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合には、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低くなければならない。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、一般には沸点差が15〜40℃である場合に所望の特性を持つ多孔性樹脂膜が形成されやすい。沸点差が10℃未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形成される膜が多孔性構造になりにくい。貧溶媒の沸点が高すぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産性に劣るため、貧溶媒の沸点は100℃以下であることが望ましい。
【0058】
多孔性樹脂膜の平均孔径の大きさは雰囲気中の貧溶媒の影響を受け、一般にその濃度が高いほど凝結量が多くなり、平均孔径は大きくなる。しかし、平均孔径の大きさへの寄与率は、樹脂溶液中の貧溶媒量によって著しく変化し、一般に貧溶媒の樹脂溶液中への添加量が多い程、雰囲気中の貧溶媒の濃度の影響が小さくなる。
【0059】
多孔性樹脂膜形成を容易にするために、加湿器や霧吹き等によって貧溶媒の蒸気や微粒子をフィルム上の塗布液上に吹き付けても良い。吹き付ける貧溶媒の粒子径を変えることによって、多孔性樹脂膜の孔径を変えることができる。
樹脂液塗布前にフィルム上に気化装置、霧吹き装置等によって貧溶媒を与えておくことは多孔性樹脂膜とフィルムの接点を少なくし、サーマルヘッドによる穿孔性を向上させる効果がある。
【0060】
一般には貧溶媒として水またはアルコールが用いられることが多い。
乾燥条件としてはフィルムに悪影響を与えないことが必要で、乾燥温度も60℃以下が望ましい。
【0061】
表1及び表2に代表的な樹脂について良溶媒、貧溶媒、及びその沸点を示す。
なお、表中、○は良溶媒を×は貧溶媒を表す。
【0062】
【表1】
Figure 0003824109
【0063】
【表2】
Figure 0003824109
【0064】
各樹脂は2種以上を混合して用いても良い。良溶媒、貧溶媒も2種以上を用いても良い。
樹脂溶液中には、必要に応じてフィラーを添加してもよい。この添加は、乾燥過程で生成する多孔性樹脂膜の形状、強度、孔径の大きさに影響を与えるものである。具体的には、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ等の無機化合物、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子である。松本油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マツモトマイクロスフィアーも有効に利用できる。
【0065】
本発明の多孔性樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲内で帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤等を併用することができる。
塗布する樹脂溶液の処方、塗布条件、乾燥方法等はいくつかの実験により決定される。
塗布にはブレード、トランスファーロール、ワイヤーバー、リバースロール、グラビア、ダイ等の各種方式のコーターが用いられる。
【0066】
本発明の感熱孔版印刷用マスタの多孔性樹脂膜の第2の形成方法は、2種以上の溶媒の混合液中に溶解している樹脂を、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布し、その乾燥中に樹脂濃度が高くなることにより樹脂を析出させ、多孔性樹脂膜を形成するものである。
この場合、混合溶媒は通常、樹脂に対する良溶媒と貧溶媒の混合液であることが好ましい。混合溶媒中の貧溶媒の割合が高い程、形成される多孔性樹脂膜の空隙の径が大きくなる傾向が見られるが、貧溶媒の割合を過剰にした場合、塗布前に溶液中の樹脂が析出してしまうので、樹脂の溶解特性によって樹脂の析出しない範囲で貧溶媒の割合を決める。
【0067】
混合溶媒の条件として、良溶媒が貧溶媒に対して相対的に低温で蒸発しやすい組み合わせが好ましい。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合には、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低いことが望ましい。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、一般には良溶媒の沸点が15〜40℃低い場合に、所望の特性を持つ多孔性樹脂膜が形成されやすい。沸点差が10℃未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形成される膜が多孔性構造になりにくいことが多い。貧溶媒の沸点が高すぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産性に劣るため、貧溶媒の沸点は100℃以下であることが望ましい。
