JPH10329445A - 感熱孔版印刷用マスタ - Google Patents

感熱孔版印刷用マスタ

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JPH10329445A
JPH10329445A JP15602197A JP15602197A JPH10329445A JP H10329445 A JPH10329445 A JP H10329445A JP 15602197 A JP15602197 A JP 15602197A JP 15602197 A JP15602197 A JP 15602197A JP H10329445 A JPH10329445 A JP H10329445A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製版時にマスタが収縮するのを防止し、コシ
が強く、穿孔感度を向上させる支持体を有する感熱孔版
印刷用マスタであって、しかも少ないインキ付着量で印
刷むらがなく、印刷物の裏汚れが少ない感熱孔版印刷用
マスタを提供すること。 【解決手段】 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に
(好ましくは多孔性樹脂膜と)多孔性繊維膜を接着して
なり、多孔性繊維膜はドラム巻装前に少なくとも画像と
対応する部分がフィルム(好ましくは多孔性樹脂膜)表
面より剥離され、該状態でドラムに巻装され、印刷時に
フィルム(好ましくは多孔性樹脂膜)と多孔性繊維膜と
の間にインキ層が介在する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感熱孔版印刷用マス
タに係るものであり、詳しくは、熱可塑性樹脂フィルム
に接して設けられる支持体の構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルム(以降単に「フィ
ルム」ということがある)に、インキ透過性支持体(以
降単に「支持体」ということがある)として多孔性薄葉
紙などを接着剤で貼りあわせ、且つフィルム表面にサ−
マルヘッドとのスティック防止のためのスティック防止
層を設けた感熱孔版印刷用マスタが知られている。実際
上、多孔性薄葉紙としての麻繊維又は麻繊維と合成繊
維、木材繊維とを混抄したものにフィルムを接着剤で貼
りあわせ、且つフィルム表面にスティック防止層を設け
た感熱孔版印刷用マスタが広く用いられている。
【0003】しかし、こうした従来の感熱孔版印刷用マ
スタでは、フィルムのすぐ上面に繊維からなる支持体が
存在するため、繊維自体がインキの通過を妨げ、印刷む
らを発生する等の問題点が残されている。
【0004】こうした点を配慮して幾つかの感熱孔版印
刷用マスタが提案されている。例えば、特開平3−19
3445号公報には、繊度1デニール以下の極細繊維を
用いた多孔性薄葉紙からなる支持体が開示されている。
これによれば前記問題点は解決されるが、繊維自体のコ
ストが高く、高価なマスタになる。
【0005】もっとも、特開昭54−33117号公報
には、支持体を用いない実質的にフィルムのみからなる
印刷用マスタが開示されており、これによれば前記の問
題点は解決されるが、その一方で新たな問題を生じさせ
ている。その一つは、フィルムが10μm以下の厚さの
場合、その「コシ」(stiffness)が弱く、搬
送が困難になることである。これの解決方法として、特
公平5−70595号公報では、印刷機の版胴周壁部に
フィルムが切断されることなく長尺状のまま巻装され、
印刷時には版胴の回転とともにフィルム全体も回転する
考えが提示されている。しかし、この方法ではフィルム
及び着排版ユニットが印刷時には版胴の回転と共に回転
するため、回転のモーメントが大きくなり、また重力中
心の回転軸からの変位が大きく、これらの解決のために
印刷機は重く、大きくしなければならない。また、フィ
ルムが5μm以上の厚さの場合、その熱感度が小さくな
り、サーマルヘッドによる穿孔が行われにくくなり、ま
た加熱手段からの印加エネルギーがマスタを通してプラ
テンへ損失する比率が高くなり、その為穿孔に使われる
エネルギーが少なく、穿孔されにくくなる。更には、製
版時に、熱可塑性樹脂フィルムが収縮し、画像の寸法再
現性が悪くなったり、高温で(例えば、真夏の自動車の
中)で保管した場合、マスタが収縮し、シワシワになる
等の問題もある。
【0006】なお、特開平7−314936号公報、特
開平7−1852号公報には、ドラム上にインキで溶け
る接着剤でラミネートされたマスタを巻装し、印刷時に
インキで接着剤が溶けて、フィルムより多孔性繊維膜を
剥離させるマスタが提案されているが、実際には接着剤
がインキで溶けるには、数枚印刷しないと溶けないの
で、最初からは剥離が行えない。このため最初の数枚で
は、繊維目を発生するという問題点を有している。ま
た、特開平7−9752号公報、特開平5−30993
2号公報、特開平5−318900号公報には、支持体
をフィルムから剥がして、フィルムをドラムに巻装して
印刷を行う孔版印刷装置が開示されているが、コシの弱
いフィルムのみを版胴に巻装するので、シワ、スキュー
を発生しやすく、巻きつけにくいという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、第一
の目的は、マスタの熱収縮を防止し、製版時に、マスタ
が収縮するのを防止する支持体を有する感熱孔版印刷用
マスタを提供することにある。また、第二の目的は、熱
可塑性樹脂フィルムのコシ(stiffness)を強
くし、断熱効果によりフィルムの穿孔感度を向上させる
支持体を有する感熱孔版印刷用マスタを提供することに
ある。更に、第三の目的は、少ないインキ付着量で、印
刷むらがなく、印刷物の裏汚れが少ない感熱孔版印刷用
マスタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、感熱孔版
印刷用マスタをいろいろな角度から検討してきた結果、
(イ)インキの通過を妨げ、且つサーマルヘッドによる
穿孔を妨げる繊維状物質のみからなる支持体は、フィル
ムの直上になるべくなら存在しないほうが望ましい、
(ロ)繊維状物質を有しない支持体であると、マスタ製
版時に、マスタが熱収縮し、寸法再現性が悪い、(ハ)
支持体は望ましくはフィルムとは比較的小さな接点を有
しながら、インキの通過を阻害せず、且つ印刷機上での
搬送に十分なコシ及び引張り強度を与えるものが望まし
い、との研究結果から、感熱孔版印刷用マスタはフィ
ルムの一方の面に繊維状物質からなる多孔性繊維膜を有
し、印刷時には、画像部では多孔性繊維膜がフィルムよ
り剥離し、フィルムと多孔性繊維膜との間に、インキ層
が介在したもの、感熱孔版印刷用マスタはフィルムの
一方の面に樹脂からなる多孔性樹脂膜及びその表面に繊
維状物質からなる多孔性繊維膜を有し、印刷時には、多
孔性繊維膜が多孔性樹脂膜より剥離し、多孔性樹脂膜と
多孔性繊維膜との間に、インキ層が介在したもの、が望
ましことを確かめた。本発明はそれによりなされたもの
である。
【0009】ここで言う「多孔性樹脂膜」とは、溶剤に
溶かした樹脂を析出させ凝結させる等により形成する多
孔性の膜で、図5の連泡状セルの集合体からなる泡状皮
膜、図6の粒形状あるいは繊維状の樹脂がくっつきあっ
てできている集合体状皮膜などによって形成される膜を
意味している。また、多孔性繊維膜とは、綿、麻などの
植物繊維、ポリエステル、ポリビニルアルコールなどの
合成繊維等の繊維物質からなる薄葉紙、スクリーンなど
によって形成されている膜を意味している。なお、図3
〜図8において、20は熱可塑性樹脂フィルム、25は
多孔性樹脂膜、25a、25bは多孔性樹脂膜を構成す
る構成要素、21、26は多孔性繊維膜を、それぞれ示
す。
【0010】本発明によれば、(1)熱可塑性樹脂フィ
ルムの一方の面上に多孔性繊維膜を接着してなる感熱孔
版印刷用マスタにおいて、該多孔性繊維膜は穿孔処理後
ドラム巻装前に少なくとも画像と対応する部分が熱可塑
性樹脂フィルム表面より剥離され、該状態でドラムに巻
装され、印刷時に熱可塑性樹脂フィルムと剥離した多孔
性繊維膜との間にインキ層が介在することを特徴とする
感熱孔版印刷用マスタ、(2) 熱可塑性樹脂フィルム
の一方の面上に多孔性樹脂膜とその表面に多孔性繊維膜
を接着してなる感熱孔版印刷用マスタにおいて、該多孔
性繊維膜は穿孔処理後ドラム巻装前に少なくとも画像と
対応する部分が多孔性樹脂膜表面より剥離され、該状態
でドラムに巻装され、印刷時に多孔性樹脂膜と剥離した
多孔性繊維膜との間にインキ層が介在することを特徴と
する感熱孔版印刷用マスタ、(3) 前記多孔性繊維膜
と前記熱可塑性樹脂フィルムとの接着力が1〜10g/
25mmの範囲であることを特徴とする上記(1)の感
熱孔版印刷用マスタ、(4) 前記多孔性繊維膜と前記
多孔性樹脂膜との接着力が1〜10g/25mmの範囲
であることを特徴とする上記(2)の感熱孔版印刷用マ
スタ、(5) サーマルヘッドにより穿孔したとき、そ
の孔1個につき前記多孔性繊維膜を構成する繊維が2本
以上7本以下横切っているようにしてなることを特徴と
する上記(1)又は(2)の感熱孔版印刷用マスタ、が
提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。図1は、本発明の第一の実施例に用いられる孔版印
刷装置の要部を示している。同図において、回転自在に
支持され、図示しない版胴駆動手段で回転駆動される版
胴(ドラム)1は、インキパイプ2、インキローラ3、
ドクターローラ4をその内部に有している。版胴1は、
図2に示されるように、開口部1aを有する多孔性支持
板1bと、多孔性支持板1bの外表面に巻装されたイン
キ保持部材23とから構成されている。版胴1の外周面
には、図3に示されるように、本発明の熱可塑性樹脂フ
ィルム20と多孔性繊維膜21とを具備してなるマスタ
8が巻装される。インキ保持部材23は、テトロンやナ
イロン等の合成樹脂繊維でインキを通過させるためのイ
ンキ通路を形成したメッシュシートによって構成されて
いる。
【0012】版胴1の支持軸を兼ねたインキパイプ2
は、図示しない筺体側板に固着されており、その表面に
は、版胴1の内部にインキを供給するための複数の小さ
な孔が穿孔されている。インキパイプ2は、版胴1の外
部に配設された図示しないインキパック内から図示しな
いポンプによって汲上げられたインキを、版胴1の内部
に供給する。インキパック2の下方には、インキローラ
3とドクターローラ4とが配設されている。版胴1内の
図示しない側板に回転自在に支持されたインキローラ3
は、その外周面が版胴1の内周面と近接するように配置
されており、インキパイプ2より供給されたインキを版
胴1に供給する。インキローラ3は、図示しないギヤあ
るいはベルト等の駆動力伝達手段によって版胴駆動手段
からの回転力を伝達されて、版胴1と同期して図の時計
回り方向に回転駆動される。インキローラ3の近傍に
は、回転自在なドクターローラ4が配設されている。ド
クターローラ4は、その外周面とインキローラ3の外周
面との間に僅かな間隙が生じるように配設されており、
インキローラ3の外周面との近接部において楔状のイン
キ溜まり5を形成している。
【0013】インキパイプ2よりインキ溜まり5へと供
給されたインキは、インキローラ3とドクターローラ4
との間隙を通過することにより均一な層状となりつつイ
ンキローラ3の表面に供給される。版胴1の非開孔部表
面には、軸方向に延在するステージ部6が設けられてい
る。磁性体で形成されたステージ部6上には、ステージ
部6に対して接離自在に設置されたマグネットを有する
クランパー7が配設されており、クランパー7は図示し
ない開閉手段によって回動される。版胴1の左上方に
は、マスタ8をロール状に巻成してなるマスタロール9
と、サーマルヘッド10及びプラテンローラ11と、マ
スタ搬送ローラ12a、12bと、切段手段13と、マ
スタガイド板14とが配設されている。
【0014】本発明のマスタ8は、図3に示されるよう
に、熱可塑性樹脂フィルム20と繊維からなる多孔性繊
維膜21とを有し、多孔性繊維膜21は、熱可塑性樹脂
フィルム20の一方の面上に接着剤等で貼りあわせられ
ている。更に、熱可塑性樹脂フィルム20のもう片方の
表面に、サーマルヘッド10とのスティック防止のため
のスティック防止層を設けることもできる。
【0015】本発明に使用される熱可塑性樹脂フィルム
20としては、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体フ
ィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィル
ム等の従来より感熱孔版印刷用マスタに使用されている
ものが使用できるが、融解エネルギーが3〜11cal
/gのポリエステルフィルム(特開昭62−14949
6号公報参照)、結晶化度が30%以下のポリエステル
フィルム(特開昭62−282983号公報参照)、ブ
チレンテレフタレート単位を50mol%以上含むポリ
エステルフィルム(特開平2−158391号公報参
照)等の低エネルギーで穿孔可能なポリエステルフィル
ムが好ましい。フィルムの厚さは、0.5〜10μm、
更に好ましくは1.0〜7.0μmである。0.5μm
未満では薄すぎて製造時にフィルムの搬送が困難にな
り、10μmを越えるとサーマルヘッド10での穿孔が
困難となる。
【0016】本発明の感熱孔版印刷用マスタにおいて、
フィルムの片方の表面にスティック防止層を設けた場
合、使用されるスティック防止剤としては、従来の感熱
孔版印刷用マスタで一般的に使用されているものが使用
出来る。例えばシリコーン系離型剤、フッ素離型剤、リ
ン酸エステル系界面活性剤等が例示できる。
【0017】多孔性繊維膜21としては、羊毛、絹など
の動物繊維:綿、麻などの植物繊維:レーヨンなどの再
生繊維:ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリ
ルなどの合成繊維などの薄葉紙が挙げられる。この場合
の繊維状物質の太さは穿孔直径、フィルムの厚さなどに
より適当なものを選択する必要があるが、直径20μm
以下、好ましくは1〜10μmである。直径が1μmよ
り小さいとコシが弱く、20μmより大きいとマスタの
平滑性が悪くなり、製版時の穿孔性が悪くなる。繊維の
直径はデニールと比重から円直径に換算してもよい。ま
た、繊維の長さは0.1〜20mmが適当であり、0.