3種以上の溶媒を用いても良い。この場合にも、樹脂溶液中の主な良溶媒の沸点が主な貧溶媒の沸点よりも15〜40℃低いことが望ましい。
【0068】
乾燥条件としてはフィルムに悪影響を与えないことが必要で、乾燥温度も60℃以下が望ましい。
樹脂、良溶媒、貧溶媒には第1の形成方法と同じものを用いることができる。
【0069】
各樹脂は2種以上を混合して用いても良い。
樹脂溶液中には、必要に応じてフィラーを添加してもよい。この添加は、乾燥過程で生成する多孔性樹脂膜の形状、強度、孔径の大きさに影響を与えるものである。具体的には、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ等の無機化合物、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子である。松本油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マツモトマイクロスフィアーも有効に利用できる。
【0070】
第1の形成方法の場合と同様に、本発明の多孔性樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲内で帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤等などを併用することができる。
塗布する樹脂液の処方、塗布条件、乾燥方法等はいくつかの実験により決定される。
塗布にはブレード、トランスファーロール、ワイヤーバー、リバースロール、グラビア、ダイ等の各種方式のコーターが用いられる。
【0071】
本発明の感熱孔版印刷用マスタ30においては、前述のようにして多孔性樹脂膜25をフィルム20表面に形成した後に、この多孔性樹脂膜25の表面に公知の方法で製造された繊維状物質で形成された多孔性繊維膜26が、ラミネートされる。多孔性樹脂膜25と多孔性繊維膜26とをラミネートする場合に用いる接着剤は、接着剤の粘度が低いと接着剤が多孔性樹脂膜25の空隙部の内部に入り込み、インキ通過性が悪くなるので、接着剤の粘度としては多孔性樹脂膜25の空隙部内に流れ込まない程度に高い方が好ましい。更に、高粘度の接着剤を多孔性繊維膜表面にローラで塗布し、多孔性樹脂膜表面にラミネートしてもよい。また、高粘度の粘着剤を多孔性繊維膜表面にローラで塗り、粘着剤が乾燥してから多孔性樹脂膜表面にラミネートしてもよい。また、樹脂溶液をフィルム面表面に塗布し、樹脂膜が乾燥する前に樹脂溶液表面に多孔性繊維膜26を重ね、乾燥し、多孔性繊維膜26を多孔性樹脂膜25にラミネートしてもよい。
【0072】
マスタ30においても、製版動作において、製版画像を形成されたマスタ30は、マスタガイド板14にガイドされつつ前述のように、周速が、マスタ搬送ローラ12aよりも、マスタ搬送ローラ12bのほうが速い速度に設定されたマスタ搬送ローラ12a、12bにより、マスタ30の多孔性樹脂膜25と多孔性繊維膜26との接着部に対し、剪断力(ずり)を生じさせ、多孔性繊維膜26を、多孔性樹脂膜25より剥離させつつ、空間層27を形成しつつ(図7参照)、マスタ搬送ローラ12a、12bによってクランパー7へと搬送される。
【0073】
インキは、多孔性繊維膜26の空隙、マスタ搬送ローラ12a、12bの剥離作用によって形成された多孔性樹脂膜25と多孔性繊維膜26の間のと空間層27、及び多孔性樹脂膜25の空隙に充填された後、フィルム20の穿孔部を通過して印刷用紙18に転移され、この空間層27により、インキの均一拡散を行い、繊維目の発生を防止する。
【0074】
マスタ30においては、多孔性樹脂膜25と多孔性繊維膜26との接着力は、1〜10g/25mmの範囲に設定されており、接着力が10g/25mm超過であると、剥離するときに穿孔されたフィルム又は多孔性樹脂膜が壊れてしまい、印刷画像が壊れる。また、1g/25mm未満では製版するときに、プラテンローラとサーマルヘッドとのずりにより多孔性繊維膜が剥離し、フィルムの熱収縮を発生する。
【0075】
接着力の測定方法は、第一の実施例と同様に、図9に示す装置を使用し、以下の条件及び方法で行う。
<条件>
計測器:SHIMPO社製DIGITAL FORCE GAUGE(DFG−0.2K)
剥離速度:10mm/s
サンプルサイズ:25mm×120mm
補強テープ:PLUS社製パッキングテープ(PP)
<方法>
▲1▼マスタベース面を試験台に固定する
▲2▼フィルム面に補強テープを貼る
▲3▼補強テープ先端をクランプし、フィルムを引き剥がす(先端から70mm剥がす)
▲4▼連続的にデータを取り、10POINTの平均を取る