1mmより短かいとコシが弱くなり、逆に20mmより
長いと分散が均一に行ないずらくなる。また、多孔性繊
維膜21としては、合成繊維からなる格子状に編製され
たスクリーンを用いることもできる。
【0018】本発明の感熱孔版印刷用マスタ8において
は、フィルム20と繊維との関係では、フィルムをサー
マルヘッドで穿孔したとき、その孔1個について繊維が
2〜7本横切っているようになっていることがより好ま
しい。穿孔部分を横切る繊維が2本より少ないとインキ
の通過を妨げる効果が少なく裏移り防止効果が小さくな
り、7本より多いとインキの通過を妨げる効果が大きく
なり過ぎ、印刷画像がかすれたりするトラブルが発生す
る。繊維の2本以上7本以下が横切る穿孔数の割合は穿
孔部分の80%以上が望ましく、顕微鏡写真より無作為
に選んだ100個の穿孔で判定する。繊維の一部分でも
穿孔にかかっていれば1本と判定する。
【0019】本発明の感熱孔版印刷用マスタ8において
は、前述のように、熱可塑性樹脂フィルム20の表面に
公知の方法で製造された繊維で形成された多孔性繊維膜
21がラミネートされ、そのとき、前記多孔性繊維膜2
1と熱可塑性樹脂フィルム20との接着力は、1〜10
g/25mmの範囲である。
【0020】本発明での接着力の測定方法は、図9に示
す装置を使用し、以下の条件及び方法で行った。 <条件> 計測器:SHIMPO社製DIGITAL FORCE
GAUGE(DFG−0.2K) 剥離速度:10mm/s サンプルサイズ:25mm×120mm 補強テープ:PLUS社製パッキングテープ(PP) <方法> マスタベース面を試験台に固定する フィルム面に補強テープを貼る 補強テープ先端をクランプし、フィルムを引き剥がす
(先端から70mm剥がす) 連続的にデータを取り、10POINTの平均を取る
【0021】マスタロール9は、その芯部9aを図示し
ないホルダー手段に回転可能に支持されている。サーマ
ルヘッド10とプラテンローラ11とは、図示しない孔
版印刷装置の側板に取り付けられている。多数の発熱素
子を有するサーマルヘッド10は、図示しない付勢手段
によってプラテンローラ11に付勢されている。プラテ
ンローラ11は回転自在に設けられており、図示しない
ステッピングモータによって、図において時計回り方向
に回転駆動される。マスタ8は、サーマルヘッド10に
押圧されて熱溶融穿孔製版されつつ、プラテンローラ1
1の回転によってマスタロール9より繰り出される。
【0022】サーマルヘッド10とプラテンローラ11
とが配設された位置よりもマスタ搬送方向下流側には、
マスタ搬送ローラ12a、12bが配設されている。図
示しない孔版印刷装置の側板に回転自在に支持されたマ
スタ搬送ローラ12a、12bは、図示しない駆動手段
によってプラテンローラ11の周速度よりも僅かに速い
周速度で回転駆動され、更にマスタ搬送ローラ12bの
周速は、マスタ搬送ローラ12aより速い速度に設定さ
れ、マスタ8のフィルム20と多孔性繊維膜21との接
着部に対し、剪断力を生じさせる。なお、ローラ12a
の周速をローラ12bの周速より速くしてもよい。
【0023】また、マスタ搬送ローラ12aには図示し
ないトルクリミッターが取り付けられており、プラテン
ローラ11とマスタ搬送ローラ12a、12bとの間で
搬送されるマスタ8に対して、予め設定された張力が一
定に作用するように構成されている。
【0024】マスタ搬送ローラ12a、12bの配設位
置よりもマスタ搬送方向下流側には、可動刃13aと固
定刃13bとからなる切断手段13及びマスタガイド板
14が配設されている。切断手段13は、可動刃13a
が固定刃13bに対して回転移動又は上下動してマスタ
8を切断する周知の構成である。マスタガイド板14は
図示しない孔版印刷装置の側板に固着されており、搬送
されるマスタ8をガイドする。
【0025】版胴1の下方には、押圧手段としてのプレ
スローラ16が配設されている。回転自在に支持された
プレスローラ16は、図示しない揺動手段によって、そ
の外周面が版胴1の外周面より離間する位置と版胴1の
外周面と当接する位置とに選択的に揺動される。プレス
ローラ16の右方には、レジストローラ対17が配設さ
れている。レジストローラ対17は、図示しない給紙手
段より供給される印刷用紙18の先端をくわえ込み、プ
レスローラ16が版胴1と当接するタイミングと同期し
て、印刷用紙18を版胴1とプレスローラ16との間に
向けて供給する。なお、押圧手段として、プレスローラ
の代わりに版胴1と略同径の圧胴を設けてもよい。
【0026】上記構成に基づき、以下に動作を説明す
る。図示しない原稿読取部に原稿がセットされ、図示し
ない製版スタートキーが押されると、版胴1が回転し、
図示しない排版装置によって版胴1の外周面に巻装され
ている使用済みマスタが剥離・破棄され、版胴1はクラ
ンパー7が略真上に位置する給版待機位置で停止する。
版胴1の回転が停止すると、図示しない開閉手段が作動
してクランパー7が解放され、版胴1は図1に示す給版
待機状態となる。
【0027】排版動作が完了すると、これに続いて製版
動作が行われる。読み取られた原稿画像は、原稿読取部
のCCD等で電気信号に変換され、A/D変換器を経由
して製版制御装置に画像データとして送られる。製版制
御装置は、送られた画像データに基づいてサーマルヘッ
ド10の発熱素子に対してパルス状の通電を行い、サー
マルヘッド10はマスタ8に対して熱溶融穿孔製版を行
う。サーマルヘッド10の作動に先立って、プラテンロ
ーラー11が図示しないステッピングモータによって回
転駆動され、マスタロール9よりマスタ8が引き出され
る。
【0028】製版画像を形成されたマスタ8は、マスタ
ガイド板14にガイドされつつ、前述のように、周速
が、マスタ搬送ローラ12aよりも、マスタ搬送ローラ
12bのほうが速い速度に設定され、マスタ搬送ローラ
12a、12bにより、マスタ8のフィルム20と多孔
性繊維膜21との接着部に対し、剪段力(ずり)を生じ
させ、多孔性繊維膜21を穿孔部と対応する部分をフィ
ルム面より剥離させつつ、空間層22を形成しつつ(図
4参照)、マスタ搬送ローラ12a、12bによってク
ランパー7へと搬送される。
【0029】なお、本発明の感熱孔版印刷用マスタ8
は、前述のように、多孔性繊維膜21と熱可塑性樹脂フ
ィルム20との接着力は、1〜10g/25mmの範囲
に設定されており、接着力が、10g/25mm超過で
あると、剥離するときに、穿孔されたフィルムが壊れて
しまい、印刷画像が壊れる。また、1g/25mm未満
では、製版するときに、プラテンローラ10とサーマル
ヘッド11とのずりにより多孔性繊維膜21が剥離し、
フィルム20の熱収縮を発生する。
【0030】前述したように、特開平7−314936
号公報等に提案されているドラム上にインキで溶ける接
着剤を用いてラミネートさせたマスタを巻装して印刷す
る場合には、数枚印刷しないと接着剤が溶けないので、
最初の数枚では繊維目を発生するが、本発明では、ドラ
ム(版胴1)へマスタ8を巻装する前に、フィルム20
と多孔性繊維膜21とを剥離するので、一枚目の印刷画
像から良好な画像が得られる。また、本発明では、製版
時にサーマルヘッドの熱で、接着剤が軟化しているうち
に剥離するので、少なくとも、穿孔部に対応する多孔性
繊維膜を剥離することができる。これにより、穿孔部上
では、フィルムと繊維との間に空間層22が形成され、
そこでインキの拡散を行うので、繊維目発生を防止でき
る。更に、製版時にサーマルヘッドの熱で、接着剤が軟
化しているうちに剥離するので、多孔性繊維膜を剥離す
るときに、フィルムの破損を確実に防止できる。
【0031】プラテンローラ11を駆動するステッピン
グモータのステップ数より、マスタ8の先端がクランパ
ー7とステージ部6との間の所定位置まで達したと判断
されると、図示しない開閉手段が動作してクランパー7
を反時計回り方向に回動させ、ステージ部6とクランパ
ー7とでマスタ8の先端を挟持した後、版胴1がマスタ
搬送速度と略同じ周速度で時計回り方向に回転を開始
し、マスタ8の版胴1への巻装が開始される。そして、
プラテンローラ11を駆動するステッピングモータのス
テップ数より、1版分の製版が完了したと判断される
と、プラテンローラ11とマスタ搬送ローラ12a、1
2bの回転動作がそれぞれ停止され、切断手段13によ
ってマスタ8が切断される。切断されたマスタ8は、版
胴1の回転によって引き出されて巻装動作が完了する。
【0032】巻装動作に引き続き、版付け動作が行われ
る。図示しない給紙手段より給送された印刷用紙18
は、レジストローラ対17にくわえ込まれる。レジスト
ローラ対17は、低速で回転している版胴1に巻装され
たマスタ8の画像領域がプレスローラ16と対応する位
置に達するタイミングで、印刷用紙18を版胴1とプレ
スローラ16との間に向けて給送する。給送された印刷
用紙18は、プレスローラ16によって版胴1に巻装さ
れたマスタ8に押圧される。この押圧動作により、プレ
スローラ16と印刷用紙18とマスタ8と版胴1の外周
面とが圧接し、インキローラ3によって版胴1の内周面
に供給されたインキが、版胴1の開口部、インキ保持部
材23、多孔性繊維膜21の空隙、及びマスタ搬送ロー
ラ12a、12bの剥離作用によって形成された熱可塑
性樹脂フィルム20と多孔性繊維膜21との間の空間層
22に充填された後、フィルム20の穿孔部を通過して
印刷用紙18に転移される。この空間層22により、イ
ンキの均一拡散を行い、繊維目の発生を防止する。
【0033】インキを転移された印刷用紙18は、図示
しない剥離爪によって版胴1の外周面より剥離され、図
示しない排紙手段によって機外に排出されて版付動作が
完了する。版付動作完了後、図示しない印刷スタートキ
ーが押されると、図示しない給紙手段より印刷用紙18
が連続的に給送され、版胴1が高速で回転駆動されて印
刷動作が行われる。
【0034】以下、本発明の第二の実施例について説明
する。第一の実施例と異なる点は、マスタ8の代わりに
マスタ30を用いた点のみが異なる。マスタ30は、熱
可塑性樹脂フィルム20の上に、樹脂からなる多孔性樹
脂膜25を有し、その表面に繊維からなる多孔性繊維膜
26を有する。本発明の多孔性樹脂膜25及び多孔性繊
維膜26を有してなる支持体を具備した感熱孔版印刷用
マスタ30の模式断面は、例えば図5で示される。図5
において、25は多孔性樹脂膜、20は熱可塑性樹脂フ
ィルム、26は多孔性繊維膜を、それぞれ示す。
【0035】既述のとおり、本発明における「多孔性樹
脂膜」とは溶剤に溶かした樹脂を析出し、凝結等をする
ことで形成する多孔性の膜で、連泡状セルの集合体から
なる泡状皮膜や、粒形状あるいは繊維状等の樹脂による
集合体からなる集合体状皮膜などによって形成される膜
である。
【0036】セルは閉じた状態でもよいし、その一部が
開口していてもよい。開口は乾燥過程での泡の皮膜の破
裂などで達成できる。図5、6で点線のところは開口を
表わしている。また、図5及び図6において、多孔性樹
脂膜25をそれぞれ構成する各構成要素、即ち連泡状セ
ル25a、粒形状あるいは繊維状等の樹脂25bは互い
に結合しており、このように多孔性樹脂膜25の構成要
素が互いに結合していると、多孔性樹脂膜の引張り強度
及びコシが強く、マスタの引張り強度及び搬送性が向上
する。
【0037】多孔性樹脂膜25の平均孔径は一般に1μ
m以上50μm以下、望ましくは2μm以上30μm以
下である。平均孔径が1μmに満たない場合には、イン
キの通過性が悪く、十分なインキ通過量を得るために低
粘度インキを用いれば、画像にじみや印刷中に印刷ドラ
ムの側部や巻装されているマスタの後端から印刷インキ
がしみ出す現象が発生する。また、多孔性樹脂膜25内
の空隙率が低くなることが多く、サーマルヘッド10に
よる穿孔を阻害しやすくなる。平均孔径が50μmを越
える場合には多孔性樹脂膜25によるインキの抑制効果
が低くなり、印刷時にマスタ30からインキが過剰に押
し出され、裏汚れやにじみ等の不具合が発生し、平均孔
径は小さすぎても大きすぎても良好な印刷品質が得られ
ない。
【0038】多孔性樹脂膜25は、膜の内部及び表面に
多数の空隙を持つ構造を有するものであれば良く、該空
隙がインキの通過性の点から多孔性膜内において厚さ方
向に連続構造であり、且つフィルムを床とした場合に天
井方向に貫通しているものが望ましい。但し、多孔性樹
脂膜25とフィルム20との境界においては、サーマル
ヘッド10による穿孔を阻害しない範囲で、多孔性樹脂
膜25がフィルム20を覆って閉鎖していても良い。サ
ーマルヘッド10による穿孔を阻害しない、フィルム2
0を覆う多孔性樹脂膜25を構成する樹脂の厚さは、こ
の膜を構成する樹脂の種類、フィルム20の熱感度等に
よって異なるが、一般にはフィルム20と合わせた厚み
が7μm以下である。
【0039】多孔性樹脂膜表面において、真円換算時の
直径が5μm以上の孔の開口面積の合計は全表面積の4
〜80%、望ましくは10〜60%である。該割合が4
%未満である場合にはサーマルヘッドによる穿孔やイン
キの通過が阻害されやすい。また、該割合が80%を超
える場合には、多孔性樹脂膜の引張り強度及びコシの強
さが低下する。多孔性樹脂膜25は今までの感熱孔版印
刷用マスタの多孔性部分とは全く異なる構造を有する。
構造体を形成する個体部分は不定形の棒状、球状、枝状
体の集合接合体より成り、どのような構造となるかは該
樹脂膜の製造条件、例えば樹脂の種類、液の固形分濃
度、溶媒の種類、樹脂液付着量、樹脂液乾燥温度、塗布
雰囲気温度、同じく湿度等により異なる。
【0040】特に、樹脂液温度、塗布雰囲気温度、同じ
く湿度の影響は大きい。樹脂液の温度が10℃未満であ
ると、本発明の樹脂液はゲル化が発生し易くなり溶液の
塗布がしにくく、逆に、30℃を超えると多孔性樹脂膜
の形成が難しくなる。従って、塗布雰囲気温度も10℃
以上、30℃以下が好ましい。また、雰囲気の湿度が5
0%RHを超えるとフィルム表面の水分の吸着量が多く
なり、その結果塗布液との濡れ性が低下することによっ
て、多孔性樹脂膜とフィルムの接着性に劣るようにな
る。
【0041】本発明の多孔性樹脂膜25及び多孔性繊維
膜26を有してなる支持体を用いた感熱孔版印刷用マス
タ30は、孔版印刷機プリポートVT3820〔(株)
リコー製〕とそのインキ(VT600 II、lot n
o.960604−22)を用いて印加パルス幅を7%
標準状態より長く設定して20℃、60%RH環境中で
製版印刷(印刷速度3速)したときに、良好な画像〔印
刷画像濃度が0.7〜1.3、望ましくは0.9〜1.