【0076】
本発明においては、多孔性樹脂膜表面から多孔性繊維膜を剥離する為、剥離時に穿孔部のフィルムが壊れない。また、フィルム上には多孔性樹脂膜が存在するため、この多孔性樹脂膜がフィルムのコシ及び、引張り強度の補強を果たすので、印刷中の伸びやシワ発生を防止できる。
【0077】
多孔性繊維膜26としては、羊毛、絹などの動物繊維:綿、麻などの植物繊維:レーヨンなどの再生繊維:ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリルなどの合成繊維などの薄葉紙が挙げられる。この場合の繊維状物質の太さは穿孔直径、フィルムの厚さなどにより適当なものを選択する必要があるが、直径20μm以下、好ましくは1〜10μmである。直径が1μmより小さいとコシが弱く、20μmより大きいとマスタの平滑性が悪くなり、製版時の、穿孔性が悪くなる。繊維状物質の直径はデニールと比重から円直径に換算してもよい。
また、繊維状物質の長さは0.1〜20mmが適当であり、0.1mmより短いとコシが弱くなり、20mmより長いと分散が均一に行ないずらくなる。
また、多孔性繊維膜26としては、合成繊維からなる格子状に編製されたスクリーンを用いることもできる。
【0078】
【実施例】
次に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ここでの部は重量基準である。
【0079】
参考例1
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 1部
(ユニオンカーバイト社製、VYHH)
ポリエステル繊維 2部
(帝人社製、0.15デニール、比重1.4として直径4μm)
酢酸エチル 8部
からなる混合物をよくボールミルで分散し、厚さ1.5μmのポリエステルフィルムにロールコーターを用いて乾燥付着量として3.5g/m2に塗工し、多孔性繊維膜を作成した。乾燥温度は50℃とした。得られた多孔性繊維膜をポリエステルフィルムより剥離し、多孔性繊維膜にポリエチレン系接着剤を3g/m2塗布し、その面を2.0μm厚の2軸延伸ポリエステルフィルムにラミネートし、更に、フィルムの多孔性繊維膜を形成したのと反対面に、熱溶融したフィルムがサーマルヘッドにスティックするのを防止するため、及び帯電防止を目的として、シリコーン樹脂とカチオン系帯電防止剤の混合物を、乾燥後の付着量約0.05g/m2になるように塗布し、参考例としての感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0080】
実施例
セルロースアセテートブチレート(軟化点 131℃) 5部
(イーストマンコダック社製 CAB381ー20)
メチルエチルケトン(沸点79.6℃) 85部
水(沸点100.0℃) 5部
メチルアルコール(沸点64.5℃) 5部
上記組成の液を撹拌溶解し、静置し十分消泡してから30℃、50%RH雰囲気中で、3.5μm厚の2軸延伸ポリエステルフィルムの上にワイヤーバー(0.6mm径)にて均一塗布した。これをそのまま1分間放置した後で50℃乾燥ボックスで2分間放置し乾燥させることにより、フィルム上に多孔性樹脂膜を形成した。フィルムの多孔性樹脂膜を形成したのと反対面に、熱溶融したフィルムがサーマルヘッドにスティックするのを防止するため、及び帯電防止を目的として、シリコーン樹脂とカチオン系帯電防止剤の混合物を、乾燥後の付着量約0.05g/m2になるように塗布し、マスタ基材を作製した。
【0081】
更に、
塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 1部
(ユニオンカーバイト社製、VYHH)
ポリエステル繊維 2部
(帝人社製、0.15デニール、比重1.4として直径4μm)
酢酸エチル 8部
からなる混合物をよくボールミルで分散し、厚さ1.5μmのポリエステルフィルムにロールコーターを用いて乾燥付着量として3.5g/m2に塗工し、多孔性繊維膜を作成した。乾燥温度は50℃とした。得られた多孔性繊維膜をポリエステルフィルムより剥離し、多孔性繊維膜にポリエチレン系接着剤を3g/m2塗布し、その面を上記で得られたマスタ基材の多孔性樹脂膜にラミネートして、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0082】
実施例
セルロースアセテートブチレート(軟化点 131℃) 5部
メチルエチルケトン(沸点79.6℃) 85部
水(沸点100.0℃) 5部
メチルアルコール(沸点64.5℃) 5部
上記組成の液を撹拌溶解し、静置し十分消泡してから、30℃、50%RH雰囲気中で、3.5μm厚の2軸延伸ポリエステルフィルム上にワイヤーバー(0.6mm径)にて均一塗布し、塗布面に加湿器(HITACHI Humidifier UV−107D)から10cmの距離で15秒間、水の微粒子を接触させた。これを1分間放置した後で50℃乾燥ボックスで2分間放置し乾燥させることにより、フィルム上に多孔性樹脂膜を形成し、更に実施例と同様にして多孔性繊維膜を作成し、それを多孔性樹脂膜にラミネートした。フィルムの多孔性樹脂膜を形成したのと反対面に実施例と同様に、シリコーン樹脂とカチオン系帯電防止剤の混合物を塗布し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0083】
実施例
ポリビニルブチラール(軟化点 87℃) 8部
(電気化学工業社製 PVB3000−2)
エチルアルコール(沸点78.3℃) 69部
水(沸点100.0℃) 23部
アクリル酸スチレンコポリマー(軟化点65℃) 1.2部
(ジョンソンポリマー社製 J679)
上記組成の液を撹伴溶解した後、酸化チタン(ルチル)1.6部を添加し、これをボールミルにて1時間分散させる。分散後、実施例と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0084】
比較例1
実施例と同様にして、ただ多孔性樹脂膜のみを形成し、感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0085】
実施例
実施例の多孔性繊維膜の代りに、孔版印刷機プリポートVT3820〔(株)リコー製〕指定のマスター(VT IIマスター)の支持体を用いた。
【0086】
<評価>
以上得られた感熱孔版印刷用マスタについて、樹脂の軟化点、多孔性樹脂膜平均孔径、面積率1及び2、コシの強さを下記の方法で測定し、且つ強度、穿孔感度、画質、裏汚れを(株)リコー製の孔版印刷機プリポートVT3820及びそのインキ(VT600 II、lot no.960604−22)を用いて試験し、下記の基準で評価した。製版印刷は20℃、60%RH環境中で印加パルス幅を7%標準状態より長く設定して、印刷速度3速で行った。それらの結果を表3に示す。
【0087】
(イ)樹脂の軟化点
熱応力歪測定装置TMA/SS150C(セイコー電子工業社製)を用いて測定した。
【0088】
(ロ)多孔性樹脂膜平均孔径
1000倍で撮影した電子顕微鏡表面写真の孔部をトレーシングペーパーを用いてマーキングし、LA−555D〔(株)ピアス製〕を用いて画像処理し、各孔径を真円に換算し、その平均値とした。
【0089】
(ハ)面積率1
面積率1は各孔径を真円に換算した時の、直径が5μm以上の孔の開口面積の合計の、多孔性樹脂膜全表面積中の割合であり、1000倍で撮影した電子顕微鏡表面写真の孔部をトレーシングペーパーを用いてマーキングし、LA−555D〔(株)ピアス製〕を用いて画像処理して、各孔径を真円換算して求めた。
【0090】
(ニ)面積率2
面積率2は、真円換算時の直径が5μm以上の孔の開口面積の合計の、多孔性樹脂膜全開口面積中の割合であり、1000倍で撮影した電子顕微鏡表面写真の孔部をトレーシングペーパーを用いてマーキングし、LA−555D〔(株)ピアス製〕を用いて画像処理して、各孔径を真円換算して求めた。
【0091】
(ホ)コシの強さ
ローレンツェンスティフネステスターで測定した。
【0092】
(ヘ)強度
サーマルヘッドで走行させたときに多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜が剥がれないものを◎、僅かに剥がれのあるものを○で示した。
【0093】
(ト)穿孔感度
マスタのフィルム部分がサーマルヘッドによって、全く正常に穿孔されるものを◎、穿孔されるが部分的に穿孔径が小さくなるものを○、部分的に穿孔されないものを△、ほとんど穿孔されないものを×で示した。
【0094】
(チ)画質
印刷画像を肉眼で観察し、にじみやカスレ、濃度ムラ、繊維目が無いものを◎、やゝあるものを○、みられるものを×で示した。
【0095】
(リ)裏汚れ
印刷物を肉眼で観察し、現行マスタ〔(株)リコーVT IIマスター〕よりも優れるものを◎、現行マスタと同等であるものを○、現行マスタよりも劣るものを×で示した。
【0096】
(ヌ)画像濃度
印刷物の画像濃度をMacbeth社製RD914濃度計にて測定し、その実測値を示した。
【0097】
(ル)製版縮み
製版した後に、マスタの縮み無しを○、やゝ縮みのあるものを△、縮みのあるものを×で示した。
【0098】
【表3】
Figure 0003824109
【0099】
実施例
ポリエチレン系接着剤の付着量を4.5g/m2とした他は、実施例と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0100】
実施例
ポリエチレン系接着剤の付着量を2.8g/m2とした他は、実施例と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0101】
実施例
ポリエチレン系接着剤の付着量を0.8g/m2とした他は、実施例と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0102】