25(Macbeth社製 RD914濃度計にて測
定)〕が得られるものである。
【0042】なお、VT600 IIインキ(lot n
o.960604−22)の粘度は、粘度計HAAKE
CV20でローターPK30−4.0を用いシェアレ
ート20(1/S)で測定した場合に、20℃で150
Poiseであった。
【0043】また、同じく多孔性樹脂膜表面において、
真円換算時の直径が5μm以上の孔の開口面積の合計は
全開口面積の50%以上、望ましくは70%以上であ
る。該割合が50%未満である場合には、サーマルヘッ
ドによる穿孔やインキの通過が阻害されやすい。
【0044】支持体としての多孔性樹脂膜25の厚さ
は、5μm以上、100μm以下、望ましくは6μm以
上、50μm以下である。5μmに満たない場合は、十
分な膜強度が得られにくい上、サーマルヘッド10によ
る穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜が残りにくく、
インキ転写量が制御されずに印刷物の裏汚れが悪くなり
やすい。逆に、100μmを超える場合には、インキの
通過性が阻害されやすい。また、多孔性樹脂膜25のイ
ンキ転写量抑制効果は膜が厚いほど大きく、印刷時の印
刷用紙へのインキ転写量は多孔性樹脂膜25の厚みによ
っても調節できる。
【0045】多孔性樹脂膜25の平均孔径が20μm以
下である場合、多孔性樹脂膜層が厚い程印刷インキが通
りにくくなるので、この層の厚みによってインキの印刷
用紙への転写量を制御することができる。層の厚さが不
均一であると印刷ムラを生じることがあるので、厚みは
均一であることが望ましい。厚さの測定は実質的に荷重
をかけないで、又は極く小さな荷重で行う。
【0046】多孔性樹脂膜25の支持体としての付着量
は、0.5〜25g/m2、望ましくは2g/m2〜15
g/m2、特に2〜7g/m2が望ましい。付着量が25
g/m2を越えるとインキの通過を妨げて画質を悪く
し、逆に0.5g/m2未満では十分な膜強度を得られ
にくい。
【0047】多孔性樹脂膜25の密度は、通常0.01
g/cm3以上、1g/cm3以下で、望ましくは0.1
g/cm3以上、0.5g/cm3以下である。密度が
0.01g/cm3未満だと膜の強度が不足し、また膜
自体も壊れやすい。逆に、密度が1g/cm3を超える
と、インキの通過を妨げて画質を悪くする。
【0048】本発明の感熱孔版印刷用マスタ30のコシ
は、曲げ剛度5mN以上(ローレンツェンスティフネス
テスターによる)であることが望ましい。曲げ剛度が5
mN未満の場合、感熱孔版印刷用マスタの印刷機上での
搬送が困難になることがある。
【0049】本発明において、感熱孔版印刷用マスタの
熱可塑性樹脂フィルム面が開口面積率で20%以上とな
るように穿孔されたとき、通気性試験機における測定値
は1.0cm3/cm2・秒〜157cm3/cm2・秒の範
囲である。ここでいう、開口面積率とは、感熱孔版印刷
用マスタがサーマルヘッド、レーザー、フラッシュラン
プなどによりベタの製版を施されたときの感熱孔版印刷
用マスタのフィルム面での貫通孔の合計面積が、ベタ部
の単位面積当たりで占める割合のことである。
【0050】開口面積率が20%を下回ると、画像濃度
を確保するためには非常に粘度の低いインキを使用する
必要があり、この様なインキでは孔版印刷システムにお
いてはベタ部の均一性、或いは細線の再現性が良くな
い。
【0051】この場合、通気性が1.0cm3/cm2
秒に満たない場合にはインキの通過性が悪く、十分なイ
ンキ通過量を得るために低粘度インキを用いれば、画像
にじみや印刷中に印刷ドラムの側部や巻装されているマ
スタの後端から印刷インキがしみ出す現象が発生する。
また、多孔性樹脂膜及び多孔性繊維膜内の空隙率が低く
なると断熱効果が低下することが多く、サーマルヘッド
による穿孔を阻害しやすくなる。通気性が157cm3/
cm2・秒を越える場合には、多孔性樹脂膜及び多孔性
繊維膜によるインキの抑制効果が低くなり、印刷時に印
刷ドラムから印刷用紙表面にインキが過剰に押し出され
裏汚れやにじみ等の不具合が発生し、通気性は小さすぎ
ても大きすぎても良好な印刷品質が得られない。
【0052】多孔性樹脂膜は、サ−マルヘッドによるフ
ィルムの穿孔をより効果的にするため、その少なくとも
一部分、即ちフィルムと接触する多孔性樹脂膜の部分に
おいて、150℃以下の温度で軟化することが望まし
い。なお、膜の孔径、形状、強度、コシ等を調節するた
めに、多孔性樹脂膜中に顔料を含んだものが好ましい。
【0053】多孔性樹脂膜材料の主成分となるプラスチ
ックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブ
テン、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、 ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリビニルアルコ−ル、ポリ酢酸ビニル、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルアセタール、塩化ビニ
ル−酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ンコポリマー、塩化ビニル−アクリロニトリルコポリマ
ー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー等のような
ビニル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸
系プラスチック、ジエン系プラスチック、ポリブチレ
ン、ナイロン等のポリアミド、ポリエステル、ポリフェ
ニレンオキサイド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリ
カ−ボネ−ト、ポリアセタ−ル、フッソ系樹脂、ポリウ
レタン系プラスチック、各種天然プラスチック、天然ゴ
ム系プラスチック、各種熱可塑性エラストマ−、アセチ
ルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチルプ
ロピルセルロース等のセルロース誘導体等、微生物プラ
スチックなどや、これらのポリマーを含むコポリマ−な
どが挙げられる。その他、各種脂肪酸、ワックスなど各
種炭水化物、各種タンパク質も使用できる。
【0054】また、本発明の感熱孔版印刷用マスタは、
サーマルヘッドによる穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹
脂膜の少なくとも一部が残るものであることが好まし
い。穿孔後に穿孔部の背後に多孔性樹脂膜が残ることに
よって、インキ転写量が制御され、印刷物の裏汚れが抑
制される。従って、本発明の感熱孔版印刷用マスタのサ
ーマルヘッドによる穿孔後の模式断面は、例えば図8で
示される。図8において、20は熱可塑性樹脂フィル
ム、25は多孔性樹脂膜、28は熱可塑性樹脂フィルム
熱穿孔部、26は多孔性繊維膜を、それぞれ示す。
【0055】本発明の感熱孔版印刷用マスタの多孔性樹
脂膜の第1の形成方法は、フィルム上に樹脂溶液を塗布
し、溶剤が揮発する際の蒸発潜熱により塗液上の雰囲気
を冷却、凝結した貧溶媒を塗液中に取り込ませ、多孔性
樹脂膜を形成させることによるものである。即ち、まず
フィルム上に樹脂溶液を塗布し、乾燥させる。このとき
溶剤が揮発する際の蒸発熱により塗液が冷却され、これ
によって塗液上の雰囲気が冷却される。冷却されたこと
によって雰囲気中の貧溶媒が凝結し、塗液中に取り込ま
れる。その結果、樹脂溶液中に取り込まれた貧溶媒が樹
脂を析出させることによって、多孔性樹脂膜が形成され
る。
【0056】望ましい樹脂溶液の濃度は使用する材料に
よって異なるが、溶液中の樹脂濃度が低すぎると乾燥中
に多孔性樹脂膜が壊れやすく、空隙の不足あるいは多孔
性樹脂膜の厚みのムラが生じやすい。逆に、溶液中の樹
脂濃度が高いと樹脂溶液中に貧溶媒を取り込みにくくな
り、多孔性樹脂膜が形成されにくく、あるいは形成され
ても孔径が小さくなり所望の特性は得られにくい。
【0057】多孔性樹脂膜の平均孔径は膜のフィルムに
近い部分ほど小さくなり、またこの傾向は多孔性樹脂膜
が厚いほど顕著になり、均一な孔径を得ることが困難に
なる。そこで孔径をより均一にするために、樹脂溶液中
にあらかじめ樹脂に対する貧溶媒を添加しておいても良
い。一般に貧溶媒の添加量が多いほど径が大きく、均一
な多孔性樹脂膜が形成される。しかし、貧溶媒の添加量
を過剰にした場合、塗布前に溶液中の樹脂が析出してし
まうので、樹脂の溶解特性によって樹脂の析出しない範
囲で貧溶媒の添加量を決める。このとき良溶媒は相対的
に貧溶媒より低温で蒸発しやすい組み合わせが必要であ
る。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合に
は、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低くなけ
ればならない。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、
一般には沸点差が15〜40℃である場合に所望の特性
を持つ多孔性樹脂膜が形成されやすい。沸点差が10℃
未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形成さ
れる膜が多孔性構造になりにくい。貧溶媒の沸点が高す
ぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産性に劣るため、
貧溶媒の沸点は100℃以下であることが望ましい。
【0058】多孔性樹脂膜の平均孔径の大きさは雰囲気
中の貧溶媒の影響を受け、一般にその濃度が高いほど凝
結量が多くなり、平均孔径は大きくなる。しかし、平均
孔径の大きさへの寄与率は、樹脂溶液中の貧溶媒量によ
って著しく変化し、一般に貧溶媒の樹脂溶液中への添加
量が多い程、雰囲気中の貧溶媒の濃度の影響が小さくな
る。
【0059】多孔性樹脂膜形成を容易にするために、加
湿器や霧吹き等によって貧溶媒の蒸気や微粒子をフィル
ム上の塗布液上に吹き付けても良い。吹き付ける貧溶媒
の粒子径を変えることによって、多孔性樹脂膜の孔径を
変えることができる。樹脂液塗布前にフィルム上に気化
装置、霧吹き装置等によって貧溶媒を与えておくことは
多孔性樹脂膜とフィルムの接点を少なくし、サーマルヘ
ッドによる穿孔性を向上させる効果がある。
【0060】一般には貧溶媒として水またはアルコール
が用いられることが多い。乾燥条件としてはフィルムに
悪影響を与えないことが必要で、乾燥温度も60℃以下
が望ましい。
【0061】表1及び表2に代表的な樹脂について良溶
媒、貧溶媒、及びその沸点を示す。なお、表中、○は良
溶媒を×は貧溶媒を表す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】各樹脂は2種以上を混合して用いても良
い。良溶媒、貧溶媒も2種以上を用いても良い。樹脂溶
液中には、必要に応じてフィラーを添加してもよい。こ
の添加は、乾燥過程で生成する多孔性樹脂膜の形状、強
度、孔径の大きさに影響を与えるものである。具体的に
は、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ
等の無機化合物、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポ
リアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子である。松本
油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マツモトマイク
ロスフィアーも有効に利用できる。
【0065】本発明の多孔性樹脂膜には、本発明の効果
を阻害しない範囲内で帯電防止剤、スティック防止剤、
界面活性剤、防腐剤、消泡剤等を併用することができ
る。塗布する樹脂溶液の処方、塗布条件、乾燥方法等は
いくつかの実験により決定される。塗布にはブレード、
トランスファーロール、ワイヤーバー、リバースロー
ル、グラビア、ダイ等の各種方式のコーターが用いられ
る。
【0066】本発明の感熱孔版印刷用マスタの多孔性樹
脂膜の第2の形成方法は、2種以上の溶媒の混合液中に
溶解している樹脂を、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布
し、その乾燥中に樹脂濃度が高くなることにより樹脂を
析出させ、多孔性樹脂膜を形成するものである。この場
合、混合溶媒は通常、樹脂に対する良溶媒と貧溶媒の混
合液であることが好ましい。混合溶媒中の貧溶媒の割合
が高い程、形成される多孔性樹脂膜の空隙の径が大きく
なる傾向が見られるが、貧溶媒の割合を過剰にした場
合、塗布前に溶液中の樹脂が析出してしまうので、樹脂
の溶解特性によって樹脂の析出しない範囲で貧溶媒の割
合を決める。
【0067】混合溶媒の条件として、良溶媒が貧溶媒に
対して相対的に低温で蒸発しやすい組み合わせが好まし
い。良溶媒と貧溶媒をそれぞれ一種ずつ用いる場合に
は、良溶媒の沸点は相対的に貧溶媒の沸点より低いこと
が望ましい。良溶媒と貧溶媒の選定は任意であるが、一
般には良溶媒の沸点が15〜40℃低い場合に、所望の
特性を持つ多孔性樹脂膜が形成されやすい。沸点差が1
0℃未満の場合には、両溶媒の蒸発時間差が小さく、形
成される膜が多孔性構造になりにくいことが多い。貧溶
媒の沸点が高すぎる場合には、乾燥に時間がかかり生産
性に劣るため、貧溶媒の沸点は100℃以下であること
が望ましい。3種以上の溶媒を用いても良い。この場合
にも、樹脂溶液中の主な良溶媒の沸点が主な貧溶媒の沸
点よりも15〜40℃低いことが望ましい。
【0068】乾燥条件としてはフィルムに悪影響を与え
ないことが必要で、乾燥温度も60℃以下が望ましい。
樹脂、良溶媒、貧溶媒には第1の形成方法と同じものを
用いることができる。
【0069】各樹脂は2種以上を混合して用いても良
い。樹脂溶液中には、必要に応じてフィラーを添加して
もよい。この添加は、乾燥過程で生成する多孔性樹脂膜
の形状、強度、孔径の大きさに影響を与えるものであ
る。具体的には、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭酸カルシ
ウム、シリカ等の無機化合物、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩
化ビニル、ポリアクリル酸メチル等の有機ポリマー粒子
である。松本油脂製薬株式会社のマイクロカプセル、マ
ツモトマイクロスフィアーも有効に利用できる。
【0070】第1の形成方法の場合と同様に、本発明の
多孔性樹脂膜には、本発明の効果を阻害しない範囲内で
帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、
消泡剤等などを併用することができる。塗布する樹脂液
の処方、塗布条件、乾燥方法等はいくつかの実験により
決定される。塗布にはブレード、トランスファーロー
ル、ワイヤーバー、リバースロール、グラビア、ダイ等
の各種方式のコーターが用いられる。
【0071】本発明の感熱孔版印刷用マスタ30におい
ては、前述のようにして多孔性樹脂膜25をフィルム2
0表面に形成した後に、この多孔性樹脂膜25の表面に
公知の方法で製造された繊維状物質で形成された多孔性
繊維膜26が、ラミネートされる。多孔性樹脂膜25と
多孔性繊維膜26とをラミネートする場合に用いる接着
剤は、接着剤の粘度が低いと接着剤が多孔性樹脂膜25
の空隙部の内部に入り込み、インキ通過性が悪くなるの
で、接着剤の粘度としては多孔性樹脂膜25の空隙部内
に流れ込まない程度に高い方が好ましい。更に、高粘度
の接着剤を多孔性繊維膜表面にローラで塗布し、多孔性
樹脂膜表面にラミネートしてもよい。また、高粘度の粘
着剤を多孔性繊維膜表面にローラで塗り、粘着剤が乾燥
してから多孔性樹脂膜表面にラミネートしてもよい。ま
た、樹脂溶液をフィルム面表面に塗布し、樹脂膜が乾燥
する前に樹脂溶液表面に多孔性繊維膜26を重ね、乾燥
し、多孔性繊維膜26を多孔性樹脂膜25にラミネート
してもよい。
【0072】マスタ30においても、製版動作におい
て、製版画像を形成されたマスタ30は、マスタガイド
板14にガイドされつつ前述のように、周速が、マスタ
搬送ローラ12aよりも、マスタ搬送ローラ12bのほ
うが速い速度に設定されたマスタ搬送ローラ12a、1
2bにより、マスタ30の多孔性樹脂膜25と多孔性繊
維膜26との接着部に対し、剪断力(ずり)を生じさ
せ、多孔性繊維膜26を、多孔性樹脂膜25より剥離さ
せつつ、空間層27を形成しつつ(図7参照)、マスタ
搬送ローラ12a、12bによってクランパー7へと搬
送される。
【0073】インキは、多孔性繊維膜26の空隙、マス
タ搬送ローラ12a、12bの剥離作用によって形成さ
れた多孔性樹脂膜25と多孔性繊維膜26の間のと空間
層27、及び多孔性樹脂膜25の空隙に充填された後、
フィルム20の穿孔部を通過して印刷用紙18に転移さ
れ、この空間層27により、インキの均一拡散を行い、
繊維目の発生を防止する。
【0074】マスタ30においては、多孔性樹脂膜25
と多孔性繊維膜26との接着力は、1〜10g/25m
mの範囲に設定されており、接着力が10g/25mm
超過であると、剥離するときに穿孔されたフィルム又は
多孔性樹脂膜が壊れてしまい、印刷画像が壊れる。ま
た、1g/25mm未満では製版するときに、プラテン
ローラとサーマルヘッドとのずりにより多孔性繊維膜が
剥離し、フィルムの熱収縮を発生する。