実施例
実施例7の多孔性繊維膜の代りに、孔版印刷機プリポートVT3820〔(株)リコー製〕指定のマスタ(VT IIマスター)の支持体を、ポリエチレン系接着剤の付着量を0.8g/m2でラミネートし、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0103】
実施例
ポリエチレン系接着剤の付着量を0.4g/m2とした他は、実施例と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0104】
比較例2
ポリエチレン系接着剤の付着量を5.3g/m2とした他は、実施例と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜を形成し、比較用の感熱孔版印刷用マスタを得た。たゞ、このマスタは製版印刷において、多孔性繊維膜が剥離できず、画像に繊維目が見られた。
【0105】
<評価>
実施例5〜9及び比較例2の感熱孔版印刷用マスタについて、実施例のマスタと同様に評価した。その結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
Figure 0003824109
【0108】
請求項の発明によれば、コシ及び引張り強度の強い良質の画質が得られる感熱孔版印刷用マスタが得られる。製版時には、多孔性樹脂膜と多孔性繊維膜が接着されており、フィルムが熱収縮するのを防止し、印刷時には、多孔性樹脂膜と多孔性繊維膜が離れ、樹脂膜と繊維膜の間に空間層を形成し、これによりインキを拡散するので、繊維の重なりによる印刷むらや繊維目を発生しない。また、多孔性樹脂膜は、フィルムの穿孔よりも小さな空隙を有するので、これにより、印刷時に、過剰量のインキがマスタの穿孔部を介して引き出され、印刷用紙に転移されるのを防止することができるので、裏写り発生も防止できる。
【0109】
請求項の発明によれば、上記の効果に加えて、マスタから、多孔性繊維膜をフィルム等を壊すことなく確実に印刷時に剥離できるので、繊維目を防止能力が更に向上する。
【0110】
請求項の発明によれば、上記請求項1の効果に加えて、裏汚れも少ない感熱孔版印刷用マスタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いられる孔版印刷装置の要部を示す側面図である。
【図2】 本発明で用いられる版胴の模式断面図である。
【図3】 参考例の感熱孔版印刷用マスタの模式断面図である。
【図4】 参考例の感熱孔版印刷用マスタの、印刷時の版胴に巻装された状態での模式断面図である。
【図5】 本発明の感熱孔版印刷用マスタの模式断面図である。
【図6】 本発明の感熱孔版印刷用マスタの別の模式断面図である。
【図7】 本発明の感熱孔版印刷用マスタの、印刷時の版胴に巻装された状態での模式断面図である。
【図8】 本発明の感熱孔版印刷用マスタのサーマルヘッドによる穿孔後の模式断面図である。
【図9】 感熱孔版印刷用マスタの接着力測定に使用した装置の説明図である。
【符号の説明】
1 版胴
1a 開口部
1b 多孔性支持板
2 インキパイプ
3 インキローラ
4 ドクターローラ
5 インキ溜り
6 ステージ部
7 クランパー
8 マスタ
9 マスタロール
9a マスタロール芯部
10 サーマルヘッド
11 プラテンローラ
12a マスタ搬送ローラ
12b マスタ搬送ローラ
13 切断手段
13a 可動刃
13b 固定刃
14 マスタガイド板
16 プレスローラ
17 レジストローラ対
18 印刷用紙
20 熱可塑性樹脂フィルム
21 多孔性繊維膜
22 空間層
23 インキ保持部材
25 多孔性樹脂膜
25a、25b 多孔性樹脂膜を構成する構成要素
26 多孔性繊維膜
27 空間層
28 熱可塑性樹脂フィルム熱穿孔部
30 マスタ

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多孔性樹脂膜とその表面に多孔性繊維膜を接着してなる感熱孔版印刷用マスタにおいて、該多孔性繊維膜は穿孔処理後ドラム巻装前に少なくとも画像と対応する部分が多孔性樹脂膜表面より剥離され、該状態でドラムに巻装され、印刷時に多孔性樹脂膜と剥離した多孔性繊維膜との間にインキ層が介在することを特徴とする感熱孔版印刷用マスタ。
  2. 前記多孔性繊維膜と前記多孔性樹脂膜との接着力が1〜10g/25mmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の感熱孔版印刷用マスタ。
  3. サーマルヘッドにより穿孔したとき、その孔1個につき前記多孔性繊維膜を構成する繊維が2本以上7本以下横切っているようにしてなることを特徴とする請求項1記載の感熱孔版印刷用マスタ。
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