【0075】接着力の測定方法は、第一の実施例と同様
に、図9に示す装置を使用し、以下の条件及び方法で行
う。 <条件> 計測器:SHIMPO社製DIGITAL FORCE
GAUGE(DFG−0.2K) 剥離速度:10mm/s サンプルサイズ:25mm×120mm 補強テープ:PLUS社製パッキングテープ(PP) <方法> マスタベース面を試験台に固定する フィルム面に補強テープを貼る 補強テープ先端をクランプし、フィルムを引き剥がす
(先端から70mm剥がす) 連続的にデータを取り、10POINTの平均を取る
【0076】本発明においては、多孔性樹脂膜表面から
多孔性繊維膜を剥離する為、剥離時に穿孔部のフィルム
が壊れない。また、フィルム上には多孔性樹脂膜が存在
するため、この多孔性樹脂膜がフィルムのコシ及び、引
張り強度の補強を果たすので、印刷中の伸びやシワ発生
を防止できる。
【0077】多孔性繊維膜26としては、羊毛、絹など
の動物繊維:綿、麻などの植物繊維:レーヨンなどの再
生繊維:ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリ
ルなどの合成繊維などの薄葉紙が挙げられる。この場合
の繊維状物質の太さは穿孔直径、フィルムの厚さなどに
より適当なものを選択する必要があるが、直径20μm
以下、好ましくは1〜10μmである。直径が1μmよ
り小さいとコシが弱く、20μmより大きいとマスタの
平滑性が悪くなり、製版時の、穿孔性が悪くなる。繊維
状物質の直径はデニールと比重から円直径に換算しても
よい。また、繊維状物質の長さは0.1〜20mmが適
当であり、0.1mmより短いとコシが弱くなり、20
mmより長いと分散が均一に行ないずらくなる。また、
多孔性繊維膜26としては、合成繊維からなる格子状に
編製されたスクリーンを用いることもできる。
【0078】
【実施例】次に実施例、比較例を挙げて本発明を具体的
に説明する。ここでの部は重量基準である。
【0079】 実施例1 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 1部 (ユニオンカーバイト社製、VYHH) ポリエステル繊維 2部 (帝人社製、0.15デニール、比重1.4として直径4μm) 酢酸エチル 8部 からなる混合物をよくボールミルで分散し、厚さ1.5
μmのポリエステルフィルムにロールコーターを用いて
乾燥付着量として3.5g/m2に塗工し、多孔性繊維膜
を作成した。乾燥温度は50℃とした。得られた多孔性
繊維膜をポリエステルフィルムより剥離し、多孔性繊維
膜にポリエチレン系接着剤を3g/m2塗布し、その面を
2.0μm厚の2軸延伸ポリエステルフィルムにラミネ
ートし、更に、フィルムの多孔性繊維膜を形成したのと
反対面に、熱溶融したフィルムがサーマルヘッドにステ
ィックするのを防止するため、及び帯電防止を目的とし
て、シリコーン樹脂とカチオン系帯電防止剤の混合物
を、乾燥後の付着量約0.05g/m2になるように塗
布し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0080】 実施例2 セルロースアセテートブチレート(軟化点 131℃) 5部 (イーストマンコダック社製 CAB381ー20) メチルエチルケトン(沸点79.6℃) 85部 水(沸点100.0℃) 5部 メチルアルコール(沸点64.5℃) 5部 上記組成の液を撹拌溶解し、静置し十分消泡してから3
0℃、50%RH雰囲気中で、3.5μm厚の2軸延伸
ポリエステルフィルムの上にワイヤーバー(0.6mm
径)にて均一塗布した。これをそのまま1分間放置した
後で50℃乾燥ボックスで2分間放置し乾燥させること
により、フィルム上に多孔性樹脂膜を形成した。フィル
ムの多孔性樹脂膜を形成したのと反対面に、熱溶融した
フィルムがサーマルヘッドにスティックするのを防止す
るため、及び帯電防止を目的として、シリコーン樹脂と
カチオン系帯電防止剤の混合物を、乾燥後の付着量約
0.05g/m2になるように塗布し、マスタ基材を作
製した。
【0081】更に、 塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 1部 (ユニオンカーバイト社製、VYHH) ポリエステル繊維 2部 (帝人社製、0.15デニール、比重1.4として直径4μm) 酢酸エチル 8部 からなる混合物をよくボールミルで分散し、厚さ1.5
μmのポリエステルフィルムにロールコーターを用いて
乾燥付着量として3.5g/m2に塗工し、多孔性繊維膜
を作成した。乾燥温度は50℃とした。得られた多孔性
繊維膜をポリエステルフィルムより剥離し、多孔性繊維
膜にポリエチレン系接着剤を3g/m2塗布し、その面を
上記で得られたマスタ基材の多孔性樹脂膜にラミネート
して、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0082】 実施例3 セルロースアセテートブチレート(軟化点 131℃) 5部 メチルエチルケトン(沸点79.6℃) 85部 水(沸点100.0℃) 5部 メチルアルコール(沸点64.5℃) 5部 上記組成の液を撹拌溶解し、静置し十分消泡してから、
30℃、50%RH雰囲気中で、3.5μm厚の2軸延
伸ポリエステルフィルム上にワイヤーバー(0.6mm
径)にて均一塗布し、塗布面に加湿器(HITACHI
Humidifier UV−107D)から10c
mの距離で15秒間、水の微粒子を接触させた。これを
1分間放置した後で50℃乾燥ボックスで2分間放置し
乾燥させることにより、フィルム上に多孔性樹脂膜を形
成し、更に実施例2と同様にして多孔性繊維膜を作成
し、それを多孔性樹脂膜にラミネートした。フィルムの
多孔性樹脂膜を形成したのと反対面に実施例2と同様
に、シリコーン樹脂とカチオン系帯電防止剤の混合物を
塗布し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0083】 実施例4 ポリビニルブチラール(軟化点 87℃) 8部 (電気化学工業社製 PVB3000−2) エチルアルコール(沸点78.3℃) 69部 水(沸点100.0℃) 23部 アクリル酸スチレンコポリマー(軟化点65℃) 1.2部 (ジョンソンポリマー社製 J679) 上記組成の液を撹伴溶解した後、酸化チタン(ルチル)
1.6部を添加し、これをボールミルにて1時間分散さ
せる。分散後、実施例2と同じ条件にて多孔性樹脂膜及
び多孔性繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マス
タを得た。
【0084】比較例1 実施例2と同様にして、ただ多孔性樹脂膜のみを形成
し、感熱孔版印刷用マスタを得た。
【0085】実施例5 実施例2の多孔性繊維膜の代りに、孔版印刷機プリポー
トVT3820〔(株)リコー製〕指定のマスター(V
T IIマスター)の支持体を用いた。
【0086】<評価>以上得られた感熱孔版印刷用マス
タについて、樹脂の軟化点、多孔性樹脂膜平均孔径、面
積率1及び2、コシの強さを下記の方法で測定し、且つ
強度、穿孔感度、画質、裏汚れを(株)リコー製の孔版
印刷機プリポートVT3820及びそのインキ(VT6
00 II、lot no.960604−22)を用い
て試験し、下記の基準で評価した。製版印刷は20℃、
60%RH環境中で印加パルス幅を7%標準状態より長
く設定して、印刷速度3速で行った。それらの結果を表
3に示す。
【0087】(イ)樹脂の軟化点 熱応力歪測定装置TMA/SS150C(セイコー電子
工業社製)を用いて測定した。
【0088】(ロ)多孔性樹脂膜平均孔径 1000倍で撮影した電子顕微鏡表面写真の孔部をトレ
ーシングペーパーを用いてマーキングし、LA−555
D〔(株)ピアス製〕を用いて画像処理し、各孔径を真
円に換算し、その平均値とした。
【0089】(ハ)面積率1 面積率1は各孔径を真円に換算した時の、直径が5μm
以上の孔の開口面積の合計の、多孔性樹脂膜全表面積中
の割合であり、1000倍で撮影した電子顕微鏡表面写
真の孔部をトレーシングペーパーを用いてマーキング
し、LA−555D〔(株)ピアス製〕を用いて画像処
理して、各孔径を真円換算して求めた。
【0090】(ニ)面積率2 面積率2は、真円換算時の直径が5μm以上の孔の開口
面積の合計の、多孔性樹脂膜全開口面積中の割合であ
り、1000倍で撮影した電子顕微鏡表面写真の孔部を
トレーシングペーパーを用いてマーキングし、LA−5
55D〔(株)ピアス製〕を用いて画像処理して、各孔
径を真円換算して求めた。
【0091】(ホ)コシの強さ ローレンツェンスティフネステスターで測定した。
【0092】(ヘ)強度 サーマルヘッドで走行させたときに多孔性樹脂膜及び多
孔性繊維膜が剥がれないものを◎、僅かに剥がれのある
ものを○で示した。
【0093】(ト)穿孔感度 マスタのフィルム部分がサーマルヘッドによって、全く
正常に穿孔されるものを◎、穿孔されるが部分的に穿孔
径が小さくなるものを○、部分的に穿孔されないものを
△、ほとんど穿孔されないものを×で示した。
【0094】(チ)画質 印刷画像を肉眼で観察し、にじみやカスレ、濃度ムラ、
繊維目が無いものを◎、やゝあるものを○、みられるも
のを×で示した。
【0095】(リ)裏汚れ 印刷物を肉眼で観察し、現行マスタ〔(株)リコーVT
IIマスター〕よりも優れるものを◎、現行マスタと同
等であるものを○、現行マスタよりも劣るものを×で示
した。
【0096】(ヌ)画像濃度 印刷物の画像濃度をMacbeth社製RD914濃度
計にて測定し、その実測値を示した。
【0097】(ル)製版縮み 製版した後に、マスタの縮み無しを○、やゝ縮みのある
ものを△、縮みのあるものを×で示した。
【0098】
【表3】
【0099】実施例6 ポリエチレン系接着剤の付着量を4.5g/m2とした
他は、実施例2と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性
繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得
た。
【0100】実施例7 ポリエチレン系接着剤の付着量を2.8g/m2とした
他は、実施例2と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性
繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得
た。
【0101】実施例8 ポリエチレン系接着剤の付着量を0.8g/m2とした
他は、実施例2と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性
繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得
た。
【0102】実施例9 実施例7の多孔性繊維膜の代りに、孔版印刷機プリポー
トVT3820〔(株)リコー製〕指定のマスタ(VT
IIマスター)の支持体を、ポリエチレン系接着剤の
付着量を0.8g/m2でラミネートし、本発明の感熱
孔版印刷用マスタを得た。
【0103】実施例10 ポリエチレン系接着剤の付着量を0.4g/m2とした
他は、実施例2と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性
繊維膜を形成し、本発明の感熱孔版印刷用マスタを得
た。
【0104】比較例2 ポリエチレン系接着剤の付着量を5.3g/m2とした
他は、実施例2と同じ条件にて多孔性樹脂膜及び多孔性
繊維膜を形成し、比較用の感熱孔版印刷用マスタを得
た。たゞ、このマスタは製版印刷において、多孔性繊維
膜が剥離できず、画像に繊維目が見られた。
【0105】<評価>実施例6〜10及び比較例2の感
熱孔版印刷用マスタについて、実施例2のマスタと同様
に評価した。その結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、コシ及び引張
り強度の強い良質の画像が得られる感熱孔版印刷用マス
タが得られる。製版時には、フィルムと多孔性繊維膜が
接着されており、フィルムが熱収縮するのを防止し、印
刷時には、フィルムと多孔性繊維膜が離れ、フィルムと
繊維膜の間に空間層を形成し、これによりインキを拡散
するので、繊維の重なりによる印刷むらや繊維目を発生
しない。
【0108】請求項2の発明によれば、コシ及び引張り
強度の強い良質の画質が得られる感熱孔版印刷用マスタ
が得られる。製版時には、多孔性樹脂膜と多孔性繊維膜
が接着されており、フィルムが熱収縮するのを防止し、
印刷時には、多孔性樹脂膜と多孔性繊維膜が離れ、樹脂
膜と繊維膜の間に空間層を形成し、これによりインキを
拡散するので、繊維の重なりによる印刷むらや繊維目を
発生しない。また、多孔性樹脂膜は、フィルムの穿孔よ
りも小さな空隙を有するので、これにより、印刷時に、
過剰量のインキがマスタの穿孔部を介して引き出され、
印刷用紙に転移されるのを防止することができるので、
裏写り発生も防止できる。
【0109】請求項3及び4の発明によれば、上記の効
果に加えて、マスタから、多孔性繊維膜をフィルム等を
壊すことなく確実に印刷時に剥離できるので、繊維目を
防止能力が更に向上する。
【0110】請求項5の発明によれば、上記請求項1の
効果に加えて、裏汚れも少ない感熱孔版印刷用マスタが
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる孔版印刷装置の要部を示す
側面図である。
【図2】本発明で用いられる版胴の模式断面図である。
【図3】本発明の第一の実施例の感熱孔版印刷用マスタ
の模式断面図である。
【図4】本発明の第一の実施例の感熱孔版印刷用マスタ
の、印刷時の版胴に巻装された状態での模式断面図であ
る。
【図5】本発明の第二の実施例の感熱孔版印刷用マスタ
の模式断面図である。
【図6】本発明の第二の実施例の感熱孔版印刷用マスタ
の別の模式断面図である。
【図7】本発明の第二の実施例の感熱孔版印刷用マスタ
の、印刷時の版胴に巻装された状態での模式断面図であ
る。
【図8】本発明の第二の実施例の感熱孔版印刷用マスタ
のサーマルヘッドによる穿孔後の模式断面図である。
【図9】本発明の感熱孔版印刷用マスタの接着力測定に
使用した装置の説明図である。
【符号の説明】
1 版胴 1a 開口部 1b 多孔性支持板 2 インキパイプ 3 インキローラ 4 ドクターローラ 5 インキ溜り 6 ステージ部 7 クランパー 8 マスタ 9 マスタロール 9a マスタロール芯部 10 サーマルヘッド 11 プラテンローラ 12a マスタ搬送ローラ 12b マスタ搬送ローラ 13 切断手段 13a 可動刃 13b 固定刃 14 マスタガイド板 16 プレスローラ 17 レジストローラ対 18 印刷用紙 20 熱可塑性樹脂フィルム 21 多孔性繊維膜 22 空間層 23 インキ保持部材 25 多孔性樹脂膜 25a、25b 多孔性樹脂膜を構成する構成要素 26 多孔性繊維膜 27 空間層 28 熱可塑性樹脂フィルム熱穿孔部 30 マスタ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多
    孔性繊維膜を接着してなる感熱孔版印刷用マスタにおい
    て、該多孔性繊維膜は穿孔処理後ドラム巻装前に少なく
    とも画像と対応する部分が熱可塑性樹脂フィルム表面よ
    り剥離され、該状態でドラムに巻装され、印刷時に熱可
    塑性樹脂フィルムと剥離した多孔性繊維膜との間にイン
    キ層が介在することを特徴とする感熱孔版印刷用マス
    タ。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂フィルムの一方の面上に多
    孔性樹脂膜とその表面に多孔性繊維膜を接着してなる感
    熱孔版印刷用マスタにおいて、該多孔性繊維膜は穿孔処
    理後ドラム巻装前に少なくとも画像と対応する部分が多
    孔性樹脂膜表面より剥離され、該状態でドラムに巻装さ
    れ、印刷時に多孔性樹脂膜と剥離した多孔性繊維膜との
    間にインキ層が介在することを特徴とする感熱孔版印刷
    用マスタ。
  3. 【請求項3】 前記多孔性繊維膜と前記熱可塑性樹脂フ
    ィルムとの接着力が1〜10g/25mmの範囲である
    ことを特徴とする請求項1記載の感熱孔版印刷用マス
    タ。
  4. 【請求項4】 前記多孔性繊維膜と前記多孔性樹脂膜と
    の接着力が1〜10g/25mmの範囲であることを特
    徴とする請求項2記載の感熱孔版印刷用マスタ。
  5. 【請求項5】 サーマルヘッドにより穿孔したとき、そ
    の孔1個につき前記多孔性繊維膜を構成する繊維が2本
    以上7本以下横切っているようにしてなることを特徴と
    する請求項1又は2記載の感熱孔版印刷用マスタ。
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JP2002036693A (ja) * 2000-07-21 2002-02-06 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版製版印刷装置
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JP2002254848A (ja) * 2001-03-01 2002-09-11 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法

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